JPH0932913A - 自動変速機の制御装置 - Google Patents

自動変速機の制御装置

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Publication number
JPH0932913A
JPH0932913A JP7205382A JP20538295A JPH0932913A JP H0932913 A JPH0932913 A JP H0932913A JP 7205382 A JP7205382 A JP 7205382A JP 20538295 A JP20538295 A JP 20538295A JP H0932913 A JPH0932913 A JP H0932913A
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JP
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range
speed
shift
valve
control
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Application number
JP7205382A
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English (en)
Inventor
Atsushi Tabata
淳 田端
Masahiko Ando
雅彦 安藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Aisin AW Co Ltd
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Aisin AW Co Ltd
Toyota Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 シフト検出のフェイル時に後進段で副変速部
が低速段になること、もしくはそれに伴う摩擦係合装置
の耐久性の低下を防止する。 【構成】 後進状態と複数の前進状態とを設定する主変
速部に、高低二段に切り換えることのできる副変速部
が、直列的に連結され、所定の制御弁が出力する信号圧
を、前記副変速部を制御する信号圧と所定の前進段でエ
ンジンブレーキを効かせるエンジンブレーキ用摩擦係合
装置を係合させる信号圧とに切換弁で切り換えて使用
し、かつ副変速部を低速段にして設定する所定の前進段
を発進用の変速段とする走行モードを選択することので
きる自動変速機の制御装置において、選択されているレ
ンジを検出するシフト検出手段のフェイルが検出された
場合に、前記走行モードを禁止するよう構成されてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、車両用の自動変
速機の制御装置に関し、特に高低二段に切り換えること
のできる副変速部を備え、後進段でその副変速部を高速
段に設定する自動変速機の制御装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】車両用の自動変速機において、燃費や静
粛性を向上させるためにオーバードライブ装置が多用さ
れていることは周知のとおりである。その一例が特開平
5−157165号公報に記載されており、前進4段・
後進1段を設定するための主変速装置の入力側に、一組
の遊星歯車機構からなるオーバードライブ装置が設けら
れている。このオーバードライブ装置は、その遊星歯車
機構のキャリヤとサンギヤとをクラッチによって連結す
ることによりその全体が一体回転する低速段(直結段)
を設定し、またサンギヤをブレーキによって固定するこ
とにより高速段に設定するように構成されている。そし
て上記の公報に記載された自動変速機では、最高速段で
ある第5速を設定するためにオーバードライブ装置を高
速段にする以外に、後進段を設定する際にもオーバード
ライブ装置を高速段とし、これにより後進段での変速比
が大きくなることを防止している。
【0003】結局、上記の公報に記載された自動変速機
は、前進5段・後進1段の変速段を設定することがで
き、そのために第1ないし第3のソレノイドバルブを設
けて変速を制御している。また通常の自動変速機と同様
に第1速や第3速などの変速段でエンジンブレーキを必
要とするから、上記の自動変速機では更に第4のソレノ
イドバルブを設けて、この第4ソレノイドバルブによっ
て所定の切換弁に信号圧を送り、エンジンブレーキ状態
を選択的に設定するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の自動変速機
における油圧制御装置は、ドライブレンジやエンジンブ
レーキレンジで各変速段を設定するために、第1ないし
第4の4つのソレノイドバルブを設けているが、油圧制
御装置あるいは自動変速機の全体のコンパクト化のため
には、ソレノイドバルブの数を削減することが望まれ
る。その場合、オーバードライブ装置の高速段は、第5
