JP3420396B2 - 自動変速機の制御装置 - Google Patents

自動変速機の制御装置

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JP3420396B2
JP3420396B2 JP18641895A JP18641895A JP3420396B2 JP 3420396 B2 JP3420396 B2 JP 3420396B2 JP 18641895 A JP18641895 A JP 18641895A JP 18641895 A JP18641895 A JP 18641895A JP 3420396 B2 JP3420396 B2 JP 3420396B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、車両用の自動変速機
の制御装置に関し、特に高低二段に切り換えることので
きる副変速部を備え、後進段でその副変速部を高速段に
設定する自動変速機の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】車両用の自動変速機において、燃費や静
粛性を向上させるためにオーバードライブ装置が多用さ
れていることは周知のとおりである。その一例が特開平
5−157165号公報に記載されており、前進4段・
後進1段を設定するための主変速装置の入力側に、一組
の遊星歯車機構からなるオーバードライブ装置が設けら
れている。このオーバードライブ装置は、その遊星歯車
機構のキャリヤとサンギヤとをクラッチによって連結す
ることによりその全体が一体回転する低速段(直結段)
を設定し、またサンギヤをブレーキによって固定するこ
とにより高速段に設定するように構成されている。そし
て上記の公報に記載された自動変速機では、最高速段で
ある第5速を設定するためにオーバードライブ装置を高
速段にする以外に、後進段を設定する際にもオーバード
ライブ装置を高速段とし、これにより後進段での変速比
が大きくなることを防止している。
【0003】結局、上記の公報に記載された自動変速機
は、前進5段・後進1段の変速段を設定することがで
き、そのために第1ないし第3のソレノイドバルブを設
けて変速を制御している。また通常の自動変速機と同様
に第1速や第3速などの変速段でエンジンブレーキを必
要とするから、上記の自動変速機では更に第4のソレノ
イドバルブを設けて、この第4ソレノイドバルブによっ
て所定の切換弁に信号圧を送り、エンジンブレーキ状態
を選択的に設定するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の自動変速機
における油圧制御装置は、ドライブレンジやエンジンブ
レーキレンジで各変速段を設定するために、第1ないし
第4の4つのソレノイドバルブを設けているが、油圧制
御装置あるいは自動変速機の全体のコンパクト化のため
には、ソレノイドバルブの数を削減することが望まれ
る。その場合、オーバードライブ装置の高速段は、第5
速と後進段とで設定するだけであるのに対して、エンジ
ンブレーキ状態は、第1速や第3速の変速段で設定する
から、これらのいわゆる互いに干渉のない変速段で使用
されるソレノイドバルブを兼用することが考えられる。
具体的には、オーバードライブ装置を高速段に設定する
ためのソレノイドバルブを、エンジンブレーキレンジの
第1速や第3速などの変速段でエンジンブレーキ状態を
設定するように動作させることが考えられる。
【0005】しかるにいわゆるオーバードライブ用のソ
レノイドバルブをエンジンブレーキ用のソレノイドバル
ブと兼用するとした場合、ドライブ(D)レンジの第1
速ではエンジンブレーキを効かせないから、後進段設定
時とDレンジの第1速とでは、そのソレノイドバルブの
動作状態が互いに反対となる。すなわちこのソレノイド
バルブは、オーバードライブ装置を高速段に切り換える
ためのバルブであるから、フェイル時には高速段の変速
段を設定するフェイルセーフの観点から、非通電(OF
F)状態で信号圧を出力するように構成するのが通常で
ある。したがって後進段設定時には、このソレノイドバ
ルブをOFFにし、これに対してエンジンブレーキを効
かせないDレンジの第1速では、このソレノイドバルブ
をONにして信号圧を出力しないように構成することに
なる。
【0006】このように上記のソレノイドバルブをオー
バードライブ設定用とエンジンブレーキ用とに単純に兼
用するとすれば、後進段とDレンジとでソレノイドバル
ブへの通電パターンが反対となり、その結果、例えばD
レンジの第1速が設定されているにも拘わらず、電気的
なフェイルによって後進段(Rレンジ)の検出信号が出
力された場合には、前記ソレノイドバルブがOFFとな
って信号圧を出力してしまい、Dレンジの第1速でエン
ジンブレーキが効く状態になる。具体的には、第1速で
係合する一方向クラッチと並列の多板ブレーキが係合し
てしまうので、変速が円滑に実行できなくなり、変速シ
ョックが悪化する可能性がある。
【0007】このような不都合を解決するために、第1
速と後進段とにおける前記ソレノイドバルブの動作状態
を同一とすることが考えられる。その場合、そのソレノ
イドバルブが出力する信号圧をエンジンブレーキを効か
せる制御系統とオーバードライブ状態を制御する制御系
統とに切り換えて出力するバルブと、エンジンブレーキ
を効かせる制御系統において信号圧が入力されることに
よってエンジンブレーキを効かない状態にするバルブと
を設けることになる。このようにすれば、主変速装置で
の後進状態は、マニュアルバルブから出力されるRレン
ジ圧によって設定され、オーバードライブ装置の高速段
は前記ソレノイドバルブによって設定されるから、第1
速と後進段とのシフトソレノイドバルブの動作状態(通
電状態)を同一にすることができる。
【0008】上記のようにDレンジの第1速を設定する
ためのソレノイドバルブの通電状態と後進段を設定する
ためのソレノイドバルブの通電状態とを同一にすれば、
例えば電気的なフェイルによってRレンジとDレンジと
の相互の誤判定が生じて、Rレンジでオーバードライブ
装置が低速段(直結状態)になったり、Dレンジの第1
速でエンジンブレーキが効いたりする不都合を回避でき
る。しかしながらRレンジが設定されているにも拘ら
ず、Dレンジと電気的に誤判定した場合、車速の増大に
よってオーバードライブ装置が低速段に切り替わってし
まうおそれがある。
【0009】すなわち制御装置は、Dレンジを判断する
ことによりDレンジでの変速マップに基づいて変速の制
御を実行する。また一方、車速信号は、走行方向を含ま
ない絶対値を示す信号として入力されている。したがっ
て車速が増大すれば、Dレンジ用の変速マップに従って
アップシフトが判断され、ソレノイドバルブの通電状態
が変化する。具体的には、前記の信号圧をオーバードラ
イブ制御系統とエンジンブレーキ制御系統とに切り換え
て出力する切換弁の動作状態が切り替わる。そのため、
その信号圧の出力箇所が、オーバードライブ制御系統か
らエンジンブレーキ制御系統に変化するので、実際には
Rレンジであるにも拘らずオーバードライブ装置が低速
段になってしまう。すなわち後進状態が確保されるもの
の、レンジの判定のフェイルによってダウンシフトが発
生することになり、運転者に違和感を与え、あるいはド
ライブフィーリングが悪化するなどの不都合がある。
【0010】この発明は、上記の事情を背景としてなさ
れたものであり、DレンジとRレンジとの誤判定に起因
するドライブフィーリングの悪化やRレンジでの変速な
どを防止することのできる自動変速機の制御装置を提供
することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1に記載した発明は、後進状態と複数の前
進状態とを設定する主変速部と、該主変速部に直列に連
結され、高低二段に切り換えることのできる副変速部
と、少なくとも後進段と前進レンジの第1速と所定の前
進段とで信号圧を出力する第1のソレノイドバルブと、
この第1のソレノイドバルブの出力する信号圧を、後進
段と所定の前進段とで前記副変速部を高速段に設定する
信号圧と前進レンジの第1速でエンジンブレーキ状態を
回避する信号圧とに切り換える切換弁と、この切換弁を
制御する信号圧を出力する第2のソレノイドバルブとを
備え、これら第1および第2のソレノイドバルブの通電
状態が後進段と前進レンジの第1速とで同一とされ、か
つ第2のソレノイドバルブの通電状態が車速の増加に伴
って変更される自動変速機の制御装置において、電気的
に指示されているレンジを判断するレンジ判断手段と、
実際の走行状態から後進段を判断する後進段判断手段
と、この後進段判断手段が後進段を判断しかつ前記レン
ジ判断手段が前進レンジを判断した場合に前記第1およ
び第2のソレノイドバルブの通電状態を後進段の通電状
態にする通電制御手段とを備えていることを特徴とする
ものである。
【0012】また請求項2に記載した発明は、後進状態
と複数の前進状態とを設定する主変速部と、該主変速部
に直列に連結され、高低二段に切り換えることのできる
