JP3431800B2 - 多頭式ミシン - Google Patents

多頭式ミシン

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JP3431800B2
JP3431800B2 JP09509397A JP9509397A JP3431800B2 JP 3431800 B2 JP3431800 B2 JP 3431800B2 JP 09509397 A JP09509397 A JP 09509397A JP 9509397 A JP9509397 A JP 9509397A JP 3431800 B2 JP3431800 B2 JP 3431800B2
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    • D05CEMBROIDERING; TUFTING
    • D05C11/00Devices for guiding, feeding, handling, or treating the threads in embroidering machines; Machine needles; Operating or control mechanisms therefor
    • D05C11/18Shuttles ; Shuttle holders; Shuttle driving arrangements
    • DTEXTILES; PAPER
    • D05SEWING; EMBROIDERING; TUFTING
    • D05BSEWING
    • D05B57/00Loop takers, e.g. loopers
    • D05B57/30Driving-gear for loop takers
    • D05B57/36Driving-gear for loop takers in lock-stitch sewing machines
    • D05B57/38Shuttle drives
    • DTEXTILES; PAPER
    • D05SEWING; EMBROIDERING; TUFTING
    • D05BSEWING
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    • D05B69/28Applications of servo devices for tool-positioning purposes

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  • Textile Engineering (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Sewing Machines And Sewing (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の縫製手段を
備え、各縫製手段の縫針を共通の主軸を介して駆動する
ミシンモータとは独立に、各縫製手段のベッド部に設け
られた糸輪捕捉用釜を専用の釜駆動モータで夫々駆動す
る多頭式ミシンに関し、特に糸輪捕捉用釜に糸噛みが発
生して釜軸に同期ズレが発生した異常時に、緊急停止さ
せた主軸が停止するまで糸輪捕捉用釜を回転させること
で、縫針と糸輪捕捉用釜との干渉を防止するようにした
ものに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、糸輪を捕捉する糸輪捕捉用釜を駆
動する下軸を、縫針や天秤を上下駆動する主軸に連結さ
れて駆動する上下軸駆動型に代えて、糸輪捕捉用釜を専
用の釜駆動モータで主軸とは独立に駆動することによ
り、糸輪捕捉用釜を主軸に同期駆動させつつ、縫製条件
に応じて糸輪捕捉用釜の時々刻々の回転状態を制御する
ようにした釜軸独立駆動型のミシンが、特昭60−2
1750号公報、特開平3−234291号公報などで
提案されている。ところで、この種のミシンにおいて
は、糸輪捕捉用釜を主軸とは独立に同期駆動する技術に
おいて、手動操作によって縫針と糸輪捕捉用釜との同期
がズレないようにする対策は種々提案されているもの
の、ミシンの縫製作動中における同期ズレのズレ量を検
知する技術、ズレ量が許容値以上になったときの対策に
ついては何ら提案されていないのが実情である。
【0003】そこで、本願の出願人は、3台の刺繍ミシ
ン備えた多頭式刺繍ミシンにおいて、各刺繍ミシンに共
通に配設した主軸をミシンモータで駆動するとともに、
各刺繍ミシンのシリンダベッド部に、糸輪捕捉用釜とこ
の糸輪捕捉用釜の釜軸を駆動する釜駆動モータとをユニ
ット化した釜モジュールを設け、縫製が開始されたとき
には、ミシンモータで主軸を回転駆動する一方、各釜モ
ジュールにおいて、釜駆動モータを主軸の回転に同期さ
せて駆動制御することで縫製している途中で、糸噛みな
どにより糸輪捕捉用釜が1つでも同期回転ができなくな
ることで、その釜軸の主軸の回転位置に対するズレ量が
所定量に達して同期ズレが検出されたときには、ミシン
モータを緊急停止するとともに、各刺繍ミシンについ
て、針棒をその最上位置にジャンプさせる針棒ジャンプ
機構を作動させる一方、各釜駆動モータの回転を緊急停
止させることで、縫針と糸輪捕捉用釜との衝突を防止す
るようにしたミシン(特願平8─85917号)を提案
した。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前述したように、本願
出願人が提案したミシンにおいては、釜軸の主軸に対す
る同期ズレが検出されたときに、針棒をその最上位置に
ジャンプさせる一方、ミシンモータと各釜駆動モータの
回転を同時に緊急停止させるようにしたが、ミシンモー
タ及び釜駆動モータは、それらの駆動力や負荷のイナー
シャ等が違うために同期して停止させることができず、
しかも針棒の最上位置へのジャンプタイミングにも遅れ
が生じることから、その緊急停止時に縫針と糸輪捕捉用
釜とが同期ズレにより衝突の可能性があるという問題が
ある。
【0005】更に、この緊急停止により、主軸と各糸輪
捕捉用釜とが縫製開始の為の所定の開始位置でない任意
の位置、例えば、天秤が下降した状態で、糸輪捕捉用釜
に上糸ループが形成されている場合に、手動操作用のプ
ーリを手動で操作して、天秤が上昇して糸引き締めが実
