JP3436017B2 - 自動変速機制御装置 - Google Patents

自動変速機制御装置

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JP3436017B2
JP3436017B2 JP25468096A JP25468096A JP3436017B2 JP 3436017 B2 JP3436017 B2 JP 3436017B2 JP 25468096 A JP25468096 A JP 25468096A JP 25468096 A JP25468096 A JP 25468096A JP 3436017 B2 JP3436017 B2 JP 3436017B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、設定されたシフト
レンジに応じて最高変速段が決定され、走行状態に応じ
て変速段を変更する自動変速機制御装置、特に、複数の
操作手段によりシフトレンジを設定できる自動変速機制
御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、自動変速機の操作性を向上して、
車両の運転をより容易にすることが求められている。こ
のような要求に応えるため、シフトレンジを設定する操
作手段として、シフトレバーの他に、もう一つの操作手
段を備えた制御装置が提案されている。このような装置
は、例えば、特開平5−196118号公報の図3に開
示されている。
【0003】同公報の装置において、シフトレンジを設
定するための第1の手段は、シフトレバー装置である。
運転者の操作によりシフトレバーがシフトレーンに沿っ
て移動する。シフトレーンには、Dレンジ、3レンジな
どの各シフトレンジに対応するポジションが定められて
いる。例えば、シフトレバーがDレンジのポジションに
位置している時には、Dレンジが設定される。そして、
Dレンジの範囲内、すなわち、1速から4速の間で、走
行条件に応じたシフトチェンジ(変速段の変更)が行わ
れる。
【0004】シフトレンジを設定するための第2の手段
は、ステアリングの中央部に設けられた押しボタンスイ
ッチである。ダウンレンジ用のスイッチとアップレンジ
用のスイッチが設けられており、各スイッチは、変速機
を制御する電子制御装置と接続されている。運転者によ
るスイッチの押し下げは、電子制御装置により、電気的
に検出される。そして、スイッチが一回押し下げられる
毎に、電子制御装置は、シフトレンジの設定を上側また
は下側に一レンジずつ変更する。例えば、運転者は、シ
フトレバーを移動してDレンジを設定する。そして、ス
イッチの押し下げにより、シフトレンジを、Dレンジ、
3レンジ、2レンジ、3レンジと順次変更する。
【0005】このように、運転者は、スイッチの押し下
げによりシフトレンジを変更できる。運転者は、従来の
シフトレバーの操作、すなわち、シフトレバーがどこに
あるかを目視にて確認し、シフトレバーを所望のポジシ
ョンに移動するといった操作を行わなくてもよい。従っ
て、運転者は、シフトレンジの設定を容易に行うことが
できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記の装置では、単
に、スイッチの押し下げに対応してシフトレンジが一レ
ンジずつ変更される。そして、下記に説明するように、
シフトレンジの設定が適切でないために、運転者に違和
感を与えることがあった。なお、ここでは、制御対象の
自動変速機が5速式である場合を例にして説明する。
【0007】例えば、シフトレバーの操作によりDレン
ジが設定されており、車両は3速にて走行中であったと
仮定する。車両が降坂路に進入すると、運転者は、エン
ジンブレーキを利用するため、すなわち、2速にて走行
するため、ダウンレンジ用のスイッチを押し下げる。し
かし、スイッチ操作に応じてDレンジから4レンジへの
ダウンレンジが行われるが、依然として3速が設定され
たままである。このケースでは、運転者は、ダウンレン
ジ用のスイッチを3回押し下げて、4レンジ、3レン
ジ、2レンジとシフトレンジを変更しなければならな
い。
【0008】一般に、運転者がダウンレンジ用のスイッ
チを操作するのは、エンジンブレーキの利用を望んでダ
ウンシフトするためである。しかし、従来装置では、上
記の例のように、運転者が何度かスイッチを操作しなけ
ればならず、操作性が低下する可能性があった。
【0009】ところで、上記の特開平5−196118
号公報では、ダウンレンジ用のスイッチの押し下げに応
じて、ダウンレンジとともにダウンシフトを実行する構
成についても言及されている。この構成に従えば、運転
者の望むダウンシフトが行われる。しかし、下記の例に
示すように、運転者に違和感を与えてしまう。
【0010】例えば、前述と同様に、シフトレバーの操
作によりDレンジが設定されており、車両は3速にて走
行中であったと仮定する。運転者がダウンレンジ用のス
イッチを押し下げると、4レンジへのダウンレンジと、
2速へのダウンシフトとが行われる。しかし、ダウンレ
ンジ後の4レンジでは、最高で4速までのシフトチェン
ジが許容されている。従って、2速へのダウンシフトの
直後に、再び、3速へのアップシフトが行われる。運転
者は、結局、エンジンブレーキを利用できないばかりで
なく、頻繁なシフトチェンジにより違和感を受ける。
【0011】以上に説明したように、従来の装置では、
シフトレンジの変更についての設定が適切でないため
に、運転者に違和感を与える可能性があった。そして、
シフトレンジを設定する手段の操作をより容易とするた
めに、改善の余地があった。
【0012】本発明の目的は、上記の課題に対応し、シ
フトレンジを設定する手段の操作が容易となり、運転者
に違和感を与えることのない自動変速機制御装置を提供
することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、設定されたシ
フトレンジに応じて最高変速段が決定され、走行状態に
応じて変速段を変更する自動変速機制御装置において
ンジンブレーキを使用するエンジンブレーキレンジ
は、操作回数に応じて1レンジずつ増減切り換えを電気
的に行う電気的スイッチによって設定され、前進走行を
行うための前進レンジからエンジンブレーキレンジへの
切り換え時に、前記エンジンブレーキレンジの初回設定
レンジは、前記前進レンジにおける実際の変速段に基づ
き設定することを特徴とする。
【0014】この構成によれば、エンジンブレーキレン
ジへの切り換えを違和感無く行うことができると共に、
応答性のよいレンジ切り換えを容易に行うことができ
る。
【0015】また、本発明は、上記構成において、前記
初回設定レンジは、前進レンジにおける実際の変速段よ
り1段下の変速段を最高変速段に設定されることを特徴
とする。
【0016】この構成によれば、違和感の無いエンジン
ブレーキレンジの移行を行い、かつ確実にエンジンブレ
ーキの効果を得ることができる。
【0017】また、本発明は、上記構成において、前記
初回設定レンジは、車速に応じて設定形態を変更するこ
とを特徴とする。
【0018】この構成によれば、エンジンブレーキレン
ジへの切り換え時に、エンジン回転数が極端に変動して
しまうことを防止することが可能で、切り換え時に違和
感を発生させない。
【0019】また、本発明は、上記構成において、電気
的にエンジンブレーキレンジが切り換えられる場合、機
械的にシフトレンジを設定する設定手段は、設定状態を
維持することを特徴とする。
【0020】この構成によれば、電気的設定手段がフェ
イルしてシフトレンジを変更できなくなった場合でも、
機械的な設定手段を用いることにより、エンジンブレー
キレンジ切り換え時の設定状態戻すので、その設定状
態で車両を走行させることができる。
【0021】また、本発明は、設定されたシフトレンジ
に応じて最高変速段が決定され、走行状態に応じて変速
段を変更する自動変速機制御装置において、ンジンブ
レーキを使用するエンジンブレーキレンジは、電気的設
定手段によって設定され、前進走行を行うための前進レ
ンジからエンジンブレーキレンジへの切り換え時に、前
記エンジンブレーキレンジの初回設定レンジは、前記前
進レンジにおける実際の変速段と車速に応じて設定し、
電気的にエンジンブレーキレンジが切り換えられる場
合、機械的にシフトレンジを設定する設定手段は、設定
状態を維持することを特徴とする。
【0022】この構成によれば、電気的設定手段がフェ
イルしてシフトレンジを変更できなくなった場合でも、
機械的な設定手段を用いることにより、エンジンブレー
キレンジ切り換え時の設定状態に戻すので、その設定状
態で車両を走行させることができる。
