JP3430755B2 - 偽造防止印刷物 - Google Patents

偽造防止印刷物

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JP3430755B2 JP32149995A JP32149995A JP3430755B2 JP 3430755 B2 JP3430755 B2 JP 3430755B2 JP 32149995 A JP32149995 A JP 32149995A JP 32149995 A JP32149995 A JP 32149995A JP 3430755 B2 JP3430755 B2 JP 3430755B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は証券、債券、小切
手、商品券、証明書又はカード等の偽造防止対策を必要
とする偽造防止印刷物に係り、とくに透明又は半透明基
材に積層する隠蔽層の厚さの変化により生じるグラデー
ションのある透かし模様を構成することにより、偽造・
変造を困難とする偽造防止印刷物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、複写機、とくにカラー複写機は機
能的に飛躍的な進歩を遂げており、これらの複写機(コ
ピー機)やカラー複写機(カラーコピー機)を利用して
有価証券などの印刷物を複写し、悪用する事例が多発し
ていることから、これに対応して複写機の特性を利用し
た複写防止手段を採用した偽造防止技術が開発されてい
る。例えば、この種の偽造防止手段には、分光反射曲線
におけるシャープなピークを有する色料インキを用いて
印刷を行ない、これによる画像をカラーコピーすると異
なる色調を再現するものや、画像を構成する万線の一部
を複写機のスキャニングによる走査方向にかからない方
向に変えることにより、複写時に方向の異なる万線の部
分のみが浮き上がって見える画像を形成するもの、また
画像が網点と万線を組み合わせて設けられた場合には、
複写により網点・万線の差が強調されて再現されるもの
などがあり、真偽の判別を容易に行なうことができた。
さらに複写機の分解能以下にマイクロ文字を設け、複写
時にはマイクロ文字が潰れた状態となり完全な再現を困
難としたり、また印刷による画像の少なくとも一部を磁
性インキとすることで、複写物では磁性インキ部分が再
現されないため、この磁性分の有無を検知することで、
その真偽判別を行うことが可能となるもの、また印刷物
への目視の角度に応じて、観察される色の変化(カラー
シフト)を生じるインキからなる画像を設けることによ
り、複写物では再現不可能となるもの、さらに赤外線領
域に吸収の無い墨インキをからなる画像を設けること
で、複写物の黒色部分での赤外線吸収の有無を検知する
ことで、その真偽判別を行うことが可能となるもの等、
特殊インキによる文字、画像、デザインなどにおける、
それらの検出の有無により真偽の判別を行なうもの等が
あった。
【0003】ところが、複写機やカラー複写機の進歩に
よる解像度の向上は、従来は困難とされてきた画像や色
の再現も可能となったため、上記の偽造防止技術の効果
が無くなりつつあるとする問題がある。また特殊インキ
である磁性インキを用いる場合は磁気ヘッド・磁気セン
サーを備えた測定手段を用いなければ、真偽を判定する
ことができないという欠点を有しているため、とくに視
覚による真偽の判別を可能とするためには、より判断し
易い明らかな相違点が存在することが重要であり、その
ような判別手段を備えることが望まれている。
【0004】そこで透明基材を部分的に露出し、特定の
透明パターンを形成させる偽造印刷物は、複写機やカラ
ー複写機では透明部分の再現が不可能であることから、
偽造を困難とすることができるが、露出する部分が表面
上にあるため、デザイン上の制約を受ける問題がある。
また、複写機を用いた複製が困難である一方、確実な識
別可能な手段として”透かし”があるが、クレジットカ
ード、キャッシュカード、IDカードなどのカード類に
は使用することは困難である。なお、”透かし”に類似
したものとしてカード中に透かし構造を設けるとするも
のが、本出願人による特開昭58−217393号公報
に記載されており、不透明コアシートの両側に任意に設
定したパターンを穿孔した透明オーバーシートを積層し
加熱加圧により熱融着されたカードは、透明オーバーシ
ートの穿孔部がコアシートの一部によって埋められるた
め、その周囲に比べ光透過度が低下することから透過光
により黒透かしのように見ることができ、偽造防止とと
もにその偽造物を使用した時点での不正行為の発見を容
易とすることが可能となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
透かし状の構成は、クレジットカード、キャッシュカー
ド、IDカードなどの熱可塑性樹脂を基材とするカード
類に用いることが可能であるものの、その他の媒体への
転用が困難であり、巧妙化している印刷物などを対象と
した偽造などの不正行為、とくに複写機を用いた不正な
複写に対応するために、より高度な複製防止技術が求め
られている。そこで本発明は、光透過可能な基材上に一
部が相互に重複しない開口部を有するパターンを形成し
てなる隠蔽層の積層によるパターンの組合せからグラデ
ーションを呈する透かし模様を得ることにより、複写機
による偽造を不可能とする偽造防止印刷物を提供するこ
とを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべくな
された本発明は、請求項1に記載の発明は、光透過可能
な基材と、該基材の一方の面に、開口部により構成され
るパターンを有する第1の隠蔽層と第1の印刷層、及
び、該基材の他方の面に、開口部により構成されるパタ
ーンを有する第2の隠蔽層と第2の印刷層を、それぞれ
備え、該第1の隠蔽層の開口部と該第2の隠蔽層の開口