副変速部と、少なくとも後進段と前進レンジの第1速と
所定の前進段とで信号圧を出力する第1のソレノイドバ
ルブと、この第1のソレノイドバルブの出力する信号圧
を、後進段と所定の前進段とで前記副変速部を高速段に
設定する信号圧と前進レンジの第1速でエンジンブレー
キ状態を回避する信号圧とに切り換える切換弁と、この
切換弁を制御する信号圧を出力する第2のソレノイドバ
ルブと、前記所定の前進段および第1速を含む複数の前
進段を前記第1および第2のソレノイドバルブとともに
設定する他のソレノイドバルブとを備え、これら前記各
ソレノイドバルブの通電状態が後進段と前進レンジの第
1速とで同一とされ、かつ第2のソレノイドバルブの通
電状態が車速の増加に伴って変更される自動変速機の制
御装置において、後進段を判断する後進段判断手段と、
この後進段判断手段が後進段を判断しかつ車速が所定の
車速に達した場合に前記各ソレノイドバルブの通電状態
を前記所定の前進段を設定するための通電状態と同一に
する後進段設定手段とを備えていることを特徴とするも
のである。さらに、請求項3の発明は、後進状態と複数
の前進状態とを設定する主変速部と、該主変速部に直列
に連結され、高低二段に切り換えることのできる副変速
部と、少なくとも後進段と前進レンジの第1速と所定の
前進段とで信号圧を出力する第1のソレノイドバルブ
と、この第1のソレノイドバルブの出力する信号圧を、
後進段と所定の前進段とで前記副変速部を高速段に設定
する信号圧と前進レンジの第1速でエンジンブレーキ状
態を回避する信号圧とに切り換える切換弁と、この切換
弁を制御する信号圧を出力する第2のソレノイドバルブ
とを備え、これら第1および第2のソレノイドバルブの
通電状態が後進段と前進レンジの第1速とで同一とさ
れ、かつ第2のソレノイドバルブの通電状態が車速の増
加に伴って変更される自動変速機の制御装置において、
前進レンジと後進走行のためのレンジとのいずれかが設
定されていることを電気的に判断するレンジ判断手段
と、このレンジ判断手段による判断がおこなわれた後、
回転部材の回転状態に基づいて後進段を判断する後進段
判断手段とを備えていることを特徴とする制御装置であ
る。この請求項3の発明は、請求項4に記載されている
ように、前記レンジ判断手段による判断よりも前記後進
段判断手段による判断を優先して前記各ソレノイドバル
ブに対する通電状態を設定する手段を更に備えることが
できる。また、請求項3の発明は、請求項5に記載され
ているように、前記後進段判断手段が後進段を設定する
レンジを判断しかつ前記レンジ判断手段が前進レンジを
判断した場合に前記第1および第2のソレノイドバルブ
の通電状態を後進段の通電状態にする通電制御手段を更
に備えることができる。
【0013】
【作用】請求項1および請求項2のいずれに記載した発
明においても、後進段では副変速部が高速段に設定され
る。またソレノイドバルブのうち少なくとも副変速部の
制御に関与するソレノイドバルブの通電状態は、後進段
と前進レンジの第1速とで同一とされている。そして前
進レンジの第1速では、後進段で副変速部を高速段に設
定していた信号圧が、切換弁によりエンジンブレーキ状
態を回避する信号圧とされる。
【0014】請求項1の発明では、後進走行していれ
ば、その走行状態に基づいて後進段判断手段が後進段で
あることを判断する。一方、レンジ判断手段が電気信号
に基づいてレンジを判断している。そして後進段判断手
段で判断された実際の走行状態が後進段であるにも拘ら
ず、レンジ判断手段が前進レンジを判断していれば、通
電制御手段が、第1および第2のソレノイドバルブの通
電状態を、Rレンジのパターンとするから、副変速部は
高速段に維持され、後進段を前進レンジに誤判定した状
態で車速が増大しても変速は生じない。
【0015】また請求項2に記載した発明においては、
後進段判断手段が後進段を判断すると、所定車速に達す
ることにより、後進段設定手段がソレノイドバルブの通
電状態を、副変速部を高速段にする所定の前進段を設定
する通電状態と同一にする。したがって後進段が判断さ
れて車速が上昇することにより、副変速部が必ず高速段
に設定されるので、後進段で副変速部が低速段になるこ
とはなく、また前進レンジであるにも拘らず、何等かの
フェイルによって後進段が判断された場合には、副変速
部を高速段とする前進段が設定されるので、フェイルセ
ーフを確立できる。一方、請求項3に記載した発明で
は、電気的にレンジが判断され、その後に所定の回転部
材の回転状態に基づいて後進段となっているか否かが判
断される。この請求項3の発明に対して請求項4の発明
では、その後進段判断手段での判断を優先し、したがっ
て後進段が判断された場合には、これを設定するように
各ソレノイドバルブの通電状態が制御される。さらに請
求項3の発明に対して請求項5の発明では、レンジ判断
手段が前進レンジを判断しても後進段判断手段が後進段
を判断すると、後進段を設定するように第1および第2
のソレノイドバルブの通電状態が制御される。
【0016】
【実施例】つぎにこの発明を実施例に基づいて具体的に
説明する。図1はこの発明の一実施例を模式的に示して
おり、自動変速機1を連結してあるエンジン2は、その
吸気管路3にメインスロットルバルブ4とその上流側に
位置するサブスロットルバルブ5とを有している。その
メインスロットルバルブ4はアクセルペダル6に連結さ
れていて、アクセルペダル6の踏み込み量に応じて開閉
される。またサブスロットルバルブ5は、モータ7によ
って開閉されるようになっている。
【0017】このサブスロットルバルブ5の開度を調整
するためにモータ7を制御し、またエンジン2の燃料噴
射量および点火時期などを制御するためのエンジン用電
子制御装置(E−ECU)8が設けられている。この電
子制御装置8は、中央演算処理装置(CPU)および記
憶装置(RAM、ROM)ならびに入出力インターフェ
ースを主体とするものであって、この電子制御装置8に
は、制御のためのデータとして、エンジン(E/G)回
転数N、吸入空気量Q、吸入空気温度、スロットル開
度、車速、エンジン水温、ブレーキスイッチからの信号
などの各種の信号が入力されている。
【0018】自動変速機1における変速およびロックア
ップクラッチならびにライン圧は、油圧制御装置9によ
って制御される。その油圧制御装置9は、電気的に制御
されるように構成されており、また変速を実行するため
の第1ないし第3のシフトソレノイドバルブS1 ,〜S
3 、ライン圧を制御するためのリニアソレノイドバルブ
SLT、アキュームレータ背圧を制御するためのリニアソ
レノイドバルブSLN、ロックアップクラッチを制御する
ためのリニアソレノイドバルブSLUが設けられている。
【0019】これらのソレノイドバルブに信号を出力し
て変速やライン圧あるいはアキュームレータ背圧などを
制御する自動変速機用電子制御装置(T−ECU)10
が設けられている。この自動変速機用電子制御装置10
は、中央演算処理装置(CPU)および記憶装置(RA
M、ROM)ならびに入出力インターフェースを主体と
するものであって、この電子制御装置10には、制御の
ためのデータとしてスロットル開度、車速、エンジン水
温、ブレーキスイッチからの信号、シフト装置における
後述するスイッチ群によるシフトポジション信号、パタ
ーンセレクトスイッチからの信号、オーバードライブス
イッチからの信号、後述するクラッチC0 の回転速度を
検出するC0 センサからの信号、車速センサからの信
号、自動変速機の油温、マニュアルシフトスイッチから
の信号などが入力されている。またこの自動変速機用電
子制御装置10とエンジン用電子制御装置8とは、相互
にデータ通信可能に接続されており、エンジン用電子制
御装置8から自動変速機用電子制御装置10に対して
は、1回転当たりの吸入空気量(Q/N)などの信号が
送信され、また自動変速機用電子制御装置10からエン
ジン用電子制御装置8に対しては、各ソレノイドバルブ
に対する指示信号と同等の信号および変速段を指示する
信号などが送信されている。
【0020】すなわち自動変速機用電子制御装置10
は、入力されたデータや予め記憶させてある変速マップ
に基づいて変速段やロックアップクラッチのON/OF
Fを判断し、あるいはライン圧の調圧レベルなどを判断
し、その判断結果に基づいて所定のソレノイドバルブに
指示信号を出力し、さらにフェイルの判断やそれに基づ
く制御を行うようになっている。またエンジン用電子制
御装置8は、入力されたデータに基づいて燃料噴射量や
点火時期あるいはサブスロットルバルブ5の開度などを
制御することに加え、自動変速機1での変速時に燃料噴
射量を削減し、あるいは点火時期を変え、もしくはサブ
スロットルバルブ5の開度を絞ることにより、出力トル
クを一時的に低下させるようになっている。
【0021】図2は上記の自動変速機1の歯車列の一例
を示す図であり、ここに示す構成では、前進5段・後進
1段の変速段を設定するように構成されている。すなわ
ちここに示す自動変速機1は、トルクコンバータ30