行される約100°の縫製開始位置まで主軸を回転させ
るときには、各釜駆動モータは駆動されないことから、
糸輪捕捉用釜に上糸ループが形成された状態で天秤が上
昇して、針板の下側に上糸ループが残った状態で、各糸
輪捕捉用釜が縫製開始位置に回転させる初期化処理が実
行された後、縫製が再開されるので、縫製開始後にその
残存する上糸ループが回転する糸輪捕捉用釜に引っ掛か
り、糸噛みや釜回転不能などの問題が発生する。
【0006】本発明の目的は、糸噛みなどによる糸輪捕
捉用釜の同期ズレの際には、縫針が糸輪捕捉用釜に衝突
しないようにミシンモータと釜駆動モータとを緊急停止
させ得るような多頭式ミシン、その緊急停止後に糸噛み
などが発生することなく縫製を再開できるような多頭式
ミシンを提供することである。
【課題を解決するための手段】請求項1の多頭式ミシン
は、複数の縫製手段を有する多頭式ミシンであって、そ
の共通のミシンモータで共通の主軸を介して駆動される
縫針と、縫針と協働して糸輪を捕捉する糸輪捕捉用釜と
糸輪捕捉用釜をミシンモータとは独立に回転駆動する釜
駆動モータとを有するベッド部とを複数組み備えた多頭
式ミシンにおいて、前記ミシンモータと複数の釜駆動モ
ータとを同期作動させるように制御する縫製制御手段
と、前記各縫製手段における糸輪捕捉用釜と縫針との相
対的な同期ズレを検出する同期ズレ検出手段と、前記同
期ズレ検出手段で同期ズレが検出された異常時に、縫製
制御手段に対して主軸の回転停止を指令するとともに、
主軸の回転が停止するまで、少なくとも同期ズレが検出
されない縫製手段における釜駆動モータをミシンモータ
に対して同期回転させるように縫製制御手段に指令する
緊急停止制御手段とを備え、前記緊急停止制御手段は、
異常時における主軸の停止後に主軸が手動操作で回転さ
れるときには、少なくとも同期ズレが検出されない縫製
手段における釜駆動モータをミシンモータに対して同期
回転させるように縫製制御手段に指令するものである。
【0007】縫製が開始されると、縫製制御手段によ
り、ミシンモータと複数の釜駆動モータとが同期作動さ
せるように制御されて縫製処理が実行される。ところ
で、その縫製中に、同期ズレ検出手段が、各縫製手段に
おける糸輪捕捉用釜と縫針との相対的な同期ズレを検出
した異常時には、緊急停止制御手段により、縫製制御手
段に対して主軸の回転停止が指令されるとともに、主軸
の回転が停止するまで、少なくとも同期ズレが検出され
ない縫製手段における釜駆動モータをミシンモータに対
して同期回転させるように縫製制御手段に指令されるの
で、少なくとも同期ズレが発生していない縫製手段にお
いては、その釜駆動モータがミシンモータに同期して緊
急停止され、その緊急停止時における縫針と糸輪捕捉用
釜との衝突を回避することができる。
【0008】
【0009】また、その緊急停止により、主軸と少なく
とも同期ズレが検出されない縫製手段の糸輪捕捉用釜と
が縫製開始の為の所定の開始位置でない任意の回転位
置、例えば、天秤が下降した状態で、糸輪捕捉用釜に上
糸ループが形成されている回転位置であっても、手動操
作用のプーリを手動で操作して、天秤が上昇して糸引き
締めが実行される所定の縫製開始位置まで主軸を回転さ
せるのに同期して、少なくとも同期ズレが検出されない
縫製手段の釜駆動モータが駆動されて、通常の糸引き締
めによる縫目形成が実行されることになり、針板の下側
に余分な上糸が残存しないことから、糸噛みなどが発生
することなく縫製を再開することができる
【0010】
【0011】請求項の多頭式ミシンは、複数の縫製手
段を有する多頭式ミシンであって、その共通のミシンモ
ータで共通の主軸を介して駆動される縫針と、縫針と協
働して糸輪を捕捉する糸輪捕捉用釜と糸輪捕捉用釜をミ
シンモータとは独立に回転駆動する釜駆動モータとを有
するベッド部とを複数組み備えた多頭式ミシンにおい
て、前記ミシンモータと複数の釜駆動モータとを同期作
動させるように制御する縫製制御手段と、前記各縫製手
段における糸輪捕捉用釜と縫針との相対的な同期ズレを
検出する同期ズレ検出手段と、前記同期ズレ検出手段で
同期ズレが検出された異常時に、縫製制御手段に対して
主軸の回転停止を指令するとともに、主軸の回転が停止
するまで、少なくとも同期ズレが検出されない縫製手段
における釜駆動モータをミシンモータに対して同期回転
させるように縫製制御手段に指令する緊急停止制御手段
とを備え、前記緊急停止制御手段は、異常時における主
軸の停止動作時、もしくは異常時における主軸の停止後
に、主軸が縫製開始のための所定の回転位置に駆動停止
するように縫製制御手段に指令するとともに、その駆動
時には少なくとも同期ズレが検出されない縫製手段にお
ける釜駆動モータをミシンモータに対して同期回転させ
るように縫製制御手段に指令するものである。
【0012】この場合、その緊急停止により、主軸と少
なくとも同期ズレが検出されない縫製手段の糸輪捕捉用
釜とが縫製開始のための所定の回転位置、すなわち、天
秤が上昇した状態で、糸輪捕捉用釜から上糸ループが外
れた回転位置で停止するため、天秤が上昇して糸引き締
めが実行される所定の縫製開始位置まで主軸を回転させ
るのに同期して、少なくとも同期ズレが検出されない縫
製手段の釜駆動モータが駆動されて、通常の糸引き締め
による縫い目形成が実行されることになり、針板の下側
に余分な上糸が残存しないことから、糸噛みなどが発生
することなく縫製を再開することができる。その他、
落0007と同様の作用を奏する。
【0013】
【0014】
【0015】請求項の多頭式ミシンは、複数の縫製手
段を有する多頭式ミシンであって、その共通のミシンモ
ータで共通の主軸を介して駆動される縫針と、縫針と協
働して糸輪を捕捉する糸輪捕捉用釜と糸輪捕捉用釜をミ
シンモータとは独立に回転駆動する釜駆動モータとを有
するベッド部とを複数組み備えた多頭式ミシンにおい
て、ミシンモータと複数の釜駆動モータとを同期作動さ
せるように制御する縫製制御手段と、各縫製手段におけ
る糸輪捕捉用釜と縫針との相対的な同期ズレを検出する
同期ズレ検出手段と、同期ズレ検出手段で同期ズレが検
出された異常時における主軸の停止後に主軸が手動操作
もしくは自動で回転されるときには、少なくとも同期ズ
レが検出されない縫製手段における釜駆動モータをミシ
ンモータに対して同期回転させるように縫製制御手段に
指令する緊急停止制御手段とを備え、前記緊急停止制御
