JP2008259502A - 菌体含有ゼリー飲料の製造方法 - Google Patents

菌体含有ゼリー飲料の製造方法 Download PDF

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孝子 山村
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Abstract

【課題】 本発明は、菌体の沈殿を防止しつつ機械充填性に優れた菌体含有ゼリー飲料の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明は、ゲル化点が19℃〜24℃、または23℃での粘度が8〜708mPaである菌体が懸濁された溶液を、ゲル化点以上であり33℃以下の温度でパッケージへ充填する工程を含む、菌体含有ゼリー飲料の製造方法である。
【選択図】 なし

Description

発明の詳細な説明
技術分野
本発明は、菌体を含有したゼリー飲料の製造方法に関する。より特定的には、製造工程および製品中での菌体の沈殿を防止し、かつ機械充填性に優れたゼリー飲料の製造方法に関する。
背景技術
ゼリー飲料は、スポーツ選手用に開発された栄養補給食品をもとに、ゆっくり朝食を摂る時間のない多忙な現代人のための栄養補助食品として商品化されたものであるが、近年手軽な食事として定着している。
ゼリー飲料の製造では、ゲル化剤を添加し、ほどよいゲル化度が得られるように調製される。ゲル化剤とは、液体をゼリー状に固める(ゲル化する)作用をもつ物質であり、ゼリー飲料の製造に用いられるゲル化剤としては、例えばこんにゃく粉、カラギーナン、ゼラチン、ペクチン、寒天、アルギン酸、ローカストビンガム、キサンタンガム等が挙げられる。特開2002−291453号公報(特許文献1)には、ゲル化剤を含む溶液をゲル化することなく充填できる温度で充填し、密封した後、20〜25℃以下でゲル化しゼリー状(固化した状態)にすることにより製造される、製品のpHが4.6〜9である常温流通可能な密封容器入りゼリー飲料が開示されている。
一方、不溶性固形分を含有する飲料における固形分の沈殿防止という観点から、多糖類を配合した飲料が開示されている。例えば特開2000−312572号公報(特許文献2)には、特定の乳化剤、結晶セルロース、キサンタンガム、ジェランガム及び単糖類等を特定比率で含有する、分散安定性の優れた蛋白飲料が開示されている。また、特開平7-123934号公報(特許文献3)には、飲料に寒天を0.001〜0.5重量%添加することにより不溶性固形分を分散させる方法が開示されている。
特開2002−291453号公報 特開2000−312572号公報 特開平7-123934号公報
発明の開示
乳酸菌は、整腸作用や免疫賦活作用といった有益な生理活性を有することが知られ、一般消費者にとって健康効能感のある素材としての認知度も高いことから、このような有益な生理活性を有する乳酸菌などの菌体を、手軽に摂取しうる製品、特に飲料の形態の製品の開発が望まれている。しかし、本発明者らの検討によると、乳酸菌などの菌体は、果汁に含まれるパルプ等の果実成分や結晶セルロースと比較して、極めて沈殿し易い性質を有することが判明した。
ゼリー飲料にはゲル化剤が添加されるが、単に固まる量を添加するだけでは、充填不良を起こしてしまう。また、乳酸菌などの菌体をゼリー飲料に添加する場合、均一に分散させ沈殿を防止する必要があり、充填性に重きをおくと、粘度が低下した溶液を用いることとなり、固まるまでに沈殿してしまう。
このように、従来のゼリー飲料の製造法では、乳酸菌などの菌体を含有するゼリー飲料を満足に製造することができなかった。本発明は、上記の現状に鑑み、産業上の製造を考慮し、製造工程および製品中での菌体の沈殿を防止し、かつ機械充填性に優れた菌体含有ゼリー飲料の製造方法を提供する。
