JP3436582B2 - 金属ベース多層回路基板 - Google Patents

金属ベース多層回路基板

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JP3436582B2 JP9508094A JP9508094A JP3436582B2 JP 3436582 B2 JP3436582 B2 JP 3436582B2 JP 9508094 A JP9508094 A JP 9508094A JP 9508094 A JP9508094 A JP 9508094A JP 3436582 B2 JP3436582 B2 JP 3436582B2
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俊樹 斉藤
誠 福田
智寛 宮腰
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は金属ベース多層回路基板
に関し、特にノイズシールド性、優れた耐電圧性と良好
な熱放散性を有する金属ベース多層回路基板に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体搭載用の回路基板では基板
の小型化、高密度実装化および、半導体素子のハイパワ
ー化の要求にともない、半導体素子から発生した熱を如
何に放散するかということが問題となっている。この様
な要求のもと、近年、電源分野を中心に金属ベース回路
基板上に絶縁層を介して導電性金属箔を張り合わせた
後、回路を形成した金属ベース回路基板が優れて熱放散
性を有するため、その使用が増加してきている。しか
し、金属ベース回路基板は金属ベース基板の上に薄い絶
縁層を塗布した構造であるため、ノイズが発生しやす
く、電子モジュールの誤動作を引き起こしやすいという
問題があった。このノイズをシールドし、さらに高密度
実装化するため、例えば金属ベース回路基板上に、両面
に回路を有する上層回路基板を積層して、その上層回路
基板上に発熱性の電子部品を搭載した金属ベース多層回
路基板が使用されるようになってきている。この金属ベ
ース多層回路基板においては、上層回路基板の絶縁層で
ある絶縁基板、この上層回路基板を接着するための接着
剤層、金属ベース回路基板の絶縁層と多数の絶縁層を通
して発生した熱が放散されるが、その放散性が不十分で
あるため、電子部品の温度が上昇し、ひいては誤動作を
生ずるという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる問題点
に鑑みてなされたものであって、金属ベース多層回路基
板を構成する各絶縁層の厚さと熱伝動率について検討
し、これらを適正に設定することにより、熱抵抗が少な
く熱放散性の良好な金属ベース多層回路基板を得ること
ができることを見出した。すなわち、本発明の目的はノ
イズシールド性及び耐電圧特性を損なうことなく、優れ
た熱放散性を有する金属ベース多層回路基板を得ること
にある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の金属ベース多層
回路基板は、金属板上の少なくとも一主面上に、絶縁層
を介して回路が形成された金属ベース回路基板の上に、
接着剤層を介して両面に回路を有し、下面に磁気シール
ド用の回路を有する上層回路基板が積層一体化された金
属ベース多層回路基板において、前記金属ベース回路基
板の絶縁層の熱伝導率が3.5×10 -3 〜1.0×10
-2 cal/cm・sec・℃であり、かつ厚さが60〜200
μmであり、(1)前記上層回路基板の絶縁基板の熱伝
導率が6×10-4〜1.2×10-3cal/cm・sec・℃
であり、かつその厚さが30〜70μmであること、
(2)前記接着剤層の熱伝導率が3×10-4〜1×10
-3cal/cm・sec・℃であり、かつその厚さが20〜5
0μmであること、特徴とするものである。
【0005】
【作用および実施例】以下、図面により本発明について
さらに詳細に説明する。本発明の金属ベース多層回路基
板は図1に示すように金属板1上に絶縁層2を介して回
路5が形成された金属ベース回路基板7の上に、接着剤
層6を介して両面に回路4を有する絶縁基板3からなる
上層回路基板が積層一体化された構造を有する。
【0006】本発明の回路基板に用いるベース金属板1
としては、良好な熱伝導性を持つアルミニウムおよびア
ルミニウム合金、銅および銅合金、鉄および鉄合金等、
あるいは銅/鉄−ニッケル系合金、アルミニウム/鉄−
ニッケル系合金などの二層あるいは、銅/鉄−ニッケル
系合金/銅、アルミニウム/鉄−ニッケル系合金/アル
ミニウムなどの三層の多層複合材料等が使用可能であ
る。また、ベース金属基板1の厚みとしては、特に制限
はないが0.5 mm〜3.0 mmが一般に用いられる。
【0007】回路4及び5を形成する材料は銅、アルミ
ニウム、ニッケル、鉄、錫、銀、チタニウムなどのいず
れか、またはこれらの金属を2種類以上含む合金及びそ
れぞれの金属を使用したクラッド箔が用いられる。ま
た、この時の箔の製造方法は電解法でも圧延法で作製し
たものでもよく、箔上にはNiめっき、Ni+Auめっ
き、はんだめっきなどの金属めっきがほどこされていて
もかまわない。
【0008】前記上層回路基板は両面に回路を有し、そ
の下面の回路が磁気シールドの役目を果たす。下面の回
路は必ずしも特定の形状の回路を形成していなくても磁
気シルドの役目を果たすことが可能である。例えば、単
に板状であってもかまわない。そしてこの上層回路基板
の絶縁基板3としては、FR−4、FR−5等のガラス
エポキシ材、ポリイミド材、フェノール材及びセラミッ
クス材等の絶縁材料を用いることができる。そしてその
熱伝導率が6×10-4〜1.2×10-3cal/cm .sec .