【0023】また、本発明は、上記構成において、前記
初回設定レンジは、前進レンジにおける実際の変速段よ
り1段下の変速段を最高変速段に設定されることを特徴
とする。
【0024】この構成によれば、違和感の無いエンジン
ブレーキレンジの移行を行い、かつ確実にエンジンブレ
ーキの効果を得ることができる。
【0025】また、本発明は、上記構成において、前記
電気的設定手段は、操作回数に応じて1レンジずつ増減
切り換えを電気的に行う電気的スイッチであることを特
徴とする。
【0026】この構成によれば、応答性のよいレンジ切
り換えを容易に行うことができる。
【0027】また、本発明は、設定されたシフトレンジ
に応じて最高変速段が決定され、走行状態に応じて変速
段を変更する自動変速機制御装置において、シフトレン
ジ設定において基準となる基準シフトレンジを設定する
第1操作手段と、基準シフトレンジの設定状態を保持し
たまま、実際に設定される実シフトレンジを変更する第
2操作手段と、を有し、基準シフトレンジが実シフトレ
ンジとして設定された状態から第2操作手段が操作され
た時に、その時に設定されている実際の変速段を基準と
して、第2操作手段からの指示に従い所定段下の変速段
が最高変速段となるシフトレンジに、実シフトレンジを
変更する。
【0028】ここで、例えば、第1操作手段はシフトレ
バーであり、基準シフトレンジはDレンジ、4レンジ、
3レンジといったシフトレンジである。また、第2操作
手段による実シフトレンジの変更は、一つの基準シフト
レンジのみに対して行われてもよく、複数の基準シフト
レンジに対して行われるように構成してもよい。
【0029】上記構成の装置では、基準シフトレンジが
実シフトレンジとして設定された状態から第2操作手段
が操作された時、その時に設定されている実際の変速段
を基準として、第2操作手段からの指示に従い所定段下
の変速段が最高変速段となるシフトレンジに、実シフト
レンジが変更される。変更後の実シフトレンジの最高変
速段が、現変速段よりも所定段下になる。従って、レン
ジ変更とともに、ダウンシフトが確実に行われる。運転
者は、ダウンシフトを望んで第2操作手段を操作した時
に、現変速段よりも低い変速段を確実に設定することが
できる。すなわち、第2操作手段を操作したにも拘わら
ず要求(ダウンシフト)が達成されないといったことが
ない。このようにして、シフトレンジ設定の操作が容易
となり、また、操作時に違和感を受けることがなくな
る。
【0030】また、本発明は、設定されたシフトレンジ
に応じて最高変速段が決定され、走行状態に応じて変速
段を変更する自動変速機制御装置において、シフトレン
ジ設定において基準となる基準シフトレンジを設定する
第1操作手段と、基準シフトレンジの設定状態を保持し
たまま、実際に設定される実シフトレンジを変更する第
2操作手段と、を有し、第2操作手段により設定できる
最高の実シフトレンジを、基準シフトレンジに制限す
る。
【0031】第2操作手段の操作によって基準シフトレ
ンジよりも高い実シフトレンジが設定されることを禁止
することにより、第1操作手段が第2操作手段よりも優
先的に制御され、運転者の操作性が向上する。
【0032】本発明の一態様において、前記基準シフト
レンジにおける最高変速段は、機械的な設定手段により
設定され、走行状態に応じた変速段の変更、および第2
操作手段による実シフトレンジの設定とは、電気的な手
段を含む設定手段によって設定される。
【0033】この構成では、電気的な手段がフェイルす
ると、第2操作手段によって実シフトレンジを変更でき
なくなる。また、設定レンジ内での走行条件に応じた変
速段の変更ができなくなる。しかし、この場合でも、機
械的な設定手段を用いることにより、基準シフトレンジ
における最高変速段を設定し、車両を走行させることが
できる。
【0034】
【発明の実施の形態】「実施形態1」 以下、本発明の実施の形態の自動変速機制御装置につい
て、図面を参照し説明する。
【0035】この装置の制御対象である自動変速機は、
トルクコンバータと遊星歯車機構とを備え、前進5速、
後進1速の変速段を設定できるように構成されている。
遊星歯車機構には、クラッチやブレーキなどの複数の摩
擦係合装置が設けられていて、さらに、各摩擦係合装置
を動作させるためのサーボ手段が設けられている。サー
ボ手段への油圧の供給に応じて各摩擦係合装置が動作す
ることにより、1速から5速までのシフトチェンジが行
われる。また、1速から3速では、各摩擦係合装置の動
作により、車軸側からの逆駆動力をエンジンに伝えるか
否かの切換えが行われる。この切換に応じて、エンジン
ブレーキの効く状態と効かない状態とが切り換えられ
る。なお、4速および5速では、常時、エンジンブレー
キが効くように構成されている。
【0036】図20〜図22は、このような自動変速機
と、これを制御する油圧制御装置の構成の一例を示して
いる。まず、これらの図面を参照し、自動変速機及び油
圧制御装置の詳細な構成を説明する。
【0037】上記のように、自動変速機は、前進5段・
後進1段の変速段を設定することができ、そのギヤトレ
ーンの一例を図20に示してある。図20において、自
動変速機Aはトルクコンバータ113を介してエンジン
Eに連結されている。このトルクコンバータ113は、
エンジンEのクランク軸114に連結されたポンプイン
ペラ115と、自動変速機Aの入力軸116に連結され
たタービンランナー117と、これらポンプインペラ1
15とタービンランナー117との間を連結するロック
アップクラッチ118と、一方向クラッチ119によっ
て一方向の回転が阻止されているステータ120とを備
えている。
【0038】上記自動変速機Aは、ハイおよびローの2
段の切り換えを行う副変速部121と、後進段および前
進4段の切り換えが可能な変速部122とを備えてい
る。副変速部121は、サンギヤS0、リングギヤR
0、およびキャリヤK0に回転可能に支持されてそれら
サンギヤS0およびリングギヤR0に噛み合わされてい
るピニオンP0からなる遊星歯車装置123と、サンギ
ヤS0とキャリヤK0との間に設けられたクラッチC0
および一方向クラッチF0と、サンギヤS0とハウジン
グ129との間に設けられたブレーキB0とを備えてい
る。
【0039】主変速部122は、サンギヤS1、リング
ギヤR1、およびキャリヤK1に回転可能に支持されて
それらサンギヤS1およびリングギヤR1に噛み合わさ
れているピニオンP1からなる第1遊星歯車装置124
と、サンギヤS2、リングギヤR2、およびキャリヤK
2に回転可能に支持されてそれらサンギヤS2およびリ
ングギヤR2に噛み合わされているピニオンP2からな
る第2遊星歯車装置125と、サンギヤS3、リングギ
ヤR3、およびキャリヤK3に回転可能に支持されてそ
れらサンギヤS3およびリングギヤR3に噛み合わされ
ているピニオンP3からなる第3遊星歯車装置126と
を備えている。
【0040】上記サンギヤS1とサンギヤS2とは互い
に一体的に連結され、リングギヤR1とキャリヤK2と
キャリヤK3とが一体的に連結され、そのキャリヤK3
は出力軸127に連結されている。また、リングギヤR
2がサンギヤS3に一体的に連結されている。そして、
リングギヤR2およびサンギヤS3と中間軸128との
間に第1クラッチC1が設けられ、サンギヤS1および
サンギヤS2と中間軸128との間に第2クラッチC2
が設けられている。
【0041】また、ブレーキ手段として、サンギヤS1
およびサンギヤS2の回転を止めるためのバンド形式の
第1ブレーキB1がハウジング129に設けられてい
る。また、サンギヤS1およびサンギヤS2とハウジン
グ129との間には、第1一方向クラッチF1およびブ
レーキB2が直列に設けられている。この第1一方向ク
ラッチF1は、サンギヤS1およびサンギヤS2が入力
軸116と反対の方向へ逆回転しようとする際に係合さ
せられるように構成されている。
【0042】キャリヤK1とハウジング129との間に
は第3ブレーキB3が設けられており、リングギヤR3
とハウジング129との間には、第4ブレーキB4と第
2一方向クラッチF2とが並列に設けられている。この
第2一方向クラッチF2は、リングギヤR3が逆回転し
ようとする際に係合させられるように構成されている。
上記クラッチC0,C1,C2、ブレーキB0,B1,
B2,B3,B4は、油圧が作用することにより摩擦材
が係合させられる油圧式摩擦係合装置である。
【0043】そして副変速部121におけるクラッチC
0の回転数すなわち入力回転数を検出するC0センサ1
30と、主変速部122における第2クラッチC2の回
転数を検出するC2センサ131が設けられている。な
お、これらのセンサ130,131は、後述する自動変
速機用電子制御装置に接続されている。
