JP3422681B2 - ナトリウム−硫黄電池の製造方法 - Google Patents
ナトリウム−硫黄電池の製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ナトリウム−硫黄
電池の製造方法に関するものであり、特に、固体電解質
と高抵抗層の製造方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来のナトリウム−硫黄電池を図面を参
照して説明する。図4(a)及び図4(b)に示す円筒
形のナトリウム−硫黄電池1には、少なくともナトリウ
ムからなる負極活物質2と、少なくとも硫黄からなる正
極活物質3と、負極活物質2と正極活物質3との間に配
置された固体電解質4と、正極活物質3を含浸して正極
活物質3の電子伝導を補助するための多孔質な導電助材
5と、正極活物質3及び導電助材5と外部回路とを電気
的に接続する正極集電体6とが備えられている。 【0003】図4(a)及び図4(b)においては、固
体電解質4は有底の円筒管4’であり、その材質はナト
リウムイオンに対して伝導性を有するセラミックスまた
はガラス等からなるものであって、例えばβ−アルミナ
(Na2O・11Al2O3)や、安定化剤としてMg
O、Li2O等が添加されたβ”−アルミナ(3Na2O
・16Al2O3)等が用いられる。また、図4(a)及
び図4(b)においては、正極集電体6は円筒缶6’で
あり、その材質は例えばステンレス、Ni合金等が用い
られる。導電助材5は、正極活物質3の電子伝導を補助
するとともに、正極活物質3を含浸して保持する。導電
助材5の材質としては、例えば炭素繊維布等が用いられ
る。 【0004】ナトリウム−硫黄電池1においては、負極
活物質2が固体電解質4の円筒管4’に収納されてい
る。また、固体電解質4の円筒管4’が、正極集電体6
である円筒缶6’に収納されている。更に、正極活物質
3が含浸された多孔質な導電助材5が、正極缶6’と固
体電解質4の円筒管4’との間に配置されている。この
ようにして、固体電解質4は、負極活物質2と正極活物
質3との間に配置されて、負極活物質2と正極活物質3
とを隔離している。 【0005】固体電解質4の円筒管4’の上部には、ガ
ラス半田等の接合材によりα−アルミナ等からなる絶縁
リング7が接合されている。絶縁リング7は円筒缶6’
に接合されて負極活物質2及び正極活物質3を密封して
いる。封口体8は、絶縁リング7に接合されており、負
極端子の役割を果たす。また、封口体8には、負極集電
体9が接続されている。負極集電体9は、負極活物質2
と封口体8とを電気的に接続している。 【0006】ナトリウム−硫黄電池1の負極における放
電反応は、式(1)に示す通りである。即ち、負極活物
質2であるナトリウム(Na)がナトリウムイオン(N
a+)と電子(e-)とに分かれ、ナトリウムイオン(N
a+)は固体電解質4内を伝導して正極活物質3中に侵
入し、電子(e-)は負極集電体9及び封口体8を介し
て外部回路に流れる。また、正極における放電反応は、
式(2)に示す通りであり、正極活物質3中に侵入した
ナトリウムイオン(Na+)が硫黄(S)と反応して、
多硫化ナトリウム(Na2Sx)を生成する。 【0007】ナトリウム−硫黄電池1の充電時には、放
電反応と逆の反応が起こり、ナトリウム(Na)および
硫黄(S)が生成する。通常は、多硫化ナトリウム(N
a2Sx)の一部が残留する程度まで充電する。これは、
硫黄(S)よりも多硫化ナトリウム(Na2Sx)の固有
抵抗が低いために、多硫化ナトリウム(Na2Sx)を残
存させておけば正極活物質の抵抗の上昇を抑えることが
できるからである。 【0008】 【数1】 【0009】 【数2】 【0010】充電時における硫黄(S)の生成は、導電
助材5と多硫化ナトリウム(Na2Sx)との界面で進行
する。導電助材5と固体電解質4とが接触していると、
生成した硫黄(S)が固体電解質4の表面に析出する。
硫黄(S)は、その固有抵抗が高い。従って、固体電解
質4が硫黄に完全に覆われると、ナトリウム−硫黄電池
1の内部抵抗が大きくなって以後の充放電を行うことが
困難になる。また、固体電解質4の一部が硫黄に覆われ
ると、硫黄が覆われていない部分に電流が集中して固体
電解質4が破損してしまう。 【0011】そこで、ナトリウム−硫黄電池1の内部抵
抗の増大及び固体電解質4の破損を防ぐために、導電助
材5と固体電解質4の円筒管4’との間には、固体電解
質4の表面における硫黄の集中的な析出を抑えるための
高抵抗層10が設けられている。 【0012】上述の高抵抗層10を形成させる方法とし
ては、ガラスまたはセラミックスまたはアルミナ等の粉
体や、ガラス繊維布またはセラミックス繊維布またはア
ルミナ繊維布等を、固体電解質4の導電助材5と対向す
る面に塗布または巻き付けて、これを乾燥若しくは比較
的低温で焼成して多孔質な高抵抗層10を形成させる方
法が採用されている。 【0013】 【発明が解決しようとする課題】しかし、上述の方法に
おいては、乾燥若しくは低温焼成によって高抵抗層10
を固体電解質4の表面に固着させているが、固体電解質
4と高抵抗層10との密着力が弱いので、高抵抗層10
が固体電解質4の表面から剥離してしまうという課題が
あった。 【0014】高抵抗層10の剥離を防ぐためには、図5
に示すように、アルミナ等の粉体11が塗布された固体
電解質4を、例えば約1600℃程度の高温で焼成する
必要がある。しかし、このような高温で焼成すると、図
5に示すように、高抵抗層10が緻密化して多孔質性が
失われ、ナトリウムイオンの透過が妨げられてナトリウ
ム−硫黄電池1の内部抵抗が大きくなってしまうという
課題があった。 【0015】また、上述の方法では、固体電解質4を焼
成して製造した後に、アルミナの粉体等を固体電解質4
に塗布して乾燥若しくは低温焼成しているので、焼成等
する工程が2回必要であり、工数が多く、ナトリウム−
硫黄電池1の製造コストが高くなってしまうという課題
があった。 【0016】本発明は、上記の課題を解決するためにな
されたものであって、固体電解質との密着力が大きく、
電池の内部抵抗を小さくできる高抵抗層を、低いコスト
で形成させることができるナトリウム−硫黄電池の製造
方法を提供することを目的とする。 【0017】 【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は以下の構成を採用した。本発明のナトリ
ウム−硫黄電池の製造方法は、少なくともナトリウムを
含む負極活物質と、少なくとも硫黄を含む正極活物質
と、前記負極活物質と前記正極活物質との間に位置して
ナトリウムイオンに対して伝導性を有する固体電解質
と、前記正極活物質を含浸して前記正極活物質の電子伝
導を補助する導電助材と、前記固体電解質と前記導電助
材との間に形成された高抵抗層とを備えたナトリウム−
硫黄電池の製造方法であって、固体電解質未焼成体の表
面に、高抵抗層構成材と多孔質化材とを少なくとも含
み、前記高抵抗層構成材と前記多孔質化材との体積比
(多孔質化材/高抵抗層構成材)が、0.01以上0.
