JP3428537B2 - 嚥下補助食品 - Google Patents
嚥下補助食品Info
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Description
に関する。
力が低下しているので食事を咀しゃくする力と嚥み下す
力に衰えが生じていることが多く、通常の食事を摂食で
きないことがある。そのため、これらの弱者には、食品
を流動食として加工したものを摂食させているのが一般
的であるが、流動食に加工するのが大変であるうえ、上
記弱者であっても流動食の食事ばかりではつまらない
し、流動食に該当しない例えばみそ汁やスープ等の液状
の日常食も味わって喫食したいところである。
食品に「とろみ」をつけて上記弱者が摂食できるように
した嚥下補助食品として、デキストリン・加工澱粉等の
糖質を主成分とする粉状物が市販されている。
販品は、液状食品に「とろみ」をつけるものであり、液
状食品は粘度が上がって(粘性がついて)べたべたした
ものになる。そして、このべたべたした液状食品は、上
記弱者が摂食はできるものの、嚥下しにくいため喉に留
まっているうちにむせて誤嚥してしまうことがある。し
たがって、この市販品は液状食品の嚥下補助食品として
は最良のものではない。そこで、本発明は、液状食品を
任意の温度で適度な堅さにゲル凝固させて、この凝固物
を弱者が誤嚥することなくつるりと嚥下でき、しかも常
温で流通できるようにした嚥下補助食品を提供すること
を目的とする。
食品を嚥下するのにこれを凝固させるためのキットであ
って、ワンタッチ注出容器の別異のポケットにそれぞれ
酸性に調整して無菌的にした濃度0.5〜20w/v%
のローメトキシルペクチン水溶液10〜30mlと、多
価の金属塩をその濃度が3〜10%になるように液状の
糖に分散させた糖液3〜15mlとをパックしてなる嚥
下補助食品、(2)液状の糖としてデキストリン、デキ
ストリンアルコール及びトレハロースのうちの一以上を
用いた(1)の嚥下補助食品、によって達成される。
お、本発明において「%」は特にことわりのない限り
「質量%」を意味する。本発明において「嚥下補助食
品」とは、清水、みそ汁、スープ、ミキサー食、ジュー
ス、しるこ等の液状食品を嚥み下す力の衰えた弱者(患
者)が問題なく供食できるように、液状食品の物性を嚥
下しやすいものにするために添加される食品をいう。
嚥下するためにこれを凝固させるためのキットであっ
て、酸性に調整して無菌的にパックしたローメトキシル
ペクチン水溶液と、多価の金属塩を液状の糖に分散させ
てこれをパックした糖液とを対にしてなるものである。
本発明において「ローメトキシルペクチン(以下、「L
Mペクチン」ともいう)」とは、エステル化度が50%
以下のペクチンをいう。LMペクチンは多価の金属イオ
ンと反応してゲル化し、液状食品を凝固させて適度な堅
さにして嚥下しやすくする役割をする。その水溶液のL
Mペクチン濃度は0.5〜20w/v%とするのが望ま
しい。これは濃度が薄すぎると液状食品を凝固させるの
にこの溶液を多量に使用する必要があるため好ましくな
く、またあまり濃すぎるものはLMペクチンが水に溶解
しにくくなって実用的でないからである。LMペクチン
水溶液は、クエン酸、乳酸、アルコルビン酸等の酸剤を
加えて酸性に調整した後、合成樹脂又は金属製のパウチ
や容器に無菌的にパックし、常温流通ができるように加
工する。ここでLMペクチン水溶液を酸性に調整するの
は、LMペクチンはあまり高温で加熱すると液状食品を
凝固させる物性を失うので、その物性を失わせない温度
条件で当該水溶液を無菌的にパックできるようにするた
めである。ここで「無菌的にパックする」とは、上記水
溶液をいわゆるホットパックするか、ホットパックしな
い場合には上記水溶液を充填・密封したパウチや容器を
加熱殺菌することをいう。
をなす糖液は、多価の金属塩を液状の糖に分散させ、こ
れを合成樹脂又は金属製のパウチや容器にパック(充填
・密封)されている。本発明において、「多価の金属
塩」とは炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、塩化カル
シウム、乳酸カルシウム、塩化マグネシウム等の金属塩
をいい、また「液状の糖」とは、ブドウ糖、ガラクトー
ス、マルトース、ラクトース、デキストリンアルコー
ル、トレハロース糖の糖類が液状になっているものをい