本発明者らは、ゼリー飲料の製造において、ゲル化点が19℃〜24℃、または23℃での粘度が8〜708mPaである菌体が懸濁された溶液を、ゲル化点以上であり33℃以下の温度でパッケージへ充填することにより、菌体粉体の沈殿を防止し、かつ機械充填性に優れた製法となることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、ゲル化点が19℃〜24℃、または23℃での粘度が8〜708mPaである菌体が懸濁された溶液を、ゲル化点以上であり33℃以下の温度でパッケージへ充填する工程を含む、菌体含有ゼリー飲料の製造方法である。
また本発明は、前記菌体含有ゼリー飲料の製造方法において、ゲル化剤がこんにゃく粉、カラギーナン、ゼラチン、ペクチン、寒天、アルギン酸、ローカストビンガム、キサンタンガムからなる群から選択される一又はそれ以上である製造方法である。そして本発明は、また、ゲル化剤濃度が0.25〜0.5%である充填溶液を、ゲル化点以上であり33℃以下の温度でパッケージへ充填する工程を含む、菌体含有ゼリー飲料の製造方法である。
本発明は、また、粉末の菌体であり、該粉末の平均粒子径が1〜100μm(好ましくは8〜50μm)である菌体が懸濁された溶液を、ゲル化点以上であり33℃以下の温度でパッケージへ充填する工程を含む、菌体含有ゼリー飲料の製造方法である。
さらに本発明は、前記製造方法において、パッケージとして紙パック(紙容器)を用いる方法である。
また本発明は、ゲル化点が19℃〜24℃、または23℃での粘度が8〜708mPaである菌体が懸濁された溶液を、ゲル化点以上であり33℃以下の温度でパッケージへ充填することにより得られる、菌体含有ゼリー飲料で、5℃におけるゼリー強度が55〜140gである、菌体含有ゼリー飲料、特に630nmにおける吸光度が0.2以下である、菌体含有ゼリー飲料である。
さらに本発明は、パッケージへの充填前の溶液としてゲル化点が19℃〜24℃、23℃での粘度が8〜708mPaである菌体が懸濁された溶液を用いることを特徴とする、菌体を含有するゼリー飲料中の菌体の沈殿防止方法である。
また本発明は、前記ゼリー飲料中の菌体の沈殿防止方法において、ゲル化剤がこんにゃく粉、カラギーナン、ゼラチン、ペクチン、寒天、アルギン酸、ローカストビンガム、キサンタンガムからなる群から選択される一又はそれ以上である方法である。
本発明は、また、充填溶液中のゲル化剤濃度が0.25〜0.5%である菌体が懸濁された溶液を用いることを特徴とする、菌体を含有するゼリー飲料中の菌体の沈殿防止方法である。
発明を実施するための最良の形態
1.菌体を含有するゼリー飲料の製造方法
本発明により、菌体の沈殿を防止しつつ機械充填性に優れた菌体含有ゼリー飲料の製造方法が提供される。
ここで、本明細書におけるゼリー飲料とは、パッケージに充填された容器詰飲料で、ゲル状(ゼリー状ともいう)に固化した状態の飲料をいい、ゼリーほど固く凝固(ゲル化)しておらず、飲用時に容器を振とうしたり、容器を押したりして、ゼリーを崩して飲用することができるもの、または、容器に設けられた吸引部或いはストロー等を投入することにより、吸引して飲用することができるものをいう。
本発明のゼリー飲料は、以下の工程1)〜4);
1) ゲル化剤及び菌体を含む原料を調合して調合液を得る工程、
2) 前記調合液を殺菌(または滅菌)して充填溶液を得る工程、
3) 前記充填溶液をパッケージ(容器)に充填する工程、
4) 冷却してゲル化させる工程
を含む製造方法により製造されるものであるが、本発明の菌体含有ゼリー飲料は、上記工程3)において、ゲル化点が19℃〜24℃、または23℃での粘度が8〜708mPaである菌体が懸濁された充填溶液を、ゲル化点以上であり33℃以下の温度でパッケージへ充填する工程を含む、菌体含有ゼリー飲料の製造方法である。
