JP3433542B2 - 脱穀揺動選別装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 【０００１】 【産業上の利用分野】この発明は、脱穀揺動選別装置に
関し、選別室に主唐箕と補助唐箕とを配置構成するもの
で、コンバイン用の脱穀機として利用できる。 【０００２】 【従来の技術、及び発明が解決しようとする課題】従来
における脱穀機の作用は、フィードチェンと挟持杆によ
り穀稈を挟持搬送して脱穀室で脱穀を行い、この脱穀に
より脱穀受網から漏下して揺動選別棚上へ落下した脱穀
物は、選別室において、揺動選別棚の揺動と主唐箕から
の送風とによりチャフシーブからグレンシーブを経て漏
下する間に選別され、更に一番流穀棚へと落下する間に
一番穀粒に選別されて、一番受樋に収容され穀粒容器へ
と搬出される。一方、チャフシーブから漏下しない小枝
梗（カギ又）の混じった藁屑はストローラックへ移送さ
れ、補助唐箕からの送風とストローラックの揺動とによ
り藁屑が分離され、二番流穀棚へと落下する間に二番物
に選別されて、二番受樋へ収容され脱穀室（又は処理
室）あるいは選別室へ還元処理される。なお、ストロー
ラックから漏下しない藁屑や塵埃は上方の排塵ファンに
より機外へ排塵される。 【０００３】このように、二番物の選別を行う際には、
補助唐箕から上方のチャフシーブとストローラックとの
間の受継部へ向けて送風されるが、この補助唐箕はその
設置位置が、通常、スペースの都合により一番受樋と二
番受樋との間に限定せざるを得ないため、その送風吐出
口が上方を向くことになり、脱穀作業における作業停止
時やエンジン回転数が低下したようなときは、落下穀粒
が送風吐出口から流入して唐箕風胴に溜ったり、唐箕羽
根に叩かれてロスとなる等の不具合があった。 【０００４】そこでこの発明は、上記の如き不具合を防
止するため、補助唐箕の送風吐出口を後方側へ傾斜させ
て落下穀粒の流入を阻止すると共に、この傾斜により後
傾した送風方向を補助案内板によって上方へ修正案内す
るものである。 【０００５】 【課題を解決するための手段】この発明は、脱穀物を受
けて揺動移送しながら穀粒選別するチャフシーブ１とス
トローラック２とを有した揺動選別棚３において、該チ
ャフシーブ１部下方の主選別風路４へ送風する主唐箕５
と、該チャフシーブ１部とストローラック２部との間の
受継部６へ向けて送風する補助唐箕７とを設け、該揺動
選別棚３の下部には、該主唐箕５による選別風をチャフ
シーブ１後部へ案内する主案内板８と、補助唐箕７によ
る選別風を該受継部６へ向けて案内する補助案内板９と
を設けて構成し、前記主案内板８の下部側には弾性体か
らなる可撓板８ａを接続し、揺動する主案内板８を前記
可撓板８ａにより固定の一番流穀棚２９に対して摺接さ
せて構成し、前記補助案内板９をその取り付け位置によ
り、前後，上下，斜め方向に調節可能に構成すると共
に、前記補助唐箕７からの送風を受ける面には、前記ス
トローラック２側へ風が抜けるようにスリット状の孔を
設けるように構成したことを特徴とする脱穀揺動選別装
置の構成とする。 【０００６】 【作用、及び発明の効果】上記の構成によれば、脱穀室
で脱穀され脱穀受網から漏下した脱穀物は、揺動選別棚
３上へ落下し、この揺動選別棚３の揺動移送によりチャ
フシーブ１上から受継部６を経てストローラック２上へ
移送される。この間、脱穀物はチャフシーブ１上におけ
る揺動移送と、主唐箕５から主案内板８によってチャフ
シーブ１後部へ案内される送風とにより選別されて漏下
し、更に下方に位置するグレンシーブにおいてチャフシ
ーブ１に準じた選別作用を受けて漏下する。このグレン
シーブから漏下した選別物は、下方に位置する固定の一
番流穀棚上へ落下する間に、主選別風路４において主唐
箕５からの送風により一番穀粒に選別される。 【０００７】一方、チャフシーブ１から漏下せずに受継
部６を経てストローラック２上へ送られた脱穀物は、ス
トローラック２の揺動移送により大きい藁屑を分離する
と共に、このストローラック２から落下する選別物を、
補助唐箕７による鉛直選別、つまり後方側へ傾斜させた
