JP5768466B2 - 表裏検証可能な証書類 - Google Patents

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Description

本発明は、透明窓を有して検証が可能な証書類に関し、証書類としては有価証券や人の権利、義務、事実などを記載し又は証明する書面を含むものとする。具体的には、銀行券等の証券又は公文書などの証書がある。
従来、証書類が真正品であることを証明するため、即ち偽造防止のために、ホログラムおよび回析格子等の光学的可変技術、保安線条もしくは細片、マイクロプリント、微細線もしくは『透かし』模様、モアレ誘発模様、蛍光インキ、燐光インキ、真珠光インキ又はメタメリックインキ等の他の光学的変性インキ等が偽造防止構造体として使用されてきた。
一方で、特許文献1では証書類に開口部を設け、その開口部をフィルムで覆うことによって、証書類の一部分に透明窓を形成する技術が紹介されている。
証書類における透明窓の形成自体が特殊な加工を必要とすることに加え、この窓が十分な透明性を有している場合、前述の偽造防止構造体を窓に対して設置することにより、証書類の表面或いは裏面から偽造防止構造体の効果を確認することが可能となる。
つまり、証書類の表面或いは裏面どちら側からでも真偽検証が可能となるため、真偽検証が容易となり、偽造抑止効果に寄与することができる。
更に近年では、証書類の透明窓を利用した、新たな偽造防止技術が提案されている。例えば特許文献2では、表裏で異なる回折画像を出現させる透明窓の提案がなされている。
しかしながら、これら表裏で異なる柄や、異なる光学効果を有する透明窓は、透明窓の表裏から異なる2種の柄の転写箔を箔押しすることによって、模造できてしまう懸念があった。
特表平9−503711号公報 特表2008−547040号公報
本発明の課題は、透明窓を利用した表裏検証可能な証書類を提供することであり、透明窓の表裏から箔押ししただけでは偽造できない、高い偽造防止効果を有する証書類を提供することである。
上記課題を解決するために本発明の一態様は、基材開口部が形成された証書類の基材と、前記基材開口部を覆う窓開きフィルムと、を備え、前記窓開きフィルムは、透明な第一支持基材と、前記第一支持基材と対向配置された透明な第二支持基材と、前記第一支持基材と前記第二支持基材との間に介在され且つ第一開口部が形成された光学層と、前記第一支持基材と前記光学層との間に介在され且つ前記第一開口部とは形状の異なる第二開口部が形成された第一レリーフ層と、前記第二支持基材と前記光学層との間に介在され且つ前記第一開口部とは形状の異なる第三開口部が形成された第二レリーフ層とを少なくとも含み、前記第一レリーフ層は第一凹凸構造を有し、前記第二レリーフ層は前記第一凹凸構造とは構造の異なる第二凹凸構造を有し、前記第一開口部と前記第二開口部と前記第三開口部とは互いに位置合わせがされ、前記光学層の第一開口部は平面視で前記第二開口部の輪郭の少なくとも一部を縁取り且つ前記第三開口部の輪郭の少なくとも一部を縁取るものとし、平面視で前記第一開口部の開口領域により透明窓形成されることを特徴とする表裏検証可能な証書類である。
また、本発明の別の態様は、基材開口部が形成された証書類の基材と、前記基材開口部を覆う窓開きフィルムと、を備え、前記窓開きフィルムは、透明な第一支持基材と、前記第一支持基材と対向配置された透明な第二支持基材と、前記第一支持基材と前記第二支持基材との間に介在され且つ第一開口部が形成された光学層と、前記第一支持基材と前記光学層との間に介在され且つ前記第一開口部とは形状の異なる第二開口部が形成された第一レリーフ層と、前記第二支持基材と前記光学層との間に介在され且つ前記第一開口部と形状が同一である第三開口部が形成された第二レリーフ層とを少なくとも含み、前記第一レリーフ層は第一凹凸構造を有し、前記第二レリーフ層は前記第一凹凸構造とは構造の異なる第二凹凸構造を有し、前記第一開口部と前記第二開口部と前記第三開口部とは互いに位置合わせがされ、前記光学層の第一開口部は平面視で前記第二開口部の輪郭の少なくとも一部を縁取るものとし、平面視で前記第一開口部の開口領域により透明窓形成されることを特徴とする表裏検証可能な証書類である。