本発明の菌体含有ゼリー飲料の製造方法では、充填溶液として、ゲル化点が19℃〜24℃、または23℃での粘度が8〜708mPaである菌体が懸濁された溶液を使用することを特徴とする。ここで、本明細書中でいうゲル化点とは、所定の濃度に調製したゲル化剤溶液をスターラーバーにて攪拌しながら冷却し、溶液が回転しなくなる温度をいう。ゲル化点の見極めには、溶液中に活性炭を予め混合し、その粒子の回転が妨げられ始める温度をゲル化点とすることができる。また、本明細書中でいう粘度とは、回転式粘度計で測定した23℃における粘度をいう。
ゲル化点または粘度が上記範囲以下の溶液を用いた場合は、菌体が充填溶液中で懸濁せず、製造工程中(例えば調合タンク内)で菌体の沈殿が発生したり、充填後に製品中で菌体の沈殿が発生し、製品に所定量の菌体が充填されないという問題が発生する可能性がある。一方、ゲル化点または粘度が上記範囲以上の溶液を用いた場合は、常温充填が困難であり、機械充填性に優れない。
また、本発明の菌体含有ゼリー飲料の製造方法では、充填溶液のゲル化点以上であり、かつ33℃以下の温度でパッケージ(容器)への充填を行うことを特徴とする。これは、ゲル化点以上でなければ充填不良の原因となること、および例えば充填容器として紙パックを使用する場合、33℃を超えるとシール性が不十分になるため、33℃以下、好ましくは25℃付近で行うのが好ましいことによる。また、充填溶液を高温に保持すると、ゲル化剤が熱によるダメージを受け冷却後のゲル強度が不充分となる場合があること、風味劣化を引き起こすことがあること等の理由からも、33℃以下、好ましくは25℃付近で充填を行うのが好ましい。
充填溶液のゲル化点または粘度が上記範囲内であれば、上記工程1)、2)における調合方法及び殺菌方法は、何ら制限されるわけではない。例えば、ゲル化剤及び菌体を水に添加して加温し、ゲル化剤を溶解させ、そのまま温度を保持して殺菌(または滅菌)する方法や、常温でゲル化剤及び菌体を水に添加して分散させ、殺菌(または滅菌)時の熱によりゲル化剤を溶解させる方法等を挙げることができる。殺菌(または滅菌)条件も何ら制限されないが、通常の常温の無菌充填で実施される殺菌(または滅菌)条件でよく、110℃、42秒の殺菌等が例示される。
上記工程1)で用いられるゲル化剤としては、上記工程3)における充填溶液のゲル化点が19℃〜24℃、または23℃での粘度が8〜708mPaとなるようなもので、食品、特に飲料に用いられるものであればその種類は問わないが、例えばこんにゃく粉、カラギーナン、ゼラチン、ペクチン、寒天、アルギン酸、ローカストビンガム、キサンタンガム等を用いることができる。中でも、常温流通した際にゼリー強度が変化しにくいもの、すなわち不可逆性のゲル化剤を用いることが好ましい。また、本発明のゼリー飲料の製造方法は、後述するような非白色系の酸性飲料等において好適に用いられるものであるから、酸性下で保存してもゼリー強度が変化しにくいものを用いることが好ましい。このような観点から、本発明のゼリー飲料の製造方法におけるゲル化剤としては、こんにゃく粉、カラギーナン、ローカストビンガム、キサンタンガム等が好適に用いられる。ゲル化剤は単一成分であっても混合物としても使用することができる。上記に例示のこんにゃく粉、カラギーナン、ローカストビンガム、キサンタンガムについて、カラギーナンとローカストビンガム、ローカストビンガムとキサンタンガム、こんにゃく粉とキサンタンガムは、それぞれ相乗的に作用し、溶液の粘度や冷却ゲル化した際のゼリー強度を相乗的に高めることが知られている。これらの混合物を用いる場合(併用する場合を含む)、相乗作用を発揮する配合割合とすることが好ましく、具体的には重量比で、カラギーナン:ローカストビンガム=1:0.05〜1(好ましくは1:0.1〜0.5)、ローカストビンガム:キサンタンガム=1:0.1〜2(好ましくは1:0.3〜0.8)、こんにゃく粉:キサンタンガム=1:0.1〜2(好ましくは1:0.5〜2)程度である。また、この混合物の配合量は、充填溶液が上記範囲のゲル化点または粘度を有するように適宜選択すればよいが、通常、0.25〜0.5重量%程度である。なお、市販のゲル化剤には、他の成分として賦形剤等が添加されているものがあるが、それらであっても何ら制限なく使用することができる。