と、副変速部31と、主変速部32とを備えている。そ
のトルクコンバータ30は、ロックアップクラッチ33
を有しており、このロックアップクラッチ33は、ポン
プインペラ34に一体化させてあるフロントカバー35
とタービンランナ36を一体に取付けた部材(ハブ)3
7との間に設けられている。エンジンのクランクシャフ
ト(それぞれ図示せず)はフロントカバー35に連結さ
れ、またタービンランナ36を連結してある入力軸38
は、副変速部31を構成するオーバードライブ用遊星歯
車機構39のキャリヤ40に連結されている。
【0022】この遊星歯車機構39におけるキャリヤ4
0とサンギヤ41との間には、多板クラッチC0 と一方
向クラッチF0 とが設けられている。なお、この一方向
クラッチF0 はサンギヤ41がキャリヤ40に対して相
対的に正回転(入力軸38の回転方向の回転)する場合
に係合するようになっている。またサンギヤ41の回転
を選択的に止める多板ブレーキB0 が設けられている。
そしてこの副変速部31の出力要素であるリングギヤ4
2が、主変速部32の入力要素である中間軸43に接続
されている。
【0023】したがって副変速部31は、多板クラッチ
C0 もしくは一方向クラッチF0 が係合した状態では遊
星歯車機構39の全体が一体となって回転するため、中
間軸43が入力軸38と同速度で回転し、低速段とな
る。またブレーキB0 を係合させてサンギヤ41の回転
を止めた状態では、リングギヤ42が入力軸38に対し
て増速されて正回転し、高速段となる。
【0024】他方、主変速部32は三組の遊星歯車機構
50,60,70を備えており、それらの回転要素が以
下のように連結されている。すなわち第1遊星歯車機構
50のサンギヤ51と第2遊星歯車機構60のサンギヤ
61とが互いに一体的に連結され、また第1遊星歯車機
構50のリングギヤ53と第2遊星歯車機構60のキャ
リヤ62と第3遊星歯車機構70のキャリヤ72との三
者が連結され、かつそのキャリヤ72に出力軸80が連
結されている。さらに第2遊星歯車機構60のリングギ
ヤ63が第3遊星歯車機構70のサンギヤ71に連結さ
れている。
【0025】この主変速部32の歯車列では、後進段と
前進側の四つの変速段とを設定することができ、そのた
めのクラッチおよびブレーキが以下のように設けられて
いる。先ずクラッチについて述べると、互いに連結され
ている第2遊星歯車機構60のリングギヤ63および第
3遊星歯車機構70のサンギヤ71と中間軸43との間
に第1クラッチC1 が設けられ、また互いに連結された
第1遊星歯車機構50のサンギヤ51および第2遊星歯
車機構60のサンギヤ61と中間軸43との間に第2ク
ラッチC2 が設けられている。
【0026】つぎにブレーキについて述べると、第1ブ
レーキB1 はバンドブレーキであって、第1遊星歯車機
構50および第2遊星歯車機構60のサンギヤ51,6
1の回転を止めるように配置されている。またこれらの
サンギヤ51,61(すなわち共通サンギヤ軸)とケー
シング81との間には、第1一方向クラッチF1 と多板
ブレーキである第2ブレーキB2 とが直列に配列されて
おり、その第1一方向クラッチF1 はサンギヤ51,6
1が逆回転(入力軸38の回転方向とは反対方向の回
転)しようとする際に係合するようになっている。多板
ブレーキである第3ブレーキB3 は第1遊星歯車機構5
0のキャリヤ52とケーシング81との間に設けられて
いる。そして第3遊星歯車機構70のリングギヤ73の
回転を止めるブレーキとして多板ブレーキである第4ブ
レーキB4 と第2一方向クラッチF2 とがケーシング8
1との間に並列に配置されている。なお、この第2一方
向クラッチF2 はリングギヤ73が逆回転しようとする
際に係合するようになっている。
【0027】上述した各変速部31,32の回転部材の
うち副変速部31のクラッチC0 の回転数を検出するC
0 センサ82と、出力軸80の回転数を検出する車速セ
ンサ83とが設けられている。
【0028】上記の自動変速機1では、各クラッチやブ
レーキを図3の作動表に示すように係合・解放すること
により前進5段・後進1段の変速段を設定することがで
きる。なお、図3において○印はON状態あるいは係合
状態、×印はOFF状態あるいは解放状態、◎印はロッ
クアップクラッチのON制御状態、●印は変速中にデュ
ーティ制御することをそれぞれ示す。
【0029】図3の作動表に示すように、副変速部31
をオーバードライブ状態と直結状態とに切り換える制御
と第1速および第3速でエンジンブレーキを効かせる制
御とを第3ソレノイドバルブS3 で行うようになってお
り、そのために図4に示す油圧回路が設けられている。
図4はこの発明に関係する主要部分のみを示しており、
そのうちの更に特徴的な部分を模式的に示せば、図5な
いし図7のとおりである。
【0030】第3ソレノイドバルブS3 は、ライン圧P
L を元圧とし、OFF状態で信号圧を出力するノーマル
オープンタイプのバルブであって、主として副変速部3
1を切換え制御するために設けられており、図4および
図5に示す構成では、これを第1速と第3速とのエンジ
ンブレーキを制御するために転用するようになってい
る。より具体的には、第3ソレノイドバルブS3 は、副
変速部31をオーバードライブ状態に設定する第5速と
後進段とでOFF制御されて信号圧(パイロット圧)を
出力することに加え、ドライブ(D)レンジの第1速な
いし第3速でOFF制御されて信号圧を出力するが、こ
のDレンジの第1速および第3速では、第3ソレノイド
バルブS3 の信号圧をB2 リリースコントロールバルブ
によっていわゆる反転制御し、これら第1速あるいは第
3速でエンジンブレーキを効かせるためのブレーキB1
,B4 への油圧の供給を遮断するようになっている。
【0031】すなわち図5において、 3-4シフトバルブ
100は、各レンジおよび変速段のそれぞれで図の下側
に記号で示すように各ポートが連通させられるスプール
バルブであり、第3ソレノイドバルブS3 はポート10
1に接続されている。このポート101は、ニュートラ
ル(N)レンジおよび第1〜3速でポート102に連通
させられ、このポート102からB2 リリースコントロ
ールバルブ130の制御ポート131に信号圧を送るよ
うになっている。またポート101は第4,5速および
Rレンジでポート103に連通させられ、ここから後述
する 4-5シフトバルブ170の制御ポート171に信号
圧を送るようになっている。すなわち 3-4シフトバルブ
100が第3ソレノイドバルブS3 の信号圧を、エンジ
ンブレーキ制御系統とオーバードライブ制御系統とに切
り換えて出力するようになっている。
【0032】B2 リリースコントロールバルブ130
は、4つのランドのあるスプール132を有しており、
制御ポート131に信号圧が供給されることによりスプ
ール132が図5の左半分に示す位置に下がり、また反
対に制御ポート131から排圧されることによりスプー
ル132が図5の右半分に示す位置に押し上げられるよ
うになっている。このB2 リリースコントロールバルブ
130のポートのうちエンジンブレーキ圧出力ポート1
33を挟んでDレンジ圧入力ポート134とエンジンブ
レーキレンジ圧入力ポート135とが形成されている。
そして第3ソレノイドバルブS3 の信号圧が制御ポート
131に印加されてスプール132が図5の左半分に示
す位置にあるときに、エンジンブレーキレンジ圧入力ポ
ート135がエンジンブレーキ圧出力ポート133に連
通する。
【0033】また第3ソレノイドバルブS3 の信号圧が
制御ポート131に印加されていないことによりスプー
ル132が図5の右半分に示す位置にあるときに、Dレ
ンジ圧入力ポート134がエンジンブレーキ圧出力ポー
ト133に連通する。なお、第3ソレノイドバルブS3
はDレンジの第1速ないし第3速でOFF制御されて信
号圧を出力するので、この場合は、前記Dレンジ圧入力
ポート134が閉じられ、またDレンジであればエンジ
ンブレーキレンジ圧が発生していないから、エンジンブ
レーキ圧出力ポート133から油圧が出力されない。
【0034】上記のエンジンブレーキ圧出力ポート13
3はコーストブレーキコントロールバルブ150の入力
ポート151に接続されている。このコーストブレーキ
コントロールバルブ150は、入力された油圧を調圧し
て出力するバルブであり、2つのランドを形成したスプ
ール152と、その一端側に配置したプランジャ153
と、スプール152とプランジャ153との間に配置し
たスプリング154とを有している。そして入力ポート
151側のランドにはその両端面に開口する貫通孔が形
成され、出力圧をスプール152の端面に作用させるよ
うになっている。またプランジャ153の端部にはアキ
ュームレータ背圧コントロール圧PACCが供給され、こ
れにより調圧レベルを変えるようになっている。そして
入力ポート151に選択的に連通させられる出力ポート
155から第1速あるいは第3速でのエンジンブレーキ
用摩擦係合装置である第1ブレーキB1 もしくは第4ブ
レーキB4 に対して油圧を出力するようになっている。