速と後進段とで設定するだけであるのに対して、エンジ
ンブレーキ状態は、第1速や第3速の変速段で設定する
から、これらのいわゆる互いに干渉のない変速段で使用
されるソレノイドバルブを兼用することが考えられる。
具体的には、オーバードライブ装置を高速段に設定する
ためのソレノイドバルブを、エンジンブレーキレンジの
第1速や第3速などの変速段でエンジンブレーキ状態を
設定するように動作させることが考えられる。
【0005】しかるにいわゆるオーバードライブ用のソ
レノイドバルブをエンジンブレーキ用のソレノイドバル
ブと兼用するとした場合、ドライブ(D)レンジの第1
速ではエンジンブレーキを効かせないから、後進段設定
時とDレンジの第1速とでは、そのソレノイドバルブの
動作状態が互いに反対となる。すなわちこのソレノイド
バルブは、オーバードライブ装置を高速段に切り換える
ためのバルブであるから、フェイル時には高速段の変速
段を設定するフェイルセーフの観点から、非通電(OF
F)状態で信号圧を出力するように構成するのが通常で
ある。したがって後進段設定時には、このソレノイドバ
ルブをOFFにし、これに対してエンジンブレーキを効
かせないDレンジの第1速では、このソレノイドバルブ
をONにして信号圧を出力しないように構成することに
なる。
【0006】このように上記のソレノイドバルブをオー
バードライブ設定用とエンジンブレーキ用とに単純に兼
用するとすれば、後進段とDレンジとでソレノイドバル
ブへの通電パターンが反対となり、その結果、例えばD
レンジの第1速が設定されているにも拘わらず、電気的
なフェイルによって後進段(Rレンジ)の検出信号が出
力された場合には、前記ソレノイドバルブがOFFとな
って信号圧を出力してしまい、Dレンジの第1速でエン
ジンブレーキが効く状態になる。具体的には、第1速で
係合する一方向クラッチと並列の多板ブレーキが係合し
てしまうので、変速が円滑に実行できなくなり、変速シ
ョックが悪化する可能性がある。
【0007】このような不都合を解決するために、第1
速と後進段とにおける前記ソレノイドバルブの動作状態
を同一とすることが考えられる。その場合、そのソレノ
イドバルブが出力する信号圧をエンジンブレーキを効か
せる制御系統とオーバードライブ状態を制御する制御系
統とに切り換えて出力するバルブと、エンジンブレーキ
を効かせる制御系統において信号圧が入力されることに
よってエンジンブレーキを効かない状態にするバルブと
を設けることになる。このようにすれば、主変速装置で
の後進状態は、マニュアルバルブから出力されるRレン
ジ圧によって設定され、オーバードライブ装置の高速段
は前記ソレノイドバルブによって設定されるから、第1
速と後進段とのシフトソレノイドバルブの動作状態(通
電状態)を同一にすることができる。
【0008】上記のようにDレンジの第1速を設定する
ためのソレノイドバルブの通電状態と後進段を設定する
ためのソレノイドバルブの通電状態とを同一にすれば、
例えば電気的なフェイルによってRレンジとDレンジと
の相互の誤判定が生じて、Rレンジでオーバードライブ
装置が低速段(直結状態)になったり、Dレンジの第1
速でエンジンブレーキが効いたりする不都合を回避でき
る。
【0009】しかしながら断線などの電気的なフェイル
が生じて実際には後進段が設定されているにも拘らずD
レンジと誤判定すると、これに加えてヒルホールドモー
ドやスノーモードあるいはスポーツモードが選択されて
いた場合には、後進段でオーバードライブ装置が低速段
になる可能性がある。すなわちヒルホールドモードは、
いわゆる坂道発進の際に車両の後退を防止するモードで
あって、例えば車速が零の状態からの発進時の変速段と
して第3速などの中速段を設定し、かつその変速段でエ
ンジンブレーキを効かせるための摩擦係合装置(ブレー
キ)を係合させる。またスノーモードは、発進時にタイ
ヤにかかるトルクを抑えてスリップを防ぐモードであっ
て、発進時の変速段として第2速や第3速などの第1速
より高速側の変速段が設定される。
【0010】したがってRレンジが設定されているとき
にDレンジと誤判定した際に、ヒルホールドモードやス
ノーモードあるいはスポーツモードが設定されている
と、シフトソレノイドバルブはDレンジの第2速あるい
は第3速などを設定する通電パターン(ON/OFFパ
ターン)になるので、オーバードライブ装置は低速段に
なる。
【0011】すなわち実際には後進段が設定されてお
り、その状態でオーバードライブ装置が低速段になる。
その結果、例えばオーバードライブ装置が主変速装置に
対して動力の伝達方向で前側に連結されている場合に
は、主変速装置に入力されるトルクが大きくなり、主変
速装置を後進状態にするべく係合している摩擦係合装置
のトルク容量が相対的に不足する可能性があった。また
走行中にヒルホールドモードに切り換えられた場合に
は、後進状態であるにも拘らず、オーバードライブ装置
が低速段に切り換えられる変速が生じ、運転者に違和感
を与える可能性があった。
【0012】この発明は、上記の事情を背景としてなさ
れたものであり、走行レンジの誤判定とヒルホールドモ