【0044】上記の自動変速機Aでは、前進5段と後進
段とを設定することができ、これらの変速段を設定する
ための各摩擦係合装置の係合・解放の状態を図21の係
合作動表に示してある。なお、図21において○印は係
合状態、◎印は係合してもトルク伝達に関係しないこと
を、●印はエンジンブレーキを効かせるために係合する
ことを、空欄は解放状態をそれぞれ示す。
【0045】上記の図21に示す各変速レンジおよび変
速段を設定するために図22に示す油圧回路が油圧制御
装置に設けられている。すなわちスロットル開度に応じ
たライン圧PLの供給を受けるマニュアルバルブ140
と上述した各摩擦係合装置の油圧サーボ手段との間に、
第1速エンジンブレーキ用の第4ブレーキB4に対する
コントロール圧PCの給排を制御する1−2シフトバル
ブ141、第3速達成用の第2ブレーキB2に対するド
ライブレンジ圧PDの給排を制御する2−3シフトバル
ブ142、第3速エンジンブレーキ用の第1ブレーキB
1に対するコントロール圧PCの給排と第4速および第
5速達成用の第2クラッチC2に対するドライブレンジ
圧PDの給排とを制御する3−4シフトバルブ143、
ブレーキB0とクラッチC0とへのライン圧PLの供給
を切り換える4−5シフトバルブ144が設けられてい
る。
【0046】さらに、ドライブレンジ圧(Dレンジ圧)
を元圧として変速中にリニアソレノイドバルブSLNの
出力する信号圧で調圧してコントロール圧PCを発生さ
せるプレッシャーコントロールバルブ145、コントロ
ール圧PCの2−3シフトバルブ142に対する給排を
切り換えるエンジンブレーキリレーバルブ146、クラ
ッチC0に対する4−5シフトバルブ144を介したラ
イン圧PLの給排を切り換えるC0エキゾーストバルブ
147が設けられている。
【0047】なお、第1シフトソレノイドバルブSOL
1は2−3シフトバルブ142の切換用の信号圧を出力
し、第2シフトソレノイドバルブSOL2は1−2シフ
トバルブ141の切換用の信号圧を出力し、第3シフト
ソレノイドバルブSOL3は1−2シフトバルブ141
を介してC0エキゾーストバルブ147に切換用の信号
圧を出力するようになっている。また第4シフトソレノ
イドバルブSOL4はエンジンブレーキリレーバルブ1
46とC0エキゾーストバルブ147とに切換用の信号
圧を出力し、リニアソレノイドバルブSLNはプレッシ
ャーコントロールバルブ145に調圧用の信号圧を出力
するようになっている。さらに第1ブレーキB1および
第4ブレーキB4以外の摩擦係合装置にはアキュームレ
ータが付設されている。
【0048】上記の各部の構成および機能についてさら
に詳しく説明すると、マニュアルバルブ140は、図示
しない第1レンジ操作機構としてのシフトレバーにケー
ブルなどの機械的な手段で連結されてシフトレバーに連
動するスプールバルブによって構成されており、ライン
圧PLを入力ポート148から供給されて、スプール1
49の摺動位置に応じて入力ポート148を各出力ポー
トに連通させて出力するものである。具体的には、Dポ
ジションではDレンジポート150のみから出力し、
“3”ポジションではこれに加えて“3”レンジポート
151から出力し、“2”ポジションではさらに“2”
レンジポート152から出力し、Lポジションではさら
にLレンジポート153から出力するようになってい
る。これに対してRポジションではRレンジポート15
4から出力し、またNポジションでは全ての出力ポート
を閉じ、Pポジションでは入力ポート148をドレーン
ポートEXに連通させる。なお、上記の自動変速機Aで
は“4”レンジを選択することができるが、これは、最
高速段である第5速を禁止する変速レンジであり、マニ
ュアルバルブ140ではスプール149が中心軸線を中
心にして回動し、上記の“2”レンジポート152から
油圧が出力される。
【0049】つぎにプレッシャーコントロールバルブ1
45は、バネによって一方向に押圧されたスプールとプ
ランジャとを有しており、Dレンジ圧PDを入力とし、
これをリニアソレノイドバルブSLNの出力信号で調圧
し、コントロール圧PCをエンジンブレーキリレーバル
ブ146を経て2−3シフトバルブ142に供給する。
【0050】エンジンブレーキリレーバルブ146は、
バネによって一方向に押圧されたスプールとプランジャ
とを備えた切換弁であって、“2”レンジ圧がプランジ
ャに印加されるとともに、リニアソレノイドバルブSL
Nの信号圧をスプールに印加され、いずれかの油圧によ
る2−3シフトバルブ142へのコントロール圧PCの
供給と、その油圧の解放による2−3シフトバルブ14
2からのコントロール圧PCの排出を切り換える。
【0051】2−3シフトバルブ142は、バネによっ
て一方向に押圧されたスプールを備えた切換弁であり、
第1シフトソレノイドバルブSOL1の信号圧およびL
レンジ圧の印加により、コントロール圧PCの3−4シ
フトバルブ143と、1−2シフトバルブ141とへの
供給の切換、およびDレンジ圧の油路L1aと油路L1
bとへの連通とドレーンの切り換えとを行う。
【0052】1−2シフトバルブ141は、バネによっ
て一方向に押圧されたスプールを備えた切換弁であり、
第2ソフトソレノイドバルブSOL2の信号圧および油
路L1aからの油圧により、コントロール圧PCの第4
ブレーキB4への供給とこのブレーキB4からの排圧と
の切り換え、および第3シフトソレノイドバルブSOL
3の信号圧の油路LS32への供給とその油路LS32
からの排出との切り換えを行う。
【0053】3−4シフトバルブ143は、ピストンを
介してバネによって一方向に押圧されたスプールを備え
た切換弁であり、第2シフトソレノイドバルブSOL2
の信号圧、油路L1bからの油圧および油路L3からの
油圧により、油路LS3からの第3シフトソレノイドバ
ルブSOL3の信号圧の油路LS34を介した4−5シ
フトバルブ144への供給と遮断、油路L1aの油路L
1eへの連通と遮断およびコントロール圧PCの第1ブ
レーキB1への供給とそのブレーキB1からの排圧とを
制御する。
【0054】4−5シフトバルブ144は、バネによっ
て一方向に押圧されたスプールを備えた切換弁であり、
油路LS34からの信号圧と油路L2の油圧により、ラ
イン圧PLのC0エキゾーストバルブ147への供給と
排出との切り換え、油路LL1を介したブレーキB0へ
の供給とそのブレーキB0からの排出とを制御する。C
0エキゾーストバルブ147は、バネによって一方向に
押圧されたスプール155とプランジャ156とを備え
た切換弁であり、油路LS4を経由した第4ソレノイド
バルブSOL4の信号圧、油路LS32を経由した第3
ソレノイドバルブSOL3の信号圧および油路L1dの
油圧により、4−5シフトバルブ144を経由したライ
ン圧PLを油路LL3を経由してクラッチC0に供給
し、またこのクラッチC0から排出するようになってい
る。
【0055】上記のように構成された油圧制御装置にお
いて、図示のニュートラルポジションでは、4−5シフ
トバルブ144およびC0エキゾーストバルブ147を
経由してライン圧PLがクラッチC0に供給されている
が、マニュアルバルブ140を経由する油路が遮断され
ているため、第1クラッチC1の油圧はドレーンされて
いる。なお、図における各バルブの中心線を挟む位置の
ずれは、スプール変位の限界位置を示し、特に各シフト
バルブについては、中心線の左右に数字の振り分けで、
位置と変速段とを対応させている。
【0056】上記の油圧制御装置によれば、シフト装置
を手動操作することに伴うマニュアルバルブ140のポ
ジションの選択に応じて、車速とエンジン負荷(例えば
スロットル開度)に対応した電子制御によりレンジ圧の
調圧と各シフトソレノイドバルブSOL1,〜SOL3
がON/OFF制御されて、各変速段が設定される。す
なわち各クラッチおよびブレーキが図21に示すように
制御されて一方向クラッチ(OWC)との関連で、各変
速段が設定され、また第4ソレノイドバルブSOL4の
ON/OFFに伴うその信号圧の出力によってエンジン
(E/G)ブレーキ状態を得ることができる。
【0057】例えばDレンジで第3速を設定している状
態で第4ソレノイドバルブSOL4から信号圧を出力さ
れると、エンジンブレーキリレーバルブ146のスプー
ルが図22の左半分に示す位置に移動させられ、その結
果、Dレンジ圧を元圧としたコントロール圧PCが2−
3シフトバルブ142を介して3−4シフトバルブ14
3に供給され、ここから第1ブレーキB1に油圧が供給
されてこれが係合する。すなわち第3速でエンジンブレ
ーキが効く状態になる。
【0058】またDレンジの第2速の状態で第4ソレノ
イドバルブSOL4が信号圧を出力すると、C0エキゾ