部とが一致する部分と一致しない部分とが存在すること
で、光透過度の差が生じることを特徴とする偽造防止印
刷物である。この請求項1に記載の発明に関連する第1
の発明は、光透過可能な積層体からなる偽造防止印刷物
であって、積層体の層間に、少なくとも一部が相互に重
複しない開口部により構成されるパターンを有する2層
以上の隠蔽層を積層してなり、パターンの組合せによる
グラデーションを呈する透かし模様を有することを特徴
とする偽造防止印刷物である。
【0007】また請求項1に記載の発明に関連する第2
の発明は、光透過可能な基材に、第1の印刷層と、少な
くとも一部が相互に重複しない開口部により構成される
パターンを有する2層以上の隠蔽層と、第2の印刷層と
を積層してなり、前記パターンの組合せによるグラデー
ションを呈する透かし模様を有することを特徴とする偽
造防止印刷物である。
【0008】また請求項1に記載の発明に関連する第3
の発明は、光透過可能な基材の両面に隠蔽層、印刷層を
それぞれ積層してなり、前記隠蔽層は少なくとも一部が
相互に重複しない開口部により構成されるパターンを有
してなり、前記パターンの組合せによるグラデーション
を呈する透かし模様を有することを特徴とする偽造防止
印刷物である。
【0009】また請求項1に記載の発明に関連する第4
の発明は、請求項1に記載の発明に関連する第1〜3
いずれかの偽造防止印刷物において、隠蔽層の光透過度
がそれぞれ異なることを特徴とする偽造防止印刷物であ
る。
【0010】また請求項1に記載の発明に関連する第5
の発明は、半透明基材の一方の面に開口部により構成さ
れるパターンを有する隠蔽層と第1の印刷層を、他方の
面に第2の印刷層を設けてなることを特徴とする偽造防
止印刷物である。
【0011】請求項2に記載の発明は、請求項1の偽造
防止印刷物において、印刷層の一部にマイクロ文字から
なる情報を形成してなることを特徴とする偽造防止印刷
物である。
【0012】請求項3に記載の発明は、請求項1の偽造
防止印刷物において、印刷層に視感度の低い波長域にお
いて分光反射率が大きく変化する有色色料を含有してな
ることを特徴とする偽造防止印刷物である。
【0013】請求項4に記載の発明は、請求項1の偽造
防止印刷物において、印刷層に紫外線照射により色調が
変化する無機蛍光体を含有してなることを特徴とする偽
造防止印刷物である。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面を用いて詳細
に説明する。
【0015】図1は本発明の第1の参考構成による偽造
防止印刷物の平面図であり、図2は図1のX−X線にお
ける第1の参考構成による偽造防止印刷物の断面図であ
り、図3は本発明の参考例としてパターンの組合せによ
るグラデーションを呈する透かし模様を有する積層体を
説明する断面図であり、図4は本発明による偽造防止印
刷物の断面図であり、図5は第2の参考構成による偽造
防止印刷物の断面図であり、図6は本発明の偽造防止印
刷物の隠蔽層に用いられる参考に記載のメタリック
ペアインキの分光特性曲線である。
【0016】図3は、本発明の参考例として、光透過可
能な基材上に一部が相互に重複しない開口部を有するパ
ターンを形成してなる隠蔽層の積層によるパターンの組
合せからグラデーションを呈する透かし模様を有する光
透過可能な積層体Aであり、この積層体Aは照射された
照射光の少なくとも一部が透過可能であり、透かして見
ることにより積層体Aの、少なくとも一部が相互に重複
しない開口部9により構成されるパターン8を有する隠
蔽層4、5からなる組み合わせパターン7で示される
「透かし模様」が観察される。これを複写機により複製
を行うと、「透かし模様」が再現できないため、事実上
複製が不可能となる。そして、「透かし模様」によるデ
ザインが積層体Aに保持されるとともに、その積層体に
印刷などによる絵柄・模様などのデザインを積層するこ
とができ、「透かし模様」と絵柄・模様などのデザイン
とを合わせて形成できるものである。つまり、積層体A
は偽造防止印刷物の主要な構成である。その具体例とし
ての構成は、図2に示す本発明の第1の参考構成の偽造
防止印刷物1では、コアシート2上に第1の印刷層3、
少なくとも一部が相互に重複しない開口部9により構成
されるパターン8を有する隠蔽層4、隠蔽層5と、第2
の印刷層6とが順次積層されている。すなわち、図1に
示すように、この偽造防止印刷物1では、このパターン
の組合せてなる組合せパターン7(グラデーションは図
中の星マークの影が付いた部分)で示される、グラデー
ションを有する透かし模様10が形成されるものであ
る。また、図示はしないが、基材(コアシート)上の隠
蔽層との間及び隠蔽層上の何れか一方に絵柄・模様など
のデザインを表す印刷層を設ける構成とすることもでき
る。
【0017】ところで、この開口部9からなるパターン
が設けられた隠蔽層を多層化することにより、パターン
8の組合せからなる組合せパターン7が形成されるた
め、積層された隠蔽層の開口部9が一致する部分と一致
しない部分ができることで、重なり合ったパターンは完
全に隠蔽層により覆われる部分と、一つの隠蔽層により
覆われる部分と、積層された隠蔽層の開口部9が重なっ
た部分との3つの部分が形成され、隠蔽層による被覆の
程度の異なる部分ができ、これにより光透過度の差が生
じる。この光透過度の差により偽造防止印刷物1の外観
から観察される透かし模様としての組合せパターン7の
形状に部分的な透過光の強弱、つまりにグラデーション
が現れるものである。この組合せパターンは積層する隠
蔽層のパターン8、つまり開口部9の形状により決ま
り、また組合せパターン7のグラデーションの位置や状
態も開口部9の形状により任意に設定することができ
る。さらに隠蔽層を多層とする場合には、各層の光透過
度又は/及び厚さを異なるようにしてもよい。なお、図
示しないが、少なくとも一部が相互に重複しない開口部