送風吐出口からの送風を補助案内板９によって上方側の
受継部６に向けて案内することにより二番物として選別
すると共に、受継部６近傍に停滞し易い大きい藁屑を、
補助唐箕７と主唐箕５からの送風を補助案内板９と主案
内板８とにより合流させた強力な選別風により、上方側
へ吹き上げて排塵ファンによって機外へ排塵させる。 【０００８】このように、後方側へ傾斜させた補助唐箕
７の送風吐出口による後傾斜の送風方向を、揺動選別棚
３の下部側に設けた補助案内板９によって上方の受継部
６側へ案内することができるので、従来の送風吐出口を
上方側へ向けたものと同様に二番物の鉛直選別が可能に
なると共に、脱穀作業における作業停止時やエンジン回
転数が低下したようなときでも、送風吐出口が後方側へ
傾斜しているので落下穀粒が送風吐出口へ流入する不具
合を防止できる。また、補助案内板９は揺動選別棚３と
共に揺動するので、ストローラック２等から落下する藁
屑や塵埃が補助案内板９に引っ掛かって停滞することが
なく、補助唐箕７からの送風を円滑に案内することが可
能となり選別精度を向上できる。また、主案内板８の下
部側には 弾性体からなる可撓板８ａを接続し、揺動する
主案内板８を可撓板８ａにより固定の一番流穀棚２９に
対して摺接させているので、主唐箕５からの送風によっ
て補助唐箕７の送風が阻害されないようになる。さら
に、主案内板８によってチャフシーブ１後方へ案内され
る主唐箕５からの送風と、補助案内板９によって受継部
６側へ案内される補助唐箕７からの送風とを合流させ、
この合流された強力な選別風が受継部６方向に送風され
ると、受継部６近傍に滞している大きい藁屑を速やかに
上方側へ吹き上げて機外へと排出可能となる。 【０００９】 【実施例】この発明の実施例を図面に基づいて説明す
る。１０はコンバインに搭載可能な脱穀機で、上部側に
脱穀室１１を下部側に選別室１２を各々配置して構成す
る。脱穀室１１には多数の扱歯１３を植設した扱胴１４
を前部側から後部側に向けて軸架内装し、この脱穀室１
１の手前側扱ぎ口１１ａに沿って穀稈を挟持搬送するフ
ィードチェン１５を設け、脱穀室１１の下部側周縁に扱
胴１４を包囲する脱穀受網１６を配置すると共に、この
脱穀受網１６の後端部に脱穀室１１から脱穀済排稈を送
り出す排稈口１７を設けて構成する。 【００１０】該選別室１２には、脱穀処理されて脱穀受
網１６から漏下した脱穀物を揺動移送しながら選別を行
う縦長の揺動選別棚３を、扱胴１４の軸方向に沿ってそ
の前部側を上手側として後部側に向け架設する。この揺
動選別棚３の上手側下方に亘って、唐箕風胴１８に内装
された複数枚の唐箕羽根１９の回転により選別風を起風
して主選別風路４へ送風する主唐箕５を配置して構成す
る。 【００１１】該揺動選別棚３は、主唐箕５の上側の領域
に亘って脱穀物を下手側に移送するラック状の移送棚２
０と、この移送棚２０に続いて下手側に向けて脱穀物を
選別するチャフシーブ１と、このチャフシーブ１から一
定の間隔を開けた受継部６を介して、チャフシーブ１か
ら漏下しない挟雑物と共に脱穀受網１７から漏下しない
脱穀藁屑を受けて藁屑を分離するストローラック２と、
チャフシーブ１の下方に該シーブ１から漏下した選別物
を更に選別する網目状のグレンシーブ２１とを設け、移
送棚２０の前端下部側に揺動選別棚３の揺動支軸２２を
摺動可能に支承すると共に、ストローラック２下部側の
二番流穀棚２３の裏面に揺動選別棚３を偏心揺動させる
偏心揺動メタル２４を装着して構成する。 【００１２】前記唐箕風胴１８の天板側の風切部を形成
する三角状の風胴上唇部１８ａと、底板側を下手側に直
線状に延長した風胴下唇部１８ｂとの間を送風吐出口２
５とし、この吐出口２５を上部風割２６ａと下部風割２
６ｂとによって上下三段に分割し前記主選別風路４へ送
風すると共に、風胴下唇部１８ｂの後端部と、選別され
た一番穀粒を収容して横送り集穀する一番螺旋２７を内
装した一番受樋２８の上手側とを接続し、その下手側
は、グレンシーブ２１の下方に該シーブ２１から漏下し
た選別物が流下可能な傾斜を有する一番流穀棚２９の下
