JP3424981B2 - 海苔網展張装置、海苔の刈り取り方法、海苔網の酸処理方法ならびに海苔の刈り取りおよび海苔網の酸処理方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、海苔養殖場において海
中に支柱を立設させて海苔網を吊り綱により支柱に締結
することで海中に海苔網を展張する支柱方式の海苔網展
張装置と、この海苔網展張装置により海面に展張された
海苔網に海苔を育成し、船を用いてこの海苔網から海苔
を自動的に刈り取る方法と、船を用いてこの海苔網に自
動的に酸処理を施す方法と、船を用いてこの海苔網から
自動的に海苔を刈り取るとともに海苔網に酸処理を施す
方法とに関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、海苔養殖は海苔網に浮き子を取
り付けて海面に浮かすように展張して錨で止める浮き流
し方式や、海中に立設した支柱に海苔網を展張した支柱
方式によって行われている。この両方式の使い分けは、
養殖場の立地条件により決定されている。

【０００３】前記支柱方式を使用している海苔養殖場は
支柱を立てることのできる海岸に近く、海が浅いところ
であり、海の干潮時に海苔網が海面から離接して、日中
には天日により海苔に付着した雑菌の殺菌ができ、海苔
の養殖には望ましい方法である。

【０００４】従来の支柱を利用して海苔網を海中に展張
する一般的な海苔網展張装置を図１９により説明する。

【０００５】図１９に示すように、従来の海苔網展張装
置１においては、海苔網２は帯状に形成されており、四
辺を形成する太い縁綱３に、縁綱３より細い多数の綱
４，４…が格子状に編まれて形成されている。この海苔
網２は、水深の浅い海の海底に適宜な間隔をおいて立設
された多数の支柱５，５…へ、弛みの大きい吊り綱６に
より縁綱３と締結されており、海苔網２の長手方向に立
設された支柱５と支柱５のほぼ中間位置の海苔網２の短
手方向に、海苔網２に浮力を与え、さらに海苔網２の捻
れを防止するために、軸方向に伸びるように形成された
伸子棒７が、その両端を縁綱３に係止されて海苔の養殖
場に展張し設置されている。

【０００６】このように支柱５に展張されている海苔網
２から海苔を刈り取るには、真空吸引機を積載させた船
を用いて、海苔網２から海苔を刈り取っていた。

【０００７】また、海苔網２への酸処理は、海苔の刈り
取りとは別工程で行われるものであり、特開平３−１１
７４３９号公報に記載されているように、船に２本の巻
き取りローラを配設した酸処理層を設け、支柱５に展張
されている海苔網２を、巻き取りローラに巻き取り、巻
き直しをして再び展張位置に張設するようにされてい
た。

【０００８】さらに、支柱５に展張されている海苔網２
から海苔を刈り取り、海苔網２に酸処理を施すには、海
苔を刈り取った後に、一旦港に帰り船から刈り取った海
苔をおろし、代りに酸処理層を積込み、再び海苔網２の
所に戻ってから、酸処理を施すようにしていた。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
た従来の海苔網展張装置１においては、支柱５と縁綱３
を吊り綱６を締結して海苔網２を支柱５に係止させる設
置手段であり、吊り綱６に弛みがあり、満潮や干潮およ
び大潮や小潮等の海面の上下動に対しては、ほぼ対応で
きるものの、潮の流れや風等による海苔網２の左右前後
方向の移動を防止することができず、海苔網２の全ての
動きに対応させるように、吊り綱６の長さを適切に設定
することが困難であった。そして、船を用いて海苔網２
の酸処理や刈り取りを行うときに海苔網２の移動量が大
きく、作業性が悪いという問題があった。

【００１０】このような問題点に対処するために、本出
願人は、特開平５−３７３３号公報に記載の海苔網の設
置手段（本発明の海苔網展張装置に相当する）および特
開平５−３０８４１号公報に記載の海苔の刈り取り方
法、海苔網の酸処理方法ならびに海苔の刈り取りおよび
海苔網の酸処理方法を提案したが、船を用いて海苔網２
の酸処理や刈り取りを行うときの作業性の更なる改善が
求められている。

【００１１】本発明はこれらの点に鑑みてなされたもの
であり、海苔網の支柱間での移動を適切な位置に保持
し、かつ、海面とともに上下する海苔網の最下位置を海
面の季節変動に合致するように容易に調整し、この海苔
網２から、船を利用して、海苔の刈り取りを自動的に効
率よく行うことができるとともに、酸処理も自動的にし
かも極めて効率的に施すことができ、省人、省力化を図
ることのできる海苔網展張装置、海苔の刈り取り方法、
海苔網の酸処理方法ならびに海苔の刈り取りおよび海苔
網の酸処理方法を提供することを目的とする。

【００１２】

【課題を解決するための手段】前述した目的を達成する
ため請求項１に記載の本発明の海苔網展張装置は、海苔
網を海底から立設した複数の支柱に遊嵌された浮動環に
吊り綱で連結するとともに、前記支柱に、一端が前記支
柱に固着された干出調整綱を前記浮動環に挿通し、当該
干出調整綱の他端を当該干出調整綱の任意の位置に着脱
自在にし得るようにした浮動環の移動範囲を規制する拘
束手段を配設したことを特徴としている。

【００１３】そして、請求項２に記載の海苔網展張装置
は、請求項１において、前記干出調整綱を支柱に沿って
緊張し得るように前記干出調整綱が挿通される干出調整
綱緊張部材を有することを特徴としている。

【００１４】さらに、請求項３に記載の海苔網展張装置
は、請求項２において、前記干出調整綱緊張部材を支柱
に固定したことを特徴としている。

【００１５】また、請求項４に記載の海苔の刈り取り方
法は、請求項１乃至請求項３の何れか１項に記載の海苔
網展張装置により展張されている海苔網を、船体の上方
に導き、前記海苔網を船首部から船尾部へ通過させる間
に、船体に配置された海苔の刈り取り機構により、前記
海苔網に育成された海苔を連続的に刈り取った後に前記
展張位置へ導いて再び海苔網を展張させることを特徴と
している。