により構成されるパターンを有する隠蔽層は3層以上と
することもできるが、各隠蔽層は積層時に外観上から組
合せパターン7の存在が確認できる程度の光透過度を示
すような構成とすることが望ましく、かつグラデーショ
ンの状態が明確に判別可能であればよい。
【0018】組合せパターン7は任意に決定されるもの
であり、通常にデザインされる絵柄、模様、マーク、像
などとくに限定されるものではない。さらにこの組合せ
パターン7を構成する各隠蔽層の開口部9からなるパタ
ーン8は任意に決定され、同様に組合せパターン7に形
成されるグラデーションも各隠蔽層のパターンの形状に
より任意に設定することができる。したがって組合せパ
ターン7の形状は同一であっても形成されるグラデーシ
ョンの位置、状態を変えることにより、異なる透かし模
様とすることが可能である。
【0019】コアシート2は光透過可能な基材で、透明
又は半透明基材のような光透過性を有するものであれば
とくに限定されないが、単独での光透過度が20%以上
である条件を満たせば、半透明でも用いることができ
る。材質は、例えばポリエチレンテレフタレート(PE
T)樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポ
リカーボネート樹脂、ポリメタクリル酸樹脂、ポリスチ
レン樹脂等の合成樹脂、ガラス等が挙げられ、用途に応
じて適宜決定される。とくに本発明は有価証券類に用い
る場合は柔軟性を有することが必要であるが、厚さは有
価証券類の種類に応じて任意に設定することができる。
なお、隠蔽層の形成により光透過度が極端に悪化し、透
かしが確認できなくならない程度であることが必要であ
る。500ルクス程度の照明下の室内において、蛍光
灯、白熱電灯等の人工灯の光に向けて、基材を通して透
かしが確認できることが必要である。また半透明基材の
色は上記の条件を満たしていれば、とくに制限されるも
のではないが、有価証券類には白色、パステルカラー、
淡い色(赤、黄、青、緑などを基準とする薄い色)等が
デザイン上において好ましいと言える。
【0020】隠蔽層は上記したように本発明の偽造防止
印刷物が太陽光などの自然光又は蛍光灯、白熱電灯など
の人工灯の光を透過可能な程度となるように、すなわち
偽造防止印刷物1の外観から観察される透かし模様が表
れれば良く、とくにその細部においてグラデーション状
に表示可能であればよい。隠蔽層は、通常インキにより
構成されるものであり、例えばアクリル系、ポリエステ
ル系、ポリウレタン系、エポキシ系等の樹脂に、例えば
酸化チタン、酸化マグネシウム、硫酸バリウム等の顔料
または染料を混合したものなどがあり、とくに透明又は
半透明基材のような光透過性を有する光透過可能な基材
であるコアシートとの接着性が良好なものを使用するこ
とができ、色は複写防止の観点からカラー複写機の各ト
ナーに無い色、或いは再現が困難な色であることが好ま
しく、例えば白色、パステルカラー、金属光沢を有する
ものがよい。このような色とするのは本発明の偽造防止
印刷物において印刷層の印刷絵柄の間から外観上の見え
る部分について複写を困難とするものである。 隠蔽層
の形成方法は、従来公知のグラビア印刷法、スクリーン
印刷法、オフセット印刷法等の印刷方式、マイクログラ
ビアコーター、グラビアコーター、バーコーター、ロー
ルコーター等の塗布方式などの形成方法があり、用途に
応じて適宜選択することができる。なお、上記したよう
に形成される隠蔽層の開口部9は透かしとして形成され
る組合せパターン7を構成するように設けられるもので
あり、この組合せパターン7は偽造防止の観点から複雑
な形状とすることが望ましい。
【0021】第1の印刷層3はコアシート2側から視認
可能なマイクロ文字、絵柄、文字、数字などの印刷が施
されており、偽造防止印刷物の記載情報やデザインが形
成されてなるものである。とくにマイクロ文字は、コア
シート2側から見る場合に文字の大きさがコアシートの
厚さに対して、複写機のスキャナーの焦点距離にズレを
生じさせ、判読困難となるように設定され、通常、2〜
1ポイントの文字サイズが好ましい。なお、マイクロ文
字はマイクロ文字以外にマイクロ記号、マイクロ模様ま
たはそれらの組合せなどとしてもよい。この印刷層に
は、通常のインキとして、例えばFD OL TCプロ
セスインキ(商品名)東洋インキ製造株式会社製、FD
カルトンPプロセスインキ(商品名)東洋インキ製造株
式会社製、TKマークVプロセスインキ(商品名)東洋
インキ製造株式会社製等があり、とくに透明又は半透明
基材などの光透過性を有するコアシートとの接着性が良
好なものを使用することができ、さらに他には偽造防止
手段として、磁性インキ、或いは下記色料を含むメタメ
リックペアインキ、無機蛍光体を含む蛍光インキなどの
特殊インキを少なくとも1種類を含ませることもでき
る。このような特殊インキを用いた印刷層を検知・検出
することにより、偽造・変造の有無を確認することがで
きる。また検証手段の機械化が可能となる。これにより
装飾性及び偽造防止性の一層の向上を図ることができ
る。この印刷層の形成方法は、従来公知のグラビア印刷
法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法等の印刷方式
を用いて、偽造防止印刷物の用途に応じて適宜選択する
ことができる。
【0022】磁性インキに用いられる磁性材料は、例え
ばFe、Ni、Mn、Zn、Co、パーマロイ、センダ
スト、Mn−Znフェライト、Ni−Znフェライト、
Mnフェライト、Znフェライト、FeS、マグネタイ
ト、γ−酸化鉄、Co被着γ−酸化鉄、バリウムフェラ
イト、ストロンチウムフェライト、二酸化クロムなどの
金属単体又はそれらの合金、金属化合物を用いることが
できる。
【0023】これらを印刷インキ中に添加混合し、印刷
層に形成された情報の再生が磁気センサーにより可能と
なり、その有無などの検証により偽造の発見を容易にす
