JP3425097B2 - 抵抗素子 - Google Patents

抵抗素子

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JP3425097B2
JP3425097B2 JP03007299A JP3007299A JP3425097B2 JP 3425097 B2 JP3425097 B2 JP 3425097B2 JP 03007299 A JP03007299 A JP 03007299A JP 3007299 A JP3007299 A JP 3007299A JP 3425097 B2 JP3425097 B2 JP 3425097B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な抵抗素子、
さらに詳しくは、コンピューター等を応用した制御回路
を設けることなく、約3秒以内で1100℃以上の急速
昇温が可能であり、かつ、昇降温の繰り返しや、空気中
1500〜1550℃程度の高温での酸化に耐える等、
耐久性に優れ、気体燃料や液体燃料の着火などに使用さ
れる通電式の抵抗素子、およびサーミスター等の抵抗素
子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、天然ガス、プロパンガス、灯油等
の気体燃料や液体燃料の着火には、セラミックスを用い
た通電式の抵抗素子が一般に用いられている。
【0003】この種の着火用抵抗素子は、2〜3秒間程
度で1000℃以上の温度に達する急速昇温と、空気中
で1500〜1550℃程度の高温に耐えるために、優
れた耐熱衝撃性および耐酸化性を有することが要求され
る。
【0004】このような要求に応えるために、従来のセ
ラミックス抵抗素子は、通常、窒化珪素(SiN
にタングステンや炭化タングステン等の発熱体を埋設
し、焼成することによって作製されていた。
【0005】しかしながら、この場合、窒化珪素は難燒
結性であるため、燒結助剤として希土類元素を使用し、
緻密化が図られているが、希土類元素を添加すると、1
400℃以上での耐酸化性が低下するという問題が生じ
る。したがって、使用温度の上限を1400℃に抑える
ことで実用に供しているが、急速加熱する場合には、コ
ンピューター等を応用した制御回路が必要となり、コス
ト高を来していた。このようなコストの増大を避けるた
めには、抵抗素子の最高到達温度を高めに設定する必要
があるが、従来の抵抗素子では最高到達温度を更に高め
ることは困難であり、実際問題として、コストや耐酸化
性を考慮すると、昇温速度を犠牲にせざるを得ないのが
実状であった。
【0006】さらに、従来の抵抗素子に用いられる導電
体層は、例えば、上記のようなタングステンや炭化タン
グステン等からなる発熱体であるが、タングステンの一
部が珪化されると、導電体層の抵抗値が増大して特性低
下を来すという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情のもとで、1400℃以上、さらには、1500℃
以上での使用が可能であって、制御回路を設けることな
く、約3秒以内で1100℃以上に急速昇温することが
でき、かつ、昇降温の繰り返しや高温での酸化に耐える
等、耐久性に優れたセラミックスからなる、着火性能の
よい通電式の抵抗素子を、安いコストで提供することを
目的としてなされたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、優れた性
能を有する抵抗素子を開発すべく鋭意研究を重ねた結
果、絶縁体材料基板層と、その上に設けられ、若しくは
その中に埋設された導電体層との積層構造燒結体からな
る抵抗素子において、前記導電体層として、タングステ
ンと炭素からなり、かつ、炭素が原子比1:1よりも少
ない特定の組成を有する導電体層を用いることにより、
15秒間の通電により素子温度を1500℃以上まで到
達させ、その後通電を停止することにより素子を冷却す
る操作を繰り返すサイクル試験を50000回以上行っ
ても、抵抗値の変化が10%以下である抵抗素子が得ら