【００１６】また、請求項５に記載の海苔網の酸処理方
法は、請求項１乃至請求項３の何れか１項に記載の海苔
網展張装置により展張されている海苔網を、船体の上方
に導き、前記海苔網を船首部から船尾部へ通過させる間
に、船体に配置された海苔網の酸処理機構により、前記
海苔網に酸処理を連続的に施した後に前記展張位置へ導
いて再び海苔網を展張させることを特徴としている。

【００１７】また、請求項６に記載の海苔の刈り取りお
よび海苔網の酸処理方法は、請求項１乃至請求項３の何
れか１項に記載の海苔網展張装置により展張されている
海苔網を、船体の上方に導き、船体に配置された海苔の
刈り取り機構と海苔網の酸処理機構により、前記海苔網
に育成された海苔を連続的に刈り取った後に、前記海苔
網に酸処理を連続的に施し、その後、前記展張位置へ導
いて再び海苔網を展張させることを特徴としている。

【００１８】

【作用】請求項１に記載の本発明の海苔網展張装置によ
れば、海苔網を例えばほぼ弛みのない吊り綱で、海苔網
の上下動の最大動作範囲を確実に規定させて支柱に係止
することができるので、潮の流れや風による海苔網の移
動を確実に制御できるとともに、浮動環により潮の干満
による海面の上下動に対して追随させ、海苔網の酸処理
や刈り取り時に、海苔網の移動がなく作業性を向上させ
ることができるとともに、海面とともに上下する海苔網
の干潮時における最下位置を海面の季節変動に合致する
ように容易に調整し、良質な海苔を得ることができる。

【００１９】請求項２および請求項３に記載の本発明の
海苔網展張装置によれば、請求項１に記載の作用を呈す
とともに、干出調整綱を支柱に沿って緊張することによ
り、浮動環の上下動を円滑にし、結果として、海苔網の
上下動を円滑にすることができる。

【００２０】請求項４に記載の本発明の海苔の刈り取り
方法によれば、浮動環の移動量を規制する拘束手段を、
海底から立設した支柱に取りつけ、前記浮動環と海苔網
とを例えばほぼ弛みのない吊り綱で連結して展張されて
いる海苔網を、支柱から取り外すこと無く船体の上方へ
導き、船を進行させることで、海苔網を船体の船首から
船尾へ進行させている途中に、船体に配設された刈り取
り機構により、前記海苔網から海苔を連続的にしかも自
動的に刈り取ることができる。

【００２１】請求項５に記載の本発明の海苔網の酸処理
方法によれば、浮動環の移動量を規制する拘束手段を、
海底から立設した支柱に取りつけ、前記浮動環と海苔網
とを例えばほぼ弛みのない吊り綱で連結して展張されて
いる海苔網を、支柱から取り外すこと無く船体の上方へ
導き、船を進行させることで、海苔網を船体の船首から
船尾へ進行させている途中に、船体に配設された海苔網
の酸処理機構により、前記海苔網に酸処理を連続的にし
かも自動的に施すことができる。

【００２２】請求項６に記載の本発明の海苔の刈り取り
および海苔網の酸処理方法によれば、浮動環の移動量を
規制する拘束手段を、海底から立設した支柱に取りつ
け、前記浮動環と海苔網とを例えばほぼ弛みのない吊り
綱で連結して展張されている海苔網を、支柱から取り外
すこと無く船体の上方へ導き、船を進行させることで、
海苔網を船体の船首から船尾へ進行させている途中に、
船体に配設された海苔の刈り取り機構と海苔網の酸処理
機構により、前記海苔網から海苔を刈り取り、さらに、
海苔を刈り取った前記海苔網に酸処理を連続して自動的
に施すことができる。

【００２３】

【実施例】以下、本発明を図面に示す実施例により説明
する。なお、前述した従来と同一部分については、図面
中に同一の符号を付してある。なお、前述した従来のも
のと同一ないしは相当する構成については、図面中に同
一の符号を付し、その説明は省略する。

【００２４】まず、本発明に係る海苔網展張装置につい
て説明する。

【００２５】図１から図４は本発明に係る海苔網展張装
置の第１実施例を示すものであり、図１は海苔網展張装
置の設置状態の要部を示す海苔網の短手方向からみた側
面図であり、図２は浮動環の要部を示す平面図であり、
図３はスナップを示す拡大斜視図であり、図４は干出調
整綱を示す拡大平面図である。

【００２６】図１に示すように、本実施例の海苔網展張
装置８においては、支柱５の間に配設されている海苔網
２には、その四隅と長手方向の所定位置の縁綱３へ吊り
綱９の一端が係止されている。この吊り綱９の他端は、
支柱５に挿通された海水に対して浮力を持った浮動環１
０に係止されている。そして、各吊り綱９は、ほぼ弛み
のない長さとされており、その長さＬ０は、図１に詳示
するように、支柱５の間隔Ｌに対して、支柱５から海苔
網２の縁綱３までの長さをＬ１とし、縁綱３を含む海苔
網２の幅をＬ２としたときに、Ｌ≦Ｌ１＋Ｌ２＋Ｌ１で
表せる長さとなるように構成されている。なお、吊り綱
９の長さＬ０は、部分的にＬ１＋Ｌ２＋Ｌ１がＬより若
干短くなる構成としても、支柱５の弾性により吸収する
ことができ、実用上の問題は発生しない。