るなどの偽造防止効果があり、さらに磁気記録可能に印
刷層を形成することにより情報の書き込みも可能とな
る。
【0024】また上記メタメリックペアインキにより形
成される印刷層は、Ti、Ni、Co、Li、Al、C
r等のメタメリックな色料を2種以上により、特定のパ
ターンなどを形成したものであり、このパターンに所定
の通常光及び分光エネルギー分布を有する光を照射し
て、パターンを現出するさせこの有無により真偽を判別
するものである。すなわち、上記メタメリックペアイン
キに含まれる色料としては、太陽光、蛍光灯、白熱電球
灯などの通常光の下では、同一色に見えるが、所定の分
光エネルギー分布を有する光源下では異なる色相、明
度、彩度で視認されるメタメリックな性質を示すもので
あり、具体的には特開昭54−120009号公報、特
開昭54−127709号公報、特開昭54−1590
004号公報及び特開昭55−510号公報に記載され
るものである。色料としてはTi−Ni−Co−Li系
グリーン、Co−Al−Cr系グリーン、Co−Al系
ブルー、Ti−Co−Al−Li系ブルー等を用いるこ
とができる。
【0025】ここで、所定の分光エネルギー分布を有す
る光源は、例えば白色光源に上記の該当する色料におけ
る高い分光反射率を有する視感度の低い波長域のみを透
過する性質のフィルタ(又は視感度の高い波長域を遮断
するフィルタ)を用いるこができ、照射波長は任意に選
択することができる。なお、上記視感度の低い波長域
は、可視光領域と赤外光領域との境界又は可視光領域と
紫外光領域との境界の波長域で、具体的には400〜4
50nm、650〜700nm付近の波長域であり、ま
た上記視感度の高い波長域は、450〜650nmの範
囲の波長域である。
【0026】さらに無機蛍光体を含む蛍光インキは、混
入した無機蛍光体が紫外線の照射により蛍光発色し印刷
インキの色調パターンが変化するものであり、その他の
インキ組成などは従来のインキと同様である。なおビヒ
クル樹脂中に無機蛍光体を含有させる場合は、屈折率が
ビヒクル樹脂と同一又は近似するもので、無色透明或い
は白色が好ましい。具体的には特開昭54−13799
号公報、特開昭54−13798号公報に記載されてい
る。この無機蛍光体を含む蛍光インキにより印刷層を形
成することによって、ブラックランプ照射等によりその
有無を検証することができ、検証手段の機械化が可能と
なる。これにより偽造防止性の一層の向上を図ることが
できる。
【0027】この無機蛍光体に用いられる材料は紫外線
発光蛍光体又は赤外線発光蛍光体があり、印刷インキ中
に添加混合される。まず、紫外線発光蛍光体は紫外線に
より励起され、それよりも低いエネルギー準位に戻ると
きに発するスペクトルのピークが青、緑、赤等の波長域
にあるもので、例えばCa2 5 9 Cl:Eu2+、C
aWO4 、ZnO:Zn2 SiO4 :Mn、Y2
2 S:Eu、ZnS:Ag、YVO4 :Eu、Y
2 3 :Eu、Gd2 2 S:Tb、La2 2 S:T
b、Y3 Al5 12:Ce等があり、単体又はこれらか
ら数種を選択し混合して使用する。その蛍光スペクトル
はピークを青、赤、緑の波長域以外に持つものである。
インキ中の紫外線発光蛍光体の添加量は検出器の受光素
子の蛍光の検知が可能となるようにすることが望まし
い。
【0028】また赤外線発光蛍光体は波長λ1 の励起光
を受けて、波長λ2 の可視光を発光する特性を示し、λ
1 =λ2 かつλ1 >λ2 なる性質を有するものとして、
その組成が例えば、YF3 :Yb、Er、ZnS:Cu
Co等がある。また、λ1 ≠λ2 かつλ1 <λ2 なる性
質を有するものとして、その組成は例えば、LiNd
0.9 Yb0.1 4 12、LiBi0.2 Nd0.7 Yb0.1
4 12、Nd0.9 Yb 0.1 Nd5 (MoO4 4 、N
aNd0.9 Yb0.1 4 12、Nd0.8 Yb0.2Na5
(WO4 4 、Nd0.8 Yb0.2 Na5 (Mo0.5 WO
0.5 4 、Ce0. 05Gd0.05Nd0.75Yb0.25Na
5 (W0.7 Mo0.3 4 4 、Nd0.9 Yb0. 1 Al3
(BO3 4 、Nd0.9 Yb0.1 Al2.7 Cr0.3 (B
3 4 、Nd 0.6 Yb0.4 5 14、Nd0.8 Yb
0.2 3 (PO4 2 等があり、いずれも励起光
(λ1 )800nmの赤外線を受けて980nm〜10
20nmに発光スペクトルの顕のピークを有する赤外線
(λ2 )を発光するものである。インキ中の赤外線発光
蛍光体の添加量は検出器の受光素子の蛍光の検知が可能
となるようにすることが望ましい。
【0029】これらによれば、偽造防止印刷物の検証時
にブラックランプ等の照射により印刷層が発光するた
め、その存在を容易に判別することができ、さらに蛍光
インキを透明とすることにより、通常では視認できない
が、認証時のみにブラックランプ等の照射により印刷層
が発光することから、隠し文字に利用することができ、
偽造改ざんを一層困難にし、その防止に効果を有する。
【0030】第2の印刷層6は、隠蔽層上に偽造防止印
刷物に関連した視覚情報などを印刷形成してなるもので
あり、第1の印刷層3と同様に設けることができる。な
お、図示はしないが、偽造防止印刷物1の最外層に傷や
汚れなどから保護することを目的として保護層を設けて
もよい。
【0031】次に図は図示しないが、図1と同様にグ
ラデーションを有する透かし模様が形成される組合せパ
ターン(図示しない)を有する発明による偽造防止印
刷物11の断面図であり、コアシート12を挟んで両側
にそれぞれ第1の隠蔽層13、第2の隠蔽層14、第1
の印刷層15、第2の印刷層16が設けられている。第
1の隠蔽層13、第2の隠蔽層14はそれぞれ開口部1
9からなるパターン18により組合せパターン17が形
成されるものであり、コアシート12を挟んで積層され