また、本発明の他の態様は、前記第二開口部の形状と、前記第三開口部の形状とは、同一であることとしても良い。
また、本発明の他の態様は、前記第一凹凸構造と前記第二凹凸構造のうち少なくとも一方は、特定波長領域の電磁波を反射、吸収、散乱、偏光、回折のうち、何れか1つ以上の光学効果を生じさせる構造であることとしても良い。
また、本発明の他の態様は、前記光学層は、特定波長領域の電磁波を反射、吸収、散乱、干渉、蛍光発光、回折のうち、何れか1つ以上の光学効果を有することとしても良い。
また、本発明の他の態様は、前記第一レリーフ層と前記第二レリーフ層のうち少なくとも一方は、アルミニウムで形成された層であることとしても良い。
本発明に係る証書類によれば、第一レリーフ層は第一凹凸構造を、また第二レリーフ層は第一凹凸構造とは構造の異なる第二凹凸構造を、それぞれ含んでいるので、証書類の表裏に示された回折画像はそれぞれ異なるものとなる。
また、本発明に係る証書類によれば、任意の図柄で第一開口部を形成することができる。このため、第一開口部を介して第一レリーフ層と第二レリーフ層とをウェットエッチングした場合、第一開口部に形成した図柄と相似の図柄を第一レリーフ層と第二レリーフ層とに形成することができる。従って、従来技術と比較して、形成した図柄の位置合わせが容易となる。
上記の作用・効果により、透明窓の表裏から箔押ししただけでは偽造できない、高い偽造防止効果を有する、表面或いは裏面の検証が可能な証書類を提供することができる。
第一実施形態に係る証書類の表面の正面図。 第一実施形態に係る証書類の裏面の正面図。 第二実施形態に係る証書類の表面の正面図。 第二実施形態に係る証書類の裏面の正面図。 図1に示された(a)-(b)間の断面図。 図2に示された(c)-(d)間の断面図。 第一実施形態に係る証書類の製造工程を示す図。
[第一実施形態]
まず、本発明に係る証書類の第一実施形態について、図1、図2及び図5を参照して説明する。次に、本発明に係る証書類の製造方法について、図7を参照して説明する。
なお、第一実施形態は請求項1に係る発明の実施形態であり、図1は証書類の表面の正面図を示し、図2は証書類の裏面の正面図を示す。そして、図5は、図1に示された(a)−(b)間の断面図を示す。また、本実施形態においては証書類として、有価証券100を用いる。
以下、本実施形態における有価証券100について説明する。有価証券100は、その本体をなす基材20に基材開口部20aが開口されていて、その基材開口部20aは基材20に長方形に開口されている。その基材開口部20aは窓開きフィルム18により覆われていて、この窓開きフィルム18は前記基材20と一体となって有価証券100を構成している。
窓開きフィルム18の表面からは、図1或いは図5に示すように、第二開口部2aが形成された第一レリーフ層2と、第二開口部2aの中心になる透明窓4と、前記第二開口部2aの輪郭を縁取りする縁取り光学層6′とが見える。
また、窓開きフィルム18の裏面からは、図2或いは図5に示すように、第三開口部8aが形成された第二レリーフ層8と、第三開口部8aの中心になる透明窓4と、前記第三開口部8aの輪郭を縁取りする縁取り光学層6′とが見える。
そして、窓開きフィルム18は、図5に示すように、透明な第一支持基材10から順に、第一凹凸形成層12と、第一レリーフ層2と、光学層6と、第二レリーフ層8と、第二凹凸形成層14と、透明な第二支持基材16とが積層されて、これらが窓開きフィルム18を形成している。そして、この窓開きフィルム18が証書類の基材20に設けられた基材開口部20aを覆っている。
縁取り光学層6′は、第一レリーフ層2に形成された第二開口部2aの輪郭と、第二レリーフ層8に形成された第三開口部8aの輪郭とをそれぞれ縁取りし、且つその内側に第一開口部6aを形成して、これらの中央に透明窓4を形成している。そして、この縁取りは、有価証券100の表面側(つまり、第一支持基材10側)或いは裏面側(つまり、第二支持基材16側)のどちらから見ても確認可能であり、且つ表裏の位置合わせがなされている。
なお、第一レリーフ層2及び第二レリーフ層8は、例えばアルミニウムで形成された反射層である。
