JP3426510B2 - 内視鏡用高周波スネア - Google Patents

内視鏡用高周波スネア

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、体腔内のポリー
プ切除等を行うために内視鏡の処置具挿通チャンネルに
挿脱して使用される内視鏡用高周波スネアに関する。
【0002】
【従来の技術】内視鏡用高周波スネアは一般に、図9に
例示されるように、導電性の一本の弾性ワイヤをU字状
に曲げ戻して形成されたワイヤループ93の後端側を、
電気絶縁性のシース91内に軸線方向に進退自在に挿通
された導電性の操作ワイヤ92に連結し、操作ワイヤ9
2を手元側から押し引き操作することによってワイヤル
ープ93がシース91の先端部分に出入りして膨縮する
ように構成されている。
【0003】また、図10に例示されるように、ワイヤ
ループ93の先端曲げ戻し部分に先端チップ95を固着
したものもある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、図9に示され
るように弾性ワイヤを曲げ戻しただけでループを形成し
た内視鏡用高周波スネアにおいては、ワイヤループ93
内にポリープを捕らえて締め付ける動作を行う際に、先
端の曲げ戻し部93aに開き方向に大きな集中応力が生
じる。そのため、使用を何回か繰り返すと、先端曲げ戻
し部93aが劣化して破損してしまうことが少なくな
い。
【0005】また、図10に示されるようにワイヤルー
プ93の先端に先端チップ95を固着したものは、ワイ
ヤループ93が膨縮すると先端固着部との境界部Aに応
力が集中するため、やはり使用を何回か繰り返すと、そ
の部分Aが劣化して破損してしまうことが少なくない。
【0006】そこで本発明は、ワイヤループの膨縮を繰
り返しても弾性ワイヤが劣化し難くて、耐久性の優れた
内視鏡用高周波スネアを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の内視鏡用高周波スネアは、導電性の一本の
弾性ワイヤをU字状に曲げ戻して形成されたワイヤルー
プの後端側を、電気絶縁性のシース内に軸線方向に進退
自在に挿通された導電性の操作ワイヤに連結し、上記操
作ワイヤを手元側から押し引き操作することによって上
記ワイヤループが上記シースの先端部分に出入りして膨
縮するようにした内視鏡用高周波スネアにおいて、上記
ワイヤループの先端曲げ戻し部分に取り付けられる先端
チップに一対の貫通孔を並列に形成して、上記曲げ戻さ
れた部分の双方の弾性ワイヤを上記一対の貫通孔に一本
ずつ遊挿したことを特徴とする。
【0008】なお、上記先端チップが導電性であっても
よく、上記先端チップの後端部分が、中央部分は長く、
周辺部分は短くなるように斜めに切り削がれた形状に形
成されていてもよい。
【0009】また、上記シースの先端口元部分に一対の
貫通孔が並列に形成されたワイヤ通過口金が取り付けら
れていて、上記貫通孔に上記弾性ワイヤが一本ずつ通さ
れていてもよい。
【0010】
【発明の実施の形態】図面を参照して本発明の実施の形
態を説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態の内
視鏡用高周波スネアを示している。1は、図示されてい
ない内視鏡の処置具挿通チャンネル内に挿脱自在な可撓
性のシースであり、例えば四フッ化エチレン樹脂チュー
ブ等のような電気絶縁性のチューブによって形成されて
いる。
【0011】シース1内には、導電性金属からなる操作
ワイヤ2が軸線方向に進退自在に全長にわたって挿通さ
れており、シース1の手元側端部に連結された操作部
(図示せず)からの操作によって進退操作される。
【0012】操作ワイヤ2の先端には、導電性の金属か
らなり自己の弾性によりループ状に広がるワイヤループ
3が、連結パイプ4を介して半田付け等によって連結さ
れており、操作ワイヤ2を介して手元側から高周波電流
を通じることができるようになっている。
【0013】ワイヤループ3は、導電性の一本の弾性ワ
イヤを先端曲げ戻し部3aでU字状に曲げ戻して、自然
状態においては滑らかな曲線状に膨らんだ形状になるよ
