JPH11204133A - ナトリウム−硫黄電池 - Google Patents

ナトリウム−硫黄電池

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JPH11204133A
JPH11204133A JP10006040A JP604098A JPH11204133A JP H11204133 A JPH11204133 A JP H11204133A JP 10006040 A JP10006040 A JP 10006040A JP 604098 A JP604098 A JP 604098A JP H11204133 A JPH11204133 A JP H11204133A
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JP
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sodium
fiber layer
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sulfur battery
sulfur
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JP10006040A
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Akihiro Sawada
明宏 沢田
Yoshimi Yashima
吉見 八島
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 固体電解質近傍での硫黄の集中的な析出を抑
えると共に、製造工程を煩雑にさせることなく、電池製
造時の不良の発生を低減可能な高抵抗層を備え、製造コ
ストが低いナトリウム−硫黄電池を提供する。 【解決手段】 ナトリウムを含む負極活物質2と、硫黄
を含む正極活物質3と、ナトリウムイオンに対して伝導
性を有する固体電解質4と、正極活物質3を含浸する導
電助材12と、正極集電体6とを備えたナトリウム−硫
黄電池11であって、導電助材12は、炭素繊維からな
る短繊維層13と、炭素繊維の平均繊維長が短繊維層1
3の炭素繊維よりも長い長繊維層14とを有する炭素繊
維布からなり、かつ、短繊維層13が固体電解質4と隣
接し、長繊維層14が正極集電体6と隣接するように配
置されたことを特徴とするナトリウム−硫黄電池11を
採用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ナトリウム−硫黄
電池に関するものであり、特に、充電時における硫黄の
局部的な析出を防いで電池の内部抵抗を小さくし、放電
容量の低下を防ぐナトリウム−硫黄電池に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来のナトリウム−硫黄電池を図面を参
照して説明する。図4(a)及び図4(b)に示す円筒
形のナトリウム−硫黄電池1には、ナトリウムからなる
負極活物質2と、硫黄からなる正極活物質3と、負極活
物質2と正極活物質3との間に配置された固体電解質4
と、正極活物質3を含浸して正極活物質3の電子伝導を
補助するための炭素繊維布からなる導電助材5と、正極
活物質3及び導電助材5と外部回路とを電気的に接続す
る正極集電体6とが備えられている。
【0003】図4(a)及び図4(b)においては、固
体電解質4は有底の円筒管4’であり、その材質はナト
リウムイオンに対して伝導性を有するセラミックスまた
はガラス等からなるものであって、例えばβ−アルミナ
(Na2O・11Al23)や、安定化剤としてMg
O、Li2O等が添加されたβ”−アルミナ(3Na2
・16Al23)等が用いられる。また、図4(a)及
び図4(b)においては、正極集電体6は円筒缶6’で
あり、その材質は例えばステンレス、Ni合金等が用い