た隠蔽層の開口部19が一致する部分と一致しない部分
ができることで、重なり合ったパターンは完全に隠蔽層
により覆われる部分と、一つの隠蔽層により覆われる部
分と、積層された隠蔽層の開口部19が重なった部分と
の3つの部分が形成され、隠蔽層による被覆の程度の異
なる部分ができ、これにより光透過度の差が生じる。こ
の光透過度の差により偽造防止印刷物11の外観から観
察される透かし模様としての組合せパターン17の形状
に部分的な透過光の強弱、つまりにグラデーションが現
れるものである。この組合せパターンは積層する隠蔽層
のパターン18、つまり開口部19の形状により決ま
り、また組合せパターン17のグラデーションの位置や
状態も開口部の形状により任意に設定することができ
る。なお、図示しないが、図2に示す偽造防止印刷物1
のように重複しない開口部により構成されるパターンを
有する隠蔽層をコアシート12上にそれぞれ2層以上設
けることも可能であるが、各隠蔽層は積層時に外観上か
ら組合せパターン17の存在が確認できる程度の光透過
度を示すような構成とすることが望ましく、かつグラデ
ーションの状態が明確に判別可能であればよい。このよ
うに隠蔽層を多層とする場合には、各層の光透過度又は
/及び厚さを異なるようにしてもよい。
【0032】また、組合せパターン17は任意に決定さ
れるものであり、通常にデザインされる絵柄、模様、マ
ーク、像などとくに限定されるものではない。さらにこ
の組合せパターン17を構成する各隠蔽層の開口部19
からなるパターン18は任意に決定され、同様に組合せ
パターン17に形成されるグラデーションも各隠蔽層の
パターンの形状により任意に設定することができる。し
たがって組合せパターン17の形状は同一であっても形
成されるグラデーションの位置、状態を変えることによ
り、異なる透かし模様とすることが可能である。なお、
構成材料及び形成方法は上記の図2に示す第1の構成の
偽造防止印刷物1と同様であり、また第1の印刷層、第
2の印刷層の構成材料、他の偽造防止手段としての磁性
インキ、或いは下記色料を含むメタメリックペアイン
キ、無機蛍光体を含む蛍光インキなどの特殊インキも上
記の偽造防止印刷物1と同様であるので、ここでは省略
する。
【0033】さらに図は図示しないが、図1と同様に
グラデーションを有する透かし模様が形成される組合せ
パターン(図示しない)を有する本発明の第2の参考構
による偽造防止印刷物21の断面図であり、半透明基
材からなるコアシート22上の一方の面に隠蔽層23と
第1の印刷層24が、他方の面に第2の印刷層25が設
けられている。本発明の第2の参考構成ではコアシート
22を半透明基材とすることにより、外観から光を透か
して見える程度の光透過度があり、隠蔽層としての機能
を有するため、隠蔽層23は一層のみであり、この隠蔽
層23には開口部28によりパターン27が構成されて
いる。このコアシート22と隠蔽層23の開口部28に
よるパターン27から透かし模様が形成される。また隠
蔽層23はコアシート22とともに第1の印刷層24及
び第2の印刷層25が相互に透過しない程度の光透過度
を有することが必要である。パターン27は任意に決定
されるものであり、通常にデザインされる絵柄、模様、
マーク、像などとくに限定されるものではない。なお、
構成材料及び形成方法は上記の第1の構成の偽造防止印
刷物1と同様であり、また第1の印刷層、第2の印刷層
の構成材料、他の偽造防止手段としての磁性インキ、或
いは下記色料を含むメタメリックペアインキ、無機蛍光
体を含む蛍光インキなどの特殊インキも上記の偽造防止
印刷物1と同様であるので、ここでは省略する。
【0034】本発明の第1の参考構成および本発明に開
示される偽造防止印刷物は、隠蔽層は開口部により構成
されるパターンの、少なくともその一部が重複しないよ
うに積層されてなり、偽造防止印刷物を透過する光は開
口部の存在により部分的に透過量が異なってくるため、
透かし模様が形成され、さらに各隠蔽層の開口部の重な
りの有無により透かし模様にグラデーションを形成する
ことが可能となり、このグラデーションは各隠蔽層のパ
ターン、すなわち設けられる開口部の重なり具合により
任意の形成することができる。
【0035】本発明の参考構成に開示される偽造
防止印刷物は、半透明基材と隠蔽層に設けられた開口部
によるパターンとの組合せにより透かし模様が形成さ
れ、複数の隠蔽層を設けることなく、半透明基材および
隠蔽層により光の透過量が制御されるため、従来と異な
る透かし模様とすることができる。
【0036】また、本発明の第1乃至第2の参考構成の
偽造防止印刷及び本発明の偽造防止印刷物は、光透過可
能な基材に面して隠蔽層との間にマイクロ文字を有する
印刷層は、光透過可能な基材側から視認することができ
るが、その文字サイズと光透過可能な基材の厚さ分の焦
点距離のズレによって、複写機で複写されるマイクロ文
字は判読不能となる。
【0037】さらに、磁性材料を印刷インキ中に添加混
合し、印刷層に形成された情報を磁気センサーにより再
生し、その有無などの検証により偽造の発見を容易にす
るなどの偽造防止効果がある。また印刷層に視感度の低
い波長域において分光反射率が大きく変化する有色色
料、すなわちメタメリックな2種以上の色料を含む印刷
層に特定のパターンなどを形成したものであり、このパ
ターンに所定の通常光及び分光エネルギー分布を有する
光を照射して、パターンを現出するさせこの有無により
真偽を判別することができる。また無機蛍光体を含む蛍
光インキにより印刷層を形成することによって、ブラッ
クランプ照射等によりその有無を検証することができ、
検証手段の機械化が可能となる。これにより偽造防止性
の一層の向上を図ることができる。
【0038】
【実施例】本発明を、具体的な参考例及び実施例を挙げ
て詳細に説明する。 (参考例1) 図に示すように、コアシート2となる厚さ250μm
のポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂(商品名
T−60 東レ社製)からなる透明基材に、紫外線(U
V)硬化型オフセットインキ(黄、紅、藍、墨)を用い
てオフセット印刷法により表面もしくは裏面に絵柄を表
す第1の印刷層3(2μm厚)を形成し、第1の印刷層
3上にグラビア印刷用の白色インキを用いてグラビア印
刷法により所定の開口部9からなるパターン8を有する
ように4μm厚の第1の隠蔽層4と、また同様のグラビ
ア印刷用の白色インキを用いてグラビア印刷法により所
定の開口部9からなるパターン8を有するように6μm
厚の第2の隠蔽層5を形成し、さらに第2の隠蔽層5上
に同じ紫外線(UV)硬化型オフセットインキを用いて
第2の印刷層6(2μm厚)を形成し、偽造防止印刷物
1を作製した。第1の隠蔽層4と第2の隠蔽層5との開
口部により組み合わされて構成される所定の組合せパタ
ーン7、例えば図1に示す透かし模様10のパターンの
ように、第1の隠蔽層4と第2の隠蔽層5のそれぞれの
パターン8を表す開口部9は少なくとも一部が互いに重
複しないように配置されている。 ○紫外線(UV)硬化型オフセットインキの組成 顔料(黄、紅、藍、墨の各色:配合量は各色毎に設定) 10〜20重量部 アクリルエステル系オリゴマー 55重量部 光開始剤 10重量部 その他添加剤 25重量部 ○グラビア印刷用の白色インキの組成 白色顔料(酸化チタン) 20重量部 ポリウレタン系樹脂 70重量部 硬化剤 3重量部 その他添加剤 7重量部
【0039】この偽造防止印刷物1は透過する光が開口
部9によって、部分的に透過量が異なることから、透か
し模様となり、さらに第1の隠蔽層4と第2の隠蔽層5
の開口部の重なりの有無、すなわち本参考例における重
なり合った組合せパターン7は完全に隠蔽層により覆わ
れる部分と、一つの隠蔽層により覆われる部分と、積層
された隠蔽層の開口部9が重なった部分との3つの部分
が形成されるため、隠蔽層による被覆の程度の異なる部
分ができ、これによる光透過度の差から透かし模様にグ
ラデーションを与えることが可能となる。偽造防止印刷
物1には第1の隠蔽層4と第2の隠蔽層5の各開口部9
の重なりによる組合せパターン7からなる透かし模様が
視認でき、とくに透かし模様の一部にグラデーションが
確認できた。
【0040】作製した上記の偽造防止印刷物1を市販の
カラー複写機(Acolor935、富士ゼロックス社
製、複写条件:ノーマルモード)を用いて複写を行な
い、真正品と複製品との外観を比較検討した。この複製
品は外観はかなり高精度に複写されていたが、光を透過
させてみると、真正品に見られた透かし模様は再現され
ておらず、当然であるが透かし模様の一部に形成された
グラデーションは無く、真正品と複製品の識別は極めて
容易であった。
【0041】(実施例) 図に示す偽造防止印刷物11は、コアシート12とな
る厚さ250μmのポリエチレンテレフタレート(PE
T)樹脂からなる透明基材の一方の面に、参考例1と同
様のグラビア印刷用の白色インキを用いてグラビア印刷
法により所定の開口部19からなるパターン18を有す
るように(4μm厚)の第1の隠蔽層14を形成し、第
1の隠蔽層14上に参考例1と同様の紫外線(UV)硬
化型オフセットインキを用いてオフセット印刷法により
表面もしくは裏面に絵柄を表す第1の印刷層13(2μ
m厚)を形成し、またコアシート12の他方の面に同じ
グラビア印刷用の白色インキを用いてグラビア印刷法に
より所定の開口部19からなるパターン18を有するよ
うに(6μm厚)の第2の隠蔽層15を形成し、さらに
第2の隠蔽層15上に同様の紫外線(UV)硬化型オフ
セットインキを用いて第2の印刷層6(2μm厚)を形
成、作製した。この偽造防止印刷物11は、コアシート
12を挟んで第1の隠蔽層14と第2の隠蔽層15との
開口部19により組み合わされて構成される所定の組合
せパターン17、例えば図1に示す透かし模様のパター
ン10のように、第1の隠蔽層14と第2の隠蔽層15
のそれぞれのパターンを表す開口部19は少なくとも一
部が互いに重複しないように配置されている。
【0042】この偽造防止印刷物11は透過する光がコ
アシート12を挟んで積層される隠蔽層の開口部によっ
て、部分的に透過量が異なることから、透かし模様を生
じ、そして第1の隠蔽層14と第2の隠蔽層15の開口
部19の重なりの有無、すなわち本実施例における重な
り合った組合せパターン17は完全に隠蔽層により覆わ
れる部分と、一つの隠蔽層により覆われる部分と、積層
された隠蔽層の開口部19が重なった部分との3つの部
分が形成されるため、隠蔽層による被覆の程度の異なる
部分ができ、これによる光透過度の差から透かし模様に
グラデーションを与えることが可能となる。偽造防止印
刷物11には第1の隠蔽層14と第2の隠蔽層15の各
開口部19の重なりによる組合せパターン17からなる
透かし模様が視認でき、とくに透かし模様の一部にグラ
デーションが確認できた。
【0043】作製した上記の偽造防止印刷物11を市販
のカラー複写機(Acolor935、富士ゼロックス
社製、複写条件:ノーマルモード)を用いて複写を行な
い、真正品と複製品との外観を比較検討した。この複製
品は外観はかなり高精度に複写されていたが、光を透過
させてみると、真正品に見られた透かし模様は再現され
ておらず、当然であるが透かし模様の一部に形成された
グラデーションは無く、真正品と複製品の識別は極めて
容易であった。
【0044】(参考) 図に示す偽造防止印刷物21は、コアシート22とな
る厚さ250μmのポリエチレンテレフタレート(PE
T)樹脂(光透過度:80%)からなる半透明基材の一
方の面に、参考例1と同様のグラビア印刷用の白色イン
キを用いてグラビア印刷法により所定の開口部28から
なるパターン27を有するように(6μm厚)の隠蔽層
24を形成し、参考例1と同様の紫外線(UV)硬化型