本発明の製造方法により製造されるゼリー飲料は、製造工程中および製品中での不溶性固形分の沈殿を防止し、かつ機械充填性に優れる。本発明者らの検討によると、不溶性固形分の沈殿は、固形分の粒径のみならず、ペクチン質等の多糖類の含有量にも関連することが示唆されており、ペクチン質を含まない(以下、非ペクチン質という)の不溶性固形分は、ペクチン質を含む固形分、例えば果汁中のパルプや結晶セルロース等と比較して、沈殿しやすい性質を有することが判明した。本発明の製造方法は、このような沈殿しやすい非ペクチン質の不溶性固形分を含有するゼリー飲料の製造に好適に用いられるものである。ここで、非ペクチン質の不溶性固形分としては、乳酸菌等の微生物菌体が挙げられる。微生物菌体の種類は特に問わないが、香味的、生理活性の強さ及び沈殿などの飲料中における物性等の観点から、好ましくはラクトバチルス属菌が用いられる。
ラクトバチルス属菌は、乳酸菌の一種であり、ラクトバチルス属菌の菌学的性質は、バージーズ・マニュアル・オブ・システマティック・バクテリオロジー(BERGEY’S MANUAL of Systematic Bacteriology)(第1巻1984年、第2巻1986年、第3巻1989年、第4巻1989年)に記載されている。
ラクトバチルス属菌としては、例えば酒類製造工程の微生物含有成分に含まれるラクトバチルス属菌がある。具体的には、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、またはラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)に属するラクトバチルス属菌が好ましい。代表的なものとして、ラクトバチルス・プランタラムSAM2446株、およびラクトバチルス・ブレビスSAM2447株を挙げることができる。それらの菌は独立行政法人産業技術総合研究所、特許生物寄託センターに寄託されており、その受託番号はFERM BP-10438、およびFERM BP-10439である。
上記工程1)において、上記の乳酸菌等の菌体が調合されるが、その菌体の形態は、乾燥粉末、湿潤菌体、菌体懸濁液等、どのような形態であってもよいが、好ましくは乾燥粉末として添加される。例えば、乾燥菌体として添加される場合、その粉末の平均粒子径は、1〜100μm、好ましくは8〜50μmである。充填溶液中の菌体の添加濃度は特に制限はないが、例えば0.0005〜2%、好ましくは0.001〜0.1%である。
上記工程3)において、充填されるパッケージ(容器)は、ゼリー飲料の充填に適したものであれば、その種類は問わない。ゼリー飲料、すなわち容器を振とうしたり押したりして飲用できる飲料という観点からは、軟包材容器が好適に用いられる。ゼリー飲料の容器として紙パックが汎用されるが、この紙パックは、充填後に開口部をヒートシールにて密閉する際に、充填溶液の温度が高すぎると、シール部分が冷却されずシール性の強度不足となり、また、充填溶液を高温とすると冷却後のゲル強度が不充分となる場合があるという問題を内在している。本発明の製造方法によると、パッケージとして紙パックを使用しても、シール不良やゲル強度の不足といった問題を発生させないという利点がある。これより、本発明の製造方法におけるパッケージの好適な態様の一つとして、紙パックが挙げられる。ここで、紙パックとは、紙容器(一部分または全てが紙で作られている容器)、ラミネートや撥水処理等を施した加工紙容器等をいう。
上記工程4)の冷却方法は、充填溶液中で溶解しているゲル化剤が固化してパッケージに充填された充填溶液が容器内でゼリー状に凝固する方法であれば、特に制限されず、例えば、ゲル化点以下の温度の冷蔵室内にて冷却させる方法、容器周辺より冷却水や冷風を接触させて冷却する方法等が挙げられる。
2.菌体を含有するゼリー飲料