【0035】すなわちDレンジ圧の発生するDレンジで
の第1速および第3速では、第3ソレノイドバルブS3
がOFF制御されて信号圧を出力していても、Dレンジ
圧がB2 リリースコントロールバルブ130で遮断され
るから、第1ブレーキB1 あるいは第4ブレーキB4 に
油圧が送られず、これらが解放状態となるので、エジン
ブレーキは効かない。すなわち第3ソレノイドバルブS
3 の信号圧がいわゆる反転制御される。
【0036】これに対して第1速でエンジンブレーキを
効かせるLレンジでは、第3ソレノイドバルブS3 がO
N制御されて信号圧を出力しないから、B2 リリースコ
ントロールバルブ130のスプール132は図5の右半
分に示す位置に押し上げられ、その結果、Dレンジ圧入
力ポート134と出力ポート133とが連通してDレン
ジ圧が第4ブレーキB4 に送られ、これが係合する。な
お、Dレンジ圧は全ての前進レンジで発生する。また第
3速でエンジンブレーキを効かせる“3”レンジあるい
は“2”レンジにおいても、第3ソレノイドバルブS3
がON制御されるから、上述したLレンジでの第1速の
場合と同様に、コーストブレーキコントロールバルブ1
50を介して第1ブレーキB1 に油圧が送られてこれが
係合し、エンジンブレーキを効かせることができる。
【0037】またDレンジにおいて第3ソレイドバルブ
S3 がOFFフェイルした場合には、B2 リリースコン
トロールバルブ130のDレンジ圧入力ポート134が
閉じられるからエンジンブレーキが効くことはなく、し
たがって変速ショックを防止することができる。
【0038】さらにB2 リリースコントロールバルブ1
30のスプール132が図5の右半分に示す位置に固定
されてしまういわゆるバルブスティックが生じた場合、
エンジンブレーキ圧入力ポート135と出力ポート13
3とが常時連通するので、エンジンブレーキレンジであ
る“3”レンジあるいは“2”レンジにおいて出力ポー
ト133から油圧を出力でき、第3速において第1ブレ
ーキB1 を係合させてエンジンブレーキを効かせること
ができる。
【0039】なお、エンジンブレーキ圧入力ポート13
5に連通する油路にオリフィス136を設けてあるの
は、第1ブレーキB1 と第2ブレーキB2 との干渉を避
けるためであり、第1ブレーキB1 を第3速で係合させ
る場合、第2ブレーキB2 の係合を先行させるべくオリ
フィス136により油圧の供給速度を遅くする。
【0040】つぎに図4に示す油圧回路について更に具
体的に説明する。なお、作図の都合上、図4を複数の部
分に分割して示す図6ないし図8を参照して以下に説明
する。
【0041】先ず、B2 リリースコントロールバルブ1
30について更に説明すると、図6にはB2 リリースコ
ントロールバルブ130を図5とは上下を反転して記載
してあり、前述した各ポートの接続状態に加え、B2 ポ
ート137には第2ブレーキB2 が接続されており、こ
のB2 ポート137に選択的に連通されるポート138
にはチェックボール付きオリフィス139を介して油路
140が接続されている。また第2ブレーキB2 はオリ
フィス141を介してこの油路140に連通されてい
る。したがってB2 ポート137をポート138に連通
させることにより、第2ブレーキB2 はオリフィス14
1のみならずチェックボール付きオリフィス139をも
介して油路140に連通されるので、その排圧速度が増
大させられる。このようにB2 リリースコントロールバ
ルブ130は、その制御ポート131に第3ソレノイド
バルブS3 の信号圧を供給し、あるいは排圧することに
より、第2ブレーキB2 からの排圧速度すなわち第2ブ
レーキB2 の解放速度を緩急に切り換えるように構成さ
れている。
【0042】他方、エンジンブレーキレンジ圧入力ポー
ト135に接続された油路142は、前述したオリフィ
ス(ダブルオリィス)136を有するとともに、排圧方
向で開くチェックボール付きオリフィス143がダブル
オリフィス136に対して並列に設けられている。そし
てこの油路142が後述する 1-2シフトバルブに接続さ
れている。
【0043】つぎに 3-4シフトバルブ100について説
明すると、前述したポート101,102,103の連
通状態を切り換えるスプール104は6つのランドを有
しており、中間部分に形成されたブレーキポート105
には第1ブレーキB1 が接続されている。またこのブレ
ーキポート105に隣接する入力ポート106は、後述
する 2-3シフトバルブを介してコーストブレーキコント
ロールバルブ150に連通されている。そして前述した
ポート103は油路107を介して 4-5シフトバルブ1
70の制御ポート171に連通されている。
【0044】またこの 3-4シフトバルブ100は、第2
ソレノイドバルブS2 が出力する信号圧と、後述するD
レンジ圧とによって動作するよう構成されている。すな
わちスプリング室に開口するホールドポート108にD
レンジ圧が供給され、このホールドポート108とはス
プール104を挟んで反対側の制御ポート109に第2
ソレノイドバルブS2 が接続されている。なお、この第
2ソレノイドバルブS2 は、ライン圧PL を元圧とし、
OFF状態で信号圧を出力し、かつON状態で信号圧の
出力を遮断するノーマルクローズタイプのソレノイドバ
ルブである。
【0045】一方、 4-5シフトバルブ170は、前記副
変速部31をオーバードライブ状態(高速段)あるいは
直結状態(低速段)に制御するためのバルブであって、
5つのランドを有するスプール176によってポートの
連通状態を切り換えるよう構成されている。これらのポ
ートのうちライン圧油路PL を接続してある入力ポート
172に対して選択的に連通されるブレーキポート17
3に、副変速部31におけるブレーキB0 が接続されて
いる。また入力ポート172に対し前記ブレーキポート
173とは反対側に位置する出力ポート174は、油路
175を介してC0 エキゾーストバルブ190に接続さ
れている。
【0046】したがって油路107を介して第3ソレノ
イドバルブS3 の信号圧が制御ポート171に加えられ
ると、スプール176が図6の右半分に示す位置に押し
下げられ、その結果、入力ポート172がブレーキポー
ト173に連通してブレーキB0 に油圧が供給される。
これとは反対に制御ポート171から排圧されると、ス
プール176は図6の左半分に示す位置に押し上げら
れ、その結果、入力ポート172が出力ポート174に
連通され、C0 エキゾーストバルブ190に油圧が送ら
れ、クラッチC0 が係合する。なお、図6において符号
210はソレノイドリレーバルブを示し、ロックアップ
用リニアソレノイドバルブSLUからの信号圧の給排を制
御し、また第3ブレーキB3 への油圧の給排を制御する
ように構成されている。なお、その他の油路の接続状態
は図に示すとおりである。
【0047】図7において、コーストブレーキコントロ
ールバルブ150の入力ポート151には、前述したB
2 リリースコントロールバルブ130のポート133に
接続させた油路156が接続されており、また出力ポー
ト155には調圧したブレーキ圧を第1ブレーキB1 あ
るいは第4ブレーキB4 に対して出力するための油路1
57が接続されている。また、これらの油路156,1
57はチェックボール付きオリフィス158を介して相
互に接続されており、第1ブレーキB1 あるいは第4ブ
レーキB4 から排圧するときは、このチェックボール付
きオリフィス158が開くようになっている。
【0048】ブレーキ圧の供給先を第1ブレーキB1 あ
るいは第4ブレーキB4 に切り換える制御および 3-4シ
フトバルブ100のホールドポート108へのDレンジ
圧の供給の制御は、 2-3シフトバルブ230によって行
われる。 2-3シフトバルブ230は、7つのランドを有
するスプール231によってポートの連通状態の切り換
えを行うバルブであって、スプール231の一端側にス
プリング232が設けられるとともに、この端部に開口
するホールドポート233には、Lレンジ圧が供給され
るようになっている。
【0049】ブレーキ圧を供給する前記油路157が、
中間部のポート234に連通されており、このポート2
34に対し図7での上側の出力ポート235が前述した
3-4シフトバルブ100の入力ポート106に接続され
ている。またポート234に対して図7での下側に位置
する第2の出力ポート236は、油路237を介して1-
2シフトバルブ250に接続されている。さらにホール
ドポート233とはスプール231を挟んで反対側に位
置する制御ポート239には、第1ソレノイドバルブS
1 が接続されている。
【0050】この第1ソレノイドバルブS1 は、OFF
状態でドレインポートを閉じ、ON状態でドレインポー
トを開くノーマルオープンタイプのソレノイドバルブで
あって、ストレーナおよびオリフィスを介して供給され
るDレンジ圧をOFF状態で制御ポート239に印加
し、ON状態で排圧するようになっている。したがって
Lレンジ圧がホールドポート233に作用していない状