【００２７】前記浮動環１０は、図２に詳示するよう
に、中空のドーナツ形状に形成された本体１１を有して
おり、この本体１１の内孔１１ａが支柱５に挿通されて
いる。そして、本体１１の円周上には、複数、本実施例
においては３つの円環状に形成された係止リング１２が
配設されており、この係止リング１２の直径方向に対向
するように形成されている２個の係止リング１２ａ，１
２ａには、吊り綱９が係止され、他の係止リング１２ｂ
には、後述する干出調整綱１３が挿通されるようになっ
ている。この浮動環１０は、海水に対して浮力と耐食性
とを合わせて有し、さらに、支柱５に対して遊嵌でき摺
動抵抗が低い形状および材料で形成されている。

【００２８】図１に戻って、支柱５の設置状態における
上部には、所望の長さの干出調整綱１３の一端が緊締等
により固定されている。この干出調整綱１３の自由端に
は、スナップ１４が固着されている。このスナップ１４
は、図３に示すように、棒状に形成された１対の把持ア
ーム１５ａ，１５ｂを有しており、この把持アーム１５
ａ，１５ｂのそれぞれ一端部は、把持アーム１５ａ，１
５ｂを拡開方向に付勢するばねとして機能するコイル部
１６を介して一体に形成されている。このコイル部１６
に、干出調整綱１３の自由端が係止されている。そし
て、一方の把持アーム１５ａの先端部１７ａには、干出
調整綱１３の中間部位の所定の位置に係止される係止フ
ック１８が形成されており、他方の把持アーム１５ｂの
先端部１７ｂには、干出調整綱１３を保持するように保
持部１９が曲成されているとともに、前記係止フック１
８を形成した側の把持アーム１５ａの一部に当接し、前
記把持アーム１５ａ，１５ｂの拡開を防止する拡開抑止
部２０が形成されている。

【００２９】つまり、図１に示すように、干出調整綱１
３の自由端は、浮動環１０より上方に位置する干出調整
綱１３の中間部位に係止され、ループ２１を形成し、こ
のループ２１内に浮動環１０が位置している。そして、
干出調整綱１３の自由端に固着されたスナップ１４の係
止フック１８は、干出調整綱１３に対する係止位置が調
整自在となっており、この係止位置を調節することによ
り、干出調整綱１３の支柱５に固定されている固定部２
２からの最大延出長さが自在に調整される。

【００３０】従って、本実施例においては、干出調整綱
１３の固定部２２により浮動環１０の最上位置が拘束さ
れ、スナップ１４の係止フックの干出調整綱１３に対す
る係止位置により浮動環１０の最下位置が拘束されると
ともに、浮動環１０の最下位置の調整が自在とされ、こ
れにより浮動環１０および海苔網２の移動範囲が規制さ
れるようになっている。

【００３１】前記干出調整綱１３は、本実施例において
は、図４に示すように、適宜な３本の綱２３を撚合わせ
て形成されており、３本の綱２３の内の１本の綱２３ａ
太さが、他の２本の綱２３ｂより太くされている。つま
り、干出調整綱１３の表面に凹凸が形成されており、こ
の凹凸は、スナップ１４の係止フック１８の滑り止めと
して機能する。なお、干出調整綱１３の表面に形成され
ている凹凸は、スナップ１４と干出調整綱１３との組み
合わせ（素材、形状）等によってはなくてもよく、特
に、本実施例の構成に限定されるものではない。

【００３２】前記干出調整綱１３およびスナップ１４に
より、浮動環１０の移動量を規制する拘束手段２４が形
成されている。

【００３３】そして、予め浮動環１０および拘束手段２
４を取着した支柱５を、水深の浅い海の海底等の海苔の
養殖場に、適宜な間隔をおいて立設し、その後、吊り綱
９の一端を浮動環１０に締結するとともに、スナップ１
４の係止位置を調節することにより、海苔網２の設置が
完了する。

【００３４】つぎに、前述した構成からなる本実施例の
海苔網展張装置８の作用について説明する。

【００３５】本実施例において、海苔網２は、ほぼ弛み
のない吊り綱９を介して浮動環１０により支柱５へ係留
されているので、海面の上下動に対して常に海苔網２を
追随させることができるとともに、前記した支柱５の間
隔Ｌと、海苔網２の幅Ｌ２と、吊り綱９の長さＬ１の関
係をＬ≦Ｌ１＋Ｌ２＋Ｌ１に維持することができ、常に
海苔網２を海面と平行で所定の位置にとどめておくこと
ができる。そして、潮の流れや海上の風による海苔網２
の前後左右の移動を確実に防止することができるように
なっている。

【００３６】また、本実施例においては、スナップ１４
の係止フック１８の干出調整綱１３に対する係止位置を
容易に調整することができ、これにより、干出調整綱１
３の支柱５に固定されている固定部２２からの最大延出
長さが自在に調整することができる。つまり、干出調整
綱１３の固定部２２により浮動環１０の最上位置が拘束
され、スナップ１４の係止フック１８の干出調整綱１３
に対する係止位置により浮動環１０の最下位置が拘束さ
れ、これにより、吊り綱９をもって浮動環１０に係止さ
れている海苔網２の上下方向の移動量と、海苔網２の干
潮時における最下位置とが拘束される。さらに、浮動環
１０の最下位置が調整自在とされているので、季節変動
による干潮時の海苔網２の最下位置を容易に調整するこ
とができる。

【００３７】すなわち、海苔網２は、海苔の養殖場に長
期間に亘り展張されているので、海苔網２の最下位置が
固定されていると、季節による干潮時の海面の高さ変動
に追随できず、海苔網２を干潮時に海面から離間させ
て、日中に天日による海苔に付着した雑菌の殺菌を十分
に施して良質な海苔を養殖することができないが、本実
施例においては、浮動環１０の最下位置の調整をスナッ
プ１４の係止フック１８の干出調整綱１３に対する係止
位置を変更することにより、浮動環１０の最下位置を調
整することをもって海苔網２の最下位置を容易に調整す
ることができるので、良質な海苔を養殖することができ
る。また、スナップ１４の係止フック１８の干出調整綱
１３に対する係止位置の変更は、海中に潜ったり、ある
いは、支柱５を海底から抜くことなく、船上から直接
的、かつ、容易に行うことができるので、労力を低減
し、作業効率を向上させることができる。

