JP2000279665A - ミシン - Google Patents

ミシン

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JP2000279665A
JP2000279665A JP11091363A JP9136399A JP2000279665A JP 2000279665 A JP2000279665 A JP 2000279665A JP 11091363 A JP11091363 A JP 11091363A JP 9136399 A JP9136399 A JP 9136399A JP 2000279665 A JP2000279665 A JP 2000279665A
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sewing machine
sewing
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needle
speed
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JP11091363A
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Masaki Shimizu
正樹 清水
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Brother Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 何れの縫製速度であっても、剣先による出合
いタイミングを縫針の出合いタイミングに合わせるよう
に釜駆動モータの回転位相を補正でき、上糸が切れたり
目飛びすることなく、縫製作業の能率化が図れ、奇麗な
縫目形成が可能なこと、等である。 【解決手段】 高速で縫製処理するときに、針棒駆動機
構や針棒ジャンプ機構を介してミシンモータでミシン主
軸により高速で上下駆動される針棒のイナーシャが大き
くなり、剣先が上糸ループに出合う出合いタイミングに
おける針棒の上下動位相に遅れが生じることになるが、
釜軸同期制御において、ミシン主軸の回転速度に応じて
求めた位相差指令パルスPと、現在位相差パルスQとに
基づいて(S33:Q<P)、ミシン主軸に対する釜駆動
モータの回転位相を遅らせるとともに、ミシンモータの
回転速度の増大に応じて釜駆動モータの回転位相の位相
遅れ量を大きくするので(S34〜S36)、縫製速度に関
係なく、糸輪捕捉用釜に対する縫針の位相遅れを確実に
解消することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、ミシン主軸と糸
輪捕捉用釜とを相互に独立に駆動しつつ、ミシン主軸を
駆動するミシンモータと糸輪捕捉用釜を駆動する釜駆動
モータの一方を他方に同期させて駆動制御するミシンに
関し、特に糸輪捕捉用釜の回転位相をミシン主軸の回転
位相に対して相対的に遅らせるように制御することで、
糸輪捕捉用釜に対する縫針の位相遅れを解消するように
し、剣先が上糸ループに出合うタイミングを補正するよ
うにしたものに関する。
【0002】
【従来の技術】 従来、直線縫いやジグザグ縫い等の実
用縫いが可能な通常のミシンのミシン本体は、ベッド部
と脚柱部とアーム部及びヘッド部とを主体として構成さ
れ、アーム部内にミシンモータで駆動されるミシン主軸
が配設され、ヘッド部の針棒と縫針と天秤とがミシン主
軸の駆動力でリンク機構を介して上下駆動される。ま
た、ベッド部内には下軸及び縫針と協働する糸輪捕捉用
釜が配設され、糸輪捕捉用釜も下軸を介してミシン主軸
からの駆動力で回転駆動される。即ち、縫針と糸輪捕捉
用釜とを同期作動させる必要から、糸輪捕捉用釜もミシ
ン主軸で駆動するように構成してある。
【0003】ところで、本願出願人は、特開平9−23
9173号公報などにおいて、ミシンモータでミシン主
軸を介して縫針を駆動するとともに、糸輪捕捉用釜(全
回転釜)を専用の駆動モータでミシン主軸とは独立に駆
動することにより、糸輪捕捉用釜をミシン主軸に同期駆
動させつつ、縫製条件に応じて糸輪捕捉用釜の時々刻々
の回転状態を制御することができるミシンを提案した。
即ち、この種の糸輪捕捉用釜を独立駆動する独立駆動型
のミシンにおいては、ミシンモータの駆動軸に取付けた
円盤状のエンコーダディスクを介してエンコーダ信号発
生器からパルス状のエンコーダ信号が出力される毎に、
糸輪捕捉用釜を駆動させるタイミングのときには、釜駆
動モータを駆動パルスでステップ駆動させることで、糸
輪捕捉用釜をミシン主軸に同期させて駆動制御できるよ
うにしてある。
【0004】また、前述した独立駆動型の刺繍ミシンに
おいては、加工布を保持する保持枠をXY座標系のX軸
方向とY軸方向とに移動駆動する保持枠駆動機構を設け
るとともに、前記ミシン主軸に、針棒を上下動させる針
棒駆動機構を連結させるとともに、その針棒駆動機構
に、針棒をその最上位置に強制的にジャンプさせる針棒
ジャンプ機構が連結されている。即ち、糸色の異なる刺
繍糸に変更するとき、或いは、縫目ピッチが大きい布送
りのときに、この針棒ジャンプ機構を作動させるように
なっている。
【0005】ここで、一般的な針棒ジャンプ機構につい
て簡単に説明しておくと、針棒はミシン主軸に連動して
駆動される針棒駆動機構の連結部に係脱可能な合成樹脂
性のジャンプ体を固定しており、縫製時には、針棒はそ
の連結部とジャンプ体との係合を介して針棒駆動機構に
より上下動されるが、色替え等による針棒ジャンプに際
しては、その連結部が電気的アクチュエータで揺動さ
れ、針棒はこれに設けたコイルバネのバネ力によりその
最上位置に強制的にジャンプするようになっている。
【0006】そして、刺繍模様の刺繍データに基づいて
刺繍縫製を実行するときは、予め設定された速度(例え
ば、1000回転/分)となるように速度制御されるととも
に、縫目ピッチが大きいときには、その縫製速度を低速
に制御したり、針棒ジャンプ機構を作動させるようにし
ている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】 前述したように、一
般的な針棒ジャンプ機構を備えた独立駆動型の刺繍ミシ