うに形成されており、操作ワイヤ2によって牽引される
と、シース1の先端部分内に引き込まれて窄まり、シー
ス1内から押し出されると自己の弾性によって広がる。
【0014】ワイヤループ3の先端曲げ戻し部3aに
は、先端チップ5が取り付けられている。この先端チッ
プ5には、図2に拡大して示されるように一対の貫通孔
5aが並列に形成されており、先端曲げ戻し部3aでU
字状に曲げ戻された部分の双方の弾性ワイヤが貫通孔5
aに一本ずつ通されている。
【0015】先端チップ5は、この実施の形態において
は、二本の導電性金属製の短筒を銀ロー付けやスポット
溶接等で固着して一体化して形成されている。ただし、
8の字状の断面形状の引き抜き材等から形成してもよ
く、或いはプラスチックで成形してもよい。
【0016】先端チップ5は、ワイヤループ3を形成す
る弾性ワイヤに固着されておらず、先端チップ5の貫通
孔5a内に弾性ワイヤが緩く通されている。ただし、弾
性ワイヤは先端チップ5の後端近傍で大きく外方に曲が
ってワイヤループ3を形成しているので、先端チップ5
がワイヤループ3の先端部分から移動することはない。
【0017】図3は、上述のように構成された実施の形
態の内視鏡用高周波スネアを、図示されていない内視鏡
の処置具挿通チャンネルに通して、ワイヤループ3でポ
リープ100を締め付けている状態を示している。
【0018】操作ワイヤ2を手元側に牽引してワイヤル
ープ3でポリープ100を締め付けると、先端曲げ戻し
部3aにおいて弾性ワイヤを広げようとする強い力が作
用するが、弾性ワイヤは先端チップ5の貫通孔5aに通
されているので広がり角度が抑制される。その結果、貫
通孔5aにおいて弾性ワイヤに過大な応力の集中が発生
せず、弾性ワイヤの劣化が小さい。
【0019】また、弾性ワイヤが先端チップ5に固着さ
れておらず貫通孔5aに遊挿されていることから、先端
チップ5とワイヤループ3との境界部Aにおいては、弾
性ワイヤが貫通孔5a内から連続して滑らかに広がるの
で、この部分においても、弾性ワイヤに過大な応力の集
中が発生せず、弾性ワイヤの劣化が小さい。
【0020】したがって、ポリープ切除等の使用を繰り
返しても、ワイヤループ3を形成する弾性ワイヤの劣化
がゆっくりしており、従来のものより数多くの症例に支
障なく使用することができる。
【0021】図4は本発明の第2の実施の形態の内視鏡
用高周波スネアを示しており、第1の実施の形態に比べ
て、導電性金属製の先端チップ5の形状を変えたもので
ある。
【0022】先端チップ5は、図5に拡大して示される
ように、後端側が中央部分は長く伸ばされて、周辺部分
は短くなるように斜めに切り削がれた形状に形成されて
いる。その他の部分については第1の実施の形態と同じ
である。
【0023】このように構成することによって、図4に
示されるように、ワイヤループ3でポリープ100を締
め付けたときに、先端チップ5の後端部は中央部分だけ
がポリープ100に接触するので、ポリープ100内の
血管101部分に向かって初めに焼灼が行われ、血管1
01を切除する際の出血を防止することができる。
【0024】図6は、本発明の第3の実施の形態の内視
鏡用高周波スネアを示しており、ワイヤループ3が、弾
性ワイヤを複数箇所で折り曲げて膨らんだ形状に形成さ
れている。その他の構成は第1の実施の形態と同じであ
る。
【0025】このように、弾性ワイヤを折り曲げてワイ
ヤループ3を形成する場合には、最先端の折り曲げ部と
先端チップ5との間の間隔eを、0≦e≦3mm程度の範
囲にするとよい。
【0026】図7は、本発明の第4の実施の形態の内視
鏡用高周波スネアを示しており、先端チップ5と同形状
のワイヤ通過口金7をシース1の先端に取り付け、その
一対の貫通孔7a内に弾性ワイヤを一本ずつ通したもの
である。
【0027】このように構成することによって、図8に
示されるように、ワイヤループ3でポリープ100を締
め付けた際に、ポリープ100がシース1の内部に引き
込まれないので、ポリープ100の周壁を確実に焼灼し
て出血なく切除することができる。
【0028】また、ワイヤ通過口金7を導電性の金属で
形成しておけば、ワイヤループ3からワイヤ通過口金7