ードやスノーモードあるいはスポーツモードなどの設定
とが重なった場合のショックや摩擦係合装置の耐久性の
低下などを防止することのできる制御装置を提供するこ
とを目的とするものである。
【0013】そしてこの目的は、レンジの判定にフェイ
ルが生じた場合に、前述したモードの設定を禁止し、あ
るいは主変速部における摩擦係合装置のトルク容量と入
力トルクとを適合させるように制御することによって達
成される。
【0014】
【課題を解決するための手段およびその作用】上記の目
的を達成するために、請求項1に記載された発明は、後
進状態と複数の前進状態とを設定する主変速部と高低二
段に切り換えることのできる副変速部とが動力を直列的
に伝達するよう連結されるとともに所定の制御弁が出力
する信号圧を、前記副変速部を制御する信号圧と所定の
前進段でエンジンブレーキを効かせるエンジンブレーキ
用摩擦係合装置を係合させる信号圧とに切換弁で切り換
えて使用し、かつ副変速部を低速段にして設定する所定
の前進段を発進用の変速段とする走行モードを選択する
ことのできる自動変速機の制御装置において、選択され
ているレンジを検出するシフト検出手段のフェイルが検
出された場合に、前記走行モードを禁止するよう構成さ
れていることを特徴とするものである。
【0015】したがって請求項1の発明では、シフト検
出手段のフェイルによって、後進状態であるにも拘ら
ず、他のレンジを誤判定し、かつ副変速部を、後進状態
を設定するための状態とは異なる状態に設定する走行モ
ードの選択操作が行われても、その走行モードが設定さ
れない。すなわち副変速部が後進段を設定するための状
態から切り替わらないため、後進状態で変速が生じた
り、後進状態での変速比が大きくなったりすることが防
止される。
【0016】また請求項2に記載された発明は、後進状
態と複数の前進状態とを設定する主変速部に対して高低
二段に切り換えることのできる副変速部が、動力の伝達
方向で前側に連結されるとともに所定の制御弁が出力す
る信号圧を、前記副変速部を制御する信号圧と所定の前
進段でエンジンブレーキを効かせるエンジンブレーキ用
摩擦係合装置を係合させる信号圧とに切換弁で切り換え
て使用する自動変速機の制御装置において、選択されて
いるレンジを検出するシフト検出手段のフェイルが検出
されかつそのシフト検出手段が前記所定の前進段を設定
可能なレンジを検出している場合に、ライン圧の昇圧制
御を実行するよう構成されていることを特徴とするもの
である。
【0017】したがってこの請求項2の発明では、レン
ジの誤判定によって後進段で副変速部を低速段に設定す
る事態が生じた場合、主変速部において後進状態を設定
するために係合する摩擦係合装置の係合圧がライン圧の
昇圧によって高くなるから、その摩擦係合装置のトルク
容量の不足やそれに起因する滑り、あるいは摩耗の進行
による耐久性の低下などが防止される。
【0018】請求項3に記載された発明は、後進状態と
複数の前進状態とを設定する主変速部と高低二段に切り
換えることのできる副変速部とが動力を直列的に伝達す
るよう連結されるとともに所定の制御弁が出力する信号
圧を、前記副変速部を制御する信号圧と所定の前進段で
エンジンブレーキを効かせるエンジンブレーキ用摩擦係
合装置を係合させる信号圧とに切換弁で切り換えて使用
する自動変速機の制御装置において、選択されているレ
ンジを検出するシフト検出手段のフェイルが検出されか
つそのシフト検出手段が前記所定の前進段を設定可能な
レンジを検出している場合に、エンジントルクの低減制
御を実行するよう構成されていることを特徴とするもの
である。
【0019】したがって請求項3の発明では、レンジの
誤判定によって後進段で副変速部を低速段に設定する事
態が生じた場合、変速比が大きくなるとしてもエンジン
トルクが低下するために、走行トルクの増大が抑制され
る。
【0020】請求項4に記載された発明は、後進状態と
複数の前進状態とを設定する主変速部と高低二段に切り
換えることのできる副変速部とが動力を直列的に伝達す
るよう連結されるとともに所定の制御弁が出力する信号
圧を、前記副変速部を制御する信号圧と所定の前進段で
エンジンブレーキを効かせるエンジンブレーキ用摩擦係
合装置を係合させる信号圧とに切換弁で切り換えて使用
し、かつ通常の発進段より高速側の変速段を発進用変速
段とする発進モードを選択可能な自動変速機の制御装置
において、選択されているレンジを検出するシフト検出
手段のフェイルが検出された場合に、前記発進モードを
禁止するよう構成されていることを特徴とするものであ
る。
【0021】したがってこの請求項4の発明では、レン
ジの誤判定により後進段が設定されているにも拘らず前
進レンジを判定し、かつ通常の発進段より高速側の変速
段を発進時の変速段とするモードが可能であっても、発
進時には通常の発進段を判定することになるために、副
変速部を後進段を設定するための状態とは異ならせるこ
とがない。すなわちレンジの誤判定に基づいて後進段で
副変速部を低速段にすることが防止されるので、後進段
での変速やそれに伴う違和感を防止できる。