ンにおいては、刺繍模様の刺繍データに基づいて刺繍縫
製を実行するときに、例えば1000回転/分のように、縫
製速度が高速の場合には、針棒は針棒駆動機構や針棒ジ
ャンプ機構を介して高速で上下駆動されることから、針
棒のイナーシャが大きくなり、針棒駆動機構に有する駆
動系のガタや遊び量が増大するだけでなく、更には針棒
ジャンプ機構におけるジャンプ体の弾性変形による連結
部とジャンプ体の隙間が増大するようになるので、針棒
の上下動位相にミシン主軸の所定の回転位相に対する位
相遅れが生じる。
【0008】一方、糸輪捕捉用釜(全回転釜)は、エン
コーダ信号発生器からのエンコーダ信号に基づいてミシ
ン主軸に常に同期駆動制御されているので、その結果と
して、縫製動作中における糸輪捕捉用釜に対する縫針の
上下動に位相遅れが発生し、その位相遅れは縫製速度の
増大に応じて顕著になり、縫針がその最下位置から約2
mm上昇した縫針の出合いタイミングが、ミシン主軸と同
期して正規の回転位相で回転する糸輪捕捉用釜の剣先が
縫針の目孔から延びる上糸ループを捕捉する出合いタイ
ミングよりも遅れることから、その上糸ループが拡大さ
れるまでに剣先が通過するときに上糸が剣先で切断され
たり、目飛びが発生するという問題がある。
【0009】本発明の目的は、何れの縫製速度であって
も、剣先による出合いタイミングを縫針の出合いタイミ
ングに合わせるように補正でき、上糸が切れたり目飛び
することなく、縫製作業の能率化を図り、奇麗な縫目形
成が可能なミシンを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】 請求項1のミシンは、
ミシンモータでミシン主軸を介して駆動される縫針と、
縫針と協働して縫針の目孔から延びる上糸のループを捕
捉する剣先を有する糸輪捕捉用釜と、この糸輪捕捉用釜
をミシンモータとは独立に回転駆動する釜駆動モータ
と、ミシンモータと釜駆動モータの一方を他方に同期さ
せて駆動制御する同期駆動制御手段とを備えたミシンに
おいて、同期駆動制御手段は、ミシンの運転条件に応じ
て、剣先が上糸ループに出合う出合いタイミングにおけ
る釜駆動モータとミシン主軸の回転位相とに位相差を発
生させる位相変更手段を備えたものである。
【0011】縫針を取付けた針棒はリンク機構などから
なる針棒駆動機構を介してミシン主軸に上下動可能に連
結されているので、ミシンモータでミシン主軸が回転駆
動されることにより、縫針はこれらミシン主軸に連動さ
れた針棒駆動機構と針棒とを介して上下駆動される。そ
して、同期駆動制御手段により、ミシンモータと釜駆動
モータの何れか一方が他方に同期するように駆動制御さ
れている。ここで、その針棒駆動機構に、針棒をその最
上位置に強制的にジャンプさせる針棒ジャンプ機構が連
結されている場合には、高速で縫製処理するときに、高
速で上下駆動される針棒のイナーシャが大きくなり、針
棒駆動機構に有する駆動系のガタや遊び量が増大するだ
けでなく、針棒ジャンプ機構におけるジャンプ体の弾性
変形による連結部とジャンプ体の隙間が増大することか
ら、縫製速度等の運転条件に応じて、剣先が上糸ループ
に出合う出合いタイミングにおける針棒の上下動位相が
遅れることになる。
【0012】このとき、位相変更手段により、ミシンの
運転条件に応じて、剣先が上糸ループに出合う出合いタ
イミングにおける釜駆動モータとミシン主軸の回転位相
とに位相差を発生させるように、つまり糸輪捕捉用釜の
回転位相をミシン主軸の回転位相に対して相対的に遅ら
せるように位相変更制御されるので、縫針の位相遅れを
確実に解消して、上糸ループが充分に形成されてから剣
先が出合うようになり、上糸が切れたり目飛びすること
なく、縫製作業の能率化を図ることができ、奇麗な縫目
形成が可能になる。
【0013】ここで、前記ミシンモータの回転速度を検
知する速度検知手段とミシンモータの回転速度を指令す
る速度指令手段との少なくとも一方を設け、位相変更手
段は、速度検知手段もしくは速度指令手段から回転速度
を受け、縫製動作中における糸輪捕捉用釜に対する縫針
の位相遅れを解消するように、ミシン主軸に対する釜駆
動モータの回転位相を遅らせるとともに、ミシンモータ
の回転速度の増大に応じてその位相遅れ量を大きくする
場合(請求項1に従属の請求項2)には、縫製動作中に
おいては前述したように、出合いタイミングにおける針
棒の上下動位相に遅れが生じるが、速度検知手段もしく
は速度指令手段から受ける回転速度に基づいて、ミシン
主軸に対する釜駆動モータの回転位相を遅らせるととも
に、ミシンモータの回転速度の増大に応じてその位相遅
れ量を大きくするので、糸輪捕捉用釜に対する縫針の位
相遅れを確実に解消することができる。
【0014】ここで、前記位相変更手段は、釜駆動モー
タを駆動する所定数のパルス毎に位相差を変更する場合
(請求項1又は2に従属の請求項3)には、釜駆動モー
タに駆動パルスを供給させることでミシンモータに同期
駆動させながら、その駆動パルスが、例えば「10」パ
ルス供給される毎に駆動パルスを「1」パルス分だけ、
間引いたり追加するようにして、位相差が大きくなるよ
うに又は小さくなるように変更するので、糸輪捕捉用釜
の回転の円滑化を図りながら位相差を変更することがで
きる。
【0015】ここで、前記釜駆動モータの回転速度を検
知する速度検知手段とミシンモータの回転速度を指令す
る速度指令手段との少なくとも一方を設け、位相変更手
段は、速度検知手段もしくは速度指令手段から回転速度
を受け、縫製動作中における糸輪捕捉用釜に対する縫針
の位相遅れを解消するように、釜駆動モータに対するミ
シン主軸の回転位相を進ませるとともに、釜駆動モータ
の回転速度の増大に応じてその位相進み量を大きくする
場合(請求項1に従属の請求項4)には、縫製動作中に
おいては前述したように、出合いタイミングにおける針
棒の上下動位相に遅れが生じるが、速度検知手段もしく
は速度指令手段から受ける回転速度に基づいて、釜駆動
モータに対するミシン主軸の回転位相を進ませるととも
に、釜駆動モータの回転速度の増大に応じてその位相進
み量を大きくするので、糸輪捕捉用釜に対する縫針の位
相遅れを確実に解消することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態につい
て、図面に基づいて説明する。本実施形態は、3台の刺