に伝わる高周波電流によって、ポリープ100がワイヤ
通過口金7との接触面においても焼灼されるので、ポリ
ープ100の周壁をさらに確実に焼灼して出血なく切除
することができる。
【0029】
【発明の効果】本発明によれば、ワイヤループの先端曲
げ戻し部分に取り付けられる先端チップに一対の貫通孔
を並列に形成して、曲げ戻された部分の双方の弾性ワイ
ヤをその一対の貫通孔に一本ずつ遊挿したことにより、
ワイヤループでポリープを締め付けたときにワイヤの先
端曲げ戻し部分の広がり角度が抑制され、また先端チッ
プとワイヤループとの境界部分において弾性ワイヤが滑
らかに広がるので、弾性ワイヤに過大な応力の集中が発
生せず、ワイヤループの膨縮を繰り返しても弾性ワイヤ
が劣化せず、優れた耐久性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の内視鏡用高周波ス
ネアの先端部分の平面断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態の内視鏡用高周波ス
ネアの先端部分を拡大して示す斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態の内視鏡用高周波ス
ネアでポリープを締め付けた状態の先端部分の平面断面
図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態の内視鏡用高周波ス
ネアでポリープを締め付けた状態の先端部分の平面断面
図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態の内視鏡用高周波ス
ネアの先端チップを単体で拡大して示す斜視図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態の内視鏡用高周波ス
ネアの先端部分の平面断面図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態の内視鏡用高周波ス
ネアの先端部分の平面断面図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態の内視鏡用高周波ス
ネアでポリープを締め付けた状態の先端部分の平面断面
図である。
【図9】従来の内視鏡用高周波スネアの先端部分の平面
断面図である。
【図10】従来の他の内視鏡用高周波スネアの先端部分
の平面断面図である。
【符号の説明】
1 シース 2 操作ワイヤ 3 ワイヤループ 5 先端チップ 5a 貫通孔 7 ワイヤ通過口金 7a 貫通孔

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導電性の一本の弾性ワイヤをU字状に曲げ
    戻して形成されたワイヤループの後端側を、電気絶縁性
    のシース内に軸線方向に進退自在に挿通された導電性の
    操作ワイヤに連結し、上記操作ワイヤを手元側から押し
    引き操作することによって上記ワイヤループが上記シー
    スの先端部分に出入りして膨縮するようにした内視鏡用
    高周波スネアにおいて、 上記ワイヤループの先端曲げ戻し部分に取り付けられる
    先端チップに一対の貫通孔を並列に形成して、上記曲げ
    戻された部分の双方の弾性ワイヤを上記一対の貫通孔に
    一本ずつ遊挿したことを特徴とする内視鏡用高周波スネ
    ア。
  2. 【請求項2】上記先端チップが導電性である請求項1記
    載の内視鏡用高周波スネア。
  3. 【請求項3】上記先端チップの後端部分が、中央部分は
    長く、周辺部分は短くなるように斜めに切り削がれた形
    状に形成されている請求項2記載の内視鏡用高周波スネ
    ア。
  4. 【請求項4】上記シースの先端口元部分に一対の貫通孔
    が並列に形成されたワイヤ通過口金が取り付けられてい
    て、上記貫通孔に上記弾性ワイヤが一本ずつ通されてい
    る請求項1、2又は3記載の内視鏡用高周波スネア。
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