【0022】さらに請求項5に記載された発明は、後進
状態と複数の前進状態とを設定する主変速部に対して高
低二段に切り換えることのできる副変速部が、動力の伝
達方向で前側に連結されるとともに、所定の制御弁が出
力する信号圧を、前記副変速部を制御する信号圧と所定
の前進段でエンジンブレーキを効かせるエンジンブレー
キ用摩擦係合装置を係合させる信号圧とに切換弁で切り
換えて使用し、かつ通常の発進段より高速側の変速段を
発進用変速段とする発進モードを選択可能な自動変速機
の制御装置において、選択されているレンジを検出する
シフト検出手段のフェイルが検出されかつそのシフト検
出手段が通常の発進段より高速側の前記変速段を設定可
能なレンジを検出している場合に、ライン圧の昇圧制御
を実行するよう構成されていることを特徴とするもので
ある。
【0023】したがってこの請求項5の発明では、レン
ジの誤判定および通常の発進段より高速側の変速段を発
進用変速段とするモードの選択によって後進段で副変速
部を低速段に設定する事態が生じた場合、主変速部にお
いて後進状態を設定するために係合する摩擦係合装置の
係合圧が、ライン圧の昇圧によって高くなるから、その
摩擦係合装置のトルク容量の不足やそれに起因する滑
り、あるいは摩耗の進行による耐久性の低下などが防止
される。
【0024】そして請求項6に記載された発明は、後進
状態と複数の前進状態とを設定する主変速部と高低二段
に切り換えることのできる副変速部とが動力を直列的に
伝達するよう連結されるとともに所定の制御弁が出力す
る信号圧を、前記副変速部を制御する信号圧と所定の前
進段でエンジンブレーキを効かせるエンジンブレーキ用
摩擦係合装置を係合させる信号圧とに切換弁で切り換え
て使用し、かつ通常の発進段より高速側の変速段を発進
用変速段とする発進モードを選択可能な自動変速機の制
御装置において、選択されているレンジを検出するシフ
ト検出手段のフェイルが検出されかつそのシフト検出手
段が通常の発進段より高速側の前記変速段を設定可能な
レンジを検出している場合に、エンジントルクの低減制
御を実行するよう構成されていることを特徴とするもの
である。
【0025】したがってこの請求項6の発明では、レン
ジの誤判定および通常の発進段より高速側の変速段を発
進用変速段とするモードの選択によって後進段で副変速
部を低速段に設定する事態が生じた場合、変速比が大き
くなるとしてもエンジントルクが低下するために、走行
トルクの増大が抑制される。
【0026】
【発明の実施の形態】つぎにこの発明を図面を参照して
より具体的に説明する。図1はこの発明の一例を模式的
に示しており、自動変速機1を連結してあるエンジン2
は、その吸気管路3にメインスロットルバルブ4とその
上流側に位置するサブスロットルバルブ5とを有してい
る。そのメインスロットルバルブ4はアクセルペダル6
に連結されていて、アクセルペダル6の踏み込み量に応
じて開閉される。またサブスロットルバルブ5は、モー
タ7によって開閉されるようになっている。
【0027】このサブスロットルバルブ5の開度を調整
するためにモータ7を制御し、またエンジン2の燃料噴
射量および点火時期などを制御するためのエンジン用電
子制御装置(E−ECU)8が設けられている。この電
子制御装置8は、中央演算処理装置(CPU)および記
憶装置(RAM、ROM)ならびに入出力インターフェ
ースを主体とするものであって、この電子制御装置8に
は、制御のためのデータとして、エンジン(E/G)回
転数N、吸入空気量Q、吸入空気温度、スロットル開
度、車速、エンジン水温、ブレーキスイッチからの信号
などの各種の信号が入力されている。
【0028】自動変速機1における変速およびロックア
ップクラッチならびにライン圧は、油圧制御装置9によ
って制御される。その油圧制御装置9は、電気的に制御
されるように構成されており、また変速を実行するため
の第1ないし第3のシフトソレノイドバルブS1 ,〜S
3 、ライン圧を制御するためのリニアソレノイドバルブ
SLT、アキュームレータ背圧を制御するためのリニアソ
レノイドバルブSLN、ロックアップクラッチを制御する
ためのリニアソレノイドバルブSLUが設けられている。
【0029】これらのソレノイドバルブに信号を出力し
て変速やライン圧あるいはアキュームレータ背圧などを
制御する自動変速機用電子制御装置(T−ECU)10
が設けられている。この自動変速機用電子制御装置10
は、中央演算処理装置(CPU)および記憶装置(RA
M、ROM)ならびに入出力インターフェースを主体と
するものであって、この電子制御装置10には、制御の
ためのデータとしてスロットル開度、車速、エンジン水
温、ブレーキスイッチからの信号、シフト装置における
後述するスイッチ群によるシフトポジション信号、パタ
ーンセレクトスイッチからの信号、オーバードライブス
イッチからの信号、後述するクラッチC0 の回転速度を
検出するC0 センサからの信号、車速センサからの信
号、自動変速機の油温、マニュアルシフトスイッチから
の信号、ホールドモードスイッチからの信号、スノーモ