手段は、前記主軸の手動操作時もしくは自動回転時に、
同期ズレが検出された縫製手段における釜駆動モータを
停止状態に保持するように縫製制御手段に指令するもの
である。
【0016】縫製が開始されると、縫製制御手段によ
り、ミシンモータと複数の釜駆動モータとが同期作動さ
せるように制御されて縫製処理が実行される。ところ
で、その縫製中に、同期ズレ検出手段が、各縫製手段に
おける糸輪捕捉用釜と縫針との相対的な同期ズレを検出
した異常時には、緊急停止制御手段により縫製制御手段
に指令されるので、請求項1又は2と同様に作用する。
【0017】また、同期ズレの原因として糸噛みが殆ど
なので、主軸の手動操作時もしくは自動回転時に、その
糸噛みにより同期ズレが発生した縫製手段の釜駆動モー
タを停止状態に保持することで、釜駆動モータの無理な
駆動を防止できるとともに、糸噛み状態が悪化するのを
防止できる
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態につい
て、図面に基づいて説明する。本実施形態は、3台の刺
繍ミシンを備え、各刺繍ミシンにおいては、糸輪捕捉用
の全回転釜をミシンモータとは独立に釜駆動モータで回
転駆動するようにしたシリンダベッド部を有する多頭式
刺繍ミシンに本発明を適用した場合のものである。
【0019】この多頭式刺繍ミシンMについて説明する
と、図1に示すように、左右方向に延びるベースフレー
ム1の上面の後部側には、左右方向に所定長さを有する
平面視略矩形状のミシン支持板2が配設され、このミシ
ン支持板2の後端部分には、左右方向に延びる支持フレ
ーム3が立設され、この支持フレーム3に、3つのヘッ
ド部4〜6が所定間隔毎に左右方向に並設されるととも
に、ミシン支持板2の前端部に位置するベースフレーム
1には、これらヘッド部4〜6の各々に対応させて、ベ
ッドユニット10〜12に構成されたシリンダ状のベッ
ド部7〜9の各後端部が夫々支持されている。
【0020】即ち、支持フレーム3に設けられたへッド
部4〜6と、独立構造のベッドユニット10〜12とか
らなる3台の多針式刺繍ミシンM1〜M3が並設されて
いる。これら刺繍ミシンM1〜M3のヘッド部4〜6の
各々の前端部には、左右方向に1列状に配列された12
本の針棒21を上下動可能に支持するとともに、12個
の天秤23を揺動可能に支持する針棒ケース20が左右
方向移動可能に夫々支持され、各針棒ケース20は、針
棒変更モータ115(図8参照)で駆動される針棒変更
機構(図示略)により、一斉に左右方向に移動されて、
糸色の異なる別の上糸に同時に変更可能になっている。
【0021】また、ミシン支持板2の前側でベッドユニ
ット10〜12の上面と同一高さになるように、作業用
テーブル13が水平に配設され、この作業用テーブル1
3を含み、この作業用テーブル13の左右両側に設けら
れた1対の補助テーブル14・15に亙って、左右方向
に延びる平面視矩形枠状の可動枠16が載置されてい
る。
【0022】そして、この可動枠16の左端部の駆動枠
部16aがX軸駆動機構(図示略)によりX軸方向(左
右方向)に移動駆動されるとともに、その右端部の駆動
枠部16bと駆動枠部16aとがY軸駆動機構(図示
略)によりY軸方向(前後方向)に移動駆動される。従
って、可動枠16は、X軸駆動モータ117(図8参
照)で駆動されるX軸駆動機構とY軸駆動モータ119
(図8参照)で駆動されるY軸駆動機構とにより、XY
平面上を移動可能になっている。また、補助テーブル1
5の後側には、刺繍縫製に関するメッセージを表示する
ディスプレイ18aを備えた操作パネル18が設けられ
ている。
【0023】次に、各刺繍ミシンM1〜M3毎に設けら
れ、針棒21を上下駆動する針棒上下駆動機構25につ
いて、図2に基づいて簡単に説明する。各ヘッド部4〜
6の先端部には、上下方向に延びる基針棒26が配設さ
れ、この基針棒26はその上端部及び下端部においてフ
レームに支持されている。この基針棒26には、後述の
連結ピン34と係合する係合溝27aを有する上下動部
材27が上下動可能に挿嵌され、この上下動部材27の
下端部に設けられた針棒抱き28は、基針棒26に上下
動可能且つ回転不能に挿嵌されるとともに、上下動部材
27の下端部に、上下動部材27を回転可能に連結して
いる。そして、この針棒抱き28は、枢支軸29に揺動
可能に枢支された揺動レバー30に連結されたリンク3
1に連結されている。
【0024】一方、各ヘッド部4〜6を挿通して左右方
向向きに配設された主軸17に偏心カム32が固着され
ており、この偏心カム32に外嵌された偏心レバー33
の下端部が揺動レバー30に連結されている。ところ
で、前記12本の針棒21の各々には、その下端部に縫
針22が装着されるとともに、その高さ方向の略中段部
に連結ピン34が夫々固着されるとともに、この連結ピ
ン34と針棒ケース20の支持フレームとの間に圧縮バ
ネ35が外嵌されており、針棒21はこの圧縮バネ35
により常に上方の針上位置に弾性付勢されている。更
に、針棒ケース20が左右方向に移動したときに、上下
動部材27に対向する針棒21の連結ピン34が、上下
動部材27の係合溝27aに選択的に係合されるように
なっている。
【0025】これにより、ミシンモータ110の所定回
転方向への回転駆動により主軸17が回転されて、偏心
レバー33と揺動レバー30とリンク31とを介して、
上下動部材27と針棒抱き28とが一体的に上下動する
のに伴って、連結ピン34を介して上下動部材27に連
結されている針棒21だけが主軸17に調時して上下に
往復駆動される。次に、各刺繍ミシンM1〜M3毎に設
けられ、針棒21をその最上位置(上死点位置)にジャ
ンプさせる針棒ジャンプ機構40について、図2に基づ
いて説明する。針棒ケース20内には、水平向きの針棒
ジャンプ用ソレノイド41が設けられるとともに、平面
視略L字状の回動レバー42が鉛直軸回りに回動可能に
針棒ケース20に取付けられている。そして、その回動
レバー42の駆動部42aが針棒ジャンプ用ソレノイド
41のプランジャーに当接するとともに、その従動部4
2bに取付けた上下方向向きの操作軸43が、上下動部
材27に一体形成された突出状の係合部27bに係合可
能になっている。
【0026】更に、上下動部材27は、その上端部に設
けた巻きバネ44により、2点鎖線で示す回動したジャ
ンプ位置から実線で示す通常の連結位置に回動するよう