態では、この 2-3シフトバルブ230は、第1ソレノイ
ドバルブS1 によって制御される。そしてこの 2-3シフ
トバルブ230は、第1速、第2速、NレンジおよびR
レンジでスプール231が図7の左半分に示す位置に押
し上げられ、また第3速ないし第5速でスプール231
が図7の右半分に示す位置に押し下げられるよう構成さ
れている。
【0051】したがって第1速でエンジンブレーキを効
かせる場合には、ポート234が第2の出力ポート23
6に連通させられて、ここからブレーキ圧を出力し、ま
た第3速でエンジンブレーキを効かせる場合にはポート
234が出力ポート235に連通させられてここからブ
レーキ圧を 3-4シフトバルブ100を介して第1ブレー
キB1 に供給するように構成されている。なお、第2ブ
レーキB2 はポート238に接続されている。
【0052】さらに 2-3シフトバルブ230は、Dレン
ジ圧の供給されるDレンジ圧入力ポート301を備えて
おり、ここに油路302が接続されている。またこのポ
ート301を挟んで図の上下両側に第1Dレンジ圧出力
ポート303と第2Dレンジ圧出力ポート304とが形
成されている。そしてDレンジ圧入力ポート301は、
第3速ないし第5速で図7の上側の第1Dレンジ圧出力
ポート303に連通し、それ以外の変速段およびNレン
ジならびにRレンジで図7の下側の第2Dレンジ圧出力
ポート304に連通するようになっている。またこの第
2Dレンジ圧出力ポート304が油路305を介して前
記 3-4シフトバルブ100のホールドポート108に接
続されている。このDレンジ圧は後述するようにDレン
ジを含む前進レンジで油路302に発生する油圧であ
り、したがって第1速および第2速のときに 3-4シフト
バルブ100のホールドポート108にDレンジ圧が 2
-3シフトバルブ230を介して供給される。
【0053】第1速でエンジンブレーキを効かせる際に
係合させられる第4ブレーキB4 は、シャトルバルブ2
40を介して 1-2シフトバルブ250に接続されてい
る。この 1-2シフトバルブ250は4つのランドを有す
るスプール251によってポートの連通状態を切り換え
るバルブであって、前記 2-3シフトバルブ230の第2
出力ポート236が入力ポート252に接続されてお
り、この入力ポート252とドレインポート253とに
選択的に連通される出力ポート254にシャトルバルブ
240が接続されている。
【0054】またエンジンブレーキレンジ圧を前記B2
リリースコントロールバルブ130に供給する油路14
2が他の出力ポート255に接続されており、この出力
ポート255に選択的に連通されるエンジンブレーキポ
ート256には、“3”レンジ圧を供給する油路257
と“2”レンジ圧を供給する油路258とが接続されて
いる。さらにスプール251をその軸線方向に押圧する
スプリングを配置してある箇所に開口したホールドポー
ト259が形成されており、このホールドポート259
が前記 2-3シフトバルブ230の第1Dレンジ圧出力ポ
ート303に接続されている。またこのホールドポート
259と反対側の制御ポートには第2ソレノイドバルブ
S2 が接続されている。
【0055】したがってこの 1-2シフトバルブ250の
スプール251は第1速、NレンジおよびRレンジにお
いて図7の右半分に示す位置に押し下げられる。この状
態では、入力ポート252が出力ポート254に連通す
る。また第2速ないし第5速ではスプール251が図7
の左半分に示す位置に押し上げられ、その結果、エンジ
ンブレーキポート256が他の出力ポート255に連通
する。なお、他の油路の接続状態は図7に示すとおりで
ある。
【0056】さらにマニュアルバルブ260について説
明すると、このマニュアルバルブ260は、手動操作さ
れてパーキング(P)レンジ、Rレンジ、Nレンジ、D
レンジ、“3”レンジ、“2”レンジおよびLレンジの
7ポジションを設定することのできるバルブであり、ラ
イン圧油路PL が接続された入力ポート265をPレン
ジ以外の各レンジに対応させて設けたポートに連通させ
るようになっている。すなわちNレンジを設定した場合
には、図7に示すように入力ポート265に対して他の
ポートが遮断される。またDレンジを設定した場合に
は、Dレンジ圧をDポート261から出力し、また
“3”レンジを設定した場合には、Dポート261およ
び“3”ポート262とから油圧を出力し、この“3”
ポートから出力される油圧がいわゆる“3”レンジ圧で
ある。また“2”レンジを設定した場合に、Dポート2
61および“3”ポート262ならびに“2”ポート2
63とから油圧を出力するようになっている。この
“2”ポート263から出力される油圧が“2”レンジ
圧である。
【0057】なお、Dポート261は第1クラッチC1
に連通され、“3”ポート262には、前述した油路2
57が接続され、また“2”ポート263には、前記油
路258が接続されている。そしてLレンジに設定した
場合には、Dポート261、“3”ポート262、
“2”ポート263およびLポート264から油圧を出
力し、このLポート264から出力した油圧が前記 2-3
シフトバルブ230のホールドポート233に供給され
る。
【0058】そしてRレンジに設定した場合には、入力
ポート265がRポート267に連通し、ここからRレ
ンジ圧が出力される。このRポート267には、特には
図示しないが、リバースコントロールバルブを介してシ
ャトルバルブ240および第4ブレーキB4 と、図示し
ない他のシャトルバルブおよび第2クラッチC2 とが接
続されている。したがってマニュアルバルブ260によ
ってRレンジを設定すれば、電気的な制御を行うことな
く、これら第2クラッチC2 と第4ブレーキB4 とが係
合して主変速部32が後進状態になる。なお、Pレンジ
を設定した場合には、入力ポート265が閉じられる。
【0059】また図7で符号270はB3 コントロール
バルブであって、ソレノイドリレーバルブ210を介し
て供給されるリニアソレノイドバルブSLUの信号圧を制
御ポート271に供給することにより調圧レベルを変
え、第2速を設定する際に係合させる第3ブレーキB3
への供給油圧を制御するように構成されている。このB
3 コントロールバルブ270の構成は従来から知られて
いるので、図7に主な油路の接続状態を示してその説明
を省略する。
【0060】なお、前記C0 エキゾーストバルブ190
は副変速部31のクラッチC0 を制御するためのバルブ
であって、図8に示すように、Dレンジの第2速では第
1制御ポート191に油圧が供給されることにより、第
1速ないし第4速およびNレンジでライン圧PL が供給
される第1入力ポート192を閉じるようになってい
る。またこの時、“2”レンジ圧が入力される第2入力
ポート193が出力ポート194に連通されるようにな
っている。したがってDレンジの第2速では、油圧を出
力しないためにクラッチC0 が解放され、また“2”レ
ンジおよびLレンジでは、第2入力ポート193に
“2”レンジ圧が供給されるので、クラッチC0 が係合
してエンジンブレーキが効くようになっている。さらに
第2制御ポート195には、リニアソレノイドバルブS
LUの信号圧が供給されるようになっている。
【0061】なお、図8において符号280はリニアソ
レノイドバルブSLTによって制御されるリレーバルブで
あり、また符号290はアキュームレータを示す。さら
に符号295は、アキュームレータ背圧PACC を調圧す
るためのアキュームレータコントロールバルブを示す。
【0062】さらにここで、各レンジを選択するための
シフト装置について説明する。この実施例においては、
各レンジ位置を図9に示すように配列したシフトパター
ンのシフト装置が採用されている。その配列を簡単に説
明すると、パーキング(P)レンジ位置に続けてリバー
ス(R)レンジ位置が配置され、これらの配列方向に対
して斜め方向の位置にRレンジに続けてニュートラル
(N)レンジ位置が設けられている。ドライブ(D)レ
ンジ位置は、このNレンジに対して、前記Pレンジ位置
とRレンジ位置との配列方向と平行に配置され、さらに
4速レンジ位置が、これらの配列方向に対して直行する
方向に屈曲した位置に配置されている。さらに3速レン
ジ位置が、4速レンジ位置に対して、前記NレンジとD
レンジとの配列方向と平行な方向に配置され、2速レン
ジ位置は、前記Rレンジ位置に対するNレンジ位置と同
様な関係となる位置に設けられ、そしてロー(L)レン
ジ位置は、Dレンジ位置に対する4速レンジ位置と同様
な関係となる位置に設けられている。
【0063】これらの走行レンジのうち、Dレンジで
は、図4に示す前進5段を達成することができ、これに
対して4速レンジでは、オーバードライブ段である第5
速のない前進4段を達成することができ、さらに3速レ
ンジでは第3速までの変速段、2速レンジでは第2速ま
での変速段をそれぞれ達成することができ、そしてLレ
ンジでは第1速のみを達成することができる。
【0064】上記の各レンジ位置を検出し、またフェイ
ルを判断するために、2つのスイッチ群が設けられてい