【００３８】このように本実施例によれば、海苔網２の
支柱５に対する前後左右位置が、常に変わらないことに
より、海苔網２の酸処理や海苔の刈り取り作業性を向上
させることができるとともに、海苔網２が海底に着底し
たり、予測しない海面の上昇、例えば、台風等による高
潮と満潮が重なったとき等に、海苔網２が支柱５から外
れることを確実に防止させることができるとともに、海
面の季節変動に確実に対応することができる。

【００３９】また、海苔網２の酸処理や海苔の刈り取り
を施すときに、潮止まりを待つということや所望の海面
の高さになる時間に作業を行うという時間的制約を減少
させることができる。

【００４０】図５から図７は本発明に係る海苔網展張装
置の第２実施例を示すものであり、図５は海苔網展張装
置の設置状態の要部を示す海苔網の短手方向からみた側
面図であり、図６はスナップを示す拡大斜視図であり、
図７は干出調整綱緊張部材を示す拡大平面図である。

【００４１】図５に示すように、本実施例の海苔網展張
装置８ａは、浮動環１０の移動を前記第１実施例より円
滑にしたものである。すなわち、本実施例の海苔網展張
装置８ａにおける、拘束手段２４ａは、干出調整綱１３
およびスナップ１４ａならびに干出調整綱緊張部材２５
により構成したものである。その他の構成は、前述した
第１実施例と同様とされている。

【００４２】更に詳しく説明すると、図６に示すよう
に、本実施例のスナップ１４ａには、係止フック１８が
形成された把持アーム１５ａの先端部１７ａが長く延出
され、浮動環受部２６が形成されている。また、図７に
示すように、干出調整綱緊張部材２５は、支柱５に遊嵌
される大径の大リング２５ａを有しており、この大リン
グ２５ａの円周上には、干出調整綱１３が挿通される小
リング２５ｂが配設されている。さらに、干出調整綱緊
張部材２５は、海水に対する耐食性を有し、支柱５に対
して遊嵌でき摺動抵抗が低く、自重により常に海中に没
する形状および材料で形成されている。

【００４３】図５に戻って、干出調整綱１３の上端部
は、固定部２２をもって支柱５の上部に固定されてお
り、干出調整綱１３の中途部は上から下へ順に浮動環１
０の係止リング１２ｂ、干出調整綱緊張部材２５の小リ
ング２５ｂに挿通され、更に干出調整綱１３の自由端に
固着されたスナップ１４ａは、浮動環１０より下方に位
置する干出調整綱１３の中間部位に係止されてループ２
１を形成し、このループ２１内に干出調整綱緊張部材２
５が位置している。つまり、ループ２１は、浮動環１０
の下方に形成されている。また、干出調整綱１３は、ル
ープ２１内に位置する干出調整綱緊張部材２５の自重に
より、支柱５に沿って緊張される。さらに、浮動環１０
は、スナップ１４ａに形成された浮動環受部２６に当接
することにより、最下位置が拘束されるようになってい
る。このスナップ１４ａの干出調整綱１３への係止位置
を調整することにより、浮動環１０の最下位置を容易に
調整することができる。なお、干出調整綱１３の表面に
形成されている凹凸は、スナップ１４と干出調整綱１３
との組み合わせ（素材、形状）等によってはなくてもよ
く、特に、本実施例の構成に限定されるものではない。

【００４４】このような構成により、本実施例は前述し
た第１実施例と同様の効果を奏することができるととも
に、干出調整綱緊張部材２５により、干出調整綱１３を
支柱５に沿って常に緊張した状態とすることができるの
で、浮動環１０が最上位置に移動した場合に、干出調整
綱１３が干出調整綱１３の固定部２２と絡まって、浮動
環１０の移動量が変化したり、浮動環１０の不規則な移
動を確実に防止し、長期間に亘り浮動環１０の円滑な移
動を維持することができる。

【００４５】図８は本発明に係る海苔網展張装置の第３
実施例の要部を示す拡大斜視図である。

【００４６】図８に示すように、本実施例の海苔網展張
装置８ｂは、前述した第２実施例の海苔網展張装置８ａ
の干出調整綱緊張部材２５を固定綱７６により支柱５に
固定したものである。なお、固定綱７６の代わりに、例
えば、ボルト、クランパ等により干出調整綱緊張部材２
５を支柱５に固定してもよく、特に、本実施例の構成に
限定されるものではない。

【００４７】このような構成により、本実施例は前述し
た第２実施例とほぼ同様の効果を奏することができると
ともに、ループ２１内に位置する干出調整綱緊張部材２
５を支柱５に固定することにより、浮動環１０の移動位
置の最下端位置を確実に規制し、干潮時に海苔網２が海
底に着底するのを確実に防止して、海苔網２を海底から
確実に離間させることができ、海苔網２に繁殖した海苔
に泥や異物が付着するのを確実に防止することができ
る。

【００４８】つぎに、本発明に係る海苔の刈り取り方
法、海苔網の酸処理方法ならびに海苔の刈り取りおよび
海苔網の酸処理方法について説明する。

【００４９】図９から図１５は本発明による海苔の刈り
取り方法、海苔網の酸処理方法ならびに海苔の刈り取り
および海苔網の酸処理方法を行う海苔の刈り取り酸処理
船の一実施例を示している。

【００５０】図９は本発明の海苔網の海苔の刈り取り方
法、海苔網の酸処理方法ならびに海苔の刈り取りおよび
海苔網の酸処理方法を実施する海苔の刈り取り酸処理船
の一例の要部を示す側面図、図１０は図９の平面図、図
１１は後部案内部材の拡大図、図１２はパイプに取り付
けられたフックを示す分解斜視図、図１３は海苔の刈り
取り機構の縦断面図、図１４は酸処理機構の構成図、図
１５は浸透促進機構の構成図である。

