JP6186202B2 - 液体に微粒子状グルコマンナン・ゲルが分散してなる組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
コンニャク精粉(株式会社荻野商店製白雪特級)40gを、60℃の温湯200gに加え、撹拌して膨潤させた。これに50%乳酸水溶液を添加し、pH3.5とした。これに、セルラーゼ(ヤクルト薬品工業株式会社製セルラーゼY−NC)2gを加え、すぐに60℃の温湯を加えて全量252gとした。
グルコマンナンを主成分とするコンニャクの凝固剤としては、数種類の物質が知られている。それらの中で、液体に微粒子状のグルコマンナン・ゲルが分散してなる組成物の製造に適する凝固剤を検討した。表1に示す配合で、以下に示す方法で液体に微粒子状のグルコマンナン・ゲルが分散してなる組成物を製造し、その外観を評価するとともに、保存安定性を評価した。
約60℃の温湯と50%乳酸水溶液とを混合し、酸性水溶液を調製した。得られた酸性水溶液を撹拌しつつ、それにセルラーゼを添加して徐々に溶解させ、その後、コンニャク精粉を少量ずつ加添加して、グルコマンナンを膨潤・分散させた。全体が均一となったら撹拌をやめ、1時間放置した。これらの工程は、室温にて行ったので、配合系の温度は徐々に低下し、得られた液状組成物(A)の温度は室温であった。
水を撹拌しつつ、それにコンニャク精粉とジェランガムと凝固剤の混合物を添加して、グルコマンナン及びジェランガムを膨潤・分散させた。全体が均一となったら撹拌をやめ、1時間放置した。これらの工程は、室温にて行った。
液状組成物(B)をホモジナイザーで撹拌しつつ、それに液状組成物(A)を少量ずつ添加した。その後、穏やかに撹拌(500rpm程度)しながら、95℃まで加温し、95℃に約5分間保持し、その後、緩やかに攪拌しながら室温まで放冷した。加温により、セルラーゼは失活した。この工程により、グルコマンナンの少なくとも一部は微粒子状水不溶性不可逆性ゲルとなった。製造工程において蒸発した量に相当する量の水分を添加(以下、「水分補正」という)し、混合した後、密閉容器に充填した。この状態で、85℃にて30分間の加熱(滅菌操作)を行い、その後、室温まで放冷した。
得られた液体に微粒子状のグルコマンナン・ゲルが分散してなる組成物(配合Nos.1−4)の全体の外観を評価し、その連続相のpH測定と粘ちょう度の評価を行った。その後、室温に180日間放置し、水の分離の有無を観察した。pH測定は、組成物(配合Nos.1−4)をそのまま(即ち希釈せずに)使用し、室温にて、デジタル型ガラス電極pHメーターで測定した。
表1に示す。乳酸カルシウム以外の凝固剤を使用すると、保存によって水分が分離した。
表1の配合No.1からセルラーゼを除去し、それ以外は実施例2と同様の方法で、液体に微粒子状のグルコマンナン・ゲルが分散してなる組成物(配合No.5)を製造した。
液体に微粒子状のグルコマンナン・ゲルが分散してなる組成物の製造に適するグルコマンナンの量を検討した。表2に示す配合を採用したこと以外は、実施例2に示した方法で、液体に微粒子状のグルコマンナン・ゲルが分散してなる組成物を製造し、pHを測定し、その外観を評価した。なお、保存安定性の評価は、室温に4日間保存後に行った。
液体に微粒子状のグルコマンナン・ゲルが分散してなる組成物の製造に適する増粘多糖類の量を検討した。表3に示す配合を採用したこと以外は、実施例2に示した方法で、液体に微粒子状のグルコマンナン・ゲルが分散してなる組成物を製造し、pHを測定し、その外観を評価した。なお、保存安定性の評価は、室温に4日間保存後に行った。
液体に微粒子状のグルコマンナン・ゲルが分散してなる組成物の製造に適する凝固剤の量を検討した。表4に示す配合を採用したこと以外は、実施例2に示した方法で、液体に微粒子状のグルコマンナン・ゲルが分散してなる組成物を製造し、pHを測定し、その外観を評価した。なお、保存安定性の評価は、室温に4日間保存後に行った。