また、第一レリーフ層2及び第二レリーフ層8には、それぞれ微細な第一凹凸構造2b及び第二凹凸構造8bが形成されている。そして、第一レリーフ層2に設けられた微細な第一凹凸構造2bと第二レリーフ層8に設けられた微細な第二凹凸構造8bとは、それぞれ構造が異なっている。
また、第一レリーフ層2に設けられた第二開口部2aの形状と、第二レリーフ層8に設けられた第三開口部8aの形状は、同一であっても良い。
また、第一凹凸形成層12及び第二凹凸形成層14は、縁取り光学層6′の視認性を高めるために、透明であることが好ましい。
以上のように、本実施形態に係る有価証券100によれば、第一レリーフ層2は第一凹凸構造2bを、また第二レリーフ層8は第一凹凸構造2bとは構造の異なる第二凹凸構造8bを、それぞれ含んでいる。このため、有価証券100の表裏に示された回折画像はそれぞれ異なるものとなる。
また、本実施形態に係る有価証券100によれば、任意の図柄で第一開口部6aを形成することができる。このため、第一開口部6aを介して第一レリーフ層2と第二レリーフ層8とをウェットエッチングした場合、第一開口部6aに形成した図柄と相似の図柄を第一レリーフ層2と第二レリーフ層8とに形成することができる。完全な表裏の図柄合わせは、表裏からの別々の図柄の箔押しでは再現できない(つまり、位置ズレしてしまう)。従って、従来技術と比較して、高い偽造防止効果を有する、表面或いは裏面の検証が可能な有価証券100を提供することができる。
以下、本実施形態に係る有価証券100に含まれる各層について詳細に説明する。
(第一凹凸形成層12の形成方法及び第一凹凸形成層12に用いられる樹脂)
図5に示すように、第一凹凸形成層12には微細な凹凸構造(つまり、第一レリーフ層2に設けられた微細な第一凹凸構造2bと同じ凹凸構造)が形成されている。この第一凹凸構造2bを形成するには、まず微細凹凸構造を有する金属スタンパー(金型)を準備する。例えば、金属スタンパーは回折格子を作成するプロセスを活用しても良い。切削やエッチング、フォトリソグラフィーによって微細凹凸構造の樹脂原版を作成した後に、ニッケル電鋳によって金型を作成する方法が例として挙げられるがこの限りでない。
得られた金属スタンパーを、予め第一支持基材10に塗布しておいた樹脂層(図示せず)に押し当てて微細凹凸構造を複製することで、第一凹凸形成層12を形成しても良い。この際、プレス法、P2法等の公知の方法を用いることができる。また、プレス法であれば、熱可塑性の樹脂を主材として使用しても良い。この場合、プレス加工時の熱により軟化、変形しない支持基材上に、熱可塑性樹脂を公知の方法でコーティングして樹脂層を設けた後に、プレス法によって微細凹凸構造を有する第一凹凸形成層12を形成しても良い。
P2法で微細凹凸構造を複製する場合、第一凹凸形成層12は、放射線により硬化する樹脂によって構成されて良い。ここで、用いられる放射線としては、紫外線(UV)、可視光線、ガンマー線、X線、又は電子線(EB)などが適用できる。なお、放射線で硬化する放射線硬化性樹脂は、紫外線硬化の場合は光重合開始剤、及び/又は光重合促進剤を添加し、エネルギーの高い電子線硬化の場合はそれらを添加しないで良い。また放射線と熱を併用することにより反応性が向上し、架橋密度の高い塗膜を得ることも可能である。
放射線硬化性樹脂の例としては、エチレン性不飽和結合をもつモノマー、オリゴマー、ポリマー等を使用することができる。モノマーとしては、例えば、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられる。オリゴマーとしては、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート等が挙げられる。ポリマーとしては、ウレタン変性アクリル樹脂、エポキシ変性アクリル樹脂が挙げられる。
また、別の光硬化性樹脂の例としては、特開昭61−98751号公報、特開昭63−23909号公報、特開昭63−23910号公報、特開2007−118563号公報に記載されているような光硬化性樹脂を挙げることができる。