られる。
【0004】ナトリウム−硫黄電池1においては、負極
活物質2は、固体電解質4の円筒管4’に収納されてい
る。また、固体電解質4の円筒管4’は、正極集電体6
である円筒缶6’に収納されている。更に、正極活物質
3(硫黄)が含浸された炭素繊維布からなる導電助材5
は、正極缶6’と固体電解質4の円筒管4’との間に配
置されている。このようにして、固体電解質4は、負極
活物質2と正極活物質3との間に配置されて、負極活物
質2と正極活物質3とを隔離している。
【0005】更に、固体電解質4の円筒管4’の上部に
は、ガラス半田等の接合材によりα−アルミナ等からな
る絶縁リング7が接合されている。絶縁リング7は円筒
缶6’に接合されて負極活物質2及び正極活物質3を密
封している。封口体8は、絶縁リング7に接合されてお
り、負極端子の役割を果たす。また、封口体8には、負
極集電体9が接続されている。負極集電体9は、負極活
物質2と負極端子である封口体8とを電気的に接続して
いる。
【0006】このナトリウム−硫黄電池1の負極におけ
る放電反応は、式(1)に示す通りである。即ち、負極
活物質2であるナトリウム(Na)がナトリウムイオン
(Na+)と電子(e-)とに分かれ、ナトリウムイオン
(Na+)は固体電解質4内を伝導して正極活物質3中
に侵入し、電子(e-)は負極集電体9及び封口体8を
介して外部回路に流れる。正極における放電反応は、式
(2)に示す通りであり、正極活物質3中に侵入したナ
トリウムイオン(Na+)が硫黄(S)と反応して、多
硫化ナトリウム(Na2x)を生成する。
【0007】ナトリウム−硫黄電池1の充電時には、放
電反応と逆の反応が起こり、ナトリウム(Na)および
硫黄(S)が生成する。通常は、多硫化ナトリウム(N
2x)の一部が残留する程度まで充電する。これは、
硫黄(S)よりも多硫化ナトリウム(Na2x)の固有
抵抗が低いために、多硫化ナトリウム(Na2x)を残
存させておけば正極活物質の抵抗の上昇を抑えることが
できるからである。
【0008】
【数1】
【0009】
【数2】
【0010】充電時における硫黄(S)の生成は、導電
助材5と多硫化ナトリウム(Na2x)との間で進行す
る。導電助材5と固体電解質4とが接触していると、生
成した硫黄(S)が固体電解質4の表面に析出する。硫
黄(S)は、その固有抵抗が高い。従って、固体電解質
4が硫黄に完全に覆われると、ナトリウム−硫黄電池1
の内部抵抗が大きくなって以後の充放電を行うことが困
難になる。また、固体電解質4の一部が硫黄に覆われる
と、硫黄が覆われていない部分に電流が集中して固体電
解質4が破損してしまう。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】そこで、ナトリウム−
硫黄電池の内部抵抗の増大及び固体電解質の破損を防ぐ
ために、導電助材と固体電解質との間に固体電解質近傍
における硫黄の集中的な析出を抑えるための高抵抗層を
設けたナトリウム−硫黄電池が提案されている。上述の
高抵抗層としては、固体電解質の表面にガラス、セラミ
ックス、アルミナ等の粉末を塗布若しくは焼結したもの
や、セラミックス布またはガラス繊維等からなる多孔質
絶縁体等が用いられている。
【0012】しかし、ガラス、セラミックス、アルミナ
等の粉末からなる高抵抗層を設けるためには、塗布工
程、焼結工程等が必要となり、ナトリウム−硫黄電池の
製造工程が煩雑になるという課題があった。また、セラ
ミックス布等からなる多孔質絶縁体を固体電解質と導電
助剤との間に配置しようとする場合には、その厚さが非
常に薄いために多孔質絶縁体が破損してしまうことがあ
り、ナトリウム−硫黄電池の不良が増加するという課題
があった。
【0013】また、導電助材に用いられる炭素繊維布
は、良好な導電性を得るために、PAN繊維布等を高温
焼成して炭素化して得られた黒鉛化炭素繊維布が用いら
れているが、焼成温度が2000〜2200℃程度であ