に、常に弾性付勢されている。これにより、針棒21が
連結ピン34を介して上下動部材27に連結されている
ときに、針棒ジャンプ用ソレノイド41が所定時間だけ
駆動されて、そのプランジャーが右方に進出したときに
は、回動レバー42が平面視にて時計回転回りに回動し
て、操作軸43と係合部27bとを介して、上下動部材
27が2点鎖線で示すジャンプ位置に回動して、連結ピ
ン34と係合溝27aとの係合が解除され、これと同時
に、針棒21は圧縮バネ35により針上位置に一気に移
動(ジャンプ作動)するようになっている。
【0027】一方、針棒21がその針上位置にジャンプ
した状態で且つ上下動部材27が連結位置に復帰してい
るときに、上下動部材27が下方からその略最上位置の
方向に上昇するときには、上下動部材27は連結ピン3
4に下側から当接して、一時的にジャンプ位置に回動す
るが、巻きバネ44により直ぐに連結位置に回動復帰
し、連結ピン34は係合溝27aに自動的に連結するよ
うになっている。ここで、各ベッド部7〜9に設けられ
た押え足45は、押え足駆動ソレノイド106で駆動さ
れる図示外の押え足駆動機構により、ベッド部7〜9上
の加工布Wを押圧する押え位置と、所定距離上昇した退
避位置とに亙って上下に位置切換え可能になっている。
【0028】次に、ベッドユニット10〜12につい
て、図3〜図6に基づいて説明する。ここで、3つのベ
ッドユニット10〜12は同様の構成なので、左端のベ
ッドユニット10について説明する。前後方向に延びる
断面略U字状のベッドケース50は、その後端部におい
て、ミシン支持板2の前端部に位置する左右方向に延び
るベースフレーム1に固着した1対の支持ブラケット5
1に取付けられ、ベッドケース50の前端部分には、釜
モジュール55が着脱可能に固定されている。ここで、
ベッドケース50の上側は、その前端部分において針板
52で覆われるとともに、針板52に連続するカバー板
53で覆われている。
【0029】次に、釜モジュール55について説明す
る。図4〜図5に示すように、ベッドケース50の前端
部には、取付けブロック56がビス57により着脱可能
に固着され、この取付けブロック56の後端側には、パ
ルスモータからなる釜駆動モータ58が取付けられてい
る。一方、取付けブロック56の前端側には、糸輪捕捉
用の全回転釜59が設けられ、この全回転釜59に固着
された釜軸60は、前後方向に位置調節可能に取付けブ
ロック56に枢支されている。そして、釜軸60の後端
部に取付けた第1連結部材62と、釜駆動モータ58の
駆動軸58aの前端部に取付けた第2連結部材63とが
相互に連結されている。つまり、これら釜軸60と駆動
軸58aとは、両連結部材62,63からなるカップリ
ング61で連結されている。
【0030】ここで、全回転釜59について簡単に説明
すると、図7に示すように、ボビンを収容するボビンケ
ース67を保持する内釜59aと、この内釜59aの外
側を回転する外釜59bとからなり、その外釜59bに
は、上糸47を引っかけて上糸ループ47aを形成する
為の剣先59cが形成されている。そして、主軸18が
約「200°」のときに、剣先59cと縫針22の目孔
とが出合う出合いタイミング(図15参照)となり、剣
先59cはこの出合いタイミングのときに、縫針22の
目孔から延びる針側の上糸47を引っかけて、外釜59
bの回転により、内釜59aと外釜59bとの間を移動
する上糸ループ47aを形成する。
【0031】更に、その第2連結部材63には、ディス
クエンコーダ64が取付けられ、このディスクエンコー
ダ64に形成された複数のスリットを光学的に検出し
て、釜軸回転信号を出力するフォトセンサからなる第2
エンコーダセンサ65が取付けブロック56に取付けら
れている。そして、釜駆動モータ58の駆動により、駆
動軸58aとカップリング61とを介して釜軸60が回
転駆動されて、全回転釜59が所定の回転方向に、主軸
17に対して2倍の回転速度Kで回転駆動される。ここ
で、ベッドユニット10の前端部は、ベッドケース50
の前端部の下端にヒンジ機構を介して開閉可能に枢支さ
れた保護カバー66で覆われている。
【0032】ここで、全回転釜59を前後方向に位置調
節可能に枢支する枢支構造について簡単に説明する。前
記取付けブロック56の円筒状部分の直ぐ内側には、円
筒状のベアリングケース70が前後方向に摺動可能に設
けられ、このベアリングケース70内には、ベアリング
71が圧入されている。そして、取付けブロック56の
左側壁部には、偏心ピン72が取付けられるとともに、
その偏心ピン72の先端のピン部がベアリングケース7
0の左側壁に形成された縦長のピン孔に係合している、
一方、取付けブロック56の右側壁部には、ベアリング
ケース70を固定可能なセットビス73が取り外し可能
に設けられている。
【0033】即ち、セットビス73を緩める一方、偏心
ピン72を時計回り方向又は反時計回り方向に回転させ
ることにより、ピン孔を介してベアリングケース70を
前方又は後方に微小距離(例えば、1〜2mm)だけ移動
して、同時に全回転釜59の位置を前後方向に微調節で
き、針隙を調節することができる。次に、各ベッドユニ
ット10〜12に設けられ、上糸47と下糸48とを切
断する糸切り機構80について、図3、図6に基づいて
簡単に説明する。前記針板52の下面には、可動刃81
が、図6に実線で示す待機位置と、2点鎖線で示す回動
位置とに亙って揺動可能に枢支されている。
【0034】そして、この可動刃81と協働して上糸4
7と下糸48とを切断する為の固定刃82は、可動刃8
1の上側に対向するように針板52の下側に取付けられ
ている。一方、可動刃81に連結された糸切り作動レバ
ー83は、ベッドケース50内を挿通して後方に延びて
いる。そして、ベースフレーム1の左端部に設けられた
糸切りモータ84が駆動されると、その駆動ギヤ85に
噛合する扇形の揺動部材86の揺動を介して糸切り作動
軸87が左右方向に移動し、回動板88を介して糸切り
作動レバー83が前後方向に移動され、可動刃81の回
動により上下両糸47,48が同時に切断される。
【0035】次に、多頭式刺繍ミシンMの制御系の概要
について、図8のブロック図に基づいて説明する。釜駆
動制御以外の刺繍ミシンM全体の制御を司るミシン制御
装置100は、CPU101とROM102及びRAM
103とを含むマイクロコンピュータと、そのマイクロ
コンピュータにデータバスなどのバスを介して接続され