繍ミシンを備え、各刺繍ミシンにおいては、糸輪捕捉用
の全回転釜を、ミシンモータとは独立に釜駆動モータで
回転駆動するようにした多頭型刺繍ミシンに本発明を適
用した場合のものである。この多頭型刺繍ミシンMにつ
いて説明すると、図1に示すように、左右方向に延びる
ベースフレーム1の上面の後部側には、左右方向に所定
長さを有する平面視略矩形状のミシン支持板2が配設さ
れ、このミシン支持板2の後端部分には、左右方向に延
びる支持フレーム3が立設され、この支持フレーム3
に、3つのヘッド部4〜6が所定間隔毎に左右方向に並
設されるとともに、ミシン支持板2の前端部に位置する
ベースフレーム1には、これらヘッド部4〜6の各々に
対応させて、ベッドユニット10〜12に構成されたシ
リンダ状のベッド部7〜9の各後端部が夫々支持されて
いる。
【0017】即ち、支持フレーム3に設けられたへッド
部4〜6と、独立構造のベッドユニット10〜12とか
らなる3台の多針式刺繍ミシンM1〜M3が並設されて
いる。これら刺繍ミシンM1〜M3のヘッド部4〜6の
各々の前端部には、左右方向に1列状に配列された12
本の針棒21を上下動可能に支持するとともに、12個
の天秤23を揺動可能に支持する針棒ケース20が左右
方向移動可能に夫々支持され、各針棒ケース20は、針
棒変更モータ115(図8参照)で駆動される針棒変更
機構(図示略)により、一斉に左右方向に移動されて、
刺繍縫いの糸色を同時に変更可能になっている。
【0018】また、ミシン支持板2の前側でベッドユニ
ット10〜12の上面と同一高さになるように、作業用
テーブル13が水平に配設され、この作業用テーブル1
3を含み、この作業用テーブル13の左右両側に設けら
れた補助テーブル14,15に亙って、左右方向に延び
る平面視矩形枠状の可動枠16が載置されている。そし
て、この可動枠16の左端部の駆動枠部16aがX軸駆
動機構(図示略)によりX軸方向(左右方向)に移動駆
動されるとともに、その右端部の駆動枠部16bとこの
駆動枠部16aとがY軸駆動機構(図示略)によりY軸
方向(前後方向)に移動駆動される。
【0019】従って、可動枠16は、X軸駆動モータ1
17(図8参照)で駆動されるX軸駆動機構とY軸駆動
モータ119(図8参照)で駆動されるY軸駆動機構と
により、XY平面上を移動可能になっている。また、補
助テーブル15の後側には、刺繍縫製に関するメッセー
ジを表示するディスプレイ18aを有し、種々の指令を
実行する為の操作パネル18が設けられている。次に、
各刺繍ミシンM1〜M3毎に設けられ、針棒21を上下
駆動する針棒駆動機構25について、図2に基づいて説
明する。
【0020】各ヘッド部4〜6の先端部には、上下方向
に延びる基針棒26が配設され、この基針棒26はその
上端部及び下端部において、図示外のフレームに支持さ
れている。この基針棒26には、後述の連結ピン34と
係合するように形成された切欠き部27aを有する上下
動部材27が上下動可能に挿嵌され、この上下動部材2
7の下端部に設けられた針棒抱き28は、基針棒26に
上下動可能且つ回転不能に挿嵌されるとともに、上下動
部材27の下端部に、上下動部材27を回転可能に連結
している。そして、この針棒抱き28は、枢支軸29に
揺動可能に枢支された揺動レバー30に連結されたリン
ク31に連結されている。
【0021】一方、各ヘッド部4〜6を共通に挿通して
左右方向向きに配設されたミシン主軸17(以下、主軸
という)に偏心カム32が固着されており、この偏心カ
ム32に外嵌された偏心レバー33の下端部が揺動レバ
ー30に連結されている。ところで、前記12本の針棒
21の各々には、その下端部に縫針22が装着されると
ともに、その高さ方向の略中段部に連結ピン34が夫々
固着されるとともに、この連結ピン34と針棒ケース2
0の支持フレームとの間に圧縮バネ35が外嵌されてお
り、針棒21はこの圧縮バネ35により常に上方の針上
位置に弾性付勢されている。更に、針棒ケース20が左
右方向に移動したときに、上下動部材27に対向する針
棒21の連結ピン34が、上下動部材27の切欠き部2
7aに選択的に係合されるようになっている。
【0022】これにより、ミシンモータ110の所定回
転方向への回転駆動により主軸17が回転されて、偏心
レバー33と揺動レバー30とリンク31とを介して、
上下動部材27と針棒抱き28とが一体的に上下動する
のに伴って、連結ピン34を介して上下動部材27に連
結されている針棒21だけが主軸17に調時して上下に
往復駆動される。次に、各刺繍ミシンM1〜M3毎に設
けられ、針棒21をその最上位置(上死点位置)に強制
的にジャンプさせる針棒ジャンプ機構40について、図
2に基づいて説明する。針棒ケース20内には、水平向
きの針棒ジャンプ用ソレノイド41が設けられるととも
に、平面視略L字状の回動レバー42が鉛直軸回りに回
動可能に針棒ケース20に取付けられている。そして、
その回動レバー42の駆動部42aが針棒ジャンプ用ソ
レノイド41のプランジャーに当接するとともに、その
従動部42bに取付けた上下方向向きの操作軸43が、
上下動部材27に一体形成された突出状の係合突出部2
7bに係合可能になっている。
【0023】更に、上下動部材27は、その上端部に設
けた巻きバネ44により、2点鎖線で示す回動したジャ
ンプ位置から実線で示す通常の連結位置に、平面視にて
時計回りに回動するように、常に弾性付勢されている。
即ち、針棒21が連結ピン34を介して上下動部材27
に連結されているとき、針棒ジャンプ用ソレノイド41
が所定時間だけ駆動されて、そのプランジャーが右方に
突出したとき、回動レバー42が平面視にて時計回りに
回動して、操作軸43と係合突出部27bとを介して、
上下動部材27が2点鎖線で示すジャンプ位置に回動さ
れ、連結ピン34と切欠き部27aとの係合が解除さ
れ、これと同時に、針棒21が圧縮バネ35により最上
位置に一気に移動(ジャンプ作動)するようになってい
る。
【0024】一方、針棒21がその最上位置にジャンプ
した状態で且つ上下動部材27が連結位置に復帰してい
るときに、上下動部材27が下方からその略最上位置の
方向に上昇するときには、上下動部材27は連結ピン3
4に下側から当接して、一時的にジャンプ位置に回動す
るが、巻きバネ44により直ぐに連結位置に回動復帰