る。その詳細は特開平5−306764号公報に記載さ
れているとおりであり、これを簡単に説明すると、Pレ
ンジ位置とRレンジ位置、あるいはNレンジ位置とDレ
ンジ位置との配列方向と平行に6つのスイッチが配列さ
れている。これらの配列方向は具体的には車両の前後方
向であり、Pレンジ位置に対応する位置を最先端位置と
して車両の後方側に、Rレンジ位置、Nレンジ位置、D
レンジ位置、“3”レンジ位置、“2”レンジ位置にそ
れぞれ対応するように6つのスイッチが配列されてい
る。これに対して他のスイッチ群として3つのスイッチ
が設けられている。具体的には、Pレンジ位置と4速レ
ンジ位置とLレンジ位置とにスイッチが設けられてい
る。
【0065】これらのスイッチは前記自動変速機用電子
制御装置10に接続され、6つのスイッチからなる第1
のスイッチ群からの出力信号と、3つのスイッチからな
る第2のスイッチ群からの出力信号との論理和によっ
て、選択されているレンジ位置(シフトポジション)を
判定し、またフェイルを判定するようになっている。
【0066】上記の制御装置によれば、後進段を設定す
るためのシフトソレノイドバルブS1 ,S2 ,S3 の通
電パターンとDレンジの第1速を設定するためのシフト
ソレノイドバルブS1 ,S2 ,S3 の通電パターンとが
同一である。先ずDレンジの第1速について説明する
と、マニュアルバルブ260でDレンジを設定すること
により、Dレンジ圧が発生する。図3の作動表から知ら
れるように、第1クラッチC1 は前進レンジで常に係合
するようになっており、具体的にはDレンジ圧が第1ク
ラッチC1 に送られる。この状態で第1ソレノイドバル
ブS1 がON制御されて信号圧を出力せず、これに対し
て第2および第3のソレノイドバルブS2,S3 がOF
F制御されてそれぞれ信号圧を出力する。
【0067】したがって 2-3シフトバルブ230の制御
ポート239に信号圧が印加されないので、そのスプー
ル231が図7の左半分に示す位置に押し上げられる。
すなわちDレンジ圧入力ポート301が第2Dレンジ圧
出力ポート304に連通し、油路302から供給された
Dレンジ圧がこれらのポート301,304ならびに油
路305を介して 3-4シフトバルブ100のホールドポ
ート108に供給される。
【0068】Dレンジの第1速では、この 3-4シフトバ
ルブ100の制御ポート109に第2ソレノイドバルブ
S2 の信号圧が入力されているが、そのスプール104
に作用する軸線方向力は、第2ソレノイドバルブS2 の
信号圧によるよりも、Dレンジ圧とスプリング力とによ
る力の方が大きいので、スプール104が図6の左半分
に示す位置に押し上げられる。その結果、第3ソレノイ
ドバルブS3 の信号圧が供給されているポート101が
ポート102に連通されてこの信号圧がB2 リリースコ
ントロールバルブ130のホールドポート131に供給
される。これに対して 4-5シフトバルブ170の制御ポ
ート171に連通されているポート103がドレインに
連通され、したがって 4-5シフトバルブ170の制御ポ
ート171から排圧される。
【0069】そのため 4-5シフトバルブ170のスプー
ル176が図6の左半分に示す位置に押し上げられ、ブ
レーキポート173がドレインに連通されて、ここに連
通されているブレーキB0 が解放される。これに対して
入力ポート172が出力ポート174に連通するから、
ライン圧PL がここからC0 エキゾーストバルブ190
およびリレーバルブ280を介してクラッチC0 に供給
され、このクラッチC0 が係合する。すなわち副変速部
31が低速段(直結状態)になる。なお、第2クラッチ
C2 はブレーキレンジ圧を元圧とするから解放状態とな
る。また主変速部32におけるブレーキB1 〜B4 は解
放状態となる。
【0070】これらのブレーキのうち第1速でエンジン
ブレーキ状態を設定するための第4ブレーキB4 につい
て説明すると、Dレンジの第1速では第3ソレノイドバ
ルブS3 がOFF制御されてその信号圧が 3-4シフトバ
ルブ100を介してB2 リリースコントロールバルブ1
30の制御ポート131に入力される。その結果、B2
リリースコントロールバルブ130のスプール132が
図4あるいは図6の右半分に示す位置に押し上げられて
Dレンジ圧の供給されるポート134を遮断する。その
ためにDレンジ圧はコーストブレーキコントロールバル
ブ150に送られないので、第4ブレーキB4 は解放さ
れたままとなり、エンジンブレーキが効くことはない。
したがってDレンジの第1速を設定するにあたって、第
3ソレノイドバルブS3 がたとえOFFフェイルしたと
しても、第4ブレーキB4 が係合することはないので、
第1速からの変速あるいは第1速への変速の際に変速シ
ョックが悪化するなどの不都合は生じない。
【0071】なお、第1速でエンジンブレーキを効かせ
る必要のあるLレンジにおいては、第3ソレノイドバル
ブS3 がON制御されて信号圧を出力しないから、B2
リリースコントロールバルブ130の制御ポート131
から排圧される。その結果、スプール132が図4ある
いは図6の左半分に示す位置に押し下げられるので、D
レンジ圧がポート134およびポート133を介してコ
ーストブレーキコントロールバルブ150に出力され、
ここから 2-3シフトバルブ230および 1-2シフトバル
ブ250ならびにシャトルバルブ240を介して第4ブ
レーキB4 に油圧が供給される。すなわち第4ブレーキ
B4 が係合してエンジンブレーキを効かせることができ
る。
【0072】また一方、Dレンジの第3速を設定する際
にも第3ソレノイドバルブS3 がOFF制御されるか
ら、第1速の場合と同様に、B2 リリースコントロール
バルブ130のポート134が閉じられてDレンジ圧は
カットされる。したがって第1ブレーキB1 に油圧が供
給されず、これが解放されたままとなるので、エンジン
ブレーキが効くことはない。
【0073】これに対して第3速でエンジンブレーキを
効かせる“3”レンジおよび“2”レンジでは、第3ソ
レノイドバルブS3 がON制御されるから、B2 リリー
スコントロールバルブ130の制御ポート131から排
圧され、その結果、Dレンジ圧がポート134およびポ
ート133を介してコーストブレーキコントロールバル
ブ150に供給され、ここで調圧されたエンジンブレー
キ圧が 2-3シフトバルブ230および 3-4シフトバルブ
100を介して第1ブレーキB1 に供給され、これが係
合することによりエンジンブレーキを効かせることがで
きる。
【0074】この“3”レンジあるいは“2”レンジの
第3速において、第3ソレノイドバルブS3 がOFFフ
ェイルした場合、B2 リリースコントロールバルブ13
0の制御ポート131に油圧が供給されるために、Dレ
ンジ圧の入力されているDレンジ圧入力ポート134が
閉じられる替わりに、エンジンブレーキレンジ圧の供給
されているエンジンブレーキレンジ圧入力ポート135
が出力ポート133に連通するので、ここからエンジン
ブレーキレンジ圧がコーストブレーキコントロールバル
ブ150に供給される。その結果、ここで調圧されたエ
ンジンブレーキ圧が第1ブレーキB1 に供給されてこれ
が係合するので、たとえ第3ソレノイドバルブS3 がO
FFフェイルしてもエンジンブレーキを効かせることが
できる。
【0075】なお、B2 リリースコントロールバルブ1
30のエンジンブレーキレンジ圧入力ポート135にエ
ンジンブレーキレンジ圧を供給する場合、ダブルオリフ
ィス136を介して供給することになるので、第1ブレ
ーキB1 の油圧の立ち上がりを緩和することができ、そ
の結果、第1ブレーキB1 と第2ブレーキB2 との干渉
を避けることができる。
【0076】上述した制御装置によれば、後進段とDレ
ンジの第1速とをソレノイドバルブS1 ,S2 ,S3 の
通電状態を同一にして設定することができる。したがっ
て後進走行しているにも拘らず、電気的なフェイルによ
ってDレンジが判断された場合、低車速であれば後進段
と同一の通電状態になるため、後進走行を継続すること
ができる。しかしながら、電子制御装置10はDレンジ
の変速マップに基づいて変速制御を実行するから、後進
走行状態での車速が増大すると、第2速へのアップシフ
トの判断を行うことになる。その場合、第2ソレノイド
バルブS2 がOFFからONに切り替わって、信号圧を
出力しなくなるから、切換弁である 3-4シフトバルブ1
00のスプール104が図6の左半分に示す位置に押し
上げられる。その結果、第3ソレノイドバルブS3 の信
号圧が 4-5シフトバルブ170の制御ポート171に出
力されずにB2 リリースコントロールバルブ130のホ
ールドポート131に出力され、その結果、副変速部3
1が高速段から低速段に切り替わってしまう。すなわ
ち、後進状態でダウンシフトが発生することになる。こ
のような不都合を解消するために上記の制御装置は、上
述のようなフェイルの発生に伴って特別な通電制御を行
うようになっている。
【0077】図10はその制御ルーチンを説明するため
