JP3433762B2 - 電子楽器の音源装置 - Google Patents

電子楽器の音源装置

Info

Publication number
JP3433762B2
JP3433762B2 JP28726193A JP28726193A JP3433762B2 JP 3433762 B2 JP3433762 B2 JP 3433762B2 JP 28726193 A JP28726193 A JP 28726193A JP 28726193 A JP28726193 A JP 28726193A JP 3433762 B2 JP3433762 B2 JP 3433762B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
delay time
pitch
apf
coefficient
delay
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP28726193A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH07121183A (ja
Inventor
徹 北山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yamaha Corp
Original Assignee
Yamaha Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yamaha Corp filed Critical Yamaha Corp
Priority to JP28726193A priority Critical patent/JP3433762B2/ja
Publication of JPH07121183A publication Critical patent/JPH07121183A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3433762B2 publication Critical patent/JP3433762B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Electrophonic Musical Instruments (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、閉ループを有する音源
装置の改良に関するものであり、電子楽器、ゲーム機
器、コンピュータ用音源装置、マルチメディア機器等に
適用して好適なものである。 【0002】 【従来の技術】電子楽器等の音源回路としては、波形メ
モリを読み出す音源回路や、FM音源回路が一般に知ら
れているが、その他に閉ループを有する音源回路が従来
から提案されている。この閉ループを有する音源回路
は、かつてそれを実現するデバイスが少なく実用化する
ことが困難であったが、いわゆるDSP(Digital Sign
al Processor)を用いることにより、容易に実現するこ
とができるようになった。この閉ループ音源回路の原理
を図6を用いて説明する。図6に示すような閉ループ音
源回路は、加算器101とディレイ回路102とオール
パスフィルタ103からなる閉ループにより構成されて
いる。そして、入力されたインパルス状あるいは1周期
波形の励振波形は、加算器101に供給され、この加算
器101よりの出力はディレイ回路(DELAY)10
2により所定時間遅延されて、オールパスフィルタ(A
PF)103に出力される。そして、このAPF103
の出力を前記加算器101に戻すことにより閉ループ上
を励振波形が巡回し、加算器101の出力より楽音出力
が得られている。 【0003】この閉ループの周波数特性は、DELAY
102を含む閉ループ全体の遅延時間に対応した周波数
と、その整数倍関係にある周波数の位置に共振峰を有す
るくし型特性となるため、DELAY102に設定され
る遅延時間に対応する周波数成分と、その整数倍関係に
ある周波数成分が巡回するようになる。このため、入力
された励振波形の周波数にかかわらず前記DELAY1
02の遅延時間に対応して決まる周波数成分が、結局の
ところ閉ループから出力されるようになる。従って、D
ELAY102に発生させようとする音名のピッチに対