し、連結ピン34は切欠き部27aに自動的に連結する
ようになっている。ここで、各ベッド部7〜9に設けら
れた押え足45は、押え足駆動ソレノイド106で駆動
される図示外の押え足駆動機構により、ベッド部7〜9
上の加工布Wを押圧する押え位置と、所定距離上昇した
退避位置とに亙って上下に位置切換え可能になってい
る。
【0025】次に、ベッドユニット10〜12につい
て、図3〜図7に基づいて説明する。ここで、3つのベ
ッドユニット10〜12は同様の構成なので、左端のベ
ッドユニット10について説明する。前後方向に延びる
断面略U字状のベッドケース50は、その後端部におい
て、ミシン支持板2の前端部に位置する左右方向に延び
るベースフレーム1に固着した1対の支持ブラケット5
1に取付けられ、ベッドケース50の前端部分には、釜
モジュール55が着脱可能に固定されている。ここで、
ベッドケース50の上側は、その前端部分において、針
板52で覆われるとともに、針板52に連続するカバー
板53で覆われている。
【0026】次に、釜モジュール55について説明す
る。図4〜図5に示すように、ベッドケース50の前端
部には、取付けブロック56がビス57により着脱可能
に固着され、この取付けブロック56の後端側には、パ
ルスモータからなる釜駆動モータ58が取付けられてい
る。一方、取付けブロック56の前端側には、糸輪捕捉
用の全回転釜59が設けられ、この全回転釜59に固着
された釜軸60は、前後方向に位置調節可能に取付けブ
ロック56に枢支されている。そして、釜軸60の後端
部に取付けた第1連結部材62と、釜駆動モータ58の
駆動軸58aの前端部に取付けた第2連結部材63とが
相互に連結されている。つまり、これら釜軸60と駆動
軸58aとは、両連結部材62,63からなるカップリ
ング61で連結されている。
【0027】ここで、全回転釜59について簡単に説明
すると、図6に示すように、ボビンを収容するボビンケ
ース67を保持する内釜と、この内釜の外側を回転する
外釜59aとからなり、その外釜59aには、上糸47
を引っかけて上糸ループ47cを形成する為の剣先59
bが形成されている。そして、主軸17が約「200 °」
のときに、剣先59bと縫針22の目孔とが出合う出合
いタイミング(図9参照)となり、剣先59bはこの出
合いタイミングのときに、縫針22の目孔から延びる針
側の上糸47を引っかけて、外釜59aの回転により、
内釜と外釜59aとの間を移動する上糸ループ47cを
形成する。
【0028】ところで、前記第2連結部材63には、デ
ィスクエンコーダ64が取付けられ、このディスクエン
コーダ64に形成された複数のスリットを光学的に検出
して、釜軸回転信号を出力するフォトセンサからなる第
2エンコーダセンサ65が取付けブロック56に取付け
られている。そして、釜駆動モータ58の駆動により、
駆動軸58aとカップリング61とを介して釜軸60が
回転駆動されて、全回転釜59が所定の回転方向に、主
軸17に対して2倍の回転速度で回転駆動される。ここ
で、ベッドユニット10の前端部は、ベッドケース50
の前端部の下端にヒンジ機構を介して開閉可能に枢支さ
れた保護カバー66で覆われている。
【0029】ここで、全回転釜59を前後方向に位置調
節可能に枢支する枢支構造について簡単に説明する。前
記取付けブロック56の円筒状部分の直ぐ内側には、円
筒状のベアリングケース70が前後方向に摺動可能に設
けられ、このベアリングケース70内には、ベアリング
71が圧入されている。そして、取付けブロック56の
左側壁部には、偏心ピン72が取付けられるとともに、
その偏心ピン72の先端のピン部がベアリングケース7
0の左側壁に形成された縦長のピン孔に係合している、
一方、取付けブロック56の右側壁部には、ベアリング
ケース70を固定可能なセットビス73が取り外し可能
に設けられている。
【0030】即ち、セットビス73を緩める一方、偏心
ピン72を時計回り方向又は反時計回り方向に回転させ
ることにより、ピン孔を介してベアリングケース70を
前方又は後方に微小距離(例えば、1〜2mm)だけ移動
して、同時に全回転釜59の位置を前後方向に微調節で
き、針隙を調節することができる。次に、各ベッドユニ
ット10〜12に設けられ、上糸47と下糸48とを切
断する糸切り機構80について、図3〜図5、図7に基
づいて説明する。取付けブロック56に固着した固定板
(図示略)は全回転釜59の上側に延び、その固定板に
は、可動刃81が、実線で示す待機位置と、2点鎖線で
示す最大回動位置とに亙って揺動可能に枢支されてい
る。
【0031】そして、この可動刃81と協働して上糸4
7と下糸48とを切断する為の固定刃82は、固定板の
直ぐ上側の針板52の下側に、刃部を前向きにして取付
けられている。また、可動刃81に連結された糸切り作
動レバー83は、ベッドケース50内を挿通して後方に
延びている。即ち、糸切り作動レバー83の前方への移
動により、可動刃81が時計回り方向に回動して、図6
に2点鎖線で示す最大回動位置まで往動した後、糸切り
作動レバー83の後方への移動により、可動刃81が反
時計回り方向に復動する途中において、上糸47と下糸
48とが可動刃81の係合部81aに係合され、その後
可動刃81と固定刃82との協働により上糸47と下糸
48とが同時に切断される。
【0032】次に、前記糸切り機構80を駆動する糸切
り駆動機構85について、図3・図8に基づいて説明す
る。前記糸切り作動レバー83の後端部は、ベッドケー
ス50の後端部に水平回動可能に枢着された平面視略L
字状の回動板86の従動部86aに連結されている。一
方、ベースフレーム1の左端部には、ベースフレーム1
に固着された取付け板87に糸切りモータ88が下側か
ら取付けられ、この糸切りモータ88の駆動ギヤ89に
噛合する扇形の揺動部材90は、段付きボルト91によ
り、取付け板87に回動可能に枢支されている。更に、
この揺動部材90には、板状の連結板92の基端部が取
付けられ、その連結板92の先端部には、左右方向に延
びる糸切り作動軸93の左端部が連結されている。
【0033】そして、その糸切り作動軸93には、回動
板86の駆動部86bが連結されている。これにより、
糸切りモータ88の反時計回り方向の回転により揺動部
材90が所定角度だけ時計回り方向に回動して、連結板