た入力インターフェース(図示略)及び出力インターフ
ェース(図示略)とから構成されている。
【0036】このミシン制御装置100には、ヘッド部
4に関して、針棒ジャンプ用ソレノイド41の為の駆動
回路105と、押え足駆動ソレノイド106の為の駆動
回路107と、糸切れセンサ108が夫々接続され、他
のヘッド部5,6についても同様に接続されている。更
に、ミシン制御装置100には、ミシンモータ110を
駆動する駆動回路111と、ミシンモータ110に設け
られたディスクエンコーダの1回転で1000個のスリ
ット信号を出力する第1エンコーダセンサ112と、こ
の第1エンコーダセンサ112の1回転で1個の主軸原
点信号を出力する主軸原点センサ113と、針棒21の
停止位置(主軸17の約100°の回転位置)を検出す
る停止位置センサ114と、針棒ケース20を移動させ
て駆動する針棒21を変更する針棒変更モータ115の
為の駆動回路116と、X軸駆動モータ117の為の駆
動回路118と、Y軸駆動モータ119の為の駆動回路
120と、縫製開始や種々の指令を指示する為の複数の
スイッチが設けられるとともに、ディスプレイ18aを
有する操作パネル18とが夫々接続されている。
【0037】一方、ミシン制御装置100に接続され、
全回転釜59の駆動制御や糸切断制御を司る釜軸制御装
置150は、CPU151とROM152及びRAM1
53とを含むマイクロコンピュータと、そのマイクロコ
ンピュータにデータバスなどのバスを介して接続された
入力インターフェース(図示略)及び出力インターフェ
ース(図示略)とから構成されている。この釜軸制御装
置150には、ベッドユニット10に関して、釜駆動モ
ータ58の為の駆動回路154と、ディスクエンコーダ
64の1回転で50個のスリット信号を出力する第2エ
ンコーダセンサ65と、このディスクエンコーダ64の
1回転で1個の釜軸同期信号を出力する釜軸原点センサ
155が夫々接続され、他のベッドユニット11,12
についても同様に接続されている。
【0038】更に、釜軸制御装置150には、可動刃8
1の移動位置を検出する移動位置検出センサ156と、
糸切りモータ88の為の駆動回路157とが夫々接続さ
れている。ここで、これらミシン制御装置100、釜軸
制御装置150などで縫製制御手段が構成されている。
また、ミシンモータ110は、インダクションモータか
らなり、インバータ制御される。そして、ミシンモータ
110に設けられたディスクエンコーダの1回転で第1
エンコーダセンサ112から出力される1000個の主
軸回転信号(スリット信号)は、4000パルスに細分
化され、主軸制御パルスとしてモータの駆動制御に用い
られる。
【0039】一方、釜駆動モータ58は、ステッピング
モータからなり、500パルスを受けて1回転し、同時
に全回転釜59も1回転する。そして、釜駆動モータ5
8は、主軸17が1回転する間に2回転するように、倍
速(以下、これを釜軸回転速度Kとする)駆動制御され
る。次に、釜軸制御装置150で実行される縫製制御の
ルーチンについて、図9〜図13のフローチャートに基
づいて説明する。但し、図中符号Si(i=10、1
1、12・・・・)は各ステップである。
【0040】ここで、縫製制御に関する駆動信号やタイ
ミングについてその概略を説明すると、図14,図15
に示すように、縫製開始時には、通常、主軸17は約1
00°の回転位置で停止しており、更に針棒21は針棒
ジャンプ機構40により、その最上位置にジャンプして
停止している。そして、N針分の針落ちデータを有する
刺繍データを刺繍縫いする場合、ミシン制御装置100
からの主軸駆動信号が「H」レベルに切換えられると同
時に、ミシンモータ110の駆動が開始される。ここ
で、この刺繍データには、糸替えの為の糸切りデータが
含まれておらず、N針分の刺繍縫いを順次実行し、最終
のN針目で糸切りを実行するものとする。
【0041】ところで、針棒21は、1針目において、
主軸17の0°のとき、つまり針棒21の最上位置のと
きに、自動的に上下動部材27に連結されるので、縫い
始めにおける上糸47の引き込み動作(ピッカー動作)
をしない場合には、2針目以降から縫目が形成される。
そして、N針目の最終縫目において、主軸17の約26
0°のときに、主軸駆動信号が「L」レベルに切換えら
れるとともに、糸切り信号が出力され、その後主軸17
の270°〜440°(88°)に亙って糸切り動作が
実行され、その直後の主軸17の460°(100°)
のときに、主軸17の回転が実際に停止される。
【0042】前記操作パネル18の縫製開始スイッチが
操作されると、この制御が開始され、先ず主軸・釜軸初
期設定処理(図10参照)が実行される(S10)。この
制御が開始されると、先ず停止位置センサ114からの
停止位置信号が読み込まれて、主軸17が停止位置、つ
まり、前回の縫製処理が終了して糸切断した状態のとき
には、通常「100°」の初期設定位置のときであり、
この停止位置のときには(S20:Yes )、釜軸60の回
転位置は、主軸17の約13°(193°)に相当する
回転位置なので、釜軸同期信号が釜軸原点センサ155
から出力されるときの回転位置に戻す為に、釜駆動モー
タ58が1パルス分だけ逆転駆動され(S21)、釜軸原
点センサ155から釜軸同期信号が出力されないときに
は(S22:No)、S21〜S22が繰り返して実行され、釜
軸60が、図14に示すように、主軸17の回転開始位
置である初期設定位置(180°)に対応する初期設定
位置に回動したときには(S22:Yes )、この制御を終
了して、釜軸駆動制御のS11にリターンする。
【0043】ところで、主軸17が停止位置でないとき
には(S20:No)、ミシン制御装置100により、ディ
スプレイ18aに、その旨のエラーメッセージが表示さ
れるので、オペレータが主軸17の端部に設けられた手
動操作用のプーリを手動で廻すことで、主軸17を所定
の停止位置まで回転させる。次に、縫製制御において、
ミシン制御装置100から「H」レベルの主軸駆動信号
が出力されないとき、つまり縫製を開始しないときには
(S11:No)、縫製が開始されるまで、このS11を繰り
返して待機される。そして、縫製開始開始スイッチが操
作された縫製開始に際して、ミシン制御装置100から
「H」レベルの主軸駆動信号が出力されたときには(S
11:Yes )、ミシンモータ110が同時に回転駆動さ