また、微細凹凸形状を正確に形成するために反応性をもたないアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等のポリマーを添加することができる。
また、光カチオン重合を利用する場合には、エポキシ基を有するモノマー、オリゴマー、ポリマー、オキセタン骨格含有化合物、ビニルエーテル類を使用することができる。
また、上記の電離放射線硬化性樹脂は、紫外線等の光によって硬化させる場合には、光重合開始剤を添加することができる。樹脂に応じて、光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤、その併用型(ハイブリッド型)を選定することができる。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾイン系化合物、アントラキノン、メチルアントラキノン等のアントラキノン系化合物、アセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、α−アミノアセトフェノン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン等のフェニルケトン系化合物、ベンジルジメチルケタール、チオキサントン、アシルホスフィンオキサイド、ミヒラーズケトン等を挙げることができる。
光カチオン重合可能な化合物を使用する場合の光カチオン重合開始剤としては、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ホスホニウム塩、混合配位子金属塩等を使用することができる。光ラジカル重合と光カチオン重合を併用する、いわゆるハイブリッド型材料の場合、それぞれの重合開始剤を混合して使用することができ、また、一種の開始剤で双方の重合を開始させる機能をもつ芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩等を使用することができる。
本実施形態に係る第一凹凸形成層12は、放射線硬化樹脂と光重合開始剤を0.1〜15質量%配合することによっても得られる。また、樹脂組成物には、さらに、光重合開始剤と組み合わせて増感色素を併用しても良い。
また、必要に応じて、染料、顔料、各種添加剤(重合禁止剤、レベリング剤、消泡剤、タレ止め剤、付着向上剤、塗面改質剤、可塑剤、含窒素化合物など)、架橋剤(例えば、エポキシ樹脂など)、などを含んでいてもよく、また、成形性向上のために非反応性の樹脂を添加しても良い。
また、塗膜が白濁しない程度であれば、レリーフ原版に対する離型性を向上させるために、フッ素化合物やシリコーン化合物を添加しても良く、あらかじめ共重合させて導入しておいても良く、無機フィラーなどを添加しても良い。
また、第一支持基材10に塗布された樹脂層(図示せず)の厚みは、0.1〜10μmの範囲で適宜設ければ良い。
未硬化樹脂層の粘度(流動性)にも依るが、樹脂層が厚すぎる場合にはプレス加工時に未硬化樹脂層の樹脂のはみ出しや、シワの原因となり、厚みが極端に薄い場合には十分な成型が出来ない。
また、成形性は原版の微細凹凸の形状によって変化するため、所望する深さの3〜10倍の膜厚の微細レリーフパターン形成層を設けることが好ましい。
第一支持基材10に樹脂層を設ける際には、コーティング法を利用してよく、特にウェットコーティングであれば低コストで塗工できる。また、塗工膜厚を調整するために溶媒で希釈したものを塗布乾燥しても良い。この場合、未硬化の離型層の上に設けることから、極力離型層を再溶解させない希釈溶媒を選択する必要がある。
コーティング以外で、第一支持基材10に樹脂層を形成する場合には、フィルム状基材に塗工した未硬化の離型層と、別途フィルム状基材の上に転写可能に設けた第一凹凸形成層12を準備し、それらをラミネートして積層しても良い。
なお、上記形成方法及び上記樹脂は、第二凹凸形成層14についても適用可能である。
(光学層6)
光学層6は、特定波長領域の電磁波を反射、吸収、散乱、干渉、蛍光発光の何れか1つ以上の光学効果を有することを特徴とし、使用できる顔料としては、直色顔料、干渉パール顔料、メタリック顔料、蛍光顔料などである。なお、同効果を有する染料を用いても良い。また、例えば蛍光入りの接着剤を用いても良い。
