JP3423654B2 - 端面接触形メカニカルシール - Google Patents
端面接触形メカニカルシールInfo
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Description
対回転摺接させることによりシールを行う端面接触形メ
カニカルシールに関するものである。
封環がその対向端面である密封端面で押圧接触し、その
密封端面の相対回転摺接作用によりシール機能を発揮す
るようにように構成された端面接触形メカニカルシール
と、両密封端面をその間に動圧又は静圧を生じさせるこ
とにより微小隙間を有した非接触状態で相対回転させる
ことによりシール機能を発揮するように構成された非接
触形メカニカルシールとに大別される。
両密封端面が相互に押圧しつつ相対回転するものである
から、シールすべき流体(以下「被密封流体」という)
が液体である場合には、密封端面間に被密封流体による
潤滑膜が形成されて、密封端面の相対回転摺接作用が円
滑に行われる。しかし、被密封流体が気体である場合に
は、このような潤滑膜が形成されないため、密封端面が
その接触回転による摩擦熱により焼き付きを生じる虞れ
があり、安定且つ良好なシール機能が期待できない。ま
た、シール寿命(耐久性)も大幅に低下する。
端面が非接触状態に保持されるものであるから、上記し
た潤滑膜が形成されずとも、密封端面が焼き付く虞れが
なく、被密封流体が気体であっても、安定且つ良好なシ
ール機能は発揮することができる。しかし、非接触形メ
カニカルシールは、端面接触形メカニカルシールのよう
に被密封流体の漏洩を略完璧に阻止(シール)するもの
ではなく、非接触状態にある密封端面間からの漏洩を許
容するものであるから、漏洩流体の処理装置を付設して
おく必要がある。したがって、かかる処理装置を必要と
しない端面接触形メカニカルシールによってシールでき
る液体について、あえて非接触形メカニカルシールを使
用する必要はなく、格別のメリットもない。
メカニカルシールは被密封流体が液体である場合に使用
され、非接触形メカニカルシールは被密封流体が気体で
ある場合に使用されているが、近時においては、端面接
触形メカニカルシールが、上記した如く、被密封流体の
漏洩を略完璧に阻止できること、及び漏洩流体の処理装
置を必要としない等、非接触形メカニカルシールに比し
てイニシャルコスト,ランニングコストが安価となるこ
とから、端面接触形メカニカルシールを気体のシール手
段として使用することが試みられている。
これを気体のシール手段として使用する場合、シール条
件(pv値)が密封端面の発熱による焼き付きが生じな
い範囲に限定される等、その用途が大幅に制限されるこ
とになり、またシール寿命も短い。
ニカルシールを気体のシール手段として使用する場合に
おける用途,寿命の拡大を図るために、密封環を自己潤
滑特性に優れたカーボン等の材料で構成し、密封端面に
タービンオイルやシリコングリス等の潤滑剤を含浸させ
ることにより、密封端面間の摺動抵抗(摩擦係数)の可
及的な低減を図っている。
料の多くはカーボンのように軟質材であるから、密封端
面が摩耗し易い。また、密封端面にタービンオイル,シ
リコングリス等の潤滑剤を含浸させても、密封端面での
炭化やカーボン粉とのエマルジョンを生じ易く、多量の
偏摩耗を生じ虞れがある。さらに、密封環がカーボンで
構成されている場合には、摺動熱により密封端面が部分
的に隆起し、その隆起部分が破壊されてカーボンが離脱
したり、或いはカーボンが離脱しないまでも隆起部分に
クラックが生じたりするブリスタ現象を生じる虞れもあ
る。
シールにあっては、その長寿命化を充分に図り得ないで
いるのが実情であり、密封端面の摺動抵抗の低減が強く
要請されている。また、このような摺動抵抗の低減は、
液体のシール手段として使用される端面接触形メカニカ
ルシールにおいても、更には非接触形メカニカルシール
においても当然に要請されることである。けだし、端面
接触形メカニカルシールにおいて、被密封流体による潤
滑膜が形成される場合にも、密封端面の摺動抵抗の低減
により寿命向上を図ることができ、また非接触形メカニ
カルシール(主として動圧形のもの)においても、運転
開始時又は運転停止時には密封端面が接触することか
ら、密封端面の摺動抵抗の低減により寿命向上を図るこ
とができるからである。
もので、密封端面の摺動抵抗を可及的に低減させること
ができ、シール形式や被密封流体の性状に拘わらず、大
幅な長寿命化を図りうる端面接触形メカニカルシールを
提供することを目的とするものである。
ニカルシールは、上記した目的を達成すべく、特に、相
対回転摺接するカーボン製密封環と炭化珪素製密封環と
の対向端面である密封端面の少なくとも一方に、50%
以上のリン酸トリクレジルを含有する潤滑油を塗布又は