れ、主軸17が100°の回転位置から駆動される。
【0044】そして、図15に示すように、縫製開始後
の1針目において、主軸17が約170°まで回転し
て、主軸原点センサ113から主軸同期信号が出力され
たときに(S12:Yes )、各刺繍ミシンM1〜M3のベ
ッドユニット10〜12設けられた釜駆動モータ58を
主軸17に同期させて駆動することで縫製する縫製処理
制御(図11参照)が実行される(S13)。この制御が
開始されたときに、ミシン制御装置100からの主軸駆
動信号が「H」レベルで、縫製中のときには(S25:Ye
s )、1針目から最終のN針目の縫い動作のときまで、
つまり主軸駆動信号が「L」レベルになって縫製処理が
終了するまで、釜軸同期駆動処理制御(図12参照)が
繰り返して実行されて、縫い動作が1針毎に順々に行わ
れる(S26)。
【0045】次に、その釜軸同期駆動処理制御について
説明する。この制御が開始されると、第1エンコーダセ
ンサ112から出力される主軸回転信号を常にカウント
することで、主軸17の回転位置が読み込まれ(S3
0)、その主軸17の回転に同期させる為に、釜軸60
を1ステップ分駆動するタイミングのときには(S31:
Yes )、釜駆動モータ58を1ステップ分回転駆動され
る(S32)。
【0046】次に、釜軸60の回転を確認するために、
釜駆動モータ58の駆動ステップ数をカウントするカウ
ンタのカウント値Iが1つインクリメントされ(S3
3)、第2エンコーダセンサ65からの釜軸回転信号が
変化しないときに(S34:No)、カウント値Iが所定カ
ウント値P(例えば、10〜15)以下のときには(S
35:Yes )、この制御を終了して縫製制御のS25にリタ
ーンする。一方、釜軸回転信号が変化したときには(S
34:Yes )、釜軸60が確実に駆動していることから、
そのカウント値Iがクリアされ(S36)、同様にS25に
リターンする。
【0047】ところで、これらベッドユニット10〜1
2の何れかにおいて糸噛みが発生したことにより、その
糸噛みが発生した全回転釜59を駆動する釜駆動モータ
58の同期がずれることで、カウント値Iが所定カウン
ト値Pよりも大きくなったとき、つまり所定量以上の同
期ズレが検出されたときには(S35:No)、緊急停止処
理制御(図13参照)が実行される(S37)。ここで、
これらS33〜35で同期ズレ検出手段が構成され、また緊
急停止処理制御が緊急停止制御手段に相当する。この制
御が開始されると、刺繍ミシンM1〜M3に設けられた
全ての針棒ジャンプ用ソレノイド41が所定時間だけ駆
動される(S40)。これにより、上下動部材27がジャ
ンプ位置に回動して、各刺繍ミシンM1〜M3の針棒2
1が針上位置にジャンプ作動する。
【0048】同時に、ミシン制御装置100に対して、
ミシンモータ110の駆動を停止させる為に主軸駆動停
止指令が出力される(S41)。これにより、ミシン制御
装置100から駆動回路111にブレーキ作動信号が出
力され、ミシンモータ110が緊急停止される。次に、
ミシン制御装置100に対して、緊急停止した旨のエラ
ーメッセージをディスプレイ18aに表示させる表示指
令が出力される(S42)。そして、第1エンコーダセン
サ112から出力される主軸回転信号に基づいて、主軸
17の回転が停止していないときには(S43:No)、そ
の主軸17の回転が停止するまで、ミシン制御装置10
0に対して、同期ズレが検出されない正常な釜駆動モー
タ58をミシンモータ110に対して同期回転駆動する
ように指令されるのと同時に、同期ズレが検出された異
常な釜駆動モータ58を駆動停止するように指令される
(S44)。
【0049】即ち、その緊急停止時においては、同期ズ
レが検出されない釜駆動モータ58をミシンモータ11
0に同期させながら、つまり縫針22の上下動に調時さ
せながら停止するように駆動するので、針棒21のジャ
ンプ作動が遅れた場合でも、縫針22と糸輪捕捉用釜と
の衝突を確実に回避することができる。また、異常時に
同期ズレが検出された釜駆動モータ58を即座に停止さ
せるので、その釜駆動モータ58の無理な駆動を防止で
きるとともに、糸噛み状態が更に悪化するのを防止でき
る。
【0050】次に、この緊急停止により、主軸17が縫
製開始の為の所定の開始位置約100°でない任意の位
置で停止する場合が殆どなので、オペレータはエラーメ
ッセージに基づいて、手動操作用のプーリを手動で廻す
ことで、主軸17を所定の停止位置まで回転させる。こ
れにより、主軸17がその約100°の停止位置に位置
しないときには(S46:No)、その停止位置に位置する
まで、ミシン制御装置100に対して、同期ズレが検出
されない正常な釜駆動モータ58をミシンモータ110
に対して同期回転駆動するように指令されるのと同時
に、同期ズレが検出された異常な釜駆動モータ58を停
止状態に保持するように指令される(S47)。
【0051】即ち、同期ズレが検出されない釜駆動モー
タ58をミシンモータ110に同期させながら駆動する
ので、主軸17が緊急停止したときに、天秤が下降した
状態であり、全回転釜59に上糸ループ47aが形成さ
れている場合であっても、主軸17の手動操作による停
止位置への回転に伴って、釜駆動モータ58が同期しな
がら回転するので、その上糸ループ47aが全回転釜5
9から外れて、通常の糸引き締めによる縫目形成が実行
されることになり、針板の下側に余分な上糸が残存しな
くなる。これにより、糸噛みなどが発生することなく縫
製を再開することができる。また、同期ズレが検出され
た釜駆動モータ58を停止状態に保持するので、糸噛み
状態の全回転釜59に連結された釜駆動モータ58の無
理な駆動を防止できるとともに、糸噛み状態が更に悪化
するのを防止できる。
【0052】次に、オペレータが糸噛みが生じた全回転
釜59の糸噛みが取り除かれ(S48)、終了スイッチを
操作するなどしてエラー状態が解除されたときには(S
49:Yes )、この制御を終了して、縫製制御のS10にリ
ターンする。そして、S10以降が実行されて、縫製制御
が再開される。ところで、最終縫目のときに、ミシン制
御装置100からの指令で、糸切断を実行しないときに
は(S14:No)、主軸17が「360°」になるまで釜
軸同期駆動処理制御が実行され(S16、S17:No)、剣
先59cが縫針22に衝突しないように、主軸17が