るために、炭素繊維の製造コストが高くなり、ナトリウ
ム−硫黄電池の製造コストが上昇してしまうという課題
があった。
【0014】本発明は、上記の課題を解決するためにな
されたものであって、固体電解質近傍での硫黄の集中的
な析出を抑えると共に、製造工程を煩雑にさせることな
く、電池製造時の不良の発生を低減可能な高抵抗層を備
えると共に、製造コストが低いナトリウム−硫黄電池を
提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は以下の構成を採用した。
【0016】本発明のナトリウム−硫黄電池は、少なく
ともナトリウムを含む負極活物質と、少なくとも硫黄を
含む正極活物質と、前記負極活物質と前記正極活物質と
の間に位置してナトリウムイオンに対して伝導性を有す
る固体電解質と、前記正極活物質を含浸して前記正極活
物質の電子伝導を補助するための導電助材と、前記正極
活物質及び前記導電助材と外部回路とを電気的に接続す
る正極集電体とを備えたナトリウム−硫黄電池であっ
て、前記導電助材は、炭素繊維からなる短繊維層と、炭
素繊維の平均繊維長が前記短繊維層の炭素繊維よりも長
い長繊維層とを有する炭素繊維布からなり、かつ、前記
短繊維層が前記固体電解質と隣接し、前記長繊維層が前
記正極集電体と隣接するように配置されたことを特徴と
する。
【0017】また、本発明のナトリウム−硫黄電池は、
先に記載のナトリウム−硫黄電池において、前記短繊維
層を構成する炭素繊維は、その平均繊維長が3mm以上
30mm以下、その繊維径が10μm以上20μm以下
であり、前記長繊維層を構成する炭素繊維は、その平均
繊維長が100mm以上500mm以下、その繊維径が
10μm以上20μm以下であることを特徴とする。
【0018】また、前記短繊維層の比抵抗は、100Ω
cm以上1000Ωcm以下であり、長繊維層の比抵抗
は、3Ωcm以上5Ωcm以下であることが好ましい。
更に、前記短繊維層を構成する炭素繊維のアスペクト比
は、150以上3000以下であり、前記長繊維層を構
成する炭素繊維のアスペクト比は、5000以上500
00以下であることが好ましい。
【0019】更に、本発明のナトリウム−硫黄電池は、
先に記載のナトリウム−硫黄電池において、前記炭素繊
維が、紡糸されたピッチを1000℃以上1200℃以
下で焼成して炭素化されたものであることを特徴とす
る。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。図1(a)及び図1(b)には本
発明の実施の形態であるナトリウム−硫黄電池を示す。
なお、これらの図において、前述した図4(a)及び図
4(b)に示す構成要素と同一の構成要素には同一符号
を付してその説明を省略する。
【0021】図1(a)及び図1(b)に示すナトリウ
ム−硫黄電池11には、炭素繊維からなる短繊維層13
と、平均繊維長が短繊維層13の炭素繊維よりも長い炭
素繊維からなる長繊維層14とを有する炭素繊維布から
なる導電助材12が備えられている。また、この導電助
材12は、短繊維層13が固体電解質4と隣接し、長繊
維層14が正極集電体6と隣接するように配置されてい
る。短繊維層13は、充電反応における固体電解質近傍
での硫黄の集中的な析出を防ぐ高抵抗層として作用し、
長繊維層14は、正極活物質3の電子伝導を補助する作
用を示す。
【0022】即ち、短繊維層13は長繊維層14の炭素
繊維よりも平均繊維長の短い炭素繊維からなるので、炭
素繊維同士の絡み合いが少なくなり、炭素繊維同士の接
触の程度が少なくなるために比抵抗が大きくなる。ま
た、長繊維層14は短繊維層13の炭素繊維よりも平均
繊維長の長い炭素繊維からなるので、炭素繊維同士の絡
み合いが多くなり、炭素繊維同士の接触の程度が多くな
るために、短繊維層13よりも比抵抗が小さくなる。
【0023】ナトリウム−硫黄電池11の充電反応にお