応する遅延時間を設定することにより、任意の音名のピ
ッチを出力できる音源回路とすることができる。なお、
APF103は周波数特性はフラットであるが、その遅
延特性(位相特性)は周波数に依存する特性となってお
り、この遅延特性は一般に低い周波数ほど遅延時間が長
く、高い周波数ほど遅延時間は短くなる。このように、
周波数に対し非線形に遅延時間が変化すると、倍音間に
おいてピッチが微妙にずれた音が、前記音源回路から出
力されるようになり、自然楽器の音をより良くシミュレ
ーションすることができるようになる。特に、このシミ
ュレーションは弦楽器や管楽器のシミュレーションを行
うには好適なものとなる。 【0004】前記説明においては、閉ループの遅延時間
はDELAY102の遅延時間だけで決まるように説明
したが、実際にはAPF103も遅延時間を有している
ため、その遅延時間もピッチを決定する要素となってい
る。その他、音色形成のためにループ内にフィルタを設
ける時は、その遅延特性をもピッチ決定の際に考慮しな
ければならない。このことを図7を用いて説明する。こ
の図において、Dd はDELAY102の遅延時間であ
り、Dapf はAPF103の遅延時間である。すなわ
ち、閉ループの総遅延時間は(Dd+D apf)となり、こ
の総遅延時間により、加算器101から出力されるピッ
チが決定される。この場合、APF103の周波数特性
を図示するaの特性とすると、基音の周波数における遅
延時間はDb1となり、2倍音に対してはDb2となり、3
倍音に対してはDb3と異なった遅延時間となることがわ
かる。そして、この遅延時間により各々のピッチが決定
されるが、遅延時間は非線形に変化しているため、前記
説明のように倍音間のピッチがずれるようになるのであ
る。 【0005】次に、特開昭61−162094号として
公開された、前記した閉ループを用いた音源回路の従来
例を図8に示す。この図において、210は初期波形R
OMであり、初期波形が記憶されている読み出し専用メ
モリ(ROM)であり、このROM210から読み出さ
れた初期波形は切換回路230に印加されている。そし
て、閉ループは、切換回路230,ローパスフィルタ2
40,オールパスフィルタ250,オールパスフィルタ
260,混合器270およびランダムアクセスメモリ
(RAM)220から構成されている。このうち、ロー
パスフィルタ240は音色を作成するためのフィルタで
あり、遅延素子241,2個の乗算器242,244,
加算器243からなり、その周波数特性は、乗算器24
2,244に設定される乗算係数Sおよび(1−S)の
値により決定されている。 【0006】このローパスフィルタ240よりの出力は
オールパスフィルタ250へ入力され、このオールパス
フィルタ250は2個の加算器251,253,2個の
遅延素子254,255,1個の乗算器252から構成
されている。このオールパスフィルタ250の周波数特
性は平坦であるが、位相特性は周波数に依存している。
このオールパスフィルタ250の出力は、同じ構成のオ
ールパスフィルタ260に入力される。このオールパス
フィルタ260はピッチを調整するために設けられてお
り、この出力は2個の乗算器と1個の加算器からなる混
合器270を介してRAM220に格納される。このR
AM220は遅延手段として設けられており、RAM2
20に格納されてから読み出されるまでの時間が遅延時
間として設定されている。すなわち、出力するピッチに
応じてこの時間が設定されているのである。 【0007】この音源回路の動作を説明すると、まず、
初期波形が例えば1周期分ROM210から読み出さ
れ、切換回路230を介してローパスフィルタ240に
供給されて所望の演算が施され、さらにオールパスフィ
ルタ250およびオールパスフィルタ260によりフィ
ルタ演算が行われ、信号遅延用としてのRAM220に
記憶される。そして、RAM220に記憶され所定時間
遅延した信号を読み出し、同様にローパスフィルタ24
0,オールパスフィルタ250,260によりフィルタ
演算が施される。このようにして、次々と波形が変化す
る楽音が閉ループを巡回しながら形成される。発生され
た楽音は、切換回路230の出力から取り出され、D/
A変換器に印加される。 【0008】この場合、RAM220に書き込んでから
読み出すまでの時間をtx ,ローパスフィルタ240の