「360°」の回転位置になったときには(S17:Yes
)、S10に戻る。一方、糸切断を実行するときには
(S14:Yes )、主軸17の「270°」の回転位置か
ら、前述した糸切り機構80により糸切断処理が実行さ
れ(S15)、S10に戻る。
【0053】このように、複数の刺繍ミシンM1〜M3
を有する多頭式刺繍ミシンMであって、その共通のミシ
ンモータ110で共通の主軸17を介して駆動される縫
針22と、縫針22と協働して糸輪を捕捉する全回転釜
59とその全回転釜59をミシンモータ110とは独立
に回転駆動する釜駆動モータ58とを有するベッドユニ
ット10〜12とを複数組み備えた多頭式刺繍ミシンM
において、縫製中に何れかのベッドユニット10〜12
の釜駆動モータ58において、糸噛みなどにより同期ズ
レが検出された異常時の緊急停止においては、同期ズレ
が検出されない釜駆動モータ58をミシンモータ110
に同期させながら、つまり縫針22の上下動に調時させ
ながら、主軸17が停止するまで駆動するので、針棒2
1のジャンプ作動が遅れた場合でも、縫針22と全回転
釜59との衝突を確実に回避することができる。また、
その異常時の緊急停止においては、同期ズレが検出され
た釜駆動モータ58を即座に停止させるので、その釜駆
動モータ58の無理な駆動を防止できるとともに、糸噛
み状態が更に悪化するのを防止できる。
【0054】一方、同期ズレが検出された異常時に主軸
17が緊急停止された後に、手動操作用のプーリを操作
して主軸17が所定の停止位置まで回転されるときに
は、同期ズレが検出されないベッドユニット10〜12
の釜駆動モータ58をミシンモータ110に対して同期
させながら回転させるので、緊急停止時に全回転釜59
に上糸ループ47aが形成されている場合でも、通常の
糸引き締めによる縫目形成が実行されることになり、針
板52の下側に余分な上糸47が残存しないことから、
糸噛みなどが発生することなく縫製を再開することがで
きる。また、同期ズレが検出された釜駆動モータ58を
停止状態に保持するので、糸噛み状態の全回転釜59に
連結された釜駆動モータ58の無理な駆動を防止できる
とともに、糸噛み状態が更に悪化するのを防止できる。
【0055】ここで、前期実施形態の変更態様として、
緊急停止制御のS45において、主軸17を手動操作で
回転させることなく、自動的にミシンモータ110を低
速回転させることにより、主軸17を停止位置まで回転
させるようにしてもよい。また、S41において、主軸
17を100°の初期設定位置で停止するための停止指
令を出力して、S44において、主軸17が100°で
停止するような制御を追加するようにしてもよい
【0056】また、前記実施形態の変更態様として、緊
急停止制御のS44において、同期ズレが検出された釜駆
動モータ58を、同期ズレが検出されない釜駆動モータ
58と同様にミシンモータ110に同期させながら駆動
するようにしてもよい。また、緊急停止制御のS45にお
いて、主軸17は、縫針22が上昇する約100°の位
置まで手動操作で回転されるので、S47において、同期
ズレが検出されない釜駆動モータ58を正回転方向に、
主軸の停止位置に対応する所定の縫製開始位置まで回転
させるように制御してもよい。更に、前記釜モジュール
55は、全回転釜59に代えて半回転釜を用いたもので
もよい。
【0057】更に、前記実施形態に関し、既存の技術や
当業者に自明の技術に基づいて種々の変更を加えること
もあり得る。また、1台の刺繍ミシンを備え、糸輪捕捉
用釜をミシンモータとは独立に駆動するようにした各種
のミシンに本発明を適用し得ることは勿論である。
【0058】
【発明の効果】請求項1の多頭式ミシンによれば、複数
の縫製手段を有する多頭式ミシンであって、その共通の
ミシンモータで共通の主軸を介して駆動される縫針と、
縫針と協働して糸輪を捕捉する糸輪捕捉用釜と糸輪捕捉
用釜をミシンモータとは独立に回転駆動する釜駆動モー
タとを有するベッド部とを複数組み備えた多頭式ミシン
において、縫製制御手段と、同期ズレ検出手段と、緊急
停止制御手段とを備え、縫製中に何れかの縫製手段で同
期ズレが検出された異常時には、主軸の回転が停止する
まで、少なくとも同期ズレが検出されない縫製手段にお
ける釜駆動モータがミシンモータに対して同期回転され
るので、その緊急停止時における縫針と糸輪捕捉用釜と
の衝突を回避することができる。
【0059】また、前記緊急停止制御手段は、異常時に
おける主軸の停止後に主軸が手動操作で回転されるとき
には、少なくとも同期ズレが検出されない縫製手段にお
ける釜駆動モータをミシンモータに対して同期回転させ
るように縫製制御手段に指令するので、緊急停止時に糸
輪捕捉用釜に上糸ループが形成されている場合でも、通
常の糸引き締めによる縫目形成が実行されることにな
り、針板の下側に余分な上糸が残存しないことから、糸
噛みなどが発生することなく縫製を再開することができ
る。
【0060】
【0061】請求項の多頭式ミシンによれば、段落0
058と同様の効果を奏するが、前記緊急停止制御手段
は、異常時における主軸の停止動作時、もしくは異常時
における主軸の停止後に、主軸が縫製開始のための所定
の回転位置に駆動停止するように縫製制御手段に指令す
るとともに、その駆動時には少なくとも同期ズレが検出
されない縫製手段における釜駆動モータをミシンモータ
に対して同期回転させるように縫製制御手段に指令する
ので、通常の糸引き締めによる縫い目形成が実行される
ことになり、針板の下側に余分な上糸が残存しないこと
から、糸噛みなどが発生することなく縫製を再開するこ
とができる。
【0062】
【0063】請求項の多頭式ミシンによれば、複数の
縫製手段を有する多頭式ミシンであって、その共通のミ
シンモータで共通の主軸を介して駆動される縫針と、縫
針と協働して糸輪を捕捉する糸輪捕捉用釜と糸輪捕捉用
釜をミシンモータとは独立に回転駆動する釜駆動モータ
とを有するベッド部とを複数組み備えた多頭式ミシンに
おいて、縫製制御手段と、同期ズレ検出手段と、緊急停
止制御手段とを備え、縫製中に何れかの縫製手段で同期
ズレが検出された異常時における主軸の停止後に、主軸
が手動操作もしくは自動で回転されるときには、少なく
とも同期ズレが検出されない縫製手段における釜駆動モ
ータをミシンモータに対して同期回転させるように縫製
制御手段に指令するので、請求項と同様の効果が得ら
れる。
【0064】また、前記緊急停止制御手段は、主軸の手