いては、前述のように、外部回路で仕事をした電子が正
極集電体6である円筒缶6’を介して導電助材12に流
れ、導電助材12の近傍にある多硫化ナトリウム(Na
x)が還元されて、式(2)に示すように硫黄(S)
とナトリウムイオン(Na+)が生成する。このとき、
短繊維層13においては、比抵抗が大きいために電流が
流れにくく、式(2)に示す硫黄(S)の生成速度が小
さくなる。一方、長繊維層14においては、短繊維層1
3よりも比抵抗が小さいために電流が流れやすく、式
(2)に示す硫黄の生成速度が、短繊維層13における
硫黄の生成速度よりも大きくなる。短繊維層13は固体
電解質4に隣接しているので、固体電解質近傍での硫黄
の生成速度が小さくなって硫黄の集中的な析出が防止さ
れる。
【0024】短繊維層13を構成する炭素繊維は、その
平均繊維長が3mm以上30mm以下であり、その繊維
径が10μm以上20μm以下であることが好ましい。
ここで、平均繊維長とは、炭素繊維から適当抜き取り統
計的処理したときの繊維1本の平均長さを示す。炭素繊
維の平均繊維長が3mm未満では、炭素繊維同士の絡み
合いが少なくなり、短繊維層13の機械的強度が低下し
てしまうので好ましくない。また、炭素繊維の平均繊維
長が30mmを越えると、炭素繊維同士の絡み合いが多
くなって短繊維層13の比抵抗が小さくなり、短繊維層
13における硫黄の生成速度が大きくなってしまうので
好ましくない。更に、炭素繊維の繊維径が10μm未満
では、繊維の機械的強度が低下して短繊維層13が破損
しやすくなるので好ましくなく、繊維径が20μmを越
えると、電流が流れる実効断面積が大きくなり、短繊維
層13の比抵抗が小さくなって硫黄の生成速度が大きく
なってしまうので好ましくない。特に、短繊維層13を
構成する炭素繊維のアスペクト比が150以上3000
以下の範囲であることが好ましい。また、短繊維層13
の比抵抗は、100Ωcm以上1000Ωcm以下であ
ることが好ましい。比抵抗が100Ωcm未満では、硫
黄の生成速度が大きくなってしまうので好ましくなく、
比抵抗が1000Ωcmを越えるとナトリウム−硫黄電
池の内部抵抗が大幅に上昇してナトリウム−硫黄電池1
1の放電容量が低下してしまうので好ましくない。
【0025】短繊維層13の厚さは、ナトリウム−硫黄
電池11の大きさによっても異なるが、導電助材12で
ある炭素繊維布の厚さをLとすると、短繊維層13の厚
さは、Lの1〜10%程度が好ましい。短繊維層13の
厚さが、導電助材12である炭素繊維布の厚さLの1%
未満では、短繊維層13が薄すぎて機械的強度が低下し
て破損しやすくなると共に、長繊維層14の近傍で析出
した硫黄が短繊維層13を透過して固体電解質表面を覆
ってしまい、ナトリウム−硫黄電池11の内部抵抗が上
昇してしまうので好ましくない。また、短繊維層13の
厚さが、導電助材12である炭素繊維布の厚さLの10
%を越えると、比抵抗の大きい短繊維層13の厚さが厚
くなり、ナトリウム−硫黄電池11の内部抵抗が大幅に
上昇してしまうので好ましくない。
【0026】長繊維層14を構成する炭素繊維は、その
平均繊維長が100mm以上500mm以下、その繊維
径が10μm以上20μm以下であることが好ましい。
炭素繊維の平均繊維長が100mm未満では、炭素繊維
同士の絡み合いが少なくなって比抵抗が短繊維層13と
同程度まで大きくなり、ナトリウム−硫黄電池11の内
部抵抗が大幅に上昇して放電容量が低下してしまうので
好ましくない。また、炭素繊維の平均繊維長が500m
mを越えると、使用する繊維の数が少なくなり、かえっ
て比抵抗が増加し、内部抵抗の上昇を招くので好ましく
ない。更に、炭素繊維の繊維径が10μm未満では、繊
維の機械的強度が低下して長繊維層14が破損しやすく
なるので好ましくなく、繊維径が20μmを越えると、
炭素繊維布の密度が低下し、短繊維側では硫黄の析出を
助長し、長繊維側では比抵抗の増加を招くので好ましく