遅延時間をtLPF 、オールパスフィルタ250の遅延時
間をtAPF1,オールパスフィルタ260の遅延時間をt
APF2とすると、閉ループの持つ固有周波数f0 は、 f0 =1/(tx +tLPF +tAPF1+tAPF2) となり、この周波数f0 が出力される楽音のピッチとな
る。 【0009】なお、ローパスフィルタ240は自然楽器
の音が多くの場合高域から減衰を始めることに対応した
フィルタで、信号が閉ループを巡回することに従って、
高域成分が徐々に減衰するようになっている。また、こ
のローパスフィルタの遅延時間は周波数にあまり依存せ
ず、乗算係数Sおよび(1−S)に依存する。オールパ
スフィルタ250は乗算器252の乗算係数C1に応じ
て位相特性が変化し、特に−1に近い値を設定すると、
位相特性が大きくうねり周波数に応じて遅延特性が異な
るようになる。このため、非整数倍音が発生するように
なり、ピアノ等の音をシミュレーションすることができ
るようになる。また、オールパスフィルタ260は、ロ
ーパスフィルタ240,オールパスフィルタ250で発
生する遅延時間を補正し、正確なピッチを作る役割を果
たしている。これは、乗算器262の乗算係数C2の値
を適宜選択することにより実現される。 【0010】混合器270は閉ループ内のデータに他の
閉ループからのデータを混合し、楽音の変化をより複雑
としている。ところで、図8に示す音源回路において
は、前記説明したようにオールパスフィルタ250によ
って、倍音のピッチを微妙にずらす効果を与えている
が、その効果の関わり方はオールパスフィルタの位相特
性が周波数に依存しているため、音高によって異なるよ
うになり、音高の変化にともない聴感上自然な楽音に聞
こえなくなる。このため、オールパスフィルタ250の
乗算係数を音高によって変化させ、効果の関わりかたを
音高に応じて変えることにより聴感上自然な楽音とする
必要がある。 【0011】さらに、ローパスフィルタ240の乗算係
数S,(1−S)を変化させて音色を変化させると、ロ
ーパスフィルタ240における遅延時間が異なるように
なり、ピッチがずれてくる。このため、ピッチがずれな
いように閉ループの総遅延時間を補正する必要がある。
また、オールパスフィルタ250によっても音色は変化
することから、音色を変化させる時は、オールパスフィ
ルタ250の乗算係数C1も変化させている。すると、
前記のようにその遅延時間量も変化するようになるた
め、音色に応じて閉ループの総遅延時間を補正する必要
もある。 【0012】このような補正を自動的に行う制御装置の
一例を図9に示し、この図を参照しながら説明を行う。
図9において、ピッチを指示するPITCH 情報はピッチを
総遅延時間DTOTAL に変換するPITCH-DTOTAL変換部30
1に入力され、この変換部301より変換された総遅延
時間DTOTALは加算器302に入力される。また、音高に
応じた音色とするため、PITCH 情報は音色フィルタ係数
供給部304に入力され、TOUCH 情報および音色制御信
号(TC)と共に音色フィルタ係数(TF係数)を読み
出して出力している。また、読み出されたTF係数は、
TF係数−DTF変換部305に供給されて、そのTF係
数により決まる遅延時間DTFに変換されて、加算器30
2に入力され総遅延時間DTOTAL から遅延時間DTFが差
し引かれて、その出力は次の加算器303に入力され
る。 【0013】さらに、音高にオウジテ効果の関わりかた
を同じにするため、PITCH 情報はオールパスフィルタ係
数供給部306にも供給されており、TC信号と共にオ
ールパスフィルタ係数(APF係数)を読み出して出力
している。また、読み出されたAPF係数は、APF係
数−DAPF 変換部307に供給されて、そのAPF係数
により決まる遅延時間DAPF に変換されて、加算器30
2に入力され総遅延時間DTOTAL から遅延時間DAPF
差し引かれて遅延回路に設定する遅延データDLYが出
力される。このように、遅延データDLYはTF係数お
よびAPF係数により補正されている。この、制御装置
を図8に示す音源回路に適用した時は、遅延データDL
YはRAM220およびオールパスフィルタ260の遅
延データとして使用され、TF係数はローパスフィルタ
240の乗算係数として、APF係数はオールパスフィ