ーストバルブ147のスプールの一端側に油圧が供給さ
れるので、そのスプールが図22の左半分に示す位置に
移動し、4−5シフトバルブ144を介して供給された
ライン圧PLが副変速部121におけるクラッチC0に
供給されてこれが係合し、第2速でエンジンブレーキを
効かせることができる。
【0059】さらにDレンジの第1速で第4ソレノイド
バルブSOL4が信号圧を出力すると、上述した第3速
の場合と同様に、エンジンブレーキリレーバルブ146
から2−3シフトバルブ142にコントロール圧PCが
出力され、さらにそのコントロール圧PCが2−3シフ
トバルブ142から1−2シフトバルブ141に供給さ
れ、ここから第4ブレーキB4に送られて、これが係合
する。すなわち第1速でエンジンブレーキを効かせるこ
とができる。
【0060】なお、第1速ないし第5速の各変速段は、
第1ないし第3のシフトソレノイドバルブSOL1,〜
SOL3をON/OFF制御して、その出力圧によって
各シフトバルブ41,〜44を適宜に切り換え動作させ
ることにより設定され、これは従来の装置と同様であ
り、図22の油圧から容易に知られるところである。
【0061】このように上記の自動変速機Aでは、各変
速段を電気的に制御して設定することができ、また第3
速以下の変速段でのエンジンブレーキを、第4ソレノイ
ドバルブSOL4を電気的に制御することにより設定で
きる。このような機能を利用して、この発明にかかるレ
ンジ制御装置は、前進レンジの切り換えを電気的に行う
ように構成されている。以下に説明する制御装置では、
後述する機械的制御または電気的制御により、駐車
(P)レンジ、後進(R)レンジ、ニュートラル(N)
レンジ、および下記の前進レンジが設定される; (1)Dレンジ:1速から5速の範囲で変速段を設定す
る。4速および5速にてエンジンブレーキが効く; (2)4レンジ:1速から4速の範囲で変速段を設定す
る。4速にてエンジンブレーキが効く; (3)3レンジ:1速から3速の範囲で変速段を設定す
る。3速にてエンジンブレーキが効く; (4)2レンジ:1速または2速を設定する。2速でエ
ンジンブレーキが効く; (5)Lレンジ:1速のみを設定する。エンジンブレー
キが効く;ここで前進走行時、通常、Dレンジが設定さ
れる。4レンジ〜Lレンジが設定されるのは、主とし
て、エンジンブレーキを利用するためである。この4レ
ンジ〜Lレンジは、エンジンブレーキレンジと呼ばれて
いる。
【0062】図1は、本実施形態の制御装置の構成を示
している。図1に示すように、本実施形態の制御装置
は、制御手段として、油圧制御装置1およびT−ECU
3を備える。また、シフトレンジを設定するための操作
手段として、シフトレバー装置5およびカット機構7を
備える。
【0063】図2は、油圧制御装置1の構成を示してお
り、前述の図22に相当するブロック図である。前述の
ように、油圧制御装置1は油圧回路21を備えており、
この油圧回路21は、シフト弁やリレー弁などの図示し
ない複数の制御弁を有している。油圧制御装置1には、
さらに、制御弁を移動させるための複数のソレノイド2
3(図22のSOL1など)が設けられており、このソ
レノイド23はT−ECU3と接続されている。
【0064】油圧回路21には、オイルポンプから油圧
が供給される。油圧回路21では各制御弁の位置に応じ
た油圧経路が設定され、この油圧経路に従って自動変速
機Aのサーボ手段に油圧が供給される。ソレノイド23
を駆動して各制御弁の位置の組み合わせを変更すると異
なる油圧経路が設定される。この新たな油圧経路に従っ
て、自動変速機Aのサーボ手段が動作し、シフトチェン
ジが行われ、また、エンジンブレーキ制御が行われる。
【0065】また、油圧回路21には、マニュアル弁2
5(図22のマニュアルバルブ140に相当)が設けら
れている。マニュアル弁25は、ケーブル27(または
ロッド)を介してシフトレバー装置5と接続されてい
る。すなわち、マニュアル弁25の移動は、シフトレバ
ー装置5の動作を機械的に伝達することにより行われ
る。マニュアル弁25は、軸方向に移動することによ
り、Pレンジ、Rレンジ、Nレンジ、Dレンジ、3レン
ジおよびLレンジに対応する位置をとる。
【0066】さらに、油圧回路21は、マニュアル弁2
5に関連して、以下のように設定されている。マニュア
ル弁25がDレンジの位置にある時には、制御弁の位置
の組み合わせにより、1速から5速の設定が可能であ
る。そして、ソレノイド23がすべて駆動不能となった
場合には、5速が設定される。同様に、マニュアル弁2
5がレンジの位置にある時には、制御弁の位置の組み
合わせにより、1速から4速の設定が可能である。そし
て、ソレノイド23がすべて駆動不能となった場合に
は、4速が設定される。同様に、マニュアル弁25がL
レンジの位置にある時には、1速であってエンジンブレ
ーキが効く状態の設定が可能である。
【0067】図3は、本制御装置を搭載したステアリン
グ30の付近の図であって、シフトレバー装置5とカッ
ト機構7が示されている。シフトレバー装置5は、後述
する機械的制御によりシフトレンジを設定するための操
作手段である。シフトレバー装置5は、ステアリングコ
ラムまたはインパネに設けられた図示しないシフトレー
ンと、このシフトレーンにそって移動するシフトレバー
31を有する。また、カット機構7は、後述するESR
モードにて、電気的制御によりシフトレンジを設定する
ための操作手段である。カット機構7は、ステアリング
コラムから突出するように設けられたカットレバー33
を有する。
【0068】図4はシフトレーンの構成を示しており、
シフトレーンには、図示のように、各シフトレンジに対
応するポジションが設定されている。すなわち、シフト
レーンには、Pレンジ、Rレンジ、Nレンジ、Dレン
ジ、3レンジおよびLレンジに対応するポジションが設
定されている。シフトレバー31が各ポジションに移動
されたとき、油圧制御装置1に設けられたマニュアル弁
25が、そのポジションに対応する位置に移動する。ま
た、シフトレーンには、Sportポジションが設けら
れている。このポジションにシフトレバー31があると
きは、スポーツモード(原則として、運転者が変速操作
を行われないかぎり、変速段をホールドするモード)が
設定される。
【0069】また、シフトレーンの下方には、メインス
イッチ35が設けられている。このメインスイッチ35
は、ESRモードを設定解除するためのスイッチであ
る。このメインスイッチ35の操作により、後述するカ
ット機構7がアクティブ状態とノンアクティブ状態とに
切り換えられる。すなわち、メインスイッチ35が一度
押されると、カットレバー33の操作に応じてカット機
構7が機能する。メインスイッチ35がもう一度押され
ると、運転者がカットレバー33を操作しても、カット
機構7は機能しない。なお、ESRモードの設定は、イ
グニッションオフとともに自動キャンセルされる。
【0070】図5は、カットレバー33の機能を示す説
明図である。カットレバー33は、運転者の操作によっ
て4方向に倒すことができるように構成されている。倒
されたカットレバー33は、運転者が手を離すと、自動
的に元の位置に戻る。運転者は、カットレバー33を用
いて、下記の4種類の操作を行う; 「カット操作」:時計まわり方向にカットレバー33を
倒す; 「カットオフ操作」:反時計まわり方向にカットレバー
33を倒す 「キャンセル操作」:カットレバー33を手前側(ステ
アリング30の側)に倒す; 「2段カット操作」:カットレバー33を向こう側に倒
す; 上記の4種の操作は、それぞれ、T−ECU3によって
検出される。
【0071】なお、カットレバー33の位置や長さの設
定は、運転者がステアリング30を握ったまま指先でカ
ットレバー33を操作できるように設定されている。そ
のほか、前述のメインスイッチ35は、カットレバー3
3の先端に設けてもよい。
【0072】次に、T−ECU3について説明する。T
−ECU3は電子制御装置であり、油圧制御装置1のソ
レノイド23の駆動を制御している。T−ECU3は、
シフトレバー装置5におけるシフトレバー31のポジシ
ョンを検出する。また、カット機構7における、各種の
操作を検出し、また、メインスイッチ35の操作を検出
する。また、T−ECU3には、C/Cスイッチ9か
ら、クルーズコントロール装置の操作に関する情報が入
力される。また、T−ECU3には、車速やスロットル
開度、エンジン作動状態(例えばエンジン負荷)などの
情報が入力される。T−ECU3は、検出した情報や入
力情報に基づいて、シフトレンジを設定する。そして、
設定したシフトレンジの範囲内で、入力情報に基づいて
変速段を決定する。さらに、決定した変速段が実現され
るように、油圧制御装置1のソレノイド23を駆動させ