端部と接続して構成する。 【００１３】該一番流穀棚２９と、選別された二番物を
収容して横送り集積する二番螺旋３０を内装した二番受
樋３１の上手側との交点下側のスペースにシロッコファ
ン等からなる補助唐箕７を位置させ、この補助唐箕７の
風胴３２を一番流穀棚２９の裏面と二番受樋３１上手側
の裏面から各々適宜長さ下向きに形成すると共に、一番
流穀棚２９の上端部に対して二番受樋３１の上手側上端
部を一定の間隔開け、この開口部により送風吐出口３３
を形成し、この送風吐出口３３からの送風を整風するた
め二番受樋３１上手側の上端部を、一番流穀棚２９に沿
わせて適宜長さ折曲部３１ａを設けて構成する。なお、
この折曲部３１ａは、落下穀粒が送風吐出口３３から流
入しないよう上下方向において一番流穀棚２９の上端部
より突出させないようにする。該二番受樋３１の下手側
は、前記二番流穀棚２３の下端部との間に一定の隙間を
設けて適宜長さ重合配設する。 【００１４】前記揺動選別棚３のグレンシーブ２１後端
部から一定の間隔開けた位置に、主選別風路４の送風を
上方のチャフシーブ１後部へ案内する上下方向に適宜幅
をもった主案内板８を一番流穀棚２９の上端側に向けて
装着し、この主案内板８の下部側にはゴム等の弾性体か
らなる可撓板８ａを接続し、揺動する主案内板８を可撓
板８ａにより固定の一番流穀棚２９に対して摺接させ、
主唐箕５からの送風によって補助唐箕７の送風が阻害さ
れないよう構成する。 【００１５】該揺動選別棚３の主案内板８から更に後方
側へ一定の間隔開けて、補助唐箕７の後方傾斜した送風
吐出口３３からの送風を受けて、この送風を上方側の前
記受継部６へ向けて案内する上下方向に適宜幅をもった
補助案内板９を装着すると共に、この補助案内板９をそ
の取り付け位置により、前後・上下・斜め方向に調節可
能なるよう構成する。なお主案内板８についても補助案
内板９と同様に調節可能なるよう構成してもよい。 【００１６】３４は、前記ストローラック２の上方側に
設けたシロッコファン等からなる排塵ファンで、上部カ
バー３４ａと下部ガイド３４ｂにより吸塵側と排塵側を
形成すると共に、上部カバー３４ａの上方側に脱穀済み
排稈を機外へ搬出する排稈搬送チェン３５と挟持杆３６
とを配設する。フィードチェン１５に挟持搬送される穀
稈は脱穀室１１において扱胴１４により脱穀され、脱穀
受網１６から漏下した脱穀物は選別室１２の揺動選別棚
３上に落下し、この落下物は、揺動選別棚３の揺動移送
作用と、主唐箕５から主案内板８を設けた主選別風路４
によりチャフシーブ１後方へ案内される送風とにより、
移送棚２０からチャフシーブ１へ送られて選別され、チ
ャフシーブ１から漏下した選別物は、更にグレンシーブ
２１でチャフシーブ１と同様に選別されて、グレンシー
ブ２１から漏下して一番流穀棚２９上へ落下する間に選
別された一番穀粒は、一番流穀棚２９を流下して一番受
樋２８へ収容され、一番螺旋２７により横送りされて穀
粒容器へ搬送される。 【００１７】この間、脱穀室１１の排稈口１７から排出
されてチャフシーブ１上に落下した脱穀藁屑は、チャフ
シーブ１から漏下しない挟雑物と共に受継部６を経てス
トローラック２上へ送られ、ストローラック２の揺動移
送により大きい藁屑を分離すると共に、この藁屑を分離
された選別物がストローラック２から前記二番流穀棚２
３へ落下する間に、補助唐箕７の後方へ傾斜した送風吐
出口３３から補助案内板９により上方の受継部６側へ案
内される送風により選別された二番物は、二番流穀棚２
３を流下して二番受樋３１へ収容され、二番螺旋３０に
より横送りされて脱穀室１１へ還元処理される。 【００１８】該補助案内板９は取り付け状態を自由に変
更できるので、主案内板８によってチャフシーブ１後方
へ案内される主唐箕５からの送風と、補助案内板９によ
って受継部６側へ案内される補助唐箕７からの送風とを
合流さた強力な選別風によって、受継部６近傍に停滞し
易い大きい藁屑を速やかに上方側へ吹き上げて排塵ファ
ン３４の吸塵側から選別吸塵して排塵側から機外へ排塵
させる。 【００１９】なお、該補助案内板９はゴム等の弾性体を