ルタ250の乗算係数として使用される。 【0014】 【発明が解決しようとする課題】図9に示す制御装置に
おいては、前述のように音高に応じたオールパスフィル
タの係数を音色ごとのテーブルとしてオールパスフィル
タ係数供給部に備える必要があり、そのテーブルを作成
する作業が煩雑であると共に、テーブルの大きさが膨大
なものになるという問題点があった。そこで、本発明は
膨大なテーブルを用意することなく、音高および音色が
変化しても聴感上自然な楽音をピッチがずれることなく
発生できる閉ループ音源回路を提供することを目的とし
ている。 【0015】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、閉ループ音源回路において総遅延時間に
対するオールパスフィルタの遅延時間の比を非調和度と
定義し、この非調和度を音高が変化しても一定となるよ
う制御するようにしたものである。さらに、本発明は非
調和度の情報に応じて遅延回路に設定する遅延時間を補
正するようにしたものである。 【0016】 【作用】本発明によれば、音高に応じたオールパスフィ
ルタの係数を音色ごとのテーブルとして備えることな
く、非調和度という概念を導入し、この非調和度を一定
とするよう制御することにより、音高が変化しても聴感
上自然な変化をする楽音を得ることができる。また、音
高に応じて音色を変化させてもピッチは自動的に補正さ
れるようになる。 【0017】 【実施例】本発明の音源回路のブロック図を図1に示
す。この図において、閉ループは音色フィルタ(TF)
3と、遅延回路(DELAY)4と、オールパスフィル
タ(APF)5と、アンプ6及び加算器2とにより構成
されている。発生されたインパルス状あるいは1周期波
形等の波形を、加算器2に供給している励振波形発生部
1には、キーオン信号(KON),ピッチ(P),タッ
チ情報(TOUCH)及び波形データWAVEが入力され、こ
れらの情報に応じた波形が発生されている。この励振波
形は各種の波形発生方式、例えば波形メモリ方式、FM
変調方式、その他ノイズ発生器などにより発生するよう
にしてもよい。 【0018】また、音色フィルタ3にはTF係数が供給
されて所望の音色の楽音となるようにされ、遅延回路4
にはDLYデータが供給されて所定の音高の楽音となる
ようにされる。また、オールパスフィルタ5にはAPF
係数が供給されて倍音間におけるピッチのずれが音高に
応じて聴感上自然に変化されるようにされ、そしてアン
プ6にはLOOP GAIN データが供給されて閉ループのルー
プゲインが所定値になるよう設定されている。なお、T
F係数は音色を設定するデータであり、DLYデータは
音高を指示するデータであり、APF係数は倍音間のピ
ッチのずれを設定するデータである。このように構成さ
れた音源回路において、励振波形発生部1から発生され
た励振波形は加算器2に供給されることにより、上記閉
ループに供給され、この閉ループの総遅延時間に対応す
るピッチとその整数倍関係にある倍音成分が閉ループを
巡回するようになり、巡回にともない音色フィルタ3お
よびAPF5により波形が変化された楽音が次々と形成
されて出力されるようになる。なお、音色フィルタ3は
通常ローパスフィルタから構成されるが、ローパスフィ
ルタ240は自然楽器の音が多くの場合高域から減衰を
始めることに対応したフィルタであり、何回も閉ループ
を巡回することにより、高域成分が徐々に減衰するよう
にされる。 【0019】上記音源回路の、励振波形発生部1及び閉
ループを構成する各部に供給されているデータあるいは
係数は図2に示す制御部23により発生されている。こ
の制御部23には演奏操作子(K/B)21からの情報
及び音色設定操作子22からの情報が入力され、これら
の入力情報に基づいて、各データあるいは係数を発生し
ている。このうち、DLYデータ及びTF係数,APF
係数は制御部23内の本発明に係るフィルタ遅延制御部
24から発生されており、残りのループゲインデータ L
OOP GAIN,波形データWAVE,ピッチ(P),タッチ
情報(TOUCH )及びキーオン信号(KON)が制御部2
3から発生されている。特に、フィルタ遅延制御部24
から発生されるDLYデータはTF係数およびAPF係
数に応じて補正されており、TF係数は音高に応じた係
数とされると共に、APF係数は非調和度が一定となる
ような係数とされる。このように構成された音源回路に