【００５１】本実施例の海苔の刈り取り酸処理船２７
は、船体２８に動力推進機構２９を備えており、その船
体２８の上部には、パイプ状の案内部材３０が設けられ
ている。この案内部材３０は、前部案内部材３１、上部
案内部材３２および後部案内部材３３に分割されてい
る。そして前部案内部材３１は平面形状がＵ字型に形成
されており、このＵ字型の弯曲した先端は船首より一定
の傾斜で海中に没し、他端は下向きの脚３４により甲板
に立脚するとともに、前部案内部材３１の基部は、前記
上部案内部材３２にボルト３５により着脱自在および回
動可能に取付けられている。また、上部案内部材３２
は、船体２８の左右舷側上方に、船体２８の軸線方向と
平行に２本に配設されたパイプにより形成されており、
それら２本のパイプは、船体２８の軸線方向と直交する
数本の桟３６（図１０）により相互に連結されるととも
に、脚３７（図１１）により船体２８に固定されてい
る。

【００５２】そして、上部案内部材３２は、前記前部案
内部材３１により掬い上げられた海苔網２が円滑に船体
後部へ導びかれるように前部案内部材３１と連続した曲
線、もしくは、直線を形成するように構成されている。

【００５３】この上部案内部材３２の後端部の左右両側
には、それぞれ図１１に示すような長手方向に伸縮自在
な後部案内部材３３が固着されている。この後部案内部
材３３は、複数本（本実施例では４本）の次第に小径と
されるパイプ３８ａ，３８ｂ，３８ｃ，３８ｄを同軸状
に入子式として伸縮自在に形成されており、最外側のパ
イプ３８ａを上部案内部材３２の後端部に固着されてい
る。内側の３本のパイプ３８ｂ，３８ｃ，３８ｄの先端
下面側には、それぞれ下端に浮子３９が固着されている
剛性の有るロッド４０の上端を螺着脱自在とするナット
体４１が固着されている。最内側のパイプ３８ｄの先端
には、図１２に示すように、各パイプ３８ｂ，３８ｃ，
３８ｄを引出す際に海苔網２の縁綱３等に引掛けるフッ
ク４２が軸４３をもって枢着されており、このフック４
２とパイプ３８ｄの側面との間には、フック４２に過大
な力が作用した時に、同図時計方向に回動することを許
容するクリック機構４４が介装されている。この後部案
内部材３３の各パイプ３８ｂ，３８ｃ，３８ｄの最大伸
長時の全長は、後述する酸処理機構の部分において酸処
理を施された海苔網２が、少なくとも船の進行に伴って
後部案内部材３３の後端部まで相対移動する間に、十分
な酸処理効果を施す時間だけ空中に浮上させることので
きる長さとされている。

【００５４】また、各パイプ３８ｂ，３８ｃ，３８ｄを
最大伸長状態から引戻すために各パイプ３８ａ，…３８
ｄの中心部にワイヤ４５を挿通させ、そのワイヤ４５の
一端を最内側のパイプ３８ｄに固着し、ワイヤ４５の他
端を引戻し専用のモータ４６に連結させている（図１
１）。

【００５５】また、前記前部案内部材３１、上部案内部
材３２および後部案内部材３３の幅は海苔網２の幅とほ
ぼ同一か、それよりも大きくするとよい。

【００５６】前記前部案内部材３１は前記のように、ボ
ルト３５部分において分割および回動可能とされている
方が、船の養殖場への往復時に、前部案内部材３１を海
中より引上げることができ、海水の抵抗を受けることが
なく、また碇泊時における前部案内部材３１の損傷、破
壊を防止する意味で好ましいが、分割せずに全てを固定
しておいても、酸処理作業等には、本質的に問題はな
い。また、前部案内部材３１の先端形状はＵ字型に限ら
ずＶ字型など海面に浮かんでいる海苔網２を船体２８の
前進に伴ない、円滑に掬い上げ得る形状であればよいの
で、特に限定されるものではない。

【００５７】前記上部案内部材３２の船首傾斜部の下方
には、従来公知の刈り取り機構４７が設けられている。
この刈り取り機構４７は、例えば図１３に示すように、
図示しない電動機等によって回転される軸４８に、ほぼ
前部案内部材３１と同一の幅を有するＬ字状の刃４９を
放射状に取り付け、そのＬ字状の刃４９を回転させるこ
とにより海苔網２から垂れ下がる海苔を刈り取るもので
ある。この刈り取り機構４７としては、他に２枚の円盤
の外周間にピアノ線などの線材を張設したものを回転さ
せることにより、張設された線材で海苔を刈り取っても
良く、連続して刈り取る機構であれば前記に限定される
ものではない。

【００５８】そして、船体２８の中央部には収穫された
海苔を収穫する収納部５０が配設されており、この収納
部５０は、後述する酸処理液が混入するのを防止するよ
うに、後述する酸処理機構５１およびそれより船尾部の
甲板と隔離して設けられており、前記刈り取り機構４７
で刈り取られた海苔は、収納部５０に納められる。

【００５９】前記刈り取り機構４７の進行方向下流位置
には、海苔網２に酸処理を施す酸処理機構５１が設けら
れている。この酸処理機構５１は、上部案内部材３２に
横架した酸処理パイプ５２の多数の噴射孔５３（図１
４）より、海苔網２の下面側から酸処理液を噴射して酸
処理するように形成されている。この酸処理パイプ５２
へは、図１４に示すように、船体２８上に設けた酸処理
液槽５４からポンプ５５により送給管５６を通して酸処
理液５７が圧送されるようになっており、この酸処理液
槽５４内の酸処理液５７の酸濃度を所定値に保持するた
めに酸処理液５７のｐＨを検出するｐＨセンサ５８と、
ｐＨセンサ５８の検出値に応じて酸剤を酸処理液槽５４
内へ供給する酸剤供給系５９と、海水やアルカリ溶液等
の希釈液を酸処理液槽５４内へ供給する希釈液供給系６
０とが設けられている。