本発明は、ゲル化点が19℃〜24℃、または23℃での粘度が8〜708mPaである菌体が懸濁された溶液を、ゲル化点以上であり33℃以下の温度でパッケージへ充填する工程を含む製造方法により製造される、菌体含有ゼリー飲料である。
上記方法で製造されたゼリー飲料は、充填後の保存中に菌体の沈殿が生じることがない。したがって、本発明の製造方法により、白色沈殿が顕著という外観上の問題から製造されてこなかった、菌体を含有する非白色系のゼリー飲料が新たに提供される。ここで、非白色系のゼリー飲料とは、白濁度合いが低いゼリー飲料をいい、具体的には、630nmにおける吸光度が0.2以下であるゼリー飲料をいう。このようなゼリー飲料としては、乳成分や大豆成分等を実質的に含まないもの、乳化剤や油脂類を含まないもの等を例示することができ、スポーツドリンクタイプのゼリー飲料や、果汁含有酸性飲料等を挙げることができる。
また、本発明のゼリー飲料は、飲用時に容器を振とうしたり、容器を押したりして、ゼリーを崩して飲用することができるもの、または、容器に設けられた吸引部或いはストロー等を投入することにより、吸引して飲用することができるもの等、スプーンを使用せずに飲用できるもので、ゼリーの喉越しを楽しむことができるものである。このようなゼリー飲料の強度は、55〜140g程度である。ここで、本明細書中でいうゼリー強度とは、ゼリーを90mlプラスチックカップ容器(岸本産業(株)、PP71-85M)に満量充填して5℃にて冷却ゲル化させたゼリーを、5℃の冷蔵庫から取り出し、10分以内にテクスチャーアナライザー(TX.XT.PLUS(Stable Micro Systems製))等を用いて圧縮破断試験(プローブ:P/1KS、侵入速度:2mm/sec)を行った際の破断点における強度をいう。
本発明のゼリー飲料は、好ましくは常温充填にて製造されるものである。したがって、本発明のゼリー飲料は酸性域であることが保存の観点から好ましく、具体的にはpH2〜5、特にpH2.5〜4.5とすることが好ましい。
3.ゼリー飲料中の乳酸菌粉末の沈殿防止方法
本発明は、パッケージへの充填前の溶液としてゲル化点が19℃〜24℃、23℃での粘度が8〜708mPaである菌体が懸濁された溶液を用いることを特徴とする、菌体を含有するゼリー飲料中の菌体の沈殿防止方法である。
すなわち、パッケージへの充填前の溶液として、ゲル化点が19℃〜24℃、23℃での粘度が8〜708mPaである菌体が懸濁された溶液を用いることにより、充填前の溶液および充填後の製品においても、菌体の沈殿が防止される。
<実施例>
本発明を実施例によってさらに詳しく説明するが、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
試験例1:乳酸菌粉末の粒度分布
ロットNo.の異なる2種類の乳酸菌(ラクトバチルス・プランタラムSAM2446株)粉末(A:ロット 062693,B:ロット 061030)を水に添加し(約0.5重量%)、レーザー散乱回折法粒度分布測定装置(LS13 320(ベックマン・コールター(株)製)にて、粒度分布測定を行った。また、オレンジ混濁果汁(日本フルーツジュース(株)、6倍濃縮)を水に添加し、同様に粒度分布測定を行った。
図1に結果を示す。乳酸菌粉末ロットNo.A及びロットNo.Bの平均粒径は、それぞれ8.3μm、11.6μmであった。一方、混濁果汁の平均粒径は、195μmであった。
目視により、乳酸菌粉末または混濁果汁中の不溶性固形成分の沈殿を確認したところ、乳酸菌粉末の溶液に沈殿が顕著に見られ、その沈殿は、容器の底側から観察した場合に、白いリングが形成されている量であった。この結果より、乳酸菌粉末は混濁果汁中の不溶性固形分と比べて平均粒径が小さいが、沈殿しやすい性質を有することが明らかとなった。
試験例2
市販ゲル化剤(カラギーナン、ローカストビーンガム、キサンタンガム、こんにゃく粉)を混合して表1に示す組成のゲル化剤含有混合粉末(以下、ゲル化剤含有粉末)を得た。このゲル化剤含有粉末を用いて、表2に示す配合のゼリー飲料を調製し、菌体成分の沈殿の有無を観察した。