れ、その目的を達成しうることを見出し、この知見に基
づいて本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明は、絶縁体材料基板層
と、その上に設けられ、若しくはその中に埋設された導
電体層との積層構造燒結体からなる抵抗素子において、
前記導電体層がタングステンと炭素からなり、かつ、タ
ングステンと炭素との原子比が1:0.4ないし1:
0.98であるような構成である。
【0010】また、本発明は、前記導電体層が窒化珪
素、シリマナイト、ムライト、窒化アルミニウム、酸窒
化珪素およびサイアロンの少なくとも1種を体積占有率
で6%から65%の範囲で含有しているような構成であ
る。
【0011】さらに、本発明は、前記絶縁体材料基板層
が、窒化珪素100モルに対して酸化珪素が5〜30モ
ル、酸化アルミニウムが3〜10モルの範囲で含有され
るサイアロンからなるような構成である。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の抵抗素子は、絶縁体材料
基板層と、その上に設けられ、若しくはその中に埋設さ
れた導電体層との積層構造燒結体からなるものである。
【0013】上記の絶縁体材料基板層としては、従来、
急速昇温発熱素子において用いられる公知の材料の中か
ら、適宜選択して用いることができるが、特に窒化珪
素、酸化珪素、酸化アルミニウムを含むサイアロンで構
成されたものが好適である。
【0014】窒化珪素(Si)は、酸化されると
表面に純粋な酸化珪素(SiO)保護膜が形成され、
耐酸化性が付与されることが知られている。しかしなが
ら、窒化珪素は難燒結性のため、単独では燒結による緻
密化が達成されない。
【0015】したがって、本発明においては、窒化珪素
燒結体の緻密化を促進するために、窒化珪素100モル
に対して酸化珪素が5〜30モル、好ましくは9〜21
モル、酸化アルミニウムが3〜10モル、好ましくは4
〜8モルの範囲で含有されるサイアロンからなる絶縁体
材料が好ましく用いられる。
【0016】酸化珪素の含有量が5モル未満では、得ら
れる絶縁体材料の緻密化が十分に進まず、30モルを超
えると、絶縁体材料の機械的強度が低下し、15秒間の
通電により素子温度を1500℃以上まで到達させ、そ
の後通電を停止することにより素子を冷却する操作を繰
り返すサイクル試験で、絶縁体材料基板層が破損しやす
くなる。
【0017】酸化アルミニウムの含有量が3モル未満で
は、得られる絶縁体材料の緻密化が十分に進まず、10
モルを超えると、絶縁体材料の緻密化は進むが、耐酸化
性が低下し、1500℃以上での使用が困難となるだけ
ではなく、機械的強度も低下する。
【0018】また、本発明の抵抗素子における絶縁体材
料基板層として、希土類元素を含有するサイアロンから
なる絶縁体材料を用いることもできる。希土類元素酸化
物としては、例えば、イットリウム、サマリウム、ラン
タン、セリウム、ネオジウム等の酸化物を挙げることが
できる。これらの中で、イットリウム酸化物、ランタン
酸化物およびセリウム酸化物が好適である。これらの希
土類元素酸化物は単独で用いてもよいし、2種以上を組
み合わせて用いてもよい。
【0019】一方、本発明の抵抗素子における導電体層
としては,高融点、低熱膨張率および低電気比抵抗を有
する材料が用いられ、特に融点2000℃以上、熱膨張
率6.0×10−6/℃以下、および、電気比抵抗10
−5Ω・cm以下のものが好適である。
【0020】本発明においては、このような材料とし
て、タングステンと炭素とからなり、かつ、タングステ
ンと炭素との原子比が1:0.4ないし1:0.98の
範囲にある材料が用いられる。
【0021】導電体層のタングステンは、絶縁体材料基
板層にサイアロンを主成分とするものを用いた場合、焼
成時または通電発熱時に、一部が珪化され、このタング
ステンの珪化物は熱膨張係数が6.0×10−6/℃を
超え、強度が脆弱になることが知られている。このた
め、通電のオン・オフ繰り返しを行うサイクル試験によ
って、抵抗値が増大する等の特性低下が起こりやすい。
しかし、本発明のように、タングステンと炭素とが特定