ードスイッチからの信号あるいはスポーツモードスイッ
チからの信号などが入力されている。
【0030】またこの自動変速機用電子制御装置10と
エンジン用電子制御装置8とは、相互にデータ通信可能
に接続されており、エンジン用電子制御装置8から自動
変速機用電子制御装置10に対しては、1回転当たりの
吸入空気量(Q/N)などの信号が送信され、また自動
変速機用電子制御装置10からエンジン用電子制御装置
8に対しては、各ソレノイドバルブに対する指示信号と
同等の信号および変速段を指示する信号などが送信され
ている。
【0031】すなわち自動変速機用電子制御装置10
は、入力されたデータや予め記憶させてある変速マップ
に基づいて変速段やロックアップクラッチのON/OF
Fを判断し、あるいはライン圧の調圧レベルなどを判断
し、その判断結果に基づいて所定のソレノイドバルブに
指示信号を出力し、さらにフェイルの判断やそれに基づ
く制御を行うようになっている。またホールドモードス
イッチがON操作されている場合には、所定の前進段
(例えば第3速)を設定し、かつその変速段でエンジン
ブレーキを効かせる摩擦係合装置を係合させる変速信号
を出力し、さらにスノーモードスイッチがON操作され
た場合には、発進用の変速段として第1速より高速側の
変速段(例えば第3速)を設定する変速信号を出力する
ようになっている。これに対してエンジン用電子制御装
置8は、入力されたデータに基づいて燃料噴射量や点火
時期あるいはサブスロットルバルブ5の開度などを制御
することに加え、自動変速機1での変速時に燃料噴射量
を削減し、あるいは点火時期を変え、もしくはサブスロ
ットルバルブ5の開度を絞ることにより、出力トルクを
一時的に低下させるようになっている。
【0032】図2は上記の自動変速機1の歯車列の一例
を示す図であり、ここに示す構成では、前進5段・後進
1段の変速段を設定するように構成されている。すなわ
ちここに示す自動変速機1は、トルクコンバータ30
と、副変速部31と、主変速部32とを備えている。そ
のトルクコンバータ30は、ロックアップクラッチ33
を有しており、このロックアップクラッチ33は、ポン
プインペラ34に一体化させてあるフロントカバー35
とタービンラナン36を一体に取付けた部材(ハブ)3
7との間に設けられている。エンジンのクランクシャフ
ト(それぞれ図示せず)はフロントカバー35に連結さ
れ、またタービンラナン36を連結してある入力軸38
は、副変速部31を構成するオーバードライブ用遊星歯
車機構39のキャリヤ40に連結されている。
【0033】この遊星歯車機構39におけるキャリヤ4
0とサンギヤ41との間には、多板クラッチC0 と一方
向クラッチF0 とが設けられている。なお、この一方向
クラッチF0 はサンギヤ41がキャリヤ40に対して相
対的に正回転(入力軸38の回転方向の回転)する場合
に係合するようになっている。またサンギヤ41の回転
を選択的に止める多板ブレーキB0 が設けられている。
そしてこの副変速部31の出力要素であるリングギヤ4
2が、主変速部32の入力要素である中間軸43に接続
されている。
【0034】したがって副変速部31は、多板クラッチ
C0 もしくは一方向クラッチF0 が係合した状態では遊
星歯車機構39の全体が一体となって回転するため、中
間軸43が入力軸38と同速度で回転し、低速段とな
る。またブレーキB0 を係合させてサンギヤ41の回転
を止めた状態では、リングギヤ42が入力軸38に対し
て増速されて正回転し、高速段となる。
【0035】他方、主変速部32は三組の遊星歯車機構
50,60,70を備えており、それらの回転要素が以
下のように連結されている。すなわち第1遊星歯車機構
50のサンギヤ51と第2遊星歯車機構60のサンギヤ
61とが互いに一体的に連結され、また第1遊星歯車機
構50のリングギヤ53と第2遊星歯車機構60のキャ
リヤ62と第3遊星歯車機構70のキャリヤ72との三
者が連結され、かつそのキャリヤ72に出力軸80が連
結されている。さらに第2遊星歯車機構60のリングギ
ヤ63が第3遊星歯車機構70のサンギヤ71に連結さ
れている。
【0036】この主変速部32の歯車列では、後進段と
前進側の四つの変速段とを設定することができ、そのた
めのクラッチおよびブレーキが以下のように設けられて
いる。先ずクラッチについて述べると、互いに連結され
ている第2遊星歯車機構60のリングギヤ63および第
3遊星歯車機構70のサンギヤ71と中間軸43との間
に第1クラッチC1 が設けられ、また互いに連結された
第1遊星歯車機構50のサンギヤ51および第2遊星歯
車機構60のサンギヤ61と中間軸43との間に第2ク
ラッチC2 が設けられている。
【0037】つぎにブレーキについて述べると、第1ブ
レーキB1 はバンドブレーキであって、第1遊星歯車機
構50および第2遊星歯車機構60のサンギヤ51,6
1の回転を止めるように配置されている。またこれらの
サンギヤ51,61(すなわち共通サンギヤ軸)とケー
シング81との間には、第1一方向クラッチF1 と多板
ブレーキである第2ブレーキB2 とが直列に配列されて
おり、その第1一方向クラッチF1 はサンギヤ51,6
1が逆回転(入力軸38の回転方向とは反対方向の回
転)しようとする際に係合するようになっている。多板
ブレーキである第3ブレーキB3 は第1遊星歯車機構5
0のキャリヤ52とケーシング81との間に設けられて
いる。そして第3遊星歯車機構70のリングギヤ73の
回転を止めるブレーキとして多板ブレーキである第4ブ
レーキB4 と第2一方向クラッチF2 とがケーシング8
1との間に並列に配置されている。なお、この第2一方
向クラッチF2 はリングギヤ73が逆回転しようとする
際に係合するようになっている。
【0038】上述した各変速部31,32の回転部材の
うち副変速部31のクラッチC0 の回転数を検出するC
0 センサ82と、出力軸80の回転数を検出する車速セ
ンサ83とが設けられている。
【0039】上記の自動変速機1では、各クラッチやブ
レーキを図3の作動表に示すように係合・解放すること
により前進5段・後進1段の変速段を設定することがで
きる。なお、図3において○印はON状態あるいは係合
状態、×印はOFF状態あるいは解放状態、◎印はロッ
クアップクラッチのON制御状態、●印は変速中にデュ
ーティ制御することをそれぞれ示す。
【0040】図3の作動表に示すように、副変速部31
をオーバードライブ状態と直結状態とに切り換える制御
と第1速および第3速でエンジンブレーキを効かせる制
御とを第3ソレノイドバルブS3 で行うようになってお
り、そのために図4に示す油圧回路が設けられている。
図4はこの発明に関係する主要部分のみを示しており、
そのうちの更に特徴的な部分を模式的に示せば、図5の
とおりである。
【0041】第3ソレノイドバルブS3 は、ライン圧P
L を元圧とし、OFF状態で信号圧を出力するノーマル
オープタイプのバルブであって、主として副変速部31
を切換え制御するために設けられており、図4および図
5に示す構成では、これを第1速と第3速とのエンジン
ブレーキを制御するために転用するようになっている。
より具体的には、第3ソレノイドバルブS3 は、副変速
部31をオーバードライブ状態に設定する第5速と後進
段とでOFF制御されて信号圧(パイロット圧)を出力
することに加え、ドライブ(D)レンジの第1速ないし
第3速でOFF制御されて信号圧を出力するが、このD
レンジの第1速および第3速では、第3ソレノイドバル
ブS3 の信号圧をB2 リリースコントロールバルブによ
っていわゆる反転制御し、これら第1速あるいは第3速
でエンジンブレーキを効かせるためのブレーキB1 ,B
4 への油圧の供給を遮断するようになっている。
【0042】すなわち図5において、 3-4シフトバルブ
100は、各レンジおよび変速段のそれぞれで図の下側
に記号で示すように各ポートが連通させられるスプール
バルブであり、第3ソレノイドバルブS3 はポート10
1に接続されている。このポート101は、ニュートラ
ル(N)レンジおよび第1〜3速でポート102に連通
させられ、このポート102からB2 リリースコントロ
ールバルブ130の制御ポート131に信号圧を送るよ
うになっている。またポート101は第4,5速および
Rレンジでポート103に連通させられ、ここから後述
する 4-5シフトバルブ170の制御ポート171に信号
圧を送るようになっている。すなわち 3-4シフトバルブ
100が第3ソレノイドバルブS3 の信号圧を、エンジ
ンブレーキ制御系統とオーバードライブ制御系統とに切
り換えて出力するようになっている。
【0043】B2 リリースコントロールバルブ130
は、4つのランドのあるスプール132を有しており、
制御ポート131に信号圧が供給されることによりスプ
ール132が図5の左半分に示す位置に下がり、また反
対に制御ポート131から排圧されることによりスプー
ル132が図5の右半分に示す位置に押し上げられるよ
うになっている。このB2 リリースコントロールバルブ
130のポートのうちエンジンブレーキ圧出力ポート1
33を挟んでDレンジ圧入力ポート134とエンジンブ
レーキレンジ圧入力ポート135とが形成されている。
そして第3ソレノイドバルブS3 の信号圧が制御ポート
131に印加されてスプール132が図5の左半分に示
す位置にあるときに、エンジンブレーキレンジ圧入力ポ
ート135がエンジンブレーキ圧出力ポート133に連
通する。
【0044】また第3ソレノイドバルブS3 の信号圧が
制御ポート131に印加されていないことによりスプー
ル132が図5の右半分に示す位置にあるときに、Dレ
ンジ圧入力ポート134がエンジンブレーキ圧出力ポー
ト133に連通する。なお、第3ソレノイドバルブS3
はDレンジの第1速ないし第3速でOFF制御されて信
号圧を出力するので、この場合は、前記Dレンジ圧入力
ポート134が閉じられ、またDレンジであればエンジ
ンブレーキレンジ圧が発生していないから、エンジンブ
レーキ圧出力ポート133から油圧が出力されない。
【0045】上記のエンジンブレーキ圧出力ポート13
3はコーストブレーキコントロールバルブ150の入力