92を介して糸切り作動軸93が所定距離だけ右方へ移
動することにより、回動板86が時計回り方向に回動し
て、糸切り作動レバー83が前方へ移動され、可動刃8
1が最大回動位置まで往動する。その後、糸切りモータ
88の時計回り方向の回転により、糸切り作動軸93の
左方への移動を介して回動板86が反時計回り方向に回
動して、糸切り作動レバー83が後方へ移動され、前述
したように、可動刃81に係合された上糸47と下糸4
8とが、可動刃81と固定刃82により同時に切断され
る。
【0034】ところで、前記揺動部材90の近傍位置の
取付け板87には、フォトセンサからなる移動位置検出
センサ94が取付けられるとともに、揺動部材90に
は、その移動位置検出センサ94を検出作動する遮蔽板
95が取付けられている。即ち、その移動位置検出セン
サ94は、可動刃81の切断位置から最大回動位置まで
の移動範囲に移動しているときには、その遮蔽板95を
検出しないことから、「L」レベルの移動位置検出信号
を出力する一方、可動刃81の切断位置まで復動方向に
移動したときには、遮蔽板95を検出して「H」レベル
の移動位置検出信号を出力する。
【0035】次に、多頭型刺繍ミシンMの制御系の概要
について、図10のブロック図に基づいて説明する。釜
駆動制御以外の刺繍ミシンM全体の制御を司るミシン制
御装置100は、CPU101とROM102及びRA
M103とを含むマイクロコンピュータと、そのマイク
ロコンピュータにデータバスなどのバスを介して接続さ
れた入力インターフェース(図示略)及び出力インター
フェース(図示略)とから構成されている。
【0036】このミシン制御装置100には、ヘッド部
4に関して、針棒ジャンプ用ソレノイド41の為の駆動
回路105と、押え足駆動ソレノイド106の為の駆動
回路107と、糸切れセンサ108が夫々接続され、他
のヘッド部5,6についても同様に接続されている。更
に、ミシン制御装置100には、ミシンモータ110を
駆動する駆動回路111と、ミシンモータ110に設け
られたディスクエンコーダの1回転で1000個のスリ
ット信号を出力する第1エンコーダセンサ112と、こ
の第1エンコーダセンサ112の1回転で1個の主軸原
点信号を出力する主軸原点センサ113が夫々接続され
ている。
【0037】更に、ミシン制御装置100には、針棒2
1の停止位置(主軸17の約100 °の回転位置)を検出
する停止位置センサ114と、針棒ケース20を移動さ
せて駆動する針棒21を変更する針棒変更モータ115
の為の駆動回路116と、X軸駆動モータ117の為の
駆動回路118と、Y軸駆動モータ119の為の駆動回
路120と、縫製開始や種々の指令を指示する為の複数
のスイッチが設けられるとともに、ディスプレイ18a
が設けられた操作パネル18が夫々接続されている。
【0038】一方、ミシン制御装置100に接続され、
全回転釜59の駆動制御や糸切断制御を司る釜軸制御装
置150は、CPU151とROM152及びRAM1
53とを含むマイクロコンピュータと、そのマイクロコ
ンピュータにデータバスなどのバスを介して接続された
入力インターフェース(図示略)及び出力インターフェ
ース(図示略)とから構成されている。この釜軸制御装
置150には、ベッドユニット10に関して、釜駆動モ
ータ58の為の駆動回路154と、ディスクエンコーダ
64の1回転で50個のスリット信号を出力する第2エ
ンコーダセンサ65と、このディスクエンコーダ64の
1回転で1個の釜軸同期信号を出力する釜軸原点センサ
155が夫々接続され、他のベッドユニット11,12
についても同様に接続されている。更に、釜軸制御装置
150には、移動位置検出センサ94と、糸切りモータ
88の為の駆動回路156が夫々接続されている。
【0039】ここで、ミシンモータ110は、インダク
ションモータからなり、インバータ制御される。そし
て、ミシンモータ110に設けられたディスクエンコー
ダの1回転で第1エンコーダセンサ112から出力され
る1000個の主軸回転信号(スリット信号)は、40
00パルスに細分化され、主軸制御パルスとしてモータ
の駆動制御に用いられる。一方、釜駆動モータ58は、
ステッピングモータからなり、500パルスを受けて1
回転し、同時に全回転釜59も1回転する。そして、釜
駆動モータ58は、主軸17が1回転する間に2回転す
るように、倍速(以下、これを釜軸回転速度とする)駆
動制御される。
【0040】次に、釜軸制御装置150で実行される釜
軸駆動制御のルーチンについて、図11〜図14のフロ
ーチャートに基づいて説明する。但し、図中符号Si
(i=10、11、12・・・・)は各ステップであ
る。ここで、ミシン制御装置100から釜軸制御装置1
50に出力される信号について簡単に説明すると、縫製
開始時には、通常、主軸17は約「100 °」の回転位置
で停止しており、更に針棒21は針棒ジャンプ機構40
により、その最上位置にジャンプして停止している。
【0041】そして、刺繍データの刺繍縫製に際して、
ミシン制御装置100からの主軸駆動信号が「H」レベ
ルに切換えられると同時に、ミシンモータ110の駆動
が開始される。ここで、この刺繍データには、糸替えの
為の糸切りデータが含まれておらず、最終の縫目で糸切
りを実行するものとする。そして、図9において、縫製
中における、針棒運動軌跡と、天秤運動軌跡と、釜糸糸
量と、全回転釜59の回転位置とを、主軸17の回転位
相に対応させて夫々示す。但し、全回転釜59の回転位
置は、剣先59aの回転位置(回転角度)で示す。
【0042】この多頭型刺繍ミシンMに電源が投入され
ると、釜軸駆動制御が開始され、先ず主軸・釜軸初期設
定処理が実行される(S10)。即ち、この初期設定処理
においては、主軸17が「約100 °」の初期設定位置
(停止位置)に設定されるとともに、釜軸60が主軸1
7の回転開始位置である初期設定位置に対応する初期設
定位置に位相設定される。次に、ミシン制御装置100
から「H」レベルの主軸駆動信号が出力されないとき、
つまり縫製を開始しないときには(S11:No)、縫製開
始されるまで、このS11を繰り返して待機される。
【0043】そして、縫製開始に際して、ミシン制御装
置100から「H」レベルの主軸駆動信号が出力された
ときには(S11:Yes )、ミシンモータ110が同時に