の原子比の範囲で共存すると、タングステンが安定し、
抵抗値が増大する等の特性低下が起こりにくくなる。
【0022】タングステンと炭素との原子比が0.4未
満の場合、通電のオン・オフ繰り返しを行うサイクル試
験によって、抵抗値が増大する等の特性低下が起こりや
すい。一方、タングステンと炭素との原子比が1の場
合、管理された状態では、タングステンの珪化が防止さ
れ問題はないと考えられるが、実際には、以下のような
問題がある。すなわち、導電体層は、通常、ペースト状
の材料を印刷して設けられるため、ペースト化のために
用いられている有機バインダーが、焼成時に一部残留炭
素として導電体層に存在することになる。例えば、ホッ
トプレス焼成では、通常、1原子%程度の炭素が残留す
るために、タングステンと炭素との原子比1:1の組成
よりも炭素過剰となる。したがって、タングステンと炭
素との原子比1:1の組成から、炭素を2原子%程度減
らした組成に設定すれば、焼成後に炭素が過剰に存在す
ることはなくなり、良好な特性が実現できる。したがっ
て、タングステンと炭素との原子比の上限は、上記のよ
うに0.98と設定される。
【0023】本発明では、導電体層に、さらに、窒化珪
素、シリマナイト、ムライト、窒化アルミニウム、酸窒
化珪素およびサイアロンの少なくとも1種を体積占有率
で6%から65%の範囲、好ましくは10%から60%
の範囲で含有している材料が好適に用いられる。ここ
で、本発明における体積占有率とは、物質が室温(25
℃)で混合状態にあるとき、各々の物質の占有する体積
を百分率表示したものである。具体的には、例えば、9
0ccのWCと10ccの窒化アルミニウムを混合した
系では、WCの体積占有率は90%、窒化アルミニウム
の体積占有率は10%となる。
【0024】上記のように、窒化珪素、シリマナイト、
ムライト、窒化アルミニウム、酸窒化珪素およびサイア
ロンの少なくとも1種を体積占有率で6%から65%の
範囲で導電体層に含有させると、上述のサイクル試験、
連続通電試験等の信頼性試験で特性が更に向上する。上
記の添加物質の含有量が6%未満では、添加による効果
が得られず、65%を超えると、導電体層の抵抗温度特
性が不安定になり好ましくない。
【0025】上記の添加物質は、いずれも絶縁性物質で
あるため、導電体層の抵抗温度特性には影響を与えず、
導電体層の抵抗温度特性を損なうことはない。また、上
記の窒化珪素、シリマナイト、ムライト、窒化アルミニ
ウムおよび酸窒化珪素は、いずれもサイアロンの構成化
合物であり、導体の抵抗温度特性に影響を与えにくく、
かつ、導電体層と絶縁体材料基板層との接合が良くなる
ため、良好な信頼性が期待できる。
【0026】尚、同じくサイアロンの構成化合物である
酸化珪素は、融点が1713℃と低いため、添加しても
1700〜1800℃で焼成を行う時に流動化して導体
領域から絶縁体材料基板層に移行してしまうため添加効
果は期待できない。また、酸化アルミニウムは、添加量
が多いと導体の抵抗温度特性を低下させることがあり、
添加物質として適当ではない。
【0027】次に、本発明の抵抗素子の製造方法につい
ては特に制限はなく、従来セラミックス系発熱素子の製
造において慣用されている方法を用いることができる。
【0028】例えば、まず所要量の平均粒径0.1〜
1.5μm程度のα型窒化珪素粉末と、酸化アルミニウ
ム粉末、酸化珪素粉末を適当な溶媒を用い、必要なら
ば、さらに公知のバインダーや分散剤等を添加して、ボ
ールミル等により湿式混合してスラリーを調製する。次
いで、ドクターブレード法、プレス成形法、押し出し成
形法等により所望形状に成形する。
【0029】次に、このようにして得られた成形体の表
面に、タングステンと炭素とを所定の割合で含有し、必
要に応じて上記のような窒化珪素、シリマナイト、ムラ
イト、窒化アルミニウム、酸窒化珪素およびサイアロン
の少なくとも1種を体積占有率で6%から65%の範囲
で含有する導体ペーストを用いて所定のパターンを印刷
する。その後、パターン印刷された成形体に未印刷の成
形体を積層したり、または、パターン印刷された成形体
を巻き付けて所望形状に成形した後、この成形物を焼成