2以下である高抵抗層原料を配置して、該固体電解質未
焼成体と該高抵抗層原料とを焼成して、前記固体電解質
と前記高抵抗層とを形成することを特徴とする。 【0018】また、高抵抗層の空孔率(多孔度)は、
0.05以上0.40以下であることが好ましい。更
に、前記固体電解質未焼成体と前記高抵抗層原料とを、
1500℃以上1650℃以下の焼成温度で焼成するこ
とが好ましい。 【0019】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。図1には、本発明のナトリウム−
硫黄電池の製造方法を説明するための模式図を示す。ま
た、図2(a)及び図2(b)には本発明の実施の形態
であるナトリウム−硫黄電池を示す。なお、これらの図
において、前述した図4(a)、図4(b)及び図5に
示す構成要素と同一の構成要素に同一符号を付してその
説明を省略する。 【0020】本発明のナトリウム−硫黄電池の製造方法
は、図1に示すように、固体電解質未焼成体31の表面
に、高抵抗層構成材32と多孔質化材33とを少なくと
も含む高抵抗層原料34を配置して、固体電解質未焼成
体31と高抵抗層原料34とを焼成して、固体電解質3
5と高抵抗層36とを形成するものである。 【0021】固体電解質未焼成体31は、例えば次のよ
うにして作成する。β”−アルミナ(3Na2O・16
Al2O3に、安定化剤としてMgO、Li2O等を添加
したもの)の粉末を用意する。このβ”−アルミナの粉
末に、アクリル系樹脂からなるバインダを添加して原料
粉とする。この原料粉を所定の形状の型に入れて圧力を
印加して成形することにより、固体電解質未焼成体31
を得る。例えば、図2に示すような円筒型のナトリウム
−硫黄電池を製造する場合には、固体電解質未焼成体3
1を有底円筒管状に成形する。β”−アルミナの平均粒
径は、0.5μm以上2μm以下のものが好ましい。ま
た、ナトリウムイオンに対して伝導性を有するものであ
れば、β”−アルミナの粉末に限られず、他の粉末を用
いても良い。例えば、β−アルミナ(3Na2O・16
Al2O3)や、Na1+xZr2SixP 3-xO12(0<x<
3)等を用いることができる。 【0022】高抵抗層原料34は、粉体状の高抵抗層構
成材32と多孔質化材33とを少なくとも含むものであ
る。高抵抗層構成材32は、固体電解質未焼成体31と
共に焼成されて高抵抗層36を形成する。従って、焼成
による高温下でも安定で、絶縁性の高いものであれば、
どのようなものであってもよい。例えば、α−アルミ
ナ、酸化ジルコニウム、β−アルミナ、β”−アルミナ
等の粉末が用いられる。これらの粉体の平均粒径は、
0.3μm以上2μm以下であることが好ましい。平均
粒径が0.3μm未満では、異常粒成長を生じることが
あるので好ましくなく、平均粒径が2μmを越えると、
焼結性が低下するので好ましくない。 【0023】多孔質化材33は、図1に示すように、高
抵抗層原料34を焼成する際に熱分解若しくは揮発等す
ることにより、焼成前に多孔質化材33が存在していた
部分が空孔37となって、高抵抗層36を多孔質化させ
て高抵抗層36の緻密化を防止するものである。焼成に
よって熱分解等するものであれば、どのようなものでも
用いることができるが、例えば、カーボンブラック、黒
鉛等の炭素材料、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
アクリル酸、カルボキシメチルセルロース等の有機化合
物、高分子化合物の粉体が用いられる。多孔質化材33
として高分子化合物としたときには、高抵抗層原料34
のバインダとしての役割を持たせることができる。ま
た、多孔質化材33は、1種類の材料に限られず、例え
ば、炭素材料と高分子材料との混合物であっても良い。
更に、高抵抗層構成材32、多孔質化材33の他に、分
散媒、分散剤等を添加してペースト状の高抵抗層原料3
4とすることも可能である。このときの分散媒として
は、水、溶融状態の硫黄等を用いることができる。ま
た、分散剤としては、イオン性、非イオン性の界面活性
剤等を用いることができる。 【0024】高抵抗層構成材32と多孔質化材33との
体積比(多孔質化材/高抵抗層構成材)は、0.01以
上0.2以下であることが好ましく、0.01以上0.