ない。特に、長繊維層14を構成する炭素繊維のアスペ
クト比が5000以上50000以下の範囲であること
が好ましい。また、長繊維層14の比抵抗は5Ωcm以
下であることが好ましい。比抵抗が5Ωcmを越えると
電池の内部抵抗が大幅に上昇してナトリウム−硫黄電池
の放電容量が低下してしまうので好ましくない。
【0027】更に、長繊維層14は、紡糸されたピッチ
を1000℃以上1200℃以下で焼成して炭素化され
たものであることが好ましい。石油系ピッチ若しくは石
炭系ピッチを、例えば溶融紡糸法により紡糸した後に、
1000℃〜1200℃で焼成して得られた炭素繊維
は、一般に黒鉛化が進んでいないためにその固有抵抗が
大きくなっているが、焼成温度が比較的低いためにその
製造コストは小さい。長繊維層14を構成する炭素繊維
の平均繊維長は100mm以上500mm以下の範囲で
あり、繊維同士の絡み合いが多く、繊維同士の接触が多
いために、炭素繊維の固有抵抗が若干大きくなっても、
長繊維層14の自体の比抵抗を小さく抑えることが可能
となる。従って、1000℃以上1200℃以下の範囲
で焼成された炭素繊維を、長繊維層14を構成する炭素
繊維として使用すれば、長繊維層14の比抵抗を大きく
させることなく、しかも長繊維層14の製造コストが低
減されてナトリウム−硫黄電池11の製造コストを低く
できる。
【0028】ここで、焼成温度を1000℃未満とする
と、炭素繊維の黒鉛化が進行しないので炭素繊維の固有
抵抗が大幅に大きくなり、長繊維層14の比抵抗が大き
くなってナトリウム−硫黄電池11の内部抵抗が大きく
なるので好ましくない。また、焼成温度が1200℃を
越えると、長繊維層14を構成する炭素繊維の製造コス
トが増加して、ナトリウム−硫黄電池11の製造コスト
が高くなってしまうので好ましくない。
【0029】上述のナトリウム−硫黄電池11は、例え
ば次のように製造される。まず、平均繊維長の短い炭素
繊維布(短繊維層13)と平均繊維長の長い炭素繊維布
(長繊維層14)とを積層して、平均繊維長の短い炭素
繊維布が内面になるように、筒状に巻いて中空円筒状の
導電助材12とする。次に、溶融した硫黄(正極活物質
3)を導電助材12に含浸させ、硫黄を固化させること
により、中空円筒状の正極合材を作成する。次に、得ら
れた正極合材を正極集電体6である円筒缶6’に挿入
し、更に正極合材の中空部に固体電解質4からなる管
4’を挿入し、管4’に負極活物質2であるナトリウム
を充填し、更に、絶縁リング7、封口体8によって正極
活物質3及び負極活物質2を密封することにより、ナト
リウム−硫黄電池11を製造する。このような製造方法
によれば、短繊維層13と長繊維層14からなる導電助
材12を容易に形成させることが可能となる。
【0030】導電助材12の短繊維層13に用いられる
炭素繊維は、PAN系炭素繊維、PVA系炭素繊維、P
VC系炭素繊維、石油ピッチ系炭素繊維、石炭ピッチ系
炭素繊維若しくは気相合成系炭素繊維のいずれのもので
あっても良い。導電助材12の長繊維層14に用いられ
る炭素繊維は、上述のものに限られず、PAN系炭素繊
維、PVA系炭素繊維、PVC系炭素繊維若しくは気相
合成系炭素繊維のいずれのものであっても良く、また、
黒鉛系炭素繊維であっても良い。特に、黒鉛系繊維を用
いた場合には、ナトリウム−硫黄電池の内部抵抗を著し
く低減することが可能となる。
【0031】また、これまで説明したナトリウム−硫黄
電池11は、インサイドアウト構造を採用して、固体電
解質4の管4’の内側に負極活物質2であるナトリウム
を収納し、固体電解質4の管4’の外側に導電助材12
と正極活物質3である硫黄を配置しているが、これに限
られず、正極活物質及び導電助材を固体電解質の管に収
納したものであっても良い。更に、ナトリウム−硫黄電
池の構造はインサイドアウト構造に限るものではなく、
例えば、電解漕の内部に平板状の固体電解質を配置し、
この固体電解質を介して正極活物質と負極活物質とが対