℃ であり、かつその厚さが30〜70μmである。そ
の熱伝導率が6×10-4cal/cm .sec . ℃より小さいと
金属ベース多層回路基板の熱抵抗が大きくなり目的とす
る良好な熱放散性が得られず、1.2×10-3cal/cm .
sec . ℃より大きいものは工業的に得ることが難しい。
また、その厚さが30μmより小さいと耐電圧性が低下
し、70μmより大きいと熱抵抗が大きくなり好ましく
ない。
【0009】前記上層回路基板を接着する接着剤層とし
ては、アクリル系、エポキシ系、シリコーン系、ウレタ
ン系等をはじめとしてあらゆる有機接着剤を用いること
ができる。その熱伝導率は3×10-4〜1×10-3cal/
cm .sec . ℃ でありかつ厚みが20〜50μmであ
る。その熱伝導率が3×10-4より小さいと金属ベース
多層回路基板の熱抵抗が大きくなり目的とする良好な熱
放散性が得られず、1×10-3cal/cm .sec . ℃より大
きいものは工業的に得ることが難しい。また、その厚さ
が20μmより小さいと耐電圧性が低下し、50μmよ
り大きいと熱抵抗が大きくなりし好ましくない。
【0010】本発明に用いる絶縁層としては、各種セラ
ミックス、無機粉体からなる充填材を含有する高分子樹
脂絶縁層、ガラス繊維を含有する高分子樹脂絶縁層、お
よび耐熱性高分子樹脂絶縁層を用いることができる。前
記高分子樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹
脂、ポリイミド樹脂、各種エンジニアプラスチック等が
用いられる。前記充填材としては、アルミナ、ベリリ
ヤ、ボロンナイトライド、マグネシア、シリカ、窒化ケ
イ素、窒化アルミ等の材質が好ましい。
【0011】そしてこの絶縁層は、その熱伝導率が3.
5×10-3〜1.0×10-2cal/cm .sec . ℃であり、
かつ厚さが60〜200μmであること、その熱伝導率
が3.5×10-3より小さいと金属ベース多層回路基板
の熱抵抗が大きくなり目的とする良好な熱放散性が得ら
れず、1.0×10-2cal/cm .sec . ℃より大きいもの
は工業的に得ることが難しい。また、この絶縁層の厚さ
が60μmより小さいと耐電圧性が低下し、200μm
より大きいと熱抵抗が大きくなり好ましくない。
【0012】以下、実施例に基づき、発明の内容を具体
的に説明する。
【実施例】
〔実施例1〕まず、510×510×1.5mm tのアル
ミニウム板上に、アルミナを充填したエポキシ樹脂を塗
布し、その上に35μm厚の銅箔を張り合わせ加熱硬化
させ、熱伝導率が4.2×10-3cal/cm .sec . ℃で、
厚さ150μmの絶縁層を形成した後、エッチングによ
り所望の導電回路を形成した。次に、上面に箔厚70μ
mおよび下面に箔厚35μmの導電箔を有し、熱伝導率
が8×10-4cal/cm ・sec .℃でかつ厚みが50μmの
ガラスエポキシ基板に所望の回路及びスルーホールを形
成後、絶縁基板であるガラスエポキシ基板の下面の35
μmの箔側を接着面として予め一定形状に打ち抜かれた
熱伝導率が5×10-4cal/cm ・ sec .℃でかつ厚みが2
5μmの接着シート(デュポン社製;パイララックス)
を用いて前記のアルミニウムベースの金属ベース回路基
板の絶縁層上に張り合わせた。この金属ベース多層回路
基板の絶縁破壊電圧及び熱抵抗を測定した。絶縁破壊電
圧の測定法はJIS Z1020で規定している段階昇
圧法(AC電圧)にて測定した。また、熱抵抗及びノイ
ズシールド性については下記測定方法によって測定し
た。その結果を表1に示すが、絶縁破壊電圧は10kV
以上、熱抵抗は1.98℃/Wであった。また、ノイズ
シールド性も良好であった。
【0013】
【表1】
【0014】(熱抵抗の測定方法)金属ベース回路基板
上に上層回路基板が形成された金属ベース多層回路基板