光学層6は、エッチングマスクとしての特性と、第二レリーフ層8を転写させる為の接着性が必要である。このため、上記顔料を熱可塑性のバインダーで分散させたインクであることが好ましく、グラビア印刷、スクリーン印刷などの公知の印刷方式にてパターン塗工すれば良い。
(第一レリーフ層2及び第二レリーフ層8)
第一レリーフ層2及び第二レリーフ層8に含まれる第一凹凸構造2b及び第二凹凸構造8bは、特定波長領域の電磁波を反射、吸収、散乱、偏光のうち、何れか1つ以上の光学効果が生じれば良い。
第一レリーフ層2及び第二レリーフ層8の形成には、アルミニウムを用いることができる。また、第一レリーフ層2と第二レリーフ層8のうち少なくとも一方をアルカリに不溶な金属、又は金属酸化物にすることによって、一方のレリーフ層のみをサイドエッチングすることが可能である。この場合、一方のみ(例えば、第一レリーフ層2のみ)を光学層6により縁取りすることが可能となる。この結果、例えば、第一レリーフ層2側のみに、縁取り光学層6′を形成することができる。
(第一支持基材10及び第二支持基材16)
第一支持基材10及び第二支持基材16は、第一凹凸構造2b及び第二凹凸構造8bを形成する際の熱圧に耐える透明基材であれば、いかなる材料を使用しても良い。例えばPETフィルムやPENなどが例として挙げられる。
なお、第一支持基材10又は第二支持基材16のみでも、窓開きフィルム18が支持可能であれば、どちらか片方の支持基材を省略しても良い。また、窓開きフィルム18と証書基材20との接着性を向上させるために、証書基材20を挟んで、第一支持基材10と対向配置された第二支持基材16であっても良い。
(証書類の基材20)
証書類の基材20は、紙、樹脂フィルム、紙と樹脂フィルムの積層品であっても良い。
以下、本実施形態に係る有価証券100に含まれる窓開きフィルム18の製造方法について説明する。
図7(a)〜(d)は、有価証券100に含まれる窓開きフィルム18の各製造工程を示す。
まず、図7(a)に示すように、第一支持基材10には順に、第一凹凸形成層12と、第一レリーフ層2とが積層されており、この第一レリーフ層2に光学層6をパターン塗布する。なお、第一レリーフ層2は、例えばアルミニウムで形成されている。
次に、図7(b)に示すように、パターン塗布された光学層6を覆うようにして、支持フィルム22上に積層して形成された、第二レリーフ層8と第二凹凸形成層14とを含む転写箔24を光学層6に転写する。なお、図7(c)は、第二レリーフ層8及び第二凹凸形成層14が光学層6に転写されている状態を示している。
次に、図7(d)に示すように、支持フィルム22を剥離した後、光学層6によりマスクされた部分以外の第一レリーフ層2をアルカリエッチングして除去する。その後、さらにエッチングを続けて、第一レリーフ層2及び第二レリーフ層8をサイドエッチングする。このサイドエッチングによって、第一レリーフ層2に形成された第二開口部2aの輪郭と、第二レリーフ層8に形成された第三開口部8aの輪郭とは、光学層6により縁取りされる。これにより、図1及び図2で説明した、縁取り光学層6′が形成される。
光学層6による縁取りを施した後(つまり、縁取り光学層6′を形成した後)、第二凹凸形成層14に、第二支持基材16を貼り合わせる。このようにして、図5に示した、窓開きフィルム18を製造する。
以下、上記製造方法の具体例について説明する。
まず、厚み25μmの透明ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムから成る第一支持基材10に保護層として下記組成物からなるインキ(つまり、保護層インキ)を、乾燥後の膜厚が2μmとなるように塗布乾燥した。
以下に保護層インキの組成物及び組成比率を示す。
「保護層インキの組成物」
ポリアミドイミド樹脂(Tg.250℃) 19.2重量部
ポリエチレンパウダー 0.8重量部
ジメチルアセトアミド 45.0重量部
トルエン 35.0重量部
次に、回折構造形成層として、下記組成物からなるインキ(つまり、回折構造形成層インキ)を、乾燥後の膜厚が1μmとなるように、塗布し、かつ、150℃、10secの条件で焼き付けた。