向して配置された構造であっても良い。また、ナトリウ
ム−硫黄電池の形態は円筒形に限られず、角形やその他
の形状であっても良い。
【0032】上述のナトリウム−硫黄電池11には、炭
素繊維からなる短繊維層13と、炭素繊維の平均繊維長
が短繊維層13の炭素繊維よりも長い長繊維層14とを
有する炭素繊維布からなる導電助材12が備えられてお
り、長繊維層14よりも短繊維層13の比抵抗が大きく
なるので、短繊維層13における充電時での硫黄の生成
速度を小さくして硫黄の集中的な析出を少なくすること
ができる。また、短繊維層13が固体電解質4と隣接
し、長繊維層14が正極集電体6と隣接するように配置
されているので、固体電解質4の近傍での硫黄の集中的
な析出を少なくしてナトリウム−硫黄電池11の内部抵
抗を小さくすることができる。
【0033】また、上述の短繊維層13を構成する炭素
繊維は、その平均繊維長が3mm以上30mm以下であ
り、その繊維径が10μm以上20μm以下であるの
で、短繊維層13の機械的強度を高く保つことが可能と
なり、また、短繊維層13の比抵抗が大きくなって硫黄
の生成速度を小さくすることができる。更に、長繊維層
14を構成する炭素繊維は、その平均繊維長が100m
m以上500mm以下であり、その繊維径が10μm以
上20μm以下であるので、長繊維層14の比抵抗が小
さくなってナトリウム−硫黄電池11の内部抵抗を小さ
くすることができる。
【0034】更に、導電助材12である炭素繊維布の厚
さをLとしたときに、短繊維層13の厚さがLの1〜1
0%であり、短繊維層13が薄すぎることによる固体電
解質4の表面での硫黄の集中的な析出を防止して、ナト
リウム−硫黄電池11の内部抵抗を小さくするととも
に、短繊維層13が厚くなりすぎることによるナトリウ
ム−硫黄電池11の内部抵抗の大幅な上昇を防ぐことが
できる。
【0035】また、短繊維層13の比抵抗は、100Ω
cm以上1000Ωcm以下であり、比抵抗が比較的大
きいために、短繊維層13の近傍における硫黄の生成速
度を小さくすることができる。更に、長繊維層14の比
抵抗は、3Ωcm以上5Ωcm以下であるので、正極活
物質3の電子伝導を補助してナトリウム−硫黄電池11
の内部抵抗を小さくすることができる。
【0036】更に、長繊維層14を構成する炭素繊維
は、紡糸されたピッチを1000℃以上1200℃以下
で焼成して炭素化されたものであり、炭素繊維自体の固
有抵抗は比較的高くなるが、平均繊維長が100mm以
上500mm以下であって、結果的に長繊維層14の比
抵抗が小さくなり、ナトリウム−硫黄電池11の内部抵
抗を小さくすることができる。更に焼成温度が比較的低
いので、長繊維層14の製造コストが低くなり、ナトリ
ウム−硫黄電池11の製造コストを低減できる。
【0037】
【実施例】石油ピッチを溶融紡糸法により紡糸した後
に、1000〜1200℃で焼成して炭素化し、種々の
平均繊維長の炭素繊維からなる炭素繊維布を得た。平均
繊維長の短い炭素繊維布(短繊維層)と平均繊維長の長
い炭素繊維布(長繊維層)とを積層した後に、平均繊維
長の短い炭素繊維布(短繊維層)が内面になるように、
中空円筒状に巻いて導電助材とし、この導電助材に溶融
した硫黄を含浸させ、硫黄を固化させることにより、中
空円筒状の正極合材を作成した。次に、得られた正極合
材を、外径30mm、内径28mm、高さ165mmの
ステンレス製の円筒缶に挿入し、更に正極合材の中空部
に外径20mm、有効長さ100mmのβ−アルミナか
らなる固体電解質管を挿入し、固体電解質管にナトリウ
ムを充填し、更に、絶縁リング、封口体によって正極活
物質(硫黄)及び負極活物質(ナトリウム)を密封する
ことにより、表1に示すナトリウム−硫黄電池を組み立
てた。
【0038】更に、外径62mm、内径60mm、高さ
300mmのステンレス製の円筒缶と、外径40mm、
有効長さ250mmの固体電解質管とを用いたこと以外