の前記上層回路基板上の導電箔をエッチングして10×
15mmのパッド部を形成し、この上にトランジスター
(TO220 、株式会社東芝製)をはんだ付けする。ベース
金属板面側を冷却し、トランジスターに通電して、絶縁
層を挟んだトランジスター側と金属板側の温度差と通電
量より熱抵抗を測定した。(デンカHITTプレートのカタ
ログに記載されている方法において、前記トランジスタ
ーを上層回路基板上にはんだ付けして行う)。
【0015】(ノイズシールド性測定法)実施例1のよ
うにして得られた金属ベース多層回路基板において、金
属ベース回路基板上に形成された回路と同一の回路を上
層回路基板上に形成し、200kHzに於いて上層回路
基板上に形成された回路のみによって発生するノイズ量
から、同じく200kHzに於いて金属ベース回路基板
上に形成された回路のみによって発生するノイズ量を差
し引いた量をノイズ低減量とし、この値(dB)をノイ
ズシールド性とした。ノイズ発生量は横河ヒューレット
パッカード社製;2/4チャンネルFFTアナライザH
P25670Aにて測定した。
【0016】〔実施例2〕まず、510×510×1.
5mm tのアルミニウム板上にアルミナを填材したエポキ
シ樹脂を塗布し、その上に35μm厚の銅箔を張り合わ
せ加熱硬化させ、熱伝導率が3.5×10-3cal/cm .se
c . ℃で、厚さ60μmの絶縁層を形成した後、エッチ
ングにより所望の導電回路を形成した。次に、上面に箔
厚70μmおよび下面に箔厚35μmの導電箔を有す
る、熱伝導率が6×10-4cal/cm ・ sec .℃でかつ厚み
が30μmのガラスエポキシ基板に所望の回路及びスル
ーホールを形成後、絶縁基板であるガラスエポキシ基板
の下面の35μmの箔側を接着面として予め一定形状に
打ち抜かれた熱伝導率が3×10-4cal/cm ・ sec .℃で
かつ厚みが20μmの接着シートを用いて前記のアルミ
ニウムベースの金属ベース回路基板の絶縁層上に張り合
わせた。この金属ベース多層回路基板の絶縁破壊電圧お
よび熱抵抗を測定した。その結果を表1に示すが絶縁破
壊電圧は6.2kV、熱抵抗は1.14℃/Wであっ
た。また、ノイズシールド性も良好であった。
【0017】〔実施例3〜5〕金属ベース回路基板の絶
縁層の厚さ及び熱伝導率、上層回路基板の厚さ及び熱伝
導率、接着シートの厚さ及び熱伝導率を表1のように変
えた以外は実施例1と同様にして金属ベース多層回路基
板を作製した。これらの金属ベース多層回路基板の絶縁
破壊電圧および熱抵抗を実施例1と同様にして測定し
た。その結果を表1に示すが絶縁破壊電圧は高く、熱抵
抗は小さかった。
【0018】〔比較例1〕比較例として、510×51
0×1.5mm tのアルミニウム板上にアルミナを充填し
たエポキシ樹脂を塗布し、その上に35μm厚の銅箔を
張り合わせ加熱硬化させ、熱伝導率が1×10-2cal/cm
・ sec .℃で、厚さ50μmの絶縁層を形成した後、エ
ッチングにより所望の回路を形成した。次に、上面に箔
厚70μmおよび下面に箔厚35μmの導電箔を有し、
熱伝導率が1.2×10-3cal/cm ・sec .℃でかつ厚み
が25μmのガラスエポキシ基板に所望の回路及びスル
ーホールを形成後、絶縁基板であるガラスエポキシ基板
の下面の35μmの箔側を接着面として予め一定形状に
打ち抜かれた熱伝導率が1×10-3cal/cm ・ sec .℃で
かつ厚みが15μmのプリプレグを用いて前記のアルミ
ニウムベースの金属ベース回路基板の絶縁層上に張り合
わせた。この金属ベース多層回路基板の絶縁破壊電圧及
び熱抵抗を実施例1と同様の方法で測定した。その結果
を表1に示すが絶縁破壊電圧は4.5kV、熱抵抗は
1.25℃/Wであった。
【0019】〔比較例2、3〕金属ベース回路基板の絶
縁層の厚さ及び熱伝導率、上層回路基板の厚さ及び熱伝
導率、接着シートの厚さ及び熱伝導率を表1のように変