動操作時もしくは自動回転時に、同期ズレが検出された
縫製手段における釜駆動モータを停止状態に保持するよ
うに縫製制御手段に指令するので、糸噛みにより同期ズ
レが発生した縫製手段の釜駆動モータの無理な駆動を防
止できるとともに、糸噛み状態が悪化するのを防止でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】多頭式刺繍ミシンの斜視図である。
【図2】針棒ジャンプ機構を含む針棒上下動機構の概略
斜視図である。
【図3】作業用テーブル及びベッドユニットを示す要部
平面図である。
【図4】釜モジュールを設けたベッドユニットの部分平
面図である。
【図5】釜モジュールを設けたベッドユニットの部分縦
断側面図である。
【図6】ベッドユニットの先端部の部分拡大平面図であ
る。
【図7】主軸が約300°のときの全回転釜の正面図で
ある。
【図8】多頭式刺繍ミシンの制御系のブロック図であ
る。
【図9】縫製制御のルーチンの概略フローチャートであ
る。
【図10】主軸・釜軸初期設定処理制御のルーチンの概
略フローチャートである。
【図11】縫製処理制御のルーチンの概略フローチャー
トである。
【図12】釜軸同期駆動処理制御のルーチンの概略フロ
ーチャートである。
【図13】緊急停止処理制御のルーチンの概略フローチ
ャートである。
【図14】N針分の刺繍データの縫製に関して出力され
る各種の信号のタイムチャートである。
【図15】針棒と天秤の運動曲線と釜糸糸量曲線と全回
転釜の回転位置とを主軸の回転位置に対応して示す説明
図である。
【符号の説明】 M 多頭式刺繍ミシン M1〜M3 刺繍ミシン 10〜12 ベッドユニット 17 主軸 22 縫針 58 釜駆動モータ 59 全回転釜 100 ミシン制御装置 110 ミシンモータ 150 釜軸制御装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−347192(JP,A) 特開 平3−234292(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D05B 1/00 - 97/12

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の縫製手段を有する多頭式ミシンで
    あって、その共通のミシンモータで共通の主軸を介して
    駆動される縫針と、縫針と協働して糸輪を捕捉する糸輪
    捕捉用釜と糸輪捕捉用釜をミシンモータとは独立に回転
    駆動する釜駆動モータとを有するベッド部とを複数組み
    備えた多頭式ミシンにおいて、 前記ミシンモータと複数の釜駆動モータとを同期作動さ
    せるように制御する縫製制御手段と、 前記各縫製手段における糸輪捕捉用釜と縫針との相対的
    な同期ズレを検出する同期ズレ検出手段と、 前記同期ズレ検出手段で同期ズレが検出された異常時
    に、縫製制御手段に対して主軸の回転停止を指令すると
    ともに、主軸の回転が停止するまで、少なくとも同期ズ
    レが検出されない縫製手段における釜駆動モータをミシ
    ンモータに対して同期回転させるように縫製制御手段に
    指令する緊急停止制御手段とを備え、 前記緊急停止制御手段は、異常時における主軸の停止後
    に主軸が手動操作で回転されるときには、少なくとも同
    期ズレが検出されない縫製手段における釜駆動モータを
    ミシンモータに対して同期回転させるように縫製制御手
    段に指令する ことを特徴とする多頭式ミシン。
  2. 【請求項2】 複数の縫製手段を有する多頭式ミシンで
    あって、その共通のミシンモータで共通の主軸を介して
    駆動される縫針と、縫針と協働して糸輪を捕捉する糸輪
    捕捉用釜と糸輪捕捉用釜をミシンモータとは独立に回転
    駆動する釜駆動モータとを有するベッド部とを複数組み
    備えた多頭式ミシンにおいて、 前記ミシンモータと複数の釜駆動モータとを同期作動さ
    せるように制御する縫製制御手段と、 前記各縫製手段における糸輪捕捉用釜と縫針との相対的
    な同期ズレを検出する同期ズレ検出手段と、 前記同期ズレ検出手段で同期ズレが検出された異常時
    に、縫製制御手段に対して主軸の回転停止を指令すると
    ともに、主軸の回転が停止するまで、少なくとも 同期ズ
    レが検出されない縫製手段における釜駆動モータをミシ
    ンモータに対して同期回転させるように縫製制御手段に
    指令する緊急停止制御手段とを備え、 前記緊急停止制御手段は、異常時における主軸の停止動
    作時、もしくは異常時における主軸の停止後に、主軸が
    縫製開始のための所定の回転位置に駆動停止するように
    縫製制御手段に指令するとともに、その駆動時には少な
    くとも同期ズレが検出されない縫製手段における釜駆動
    モータをミシンモータに対して同期回転させるように縫
    製制御手段に指令することを特徴とする多頭式ミシン。
  3. 【請求項3】 複数の縫製手段を有する多頭式ミシンで
    あって、その共通のミシンモータで共通の主軸を介して
    駆動される縫針と、縫針と協働して糸輪を捕捉する糸輪
    捕捉用釜と糸輪捕捉用釜をミシンモータとは独立に回転
    駆動する釜駆動モータとを有するベッド部とを複数組み
    備えた多頭式ミシンにおいて、 前記ミシンモータと複数の釜駆動モータとを同期作動さ
    せるように制御する縫製制御手段と、 前記各縫製手段における糸輪捕捉用釜と縫針との相対的
    な同期ズレを検出する同期ズレ検出手段と、 前記同期ズレ検出手段で同期ズレが検出された異常時に
    おける主軸の停止後に主軸が手動操作もしくは自動で回
    転されるときには、少なくとも同期ズレが検出されない
    縫製手段における釜駆動モータをミシンモータに対して
    同期回転させるように縫製制御手段に指令する緊急停止
    制御手段とを備え、 前記緊急停止制御手段は、前記主軸の手動操作時もしく
    は自動回転時に、同期ズレが検出された縫製手段におけ
    る釜駆動モータを停止状態に保持するように縫製制御手
    段に指令する ことを特徴とする多頭式ミシン。
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