のフローチャートであって、入力信号の処理(ステップ
1)を行った後、Dレンジが選択されているか否かを電
気的に判断する(ステップ2)。このステップ2の判断
は前述したシフト装置においては、第1のスイッチ群と
第2のスイッチ群との出力信号の論理和に基づいて、判
断することができる。すなわち、第1のスイッチ群にお
けるDレンジ位置のスイッチがONとなり、かつ第2の
スイッチ群が信号を出力していなければ、Dレンジと判
断することができる。なお、シフトレバーを直線的に移
動させてレンジの選択を行う通常のシフト装置において
は、フェイルセーフの観点から全てのシフトポジション
スイッチが信号を出力していない場合にDレンジと判断
するように構成することがあり、このような場合にはシ
フトポジション信号が無いことによりDレンジと判断す
ることができる。なお、このステップ2が請求項1の発
明および請求項3の発明のレンジ判断手段に相当する。
【0078】ステップ2で否定判断された場合にはリタ
ーンし、またステップ2で肯定判断された場合には実際
の走行状態からRレンジか否かを判断する(ステップ
3)。前述したように後進段では副変速部31を高速段
に設定するので、サンギヤ41が固定されてC0 センサ
82が信号を出力しない。また、後進段では変速比が大
きいから、出力軸80の回転数が前進第1速程度に低回
転数となる。したがって、C0 センサ82が信号を出力
していずに、車速センサ83が低車速を検出していれ
ば、後進段と判断することができる。あるいはエンジン
回転数と出力軸80の回転数とから変速比を求め、これ
を後進段の変速比と比較することにより、実際の走行が
後進走行であるか否かを判断することができる。このス
テップ3が請求項1の発明および請求項3の発明の後進
段判断手段に相当する。
【0079】ステップ3で否定判断された場合、実際の
走行状態とシフトポジション信号とが一致し、フェイル
が生じていないことになるので、この場合はDレンジパ
ターンでの変速制御を継続する(ステップ4)。これは
例えば、図11の(A)に示すように車速Vとスロット
ル開度θとをパラメータとして第1速から第5速までの
各変速領域を設定した変速マップに基づいた変速制御を
実行する。これは通常の変速制御と変わるところはな
い。
【0080】これに対してステップ3で肯定判断された
場合には、実際の走行状態とシフトポジション信号とが
相違するフェイルが発生していることになり、この場合
は変速制御のための変速マップとしてRレンジパターン
に変更する(ステップ5)。このRレンジパターンの一
例を図11の(B)に示してあり、これは車速Vとスロ
ットル開度θとをパラメータとした全ての領域を第1速
領域としたものである。すなわちソレノイドバルブS1
,S2 ,S3 の通電状態が後進状態と同一にされ、し
たがってこのステップ5が請求項1の発明および請求項
5の発明の通電制御手段ならびに請求項4の発明におけ
る通電状態を設定する手段に相当する。
【0081】したがって電子制御装置10は車速Vやス
ロットル開度θが変化しても第1速を出力することにな
り、したがってシフトソレノイドバルブS1 ,S2 ,S
3 の通電状態は第1速を設定する状態に維持される。こ
れは後進段を設定するための通電状態と同一であるか
ら、副変速部31は高速段(オーバードライブ状態)に
維持される。そのため、電子制御装置10がDレンジと
誤認して変速制御を行うとしてもアップシフトが生じな
いから、すなわち副変速部31が高速段から低速段に変
更されないから、後進状態でのダウンシフトが防止され
る。
【0082】上述した例は、後進段をDレンジに誤認す
るフェイルが生じた場合の制御例であるが、これに替え
て後進段を設定するためのシフトソレノイドバルブS1
,S2 ,S3 の通電状態として高車速用と低車速用と
を予め用意することにより、後進段をドライブレンジと
判定するフェイル時の後進段での不要なダウンシフトを
防止するよう構成することもできる。その例を以下に説
明する。
【0083】この実施例では、図12の作動表に示すよ
うに後進段を設定するためのソレノイドバルブS1 ,S
2 ,S3 の通電状態として、高車速用と低車速用とが用
意されている。高車速用の通電状態はこれらのシフトソ
レノイドバルブS1 ,S2 ,S3 の全てをOFFとする
通電状態であり、また低車速用の通電状態は第1ソレノ
イドバルブS1 のみをONとする通電状態である。すな
わち、高車速用の通電状態はDレンジの第5速を設定す
る通電状態と同じであり、また低車速用の通電状態はD
レンジの第1速を設定する通電状態と同一である。また
この実施例における電子制御装置10は、図13の
(A)に示す通常のDレンジにおける変速マップ以外に
図13の(B)に示すRレンジ用の変速マップを備えて
いる。このRレンジ用の変速マップは第1速の変速領域
よりも高車速側の全ての領域を第5速の変速領域とした
ものである。
【0084】そしてこの実施例においては、図14のフ
ローチャートに示すように制御を行う。すなわち入力信
号の処理(ステップ10)を行った後、電気信号に基づ
いてRレンジが設定されているか否かを判断する(ステ
ップ11)。なお、このステップ11が請求項2の発明
の後進段判断手段および請求項3の発明のレンジ判断手
段に相当する。このステップ11の判断は前述したよう
にシフト装置における第1のスイッチ群と第2のスイッ
チ群との出力信号の論理和に基づいて判断することがで
き、あるいはRレンジ位置に設けたスイッチの出力信号
の有無に基づいて判断することができる。このステップ
11において否定判断された場合にはリターンし、また
肯定判断された場合には、実際の走行状態に基づいてR
レンジが設定されているか否かを判断する(ステップ1
2)。このステップ12での判断の具体的な内容は前述
したとおりである。このステップ12が請求項3の後進
段判断手段に相当する。
【0085】ステップ12で肯定判断された場合には、
変速マップとして前述した図13の(B)に示すRレン
ジパターンを採用し、これに基づく変速制御を継続する
(ステップ13)。すなわち低車速であれば、シフトソ
レノイドバルブS1 ,S2 ,S3 の通電状態をDレンジ
の第1速を設定する通電状態と同一とし、また第1速領
域以上の車速であれば、Dレンジの第5速を設定する通
電状態とする。これらいずれの場合においても、第2ソ
レノイドバルブS2 と第3ソレノイドバルブS3 とのそ
れぞれをOFF状態とすることになり、その結果、副変
速部31は高速段に維持される。したがってこのステッ
プ13が請求項2の発明の後進段設定手段および請求項
4の発明の通電状態を設定する手段ならびに請求項5の
発明の通電制御手段に相当する。
【0086】これに対してステップ12で否定判断され
た場合には、変速マップを前述した図13の(A)に示
す通常のDレンジ用の変速パターンに変更する。したが
って、たとえ電気的にはRレンジと判定されていも実際
にはDレンジで走行していることになるから、車速の増
大に伴って第2速あるいは第3速にアップシフトされる
ことになる。すなわちRレンジ用の変速パターンでは車
速の増大に伴って直ちに第5速にアップシフトすること
になるが、Dレンジパターンに変更することによってこ
のような高速段への変速が防止される。したがって摩擦
係合装置の滑りなどによる耐久性の低下を防止すること
ができる。
【0087】また、図14に示すように制御するとすれ
ば、Dレンジで走行しているにも拘らずRレンジと判断
された場合にはRレンジパターンが採用されるから、車
速の増大に伴って第1速から第5速へのアップシフトが
生じることになる。すなわちレンジの判定のフェイルが
生じた場合には、車速の増大に伴って最高速段すなわち
副変速部31を高速段にする変速段にアップシフトされ
るから、走行を確保しつつ、フェイルセーフを確立する
ことが可能となる。なお、図14に示す制御はNレンジ
が設定されるまで継続することとしてもよい。
【0088】なお、この発明は上述した各実施例に限定
されないのであって、オーバードライブ状態の制御およ
びエンジンブレーキの制御のための信号圧を出力するソ
レノイドバルブは上記の第3ソレノイドバルブ以外のバ
ルブであってもよく、またその信号圧を上記いずれかの
制御のための信号圧に切り換える切換弁は、前述した3-
4シフトバルブに限定されず、必要に応じて適宜のバル
ブを使用できる。さらに前記信号圧をエンジンブレーキ
制御系統でいわゆる反転制御し、その信号圧の出力され
ている状態でエンジンブレーキを効かせないように制御
するバルブは、B2 リリースコントロールバルブ以外の
バルブであってもよい。
【0089】さらに上記の実施例では、 3-4シフトバル
ブあるいはこれに相当する切換弁を動作させる油圧供給
路として、 2-3シフトバルブおよびこのバルブが 3-4シ
フトバルブのホールドポートに至る油路を使用し、また
この油圧供給路に油圧を発生させる制御経路としてNレ
ンジ圧あるいはライン圧を供給する油路を使用したが、
この発明における油圧供給路および制御経路は、上記の