えた以外は比較例1と同様にして金属ベース多層回路基
板を作製した。これらの金属ベース多層回路基板の絶縁
破壊電圧および熱抵抗を実施例1と同様の方法で測定し
た。その結果を表1に示すが絶縁破壊電圧は高かった
が、熱抵抗が大きく好ましくなかった。
【0020】
【発明の効果】本発明によれば、ノイズシールド性及び
耐電圧性にすぐれた熱放散性が良好な金属ベース多層回
路基板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の金属ベース多層回路基板の構造の一
例を示す断面概略図である。
【符号の説明】
1;金属板 2;金属ベース回路基板の絶縁層 3;接着剤層 4;上層回路基板の絶縁基板 5;上層回路基板の上面回路 6;上層回路基板の下面回路 7;金属ベース回路基板の回路 8;金属ベース回路基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−119696(JP,A) 特開 昭63−246897(JP,A) 特開 平6−5999(JP,A) 特開 平6−342986(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05K 3/46 H05K 1/05

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属板上の少なくとも一主面上に、絶縁層
    を介して回路が形成された金属ベース回路基板上に、
    接着剤層を介して両面に回路を有し、下面に磁気シール
    ド用の回路を有する上層回路基板が積層一体化された金
    属ベース多層回路基板において、前記金属ベース回路基
    板の絶縁層の熱伝導率が3.5×10 -3 〜1.0×10
    -2 cal/cm・sec・℃であり、かつ厚さが60〜200
    μmであり、前記上層回路基板の絶縁基板の熱伝導率が
    6×10-4〜1.2×10-3cal/cm・sec・℃であ
    り、かつその厚さが30〜70μmであることを特徴と
    する金属ベース多層回路基板。
  2. 【請求項2】金属板上の少なくとも一主面上に、絶縁層
    を介して回路が形成された金属ベース回路基板上に、
    接着剤層を介して両面に回路を有し、下面に磁気シール
    ド用の回路を有する上層回路基板が積層一体化された金
    属ベース多層回路基板において、前記金属ベース回路基
    板の絶縁層の熱伝導率が3.5×10 -3 〜1.0×10
    -2 cal/cm・sec・℃であり、かつ厚さが60〜200
    μmであり、前記接着剤層の熱伝導率が3×10-4〜1
    ×10-3cal/cm・sec・℃であり、かつその厚さが2
    0〜50μmであることを特徴とする金属ベース多層回
    路基板。
  3. 【請求項3】金属板上の少なくとも一主面上に、絶縁層
    を介して回路が形成された金属ベース回路基板上に、
    接着剤層を介して両面に回路を有し、下面に磁気シール
    ド用の回路を有する上層回路基板が積層一体化された金
    属ベース多層回路基板において、前記金属ベース回路基
    板の絶縁層の熱伝導率が3.5×10 -3 〜1.0×10
    -2 cal/cm・sec・℃であり、かつ厚さが60〜200
    μmであり、前記上層回路基板の絶縁基板の熱伝導率が
    6×10-4〜1.2×10-3cal/cm・sec・℃であ
    り、かつその厚さが30〜70μmであり、更に、前記
    接着剤層の熱伝導率が3×10-4〜1×10-3cal/c
    m・sec・℃であり、かつその厚さが20〜50μmで
    あることを特徴とする金属ベース多層回路基板
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