回転駆動され、主軸17が回転位相「約100 °」から駆
動される。そして、縫製開始後の1針目において、主軸
17が約「170°」まで回転して、主軸原点センサ1
13から主軸同期信号が出力されたときには(S12:Ye
s)、実際の縫製処理制御(図12参照)が実行される
(S13)。
【0044】この制御が開始されたときに、ミシン制御
装置100からの主軸駆動信号が「H」レベルで、縫製
中のときには(S18:Yes )、主軸駆動信号が「L」レ
ベルになって縫製処理が終了するまで、釜軸60を主軸
17に同期させながら回転駆動させる釜軸同期駆動処理
制御が繰り返して実行されて、縫い動作が1針毎に順々
に行われる(S19)。しかし、縫製終了に際して主軸駆
動信号が「L」レベルになったときには(S18:No)、
この制御を終了して、釜軸駆動制御のS14にリターンす
る。
【0045】釜軸同期駆動処理制御が開始されると、第
1エンコーダセンサ112から出力される主軸回転信号
を常にカウントすることで、主軸17の回転位相が読み
込まれ(S20)、その主軸17の回転位相に同期させる
為に、釜軸60を1ステップ分駆動するタイミングのと
きには(S21:Yes )、釜軸60を1ステップ分駆動す
る釜軸駆動処理制御(図14参照)が実行される(S2
2)。この制御が開始されると、先ず、釜駆動モータ5
8を駆動する駆動パルス数が「10」パルスになる毎
に、その駆動パルスを「1」パルスずつ間引いたり追加
する為の位相差変更許可パルス数カウンタのカウント値
Tが1つインクリメントされる(S30)。
【0046】次に、所定時間に第1エンコーダセンサ1
12から出力される主軸回転信号(スリット信号)の数
をカウントすることにより、ミシンモータ110の回転
速度、つまり主軸17の回転速度Vが演算で求められる
(S31)。次に、主軸17の回転速度Vにおける位相差
指令パルス数Pが、演算式「P=(20/1000)×V」によ
り求められる。即ち、この刺繍ミシンMの最高回転数が
約1000回転のときに、主軸17に対する釜駆動モー
タ58の回転位相における位相遅れ量を、約3.6 °に相
当する「20パルス」に設定し、この遅れ度合いに比例
する主軸17の回転速度Vに対する位相差指令パルス数
Pが求められる。
【0047】ここで、釜駆動モータ58の回転位相を遅
らせるとともに、ミシンモータ110の回転速度の増大
に応じてその位相遅れ量を大きくする位相変更制御につ
いて説明すると、図15に示すように、縫製速度が低速
(約100 回転/分)の場合には、剣先59bと縫針22
の目孔とが出合う出合いタイミングは、主軸17が約
「200 °」のときであるが、縫製速度が高速(約1000回
転/分)になったときには、針棒21は針棒駆動機構2
5や針棒ジャンプ機構40を介して高速で上下駆動され
ることから、針棒25のイナーシャが大きくなり、針棒
駆動機構25に有する駆動系のガタや遊び量が増大する
だけでなく、更には針棒ジャンプ機構40に設けられた
連結ピン34の弾性変形や連結ピン34と上下動部材2
7の隙間の増大により、針棒21の上下動位相が主軸1
7の所定の回転位相に対して位相遅れが生じる。
【0048】一方、全回転釜59は、ミシンモータ11
0に設けた第1エンコーダセンサ112からのエンコー
ダ信号に基づいて主軸17に常に同期駆動制御されてい
るので、その結果として、縫製動作中における全回転釜
59に対する針棒21の上下動における位相遅れは、縫
製速度の増大に応じて顕著になり、縫針22がその最下
位置から約2mm上昇した縫針22の出合いタイミング
が、主軸17と同期して正規の回転位相で回転する全回
転釜59の剣先59bが縫針22の目孔から延びる上糸
ループ47cを捕捉する出合いタイミングよりも、約3.
6 °に相当して遅れることになる。ここで、この位相差
「約3.6 °」は、釜駆動モータ58を駆動する「20」
パルス分の駆動パルスに相当する。
【0049】そこで、次のS33〜S43により、縫製速度
の増大に応じて釜駆動モータ58の回転位相における位
相遅れ量を大きくするように、位相変更制御するように
している。即ち、現在時点において正規の駆動パルスに
よる駆動に対して増減されているパルスをカウントする
現在位相差パルス数のカウント値Qと位相差指令パルス
数Pとが比較され(S33)、カウント値Qと位相差指令
パルス数Pとが等しいとき、つまり釜駆動モータ58を
主軸17に対して遅らせたり進ませることなく同期制御
するとき(Q=Pのとき)には、釜駆動モータ58が1
ステップ分回転駆動され(S37)、釜軸60の回転を確
認するために、釜駆動モータ58の駆動ステップ数をカ
ウントするカウンタの値Iが1つインクリメントされ
(S38)、この制御を終了して、釜軸同期駆動制御のS
23にリターンする。
【0050】ところで、カウント値Qが位相差指令パル
ス数Pよりも小さいとき、つまり釜駆動モータ58を主
軸17に対して遅らせるとき(Q<Pのとき)に、位相
差変更許可パルス数Tが「10」よりも少ないときには
(S34:No)、S37〜S38により、位相差変更を行なわ
ずにこの制御を終了するが、位相差変更許可パルス数T
が「10」以上のときには(S34:Yes )、その位相差
変更許可パルス数Tが「0」にクリアされ(S35)、現
在位相差パルス数Qが1つインクリメントされ(S3
6)、この制御を終了して前記S23にリターンする。即
ち、S37〜S38が実行されないで、釜駆動モータ58が
1ステップ分回転駆動されないことから、釜駆動モータ
58の回転位相を1ステップ分に相当して遅らせてい
る。
【0051】一方、カウント値Qが位相差指令パルス数
Pよりも大きいとき、つまり釜駆動モータ58の主軸1
7に対する位相遅れを少なくして元に戻すとき(Q>P
のとき)に、位相差変更許可パルス数Tが「10」より
も少ないときには(S39:No)、S37〜S38により、位
相差変更を行なわずにこの制御を終了するが、位相差変
更許可パルス数Tが「10」以上のときには(S39:Ye
s )、釜駆動モータ58が1ステップ分余分に回転駆動
され(S40)、釜駆動モータ58の駆動ステップ数Iが
1つインクリメントされ(S41)、位相差変更許可パル
ス数Tが「0」にクリアされ(S42)、現在位相差パル
ス数Qが1つデクリメントされてから(S43)、更に、