おいては、加算器2から楽音出力が出力されるライン7
を伝達する信号が進行波に、加算器2に戻るライン8を
伝達する信号が反射波に相当するため、特に弦楽器や管
楽器のシミュレーションに適した物理モデルとすること
ができる。 【0020】次に、図3にAPFの一例を示す。このA
PFは入力信号が入力された加算器27において、乗算
器26の出力と入力とを加算し、その出力はDELAY
28及び乗算器29に供給される。そして、DELAY
28の出力と、乗算器29によりAPF係数1が乗算さ
れた信号との差分が加算器25により演算されて出力さ
れると共に、DELAY28の出力にAPF係数2が乗
算器26により乗算されて加算器27に供給されてい
る。そして、乗算器26及び乗算器29に設定するAP
F係数1,2により、APFの周波数特性は例えば図7
のaに示すようになり、APF係数1,2を変化させる
と、同図bあるいはcに示すような特性とすることがで
き、周波数に対する遅延時間の依存性を変化させること
ができるようになる。このため、APF係数1,2を可
変することにより倍音間のピッチのずれを変化させるこ
とができる。 【0021】本発明は、音高が変化してもAPF4によ
る効果のかかり方を同じにするために、非調和度Iとい
うパラメータIを設定する。そして、このパラメータを
導入することにより、APF4による効果のかかり方が
音高が変化しても聴感上同じになることを、実験的に確
認したことに基づいてなされたものである。この非調和
度Iとは、閉ループの総遅延時間に対するAPF4の遅
延時間の割合で定義され、このように定義された非調和
度Iに基づき、APF4などループ内の要素を制御して
出力される楽音の非調和感が、音高が変化しても一定に
なるよう制御しているのが、前記フィルタ遅延制御部2
4なのである。 【0022】次に、制御部23内のフィルタ遅延制御部
24により、入力された非調和度のパラメータIに基づ
いて非調和度Iが一定になるようAPF係数を補正する
と共に、音高および音色が変化してもピッチがずれない
ようにDLYデータ,TF係数を補正する方法を以下に
説明する。説明に先立ち、種々のパラメータを次のよう
に定義する。 DToTAL :総遅延時間 DTF :音色フィルタTF3の遅延時間 Dd :DELAY4の遅延時間 DAPF :APF5の遅延時間 P :閉ループの基音周波数(ピッチ) A :APF係数 I :非調和度 【0023】すると、総遅延時間DToTAL は、閉ループ
の基音周波数によって決まるから DToTAL =1/P ・・・(1) となる。次に、非調和度Iは前記定義の通りであり、次
式で表せる。 I=DAPF /DToTAL ・・・(2) すなわち、 DAPF =I*DToTAL ・・・(3) となる。 【0024】また、APF係数AはピッチPに応じてそ
の効果が同じになるよう変化させられると共に、APF
5の遅延時間DAPF はAPF係数Aに応じて決定される
ため、APF係数AはピッチPと遅延時間DAPF の関数
として次のように表せる。 A=f1 (P,DAPF ) ・・・(4) また、遅延時間DAPF は、(3)式に示すように非調和
度Iの関数でもあるから、 A=f2 (P,I) ・・・(5) とも表せる。さらに、総遅延時間DToTALノ補正量はAP
F5の遅延時間D APFと音色フィルタ3の遅延時間DTF
との和に等しいから、DELAY4に設定すべき遅延時
間Dd は、 Dd =DToTAL −(DAPF +DTF) ・・・(6) となる。 【0025】従って、パラメータIを定めることによ
り、上記(3),(4)式あるいは(5)式によりAP
F係数Aを、(3),(6)式によりDELAY4の遅
延時間Dd を、フィルタ遅延制御部24により算出する
ことができ、そのデータおよび係数をそれぞれ設定する
ことにより、非調和度Iを一定とした制御を行うことが
できる。また、音高が変化してもAPF4による効果の
かかり方を同じとするためにAPF4の係数をパラメー
タIが一定となるよう変化したことに伴う遅延時間D
APF の変化によるピッチのずれを、上記(6)式で見ら
れるとおり補正することができるようになる。ここで、
APF4の伝達関数Fが、一般的な(7)式で表せる関