【００６０】前記両供給系５９，６０は共に、酸剤タン
ク６１および希釈液タンク６２内の酸剤および希釈液を
ポンプ６３ａ，６３ｂにより送給管６４ａ，６４ｂを通
して酸処理液槽５４内へ必要量供給するようになってい
る。この酸処理液槽５４内に投入する酸処理液５７とし
ては、海苔の酸処理に用いられている無機酸、有機酸の
中から適宜に選出して調合したものを用いるとよい。ま
た、アルカリとしては水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム等を用いるとよい。

【００６１】また、船体２８において、酸処理機構５１
が設置された位置より船の進行方向前後に亘って甲板を
二重甲板として、海苔網２から滴り落ちる使用した酸処
理液５７を回収できるように断面略矩形の槽６５が形成
されており、必要に応じて循環用のポンプを設置し、酸
処理液槽５４内への送給管を配管接続して設けることに
より、酸処理液５７を循環使用することができるように
されている。さらに、この槽６５へ使用した酸処理液５
７を回収するようにすることで、不必要に海へ酸処理液
５７を垂れ流すことがなく、公害の発生原因となること
を防止することもできる。

【００６２】この酸処理機構５１の海苔網２の進行方向
下流位置には、海苔の細胞内への酸処理液の浸透速度を
速くする浸透促進機構６６が設けられている。この浸透
促進機構６６は、図１５に示すように、上部案内部材３
２の幅全体に亘って配設された浸透槽６７の浸透液６８
中に、走行する海苔網２を押えローラ機構６９をもって
上方より押えるようにして浸漬させるように形成されて
いる。この押えローラ機構６９は軸部材７０にローラ７
１を回転自在に外装したものであり、軸部材７０の両端
部を綱かわし部材７０ａ，７０ａをもって支持されてい
る。浸透液６８としては、酸処理液５７が海苔の細胞膜
を透して細胞内へ浸透するのを促進できるものであれば
よい。また、この浸透槽６７内には超音波発振体７２が
設けられている。この超音波発振体７２は超音波をもっ
て酸処理液の海苔の細胞内への浸透速度をさらに増速さ
せ、かつ、海苔表面に付着している汚れを洗浄する。ま
た、浸透促進機構６６中に図示しないオゾン発生装置等
を配設して、葉体に付着している雑菌を殺菌する殺菌機
構７３が設けられている。この殺菌機構７３としては、
紫外線を海苔網２に照射する構成であってもよい。

【００６３】また、船体２８の最後尾には操舵室７４が
設けられており、この操舵室７４の高さは、海苔網２の
案内部材３０上の走行を妨げないように、案内部材３０
の高さより低くなっており、操舵室７４内には刈り取り
機構４７、酸処理機構５１、超音波発振体７２、殺菌機
構７３の動作を指令管理する制御部を備えており、全て
この操舵室７４内で操作を行なうことが最も好ましいも
のである。

【００６４】また、浮動環１０の上方向の最大移動位置
は、海面の位置を考慮した上で、海苔網２の案内部材３
０上の走行位置よりも若干高く設定することが好まし
く、支柱５の上端部の高さは、これよりもさらに高くし
ておくことが好ましい。

【００６５】つぎに、本実施例の海苔の刈り取り方法、
海苔網の酸処理方法ならびに海苔の刈り取りおよび海苔
網の酸処理方法の作用について説明する。

【００６６】図１６は海苔網の展張状態を示す説明図で
あり、図１７は海苔の刈り取りと海苔網の酸処理作業を
示す説明図である。

【００６７】図１６において、２ａ，２ｂ，２ｃ，２ｄ
は海苔網２で、海苔の養殖場に支柱５に並行に展張され
ている。そして、海苔の刈り取り酸処理船２７の酸処理
液槽５４の内には、酸処理液５７が投入されている。

【００６８】海苔の刈り取り酸処理作業は、まず、一方
の前部案内部材３１のみを前方に延出させ、他方の一対
の後部案内部材３３は最短になるように収縮させてお
き、つぎに、船体２８を海苔網２ａの一方の端部である
図１６中右端方向より動力推進機構２９を稼働して自力
推進力により進入させるとともに、操舵室７４内に設置
された刈り取り機構４７、酸処理機構５１、超音波発振
体７２、殺菌機構７３の動作を指令管理する制御部によ
りそれぞれを稼働させる。そして、先端を海中に没入さ
せた前部案内部材３１により海苔網２ａを海面から連続
的に掬い上げ、船の自力推進にともない海苔網２ａを上
部案内部材３２に沿って船尾方向に向かって導く。この
とき、海苔網２ａに吊り綱９を介してつながっている浮
動環１０は、船の自力推進にともない、最大移動位置を
拘束手段２４，２４ａを構成する干出調整綱１３の固定
部２２とした支柱５の上方に向かって自動的に上昇移動
する。

【００６９】さらに、海苔網２ａの先端部が収縮状態の
後部案内部材３３の後端部に達したら、パイプ３８ｄの
後端に取り付けられているフック４２を海苔網２ａの縁
綱３等に引っかけ、海苔網２ａの後方への相対移動に伴
って後部案内部材３３の各パイプ３８ｄ，３８ｃ，３８
ｂを順番に後方へ引き出していく。各パイプ３８ｄ，３
８ｃ，３８ｂが最長に繰り出されると、フック４２に過
大な力が加わり、クリック機構４４が外れてフック４２
が軸４３を中心として回動して、フック４２と海苔網２
ａとの係合が解かれる。以後は、海苔網２ａだけが後方
へ移動して行き、後部案内部材３３の後端部から再び海
面に戻される。このとき、海苔網２ａに吊り綱９を介し
てつながっている浮動環１０は、船の自力推進にともな
い、海面部分に向かって自動的に下降移動する。