する。焼成方法については特に制限はなく、公知の方
法、例えば、ホットプレス焼成法、常圧焼成法、窒素ガ
ス圧力焼成法、熱間静水圧(HIP)焼成法等が用いられ
る。また、焼成温度は、通常、1900℃以下、好まし
くは1700〜1800℃の範囲で設定される。この焼
成においては、窒素ガス雰囲気下等の非酸化性雰囲気下
で実施することが有利である。
【0030】次に、このようにして得られた燒結体に、
表面研削加工や切断加工を施し、外部電源に接続するた
めの電極を導電体層に取り付けることにより、所望の抵
抗素子が得られる。
【0031】
【実施例】次に、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明はこれらの例によってなんら限定される
ものではない。
【0032】(実施例1)α‐Si粉末100モ
ル、Al粉末6.86モル、SiO粉末10モ
ル、および、アクリル系バインダーとエタノール、トル
エンをそれぞれ適量加え、ボールミルで混合することに
より、スラリーを調製した。次いで、このスラリーをド
クターブレード法によりシート状に成形した後、乾燥処
理して厚さ500μmのシートを作製し,一辺が60m
mの正方形に切断した。
【0033】次に、タングステンと炭素との原子比を表
1に示すように変化させた導体ペーストを、上記シート
に印刷し、この印刷シートの上下に、印刷していないシ
ートを4層、合計9層となるように積層し、積層体を作
製した。
【0034】この積層体を、1気圧の窒素ガス雰囲気
中、250kg/cmの加圧下で1750℃にて1時
間ホットプレス焼成して、積層構造燒結体を得た。図1
は、この積層構造燒結体の部分分解斜視図であって、サ
イアロンからなる絶縁体材料基板1″上に形成されたタ
ングステン−炭素からなる導電体層2が、サイアロンか
らなる絶縁体材料基板層1,1′に埋設されている状態
を示している。
【0035】次に、この積層構造燒結体をダイヤモンド
砥石により切断加工し、次いで切断面における導電体層
の露出部にタングステン‐ニッケル電極を焼き付け後、
ニッケルめっき処理し,さらに銅線をはんだ付けして電
極端子を設け、素子を作製した。図2は、このようにし
て得られた抵抗素子の斜視図である。図2において、符
号3は抵抗素子、4,4′は電極であり、Aはヒーター
部領域、Bはリード部領域を示す。尚、電極部は金属性
モールドに収め、外気と遮断した。
【0036】この抵抗素子について、以下に示す評価を
行った。すなわち、空気中、15秒間通電させることで
1500℃に昇温させ、15秒間停止することで室温付
近まで冷却させることを繰り返すサイクル試験を行っ
た。初期抵抗値より10%増大した点における回数(昇
降温の両過程で1回のカウントとする)を調べた。初期
抵抗値は、1回目の通電での1500℃における抵抗値
とした。試料数はそれぞれ20であり、回数は平均値を
採用した。結果を表1に示す。尚、50000回以上を
合格とする。
【0037】
【表1】 表1に示されるように、炭素/タングステン(原子比)
が0.4〜0.98の範囲にある抵抗素子は、いずれも
サイクル回数が50000回以上であった。
【0038】(実施例2)実施例1と同様の条件で作製
した抵抗素子に、1500℃に保持されるように連続通
電した際、抵抗値の変化が初期値に対して10%変化す
るに要した時間を調べた。初期抵抗値は、通電を開始し
て1500℃となった直後の抵抗値とした。試料数はそ
れぞれ20であり、平均値を採用した。結果を表2に示
す。
【0039】
【表2】 表2に示されるように、炭素/タングステン(原子比)
が0.4〜0.98の範囲にある抵抗素子は、いずれも
通電時間が6000時間以上であり、上記の原子比の範
囲外の抵抗素子に比べて良好であった。
【0040】(実施例3)α‐Si粉末100モ
ル、Al粉末6.8モル、SiO粉末9.3モ
ル、および、アクリル系バインダーとエタノール、トル
エンをそれぞれ適量加え、ボールミルで混合することに
より、スラリーを調製した。次いで、このスラリーをド
クターブレード法によりシート状に成形した後、乾燥処