オフセットインキを用いてオフセット印刷法により表面
もしくは裏面に絵柄を表す第1の印刷層23(2μm
厚)を形成し、またコアシート22の他方の面に同様の
紫外線(UV)硬化型オフセットインキを用いて第2の
印刷層6(2μm厚)を形成し、作製した。この偽造防
止印刷物21は、コアシート12の半透明基材に隠蔽層
24の開口部28により構成される所定のパターン、例
えば図1に示す透かし模様のパターンのように、第1の
隠蔽層24と第2の隠蔽層25のそれぞれのパターンを
表す開口部28は少なくとも一部が互いに重複しないよ
うに配置されている。
【0045】コアシート22である半透明基材と隠蔽層
24に設けられた開口部28によるパターンとの組合せ
による透かし模様が形成されることから、偽造防止印刷
物に複数の隠蔽層を設ける必要がなく、光の透過量が半
透明基材および隠蔽層によって制御されるため、従来と
異なる透かし模様である。
【0046】作製した上記の偽造防止印刷物11を市販
のカラー複写機(Acolor935、富士ゼロックス
社製、複写条件:ノーマルモード)を用いて複写を行な
い、真正品と複製品との外観を比較検討した。この複製
品は外観はかなり高精度に複写されていたが、光を透過
させてみると、真正品に見られた透かし模様は再現され
ておらず、とくに微妙な透かし模様の再現は全くなされ
ておらず、真正品と複製品の識別は極めて容易であっ
た。
【0047】(参考参考 例1の偽造防止印刷物1のコアシート2である透明
基材の厚さを720μmとし、第1の印刷層3の少なく
とも一部に1ポイント(約0.25mm/角)のマイク
ロ文字を形成した以外は参考例1と同様にして偽造防止
印刷物を作製した。作製した上記の偽造防止印刷物を市
販のカラー複写機(Acolor935、富士ゼロック
ス社製、複写条件:ノーマルモード)を用いて透明基材
側から複写を行ない、真正品と複製品との外観を比較検
討した。この複製品は外観はかなり高精度に複写されて
いたが、光を透過させてみると、真正品に見られた透か
し模様は再現されておらず、さらに透明基材の厚さによ
る焦点距離のズレからマイクロ文字が精細に複写でき
ず、判読困難となっており、真正品と複製品の識別は極
めて容易であった。
【0048】(参考参考 例1の偽造防止印刷物1のコアシート2である透明
基材の厚さを720μmとし、第1の印刷層3の少なく
とも一部をメタメリックペアインキを含む下記の組成物
をそれぞれ等量に混合した印刷用インキを用いてオフセ
ット印刷法により形成した以外は参考例1と同様にして
偽造防止印刷物を作製した。 ○印刷用インキ組成物 紫外線(UV)硬化型オフセットインキ 85重量部 (商品名:FDSメジウムTCロO 東洋インキ社製) コバルトブルーインキ(Co−Al系顔料) 15重量部 カドミウムイエローインキ 100重量部 (商品名:FDOL黄TCロ 東洋インキ社製)
【0049】上記の印刷用インキ組成物中のコバルトブ
ルーインキとカドミウムイエローインキとからメタメリ
ックペアインキを構成し、図に示すような可視光領域
に緑色の極大値(約500nm)を有し、かつ650n
m以上の視感度の低い赤外光領域に緑色よりも高い値の
分光反射率を有する。これによれば640nm以下の波
長域を遮断するフィルターを介して目視するとメタメリ
ックペアインキを含む印刷部分から赤色光ないし紫色光
が現出され、赤色に見えるが、メタメリックペアインキ
を含まない部分或いはメタメリックペアインキを含まな
い印刷では上記フィルターを介して目視しても赤色光な
いし紫色光が現出されない。
【0050】作製した上記の偽造防止印刷物を市販のカ
ラー複写機(Acolor935、富士ゼロックス社
製、複写条件:ノーマルモード)を用いて複写を行な
い、真正品と複製品との外観を比較検討した。この複製
品は外観はかなり高精度に複写されていたが、光を透過
させてみると、真正品に見られた透かし模様は再現され
ておらず、さらに640nm以下の波長域を遮断するフ
ィルターを介して目視すると真正品では赤色光ないし紫
色光が視認されるが、複製品には赤色光ないし紫色光が
視認されないため、真正品と複製品の識別は極めて容易
であった。なお、上記のメタメリックペアインキ以外に
450nm以下の紫外領域に高い分光反射率を有するメ
タメリックペアインキを用いてもよい。
【0051】(参考参考 例1の偽造防止印刷物1のコアシート2である透明
基材の厚さを720μmとし、第1の印刷層3を参考
1に記載の組成からなる印刷用インキを用いてオフセッ
ト印刷法により形成し、さらにその少なくとも一部に無
色透明の無機蛍光体インキを用いてオフセット印刷法に
より形成した以外は参考例1と同様にして偽造防止印刷
物を作製した。 ○無機蛍光体インキ組成物 紫外線(UV)硬化型オフセットインキ 90重量部 (商品名:FDSメジウムTCロ 東洋インキ社製) 無機蛍光顔料(ZnO:Zn系) 10重量部
【0052】作製した上記の偽造防止印刷物を市販のカ
ラー複写機(Acolor935、富士ゼロックス社
製、複写条件:ノーマルモード)を用いて複写を行な
い、真正品と複製品との外観を比較検討した。この複製
品は外観はかなり高精度に複写されていたが、光を透過
させてみると、真正品に見られた透かし模様は再現され
ておらず、とくにブラックランプからの紫外光(波長2
00〜400nm)が照射されると真正品では色調パタ
ーンが蛍光体が励起され、青緑色に蛍光発光しパターン
が浮かび上がるように見えるが、複製品は何の変化を生
じることがないため、真正品と複製品の識別は極めて容
易であった。なお、上記の無機蛍光体インキ以外に白
色、淡色の黄、赤、青等の有色の無機蛍光体インキを用
いてもよい。
【0053】
【発明の効果】請求項1に記載の発明及び請求項1に記
載の発明に関連する第1〜4の発明によれば、偽造防止
印刷物の隠蔽層は開口部により構成されるパターンの、
少なくともその一部が重複しないように積層されてな