以下に回折構造形成層インキの組成物及び組成比率を示す。
「回折構造形成層インキの組成物」
ウレタン樹脂 20.0重量部
メチルエチルケトン 50.0重量部
酢酸エチル 30.0重量部
次いで、ロールエンボス法により、回折格子を構成する微細凹凸構造を有する金属スタンパーを、乾燥させたインキの表面に押し付け、熱圧によって微細構造を複製した。こうして、微細な第一凹凸構造2bを有する第一凹凸形成層12を得た。
次に、第一凹凸形成層12を覆うように、アルミニウムを真空蒸着法にて50nmの膜厚となるように形成した。こうして、第一レリーフ層2を得た。
次に、第一レリーフ層2の場合と同様に、厚み25μmの透明ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムから成る支持フィルム22に保護層として上記組成物からなるインキ(つまり、保護層インキ)を、乾燥後の膜厚が2μmとなるように塗布乾燥した。
次に、回折構造形成層として、上記組成物からなるインキ(つまり、回折構造形成層インキ)を、乾燥後の膜厚が1μmとなるように、塗布し、かつ、150℃、10secの条件で焼き付けた。
次いで、ロールエンボス法により、回折格子を構成する微細凹凸のレリーフパターンを回折構造形成層の表面に形成した。こうして、微細な第二凹凸構造8bを有する第二凹凸形成層14を得た。
次に、第二凹凸形成層14を覆うように、アルミニウムを真空蒸着法にて50nmの膜厚となるように形成した。こうして、微細な第二凹凸構造8bを有する第二レリーフ層8を得た。
得られた第一レリーフ層2上に、下記組成のインキ(つまり、光学層インキ)をグラビア印刷法により、膜厚5ミクロンでパターン印刷した。
以下に光学層インキの組成物及び組成比率を示す。
「光学層インキの組成物」
塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体 40重量部
着色蛍光顔料 10重量部
メチルエチルケトン 50重量部
トルエン 50重量部
光学層6をパターン塗工した第一レリーフ層2を含む第一支持基材10と、第二レリーフ層8と第二凹凸形成層14とを含む転写箔24とを熱ラミネートすることによって、光学層6上にのみ第二レリーフ層8と第二凹凸形成層14とを転写させた。
次に、アルカリエッチングを行い、光学層6でマスクされた部分以外の第一レリーフ層2を除去した後に、更にエッチングを行うことで第一レリーフ層2及び第二レリーフ層8をサイドエッチングした。こうして、第一レリーフ層2及び第二レリーフ層8に形成された第二開口部2a及び第三開口部8aの輪郭を光学層6によって50ミクロンの線幅で縁取りして(つまり、縁取り光学層6′を形成して)、図1に示した有価証券100を製造した。
以上のようにして製造された有価証券100に含まれる窓開きフィルム18は、表裏で異なる回折構造を有し、更には表裏のアルミパターンが同一であり、且つ、表裏で位置あわせされている。更には表裏其々のアルミパターンが50ミクロンの線幅の蛍光インキで縁取りされている。
この様な効果は、窓開きフィルム18に設けられた2つのレリーフ層2、8に含まれる開口パターン2a、8aと、50ミクロン幅の光学層6から成る縁取り光学層6′と、を精度良く位置あわせする必要があることから、上記製造方法により製造された窓開きフィルム18を有する有価証券100は、透明窓3の表裏から箔押ししただけでは偽造できないものとなる。
[第二実施形態]
以下、本発明に係る証書類の第二実施形態について、図3、図4及び図6を参照して説明する。なお、本実施形態に係る証書類の構造は、上記第一実施形態に係る証書類の構造と概ね同じであるが、証書類の裏面側に縁取り光学層6′を備えていない点が上記第一実施形態に係る証書類と異なる点である。
また、本実施形態に係る証書類に含まれる窓開きフィルム48の製造方法は、上記第一実施形態に係る証書類に含まれる窓開きフィルム18の製造方法と概ね同じであるので、この製造方法については説明を省略する。
以下、本実施形態における有価証券200について説明する。