理して厚さ500μmのシートを作製し,一辺が60m
mの正方形に切断した。
【0041】次に、タングステンと炭素との原子比を
1:0.5に定め、さらに、窒化珪素、シリマナイト、
ムライト、窒化アルミニウム、酸窒化珪素およびサイア
ロンを表3に示す添加量で添加した19種の導体ペース
トを調製し、この導体ペーストを上記シートに印刷し
た。次に、この印刷シートの上下に、印刷していないシ
ートを2層、合計5層となるように積層し、積層体を作
製した。尚、導電体層の形成用ペーストに使用したサイ
アロン(1)、(2)の組成は、それぞれ下記に示すも
のである。
【0042】サイアロン(1)の組成 窒化珪素 : 81モル 酸化珪素 : 16モル 酸化アルミニウム : 3モルサイアロン(2)の組成 窒化珪素 : 83モル 酸化珪素 : 9モル ・酸化アルミニウム : 8モル
【0043】この積層体を、1気圧の窒素ガス雰囲気
中、250kg/cmの加圧下で1700℃にて1時
間ホットプレス焼成して、図1に示される積層構造燒結
体を得た。
【0044】次に、この積層構造燒結体をダイヤモンド
砥石により切断加工し、次いで切断面における導電体層
の露出部にタングステン‐ニッケル電極を焼き付け後、
ニッケルめっき処理し,さらに銅線をはんだ付けして電
極端子を設け、図2に示される抵抗素子を作製した。
尚、電極部は金属性モールドに収め、外気と遮断した。
【0045】この抵抗素子について、以下に示す評価を
行った。上記の実施例1よりも更に厳しい条件で、すな
わち、空気中、15秒間通電させることで1550℃に
昇温させ、15秒間停止することで室温付近まで冷却さ
せることを繰り返すサイクル試験を行った。初期抵抗値
より10%増大した点における回数(昇降温の両過程で
1回のカウントとする)を調べた。初期抵抗値は、1回
目の通電での1550℃における抵抗値とした。試料数
はそれぞれ20であり、回数は平均値を採用した。結果
を表3に示す。尚、50000回以上を合格とする。
【0046】
【表3】 表3に示されるように、サイアロン(1)、サイアロン
(2)、窒化珪素、シリマナイト、ムライト、窒化アル
ミニウム、または、酸窒化珪素を体積占有率で6〜65
%の範囲で導電体層に含む抵抗素子は、実施例1よりも
更に厳しい1550℃でのサイクル試験でも、サイクル
回数が50000回以上であった。
【0047】(実施例4)実施例3と同様の条件で作製
した抵抗素子に、1550℃に保持されるように連続通
電した際、抵抗値の変化が初期値に対して10%変化す
るに要した時間を調べた。初期抵抗値は、通電を開始し
て1550℃となった直後の抵抗値とした。試料数はそ
れぞれ20であり、平均値を採用した。結果を表4に示
す。
【0048】
【表4】 表4に示されるように、サイアロン(1)、サイアロン
(2)、窒化珪素、シリマナイト、ムライト、窒化アル
ミニウム、または、酸窒化珪素を体積占有率で6〜65
%の範囲で導電体層に含む抵抗素子は、実施例1よりも
更に厳しい1550℃での連続通電試験でも、いずれも
通電時間が5000時間以上であった。
【0049】(実施例5)α‐Si粉末100モ
ル、Al粉末7モル、SiO粉末21モル、お
よび、アクリル系バインダーとエタノール、トルエンを
それぞれ適量加え、ボールミルで混合することにより、
スラリーを調製した。次いで、このスラリーをドクター
ブレード法によりシート状に成形した後、乾燥処理して
厚さ500μmのシートを作製し,一辺が60mmの正
方形に切断した。
【0050】次に、タングステンと炭素との原子比を
1:0.5に定め、さらに、実施例3において用いたサ
イアロン(1)と同組成のサイアロンを体積占有率で4
0%となるように添加した導体ペーストを調製し、この
導体ペーストを上記シートに印刷した。次に、この印刷
シートの上下に、印刷していないシートを2層、合計5
層となるように積層し、積層体を作製した。
【0051】この積層体を、1気圧の窒素ガス雰囲気
中、250kg/cmの加圧下で1700℃にて1時
間ホットプレス焼成して、図1に示される積層構造燒結
体を得た。
【0052】次に、この積層構造燒結体をダイヤモンド