用いてもよく、補助唐箕７からの送風を受ける面を平面
のみに限らず凹曲面としてもよく、ストローラック２側
へ風が抜けるように丸孔とかスリット状の孔を設けても
よい。その他、送風方向を上方と後方へ分散させるよう
な風割状としてもよい。また、上記と異なる実施例とし
て、図２に示す如く、揺動選別棚３の移送棚２０前端下
部側に設けた揺動支軸２２を、調節アーム３７の一端側
長溝部３７ａに嵌入して摺動可能に支承すると共に、そ
の他端部とワイパモータ等による調節モータ３８とを連
結杆３９によって連結し、この調節モータ３８の駆動に
より調節アーム３７をその中間点の回動支軸３７ｂを支
点として回動可能に構成する。なお、上記の実施例と同
一部位は同一符号にて示す。 【００２０】脱穀作業時に、穀稈や圃場等の条件に加え
作業能率の大小によって、揺動選別棚３上に落下する脱
穀物の量が増減して揺動選別棚３の作動負荷が大小に変
化するので、この作動負荷の大小に応じて揺動選別棚３
を駆動するエンジンの回転数が高低に変化する。図３に
示す如く、このエンジン回転数をエンジン回転センサ４
０によって検出し、この検出値をコントローラ４１に送
り、コントローラ４１の演算制御によって調節モータ３
８を駆動して調節アーム３７を回動させ、揺動支軸２２
の位置を上下に調節制御する。 【００２１】通常負荷の場合では、揺動支軸２２の位置
が略中間位置となり揺動選別棚３の姿勢が水平状態に近
くなって、棚上における脱穀物の送り速度は普通程度と
なり通常の選別状態となる。軽負荷の場合では、揺動支
軸２２の位置が略下部位置となり揺動選別棚３の姿勢が
前下がり傾斜状態となって、棚上における脱穀物の送り
速度が遅く停滞時間が長くなるので、低能率時における
薄層漏下による選別不良を防止できる。過負荷の場合で
は、揺動支軸２２の位置が略上部位置となり揺動選別棚
３の姿勢が前上がりの傾斜状態となって、棚上における
脱穀物の送り速度が早く停滞時間が短くなるので、高能
率時における負荷の増大を抑制できる。 【００２２】このように揺動選別棚３の作動負荷の大小
によって、揺動選別棚３の姿勢を自動的に変更制御して
棚上の脱穀物の送り速度を早く又は遅くすることによ
り、揺動選別棚３の作動負荷と選別性能の均一化を図る
ことができる。

【図面の簡単な説明】 【図１】脱穀機の全体の断面を示す側面図。 【図２】別実施例としての揺動選別棚の傾斜調節機構を
示す側面図。 【図３】別実施例としての揺動選別棚の傾斜調節制御回
路を示すブロック図。 【符号の説明】 １． チャフシーブ ２． ストローラック ３． 揺動選別棚 ４． 主選別風路 ５． 主唐箕 ６． 受継部 ７． 補助唐箕 ８． 主案内板８ａ． 可撓板 ９． 補助案内板２９． 一番流穀棚

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A01F 12/30 - 12/60

Claims (1)

1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項１】 脱穀物を受けて揺動移送しながら穀粒選
   別するチャフシーブ１とストローラック２とを有した揺
   動選別棚３において、該チャフシーブ１部下方の主選別
   風路４へ送風する主唐箕５と、該チャフシーブ１部とス
   トローラック２部との間の受継部６へ向けて送風する補
   助唐箕７とを設け、該揺動選別棚３の下部には、該主唐
   箕５による選別風をチャフシーブ１後部へ案内する主案
   内板８と、補助唐箕７による選別風を該受継部６へ向け
   て案内する補助案内板９とを設けて構成し、前記主案内
   板８の下部側には弾性体からなる可撓板８ａを接続し、
   揺動する主案内板８を前記可撓板８ａにより固定の一番
   流穀棚２９に対して摺接させて構成し、前記補助案内板
   ９をその取り付け位置により、前後，上下，斜め方向に
   調節可能に構成すると共に、前記補助唐箕７からの送風
   を受ける面には、前記ストローラック２側へ風が抜ける
   ようにスリット状の孔を設けるように構成したことを特
   徴とする脱穀揺動選別装置。