10以下であることがより好ましい。体積比(多孔質化
材/高抵抗層構成材)が0.01未満では、高抵抗層構
成材32に対する多孔質化材33の占める体積が小さく
なって高抵抗層36の多孔度が低下し、その結果、高抵
抗層36が緻密化してナトリウムイオンの透過を妨げて
ナトリウム−硫黄電池41の内部抵抗が大きくなってし
まうので好ましくない。また、体積比(多孔質化材/高
抵抗層構成材)が0.2を越えると、高抵抗層構成材3
2に対する多孔質化材33の占める体積が大きくなって
高抵抗層36の多孔度が大きくなり、その結果、高抵抗
層36の強度が低下して破損しやすくなるので好ましく
ない。従って、高抵抗層34の空孔率(多孔度)は、
0.01以上0.2以下であることが好ましい。 【0025】上述の高抵抗層原料34を、散布、塗布あ
るいは吹き付け等の手段によって、固体電解質未焼成体
31の表面に層状に配置する(図1)。また、高抵抗層
原料34を容器に入れ、固体電解質未焼成体31をその
中に浸漬して、固体電解質未焼成体31の表面に高抵抗
層原料34を層状に付着させても良い。高抵抗層原料3
4は、固体電解質35の導電助材5と対向する面に高抵
抗層36が形成されるように、固体電解質未焼成体31
の一面に層状に配置される。例えば、形状が有底円筒管
である固体電解質未焼成体は、通常、図2に示すよう
な、内側に負極活物質2が配置され、外側に正極活物質
3が配置されるインサイドアウト構造のナトリウム−硫
黄電池41に用いられる。この場合には、固体電解質3
5の外周面に高抵抗層36が形成されるので、円筒管状
の固体電解質未焼成体の外周面に高抵抗層原料を層状に
配置する。 【0026】固体電解質未焼成体31に配置された高抵
抗層原料34の層の厚さは、1μm以上、30μm以下
であることが好ましく、1μm以上、10μm以下であ
ることがより好ましい。高抵抗層原料34の層の厚さが
1μm未満では、高抵抗層36の厚さを均一にすること
ができなくなり、高抵抗層36の薄い部分に電流が集中
して固体電解質35が破損してしまうので好ましくな
い。高抵抗層原料34の層の厚さが30μmを越える
と、高抵抗層36の厚さが厚すぎて、ナトリウム−硫黄
電池41の内部抵抗が大きくなってしまうので好ましく
ない。 【0027】固体電解質未焼成体31と高抵抗層原料3
4とを焼成する焼成温度は、固体電解質未焼成体31の
材質にもよるが、1500℃以上1650℃以下である
ことが好ましく、1550℃以上1620℃以下である
ことがより好ましい。焼成温度が1550℃未満では、
多孔質化材33を完全に熱分解等することができず、高
抵抗層36を多孔質にすることができなくなると共に、
高抵抗層36を固体電解質35の表面に強固に密着させ
ることができないので好ましくない。また、β”ーアル
ミナを固体電解質未焼成体31の材料として用いた場合
に、固体電解質未焼成体31を完全に焼結することがで
きないので好ましくない。焼成温度が1650℃を越え
ると、固体電解質35の成分であるナトリウムが揮発し
て固体電解質35のナトリウムイオンの伝導度が低下し
てしまうので好ましくない。 【0028】また、焼成は、空気中、純酸素中等の雰囲
気で行われることが好ましい。また、分散媒を添加した
高抵抗層原料34を用いた場合には、焼成の前に、20
0〜500℃程度の温度で高抵抗層原料34を乾燥し
て、分散媒を蒸発させても良い。 【0029】このようにして得られた高抵抗層36を備
えた固体電解質35の円筒管35’の開口端に絶縁リン
グ7を接合し、この固体電解質35の円筒管35’を、
あらかじめ正極活物質(硫黄)3と導電助材5とが収納
された円筒缶6’(正極集電体6)に収納する。更に、
負極活物質2であるナトリウムを固体電解質35からな
る円筒管35’に収納し、絶縁リング7を正極集電体6
に接合し、負極集電体9を負極活物質2に挿入し、封口
体8を絶縁リング7に接合して、図2に示すような円筒
形のナトリウム−硫黄電池41が得られる。 【0030】これまで説明したナトリウム−硫黄電池4
1は、インサイドアウト構造を採用して、固体電解質3
5の円筒管35’の内側に負極活物質2であるナトリウ
ムを収納し、固体電解質35の円筒管35’の外側に導
電助材5と正極活物質3である硫黄を配置しているが、
これに限られず、正極活物質3及び導電助材5を固体電
解質35の円筒管35’に収納したものであっても良
い。この場合には、高抵抗層36を、固体電解質35の
円筒管35’の内面に形成する。 【0031】更に、ナトリウム−硫黄電池の構造はイン
サイドアウト構造に限るものではなく、例えば、電解漕
の内部に平板状の固体電解質を配置し、この固体電解質
を介して正極活物質と負極活物質とが対向して配置がさ
れた構造であっても良い。この場合には、高抵抗層を、
固体電解質の正極活物質と対向する面に形成する。 【0032】また、ナトリウム−硫黄電池の形態は円筒
形に限られず、角形やその他の形状であっても良い。 【0033】上述のナトリウム−硫黄電池の製造方法
は、固体電解質未焼成体31の表面に、高抵抗層構成材
32と多孔質化材33とを少なくとも含む高抵抗層原料
34を配置して、固体電解質未焼成体31と高抵抗層原
料34とを焼成して、固体電解質35と高抵抗層36と
を形成するので、固体電解質35と高抵抗層36とを同
時に製造することが可能となり、ナトリウム−硫黄電池
41の製造コストを低くすることができる。また、高抵
抗層原料34には焼成時に熱分解等する多孔質化材33
が含まれており、焼成前に多孔質化材33が存在してい
た部分が焼成によって空孔37となるので、高抵抗層3