数とした時のAPF係数Aの求め方を説明する。 F=(A−Z-1)/(1−AZ-1) ・・・(7) ここで、ω=2πPであるから、 A=−sin((ω−ω*DAPF )/2)/sin((ω+ω*DAPF )/2) =−sin(πP−πP*DAPF )/sin(πP+πP*DAPF )・・(8) となる。 【0026】更に、(8)式に、DAPF =I*DToTAL
=I*1/Pを代入すると、 A=−sinπ(P−I)/sinπ(P+I) ・・・(9) と表すことができるようになる。すると、ピッチPとA
PF4の遅延時間DAPF 、あるいは、ピッチPと非調和
度Iとを用いて演算を行うことにより、フィルタ遅延制
御部24からAPF係数Aを出力することができるよう
になる。 【0027】また、フィルタ遅延制御部24を、サンプ
リングされているデータを扱うハードウェアまたはDS
P等のデジタルシステムで構成した場合は、遅延回路等
がサンプリングクロック、あるいはDSPにおいてはマ
イクロプログラムの処理周期に応じて動作しているた
め、遅延時間を遅延段数に置き換える必要がある。これ
を行うには、上記(8),(9)式において、ピッチP
をP/sfにより置き換えるようにすれば良い。ただ
し、sfはサンプリングクロックの周波数(または、D
SPマイクロプログラムの処理周期で決まるサンプリン
グ周波数)である。 【0028】次に、上記(8)式を用いてDLYデー
タ,TF係数及びAPF係数を演算により求めるフィル
タ遅延制御部のブロック図を図4に示す。この図におい
て、ピッチPはPitch −DToTAL 変換器31に入力さ
れ、このピッチPを発生するための総遅延時間DTOTAL
に変換される。この変換部31より変換された総遅延時
間DTOTALは加算器32に入力される。また、音高に応じ
た音色とするためピッチPは音色フィルタ係数供給部3
4にも入力され、TOUCH 情報および音色制御信号(T
C)と共に音色フィルタ係数(TF係数)を読み出して
出力している。また、読み出されたTF係数は、TF係
数−DTF変換部35に供給されて、音色フィルタの遅延
時間DTFに変換される。この変換されたTF係数により
決まるTF遅延時間DTFは、加算器32に入力され総遅
延時間DTOTAL からTF遅延時間DTFが差し引かれて、
(DTOTAL −DTF)となり次の加算器33に供給され
る。 【0029】さらに、音高に応じて効果のかかり方を同
じにするため、ピッチPはオールパスフィルタ係数供給
部37の一方の入力とされており、他方の入力にはAP
F4の遅延時間DAPF が入力されて、上記(8)式の演
算がオールパスフィルタ係数発生部37により行われる
ことにより、APF係数Aが出力される。また、求めら
れたAPF遅延時間DAPF は、上記(3)式の演算が乗
算器36により行われることにより発生されている。こ
のため、乗算器36には非調和度Iと総遅延時間D
TOTAL が入力されている。また、APF遅延時間DAPF
は加算器33に入力され、(DTOTAL − DTF)からさ
らにAPF遅延時間DAPF が差し引かれて上記(6)式
の演算が行われ、DELAY4に設定する遅延時間DL
Yが出力される。 【0030】なお、非調和度Iは非調和度設定操作子3
8によって任意のパラメータ値に設定するようにしても
よい。さらに、非調和度設定操作子38に印加した音色
制御信号TCによって、非調和度Iを設定あるいは時変
動するようにしてもよい。図4に示す構成は、一般にデ
ジタル回路で構成されるため、各データはサンプリング
されており、オールパスフィルタ係数発生部37等で行
われる演算は図示するサンプリングクロック周波数sf
のパラメータの入った演算式とされている。 【0031】次に、上記(9)式を用いてDLYデー
タ,TF係数及びAPF係数を演算に求めるフィルタ遅
延制御部のブロック図を図5に示す。この図において、
ピッチPはPitch −DToTAL 変換器41に入力され、こ
の変換部41より変換された、ピッチPに対応する総遅
延時間DTOTALは加算器42に入力される。また、音高に
応じた音色とするため、ピッチPは音色フィルタ係数供
給部44にも入力され、TOUCH 情報および音色制御信号
(TC)と共に音色フィルタ係数(TF係数)を読み出
して出力している。また、読み出されたTF係数は、T
F係数−DTF変換部45に供給されて、そのTF係数に
より決まる音色フィルタの遅延時間DTFに変換されて、
加算器42に入力され総遅延時間DTOTALから遅延時間