は上述と同様にして、表1に示すナトリウム−硫黄電池
を組み立てた。
【0039】得られた電池を350℃の温度に維持しつ
つ、2〜14時間率に相当する電流を流して充放電を繰
り返したときの1サイクル目の放電容量と100サイク
ル目の放電容量とを測定し、下記式(3)(4)により
容量低下率と8時間率を基準とした容量劣化率とを計算
した。その結果を表1、図2及び図3に示す。
【0040】T時間率(T=4、6、8、10、12、
14)での電流量で充放電したときの100サイクル後
の容量低下率は、下記式(3)で表される。
【0041】
【数3】
【0042】8時間率の時を基準としたT時間率での容
量劣化率は、下記式(4)で表される。従って、T時間
率での容量劣化率が正の値の場合には、8時間率での容
量低下率よりもT時間率での容量低下率が大きいことを
示し、T時間率での容量劣化率が負の値の場合には、8
時間率での容量低下率よりも容量劣化率が小さいことを
示す。
【0043】
【数4】
【0044】
【表1】
【0045】表1より、実施例1〜6の容量低下率は、
比較例1、2、3の容量低下率よりも低く良好である。
また、実施例7は、短繊維層の平均繊維長が3mm未満
であり、短繊維層の機械的強度が弱いものの、電池を構
成することは可能であり、良好な特性が得られている。
実施例8では、短繊維層の平均繊維長が30mmを越え
ており、短繊維層の比抵抗が小さくなって充電時での硫
黄の生成速度が大きくなり、電池の内部抵抗が上昇して
いるが、容量低下率に大きな影響はない。実施例10で
は、長繊維層の平均繊維長が100mm未満であり、長
繊維層の比抵抗が大きくなり、電池の内部抵抗が上昇し
て容量低下率がやや増大している。
【0046】比較例1、2は、短繊維層が設けられてい
ないために、充電時に硫黄が固体電解質の表面を覆い、
充放電サイクルの進行とともに電池の内部抵抗が上昇し
て容量低下率が増大したと推定される。また、比較例3
は、長繊維層が設けられていないために、電池の内部抵
抗が大きくなって容量低下率が大きくなっている。
【0047】また、図2及び図3より、いずれの時間率
(8時間率が基準であるのでこれを除く)においても、
実施例1〜6の容量劣化率は、比較例1〜2の容量劣化
率よりも低くなっている。特に、4、6時間率における
比較例1〜2の容量劣化率が非常に高くなっている。こ
れは、4、6時間率における充放電電流が8時間率での
充放電電流よりも大きいために、固体電解質表面におけ
る硫黄の生成速度が大きくなり、内部抵抗が大幅に上昇
して放電容量が大きく低下したためと推定される。
【0048】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明の
ナトリウム−硫黄電池には、炭素繊維からなる短繊維層
13と、炭素繊維の平均繊維長が短繊維層13の炭素繊
維よりも長い長繊維層14とを有する炭素繊維布からな
る導電助材12が備えられており、長繊維層よりも短繊
維層の比抵抗が大きくなるので、短繊維層における充電
時での硫黄の集中的な析出を少なくすることができる。
また、比抵抗が大きい短繊維層が固体電解質と隣接する
ように配置されているので、固体電解質近傍での硫黄の
集中的な析出を少なくしてナトリウム−硫黄電池の内部
抵抗を小さくし、放電容量の低下を防ぐことができる。
また、比抵抗が小さい長繊維層が正極集電体と隣接する
ように配置されているので、充放電時に正極活物質に電
流が流れやすくなり、高い時間率でナトリウム−硫黄電
池を充放電させることができる。
【0049】本発明のナトリウム−硫黄電池において
は、短繊維層を構成する炭素繊維が、その平均繊維長が
3mm以上30mm以下であり、その繊維径が10μm
以上20μm以下であるので、短繊維層の機械的強度を
高く保つことが可能となり、また、短繊維層の比抵抗が
大きくなって硫黄の生成速度を小さくし、ナトリウム−
硫黄電池の内部抵抗を小さくして放電容量の低下を防ぐ