液体に微粒子状のグルコマンナン・ゲルが分散してなる組成物への難消化性デキストリンの配合を検討した。表5に示す配合を採用したことと、難消化性デキストリンを酵素との混合物として酸性水溶液に添加したこと以外は、実施例2に示した方法で、液体に微粒子状のグルコマンナン・ゲルが分散してなる組成物を製造し、pHを測定し、その外観を評価した。なお、保存安定性の評価は、室温に4日間保存後に行った。
工程(III)において、加熱を省略した場合にどのような組成物が得られるかを検討した。配合No.1を採用し、一方は実施例2と同様の方法で液体に微粒子状のグルコマンナン・ゲルが分散してなる組成物(発明例)を調製し、他方は、液状組成物(B)に液状組成物(A)を添加した後の撹拌時に加温を行わず、すべての操作を室温にて行って、液体に微粒子状のグルコマンナン・ゲルが分散してなる組成物(比較例)を調製した。
特許第3523568号にも、微粒子コンニャクが開示されているが、当該特許に開示された微粒子コンニャクと、本願発明の方法で製造された微粒子コンニャク(液体に微粒子状のグルコマンナン・ゲルが分散してなる組成物)とが異なることを、以下に示す。
1.粒子サイズ、粒度分布、粒子形状及び透過性の測定方法
マイクロトラック法(レーザー回折・散乱法)で、測定は湿式法で行った。試料は、前処理をせずに、即ち、上記微粒子コンニャクをそのまま、粒度分析計に投入した。測定に使用した機種及び測定条件は、以下の通りであった。
レーザー強度: 0.1172/0.5815/0.6177
レーザー出力: 0.98937/1.0023/1.0092
溶媒屈折率: 1.81
照射光透過率: 0.95
粒子径ごとの分離: Low Range(0.02乃至1,400μm;128ch)を使用
測定時間: 10秒
平均粒子径: 体積度数平均である。
粒度分布: 粒度分布の下限値として0.18%積算径を、粒度分布の上限値として99.8%積算径を示した。
粒子形状: 少量を取り、水に分散後、実体顕微鏡または光学顕微鏡にて観察した。
粒子透過性: 肉眼で観察した。
コンニャクの微粒子状不可逆性ゲル5乃至6粒を取り、親指と人差し指との間に挟み、静かに穏やかに圧縮した。圧縮過程における微粒子状ゲルの感触を評価した。
ビーカー傾斜法にて、特許第3523568号の実施例1にしたがって製造されたペーストと、実施例7の配合No.13の組成物の流動性を評価した。200ml容のビーカーに、前記ペースト又は組成物100gを入れ、ビーカーを水平で平坦な場所に30分間放置した。その後、ビーカーを30度傾け(水平からの角度は150度となる)、その際の流動性の有無を観察した。
200ml容のトール・ビーカーに、前記ペースト又は組成物200gを入れ、25℃に30分間放置した。以下の条件にて粘度を測定した。前記ペーストと組成物の各々について、3サンプルずつ測定を行った。
温度: 25℃
ローター: #1又は2
回転数: 12、30、60rpm
測定時間(回転開始から測定までの時間): 3分間
表7に記載のレシピにて、ブルーベリー飲料を製造し、それらの官能評価を行った。
(1)試験用原液の調製
洗浄した生ブルーベリー1200gを3Lの精製水に加えてひと煮立ちさせた。その後、弱火にし、あくを取りながら約10分間煮た。砂糖240gを加え、溶けたら火を止め、縫製した布袋で濾過した。その後、冷蔵庫にて保存した。これを三等分した。
試験用原液(三等分したもの)に、分散剤4gと、本件明細書の実施例7の配合No.19の組成物(レシピ1)又は特許第3523568号の実施例1のペースト(本件明細書の実施例9で調製したもの)(レシピ2;比較例)200gを加え、さらに精製水を加えて全量2,000gとした。
試験用原液(三等分したもの)に、分散剤4gと精製水を加えて全量2,000gとした。