S37〜S38が実行されることで、釜駆動モータ58の回
転位相を1ステップ分に相当して進ませて回転位相を元
に戻している。
【0052】次に、釜軸同期制御において、第2エンコ
ーダセンサ65からの釜軸回転信号が変化しないときに
(S23:No)、カウント値Iが所定カウント値D(例え
ば、10〜15)以下のときには(S24:Yes )、この
制御を終了して縫製処理制御のS18にリターンする。一
方、釜軸回転信号が変化したときには(S23:Yes )、
釜軸60が確実に駆動していることから、そのカウント
値Iがクリアされ(S25)、同様にS18にリターンす
る。
【0053】ところで、釜軸60を駆動するタイミング
でないときに(S21:No)、釜軸原点センサ155から
釜軸同期信号が入力されないときには(S26:No)、同
様にリターンする。しかし、釜軸同期信号が入力された
ときには(S26:Yes )、主軸17の回転位置に対応す
る釜駆動モータ58の駆動パルス数の許容数をテーブル
化した同期駆動位置テーブルのデータをROM152に
予め格納しているので、S20で読み込んだ主軸17の回
転位相と、釜駆動モータ58の駆動パルス数と、その同
期駆動位置テーブルのデータとに基づいて、釜軸60が
主軸17に対して同期許容範囲内で同期駆動されている
ときには(S27:Yes )、同様にS18にリターンする。
【0054】ここで、カウント値Iが所定カウント値D
よりも大きいとき(S24:No)、或いは釜軸60が主軸
17に対する同期許容範囲を越えて、つまり同期駆動さ
れていないときには(S27:No)、異常処理制御が実行
される(S28)。即ち、この異常処理制御においては、
針棒ジャンプ用ソレノイド41が所定時間だけ駆動され
るのと同時に、ミシンモータ110の駆動が即時に停止
される。これにより、上下動部材27がジャンプ位置に
回動して、針棒21がその最上位置に一気にジャンプ作
動されて、縫針22と全回転釜59との衝突を防止でき
る。
【0055】ところで、縫製処理制御において、全ての
刺繍データの縫製を完了した縫製終了時に、「L」レベ
ルの主軸駆動信号が入力されたときには(S18:No)、
この制御を終了して、釜軸駆動制御のS14にリターンす
る。そして、釜軸駆動制御において、縫製終了に際し
て、ミシン制御装置100からの指令で、糸切断を実行
しないときには(S14:No)、主軸17が「約360 °」
になるまで釜軸同期駆動処理制御が実行され(S15、S
16:No)、剣先59bが縫針22に衝突しないように、
主軸17が「約360 °」の回転位置になったときには
(S16:Yes )、S10に戻る。
【0056】一方、糸切断を実行するときには(S14:
Yes )、ミシン制御装置100から出力される糸切り信
号により図示外の糸切断処理制御が実行されるので、S
10にリターンする。その結果、糸切り機構80により、
可動刃81に係合された上糸47と下糸48とが、可動
刃81と固定刃82により同時に切断される。
【0057】このように、高速で縫製処理するときに
は、針棒21は針棒駆動機構25や針棒ジャンプ機構4
0を介して高速で上下駆動されることから、針棒25の
イナーシャが大きくなり、針棒駆動機構25に有する駆
動系のガタや遊び量が増大するだけでなく、更には針棒
ジャンプ機構40に設けられた連結ピン34の弾性変形
や連結ピン34と上下動部材27の隙間の増大により、
剣先59bが上糸ループ47cに出合う出合いタイミン
グにおける針棒21の上下動位相に遅れが生じることに
なるが、主軸17に対する釜駆動モータ58の回転位相
を遅らせるとともに、ミシンモータ110の回転速度の
増大に応じて釜駆動モータ58の回転位相の位相遅れ量
を大きくするので、縫製速度に関係なく、全回転釜59
に対する縫針22の位相遅れを確実に解消することがで
き、上糸ループ47cが充分に形成されてから剣先59
bが出合うようになり、上糸47が切れたり目飛びする
ことなく、縫製作業の能率化を図ることができ、奇麗な
縫目形成が可能になる。
【0058】前記実施形態の変更形態について説明す
る。 (1) ミシンモータ110を釜駆動モータ58に同期
させて同期駆動制御するようにし、釜駆動モータ58に
対するミシン主軸17の回転位相を進ませるようにする
ことで、縫製速度に関係なく、全回転釜59に対する縫
針22の位相遅れを確実に解消するようにしてもよい。 (2) ミシンモータ110の回転速度を、設定速度や
刺繍模様に基づいて求めた回転速度を指令する速度指令
値に基づいて求めるようにしてもよい。この場合、この
ミシンモータ110の回転速度を指令する速度指令値を
設定したり求める制御が速度指令手段に相当する。
【0059】(3) 釜軸駆動制御で求められる位相差
指令パルス数Pを、上糸47の種類や縫針22の種類に
応じて、または針棒21の重量や針棒駆動機構25の構
造に応じて、任意のパルス数で設定可能に構成するよう
にしてもよい。 (4) 前記実施形態に関し、既存の技術や当業者に自
明の技術に基づいて種々の変更を加えることもあり得
る。 (5) 1台の刺繍ミシンを備えたミシン、直線やジグ
ザグ縫いが可能な本縫いミシン等、糸輪捕捉用釜をミシ
ンモータとは独立に駆動するようにした各種のミシンに
本発明を適用し得ることは勿論である。
【0060】
【発明の効果】 請求項1の発明によれば、ミシンモー
タでミシン主軸を介して駆動される縫針と、糸輪捕捉用
釜と、釜駆動モータと、ミシンモータと釜駆動モータの
一方を他方に同期させて駆動制御する同期駆動制御手段
とを備えたミシンにおいて、同期駆動制御手段は、ミシ
ンの運転条件に応じて、剣先が上糸ループに出合う出合
いタイミングにおける釜駆動モータとミシン主軸の回転
位相とに位相差を発生させる位相変更手段を設けたの
で、縫製速度等の運転条件に応じて、特に高速で縫製処
理するときに、縫針の上下動の為の針棒駆動機構や針棒
ジャンプ機構を介して、剣先が上糸ループに出合う出合
いタイミングにおける針棒の上下動位相が遅れるとき
に、釜駆動モータとミシン主軸の回転位相とに位相差を
発生させて、糸輪捕捉用釜の回転位相をミシン主軸の回
転位相に対して相対的に遅らせるので、縫針の位相遅れ
を確実に解消して、上糸ループが充分に形成されてから
剣先が出合うようになり、上糸が切れたり目飛びするこ
となく、縫製作業の能率化を図ることができ、奇麗な縫