第二実施形態は請求項2に係る発明の実施形態であり、図3は証書類の表面の正面図を示し、図4は証書類の裏面の正面図を示す。そして、図6は、図3に示された(c)−(d)間の断面図を示す。また、本実施形態においては証書類として、有価証券200を用いる。有価証券200は、その本体をなす基材50に基材開口部50aが開口されていて、その基材開口部50aは基材50に長方形に開口されている。その基材開口部50aは窓開きフィルム48により覆われていて、この窓開きフィルム48は前記基材50と一体となって有価証券200を構成している。
窓開きフィルム48の表面からは、図3或いは図6に示すように、第二開口部32aが形成された第一レリーフ層32と、第二開口部32aの中心になる透明窓34と、前記第二開口部32aの輪郭を縁取りする縁取り光学層36′とが見える。
また、窓開きフィルム48の裏面からは、図4或いは図6に示すように、第三開口部38aが形成された第二レリーフ層38と、第三開口部38aの中心になる透明窓34とが備わっているが、前記第三開口部38aの輪郭を縁取りする縁取り光学層は備わっていない。
そして、窓開きフィルム48は、図6に示すように、透明な第一支持基材40から順に、第一凹凸形成層42と、第一レリーフ層32と、光学層36と、第二レリーフ層38と、第二凹凸形成層44と、透明な第二支持基材46とが積層されて、これらが透明な窓開きフィルム48を形成している。そして、この窓開きフィルム48が証書類の基材50に設けられた証書類の基材開口部50aを覆っている
縁取り光学層36′は、第一レリーフ層32に形成された第二開口部32aの輪郭を縁取りし、且つその内側に第一開口部36aを形成して、これらの中央に透明窓34を形成している。そして、この縁取りは、有価証券200の表面側(つまり、第一支持基材40側)見て確認可能である。
なお、上記第一実施形態の場合と同様に、第一レリーフ層32及び第二レリーフ層38には、それぞれ微細な第一凹凸構造32b及び第二凹凸構造38bが形成されている。そして、第一レリーフ層32に設けられた微細な第一凹凸構造32bと第二レリーフ層38に設けられた微細な第二凹凸構造38bとは、それぞれ構造が異なっている。
また、第一レリーフ層32に設けられた第二開口部32aの形状と、第二レリーフ層38に設けられた第三開口部38aの形状は、異なっている。
また、第一凹凸形成層42及び第二凹凸形成層44は、縁取り光学層36′の視認性を高めるために、透明であることが好ましい。
以上のように、本実施形態に係る有価証券200によれば、第一レリーフ層32は第一凹凸構造32bを、また第二レリーフ層38は第一凹凸構造32bとは構造の異なる第二凹凸構造38bを、それぞれ含んでいる。このため、有価証券200の表裏に示された回折画像はそれぞれ異なるものとなる。
また、本実施形態に係る有価証券200によれば、任意の図柄で第一開口部36aを形成することができる。このため、第一開口部36aを介して第一レリーフ層32と第二レリーフ層38とをウェットエッチングした場合、第一開口部36aに形成した図柄と相似の図柄を第一レリーフ層32と第二レリーフ層38とに形成することができる。従って、従来技術と比較して、形成した図柄の位置合わせが容易となる。
上記の作用・効果により、透明窓34の表裏から箔押ししただけでは偽造できない、高い偽造防止効果を有する、表面或いは裏面の検証が可能な有価証券200を提供することができる。
なお、上記両実施形態においては証書類として有価証券を例示したが、他の証書にこの発明を適用することも可能である。
また、各層を着色して意匠を向上させることも可能である。
また、図では全面を図柄として星型の窓を形成しているが、この配置は逆でも良く、全面を窓として、星型の図柄を形成しても良い。ここで、「図柄」とは、第一レリーフ層2、32及び第二レリーフ層8、38に形成された図柄を指す。
本発明は、透明窓を利用した表裏検証可能な証書類を提供することが可能となり、透明窓の表裏から箔押ししただけでは偽造できない、高い偽造防止効果を有する、証書類を提供することが可能である。
2 第一レリーフ層
2a 第二開口部
2b 第一凹凸構造
4 透明窓
6 光学層
6a 第一開口部
6′ 縁取り光学層
8 第二レリーフ層
8a 第三開口部