飲料の官能評価専門家3名により、表8に示す項目について、5段階での評価を行った。コクは、最も強いのが評点5、最も弱いのが評点1であり、風味は、最もよいのが評点5、最も悪いのが評点1であり、のど越しは、最もよいのが評点5、最も悪いのが評点1であり、清涼感は、最も強いのが評点5、最も弱いのが評点1であり、効果の期待度は、最も強いのが評点5、最も弱いのが評点1であり、購入意欲は、最も強いのが評点5、最も弱いのが評点1である。評点の平均値は、表8に示す通りであった。
表9に記載の配合処方にて、洗顔フォームを製造し、それらの官能評価を行った。これは、従来から洗顔料やボディ・ソープにおいて使用されているスクラブ材(樹脂の粒子、鉱物微粉末、果実の殻皮を粉砕したもの)の、コンニャクの微粒子状不可逆性ゲルへの代替の可能性を検討するものである。
ステアリン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、ジイソステアリン酸PEG−60グリセリル及びステアリン酸グリセリドを秤とり、得られた混合物を均一となるまで加熱・混合し、油相を調製した。
化粧品の官能評価専門家3名により、表10に示す項目について、5段階での評価を行った。洗浄力は、最も強いのが評点5、最も弱いのが評点1であり、ヒリヒリ感は、最も弱いのが評点5、最も強いのが評点1であり、しっとり感及び潤い感しは、最も強いのが評点5、最も弱いのが評点1であり、製剤の外観は、最も基剤の肌理が細かいのが評点5、最も基剤の肌理が荒いのが評点1であり、全体の使用感は、最も好ましいのが評点5、最も好ましくないのが評点1であり、購入意欲は、最も強いのが評点5、最も弱いのが評点1である。評点の平均値は、表10に示す通りであった。
Claims (4)
- (I)水と、グルコマンナン又はそれを主成分とする粉末と、多糖類加水分解能を有する酵素と、pH調整剤とを用いて、グルコマンナンが膨潤してなる酸性水溶液を調製し、且つ、グルコマンナンの少なくとも一部を酵素加水分解させて液状組成物(A)を得る工程、(II)水と、グルコマンナン又はそれを主成分とする粉末と、増粘多糖類と、乳酸カルシウムとを用いて、乳酸カルシウムを含有し且つグルコマンナン及び増粘多糖類が膨潤してなる液状組成物(B)を調製する工程、(III)工程(I)で得られた液状組成物(A)と工程(II)で得られた液状組成物(B)とを混合して液状組成物(C)を得、それを撹拌下に加熱し、酵素を失活させるとともに、液体に微粒子状のグルコマンナン・ゲルが分散してなる組成物を得る工程を含む、液体に微粒子状グルコマンナン・ゲルが分散してなる組成物の製造方法。
- 液状組成物(A)のグルコマンナン又はそれを主成分とする粉末の含有量は、液状組成物(A)全量中2乃至25質量%であり、酵素含有量は、液状組成物(A)中のグルコマンナン又はそれを主成分とする粉末の重量を基準として、その2乃至25質量%であり、液状組成物(B)のグルコマンナン又はそれを主成分とする粉末の含有量は、液状組成物(B)全量中、0.1乃至0.6質量%であり、増粘多糖類含有量は、液状組成物(B)全量中、0.03乃至0.50質量%であり、且つ、乳酸カルシウム含有量は、液状組成物(A)及び液状組成物(B)に含有されるグルコマンナン又はそれを主成分とする粉末の合計重量を基準として、その2乃至25質量%である、請求項1に記載の液体に微粒子状グルコマンナン・ゲルが分散してなる組成物の製造方法。
- 液状組成物(A)が、さらに難消化性デキストリンを含有する、請求項1又は2に記載の液体に微粒子状グルコマンナン・ゲルが分散してなる組成物の製造方法。
- 難消化性デキストリンの含有量が、液状組成物(A)全量中、1乃至5質量%である、請求項3に記載の液体に微粒子状グルコマンナン・ゲルが分散してなる組成物の製造方法。
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