う。ここで多価の金属塩を用いるのは、この金属塩をL
Mペクチン水溶液で混合すれば、速やかに多価の金属イ
オンが生じてLMペクチンと反応し、ゲル化して液状食
品を凝固させることができるからである。またこの金属
塩を液状の糖に分散させるのは、この糖は液状であり、
しかも金属塩(微粉末)を沈殿させることなく、均一に
分散できるからである。なお、液状の糖は甘味度が比較
的低いデキストリン、デキストリンアルコール及びトレ
ハロースのうち一以上を用いれば、液状食品に過度の甘
味をつけることなく、液状食品を凝固させることができ
る。
述の様に酸性に調整するが、そのPHを4以下に調整し
て無菌パックすると、後述の試験例にも示すように、常
温で長期間流通しても変質しないものとすることができ
る。なお、そのPHをあまり低くし過ぎると液状食品に
酸味をつけてしまうので、PH3以上に調整するのが望
ましい。また、LMペクチン水溶液と対をなす糖液には
多価の金属塩を濃度が3〜10%になるように分散させ
るとよい。これは、後の試験例にも示すように、その濃
度が薄過ぎると液状食品を凝固させる力が弱くなり、一
方、濃くし過ぎると糖液に分散させた金属塩が沈殿して
しまい、いずれも凝固剤として不適当だからである。
ン水溶液と糖液をそれぞれ別個のパウチや容器にパック
し、これを一対のものとしてよいが、ワンタッチ注出容
器の別異のポケットにそれぞれLMペクチン水溶液と糖
液をパックして一個の容器で一対とし、使用に当たって
は、両液をワンタッチで液状食品に注出するようにする
と便利である。通常、一食当りの液状食品は100ml
であり、これを嚥下しやすい堅さに凝固させるには、上
記ワンタッチ注出容器にLMペクチン水溶液を10〜3
0ml、金属塩を分散させた糖液を3〜15mlパック
するのが適当である。
ずLMペクチンを清水に溶解し、これに酸剤を加えてそ
のPHを酸性に調整した後、60〜90℃に加熱して合
成樹脂又は金属性のパウチや容器にパックする。また、
これと対をなす糖液は、液状の糖に所定量の多価の金属
塩(粉末)を添加・混合した後60〜90℃に加熱し
て、これを合成樹脂又は金属製のパウチや容器にパック
すればよい。なお、この糖液は水分活性が低く、細菌類
や酵母が繁殖するおそれはないので、必ずしも無菌的に
パックする必要はない。
能であり、使用に当たっては液状食品に対して所定量の
LMペクチン水溶液と金属塩を分散させた糖液とを加え
て混合し、しばらく放置すれば、液状食品を嚥下に適し
た堅さにゲル凝固させることができる。そして、この凝
固物は弱者が誤嚥することなくつるりと軽く嚥下するこ
とができる。
そのPHを3.5に調整した後、80℃に加熱した。こ
れとは別に、デキストリンアルコール94%に炭酸カル
シウム(試薬)6%を加えよく攪拌して、炭酸カルシウ
ムを分散させた糖液Bを作成し、80℃に加熱した。次
に、図1及び図2に示すワンタッチ注出容器1のポケッ
ト2にLMペクチン水溶液Aを20ml、またポケット
2'には糖液Bを7mlそれぞれ充填・密封(パック)
して製品とした。なお、図1及び図2において、ポケッ
ト2は折曲線4を際にして左部と右部に分かれている
が、この左部と右部は連通部7を介してつながってい
る。また製品を使用するときは容器1を折曲線4に沿っ
て折り曲げると、突起3a、3aが破断し、その尖端部
3が開口するようになっている。
0mlに、上記実施例1で製した嚥下補助食品につい
て、図3に示すようにワンタッチ注出容器を折り曲げる
ことによって、ポケット中のLMペクチン水溶液Aと糖
液Bを注出し、混合した後、後5分間放置したところゲ
ル凝固した。この凝固物の温度は40℃であったが適度
な堅さにゲル凝固しており、小サジですくって熱いまま
患者に与えたところ、つるりと嚥下させることができ
た。 使用例(2) スープ皿に入れた65℃のコーンスープ100mlに、
上記実施例1で製した嚥下補助食品を使用例(1)と同
じ方法でワンタッチ注出容器から注出し、混合した後5
分間放置したところゲル凝固した。この凝固物を皿ご
と、冷蔵庫に入れて10℃に冷却したが適度な堅さにゲ
ル凝固しており、小サジですくって冷えたものを患者に
与えたところ、つるりと嚥下させることができた。
例1の使用例(1)によって作成した40℃の凝固みそ
汁 対照品(1):80℃の出来たてのわかめのみそ汁10
0mlに対して市販の粉状嚥下補助食品(主成分:デキ