【００７０】その間に、前部案内部材３１に沿って移動
する海苔網２ａから垂れ下がった海苔の葉体を刈り取り
機構４７により連続して刈り取り収穫し船体２８の収納
部５０内に収納し、続いて酸処理機構５１により刈り取
り後の海苔網２ａへ酸処理を施し、その後、後部案内部
材３３の後端まで相対移動する間に酸処理液５７を海苔
の細胞内に十分に浸透させ、また、葉体に付着している
雑菌を殺菌する。この海苔の刈取りと海苔網２の酸処理
作業の作業状態を図１７に示す。

【００７１】つぎに、船体２８を海苔網２ｂの一方の端
部である図１６中左端方向より自力推進力により進入さ
せ、前述したのと同様な作業を海苔網２ｂへ行い、以下
同様にして海苔網２ｄまで、これらの前述した作業を必
要回数繰り返すことにより、海苔の刈り取りと海苔網２
の酸処理が終了する。

【００７２】本実施例における酸処理機構５１による酸
処理は、刈り取り機構４７による刈り取り直後であるた
め、海苔網２は水切り状態にあり、酸処理パイプ５２の
各噴射孔５３から噴射される酸処理液５７が海苔網２の
全幅に亘って均一に被着されることとなり、処理むらが
発生しない。また、刈り取り直後に酸処理を行うもので
あるから、酸処理効果が極めて高いものとなり、さら
に、ｐＨセンサ５８、酸剤供給系５９および希釈液供給
系６０により酸処理剤のｐＨを所定値に保持させること
ができるため、常に良好な酸処理を施すことができる。

【００７３】さらに、本実施例においては、浸透促進機
構６６により酸処理液５７の海苔の細胞内への浸透速度
を大きくしているため海苔網２が後部案内部材３３の後
端部より海水中へ再投入されるまでの時間を更に短縮し
ても、十分な酸処理効果が発揮されることとなる。ま
た、超音波発振体５６による洗浄作用および殺菌作用に
より、酸処理効果が一段と高められる。

【００７４】このように本実施例においては、船体２８
を推進させるだけで、前部案内部材３１によって海水面
に支柱方式により展張されている海苔網２を船上に掬い
上げ、海苔を自動的に刈り取り、更に効果的な酸処理を
自動的に施して、再び海水面に展張させることができ、
海苔の収穫率を向上させるとともに、海苔の健康的な育
成を促すことができ、作業効率を向上させ、省人、省力
化を図ることができることとなる。

【００７５】さらに、本実施例においては、モータ４６
によってワイヤ４５を巻き戻すことにより、後部案内部
材３３の各パイプ３８ｂ，３８ｃ，３８ｄを最外側のパ
イプ３８ａ内に収納させることができ安全であり、しか
も各パイプ３８ｂ，３８ｃ，３８ｄの最大伸長長さを船
体２８の船長より自由に長くすることができるため、酸
処理等を確実かつ有効に実行することができる。

【００７６】また、本実施例においては、刈り取り機構
４７と酸処理機構５１を有しているために、必要に応じ
ていずれか一方の機構のみを稼働させて海苔の刈り取り
船または海苔網２の酸処理船として利用することができ
る。

【００７７】なお、前記実施例においては、酸処理機構
５１として酸処理液５７を海苔網２に噴射するようにし
たが、例えば浸透促進機構６６と同様にして海苔網２を
酸処理液中に浸漬させるようにしたり、ローラにより酸
処理液５７を海苔網２に塗布するようにしても良い。

【００７８】また、刈り取り酸処理船２７を支柱５に対
して、船の幅方向をガイドするには、船体２８の幅を支
柱５の幅方向間隔Ｌより若干短い大きさとしたり、図１
８に示すように、船体２８の両舷側に正面からの形状が
略Ｌ字形のガイド７５、７５をそれぞれ起倒自在に設
け、各ガイド７５、７５を同図実線の倒した状態にし
て、各ガイド７５、７５の左右方向端部で船の幅方向の
ガイドをするようにしてもよい。

【００７９】また、各ガイド７５、７５の船体２８の長
手方向長さを、同方向の支柱５の間隔より長く形成した
り、同長さまで伸縮できるようにして、船体２８の長手
方向のガイドをするようにしてもよい。

【００８０】なお、本発明は、前記各実施例に限定され
るものではなく、必要に応じて変更することができる。

【００８１】

【発明の効果】以上説明したように本発明の海苔網展張
装置によれば、満潮や干潮および大潮や小潮等の海面の
上下動に対して、海苔網の海面上の位置を、常に所望の
位置に保持することができるので、海苔網の酸処理や海
苔の刈り取り作業性を確実に向上させ、作業時間の制約
を確実に少なくすることができるとともに、季節変動に
よる干潮時の海面の位置に対応するように、海苔網の最
下位置を容易に調整することができるので、良質な海苔
を養殖することができる等という優れた効果を奏するこ
とができる。

【００８２】そして、本発明の海苔の刈り取り方法によ
れば、満潮や干潮および大潮や小潮等の海面の上下動に
対して、海苔網の海面上の位置を、常に所望の位置に保
持することができるとともに、船を利用して海苔網に育
苗した海苔を自動的にしかも極めて効率的に刈り取るこ
とができる。そして、省人、省力化を図り、潮時や潮留
まりを待つという作業時間の制約を確実に少なくするこ
とができる等という極めて優れた効果を奏する。