る。また、シフトレンジに関する情報を、シフトレバー
位置インジケータ11やESRインジケータ13に出力
して表示させる。
【0073】次に、本実施形態の自動変速機制御装置の
動作について説明する。
【0074】「シフトレンジの機械的制御」 運転者がシフトレバー装置5を操作すると、この操作
が、ケーブル27を介して、油圧制御装置1のマニュア
ル弁25へ機械的に伝達される。そして、マニュアル弁
25が、シフトレバー31のポジションに応じて移動す
る。マニュアル弁25の位置に対応してシフトレンジが
設定される。一方、T−ECU3は、シフトレバー31
のポジションに基づいて、設定されたシフトレンジを検
出する。そして、このシフトレンジ内でシフトチェンジ
が行われるように、油圧制御装置1のソレノイド23へ
制御信号を出力する。
【0075】機械的制御により設定されたシフトレンジ
は、基準のシフトレンジとなる。この基準のシフトレン
ジの設定状態は、後述する電気的制御により実際の制御
のシフトレンジが変更された場合でも、そのまま保持さ
れる。従って、電気的な制御手段たるカット機構7がフ
ェイルした時には、実際のシフトレンジが、この基準の
シフトレンジに戻る。
【0076】また、T−ECU3は、設定されたシフト
レンジをインパネに設けられたシフトレバー位置インジ
ケータ11に表示する。図6は、シフトレバー位置イン
ジケータ11を示しており、P、R、N、D、3、Lの
文字が表示され、設定中のシフトレンジ(図6ではDレ
ンジ)の部分に下線が表示されている。
【0077】本実施形態では、機械的制御によりDレン
ジ、3レンジ、Lレンジのみが設定される。一方で、下
記に説明するように、電気的制御により多数のシフトレ
ンジが設定される。運転者は、通常、カット機構7によ
り、各種の前進レンジを設定する。そして、カット機構
7がフェイルしたときに、シフトレバー31を操作して
3レンジやLレンジを設定する。このような構成によ
り、シフトレバー31のポジション数を減らし、シフト
レバー装置5を小型化している。なお、従来、5速式自
動変速機用のシフトレバー装置5は大型であり、ステア
リング30のコラムやインパネに設けることが困難であ
った。本実施形態では、運転者が操作しやすい自由な位
置にシフトレバー装置5を設けることが可能となってい
る。
【0078】「シフトレンジの電気的制御(ESRモー
ド)」 (1)モード設定 上記の機械的制御が行われている状態でメインスイッチ
35が押されると、T−ECU3がESRモードを設定
する。電気的制御は、ESRモードが設定された状態に
おいて行われる。ただし、ESRモードは、シフトレバ
ー31がDレンジのポジションにあるときのみ設定され
る。シフトレバー31が他のポジションにあるときにメ
インスイッチ35が押されても、T−ECU3はこの操
作を受け付けない。
【0079】T−ECU3は、インパネに設けられたE
SRインジケータ13に、ESRモードが設定されてい
ることを表示する。図7は、ESRインジケータ13の
表示を示している。図7の上段は、ESRモード設定前
の状態であって、何も表示されていない。図7の中段
は、ESRモードが設定された状態であり、「メイン」
と表示されている。
【0080】(2)初回設定ESRレンジ メインスイッチ35が押されるとESRモードが設定さ
れるが、シフトレンジは、Dレンジに設定されたままで
ある。この状態において「カット操作(カットレバー3
3を時計まわり方向に倒す操作)」が行われると、T−
ECU3がESRレンジを設定する。特に、ESRモー
ドが設定されてから、最初のカット操作に対応して設定
されるESRレンジを「初回設定ESRレンジ」とい
う。
【0081】ここで、「ESRレンジ」とは、カットレ
バー33の操作によって設定されるシフトレンジをい
う。例えば、T−ECU3が、ESRレンジとして3レ
ンジを設定したとする。この場合、マニュアル弁25は
Dレンジの位置にあり、油圧回路21の設定上、1速か
ら5速までのシフトチェンジが可能である。しかし、T
−ECU3は、ソレノイド23に対して、1速から3速
までのシフトチェンジのみを指示する。このように、実
際のシフトレンジは、シフトレバー31のポジションに
対応したレンジ(Dレンジ)から、ESRレンジへ変更
される。
【0082】また、ESRレンジは、上記のように、T
−ECU3によって設定される実際のシフトレンジであ
る。従って、いわゆるスポーツモード(変速段がホール
ドされる)とは異なる。
【0083】図8は、「初回設定ESRレンジ」の設定
を示している。「初回設定ESRレンジ」は、カット操
作が行われたときの現変速段に基づいて設定され、この
現変速段より一つ下の変速段を最高変速段とするシフト
レンジが「初回設定ESRレンジ」となる。具体的に
は、カット操作時に5速が設定されていれば、ESRレ
ンジは4レンジとなり、4速であれば3レンジ、3速で
あれば2レンジ、2速であればLレンジとなる。カット
操作時に1速が設定されていれば、最低のシフトレンジ
であるLレンジが設定される。
【0084】なお、車速が高いために、図8の設定に従
うとエンジン回転数が高くなりすぎる場合がある。そこ
で、変速段毎に所定の上限車速が設定されている。T−
ECU3は、この上限車速よりも実車速が高いときに
は、図8に代えて、図9に従って「初回設定ESRレン
ジ」を設定する。この場合、ダウンレンジが行われるも
のの、ダウンシフトは行われない。しかし、エンジンブ
レーキが効く状態への切り換えが行われる。前述のよう
に、各シフトレンジは、最高変速段でエンジンブレーキ
が効くように設定されているからである。
【0085】また、ESRモードの設定後、最初に「2
段カット操作(カットレバー33を向こう側に倒す操
作)」が行われた場合、T−ECU3は、図8または図
9の該当レンジよりもさらに一つ下のレンジを「初回設
定ESRレンジ」として設定する。
【0086】(3)初回設定ESRレンジを設定した後
の制御 初回設定ESRレンジを設定した後は、図10に示す制
御が行われる。「カット操作」に応じて、ESRレンジ
が一つずつ下側に変更される。ただし、すでにLレンジ
が設定されているときは、ESRレンジは変更されな
い。また、ESRレンジの変更にともなってダウンシフ
トが発生するときであって(例えば、3レンジ、かつ、
3速走行中であるとき)、ダウンシフトによりエンジン
回転数が高くなりすぎる場合がある。この場合も、ES
Rレンジは変更されない。なお、このような状況を想定
して、予め、変速段ごとに上限車速が設定されている。
【0087】一方、T−ECU3は、「カットオフ操
作」に応じて、ESRレンジを一つずつ上側に変更す
る。ただし、Dレンジが設定されているときは、カット
オフ操作が行われてもESRレンジは変更されない。
【0088】また、「2段カット操作」が行われると、
T−ECU3は、ESRレンジを2つ下側に変更する。
ただし、操作時にLレンジであるときには、ESRレン
ジは変更されない。また、2レンジであった場合には、
Lレンジに変更される。また、上記の上限車速と実車速
を比較し、実車速が高い場合には、ESRレンジは変更
されず、あるいは、一つだけ下側に変更される。
【0089】また、「キャンセル操作(カットレバー3
3を手前側に倒す操作)」が行われると、シフトレンジ
は、シフトレバー31のポジション(Dレンジ)に戻
る。
【0090】また、ESRモードの設定中にシフトレバ
ー31が操作されたとき、T−ECU3は、ESRモー
ドを解除する。そして、移動後のシフトレバー31のポ
ジションに対応したシフトレンジとなる。
【0091】また、ESRモードの設定中において、D
レンジまたは4レンジが設定されている時は、C/Cス
イッチ9からの入力信号に応じたクルーズコントロール
制御が許可される。しかし、カット操作によりESRレ
ンジが3レンジ以下に変更されると、クルーズコントロ
ール制御が禁止される。また、ESRモードの設定中に
おいて、3レンジからLレンジが設定されている時に
は、T−ECU3は、C/Cスイッチ9からの入力信号
を受け付けない。
【0092】(4)ESRレンジの表示 図7の下段に示すように、T−ECU3は、設定中のE
SRレンジをESRインジケータ13に表示する。図7
は、ESRレンジとして、3レンジが表示された状態で
ある。運転者は、シフトレバー位置インジケータ11に
よりシフトレバー31のポジションを確認し、ESRイ
ンジケータ13によりT−ECU3が設定している実際
のシフトレンジを確認することができる。そして、シフ
トレバー31のポジションと実際のシフトレンジの相違
を考慮して運転する。
【0093】「全体の制御」 以上、機械的制御と電気的制御に分けて、本制御装置に