TFが差し引かれて、(DTOTAL −DTF)となり次の加
算器43に供給される。 【0032】さらに、音高に応じて効果のかかり方を同
じにするため、ピッチ情報Pはオールパスフィルタ係数
供給部47の一方の入力とされており、他方の入力には
非調和度データIが入力されて、上記(9)式の演算が
オールパスフィルタ係数発生部47により行われて、A
PF係数Aが出力される。また、APF遅延時間データ
APF は、上記(3)式の演算が乗算器46により行わ
れることにより発生されている。このため、乗算器46
には非調和度Iと総遅延時間DTOTAL が入力されてい
る。このAPF遅延時間DAPF は加算器43に入力さ
れ、(DTOTAL − DTF)からさらにAPF遅延時間D
APF が差し引かれて上記(6)式の演算が行われ、DE
LAY4に設定する遅延時間DLYが出力される。 【0033】なお、非調和度Iは非調和度設定操作子4
8によって任意のパラメータ値に設定するようにしても
よい。さらに、非調和度設定操作子48に印加した音色
制御信号TCによって、非調和度Iを設定あるいは時変
動するようにしてもよい。図5に示す構成は、一般にデ
ジタルシステムで構成されているため、各データはサン
プリングされており、オールパスフィルタ係数発生部4
7等で行われる演算は、図示するサンプリングクロック
周波数sfのパラメータの入った演算式とされている。
このように、本発明は非調和度のパラメータだけを設定
するだけで音高に応じたオールパスフィルタの係数を音
色ごとのテーブルとして備えることなく、音高が変化し
てもAPFの効果の掛かりかたを同じにすることがで
き、聴感上自然な音色の楽音を発生させることができ
る。なお、非調和度のパラメータを大きく設定すると、
発生される楽音は調子のはずれやすい音となり、例えば
鐘等の音を模擬するのに適した音となる。そして、非調
和度のパラメータを小さく設定すると、発生される楽音
はピッチ感が確かな音となり、例えばピアノを模擬する
のに適する音となる。なお、前記した上記(8)式ある
いは(9)式によりAPF係数を求める構成は、音源回
路だけに用いられるのではなく、遅延フィードバック内
にAPFを入れたリバーブ等のエフェクト(共鳴弦エフ
ェクト,共鳴胴エフェクト)における係数制御にも適用
することができる。 【0034】 【発明の効果】本発明は以上のように構成したので、音
高に応じたオールパスフィルタの係数を音色ごとのテー
ブルとして備えることなく、非調和度という概念を導入
し、この非調和度を一定とするよう制御することによ
り、音高が変化しても聴感上自然な変化をする楽音を得
ることができる。また、オールパスフィルタの係数およ
び音色に応じて音源回路のピッチ(閉ループのピッチ)
がずれないように自動補正することができる。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の音源回路ブロック図である。 【図2】音源回路の制御部のブロック図である。 【図3】APFの構成の一例を示す図である。 【図4】フィルタ遅延制御部のブロック図である。 【図5】フィルタ遅延制御部のブロック図である。 【図6】閉ループを有する音源回路の原理図である。 【図7】DELAYとAPFの周波数特性図である。 【図8】従来の閉ループを有する音源回路のブロック図
である。 【図9】従来のAPF係数等を自動補正するブロック図
である。 【符号の説明】 1 励振波形発生部 2,25,27,32,33,42,43,103,2
43,251,253,261,263,302,30
3 加算器 3 音色フィルタ 4,28,102 DELAY 5,103,250,260 APF 6 アンプ 7,8 ループのライン 21 演奏操作子 22 音色操作子 23 制御部 24 フィルタ遅延制御部 26,29,36,46,242,244,252,2
62 乗算器 31,41,301Pitch-DTOTAL 変換部 34,44,304 音色フィルタ係数供給部 35,45,305 TF係数−DTF変換部 37,47,306 オールパスフィルタ係数発生部 38,48 非調和度設定操作子 210 初期波形ROM 220 RAM 230 切換回路 240 ローパスフィルタ 241,254,255,264,265 遅延素子 270 混合器 307APF係数−DAPF 変換部