目形成が可能になる。
【0061】ここで、前記ミシンモータの回転速度を検
知する速度検知手段とミシンモータの回転速度を指令す
る速度指令手段との少なくとも一方を設け、位相変更手
段は、速度検知手段もしくは速度指令手段から回転速度
を受け、縫製動作中における糸輪捕捉用釜に対する縫針
の位相遅れを解消するように、ミシン主軸に対する釜駆
動モータの回転位相を遅らせるとともに、ミシンモータ
の回転速度の増大に応じてその位相遅れ量を大きくする
場合には、出合いタイミングにおける針棒の上下動位相
の遅れ量が縫製速度の増大に応じて増大するが、この増
大に伴って、ミシン主軸に対する釜駆動モータの回転位
相の位相遅れ量を大きくするので、縫製速度に関係な
く、糸輪捕捉用釜に対する縫針の位相遅れを確実に解消
することができ、縫製作業の能率化を図ることができる
(請求項2)。
【0062】ここで、前記位相変更手段は、釜駆動モー
タを駆動する所定数のパルス毎に位相差を変更する場合
には、釜駆動モータに駆動パルスを供給させることでミ
シンモータに同期駆動させながら、その駆動パルスが、
例えば「10」パルス供給される毎に駆動パルスを
「1」パルス分だけ間引いたり追加して、位相差が大き
くなるように又は小さくなるように変更するので、糸輪
捕捉用釜の回転の円滑化を図りながら位相差を変更する
ことかできる(請求項3)。
【0063】ここで、前記釜駆動モータの回転速度を検
知する速度検知手段とミシンモータの回転速度を指令す
る速度指令手段との少なくとも一方を設け、位相変更手
段は、速度検知手段もしくは速度指令手段から回転速度
を受け、縫製動作中における糸輪捕捉用釜に対する縫針
の位相遅れを解消するように、釜駆動モータに対するミ
シン主軸の回転位相を進ませるとともに、釜駆動モータ
の回転速度の増大に応じてその位相進み量を大きくする
場合には、出合いタイミングにおける針棒の上下動位相
の遅れ量が縫製速度の増大に応じて増大するが、この増
大に伴って、釜駆動モータに対するミシン主軸の回転位
相の位相進み量を大きくするので、縫製速度に関係な
く、糸輪捕捉用釜に対する縫針の位相遅れを確実に解消
することができ、縫製作業の能率化を図ることができる
(請求項4)。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る多頭型刺繍ミシンの
斜視図である。
【図2】 針棒ジャンプ機構を含む針棒駆動機構の概略
斜視図である。
【図3】 作業用テーブル及びベッドユニットを示す要
部平面図である。
【図4】 釜モジュールを設けたベッドユニットの部分
平面図である。
【図5】 釜モジュールを設けたベッドユニットの部分
縦断側面図である。
【図6】 全回転釜の正面図である。
【図7】 ベッドユニットの先端部の部分拡大平面図で
ある。
【図8】 糸切り駆動機構の拡大平面図である。
【図9】 針棒と天秤の運動曲線と釜糸糸量曲線と全回
転釜の回転位置とを主軸の回転位置に対応させた説明図
である。
【図10】 多頭型刺繍ミシンの制御系のブロック図で
ある。
【図11】 釜軸駆動制御のルーチンの概略フローチャ
ートである。
【図12】 縫製処理制御のルーチンの概略フローチャ
ートである。
【図13】 釜軸同期駆動処理制御のルーチンの概略フ
ローチャートである。
【図14】 釜軸駆動処理制御のルーチンの概略フロー
チャートである。
【図15】 縫製速度が低速と高速のときの針棒運動軌
跡の部分図である。
【符号の説明】
M 多頭型刺繍ミシン 17 ミシン主軸 21 針棒 22 縫針 58 釜駆動モータ 59 全回転釜 59b 剣先 110 ミシンモータ 112 第1エンコーダセンサ 150 釜軸制御装置 151 CPU 152 ROM 153 RAM

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ミシンモータでミシン主軸を介して駆動
    される縫針と、縫針と協働して縫針の目孔から延びる上
    糸のループを捕捉する剣先を有する糸輪捕捉用釜と、こ
    の糸輪捕捉用釜をミシンモータとは独立に回転駆動する
    釜駆動モータと、ミシンモータと釜駆動モータの一方を
    他方に同期させて駆動制御する同期駆動制御手段とを備
    えたミシンにおいて、 前記同期駆動制御手段は、ミシンの運転条件に応じて、
    剣先が上糸ループに出合う出合いタイミングにおける釜
    駆動モータとミシン主軸の回転位相とに位相差を発生さ
    せる位相変更手段を備えたことを特徴とするミシン。
  2. 【請求項2】 前記ミシンモータの回転速度を検知する
    速度検知手段とミシンモータの回転速度を指令する速度
    指令手段との少なくとも一方を設け、前記位相変更手段
    は、速度検知手段もしくは速度指令手段から回転速度を
    受け、縫製動作中における糸輪捕捉用釜に対する縫針の
    位相遅れを解消するように、ミシン主軸に対する釜駆動
    モータの回転位相を遅らせるとともに、ミシンモータの
    回転速度の増大に応じてその位相遅れ量を大きくするこ
    とを特徴とする請求項1に記載のミシン。
  3. 【請求項3】 前記位相変更手段は、釜駆動モータを駆
    動する所定数のパルス毎に前記位相差を変更することを
    特徴とする請求項1又は2に記載のミシン。
  4. 【請求項4】 前記釜駆動モータの回転速度を検知する
    速度検知手段とミシンモータの回転速度を指令する速度
    指令手段との少なくとも一方を設け、前記位相変更手段
    は、速度検知手段もしくは速度指令手段から回転速度を
    受け、縫製動作中における糸輪捕捉用釜に対する縫針の
    位相遅れを解消するように、釜駆動モータに対するミシ
    ン主軸の回転位相を進ませるとともに、釜駆動モータの
    回転速度の増大に応じてその位相進み量を大きくするこ
    とを特徴とする請求項1に記載のミシン。
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JP6239209B1 (ja) * 2017-03-31 2017-11-29 三菱電機株式会社 ミシン
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