6を多孔質化させて高抵抗層36の緻密化を防止するこ
とができる。更に、高抵抗層構成材32、多孔質化材3
3の他に、分散媒、分散剤等を高抵抗層原料34に添加
してペースト状とすることも可能であり、この場合に
は、固体電解質未焼成体31に高抵抗層原料34をむら
なく均一に配置することができるので、高抵抗層36の
厚さを均一にできる。 【0034】上述のナトリウム−硫黄電池の製造方法に
おいては、高抵抗層原料34における高抵抗層構成材3
2と多孔質化材33との体積比(多孔質化材/高抵抗層
構成材)が、0.01以上0.2以下であるので、高抵
抗層36の緻密化または高抵抗層36の過度な多孔質化
を防ぐことができる。 【0035】また、固体電解質未焼成体31に配置され
た高抵抗層原料34の層の厚さは、1μm以上、30μ
m以下であるので、高抵抗層36の厚さを均一にすると
共に、ナトリウム−硫黄電池41の内部抵抗を低くする
ことができる。 【0036】上述のナトリウム−硫黄電池の製造方法に
おいては、1500℃以上1650℃以下の焼成温度で
焼成して高抵抗層36を形成するので、高抵抗層36と
固体電解質35とを強固に密着するとともに、固体電解
質35中のナトリウムの揮発を防いで固体電解質35の
ナトリウムの伝導度の低下を防ぐことができる。 【0037】 【実施例】平均粒径0.9μmのβ”−アルミナ(3N
a2O・16Al2O3に、安定化剤としてMgO、Li2
O等を添加したもの)の粉末に、アクリル系樹脂からな
るバインダを添加して原料粉とし、この原料粉を所定の
形状の型に入れて圧力を印加して成形することにより、
円筒管状の固体電解質未焼成体を得た。次に、高抵抗層
構成材である平均粒径1.5μmのα−アルミナの粉末
と、多孔質化材である黒鉛とを所定の体積比で混合し、
更に分散媒であるエタノールと、アンミン系分散剤を混
合して、高抵抗層原料を得た。この高抵抗層原料を、固
体電解質未焼成体である円筒管の外周面に塗布した後
に、所定の温度で焼成して固体電解質及び高抵抗層を作
成した。このとき得られた固体電解質は、外径20m
m、長さ150mm、厚さ1mmの円筒管であった。 【0038】得られた固体電解質の円筒管の開口端に絶
縁リングを接合し、この固体電解質を、あらかじめ正極
活物質(硫黄)と導電助材とが収納された円筒缶(正極
集電体)に収納した。更に、負極活物質であるナトリウ
ムを固体電解質からなる円筒缶に収納した。また、絶縁
リングを正極集電体に接合し、負極集電体を負極活物質
に挿入し、封口体を絶縁リングに接合して図2に示すよ
うな、外径32mm、高さ200mmの実施例のナトリ
ウム−硫黄電池を製造した。 【0039】また、円筒管状の固体電解質の外周面に、
α−アルミナの粉体を塗布して1600℃で焼成するこ
とにより、高抵抗層を形成し、このようにして得られた
固体電解質を用いて、上述と同様にして比較例のナトリ
ウム−硫黄電池を製造した。 【0040】得られたナトリウム−硫黄電池を、350
℃に保ちつつ、8時間率に相当する電流にて充放電を繰
り返した。200サイクル目における活物質重量当たり
のエネルギー密度を表1に示した。また、図1には、実
施例1及び比較例1のナトリウム−硫黄電池の充放電サ
イクルと活物質重量当たりのエネルギー密度との関係を
示した。 【0041】実施例のいずれの電池においても、比較例
の電池よりもエネルギー密度のサイクル特性がやや良好
であることがわかる。従って、本発明に係るナトリウム
−硫黄電池の製造方法によっても、特にナトリウム−硫
黄電池の性能を低下させることがない。 【0042】 【表1】 【0043】 【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明の
ナトリウム−硫黄電池の製造方法は、固体電解質未焼成
体の表面に、高抵抗層構成材と多孔質化材とを少なくと
も含む高抵抗層原料を配置して、固体電解質未焼成体と
高抵抗層原料とを焼成して、固体電解質と高抵抗層とを
形成するので、固体電解質と高抵抗層とを同時に製造す
ることが可能となり、ナトリウム−硫黄電池の製造コス
トを低くすることができる。また、高抵抗層原料には焼
成時に熱分解等する多孔質化材が含まれており、焼成前
に多孔質化材が存在していた部分が焼成によって空孔と
なるので、高抵抗層を多孔質化させて高抵抗層の緻密化
を防止することができる。
電池の製造方法に関するものであり、特に、固体電解質
と高抵抗層の製造方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来のナトリウム−硫黄電池を図面を参
照して説明する。図4(a)及び図4(b)に示す円筒
形のナトリウム−硫黄電池1には、少なくともナトリウ
ムからなる負極活物質2と、少なくとも硫黄からなる正
極活物質3と、負極活物質2と正極活物質3との間に配
置された固体電解質4と、正極活物質3を含浸して正極
活物質3の電子伝導を補助するための多孔質な導電助材
5と、正極活物質3及び導電助材5と外部回路とを電気
的に接続する正極集電体6とが備えられている。 【0003】図4(a)及び図4(b)においては、固
体電解質4は有底の円筒管4’であり、その材質はナト
リウムイオンに対して伝導性を有するセラミックスまた
はガラス等からなるものであって、例えばβ−アルミナ
(Na2O・11Al2O3)や、安定化剤としてMg
O、Li2O等が添加されたβ”−アルミナ(3Na2O
・16Al2O3)等が用いられる。また、図4(a)及
び図4(b)においては、正極集電体6は円筒缶6’で
あり、その材質は例えばステンレス、Ni合金等が用い