ことができる。更に、長繊維層を構成する炭素繊維は、
その平均繊維長が100mm以上500mm以下であ
り、その繊維径が10μm以上20μm以下であるの
で、長繊維層の比抵抗が小さくなってナトリウム−硫黄
電池の内部抵抗を小さくすることができる。
【0050】また、本発明のナトリウム−硫黄電池にお
いては、長繊維層を構成する炭素繊維が、紡糸されたピ
ッチを1000℃以上1200℃以下で焼成して炭素化
されたものであり、ナトリウム−硫黄電池の内部抵抗を
小さくすることができると共に、焼成温度が比較的低い
ので、長繊維層の製造コストが低くなり、ナトリウム−
硫黄電池の製造コストを低減できる。
【0051】また、本発明のナトリウム−硫黄電池の導
電助材は、平均繊維長の短い炭素繊維布(短繊維層)と
平均繊維長の長い炭素繊維布(長繊維層)とを積層し
て、平均繊維長の短い炭素繊維布(短繊維層)が内面に
なるように、筒状に巻いて中空円筒状としたものである
ので、容易に形成させることが可能となり、ナトリウム
−硫黄電池の製造工程を煩雑にさせることなく、ナトリ
ウム−硫黄電池の製造コストを低くできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態であるナトリウム−硫黄
電池を示す図であって、(a)はナトリウム−硫黄電池
の正面断面図であり、(b)はナトリウム−硫黄電池の
平面断面図である。
【図2】 時間率と容量劣化率との関係を示す図であ
る。
【図3】 時間率と容量劣化率との関係を示す図であ
る。
【図4】 従来のナトリウム−硫黄電池を示す図であっ
て、(a)はナトリウム−硫黄電池の正面断面図であ
り、(b)はナトリウム−硫黄電池の平面断面図であ
る。
【符号の説明】
2 負極活物質 3 正極活物質 4 固体電解質 6 正極集電体 7 絶縁リング 8 封口体 9 負極集電体 11 ナトリウム−硫黄電池 12 導電助材 13 短繊維層 14 長繊維層

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともナトリウムを含む負極活物質
    と、 少なくとも硫黄を含む正極活物質と、 前記負極活物質と前記正極活物質との間に位置してナト
    リウムイオンに対して伝導性を有する固体電解質と、 前記正極活物質を含浸して前記正極活物質の電子伝導を
    補助するための導電助材と、 前記正極活物質及び前記導電助材と外部回路とを電気的
    に接続する正極集電体とを備えたナトリウム−硫黄電池
    であって、 前記導電助材は、炭素繊維からなる短繊維層と、炭素繊
    維の平均繊維長が前記短繊維層の炭素繊維よりも長い長
    繊維層とを有する炭素繊維布からなり、かつ、前記短繊
    維層が前記固体電解質と隣接し、前記長繊維層が前記正
    極集電体と隣接するように配置されたことを特徴とする
    ナトリウム−硫黄電池。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のナトリウム−硫黄電池
    において、 前記短繊維層を構成する炭素繊維は、その平均繊維長が
    3mm以上30mm以下、その繊維径が10μm以上2
    0μm以下であり、 前記長繊維層を構成する炭素繊維は、その平均繊維長が
    100mm以上500mm以下、その繊維径が10μm
    以上20μm以下であることを特徴とするナトリウム−
    硫黄電池。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載のナトリ
    ウム−硫黄電池において、 前記炭素繊維は、紡糸されたピッチを1000℃以上1
    200℃以下で焼成して炭素化されたものであることを
    特徴とするナトリウム−硫黄電池。
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