JP4076607B2 - 内視鏡用スネア - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、内視鏡を介して体腔内のポリープ切除等を行うために用いられる内視鏡用スネアに関する。
【0002】
【従来の技術】
内視鏡用スネアのスネアループは、一般に、曲げ戻した弾性ワイヤを後端において結束して全体としてループ状になるように形成され、そのスネアループが、シースの先端内に引き込まれることにより窄まり、シースの先端から突出した状態では自己の弾性によってループ状に膨らむようになっている。
【0003】
そのようなスネアループは一般に、例えば実公平60−28408号公報に示されるように、六角形又はオーバル状等の形状に広がるように形成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
内視鏡用スネアを用いて切除する対象になるポリープは大小さまざまであり、一般に、大きなポリープはきのこ状の茎を有しているのでスネアループで結紮しやすく、小さなポリープはお椀を引っ繰り返したような無茎形状で結紮しにくいものが多い。
【0005】
図8は、大きなポリープを切除するための従来の大きなスネアループ90を用いて、小さなポリープ100を結束しようとする状態を示している。80は、内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿脱されるシースである。
【0006】
しかし、スネアループ90をシース80内に引き込んでループ径を小さくしていくと、図9に示されるように、スネアループ90の内側面がポリープ100に当接したときに、長手方向にはまだ大きな遊びがあるため、ポリープ100を結紮しようとしてさらにループ径を縮めると、スネアループ90が無茎状のポリープ100から浮き上がって外れてしまい、思うように結紮することができないことが多い。
【0007】
また、小さなスネアループで大きなポリープを結紮することは物理的に不可能であるから、従来は、ポリープの大きさに合わせて使用できるようにループ径の異なる多数の内視鏡用スネアを準備していた。
【0008】
これは非常に不経済であり、また、一人の患者に大きさの異なる複数のポリープがある時は(これはごく一般的なことである)、切除対象になるポリープの大きさに合わせてスネアを内視鏡に挿入し直さなければならないので、操作が非常に煩雑になってしまう問題があった。
【0009】
そこで、例えば実公昭54−11439号公報に示されるように、スネアループを左右非対称形に広がるようにして、大きな径のスネアループで小さなポリープまで結紮し易くすることを狙ったものもある。
【0010】
しかし、そのようにスネアループが左右非対称形に広がるようにすると、ループ径を変化させるのに伴ってスネアループの位置がシースに対して左右に変化するので、ポリープを結紮する操作そのものが非常に難しい欠点がある。
【0011】
そこで本発明は、一つのスネアで小さなポリープから大きなポリープまで容易に結紮することができる内視鏡用スネアを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の内視鏡用スネアは、曲げ戻した弾性ワイヤを後端において結束して全体としてループ状に形成されたスネアループが、上記シースの先端内に引き込まれることにより窄まり、上記シースの先端から突出した状態では自己の弾性によって上記ループ状に膨らむようにした内視鏡用スネアにおいて、上記弾性ワイヤが、上記スネアループの先端付近で外方に向かって広がる方向に折れ曲がる第1の主屈曲部と、その第1の主屈曲部の後方で広がりが緩やかになる方向に折れ曲がる第2の主屈曲部と、その第2の主屈曲部の後方で内方に向かう方向に折れ曲がる第3の主屈曲部とにおいて主に屈曲され、上記第3の主屈曲部に隣接してその後方においては、上記弾性ワイヤが内方に凸状に形成され、上記弾性ワイヤの上記第1の主屈曲部から上記第2の主屈曲部までの長さをA、上記第2の主屈曲部から上記第3の主屈曲部までの長さをB、上記第3の主屈曲部から上記後端結束部までの長さをCとしたとき、2B≦A≦3Bであり、且つ5A≦C≦10Aであることを特徴とする。
【0013】
なお、上記弾性ワイヤが、上記スネアループの先端を境にして対称に形成されているとよい。また、上記第2の主屈曲部に隣接してその後方において、上記弾性ワイヤが内方に凸状に形成されていてもよい。
【0014】
【発明の実態の形態】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明が適用された内視鏡用スネアの先端部分を示しており、先端部分1aでU字状に曲げ戻されて基端において互いに結束された一本の弾性ワイヤ10によって、ポリープ等を締め付けるためのスネアループ1が形成されている。弾性ワイヤ10としては、例えば細いステンレス鋼線を撚り合わせた撚り線又はステンレス鋼線の単線等が用いられる。
【0015】
スネアループ1の後端部側はシース2の先端部分内に差し込まれており、スネアループ1を形成する弾性ワイヤ10の一対の基端部分が、シース2内に配置された連結パイプ3に差し込まれて銀ロー付け等によって固着、結束されている。
【0016】
連結パイプ3の逆側からは操作ワイヤ4の先端が差し込まれて銀ロー付け等によって固着されており、連結パイプ3を介して弾性ワイヤ10と操作ワイヤ4が連結されている。
【0017】
シース2は、例えば四フッ化エチレン樹脂チューブ等からなる可撓性チューブであり、使用時には、図示されていない内視鏡の処置具挿通チャンネル内に挿脱される。
【0018】
操作ワイヤ4は、連結パイプ3と共に軸線方向に進退自在にシース2内に挿通されており、シース2の手元側端部に連結された操作部(図示せず)において進退操作され、それによって先端側の弾性ワイヤ10がシース2の先端内に出入りする。
【0019】
スネアループ1は、図1に示されるようにシース2の先端から大半が押し出された状態では、自己の弾性によってループ状に膨らんだ形状になっている。そして操作ワイヤ4により牽引されてシース2内に引き込まれると、弾性ワイヤ10の各部が弾性変形してスネアループ1が窄まった形状になる。
【0020】
弾性ワイヤ10は、シース2の中心軸線の延長線を挟んで対称形(左右対称形)に形成されている。別の表現をすれば、弾性ワイヤ10は、スネアループ1の先端を境にして対称に形成されている。
【0021】
具体的には、弾性ワイヤ10は、スネアループ1の先端付近で外方に向かって広がる方向に折れ曲がる第1の主屈曲部11と、その第1の主屈曲部11の後方で広がりが緩やかになる方向に折れ曲がる第2の主屈曲部12と、その第2の主屈曲部12の後方で内方に向かう方向に折れ曲がる第3の主屈曲部13とにおいて主に屈曲されている。
【0022】
なお、第1の主屈曲部11と第2の主屈曲部12との間では、弾性ワイヤ10は数カ所で小さな角度で僅かずつ折り曲げられているのであるが、その部分は曲線状に形成してもよく、直線状に形成してもよい。
【0023】
なお、弾性ワイヤ10の第1の主屈曲部11から第2の主屈曲部12までの長さをA、第2の主屈曲部12から第3の主屈曲部13までの長さをB、第3の主屈曲部13から連結パイプ3による後端結束部までの長さをC、スネアループ1の幅が最も広い第3の主屈曲部13間の幅をDとしたとき、この実施の形態においては、
A≒7mm、B≒3mm、C≒35〜70mm、D≒12mmである。
【0024】
また、第3の主屈曲部13に隣接してその後方の部分1bにおいては、弾性ワイヤ10が内方に向かって凸状になるように曲線的に曲げられており、第2の主屈曲部12に隣接してその後方の部分1cにおいても、弾性ワイヤ10が内方に向かって凸状になるように曲線的に曲げられている。
【0025】
図2ないし図7は、スネアループ1がシース2の先端から完全に突出した状態からシース2内に引き込まれていく状態を示しており、スネアループ1は常に左右対称形の状態を保つ。
【0026】
そして、図2及び図3に示されるように、スネアループ1がシース2の先端から大きく突出して膨らんだ状態では、大きなポリープ100を結紮することができる。大きなポリープ100は有茎状なのでその結紮は容易である。
【0027】
そして、図4から図5に示されるように、スネアループ1がシース2内に次第に引き込まれていくと、小さなポリープ100を結紮するのに適した状態になる。
【0028】
例えば図5に示されるように、スネアループ1の内側面が例えば直径3mm程度の小さなポリープ100に接したとき、第2の主屈曲部12と第3の主屈曲部13との間の長さBが短く形成されているこのスネアループ1は、従来のように細長くならなくてシース2の先端とポリープ100との間の距離Eが近いので、ポリープ100を締め付けようとする力が前後方向にも作用する。
【0029】
その結果、このように小さなポリープ100を対象にしたときであっても、結紮時に弾性ワイヤ10がポリープ100から外れることなく、確実に結紮することができる。
【0030】
なお、スネアループ1の各部の長さA、B、Cは、2B≦A≦3B、且つ5A≦C≦10A程度の範囲にあれば上述の作用が得られ、それら各部の具体的寸法は使用目的等に応じて適宜選択すればよい。