られる。導電助材5は、正極活物質3の電子伝導を補助
するとともに、正極活物質3を含浸して保持する。導電
助材5の材質としては、例えば炭素繊維布等が用いられ
る。 【0004】ナトリウム−硫黄電池1においては、負極
活物質2が固体電解質4の円筒管4’に収納されてい
る。また、固体電解質4の円筒管4’が、正極集電体6
である円筒缶6’に収納されている。更に、正極活物質
3が含浸された多孔質な導電助材5が、正極缶6’と固
体電解質4の円筒管4’との間に配置されている。この
ようにして、固体電解質4は、負極活物質2と正極活物
質3との間に配置されて、負極活物質2と正極活物質3
とを隔離している。 【0005】固体電解質4の円筒管4’の上部には、ガ
ラス半田等の接合材によりα−アルミナ等からなる絶縁
リング7が接合されている。絶縁リング7は円筒缶6’
に接合されて負極活物質2及び正極活物質3を密封して
いる。封口体8は、絶縁リング7に接合されており、負
極端子の役割を果たす。また、封口体8には、負極集電
体9が接続されている。負極集電体9は、負極活物質2
と封口体8とを電気的に接続している。 【0006】ナトリウム−硫黄電池1の負極における放
電反応は、式(1)に示す通りである。即ち、負極活物
質2であるナトリウム(Na)がナトリウムイオン(N
a+)と電子(e-)とに分かれ、ナトリウムイオン(N
a+)は固体電解質4内を伝導して正極活物質3中に侵
入し、電子(e-)は負極集電体9及び封口体8を介し
て外部回路に流れる。また、正極における放電反応は、
式(2)に示す通りであり、正極活物質3中に侵入した
ナトリウムイオン(Na+)が硫黄(S)と反応して、
多硫化ナトリウム(Na2Sx)を生成する。 【0007】ナトリウム−硫黄電池1の充電時には、放
電反応と逆の反応が起こり、ナトリウム(Na)および
硫黄(S)が生成する。通常は、多硫化ナトリウム(N
a2Sx)の一部が残留する程度まで充電する。これは、
硫黄(S)よりも多硫化ナトリウム(Na2Sx)の固有
抵抗が低いために、多硫化ナトリウム(Na2Sx)を残
存させておけば正極活物質の抵抗の上昇を抑えることが
できるからである。 【0008】 【数1】 【0009】 【数2】 【0010】充電時における硫黄(S)の生成は、導電
助材5と多硫化ナトリウム(Na2Sx)との界面で進行
する。導電助材5と固体電解質4とが接触していると、
生成した硫黄(S)が固体電解質4の表面に析出する。
硫黄(S)は、その固有抵抗が高い。従って、固体電解
質4が硫黄に完全に覆われると、ナトリウム−硫黄電池
1の内部抵抗が大きくなって以後の充放電を行うことが
困難になる。また、固体電解質4の一部が硫黄に覆われ
ると、硫黄が覆われていない部分に電流が集中して固体
電解質4が破損してしまう。 【0011】そこで、ナトリウム−硫黄電池1の内部抵
抗の増大及び固体電解質4の破損を防ぐために、導電助
材5と固体電解質4の円筒管4’との間には、固体電解
質4の表面における硫黄の集中的な析出を抑えるための
高抵抗層10が設けられている。 【0012】上述の高抵抗層10を形成させる方法とし
ては、ガラスまたはセラミックスまたはアルミナ等の粉
体や、ガラス繊維布またはセラミックス繊維布またはア
ルミナ繊維布等を、固体電解質4の導電助材5と対向す
る面に塗布または巻き付けて、これを乾燥若しくは比較
的低温で焼成して多孔質な高抵抗層10を形成させる方
法が採用されている。 【0013】 【発明が解決しようとする課題】しかし、上述の方法に
おいては、乾燥若しくは低温焼成によって高抵抗層10
を固体電解質4の表面に固着させているが、固体電解質
4と高抵抗層10との密着力が弱いので、高抵抗層10
が固体電解質4の表面から剥離してしまうという課題が
あった。 【0014】高抵抗層10の剥離を防ぐためには、図5
に示すように、アルミナ等の粉体11が塗布された固体
電解質4を、例えば約1600℃程度の高温で焼成する
必要がある。しかし、このような高温で焼成すると、図
5に示すように、高抵抗層10が緻密化して多孔質性が
失われ、ナトリウムイオンの透過が妨げられてナトリウ
ム−硫黄電池1の内部抵抗が大きくなってしまうという
課題があった。 【0015】また、上述の方法では、固体電解質4を焼
成して製造した後に、アルミナの粉体等を固体電解質4
に塗布して乾燥若しくは低温焼成しているので、焼成等
する工程が2回必要であり、工数が多く、ナトリウム−
硫黄電池1の製造コストが高くなってしまうという課題
があった。 【0016】本発明は、上記の課題を解決するためにな
されたものであって、固体電解質との密着力が大きく、
電池の内部抵抗を小さくできる高抵抗層を、低いコスト
で形成させることができるナトリウム−硫黄電池の製造
方法を提供することを目的とする。 【0017】 【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は以下の構成を採用した。本発明のナトリ
ウム−硫黄電池の製造方法は、少なくともナトリウムを
含む負極活物質と、少なくとも硫黄を含む正極活物質
と、前記負極活物質と前記正極活物質との間に位置して
ナトリウムイオンに対して伝導性を有する固体電解質
と、前記正極活物質を含浸して前記正極活物質の電子伝
導を補助する導電助材と、前記固体電解質と前記導電助
材との間に形成された高抵抗層とを備えたナトリウム−
硫黄電池の製造方法であって、固体電解質未焼成体の表
面に、高抵抗層構成材と多孔質化材とを少なくとも含
み、前記高抵抗層構成材と前記多孔質化材との体積比
(多孔質化材/高抵抗層構成材)が、0.01以上0.