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 ループ状に接続された、遅延手段とオー
    ルパスフィルタとからなる閉ループと、 音高情報に応じて上記遅延手段の遅延時間を設定する遅
    延時間設定手段と、上記閉ループの総遅延時間に対する上記オールパスフィ
    ルタの遅延時間の割合で定義される非調和度の情報を発
    生する発生手段と、 音高情報と、上記発生手段から与えられている非調和度
    情報とに応じて上記オールパスフィルタの係数を設定
    する係数設定手段とを備え、 上記遅延時間設定手段に上記発生手段から発生された
    調和度情報を与えることにより、上記閉ループにおけ
    る非調和度が上記発生された非調和度となるように上記
    遅延手段の遅延時間を補正することを特徴とする電子楽
    器の音源装置。
JP28726193A 1993-10-25 1993-10-25 電子楽器の音源装置 Expired - Fee Related JP3433762B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28726193A JP3433762B2 (ja) 1993-10-25 1993-10-25 電子楽器の音源装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28726193A JP3433762B2 (ja) 1993-10-25 1993-10-25 電子楽器の音源装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07121183A JPH07121183A (ja) 1995-05-12
JP3433762B2 true JP3433762B2 (ja) 2003-08-04

Family

ID=17715114

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP28726193A Expired - Fee Related JP3433762B2 (ja) 1993-10-25 1993-10-25 電子楽器の音源装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3433762B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4742248B2 (ja) * 2006-05-09 2011-08-10 カシオ計算機株式会社 効果付加装置および効果処理プログラム
JP5228218B2 (ja) * 2007-06-26 2013-07-03 株式会社河合楽器製作所 鍵盤楽器

Also Published As

Publication number Publication date
JPH07121183A (ja) 1995-05-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPS5858679B2 (ja) デンシガツキ
US5308918A (en) Signal delay circuit, FIR filter and musical tone synthesizer employing the same
JP2580774B2 (ja) 楽音合成装置
JP2707911B2 (ja) 楽音合成装置
JP2722795B2 (ja) 楽音合成装置
JP2833403B2 (ja) 電子楽器の音源装置
JP2580821B2 (ja) 楽音波形信号形成装置
US5245127A (en) Signal delay circuit, FIR filter and musical tone synthesizer employing the same
JP3433762B2 (ja) 電子楽器の音源装置
JPH05181485A (ja) 電子楽器
JP2576702B2 (ja) 電子楽器
JP2993331B2 (ja) 電子楽器
JPH06180588A (ja) 電子楽器
US5559298A (en) Waveform read-out system for an electronic musical instrument
JPS6315916Y2 (ja)
JP3475466B2 (ja) 共鳴弦効果付与装置
JP2730420B2 (ja) 楽音合成装置
JP2861358B2 (ja) 楽音合成装置
JPS638955Y2 (ja)
JP3727110B2 (ja) 楽音合成装置
JP3223889B2 (ja) 楽音合成装置、楽音合成方法および記憶媒体
JP2643717B2 (ja) 楽音合成装置
JP3039232B2 (ja) 変調信号発生装置
JP3223683B2 (ja) 楽音波形信号合成装置
JP3617148B2 (ja) 楽音合成装置

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20030501

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313532

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090530

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100530

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110530

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130530

Year of fee payment: 10

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees