JP3425741B2 - 車両のシート装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、車両のシート装置に関
し特にインスツルメントパネルの下方に格納可能になっ
たフロントシート装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】車両用シート装置において、特定の車両
では昇降の際の便宜を図るためあるいは、大きな荷物を
車室に積みこむ場合などにシートを折り畳めるようにし
ておけば便利である。このような観点から、シートを折
り畳み可能に車室に搭載することが提案されている。こ
のような折り畳み可能にしたシートの例はたとえば、特
開平２−１９３７３０号に開示されている。この開示さ
れた折り畳み可能シートでは、シートバックを先ずシー
トクッションの上に折り畳み次に、シートの前脚のフロ
アパネルへの取り付け点を支点にして前方に回転させて
全体を前方に倒しほぼ垂直状態にまで変位させることが
きるようにしている。このようにすることにらってシー
トの上方空間をさまざまに利用することができる。

【０００３】

【解決しようとする課題】しかし、フロントシートをこ
の折り畳み可能に構成する場合には、シートを前方に旋
回させようとすると回転移動の際にシートがシート前方
にあるインスツルメントパネルに干渉して上記のような
垂直状態に維持することができない恐れがある。この場
合には、折り畳み状態が不安定になる。完全に垂直状態
にしないで固定することも可能ではあるが、上方空間を
フルに利用できなくなり、折り畳み可能に構成する意義
を減殺することになる。本発明はこのような事情に鑑み
て構成されたもので、フロントシートを折り畳み可能に
構成してフロントシート上方空間を有効に利用すること
ができるようにすることができるとともに、折り畳み動
作に際してインスツルメントパネルとの干渉を避け安定
的な折り畳み状態での支持を与えることができる車両の
シート装置を提供することを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成するため以下のように構成される。本発明に係る車
両のシート装置、車室の前部壁を構成するように車両の
横方向に延設されるインスツルメントパネルと、該イン
スツルメントパネルに対向して配置されるフロントシー
トとを備え、該フロントシートは、インスツルメントパ
ネルに沿う位置まで変位させることが可能になってお
り、該フロントシートが前記変位をしたとき対向するイ
ンスツルメントパネルの部分がこのフロントシートの変
位動作に関連して退避可能に構成されており、これによ
って前記フロントシートの少なくとも一部がインスツル
メントパネルの後端よりも前方の空間に格納された状態
で支持されるようになっており、且つ前記インスツルメ
ントパネルの退避可能部分がグローブボックスを構成す
る部分であって、前記インスツルメントパネルのグロー
ブボックスの構成する部分は乗員がインスツルメントパ
ネルに衝突した際に乗員の膝部を保護するニープロテク
タを構成しており、該グローブボックス構成部分の背面
には、前記グローブボックスがニープロテクタとして機
能するときに衝撃を吸収するための芯材が設けられてお
り、前記フロントシートの格納時には、前記芯材が前記
フロントシートに係合してこれを支持するようになって
いる。

【０００５】好ましくは前記格納される際には前記シー
トが車両の前後方向に移動させられてニープロテクタの
芯材に係合する。これによって、シートは折り畳み状態
で安定的な支持状態を得ることができる。好ましくは、
フロントシートは格納状態においてはシートクッション
がフロア面に対してほぼ垂直状態をとるこれによって前
後の幅が最も減少するのでスペースを有効に利用するこ
とができる。したがって、本発明は助手席に適用するの
が有効である。

【０００６】

【作用】本発明の構成では、フロントシートは前端部の
取り付け点を支点として前方に回転して折り畳めるよう
になっている。この際、インスツルメントパネルのグロ
ーブボックスなどが車室内に後方に突出していると上記
のフロントシートの折り畳み動作の際に干渉することと
なる。本発明では、インスツルメントパネルのグローブ
ボックスを退避可能に設けている。好ましくは、グロー
ブボックスはリンク機構によって下方のフロントシート
乗員のための足元空間に退避できるようになっている。
そして、フロントシートが折り畳み動作によってインス
ツルメントパネルのグローブボックスに干渉する際に
は、このグローブボックスを下方に退避させることによ
り、フロントシートはインスツルメントパネルの後端よ
りも内側の位置まで入りこむことができる。そして少な
くととも一部はグローブボックスが退避したインスツル
メントパネルの下方の空間にほぼ垂直状態で格納される
ようになっている。このように、本発明によれば、フロ
ントシートが折り畳み可能に構成されるので、このシー
トにのる乗員がいない場合であってその上方空間を利用
する必要があるとき、たとえば、おおきな荷物を車室に
積み込みたい場合などにはフロントシートの上方空間を
有効に利用することが可能となり便利である。

【０００７】なお、フロントシートを折り畳む際には乗
員のための足元空間は必要とならないのでこの場所にグ
ローブボックスを退避させることによって支障がでるこ
とはない。

【０００８】

【実施例】以下、添付の図面に基づいて本発明の実施例
を説明する。図１を参照すると本発明の１実施例に係る
車両のフロントシート周りの構造が示されている。本例
のシート１は、助手席であって乗員が着席可能状態にお
いて水平状態でフロア面の上方に配置されるシートクッ
ション２と、このシートクッション２の後端部から斜め
上方に延びるシートバック３とを備えている。本例の車
両のシート１は、シートクッション２の下側に水平状態
で設けられ、シートクッション２の下面をほぼ全面にわ
たって支持するシートパン４と、該シートパン４の下方
には、これを支持する台座５を備えている。この台座５
の両側部には、水平方向に延びる支持パイプ６が設けら
れこの支持パイプ６によってシート１は水平状態に維持
されている。この支持パイプ６は台座５を介してシート
全体を支持する水平部７と該水平部７の前端から下方に
延びる垂直部８と該垂直部８の下端部において屈曲して
フロアパネル９の接触しつつ後方に延びるベース部１０
とを備えている。したがって、支持パイプ６は側面から
みるとほぼＪ字状をなし、水平面で見るとほぼＵ字状を
なしている。そして、垂直部８とベース部１０とがなす
コーナー部には、支持ガイド１２が設けられ支持パイプ
６を前方に回動自在に支持している。

【０００９】支持ガイド１２は図２、図３を併せて参照
すると回転軸１２ａを備えており、支持パイプ６はブラ
ケット１３によってこの回転軸１２ａに固定されてい
る。図４を参照すると、水平状態で支持パイプ６の垂直
部８を係止する係止パネル１４が設けられる。この係止
パネル１４は図４に示すように垂直部８に係合するため
の上方に延びる一対の凹部１５を備えている。さらに、
シート１は、水平部７の後端側のコーナー部に係合する
シートロック１６を備えており、このシートロック１６
はリンク部材１７の一端に回動自在に取り付けられてお
り、リンク部材１７の他端側は、支持パイプ６のベース
部１０に枢支されている。そして、シートロック１６の
図１において右端側は上記係止パネル１４の下側にブラ
ケット１８を介して設けられた軸１９に軸支されてお
り、この軸１９の回りにシートロック１６は回動可能に
支持されている。シートロック１６の先端には、係合爪
２０が取り付けられており、シート１が水平状態にある
とき支持パイプ６の水平部７の後端部のコーナー部に係
合して水平状態を保持するようになっている。また、シ
ート１の前方には、インスツルメントパネル２０が車室
側に突出するように位置しており、インスツルメントパ
ネル２０の背面（前方）空間み、空気ベント２１がその
下方には、空調用のクーラ２２が配置れている。クーラ
２２の前方には車室２３とエンジンルーム２４とを仕切
るダッシュパネル２５が位置する。ダッシュパネル２５
の下方はフロアパネル９に連続して後方に延びている。

【００１０】インスツルメントパネル内の空間におい
て、空気ベント２１の下方には、車両横方向に延びるパ
イプ状のインパネメンバ２６が配置されている。インス
ツルメントパネル２０の乗員の対向位置には、小物を収
容するためのグローブボックス２６が設けられる。グロ
ーブボックス２６のインスツルメントパネル２０の一部
の成すものであり、上フタ２７、および下フタ２８はイ
ンスツルメントパネル２０の連続した外形線を有するよ
うに仕上げられている。グローブボックス２６の上フタ
２７は軸２９のまわりの回動自在になっており、グロー
ブボックス２６が閉じた状態では軸から下方に延びて下
フタ２８と係合するようになっている。グローブボック
ス２６の下フタ２８は、リンク部材３０の一端に軸支さ
れている。リンク部材３０の他端側はダッシュパネル２
５にブラケット３１により取り付けられた軸３２に軸支
されている。さらにリンク部材３０の中間部には、ダン
パ３３の一端が取り付けられておりダンパ３３の他端側
はダッシュパネル２５に軸支されている。上記インパネ
メンバ２６１には、鉤状のニープロテクタ用芯材３４が
回動自在に取り付けられている。上記グローブボックス
２６はシート１の乗員がインスツルメントパネル２０に
衝突するとき乗員の下半身特に、ひざ部を保護するため
の緩衝機能を持つものであるが、上記芯材３４はグロー
ブボックス２６が乗員と衝突したときエネルギーを吸収
しつつ変形することによって緩衝作用を行うものであ
る。

【００１１】本例のグローブボックス２６は上記リンク
部材３０をアームとして下方に変位できるようになって
いる。グローブボックス２６に左右方向には、係合ロッ
ド３５が突出しており、このロッド３５はインスツルメ
ントパネル２０の対応する位置に設けられたガイドレー
ル３６に沿って下方に移動できるようになっている。図
６および図７を参照すると、ガイドレール３６は張出部
３７を有し上記係合ロッド３５にはこの張出部３７と係
合する小径部３８が設けられている。張出部３７は図７
に示すように上端には設けられていないので、ロッド３
５が上端に位置するときすなわちグローブボックス２６
が通常の状態で使用されているときロッド３５をガイド
レール３６に対して移動させることガイドレール３６の
張出部３７がロッド３５の小径部３８と係合するように
すればグローブボックス２６をガイドレール３６に沿っ
て下方に移動させることができる。このロッド３５の操
作のために図８に示すようなロックノブ３９が用いられ
ている。このノブ３９を回すことによって、ロッド３５
がガイドレール３６に対して変位し係合状態を変更する
ことができる。つぎに、図９ないし図１３を参照して、
グローブボックス２６の上フタ２７のロック解除機構に
ついて説明する。上記のように上フタ２７は図９におい
て左周りに回動可能になっており、その上方には、図１
０に示すようにストッパ解除レバー４０がついており、
この解除レバー４０はバネ４０１によって付勢されて上
フタ２７に付随するストッパ４１に係合している。上フ
タ２７の背面側には、ブラケット４２が取り付けられて
おり、このブラケット４２はワイヤ４３を介して上記グ
ローブボックス２６の下端に係合するリンク部材３０に
取り付けられたリンクガイド４４に結合されている。リ
ンク部材３０には、グローブボックス２６が下方に移動
しないようにリンクストッパ４５が係合している。そし
てリンクストッパ４５とリンクガイド４４とのを連絡す
るワイヤ４３の部分にはリターンスプリング４６が設け
られており、リンクストッパ４５を係合方向に付勢して
いる。

【００１２】図１４ないし図１６を参照すると、シート
１を前方に折り畳んだ状態が示されている。この状態に
おいては、ニープロテクタ芯材３４の係合爪４６がシー
ト１のシートクッション２の後端部に設けられたロック
解除レバー４７の係合爪４８に係合して、シート１の垂
直状態を保持するようになっている。ロック解除レバー
４７はシート１に設けられた軸４９の回りに軸支されて
おり、バネ５０によって係合方向に付勢されている。以
上の構造の動作について説明する。シートを折り畳むに
あたり、まず、グローブボックス２６を乗員の足元に移
動するこれを行うために図１０に示すストッパ解除レバ
ー４０を操作してストッパ４１を解除ししてグローブボ
ックス２６の上フタ２７を解放する。つぎに、上フタ２
７をインスツルメントパネル２０の内部の方に押し込
む。これによってワイヤ４３を介してグローブボックス
２６の下部のリンクストッパ４５が外れ、グローブボッ
クス２６は重みで下方にリンク部材３０の軸３２の回り
に回動して乗員のための足元空間の中に移動する。

【００１３】つぎに、図１に示すシートバック３をシー
トクッション２の上に折り畳み、シートロック１６を解
除し、シートクッション２の下部、後端を引き上げて支
持パイプ６の前端のフロアパネル９に固定された軸１３
ａの回りに回動させて図１４に示す位置まで回動させ
る。そして、ニープロテクタ芯材３４とロック解除レバ
ー４７を係合させる。これによって、シート１は少なく
とその一部がインスツルメントパネル２０の下方の空間
内に格納されるような関係でほぼ垂直状態で固定され、
通常位置におけるシート１の上方空間を利用することが
可能となる。なお、もとの状態に復帰する場合には、ロ
ック解除レバー４７を解放してシート１を後方に回動さ
せてシートロック１６を掛ける。そしてシートバック３
を起こして適当な角度に設定する。つぎに、グローブボ
ックス２６をリンク部材３０の軸３２の回りにガイドレ
ール３６に沿って引き上げてロッド３５をガイドレール
３６の上端の張出部３７のない部分に係合させる。この
場合、バネ５０１によってロックノブ３９は付勢されて
いるので、上端まできたときロッド３５は自動的に小径
部３８と張出部３７との係合が外れるようになってい
る。これによって、グローブボックス２６として通常の
使用が可能となる。

【００１４】なお、図２において、シート１は支持パイ
プの水平部７とベース部１０とは平行であるが、１０ミ
リ程度上下でずれている。これによって垂直状態になっ
たときには、図において下方に移動させられた状態でガ
イドに支持される。このためシート１を元の水平状態に
する際にはこれに抵抗する一定の力が作用する。これに
よって、シート１が戻らないようにする別のロック機構
を構成することができる。

【００１５】

【発明の効果】上記のように本発明によれば、シートを
折り畳み可能にするにあたって、インスツルメントパネ
ルの一部を、シートの回動に関連して退避可能に構成し
たので、干渉を避けつつシートを回動させることができ
るので、シートの上方空間をより効率的に活用すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る車両のシート装置回りの側断面
図、

【図２】図１のシート装置平面図、

【図３】ガイドの斜視図、

【図４】係止パネル周りの斜視図、

【図５】グローブボックスの周りの部分分解斜視図、

【図６】グローブボックスの係合機構を示す部分断面
図、

【図７】ガイドレールの部分拡大図、

【図８】ロックノブの斜視図、

【図９】グローブボックスのロック機構をしめす側断面
図、

【図１０】グローブボックスの上部のロック機構を示す
部分断面図、

【図１１】グローブボックスの上フタの周りの斜視図、

【図１２】グローブボックスの下部ロック機構の部分断
面図、

【図１３】グローブボックスの下部ロック機構の部分斜
視図、

【図１４】シートの折り畳んだ状態を示す側断面図、

【図１５】シートを折り畳んだ状態の上部の係合状態を
示す側面図、

【図１６】シートを折り畳んだ状態の部分平面図であ
る。

【符号の説明】

１ シート、２、シートクッション、３ シートバッ
ク、４ シートパン、５ 台座、６ 支持パイプ、１２
支持ガイド、１６ シートロック、２０ インスツル
メントパネル、 ２６ グローブボックス、３０ リン
ク部材、３５ ロッド、３６ ガイドレール、４３ ワ
イヤ、４５ リンクストッパ。

フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B60N 2/00 - 2/72

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車室の前部壁を構成するように車両の横
   方向に延設されるインスツルメントパネルと、 該インスツルメントパネルに対向して配置されるフロン
   トシートとを備え、 該フロントシートは、インスツルメントパネルに沿う位
   置まで変位させることが可能になっており、 該フロントシートが前記変位をしたとき対向するインス
   ツルメントパネルの部分がこのフロントシートの変位動
   作に関連して退避可能に構成されており、これによって
   前記フロントシートは格納状態において、少なくとも一
   部がインスツルメントパネルの後端よりも前方の空間内
   に位置する状態で支持されるようになっており、 前記インスツルメントパネルの退避可能部分がグローブ
   ボックスを構成する部分であって、前記インスツルメン
   トパネルのグローブボックスの構成する部分は乗員がイ
   ンスツルメントパネルに衝突した際に乗員の膝部を保護
   するニープロテクタを構成しており、該グローブボック
   ス構成部分の背面には、前記グローブボックスがニープ
   ロテクタとして機能するときに衝撃を吸収するための芯
   材が設けられており、前記フロントシートの格納時に
   は、前記芯材が前記フロントシートに係合してこれを支
   持する ことを特徴とする車両の車両のシート装置。
2. 【請求項２】 請求項１において、前記シートは、前記
   格納される際には車両の前後方向に移動させられて前記
   ニープロテクタの芯材の係合することを特徴とする車両
   のシート装置。
3. 【請求項３】 請求項１において、前記フロントシート
   は格納状態においてはシートクッションがフロア面に対
   してほぼ垂直状態をとることを特徴とする車両のシート
   装置。