2以下である高抵抗層原料を配置して、該固体電解質未
焼成体と該高抵抗層原料とを焼成して、前記固体電解質
と前記高抵抗層とを形成することを特徴とする。 【0018】また、高抵抗層の空孔率(多孔度)は、
0.05以上0.40以下であることが好ましい。更
に、前記固体電解質未焼成体と前記高抵抗層原料とを、
1500℃以上1650℃以下の焼成温度で焼成するこ
とが好ましい。 【0019】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。図1には、本発明のナトリウム−
硫黄電池の製造方法を説明するための模式図を示す。ま
た、図2(a)及び図2(b)には本発明の実施の形態
であるナトリウム−硫黄電池を示す。なお、これらの図
において、前述した図4(a)、図4(b)及び図5に
示す構成要素と同一の構成要素に同一符号を付してその
説明を省略する。 【0020】本発明のナトリウム−硫黄電池の製造方法
は、図1に示すように、固体電解質未焼成体31の表面
に、高抵抗層構成材32と多孔質化材33とを少なくと
も含む高抵抗層原料34を配置して、固体電解質未焼成
体31と高抵抗層原料34とを焼成して、固体電解質3
5と高抵抗層36とを形成するものである。 【0021】固体電解質未焼成体31は、例えば次のよ
うにして作成する。β”−アルミナ(3Na2O・16
Al2O3に、安定化剤としてMgO、Li2O等を添加
したもの)の粉末を用意する。このβ”−アルミナの粉
末に、アクリル系樹脂からなるバインダを添加して原料
粉とする。この原料粉を所定の形状の型に入れて圧力を
印加して成形することにより、固体電解質未焼成体31
を得る。例えば、図2に示すような円筒型のナトリウム
−硫黄電池を製造する場合には、固体電解質未焼成体3
1を有底円筒管状に成形する。β”−アルミナの平均粒
径は、0.5μm以上2μm以下のものが好ましい。ま
た、ナトリウムイオンに対して伝導性を有するものであ
れば、β”−アルミナの粉末に限られず、他の粉末を用
いても良い。例えば、β−アルミナ(3Na2O・16
Al2O3)や、Na1+xZr2SixP 3-xO12(0<x<
3)等を用いることができる。 【0022】高抵抗層原料34は、粉体状の高抵抗層構
成材32と多孔質化材33とを少なくとも含むものであ
る。高抵抗層構成材32は、固体電解質未焼成体31と
共に焼成されて高抵抗層36を形成する。従って、焼成
による高温下でも安定で、絶縁性の高いものであれば、
どのようなものであってもよい。例えば、α−アルミ
ナ、酸化ジルコニウム、β−アルミナ、β”−アルミナ
等の粉末が用いられる。これらの粉体の平均粒径は、
0.3μm以上2μm以下であることが好ましい。平均
粒径が0.3μm未満では、異常粒成長を生じることが
あるので好ましくなく、平均粒径が2μmを越えると、
焼結性が低下するので好ましくない。 【0023】多孔質化材33は、図1に示すように、高
抵抗層原料34を焼成する際に熱分解若しくは揮発等す
ることにより、焼成前に多孔質化材33が存在していた
部分が空孔37となって、高抵抗層36を多孔質化させ
て高抵抗層36の緻密化を防止するものである。焼成に
よって熱分解等するものであれば、どのようなものでも
用いることができるが、例えば、カーボンブラック、黒
鉛等の炭素材料、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
アクリル酸、カルボキシメチルセルロース等の有機化合
物、高分子化合物の粉体が用いられる。多孔質化材33
として高分子化合物としたときには、高抵抗層原料34
のバインダとしての役割を持たせることができる。ま
た、多孔質化材33は、1種類の材料に限られず、例え
ば、炭素材料と高分子材料との混合物であっても良い。
更に、高抵抗層構成材32、多孔質化材33の他に、分
散媒、分散剤等を添加してペースト状の高抵抗層原料3
4とすることも可能である。このときの分散媒として
は、水、溶融状態の硫黄等を用いることができる。ま
た、分散剤としては、イオン性、非イオン性の界面活性
剤等を用いることができる。 【0024】高抵抗層構成材32と多孔質化材33との
体積比(多孔質化材/高抵抗層構成材)は、0.01以
上0.2以下であることが好ましく、0.01以上0.
10以下であることがより好ましい。体積比(多孔質化
材/高抵抗層構成材)が0.01未満では、高抵抗層構
成材32に対する多孔質化材33の占める体積が小さく
なって高抵抗層36の多孔度が低下し、その結果、高抵
抗層36が緻密化してナトリウムイオンの透過を妨げて
ナトリウム−硫黄電池41の内部抵抗が大きくなってし
まうので好ましくない。また、体積比(多孔質化材/高
抵抗層構成材)が0.2を越えると、高抵抗層構成材3
2に対する多孔質化材33の占める体積が大きくなって
高抵抗層36の多孔度が大きくなり、その結果、高抵抗
層36の強度が低下して破損しやすくなるので好ましく
ない。従って、高抵抗層34の空孔率(多孔度)は、
0.01以上0.2以下であることが好ましい。 【0025】上述の高抵抗層原料34を、散布、塗布あ
るいは吹き付け等の手段によって、固体電解質未焼成体
31の表面に層状に配置する(図1)。また、高抵抗層
原料34を容器に入れ、固体電解質未焼成体31をその
中に浸漬して、固体電解質未焼成体31の表面に高抵抗
層原料34を層状に付着させても良い。高抵抗層原料3
4は、固体電解質35の導電助材5と対向する面に高抵
抗層36が形成されるように、固体電解質未焼成体31
の一面に層状に配置される。例えば、形状が有底円筒管
である固体電解質未焼成体は、通常、図2に示すよう
な、内側に負極活物質2が配置され、外側に正極活物質
3が配置されるインサイドアウト構造のナトリウム−硫
黄電池41に用いられる。この場合には、固体電解質3
5の外周面に高抵抗層36が形成されるので、円筒管状
の固体電解質未焼成体の外周面に高抵抗層原料を層状に
配置する。 【0026】固体電解質未焼成体31に配置された高抵
抗層原料34の層の厚さは、1μm以上、30μm以下
であることが好ましく、1μm以上、10μm以下であ
ることがより好ましい。高抵抗層原料34の層の厚さが
1μm未満では、高抵抗層36の厚さを均一にすること
ができなくなり、高抵抗層36の薄い部分に電流が集中
して固体電解質35が破損してしまうので好ましくな