砥石により切断加工し、次いで切断面における導電体層
の露出部にタングステン‐ニッケル電極を焼き付け後、
ニッケルめっき処理し,さらに銅線をはんだ付けして電
極端子を設け、図2に示される抵抗素子を作製した。
尚、電極部は金属性モールドに収め、外気と遮断した。
【0053】この抵抗素子について、実施例3と同様の
条件でサイクル試験を行い、初期抵抗値より10%増大
した点における回数を調べた。その結果、この抵抗素子
は、実施例1よりも更に厳しい1550℃でのサイクル
試験において978302回であり、極めて良好なもの
であった。
【0054】(実施例6)実施例5と同様の条件で作製
した抵抗素子に、1550℃に保持されるように連続通
電した際、抵抗値の変化が初期値に対して10%変化す
るに要した時間を調べた。初期抵抗値は、通電を開始し
て1550℃となった直後の抵抗値とした。試料数はそ
れぞれ20であり、平均値を採用した。その結果、この
抵抗素子は、実施例1よりも更に厳しい1550℃での
連続通電試験において、9718時間の通電時間を示
し、極めて良好なものであった。
【0055】
【発明の効果】本発明の抵抗素子においては、導電体層
に特定の比率のタングステンと炭素とからなるものを用
いることにより,該導電体層の熱膨張率および強度が安
定し、その結果、15秒間の通電により素子温度を15
00℃まで到達させ、その後、15秒間通電を停止する
ことにより素子を冷却する操作を繰り返すサイクル試験
で、50000回以上の使用が可能となる。また、導電
体層に更に窒化珪素、シリマナイト、ムライト、窒化ア
ルミニウム、酸窒化珪素およびサイアロンの少なくとも
1種を所定の体積占有率の範囲で含有させることによ
り、該導電体層の熱膨張率および強度が安定することに
加え、導電体層と絶縁体材料基板層との接合が強固にな
る結果、15秒間の通電により素子温度を1550℃ま
で到達させ、その後、15秒間通電を停止することによ
り素子を冷却する操作を繰り返す厳しい条件のサイクル
試験で、50000回以上の使用が可能となる。本発明
の抵抗素子は、例えば、天然ガス、プロパンガス、灯油
等の気体燃料や液体燃料の着火用として好適に用いられ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の抵抗素子における積層構造燒結体の1
例の部分分解斜視図である。
【図2】実施例で作製した抵抗素子の斜視図である。
【符号の説明】
1,1′,1″…サイアロンからなる絶縁体材料基板層 2…導電体層 3…抵抗素子 4,4′…電極 A…ヒーター部領域 B…リード部領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05B 3/12 H05B 3/14 H05B 3/18 H05B 3/74 H05B 3/20

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁体材料基板層と、その上に設けら
    れ、若しくはその中に埋設された高融点、低熱膨張率お
    よび低電気比抵抗の導電体層との積層構造燒結体からな
    る抵抗素子において、前記導電体層がタングステンと炭
    素からなり、かつ、タングステンと炭素との原子比が
    1:0.4ないし1:0.98であることを特徴とする
    抵抗素子。
  2. 【請求項2】 前記導電体層は、窒化珪素、シリマナイ
    ト、ムライト、窒化アルミニウム、酸窒化珪素およびサ
    イアロンの少なくとも1種を体積占有率で6%から65
    %の範囲で含有していることを特徴とする請求項1に記
    載の抵抗素子。
  3. 【請求項3】 前記絶縁体材料基板層は、窒化珪素10
    0モルに対して酸化珪素が5〜30モル、酸化アルミニ
    ウムが3〜10モルの範囲で含有されるサイアロンから
    なることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の
    抵抗素子。
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