ポート151に接続されている。このコーストブレーキ
コントロールバルブ150は、入力された油圧を調圧し
て出力するバルブであり、2つのランドを形成したスプ
ール152と、その一端側に配置したプランジャ153
と、スプール152とプランジャ153との間に配置し
たスプリング154とを有している。そして入力ポート
151側のランドにはその両端面に開口する貫通孔が形
成され、出力圧をスプール152の端面に作用させるよ
うになっている。またプランジャ153の端部にはアキ
ュームレータ背圧コントロール圧PACCが供給され、こ
れにより調圧レベルを変えるようになっている。そして
入力ポート151に選択的に連通させられる出力ポート
155から第1速あるいは第3速でのエンジンブレーキ
用摩擦係合装置である第1ブレーキB1 もしくは第4ブ
レーキB4 に対して油圧を出力するようになっている。
【0046】すなわちDレンジ圧の発生するDレンジで
の第1速および第3速では、第3ソレノイドバルブS3
がOFF制御されて信号圧を出力していても、Dレンジ
圧がB2 リリースコントロールバルブ130で遮断され
るから、第1ブレーキB1 あるいは第4ブレーキB4 に
油圧が送られず、これらが解放状態となるので、エジン
ブレーキは効かない。すなわち第3ソレノイドバルブS
3 の信号圧がいわゆる反転制御される。
【0047】これに対して第1速でエンジンブレーキを
効かせるLレンジでは、第3ソレノイドバルブS3 がO
N制御されて信号圧を出力しないから、B2 リリースコ
ントロールバルブ130のスプール132は図5の右半
分に示す位置に押し上げられ、その結果、Dレンジ圧入
力ポート134と出力ポート133とが連通してDレン
ジ圧が第4ブレーキB4 に送られ、これが係合する。な
お、Dレンジ圧は全ての前進レンジで発生する。また第
3速でエンジンブレーキを効かせる“3”レンジあるい
は“2”レンジにおいても、第3ソレノイドバルブS3
がON制御されるから、上述したLレンジでの第1速の
場合と同様に、コーストブレーキコントロールバルブ1
50を介して第1ブレーキB1 に油圧が送られてこれが
係合し、エンジンブレーキを効かせることができる。
【0048】またDレンジにおいて第3ソレイドバルブ
S3 がOFFフェイルした場合には、B2 リリースコン
トロールバルブ130のDレンジ圧入力ポート134が
閉じられるからエンジンブレーキが効くことはなく、し
たがって変速ショックを防止することができる。
【0049】さらにB2 リリースコントロールバルブ1
30のスプール132が図5の右半分に示す位置に固定
されてしまういわゆるバルブスティックが生じた場合、
エンジンブレーキ圧入力ポート135と出力ポート13
3とが常時連通するので、エンジンブレーキレンジであ
る“3”レンジあるいは“2”レンジにおいて出力ポー
ト133から油圧を出力でき、第3速において第1ブレ
ーキB1 を係合させてエンジンブレーキを効かせること
ができる。
【0050】なお、エンジンブレーキ圧入力ポート13
5に連通する油路にオリフィス136を設けてあるの
は、第1ブレーキB1 と第2ブレーキB2 との干渉を避
けるためであり、第1ブレーキB1 を第3速で係合させ
る場合、第2ブレーキB2 の係合を先行させるべくオリ
フィス136により油圧の供給速度を遅くする。
【0051】つぎに図4に示す油圧回路について更に具
体的に説明する。なお、作図の都合上、図4を複数の部
分に分割して示す図6ないし図8を参照して以下に説明
する。
【0052】先ず、B2 リリースコントロールバルブ1
30について更に説明すると、図6にはB2 リリースコ
ントロールバルブ130を図5とは上下を反転して記載
してあり、前述した各ポートの接続状態に加え、B2 ポ
ート137には第2ブレーキB2 が接続されており、こ
のB2 ポート137に選択的に連通されるポート138
にはチェックボール付きオリフィス139を介して油路
140が接続されている。また第2ブレーキB2 はオリ
フィス141を介してこの油路140に連通されてい
る。したがってB2 ポート137をポート138に連通
させることにより、第2ブレーキB2 はオリフィス14
1のみならずチェックボール付きオリフィス139をも
介して油路140に連通されるので、その排圧速度が増
大させられる。このようにB2 リリースコントロールバ
ルブ130は、その制御ポート131に第3ソレノイド
バルブS3 の信号圧を供給し、あるいは排圧することに
より、第2ブレーキB2 からの排圧速度すなわち第2ブ
レーキB2 の解放速度を緩急に切り換えるように構成さ
れている。
【0053】他方、エンジンブレーキレンジ圧入力ポー
ト135に接続された油路142は、前述したオリフィ
ス(ダブルオリィス)136を有するとともに、排圧方
向で開くチェックボール付きオリフィス143がダブル
オリフィス136に対して並列に設けられている。そし
てこの油路142が後述する 1-2シフトバルブに接続さ
れている。
【0054】つぎに 3-4シフトバルブ100について説