具体的には、表2に示す配合のゲル化剤含有粉末、砂糖及び熱水(約65℃)を混合して溶解し、クエン酸、乳酸カルシウム及び水を混合して溶解させたものと、乳酸菌粉末(試験例1のA)を添加して攪拌して充填溶液を得、この充填溶液を約35℃にした後、300gずつを容器(ガラスビーカー)に充填して23℃にて3日間静置し、0.2〜0.9%(ゲル化剤濃度としては、0.14〜0.63%)の各濃度のゲル(ゼリー飲料)を調製した。この各濃度のゲルについて、乳酸菌体成分の沈殿の発生を観察した。表3に結果を示す。ゲル化剤の濃度が上昇するに従い沈殿量は減り、0.4%以上のゲル化剤含有粉末(ゲル化剤濃度としては0.28%以上)の添加で、菌体成分の沈殿が防止された。
また、ゼリー飲料の容器として汎用される紙パックでは、充填後に開口部をヒートシールにて密閉する際に、中身溶液の温度が高すぎると、シール部分が冷却されずシール性の強度不足となる。また、中身溶液を高温とすると冷却後のゲル強度が不充分となる場合がある。そこで、充填溶液の温度を、上述の条件に不都合のない温度である25℃として、常温充填の可否について確認した。
表3に結果を示す。0.7%以下の濃度のゲル化剤含有粉末(ゲル化剤濃度としては0.49%以下)で、常温充填が可能であることがわかった。これより、菌体成分を沈殿させることなく、また常温充填にてゼリー飲料を製造するに最適なゲル化剤含有粉末の濃度は0.4〜0.7%であり、ゲル化剤濃度としては0.27〜0.49%であることが明らかとなった。
Figure 2008259502
Figure 2008259502
Figure 2008259502
試験例3
試験例2と同様の配合・方法にて、ゲル化剤含有粉末0.2〜0.9%(ゲル化剤濃度としては、0.14〜0.63%)の各濃度の充填溶液を調製した。この充填溶液の一部を23℃に冷却し、回転式粘度計(TVB-10型(東機産業(株)製))にて粘度を測定した。また、前記充填溶液を約35℃に冷却し、150gずつ容器(200mlビーカー)に充填し、スターラーバーにて攪拌しながら冷却し、溶液が回転しなくなる温度、すなわちゲル化点を測定した。ゲル化点の見極めには、溶液中に活性炭を予め混合し、その粒子が回転しなくなる点をゲル化点とした。
表4に結果を示す。沈殿の防止には一定以上の粘度が必要であり、また充填性に影響するのはゲル化点であり、この2つの要素が適当な範囲内であることが好ましい。詳細には、ゲル化剤含有粉末の濃度が0.4〜0.7%(ゲル化剤濃度としては0.27〜0.49%)で、粘度8mPa以上、ゲル化点24℃以下の範囲が、菌体成分を沈殿させることなく、また常温充填にてゼリー飲料を製造するに最適な条件であった。
さらに、上記好ましい範囲の上限および下限である濃度のゲル化剤含有粉末0.4%及び0.7%のゲルについて、ゲル強度を測定した。ゲル強度は5℃保管品を10分以内に、テクスチャーアナライザー(TX.XT.PLUS(Stable Micro Systems製))にて測定した(プローブ:P/1KS、侵入速度:2mm/sec)。ゲル強度は、0.4%、0.7%それぞれ、60gおよび127gであった。いずれもストローで飲用が可能であり、良好な喉越しのゼリー飲料であることを確認できたことから、ゼリー飲料として好ましい固さは、55〜140g程度であることが判明した。
Figure 2008259502
実施例1(製造例1)
菌株は、ラクトバチルス・プランタラムSAM 2446株(FERM BP-10438)(平均粒子形8μm、体積平均)を用いた。尚、ゲル化剤は、試験例2と同じものを用いた。
表5の組成で、混合し加熱殺菌(109℃、30秒)した。当該試料のゲル化点は19.7℃で、23℃における粘度は9mPaであった。この液温を25℃に保ち、200mlを紙パックに充填し、開口部をヒートシールにて密閉した。