実施例で示した構成に限定されない。
【0090】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の制御装
置によれば、副変速部を後進段で高速段に設定し、かつ
その副変速機を高速段に設定する制御と前進レンジの第
1速でエンジンブレーキを効かせない状態とする制御と
を同一のソレノイドバルブの信号圧によって行うよう構
成した自動変速機において、後進段と前進レンジの第1
速とのソレノイドバルブの通電状態を同一としたから、
後進段と前進レンジの第1速とでレンシ判定のフェイル
が生じても、後進段で副変速部が低速段になったり、あ
るいは前進レンジの第1速でエンジンブレーキが効いた
りする不都合を解消することができる。
【0091】また請求項1に記載した発明では、実際に
は後進しているときに電気的には前進レンジが判断され
た場合、変速段を設定するためのソレノイドバルブの通
電状態を後進段の通電状態にしたので、車速の上昇に伴
ってアップシフトが判断されることがなく、したがって
後進段で副変速部を高速段に維持して変速を未然に防止
することができる。
【0092】さらに請求項2の発明では、後進段が判定
された場合には、車速に応じて前進レンジの第1速およ
び副変速部を高速段に設定する前進段と同一のソレノイ
ドバルブの通電状態とするので、後進段では必ず副変速
部を高速段に設定でき、また前進レンジを後進段に誤判
定するフェイルが生じても、前進レンジで車速が上昇す
れば、高速側の変速段が設定されて走行を確保しつつト
ルクを抑制してフェイルセーフを確立することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を模式的に示すブロック図
である。
【図2】この発明で対象とする自動変速機の歯車変速機
構を主として示すスケルトン図である。
【図3】各走行レンジおよび変速段でのソレノイドバル
ブのON・OFF状態および各摩擦係合装置の係合・解
放状態を示す図表である。
【図4】この発明の一実施例の主要な油圧回路部分を示
す図である。
【図5】この発明にかかる主要油圧回路部分を取り出し
て概略的に示す部分油圧回路図である。
【図6】図4に示す油圧回路の一部を示す図である。
【図7】図4に示す油圧回路の他の部分を示す図であ
る。
【図8】図4に示す油圧回路の更に他の部分を示す図で
ある。
【図9】シフト装置における各レンジ位置の配列を示す
図である。
【図10】フェイル時の変速マップの切り換えのための
制御ルーチンの一例を概略的に示すフローチャートであ
る。
【図11】そのDレンジ用の変速マップとRレンジ用の
変速マップとの例を示す概略的な図である。
【図12】この請求項2に記載した発明の実施例におけ
る各走行レンジおよび変速段でのソレノイドバルブのO
N・OFF状態および各摩擦係合装置の係合・解放状態
を示す図表である。
【図13】その実施例におけるDレンジ用の変速マップ
とRレンジ用の変速マップとの例を示す概略的な図であ
る。
【図14】請求項2の発明の実施例における制御ルーチ
ンの一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 自動変速機 31 副変速部 32 主変速部 100 3-4シフトバルブ 130 B2 リリースコントロールバルブ 131 制御ポート 132 スプール 133 エンジンブレーキ圧出力ポート 134 Dレンジ圧入力ポート 135 エンジンブレーキレンジ圧入力ポート 242,245 油路 B1 第1ブレーキ B4 第4ブレーキ S1 第1ソレノイドバルブ S2 第2ソレノイドバルブ S3 第3ソレノイドバルブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−157165(JP,A) 特開 昭56−164268(JP,A) 特開 平7−83322(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16H 59/00 - 61/12 F16H 61/16 - 61/24 F16H 63/40 - 63/48

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 後進状態と複数の前進状態とを設定する
    主変速部と、該主変速部に直列に連結され、高低二段に
    切り換えることのできる副変速部と、少なくとも後進段
    と前進レンジの第1速と所定の前進段とで信号圧を出力
    する第1のソレノイドバルブと、この第1のソレノイド
    バルブの出力する信号圧を、後進段と所定の前進段とで
    前記副変速部を高速段に設定する信号圧と前進レンジの
    第1速でエンジンブレーキ状態を回避する信号圧とに切
    り換える切換弁と、この切換弁を制御する信号圧を出力
    する第2のソレノイドバルブとを備え、これら第1およ
    び第2のソレノイドバルブの通電状態が後進段と前進レ
    ンジの第1速とで同一とされ、かつ第2のソレノイドバ
    ルブの通電状態が車速の増加に伴って変更される自動変
    速機の制御装置において、 電気的に指示されているレンジを判断するレンジ判断手
    段と、 実際の走行状態から後進段を判断する後進段判断手段
    と、 この後進段判断手段が後進段を判断しかつ前記レンジ判
    断手段が前進レンジを判断した場合に前記第1および第
    2のソレノイドバルブの通電状態を後進段の通電状態に
    する通電制御手段とを備えていることを特徴とする自動
    変速機の制御装置。
  2. 【請求項2】 後進状態と複数の前進状態とを設定する
    主変速部と、該主変速部に直列に連結され、高低二段に
    切り換えることのできる副変速部と、少なくとも後進段
    と前進レンジの第1速と所定の前進段とで信号圧を出力
    する第1のソレノイドバルブと、この第1のソレノイド
    バルブの出力する信号圧を、後進段と所定の前進段とで
    前記副変速部を高速段に設定する信号圧と前進レンジの
    第1速でエンジンブレーキ状態を回避する信号圧とに切
    り換える切換弁と、この切換弁を制御する信号圧を出力
    する第2のソレノイドバルブと、前記所定の前進段およ
    び第1速を含む複数の前進段を前記第1および第2のソ
    レノイドバルブとともに設定する他のソレノイドバルブ
    とを備え、これら前記各ソレノイドバルブの通電状態が
    後進段と前進レンジの第1速とで同一とされ、かつ第2
    のソレノイドバルブの通電状態が車速の増加に伴って変
    更される自動変速機の制御装置において、 後進段を判断する後進段判断手段と、 この後進段判断手段が後進段を判断しかつ車速が所定の
    車速に達した場合に前記各ソレノイドバルブの通電状態
    を前記所定の前進段を設定するための通電状態と同一に
    する後進段設定手段とを備えていることを特徴とする自
    動変速機の制御装置。
  3. 【請求項3】 後進状態と複数の前進状態とを設定する
    主変速部と、該主変速部に直列に連結され、高低二段に
    切り換えることのできる副変速部と、少なくとも後進段
    と前進レンジの第1速と所定の前進段とで信号圧を出力
    する第1のソレノイドバルブと、この第1のソレノイド
    バルブの出力する信号圧を、後進段と所定の前進段とで
    前記副変速部を高速段に設定する信号圧と前進レンジの
    第1速でエンジンブレーキ状態を回避する信号圧とに切
    り換える切換弁と、この切換弁を制御する信号圧を出力
    する第2のソレノイドバルブとを備え、これら第1およ
    び第2のソレノイドバルブの通電状態が後進段と前進レ
    ンジの第1速とで同一とされ、かつ第2のソレノイドバ
    ルブの通電状態が車速の増加に伴って変更される自動変
    速機の制御装置において、 前進レンジと後進走行のためのレンジとのいずれかが設
    定されていることを電気的に判断するレンジ判断手段
    と、 このレンジ判断手段による判断がおこなわれた後、回転
    部材の回転状態に基づいて後進段を判断する後進段判断
    手段とを備えていることを特徴とする自動変速機の制御
    装置。
  4. 【請求項4】 前記レンジ判断手段による判断よりも前
    記後進段判断手段による判断を優先して前記各ソレノイ
    ドバルブに対する通電状態を設定する手段を更に備えて
    いることを特徴とする請求項3に記載の自動変速機の制
    御装置。
  5. 【請求項5】 前記後進段判断手段が後進段を設定する
    レンジを判断しかつ前記レンジ判断手段が前進レンジを
    判断した場合に前記第1および第2のソレノイドバルブ
    の通電状態を後進段の通電状態にする通電制御手段を更
    に備えていることを特徴とする請求項3に記載の自動変
    速機の制御装置。
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