い。高抵抗層原料34の層の厚さが30μmを越える
と、高抵抗層36の厚さが厚すぎて、ナトリウム−硫黄
電池41の内部抵抗が大きくなってしまうので好ましく
ない。 【0027】固体電解質未焼成体31と高抵抗層原料3
4とを焼成する焼成温度は、固体電解質未焼成体31の
材質にもよるが、1500℃以上1650℃以下である
ことが好ましく、1550℃以上1620℃以下である
ことがより好ましい。焼成温度が1550℃未満では、
多孔質化材33を完全に熱分解等することができず、高
抵抗層36を多孔質にすることができなくなると共に、
高抵抗層36を固体電解質35の表面に強固に密着させ
ることができないので好ましくない。また、β”ーアル
ミナを固体電解質未焼成体31の材料として用いた場合
に、固体電解質未焼成体31を完全に焼結することがで
きないので好ましくない。焼成温度が1650℃を越え
ると、固体電解質35の成分であるナトリウムが揮発し
て固体電解質35のナトリウムイオンの伝導度が低下し
てしまうので好ましくない。 【0028】また、焼成は、空気中、純酸素中等の雰囲
気で行われることが好ましい。また、分散媒を添加した
高抵抗層原料34を用いた場合には、焼成の前に、20
0〜500℃程度の温度で高抵抗層原料34を乾燥し
て、分散媒を蒸発させても良い。 【0029】このようにして得られた高抵抗層36を備
えた固体電解質35の円筒管35’の開口端に絶縁リン
グ7を接合し、この固体電解質35の円筒管35’を、
あらかじめ正極活物質(硫黄)3と導電助材5とが収納
された円筒缶6’(正極集電体6)に収納する。更に、
負極活物質2であるナトリウムを固体電解質35からな
る円筒管35’に収納し、絶縁リング7を正極集電体6
に接合し、負極集電体9を負極活物質2に挿入し、封口
体8を絶縁リング7に接合して、図2に示すような円筒
形のナトリウム−硫黄電池41が得られる。 【0030】これまで説明したナトリウム−硫黄電池4
1は、インサイドアウト構造を採用して、固体電解質3
5の円筒管35’の内側に負極活物質2であるナトリウ
ムを収納し、固体電解質35の円筒管35’の外側に導
電助材5と正極活物質3である硫黄を配置しているが、
これに限られず、正極活物質3及び導電助材5を固体電
解質35の円筒管35’に収納したものであっても良
い。この場合には、高抵抗層36を、固体電解質35の
円筒管35’の内面に形成する。 【0031】更に、ナトリウム−硫黄電池の構造はイン
サイドアウト構造に限るものではなく、例えば、電解漕
の内部に平板状の固体電解質を配置し、この固体電解質
を介して正極活物質と負極活物質とが対向して配置がさ
れた構造であっても良い。この場合には、高抵抗層を、
固体電解質の正極活物質と対向する面に形成する。 【0032】また、ナトリウム−硫黄電池の形態は円筒
形に限られず、角形やその他の形状であっても良い。 【0033】上述のナトリウム−硫黄電池の製造方法
は、固体電解質未焼成体31の表面に、高抵抗層構成材
32と多孔質化材33とを少なくとも含む高抵抗層原料
34を配置して、固体電解質未焼成体31と高抵抗層原
料34とを焼成して、固体電解質35と高抵抗層36と
を形成するので、固体電解質35と高抵抗層36とを同
時に製造することが可能となり、ナトリウム−硫黄電池
41の製造コストを低くすることができる。また、高抵
抗層原料34には焼成時に熱分解等する多孔質化材33
が含まれており、焼成前に多孔質化材33が存在してい
た部分が焼成によって空孔37となるので、高抵抗層3
6を多孔質化させて高抵抗層36の緻密化を防止するこ
とができる。更に、高抵抗層構成材32、多孔質化材3
3の他に、分散媒、分散剤等を高抵抗層原料34に添加
してペースト状とすることも可能であり、この場合に
は、固体電解質未焼成体31に高抵抗層原料34をむら
なく均一に配置することができるので、高抵抗層36の
厚さを均一にできる。 【0034】上述のナトリウム−硫黄電池の製造方法に
おいては、高抵抗層原料34における高抵抗層構成材3
2と多孔質化材33との体積比(多孔質化材/高抵抗層
構成材)が、0.01以上0.2以下であるので、高抵
抗層36の緻密化または高抵抗層36の過度な多孔質化
を防ぐことができる。 【0035】また、固体電解質未焼成体31に配置され
た高抵抗層原料34の層の厚さは、1μm以上、30μ
m以下であるので、高抵抗層36の厚さを均一にすると
共に、ナトリウム−硫黄電池41の内部抵抗を低くする
ことができる。 【0036】上述のナトリウム−硫黄電池の製造方法に
おいては、1500℃以上1650℃以下の焼成温度で
焼成して高抵抗層36を形成するので、高抵抗層36と
固体電解質35とを強固に密着するとともに、固体電解
質35中のナトリウムの揮発を防いで固体電解質35の
ナトリウムの伝導度の低下を防ぐことができる。 【0037】 【実施例】平均粒径0.9μmのβ”−アルミナ(3N
a2O・16Al2O3に、安定化剤としてMgO、Li2
O等を添加したもの)の粉末に、アクリル系樹脂からな
るバインダを添加して原料粉とし、この原料粉を所定の
形状の型に入れて圧力を印加して成形することにより、
円筒管状の固体電解質未焼成体を得た。次に、高抵抗層
構成材である平均粒径1.5μmのα−アルミナの粉末
と、多孔質化材である黒鉛とを所定の体積比で混合し、
更に分散媒であるエタノールと、アンミン系分散剤を混
合して、高抵抗層原料を得た。この高抵抗層原料を、固
体電解質未焼成体である円筒管の外周面に塗布した後
に、所定の温度で焼成して固体電解質及び高抵抗層を作
成した。このとき得られた固体電解質は、外径20m
m、長さ150mm、厚さ1mmの円筒管であった。 【0038】得られた固体電解質の円筒管の開口端に絶
縁リングを接合し、この固体電解質を、あらかじめ正極
活物質(硫黄)と導電助材とが収納された円筒缶(正極
集電体)に収納した。更に、負極活物質であるナトリウ
ムを固体電解質からなる円筒缶に収納した。また、絶縁
リングを正極集電体に接合し、負極集電体を負極活物質
に挿入し、封口体を絶縁リングに接合して図2に示すよ
うな、外径32mm、高さ200mmの実施例のナトリ
ウム−硫黄電池を製造した。 【0039】また、円筒管状の固体電解質の外周面に、
α−アルミナの粉体を塗布して1600℃で焼成するこ
とにより、高抵抗層を形成し、このようにして得られた