含浸しておくことを提案するものである。
従来のメカニカルシールに使用されている潤滑油やグリ
スのようにカーボンスラッジを発生しないため、密封端
面に塗布,含浸させておくことにより、密封端面の偏摩
耗や密封端面間の漏れを効果的に防止することができ
る。しかも、当該潤滑油は長期に亘って蒸発することが
なく、含浸させる場合は勿論、塗布するのみでも、密封
端面の潤滑性を長期に亘って良好に確保することができ
る。
に上記潤滑油を塗布又は含浸させておくことにより、被
密封流体が液体であると気体であるとを問わず、端面接
触形メカニカルシールによるシール機能を長期に亘って
良好に発揮させることができ、端面接触形メカニカルシ
ールのシール条件(pv値)や用途を大幅に拡大するこ
とができ、長寿命化を図ることができる。また、非接触
形メカニカルシールについても、少なくとも一方の密封
端面に上記潤滑油を塗布又は含浸させておくことによ
り、ガスシールとしての寿命を大幅に向上させることが
できる。
潤滑油としては、具体的には、50%以上のリン酸トリ
クレジルと鉱物油又は合成油とを混合させたものや10
0%のリン酸トリクレジルを使用することが好ましい。
また、リン酸トリクレジルと混合させる鉱物油又は合成
油としては、一般に、タービンオイルが好適する。リン
酸トリクレジルの含有量は、後述する実施例からも理解
されるように、50%以上であることが好ましく、80
%以上であることがより好ましい。なお、パラフィン系
オイルやシリコン系オイルは除外される。けだし、パラ
フィン系オイルは、リン酸トリクレジルと混合して、密
封端面に塗布,含浸させても、潤滑性がさほど高くなら
ず、密封端面の摺動抵抗を大幅に低減できないからであ
り、シリコン系オイルについては、シリコン成分が摺動
熱により硬化,析出して、密封端面の局部的な摩耗を促
進するからである。また、塗布,添加された潤滑油の保
持量の増大を図るために、炭化珪素製密封環及びカーボ
ン製密封環の少なくとも一方をその密封端面に微細なポ
ーラスを有するものに構成しておくことが好ましい。
密封環と、シールケースに軸線方向移動可能に且つ回転
不能に保持した炭化珪素(焼結体)製の静止密封環と、
静止密封環を回転密封環へと押圧接触させるべく附勢す
るスプリング部材とを具備して、密封環の対向端面たる
密封端面の相対回転摺接により、その相対回転部分の内
周側領域である被密封流体領域と外周側領域である大気
領域とをシールするように構成された端面接触形メカニ
カルシールを、両密封端面の一方に下記の潤滑油〜
を塗布した上で、被密封流体として100Kpaの窒素
ガスを使用し且つ回転軸の周速を20m/sとした条件
下で500時間運転した。
タービンオイル 40%のリン酸トリクレジルを添加したタービンオイ
ル 50%のリン酸トリクレジルを添加したタービンオイ
ル 70%のリン酸トリクレジルを添加したタービンオイ
ル 80%のリン酸トリクレジルを添加したタービンオイ
ル 100%のリン酸トリクレジル
合において、運転時間(hr)とカーボン(C4)製の
回転密封環における密封端面の摩耗量(μm)との関係
を求めた。なお、密封端面の摩耗量は、運転開始前にお
ける回転密封環の全長(軸線方向長さ)を基準として、
その減少量を測定することにより求めた。
1においては、潤滑油を塗布した場合を実線で、潤滑
油を塗布した場合を破線で、潤滑油を塗布した場合
を一点鎖線で、潤滑油を塗布した場合を二点鎖線で、
潤滑油を塗布した場合を三点鎖線で、また潤滑油を
塗布した場合を四点鎖線で、夫々示してある。
シールを、回転密封環の密封端面にタービンオイルを含
浸させた上で、同一条件下で500時間運転し、実施例
と同様にして運転時間(hr)と回転密封環における密
封端面の摩耗量(μm)との関係を求めた。さらに、比
較例2として、上記のメカニカルシールを、回転密封環
に潤滑剤を全く塗布,含浸しない無潤滑状態で、同一条
件下で500時間運転し、実施例と同様にして運転時間
(hr)と回転密封環における密封端面の摩耗量(μ
m)との関係を求めた。
2において、比較例1については実線で、また比較例2
については破線で夫々示してある。なお、比較例1(タ
ービンオイル含浸)については、実施例(潤滑油〜
を塗布)との比較に便ならしめるべく、図1においても
五点鎖線で示した。
に、カーボン製の回転密封環の密封端面に潤滑剤を全く
塗布,含浸させない比較例2に比して、タービンオイル
を含浸した比較例1の場合は、カーボン摩耗量が大幅に
減少しているが、潤滑油〜を塗布した実施例の場合
は、何れも、この比較例1の場合より更に大幅に摩耗量
が減少している。このことから、30%以上のリン酸ト
リクレジルを含有する潤滑油を塗布することにより、密
封端面の摺動抵抗が効果的に低減され、端面接触形メカ
ニカルシールを気体のシール手段としても好適に使用で