【0031】
また、第3の主屈曲部13に隣接してその後方の部分1bにおいては、弾性ワイヤ10が内方に向かって凸状になるように曲線的に曲げられていることにより、弾性ワイヤ10がシース2内にスムーズに引き込まれ、その際に弾性ワイヤ10にふらつきが発生しないのでスネアループ1の形状の平面性も失われない。
【0032】
また、さらに第2の主屈曲部12に隣接してその後方の部分1cにおいても、弾性ワイヤ10が内方に向かって凸状になるように曲線的に曲げられていることにより、さらにシース2内への弾性ワイヤ10の引き込み動作の安定が得られる。
【0033】
なお本発明の内視鏡用スネアは、スネアループ1を形成する弾性ワイヤ10に操作ワイヤ4を介して高周波電流を通じることができるものでもよく、或いは、スネアループ1でポリープ等を単に機械的に締め付けるものであってもよい。
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、弾性ワイヤの第1の主屈曲部から第2の主屈曲部までの長さをA、第2の主屈曲部から第3の主屈曲部までの長さをB、第3の主屈曲部から後端結束部までの長さをCとしたときに、2B≦A≦3Bであり、且つ5A≦C≦10Aであるようにしたことにより、大きなループのスネアループで小さなポリープを結紮することができるので、一つのスネアで小さなポリープから大きなポリープまで結紮することができる。
【0035】
したがって、経済的に非常にメリットが大きいのと同時に、一人の患者に大きさの異なる複数のポリープがあるような場合でも、一つのスネアを用いるだけで全てのポリープを切除することができる。
【0036】
また、第3の主屈曲部に隣接してその後方においては弾性ワイヤを内方に凸状に形成したことにより、シース内への弾性ワイヤの引き込み動作がスムーズに行なわれ、弾性ワイヤ10の変形や座屈が発生しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の内視鏡用スネアの先端部分の平面断面図である。
【図2】本発明の内視鏡用スネアのスネアループがシース内に徐々に引き込まれていく状態の先端部分の平面図である。
【図3】本発明の内視鏡用スネアのスネアループがシース内に徐々に引き込まれていく状態の先端部分の平面図である。
【図4】本発明の内視鏡用スネアのスネアループがシース内に徐々に引き込まれていく状態の先端部分の平面図である。
【図5】本発明の内視鏡用スネアのスネアループがシース内に徐々に引き込まれていく状態の先端部分の平面図である。
【図6】本発明の内視鏡用スネアのスネアループがシース内に徐々に引き込まれていく状態の先端部分の平面図である。
【図7】本発明の内視鏡用スネアのスネアループがシース内に徐々に引き込まれていく状態の先端部分の平面図である。
【図8】従来の内視鏡用スネアの先端部分の平面図である。
【図9】従来の内視鏡用スネアのスネアループでポリープを緊縛しようとする状態の先端部分の平面図である。
【符号の説明】
1 スネアループ
2 シース
3 連結パイプ
4 操作ワイヤ
10 弾性ワイヤ
11 第1の主屈曲部
12 第2の主屈曲部
13 第3の主屈曲部
100 ポリープ
Claims (1)
- 先端で曲げ戻した弾性ワイヤを後端において結束して全体として先端を境にして対称なループ状に形成されたスネアループが、シースの先端内に引き込まれることにより窄まり、上記シースの先端から突出した状態では自己の弾性によって上記ループ状に膨らむようにした内視鏡用スネアにおいて、
上記弾性ワイヤが、上記スネアループの先端付近で外方に向かって広がる方向に折れ曲がる第1の主屈曲部と、その第1の主屈曲部の後方で広がりが緩やかになる方向に折れ曲がる第2の主屈曲部と、その第2の主屈曲部の後方で内方に向かう方向に折れ曲がる第3の主屈曲部とにおいて主に屈曲され、
上記弾性ワイヤの上記第1の主屈曲部から上記第2の主屈曲部までの長さをA、上記第2の主屈曲部から上記第3の主屈曲部までの長さをB、上記第3の主屈曲部から上記後端結束部までの長さをCとしたとき、
2B≦A≦3Bであり、且つ5A≦C≦10Aであって、
上記弾性ワイヤが、上記第2の主屈曲部と上記第3の主屈曲部との間の領域全体において曲線的に内方に凸状に形成されると共に、上記第3の主屈曲部に隣接してその後方の領域において内方に凸状に形成されていることを特徴とする内視鏡用スネア。
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