よる制御について説明した。次に、図11のフローチャ
ートに従って、T−ECU3が行う全体処理について説
明する。
【0094】スタート(S10)の後、入力信号を処理
し(S20)、シフトレバー31のポジションを検出す
る(S30)。シフトレバー31がDレンジ以外のポジ
ションにあるときは、そのポジションをシフトレバー位
置インジケータ11に出力し(S210)、ESRイン
ジケータ13を消灯し(不灯状態にする)(S22
0)、リターンする(S230)。シフトレバー31が
Dレンジのポジションにあるときは、ESRモードが設
定されているか否かを判断し(S40)、設定されてい
なければ上記と同様のインジケータ表示を行う(S21
0、S220)。
【0095】一方、ESRモード設定中の場合、運転者
によるシフトレバー31の操作を調べる(S50)。シ
フトレバー31が移動したときは、ESRモードをキャ
ンセルし、移動後のシフトレバー31のポジションに対
応してシフトレンジを設定する(S60)。例えば、E
SRレンジとして2レンジが設定されており、シフトレ
バー31がDレンジから3レンジのポジションへ移動し
たとき、ステップS60により3レンジが設定される。
そして、移動後のポジションをシフトレバー位置インジ
ケータ11に出力し(S70)、ESRインジケータ1
3を消灯し(不灯状態にする)(S80)、リターンす
る(S230)。
【0096】ステップS50で、シフトレバー31が操
作されないとき、カットレバー33に対する「キャンセ
ル操作」を調べ(S90)、「キャンセル操作」が行わ
れたときは、Dレンジを設定する(S100)。そし
て、シフトレバー位置インジケータ11にDレンジを表
示し(S110)、ESRインジケータ13に「メイ
ン」のみを表示する(S120、図7中段)。
【0097】ステップS90で、「キャンセル操作」が
行われないとき、さらにカットレバー33の「カット操
作」を調べ(S130)、「カット操作」が行われたと
きは、ダウンレンジを行う(S140)。このステップ
S140は、図12に示すフローチャートに従って行わ
れる。図12において、まず、ESRレンジの設定を調
べる(S141)。まだESRレンジが設定されてない
ときは、実車速を所定の上限車速と比較し(S14
2)、実車速が上限車速以下の時は、前述の図8に従っ
て初回設定ESRレンジを設定する(S143)。実車
速が上限車速より高い時は、前述の図9に従って初回設
定ESRレンジを設定する(S144)。一方、ステッ
プS142で、すでにESRレンジが設定されている時
は、前述の図10に従ってダウンレンジを行う(S14
5)。これらの制御の後、シフトレバー位置インジケー
タ11にDレンジを表示し(S190)、ESRインジ
ケータ13にESRレンジを表示する(S200、図7
下段)。
【0098】一方、ステップS130で「カット操作」
が行われないとき、さらにカットレバー33の「カット
オフ操作」を調べ(S150)、「カットオフ操作」が
行われたときは、前述の図10に従ってアップレンジを
行う(S160)。この場合も、上記と同様のインジケ
ータ表示を行う(S190、S200)。
【0099】また、ステップS150で「カットオフ操
作」が行われないとき、さらにカットレバー33の「2
段カット操作」を調べ(S170)、「2段カット操
作」が行われたときは、所定のダウンレンジを行う(S
180)。このステップS180では、前述のステップ
S140と同様に、初回設定ESRレンジの設定や、E
SRレンジの変更などを行う。この場合も、上記と同様
のインジケータ表示を行う(S190、S200)。
【0100】また、ステップS170で「2段カット操
作」が行われないとき、各インジケータの表示を変更せ
ず、すなわち、シフトレバー位置インジケータ11にD
レンジを表示し(S190)、ESRレンジを継続表示
して(S200)、リターンする(S230)。
【0101】以上、本実施形態の自動変速機制御装置に
ついて説明した。本実施形態では、図8に従って、初回
設定ESRレンジ(Dレンジ設定状態においてカット操
作が行われた時に設定されるESRレンジ)が設定され
る。図8に示すように、初回設定ESRレンジとして
は、カットオフ操作時の現変速段を基準にして、この現
変速段よりも一つ下の変速段を最高変速段とするレンジ
が設定される。このESRレンジ設定とともに、ダウン
シフトが発生する。ダウンシフト後の変速段では、エン
ジンブレーキが効く状態となる。各前進レンジの最高変
速段では、エンジンブレーキを効かせるような制御が行
われるからである。2段カットオフの時は2つ下の変速
段を最高速段とするレンジの設定がされる。
【0102】このように、本実施形態では、運転者がカ
ット操作を一回行ったときに、確実にダウンシフトが行
われる。そして、エンジンブレーキを利用しながら車両
を走行させることができる。
【0103】また、車速が高い場合には、図8でなく図
9に従って初回設定ESRレンジが設定される。この場
合には、ダウンレンジが行われるものの、ダウンシフト
は行われない。しかし、上記のように、各前進レンジの
最高変速段では、エンジンブレーキを効かせるような制
御が行われる。従って、ダウンレンジとともに、エンジ
ンブレーキが効く状態となる。運転者は、高車速の場合
でも、カット操作により、エンジンブレーキを利用しな
がら車両を走行させることができる。
【0104】「実施形態1の変形例」 (1)図13は、この変形例における、シフトレバー装
置5のシフトレーンを示している。この変形例では、通
常は、シフトレバー31をLレンジのポジションに移動
させることができない。運転者はFailスイッチ37
を押したときに、シフトレバー31をLレンジのポジシ
ョンへ移動することができる。なお、Failスイッチ
37は、Pレンジのロック解除スイッチと共用にしても
よい。
【0105】この構成では、通常、カット機構7の操作
により、エンジンブレーキレンジ(4レンジからLレン
ジ)を設定する。カット機構7がフェイルした時のみ、
シフトレバー31を操作してエンジンブレーキレンジを
設定する。
【0106】(2)図14は、この変形例における、ス
テアリングの付近を示す説明図である。この変形例で
は、カット機構7が、ステアリング30の中央付近に設
けられたカットスイッチ38およびカットオフスイッチ
39を備えている。カットスイッチ38を押し下げる操
作が「カット操作」であり、カットオフスイッチ39を
押し下げる操作が「カットオフ操作」である。
【0107】(3)上記では、ESRモードの設定後、
最初のカット操作に対応して、図8や図9の「初回設定
ESRレンジ」を設定している。これに対し、ESRモ
ード制御中でDレンジが設定されているときは、いつで
も、カット操作に対応して図8や図9のレンジ変更を行
うように構成してもよい。具体的には、カット操作やカ
ットオフ操作を経てDレンジが設定されているときで
も、次回のカット操作により図8や図9のレンジ変更を
行う。
【0108】「実施形態2」 実施形態1では、シフトレバー装置5を用いた機械的制
御によりDレンジが設定されているときのみ、ESRモ
ードが設定される。実施形態2では、Dレンジ以外が設
定されているときでも、ESRモードが設定される。な
お、以下の説明において、実施形態1と共通する構成に
関する説明を省略する。
【0109】油圧制御装置1の構成は、実施形態1と同
様である。ただし、マニュアル弁25は、軸方向の移動
により、Pレンジ、Rレンジ、Nレンジ、Dレンジ、4
レンジ、3レンジ、2レンジ、Lレンジに対応する位置
をとる。すなわち、4レンジおよび2レンジの位置が追
加されている。マニュアル弁25が4レンジの位置にあ
る時には、制御弁の位置の組み合わせにより、1速から
5速の設定が可能である。そして、ソレノイド23がす
べて駆動不能となった場合には、5速が設定される。同
様に、マニュアル弁25がレンジの位置にある時に
は、制御弁の位置の組み合わせにより、1速から3速の
設定が可能である。そして、ソレノイド23がすべて駆
動不能となった場合には、3速であってエンジンブレー
キが効く状態が設定される。
【0110】図15は、実施形態2におけるシフトレバ
ー装置5のシフトレーンを示している。油圧制御装置1
の構成に対応し、シフトレーンには、Pレンジ、Rレン
ジ、Nレンジ、Dレンジ、4レンジ、3レンジ、2レン
ジ、Lレンジに対応するポジションが設定されている。
【0111】図16は、ステアリング付近を示してい
る。本実施形態では、シフトレバー装置5はフロアーに
設けられているので、図16には示されていない。ま
た、カット機構7は、ステアリング30の表側(運転者
側)に設けられた−スイッチ41と、裏側に設けられた
+スイッチ43を備えている。−スイッチ41を押す操