固体電解質を用いて、上述と同様にして比較例のナトリ
ウム−硫黄電池を製造した。 【0040】得られたナトリウム−硫黄電池を、350
℃に保ちつつ、8時間率に相当する電流にて充放電を繰
り返した。200サイクル目における活物質重量当たり
のエネルギー密度を表1に示した。また、図1には、実
施例1及び比較例1のナトリウム−硫黄電池の充放電サ
イクルと活物質重量当たりのエネルギー密度との関係を
示した。 【0041】実施例のいずれの電池においても、比較例
の電池よりもエネルギー密度のサイクル特性がやや良好
であることがわかる。従って、本発明に係るナトリウム
−硫黄電池の製造方法によっても、特にナトリウム−硫
黄電池の性能を低下させることがない。 【0042】 【表1】 【0043】 【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明の
ナトリウム−硫黄電池の製造方法は、固体電解質未焼成
体の表面に、高抵抗層構成材と多孔質化材とを少なくと
も含む高抵抗層原料を配置して、固体電解質未焼成体と
高抵抗層原料とを焼成して、固体電解質と高抵抗層とを
形成するので、固体電解質と高抵抗層とを同時に製造す
ることが可能となり、ナトリウム−硫黄電池の製造コス
トを低くすることができる。また、高抵抗層原料には焼
成時に熱分解等する多孔質化材が含まれており、焼成前
に多孔質化材が存在していた部分が焼成によって空孔と
なるので、高抵抗層を多孔質化させて高抵抗層の緻密化
を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態であるナトリウム−硫黄
電池の製造方法を示す図であって、固体電解質と高抵抗
層の拡大模式図である。 【図2】 本発明の実施の形態であるナトリウム−硫黄
電池を示す図であって、(a)はナトリウム−硫黄電池
の正面断面図であり、(b)はナトリウム−硫黄電池の
平面断面図である。 【図3】 充放電サイクルと活物質重量当たりのエネル
ギー密度との関係を示すグラフである。 【図4】 従来のナトリウム−硫黄電池を示す図であっ
て、(a)はナトリウム−硫黄電池の正面断面図であ
り、(b)はナトリウム−硫黄電池の平面断面図であ
る。 【図5】 従来のナトリウム−硫黄電池の製造方法を示
す図であって、固体電解質と高抵抗層の拡大模式図であ
る。 【符号の説明】 31 固体電解質未焼成体 32 高抵抗層構成材 33 多孔質化材 34 高抵抗層原料 35 固体電解質 36 高抵抗層 37 空孔 41 ナトリウム−硫黄電池
電池の製造方法を示す図であって、固体電解質と高抵抗
層の拡大模式図である。 【図2】 本発明の実施の形態であるナトリウム−硫黄
電池を示す図であって、(a)はナトリウム−硫黄電池
の正面断面図であり、(b)はナトリウム−硫黄電池の
平面断面図である。 【図3】 充放電サイクルと活物質重量当たりのエネル
ギー密度との関係を示すグラフである。 【図4】 従来のナトリウム−硫黄電池を示す図であっ
て、(a)はナトリウム−硫黄電池の正面断面図であ
り、(b)はナトリウム−硫黄電池の平面断面図であ
る。 【図5】 従来のナトリウム−硫黄電池の製造方法を示
す図であって、固体電解質と高抵抗層の拡大模式図であ
る。 【符号の説明】 31 固体電解質未焼成体 32 高抵抗層構成材 33 多孔質化材 34 高抵抗層原料 35 固体電解質 36 高抵抗層 37 空孔 41 ナトリウム−硫黄電池
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(56)参考文献 特開 平2−126570(JP,A)
特開 平2−242568(JP,A)
特開 平5−266923(JP,A)
特開 平4−28170(JP,A)
特開 平4−71171(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
H01M 10/39
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 少なくともナトリウムを含む負極活物質
と、 少なくとも硫黄を含む正極活物質と、 前記負極活物質と前記正極活物質との間に位置してナト
リウムイオンに対して伝導性を有する固体電解質と、 前記正極活物質を含浸して前記正極活物質の電子伝導を
補助する導電助材と、 前記固体電解質と前記導電助材との間に形成された高抵
抗層とを備えたナトリウム−硫黄電池の製造方法であっ
て、 固体電解質未焼成体の表面に、高抵抗層構成材と多孔質
化材とを少なくとも含み、前記高抵抗層構成材と前記多
孔質化材との体積比(多孔質化材/高抵抗層構成材)
が、0.01以上0.2以下である高抵抗層原料を配置
して、該固体電解質未焼成体と該高抵抗層原料とを焼成
して、前記固体電解質と前記高抵抗層とを形成すること
を特徴とするナトリウム−硫黄電池の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP07797598A JP3422681B2 (ja) | 1998-03-25 | 1998-03-25 | ナトリウム−硫黄電池の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
JP07797598A JP3422681B2 (ja) | 1998-03-25 | 1998-03-25 | ナトリウム−硫黄電池の製造方法 |
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JPH11273720A JPH11273720A (ja) | 1999-10-08 |
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-
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- 1998-03-25 JP JP07797598A patent/JP3422681B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH11273720A (ja) | 1999-10-08 |
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