ストリン、加工澱粉)10gを加えよく攪拌して40℃
にしたとろみをつけたみそ汁 発明品(2):実施例1の嚥下補助食品を用いて、実施
例1の使用例(2)によって作成した10℃の凝固コー
ンスープ 対照品(2):65℃のコーンスープ100mlに対し
て市販の粉状嚥下補助食品(対照区(1)で用いたものと
同じ)10gを加えてよく攪拌した後、冷蔵庫で10℃
に冷却したとろみをつけたコーンスープ 上記サンプルについて、ゲル凝固の程度をみるため、堅
さを測定した後、患者に試食してもらい嚥み下し性の難
易を調べたところ、表1の結果が得られた。
食品を温めても、或いは冷やしても適度な堅さに凝固さ
せて、つるりと軽く嚥下させられることが理解できる。
添加して、表2に示すそれぞれPHの異なる7種類のL
Mペクチン水溶液を調整した。この各サンプルを80℃
に加熱して合成樹脂パウチに90mlずつ充填密封し
た。そして、得られた各LMペクチン水溶液のパックを
30℃で50日間保存した後、開封し、水溶液の変質状
況を観察したところ表2の結果が得られた。
特にPH4.0以下に調整すれば、常温において保存性
のあることが理解できる。
加混合して分散させ、表3に示すそれぞれ炭酸カルシウ
ム濃度の異なる6種類の糖液を作成した。得られた各糖
液を合成樹脂製パウチに50mlずつ充填密封し、25
℃で50日間保存した後開封し、炭酸カルシウムの沈殿
状況を観察したところ表3の結果が得られた。
10%未満とすれば常温に保存しても沈殿がないことが
理解できる。
品は、液状食品を適度な堅さにゲル凝固させて、弱者に
誤嚥することなくつるりと嚥下させることができるばか
りでなく、常温で流通できるという産業上の利用価値を
有する。
タッチ注出容器の一実施例を示す斜視図
Claims (2)
- 【請求項1】液状食品を嚥下するのにこれを凝固させる
ためのキットであって、ワンタッチ注出容器の別異のポ
ケットにそれぞれ酸性に調整して無菌的にした濃度0.
5〜20w/v%のローメトキシルペクチン水溶液10
〜30mlと、多価の金属塩をその濃度が3〜10%に
なるように液状の糖に分散させた糖液3〜15mlとを
パックしてなる嚥下補助食品。 - 【請求項2】液状の糖としてデキストリン、デキストリ
ンアルコール及びトレハロースのうちの一以上を用いた
請求項1に記載の嚥下補助食品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32793599A JP3428537B2 (ja) | 1999-11-18 | 1999-11-18 | 嚥下補助食品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32793599A JP3428537B2 (ja) | 1999-11-18 | 1999-11-18 | 嚥下補助食品 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
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JP3428537B2 true JP3428537B2 (ja) | 2003-07-22 |
Family
ID=18204662
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP32793599A Expired - Lifetime JP3428537B2 (ja) | 1999-11-18 | 1999-11-18 | 嚥下補助食品 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3428537B2 (ja) |
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JP2015156829A (ja) * | 2014-02-24 | 2015-09-03 | ユニテックフーズ株式会社 | 澱粉含有食品の物性改良剤 |
-
1999
- 1999-11-18 JP JP32793599A patent/JP3428537B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
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