8b 第二凹凸構造
10 第一支持基材
12 第一凹凸形成層
14 第二凹凸形成層
16 第二支持基材
18 窓開きフィルム
20 証書類の基材
20a 基材開口部
22 支持フィルム
24 転写箔
32 第一レリーフ層
32a 第二開口部
32b 第一凹凸構造
34 透明窓
36 光学層
36a 第一開口部
36′ 縁取り光学層
38 第二レリーフ層
38a 第三開口部
38b 第二凹凸構造
40 第一支持基材
42 第一凹凸形成層
44 第二凹凸形成層
46 第二支持基材
48 窓開きフィルム
50 証書類の基材
50a 基材開口部
100 有価証券
200 有価証券

Claims (6)

  1. 基材開口部が形成された証書類の基材と、
    前記基材開口部を覆う窓開きフィルムと、を備え、
    前記窓開きフィルムは、
    透明な第一支持基材と、
    前記第一支持基材と対向配置された透明な第二支持基材と、
    前記第一支持基材と前記第二支持基材との間に介在され且つ第一開口部が形成された光学層と、
    前記第一支持基材と前記光学層との間に介在され且つ前記第一開口部とは形状の異なる第二開口部が形成された第一レリーフ層と、
    前記第二支持基材と前記光学層との間に介在され且つ前記第一開口部とは形状の異なる第三開口部が形成された第二レリーフ層とを少なくとも含み、
    前記第一レリーフ層は第一凹凸構造を有し、
    前記第二レリーフ層は前記第一凹凸構造とは構造の異なる第二凹凸構造を有し、
    前記第一開口部と前記第二開口部と前記第三開口部とは互いに位置合わせがされ、
    前記光学層の第一開口部は平面視で前記第二開口部の輪郭の少なくとも一部を縁取り且つ前記第三開口部の輪郭の少なくとも一部を縁取るものとし、平面視で前記第一開口部の開口領域により透明窓形成されることを特徴とする表裏検証可能な証書類。
  2. 基材開口部が形成された証書類の基材と、
    前記基材開口部を覆う窓開きフィルムと、を備え、
    前記窓開きフィルムは、
    透明な第一支持基材と、
    前記第一支持基材と対向配置された透明な第二支持基材と、
    前記第一支持基材と前記第二支持基材との間に介在され且つ第一開口部が形成された光学層と、
    前記第一支持基材と前記光学層との間に介在され且つ前記第一開口部とは形状の異なる第二開口部が形成された第一レリーフ層と、
    前記第二支持基材と前記光学層との間に介在され且つ前記第一開口部と形状が同一である第三開口部が形成された第二レリーフ層とを少なくとも含み、
    前記第一レリーフ層は第一凹凸構造を有し、
    前記第二レリーフ層は前記第一凹凸構造とは構造の異なる第二凹凸構造を有し、
    前記第一開口部と前記第二開口部と前記第三開口部とは互いに位置合わせがされ、
    前記光学層の第一開口部は平面視で前記第二開口部の輪郭の少なくとも一部を縁取るものとし、平面視で前記第一開口部の開口領域により透明窓形成されることを特徴とする表裏検証可能な証書類。
  3. 前記第二開口部の形状と、前記第三開口部の形状とは、同一であることを特徴とする請求項1に記載の表裏検証可能な証書類。
  4. 前記第一凹凸構造と前記第二凹凸構造のうち少なくとも一方は、特定波長領域の電磁波を反射、吸収、散乱、偏光、回折のうち、何れか1つ以上の光学効果を生じさせる構造であることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の表裏検証可能な証書類。
  5. 前記光学層は、特定波長領域の電磁波を反射、吸収、散乱、干渉、蛍光発光、回折のうち、何れか1つ以上の光学効果を有することを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の表裏検証可能な証書類。
  6. 前記第一レリーフ層と前記第二レリーフ層のうち少なくとも一方は、アルミニウムで形成された層であることを特徴とする請求項1から請求項5の何れか一項に記載の表裏検証可能な証書類。
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