作が「カット操作」であり、+スイッチ43を押す操作
が「カットオフ操作」である。なお、このような構成で
なく、実施形態1に示したカット機構7を設けてもよい
ことはもちろんである。
【0112】次に、本実施形態の自動変速機制御装置の
動作について説明する。
【0113】「シフトレンジの機械的制御」 実施形態2における機械的制御は、実施形態1と同様で
ある。ただし、実施形態1と異なり、機械的制御によっ
て4レンジおよび2レンジを設定することができる。す
なわち、運転者がシフトレバー31を4レンジまたは2
レンジのポジションに移動すると、この移動が機械的伝
達手段によって油圧制御装置1のマニュアル弁25に伝
えられ、それぞれのシフトレンジが設定される。
【0114】図17は、実施形態2におけるシフトレバ
ー位置インジケータ11を示している。図示のように、
4レンジ、2レンジの表示が追加されている。なお、図
17には、4レンジの設定状態が表示されている。
【0115】「シフトレンジの電気的制御(ESRモー
ド)」 (1)モード設定 メインスイッチ35の押し下げに応じて、T−ECU3
がESRモードを設定する。実施形態2では、シフトレ
バー31がどの前進レンジのポジションにあるときでも
ESRモードが設定される。
【0116】(2)カット機構7操作に対応する制御 図18は、カット機構7の操作に対応するシフトレンジ
設定変更を示している。同図に基づき、各操作に対応す
る制御を説明する。
【0117】(a)「カット操作(−スイッチ41の押
し下げ)」 カット操作に対応して、一つ下側のESRレンジへの変
更が行われる。例えば、シフトレバー31が4レンジの
ポジションにあり、ESRモードが設定されているとき
は、カット操作に応じて、順次、3レンジ、2レンジと
変更される。
【0118】なお、実施形態1と同様、ダウンレンジに
ともなってダウンシフトが発生し、このダウンシフトに
よってエンジン回転数が高くなりすぎるような状況で
は、ダウンレンジが禁止される。
【0119】(b)「カットオフ操作(+スイッチ43
の押し下げ)」 カットオフに対応して、一つ上側のESRレンジへの変
更が行われる。例えば、シフトレバー31がDレンジの
ポジションにあり、ESRレンジとして2レンジが設定
されているときは、カット操作に応じて、順次、3レン
ジ、4レンジと変更される。
【0120】ここで、カットオフ操作に対応するESR
レンジの変更は、下記のように制限されている。すなわ
ち、カットオフ操作によって設定できる最高のESRレ
ンジは、その時のシフトレバー31のポジションのシフ
トレンジである。例えば、シフトレバー31が3レンジ
のポジションにある時、図18に示すように、カットオ
フ操作により設定されるESRレンジは、Lレンジから
3レンジまでに制限されている。そして、3レンジ設定
中にカットオフ操作が行われても、T−ECU3はこの
操作を受け付けない。
【0121】(c)「2段カット操作」 2段カット操作に対応して、2つ下側のESRレンジへ
の変更が行われる。実施形態1の場合と同様の制御が行
われる。
【0122】(d)「キャンセル操作」 キャンセル操作に対応して、ESRレンジの設定がキャ
ンセルされる。そして、実際のシフトレンジは、図18
に示すように、シフトレバー31によって設定されてい
るシフトレンジに戻る。
【0123】なお、カット機構7によりESRレンジが
設定されている状態において、シフトレバー31が操作
された場合には、以下の制御が行われる。ESRレンジ
の設定がキャンセルされ、前述の機械的制御により、シ
フトレバー31の移動後のポジションに対応するシフト
レンジが設定される。この時、ESRモードの設定は解
除されない。従って運転者は、再度メインスイッチ35
を押さずとも、カット操作により、再び、ESRレンジ
を設定できる。さらにまた、シフトレバー31が操作さ
れたとき、ESRインジケータ13は、「メイン」の表
示を残して消灯される(図7中段)。
【0124】上記のほか、電気的制御の詳細や各インジ
ケータの表示は、実施形態1と同様であり、説明を省略
する。
【0125】「全体の制御」 次に、図19のフローチャートに従って、T−ECU3
が行う全体処理について説明する。
【0126】スタート(S310)の後、入力信号を処
理し(S320)、シフトレバー31のポジションを検
出する(S330)。シフトレバー31が前進レンジ以
外のポジション(P、R、N)にあるときは、そのポジ
ションをシフトレバー位置インジケータ11に出力し
(S510)、ESRインジケータ13を消灯し(不灯
状態にする)(S520)、リターンする(S53
0)。シフトレバー31が前進レンジのポジション(D
〜L)にあるときは、ESRモードが設定されているか
否かを判断し(S330)、設定されていなければ上記
と同様のインジケータ表示を行う(S510、S52
0)。
【0127】一方、ESRモードが設定中の場合、運転
者によるシフトレバー31の操作を調べる(S35
0)。シフトレバー31が移動したときは、設定中のE
SRレンジをキャンセルし、移動後のシフトレバー31
のポジションに対応するシフトレンジを設定する(S3
60)。そして、移動後のポジションをシフトレバー位
置インジケータ11に出力し(S370)、ESRイン
ジケータ13を消灯し(図7中段の状態にする)(S3
80)、リターンする(S530)。
【0128】ステップS350で、シフトレバー31が
操作されないとき、カットレバー33に対する「キャン
セル操作」を調べ(S390)、「キャンセル操作」が
行われたときは、シフトレバー31のポジションのシフ
トレンジを設定する(S400)。このレンジがシフト
レバー位置インジケータ11に表示され(S410)、
ESRインジケータ13に「メイン」のみが表示される
(S420、図7中段)。
【0129】ステップS390で、「キャンセル操作」
が行われないとき、さらにカットレバー33の「カット
操作」を調べ(S430)、「カット操作」が行われた
ときは、図18の設定に従ってダウンレンジを行う(S
440)。そして、シフトレバー31のポジションを表
示し(S490)、ダウンレンジ後のESRレンジをE
SRインジケータ13に表示する(S500、図7下
段)。
【0130】一方、ステップS430で「カット操作」
が行われないとき、さらにカットレバー33の「カット
オフ操作」を調べ(S450)、「カットオフ操作」が
行われたときは、図18に従ってアップレンジを行う
(S460)。特にこの時、前述のように、ESRレン
ジが、最高でもシフトレバー31のポジションに対応す
るレンジとなるように制限される。この場合も、上記と
同様のインジケータ表示を行う(S490、S50
0)。
【0131】また、ステップS450で「カットオフ操
作」が行われないとき、さらにカットレバー33の「2
段カット操作」を調べ(S470)、「2段カット操
作」が行われたときは、所定のダウンレンジを行う(S
480)。この場合も、上記と同様のインジケータ表示
を行う(S490、S500)。
【0132】また、ステップS470で「2段カット操
作」が行われないとき、各インジケータの表示を継続し
(S490、S500)、リターンする(S530)。
【0133】以上、実施形態2の自動変速機制御装置に
ついて説明した。ここで、従来技術では、例えばESR
レンジがキャンセルされた時に運転者に違和感を与える
ことがあった。具体例として、シフトレバー31が2レ
ンジのポジションにあるときにESRレンジとして5レ
ンジが設定されている場合があげられる。この時、ES
Rレンジがキャンセルされると、2レンジへのダウンシ
フトが強制的に行われ、運転者に違和感を与えることが
あった。一方、本実施形態では、ESRモードにて設定
可能なESRレンジが、最高でも、シフトレバー31の
ポジションに対応するシフトレンジに制限されている。
従って、ESRレンジをキャンセルしても、急にダウシ
フトが行われるといったことがなく、運転者は違和感を
感じないですむ。
【0134】また、上記の従来装置では、Dレンジ以外
の前進レンジでもシフトレンジの電気的制御を行うよう
に構成することが、下記の理由により困難であった。例
えば、シフトレバー31が2レンジのポジションにある
時に、カット機構7を操作してDレンジからLレンジま
で設定可能であったとする。この場合、油圧制御装置1
のソレノイド23がフェイルした時に、2レンジのエン
ジンブレーキを保証することができず、エンジンブレー
キを利用できなくなってしまう可能性がある。
【0135】一方、本実施形態では、ESRモードにて
設定可能なESRレンジが、最高でも、シフトレバー3
1のポジションに対応するシフトレンジに制限されてい