り、偽造防止印刷物を透過する光は開口部の存在により
部分的に透過量が異なってくるため、透かし模様が形成
され、さらに各隠蔽層の開口部の重なりの有無により透
かし模様にグラデーションを形成することが可能とな
り、このグラデーションは各隠蔽層のパターン、すなわ
ち設けられる開口部の重なり具合により任意の形成する
ことができる。
【0054】この透かし模様により、複写機を用いて複
製品を作製しても完全な再現は困難であり、とくに特殊
な専用の真偽判定装置が不要で、目視等により容易に真
偽判別が可能であるため、真正品と複製品との高い識別
性を有する。またコピー防止を目的とした透明部分の露
出がないため、デザイン上の制約が少なく、高い偽造防
止効果を有するとともに従来の証券、債券、小切手、商
品券、証明書又はカード等と同様のデザインを行なうこ
とが可能である。また隠蔽層の材質或いは厚さを変える
ことにより光透過度を異なるようにして、透かし模様の
見え方を微妙に設定することが可能である。
【0055】請求項1に記載の発明に関連する第5の発
によれば、半透明基材と隠蔽層に設けられた開口部に
よるパターンとの組合せにより透かし模様が形成され、
複数の隠蔽層を設けることなく、半透明基材および隠蔽
層により光の透過量が制御されるため、従来と異なる透
かし模様とすることができる。この半透明基材および隠
蔽層の状態を任意に設定することにより、光の透過量を
制御し特定の透かし模様を作製することができ、この透
かし模様は複写機を用いて複製品を作製しても完全な再
現は困難で、さらに特殊な専用の真偽判定装置が不要で
あり、かつ目視等により容易に真偽判別が可能であるた
め、真正品と複製品との識別性を高くすることができ
る。またコピー防止を目的とした透明部分の露出がない
ため、デザイン上の制約が少なく、高い偽造防止効果を
有するとともに従来の証券、債券、小切手、商品券、証
明書又はカード等と同様のデザインを行なうことが可能
である。
【0056】また、請求項2に記載の発明によれば、光
透過可能な基材に面して隠蔽層との間にマイクロ文字を
有する印刷層は、光透過可能な基材側から視認すること
ができるが、その文字サイズと光透過可能な基材の厚さ
分の焦点距離のズレによって、複写機で複写されるマイ
クロ文字は判読不能となる。
【0057】また、請求項3に記載の発明によれば、磁
性材料を印刷インキ中に添加混合し、印刷層に形成され
た情報を磁気センサーにより再生し、その有無などの検
証により偽造の発見を容易にするなどの偽造防止効果が
ある。そして印刷層に視感度の低い波長域において分光
反射率が大きく変化する有色色料、すなわちメタメリッ
クな2種以上の色料を含む印刷層に特定のパターンなど
を形成したものであり、このパターンに所定の通常光及
び分光エネルギー分布を有する光を照射して、パターン
を現出するさせこの有無により真偽を判別することがで
きる。
【0058】さらに、請求項4に記載の発明によれば、
無機蛍光体を含む蛍光インキにより印刷層を形成するこ
とによって、ブラックランプ照射等によりその有無を検
証することができ、検証手段の機械化が可能となる。こ
れにより偽造防止性の一層の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の参考構成による偽造防止印刷物
の平面図である。
【図2】図1のX−X線における第1の参考構成による
偽造防止印刷物の断面図である。
【図3】本発明の参考例としてパターンの組合せによる
グラデーションを呈する透かし模様を有する積層体を説
明する断面図である。
【図4】本発明による偽造防止印刷物の断面図である。
【図5】本発明の第2の参考構成による偽造防止印刷物
の断面図である。
【図6】本発明の偽造防止印刷物の印刷層に用いられる
参考に記載のメタメリックペアインキの分光特性曲
線である。
【符号の説明】
A 積層体 1、11、21 偽造防止印刷物 2、12、22 コアシート 3 第1の印刷層 4 第1の隠蔽層 5 第2の隠蔽層 6 第2の印刷層 7 組合せパターン 8 パターン 9 開口部 10 透かし模様 13 第1の隠蔽層 14 第2の隠蔽層 15 第1の印刷層 16 第2の印刷層 17 組合せパターン 18 パターン 19 開口部 23 隠蔽層 24 第1の印刷層 25 第2の印刷層 27 パターン 28 開口部
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41M 3/14 B42D 15/02 501 B42D 15/10 531 B44F 1/12

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光透過可能な基材と、該基材の一方の面
    に、開口部により構成されるパターンを有する第1の隠
    蔽層と第1の印刷層、及び、該基材の他方の面に、開口
    部により構成されるパターンを有する第2の隠蔽層と第
    2の印刷層を、それぞれ備え、 該第1の隠蔽層の開口部と該第2の隠蔽層の開口部とが
    一致する部分と一致しない部分とが存在することで、光
    透過度の差が生じること を特徴とする偽造防止印刷物。
  2. 【請求項2】前記印刷層の一部にマイクロ文字からなる
    情報を形成してなることを特徴とする請求項1に記載の
    偽造防止印刷物。
  3. 【請求項3】前記印刷層に視感度の低い波長域において
    分光反射率が大きく変化する有色色料を含有してなるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の偽造防止印刷物。
  4. 【請求項4】前記印刷層に紫外線照射により色調が変化
    する無機蛍光体を含有してなることを特徴とする請求項
    1に記載の偽造防止印刷物。
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