き、その寿命も大幅に向上させ得ることが理解される。
摩耗量はリン酸トリクレジルを50%以上含有すること
によって激減し、特に80%以上含有する潤滑油を
使用した場合には500時間経過時点においても5μ以
下であった。かかる点から、リン酸トリクレジルの含有
量は50%以上としておくことが好ましく、80%以上
としておくことがより好ましい。なお、潤滑油〜を
塗布した場合、窒素ガスの密封端面間からの漏れは30
ml/min以下であり、冒頭で述べたブリスタ現象が
全く生じないことが確認された。
によれば、密封端面の潤滑性を大幅に向上させることが
でき、端面接触メカニカルシールを気体のシール手段と
しても使用した場合にも、そのシール性及び寿命を大幅
に向上させることができる。しかも、端面接触形メカニ
カルシールを苛酷な条件下でも使用することができ、そ
のシール条件(pv値)や用途の大幅な拡大を図ること
ができる。したがって、本発明によれば、既存のメカニ
カルシールを、その構成部材に格別な加工等を施さずと
も、少なくとも一方の密封端面に上記した潤滑油を塗
布,含浸させるだけで、極めて高性能のメカニカルシー
ルに改造することができ、その実用的効果は極めて大き
い。
における運転時間とカーボン製密封端面(回転密封環の
密封端面)の摩耗量との関係を示すグラフである。
ボン製密封端面(回転密封環の密封端面)の摩耗量との
関係を示すグラフである。
Claims (4)
- 【請求項1】 相対回転摺接するカーボン製密封環と炭
化珪素製密封環との対向端面である密封端面の少なくと
も一方に、50%以上のリン酸トリクレジルを含有する
潤滑油を塗布又は含浸してあることを特徴とする端面接
触形メカニカルシール。 - 【請求項2】 前記潤滑油が、50%以上のリン酸トリ
クレジルを含有する鉱物油又は合成油であることを特徴
とする、請求項1に記載する端面接触形メカニカルシー
ル。 - 【請求項3】 前記潤滑油が100%のリン酸トリクレ
ジルであることを特徴とする、請求項1に記載する端面
接触形メカニカルシール。 - 【請求項4】 両密封環の少なくとも一方が、その密封
端面に微細なポーラスを有するものであることを特徴と
する、請求項1、請求項2又は請求項3に記載する端面
接触形メカニカルシール。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33333599A JP3423654B2 (ja) | 1999-11-24 | 1999-11-24 | 端面接触形メカニカルシール |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33333599A JP3423654B2 (ja) | 1999-11-24 | 1999-11-24 | 端面接触形メカニカルシール |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001153233A JP2001153233A (ja) | 2001-06-08 |
JP3423654B2 true JP3423654B2 (ja) | 2003-07-07 |
Family
ID=18264970
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP33333599A Expired - Lifetime JP3423654B2 (ja) | 1999-11-24 | 1999-11-24 | 端面接触形メカニカルシール |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3423654B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7229102B2 (en) * | 2002-12-20 | 2007-06-12 | Deublin Company | Fluid coolant union |
-
1999
- 1999-11-24 JP JP33333599A patent/JP3423654B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2001153233A (ja) | 2001-06-08 |
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Legal Events
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TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
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