る。また、油圧制御装置1の油圧回路21は、ソレノイ
ド23がフェイルした時に、マニュアル弁25の位置に
応じて、1速〜5速にてエンジンブレーキが効く状態の
設定を保証している。かつ、マニュアル弁25は、機械
的伝達手段によりシフトレバー31と接続されている。
以上より、運転者は、ソレノイド23がフェイルした時
でも、シフトレバー21を操作して、エンジンブレーキ
を利用しながら車両を走行させることができる。
【0136】なお、本実施形態を、実施形態1のように
機械的制御によって前進レンジとしてD、3、Lレンジ
のみを設定可能な制御装置に適用してもよいことはもち
ろんである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態1の制御装置の構成を示す
ブロック図である。
【図2】 図1の装置に含まれる油圧制御装置の構成を
示す説明図である。
【図3】 図1の制御装置を搭載した車両のステアリン
グの付近を示す説明図である。
【図4】 シフトレーンに設けられた、各シフトレンジ
に対応するポジションを示す説明図である。
【図5】 カット機構に備えられたカットレバーの機能
を示す説明図である。
【図6】 シフトレバー位置インジケータの表示を示す
説明図である。
【図7】 ESRインジケータの表示を示す説明図であ
る。
【図8】 初回設定ESRレンジの設定内容を示す説明
図である。
【図9】 高車速時の初回設定ESRレンジの設定内容
を示す説明図である。
【図10】 カット操作およびカットオフ操作に対応し
たESRレンジの設定変更の内容を示す説明図である。
【図11】 T−ECUが行う全体処理を示すフローチ
ャートである。
【図12】 運転者のカット操作に対応したダウンレン
ジ制御を示すフローチャートである。
【図13】 実施形態1の変形例における、シフトレバ
ー装置の構成を示す説明図である。
【図14】 実施形態1の変形例における、ステアリン
グの付近を示す説明図である。
【図15】 実施形態2の制御装置におけるシフトレバ
ー装置のシフトレーンを示す説明図である。
【図16】 実施形態2の制御装置を搭載した車両のス
テアリング付近を示す説明図である。
【図17】 実施形態2の制御装置におけるシフトレバ
ー位置インジケータを示す説明図である。
【図18】 実施形態2の制御装置において、カット機
構の操作に対応するシフトレンジ設定の変更を示す説明
図である。
【図19】 実施形態2の制御装置において、T−EC
Uが行う全体処理を示すフローチャートである。
【図20】 実施形態の制御対象である自動変速機のギ
ヤトレーンの一例を示すスケルトン図である。
【図21】 図20の自動変速機において、各変速段を
設定するための摩擦係合装置の係合、解放状態を示す説
明図である。
【図22】 図20の自動変速機を制御するための油圧
制御装置における油圧回路の一例であって、油圧回路の
一部を示す部分油圧回路図である。
【符号の説明】
1 油圧制御装置、3 T−ECU、5 シフトレバー
装置、7 カット機構、11 シフトレバー位置インジ
ケータ、13 ESRインジケータ、21 油圧回路、
23 ソレノイド、25 マニュアル弁、27 ケーブ
ル、31 シフトレバー、33 カットレバー、35
メインスイッチ。
フロントページの続き (72)発明者 小寺 治行 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 清水 悦夫 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (56)参考文献 特開 平8−42687(JP,A) 特開 平1−269747(JP,A) 特開 平10−100723(JP,A) 特開 平4−78368(JP,A) 特開 平5−196118(JP,A) 特開 平6−320975(JP,A) 実開 平1−141950(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16H 61/00 - 61/12

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 設定されたシフトレンジに応じて最高変
    速段が決定され、走行状態に応じて変速段を変更する自
    動変速機制御装置において、 ンジンブレーキを使用するエンジンブレーキレンジ
    は、操作回数に応じて1レンジずつ増減切り換えを電気
    的に行う電気的スイッチによって設定され、前進走行を
    行うための前進レンジからエンジンブレーキレンジへの
    切り換え時に、前記エンジンブレーキレンジの初回設定
    レンジは、前記前進レンジにおける実際の変速段に基づ
    き設定することを特徴とする自動変速機制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の装置において、 前記初回設定レンジは、前進レンジにおける実際の変速
    段より1段下の変速段を最高変速段に設定されることを
    特徴とする自動変速機制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載装置において、 前記初回設定レンジは、車速に応じて設定形態を変更す
    ることを特徴とする自動変速機制御装置。
  4. 【請求項4】 請求項1から請求項3のいずれか1つに
    記載の装置において、 電気的にエンジンブレーキレンジが切り換えられる場
    合、機械的にシフトレンジを設定する設定手段は、設定
    状態を維持することを特徴とする自動変速機制御装置。
  5. 【請求項5】 設定されたシフトレンジに応じて最高変
    速段が決定され、走行状態に応じて変速段を変更する自
    動変速機制御装置において、ンジンブレーキを使用するエンジンブレーキレンジ
    は、電気的設定手段によって設定され、前進走行を行う
    ための前進レンジからエンジンブレーキレンジへの切り
    換え時に、前記エンジンブレーキレンジの初回設定レン
    ジは、前記前進レンジにおける実際の変速段と車速に応
    じて設定し、電気的にエンジンブレーキレンジが切り換
    えられる場合、機械的にシフトレンジを設定する設定手
    段は、設定状態を維持することを特徴とする自動変速機
    制御装置。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の装置において、記初回設定レンジは、前進レンジにおける実際の変速
    段より1段下の変速段を最高変速段に設定されることを
    特徴とする自動変速機制御装置。
  7. 【請求項7】 請求項5に記載の装置において、記電気的設定手段は、操作回数に応じて1レンジずつ
    増減切り換えを電気的に行う電気的スイッチであること
    を特徴とする自動変速機制御装置。
  8. 【請求項8】 設定されたシフトレンジに応じて最高変
    速段が決定され、走行状態に応じて変速段を変更する自
    動変速機制御装置において、 シフトレンジ設定において基準となる基準シフトレンジ
    を設定する第1操作手段と、 基準シフトレンジの設定状態を保持したまま、実際に設
    定される実シフトレンジを変更する第2操作手段と、 を有し、 基準シフトレンジが実シフトレンジとして設定された状
    態から第2操作手段が操作された時に、その時に設定さ
    れている実際の変速段を基準として、第2操作手段から
    の指示に従い所定段下の変速段が最高変速段となるシフ
    トレンジに、実シフトレンジを変更することを特徴とす
    る自動変速機制御装置。
  9. 【請求項9】 設定されたシフトレンジに応じて最高変
    速段が決定され、走行状態に応じて変速段を変更する自
    動変速機制御装置において、 シフトレンジ設定において基準となる基準シフトレンジ
    を設定する第1操作手段と、 基準シフトレンジの設定状態を保持したまま、実際に設
    定される実シフトレンジを変更する第2操作手段と、 を有し、 第2操作手段により設定できる最高の実シフトレンジ
    を、基準シフトレンジに制限することを特徴とする自動
    変速機制御装置。
  10. 【請求項10】 請求項に記載の装置において、 前記基準シフトレンジにおける最高変速段は、機械的な
    設定手段により設定され、 走行状態に応じた変速段の変更、および第2操作手段に
    よる実シフトレンジの設定は、電気的な手段を含む設定
    手段によって設定されることを特徴とする自動変速機制
    御装置。
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