【００８３】さらに、本発明の海苔網の酸処理方法によ
れば、満潮や干潮および大潮や小潮等の海面の上下動に
対して、海苔網の海面上の位置を、常に所望の位置に保
持することができるとともに、船を利用して海苔網への
酸処理を自動的にしかも極めて効率的に施すことができ
るので、酸処理を効果的に海苔網に施すことができ、し
かも、酸処理液の濃度低下による海苔網への酸処理効果
のバラツキが確実に防止でき、高品質の海苔を安定して
歩留まりよく育苗することができる。そして、省人、省
力化を図り、潮時や潮留まりを待つという作業時間の制
約を確実に少なくすることができる等という極めて優れ
た効果を奏することができる。

【００８４】また、本発明の海苔の刈り取りおよび海苔
網の酸処理方法によれば、満潮や干潮および大潮や小潮
等の海面の上下動に対して、海苔網の海面上の位置を、
常に所望の位置に保持することができる。そして、船を
利用して海苔網に育苗した海苔を自動的にしかも極めて
効率的に刈り取ることができるとともに、酸処理も自動
的にしかも極めて効率的に施すことができ、しかも、酸
処理液の濃度低下による海苔網への酸処理効果のバラツ
キが確実に防止でき、高品質の海苔を安定して歩留まり
よく育苗することができる。そして、省人、省力化を図
り、潮時や潮留まりを待つという作業時間の制約を確実
に少なくすることができる等という極めて優れた効果を
奏することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る海苔網展張装置の第１実施例の設
置状態の要部を示す海苔網の短手方向からみた側面図

【図２】本発明に係る海苔網展張装置の第１実施例の浮
動環の要部を示す平面図

【図３】本発明に係る海苔網展張装置の第１実施例のス
ナップを示す拡大斜視図

【図４】本発明に係る海苔網展張装置の第１実施例の干
出調整綱を示す拡大平面図

【図５】本発明に係る海苔網展張装置の第２実施例の設
置状態の要部を示す海苔網の短手方向からみた側面図

【図６】本発明に係る海苔網展張装置の第２実施例のス
ナップを示す拡大斜視図

【図７】本発明に係る海苔網展張装置の第２実施例の干
出調整綱緊張部材を示す拡大平面図

【図８】本発明に係る海苔網展張装置の第３実施例の要
部を示す拡大斜視図

【図９】本発明の海苔網の海苔の刈り取り方法、海苔網
の酸処理方法ならびに海苔の刈り取りおよび海苔網の酸
処理方法を実施する海苔の刈り取り酸処理船の一例の要
部を示す側面図

【図１０】図９の平面図

【図１１】図９の後部案内部材の拡大図

【図１２】図９のパイプに取り付けられたフックを示す
分解斜視図

【図１３】図９の海苔の刈り取り機構の縦断面図

【図１４】図９の酸処理機構の構成図

【図１５】図９の浸透促進機構の構成図

【図１６】海苔網の展張状態を示す説明図

【図１７】海苔の刈り取りと海苔網の酸処理作業を示す
説明図

【図１８】ガイドを設けた刈り取り酸処理船を示す正面
図

【図１９】従来の海苔網展張装置により海苔の養殖場に
展張された海苔網を示す要部の斜視図

【符号の説明】

２ 海苔網 ５ 支柱 ８、８ａ 海苔網展張装置 ９ 吊り綱 １０ 浮動環 １３ 干出調整綱 １４、１４ａ スナップ ２１ ループ ２２ 固定部 ２４、２４ａ 拘束手段 ２５ 干出調整綱緊張部材 ２７ 刈り取り酸処理船 ２８ 船体 ２９ 動力推進機構 ３０ 案内部材 ３１ 前部案内部材 ３２ 上部案内部材 ３３ 後部案内部材 ４７ 刈り取り機構 ５０ 収納部 ５１ 酸処理機構 ６６ 浸透促進機構

Claims (6)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 海苔網を海底から立設した複数の支柱に
   遊嵌された浮動環に吊り綱で連結するとともに、前記支
   柱に、一端が前記支柱に固着された干出調整綱を前記浮
   動環に挿通し、当該干出調整綱の他端を当該干出調整綱
   の任意の位置に着脱自在にし得るようにした浮動環の移
   動範囲を規制する拘束手段を配設したことを特徴とする
   海苔網展張装置。
2. 【請求項２】 前記干出調整綱を支柱に沿って緊張し得
   るように前記干出調整綱が挿通される干出調整綱緊張部
   材を有することを特徴とする請求項１に記載の海苔網展
   張装置。
3. 【請求項３】 前記干出調整綱緊張部材を支柱に固定し
   たことを特徴とする請求項２に記載の海苔網展張装置。
4. 【請求項４】 請求項１乃至請求項３の何れか１項に記
   載の海苔網展張装置により展張されている海苔網を、船
   体の上方に導き、前記海苔網を船首部から船尾部へ通過
   させる間に、船体に配置された海苔の刈り取り機構によ
   り、前記海苔網に育成された海苔を連続的に刈り取った
   後に前記展張位置へ導いて再び海苔網を展張させること
   を特徴とする海苔の刈り取り方法。
5. 【請求項５】 請求項１乃至請求項３の何れか１項に記
   載の海苔網展張装置により展張されている海苔網を、船
   体の上方に導き、前記海苔網を船首部から船尾部へ通過
   させる間に、船体に配置された海苔網の酸処理機構によ
   り、前記海苔網に酸処理を連続的に施した後に前記展張
   位置へ導いて再び海苔網を展張させることを特徴とする
   海苔網の酸処理方法。
6. 【請求項６】 請求項１乃至請求項３の何れか１項に記
   載の海苔網展張装置により展張されている海苔網を、船
   体の上方に導き、船体に配置された海苔の刈り取り機構
   と海苔網の酸処理機構により、前記海苔網に育成された
   海苔を連続的に刈り取った後に、前記海苔網に酸処理を
   連続的に施し、その後、前記展張位置へ導いて再び海苔
   網を展張させることを特徴とする海苔の刈り取りおよび
   海苔網の酸処理方法。