Figure 2008259502
充填前までに製造工程における菌株の沈殿は無く、充填性は良好であった。5℃にて、分光光度計(UV−1600(島津製作所))を用い、ゼリーの630nmにおける吸光度を測定したところ0.03であった。同様に、5℃で一晩冷却し中身を観察したところ、製造されたゼリーは、ほぼ透明であり、菌体の沈殿はなかった。
実施例2(製造例2)
菌株は、ラクトバチルス・ブレビスSAM2447株(FERM BP-10439)(平均粒子形48μm、体積平均)を用いた。尚、ゲル化剤は、試験例2と同じものを用いた。
表6の組成で、混合し加熱殺菌(109℃、30秒)した。当該試料のゲル化点は19.7℃で、23℃における粘度は9mPaであった。この液温を25℃に保ち、200mlを紙パックに充填し、開口部をヒートシールにて密閉した。
Figure 2008259502
充填前までに製造工程における菌株の沈殿は無く、充填性は良好であった。5℃にて、分光光度計(UV−1600(島津製作所))を用い、ゼリーの630nmにおける吸光度を測定したところ0.03であった。同様に、5℃で一晩冷却し中身を観察したところ、製造されたゼリーは、ほぼ透明であり、菌体の沈殿はなかった。また所定の強度にゲル化したゼリー飲料が得られたことを確認した。
発明の効果
本発明によれば、製造工程および製品中での菌体の沈殿を防止し、かつ機械充填性に優れた菌体含有ゼリー飲料の製造方法が提供される。
図1は、乳酸菌粉末の粒度分布測定結果を示す。

Claims (11)

  1. 菌体を含有するゼリー飲料の製造方法であって、ゲル化点が19℃〜24℃である菌体が懸濁された溶液を、ゲル化点以上であり33℃以下の温度でパッケージへ充填する工程を含むことを特徴とする、前記製造方法。
  2. 菌体を含有するゼリー飲料の製造方法であって、23℃での粘度が8〜708mPaである菌体が懸濁された溶液を、ゲル化点以上であり33℃以下の温度でパッケージへ充填する工程を含むことを特徴とする、前記製造方法。
  3. 菌体を含有するゼリー飲料の製造方法であって、ゲル化点が24℃以下で、且、23℃での粘度が8mPa以上である菌体が懸濁された溶液を、ゲル化点以上であり33℃以下の温度でパッケージへ充填する工程を含むことを特徴とする、前記製造方法。
  4. 菌体を含有するゼリー飲料の製造方法であって、ゲル化点が19℃〜24℃、23℃での粘度が8〜708mPaである菌体が懸濁された溶液を、ゲル化点以上であり33℃以下の温度でパッケージへ充填する工程を含むことを特徴とする、前記製造方法。
  5. ゲル化剤が、こんにゃく粉、カラギーナン、ゼラチン、ペクチン、寒天、アルギン酸、ローカストビンガム、キサンタンガムからなる群から選択される一又はそれ以上である、請求項1〜4のいずれか一項記載の方法。
  6. 菌体が粉末であり、粉末の平均粒子径が1〜100μmである、請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。
  7. パッケージが紙容器である、請求項1〜6のいずれか一項記載の方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項記載の方法により製造される菌体を含有するゼリー飲料。
  9. 5℃でのゼリー強度が55〜140gである、請求項8記載のゼリー飲料。
  10. 630nmにおける吸光度が0.2以下である、請求項8または9記載のゼリー飲料。
  11. 菌体を含有するゼリー飲料中の菌体の沈殿防止方法であって、パッケージへの充填前の溶液として、ゲル化点が19℃〜24℃、23℃での粘度が8〜708mPa、または、ゲル化点が24℃以下で且つ23℃での粘度が8mPa以上、である菌体が懸濁された溶液を用いることを特徴とする、前記方法。
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