明すると、前述したポート101,102,103の連
通状態を切り換えるスプール104は6つのランドを有
しており、中間部分に形成されたブレーキポート105
には第1ブレーキB1 が接続されている。またこのブレ
ーキポート105に隣接する入力ポート106は、後述
する 2-3シフトバルブを介してコーストブレーキコント
ロールバルブ150に連通されている。そして前述した
ポート103は油路107を介して 4-5シフトバルブ1
70の制御ポート171に連通されている。
【0055】またこの 3-4シフトバルブ100は、第2
ソレノイドバルブS2 が出力する信号圧と、後述するD
レンジ圧とによって動作するよう構成されている。すな
わちスプリング室に開口するホールドポート108にD
レンジ圧が供給され、このホールドポート108とはス
プール104を挟んで反対側の制御ポート109に第2
ソレノイドバルブS2 が接続されている。なお、この第
2ソレノイドバルブS2 は、ライン圧PL を元圧とし、
OFF状態で信号圧を出力し、かつON状態で信号圧の
出力を遮断するノーマルクローズタイプのソレノイドバ
ルブである。
【0056】一方、 4-5シフトバルブ170は、前記副
変速部31をオーバードライブ状態(高速段)あるいは
直結状態(低速段)に制御するためのバルブであって、
5つのランドを有するスプール176によってポートの
連通状態を切り換えるよう構成されている。これらのポ
ートのうちライン圧油路PL を接続してある入力ポート
172に対して選択的に連通されるブレーキポート17
3に、副変速部31におけるブレーキB0 が接続されて
いる。また入力ポート172に対し前記ブレーキポート
173とは反対側に位置する出力ポート174は、油路
175を介してC0 エキゾーストバルブ190に接続さ
れている。
【0057】したがって油路107を介して第3ソレノ
イドバルブS3 の信号圧が制御ポート171に加えられ
ると、スプール176が図6の右半分に示す位置に押し
下げられ、その結果、入力ポート172がブレーキポー
ト173に連通してブレーキB0 に油圧が供給される。
これとは反対に制御ポート171から排圧されると、ス
プール176は図6の左半分に示す位置に押し上げら
れ、その結果、入力ポート172が出力ポート174に
連通され、C0 エキゾーストバルブ190に油圧が送ら
れ、クラッチC0 が係合する。なお、図6において符号
210はソレノイドリレーバルブを示し、ロックアップ
用リニアソレノイドバルブSLUからの信号圧の給排を制
御し、また第3ブレーキB3 への油圧の給排を制御する
ように構成されている。なお、その他の油路の接続状態
は図に示すとおりである。
【0058】図7において、コーストブレーキコントロ
ールバルブ150の入力ポート151には、前述したB
2 リリースコントロールバルブ130のポート133に
接続させた油路156が接続されており、また出力ポー
ト155には調圧したブレーキ圧を第1ブレーキB1 あ
るいは第4ブレーキB4 に対して出力するための油路1
57が接続されている。また、これらの油路156,1
57はチェックボール付きオリフィス158を介して相
互に接続されており、第1ブレーキB1 あるいは第4ブ
レーキB4 から排圧するときは、このチェックボール付
きオリフィス158が開くようになっている。
【0059】ブレーキ圧の供給先を第1ブレーキB1 あ
るいは第4ブレーキB4 に切り換える制御および 3-4シ
フトバルブ100のホールドポート108へのDレンジ
圧の供給の制御は、 2-3シフトバルブ230によって行
われる。 2-3シフトバルブ230は、7つのランドを有
するスプール231によってポートの連通状態の切り換
えを行うバルブであって、スプール231の一端側にス
プリング232が設けられるとともに、この端部に開口
するホールドポート233には、Lレンジ圧が供給され
るようになっている。
【0060】ブレーキ圧を供給する前記油路157が、
中間部のポート234に連通されており、このポート2
34に対し図7での上側の出力ポート235が前述した
3-4シフトバルブ100の入力ポート106に接続され
ている。またポート234に対して図7での下側に位置
する第2の出力ポート236は、油路237を介して1-
2シフトバルブ250に接続されている。さらにホール
ドポート233とはスプール231を挟んで反対側に位
置する制御ポート239には、第1ソレノイドバルブS
1 が接続されている。
【0061】この第1ソレノイドバルブS1 は、OFF
状態でドレインポートを閉じ、ON状態でドレインポー
トを開くノーマルオープンタイプのソレノイドバルブで
あって、ストレーナ320およびオリフィス321を介
して供給されるDレンジ圧をOFF状態で制御ポート2
39に印加し、ON状態で排圧するようになっている。
したがってLレンジ圧がホールドポート233に作用し
ていない状態では、この 2-3シフトバルブ230は、第
1ソレノイドバルブS1 によって制御される。そしてこ
の 2-3シフトバルブ230は、第1速、第2速、Nレン
ジおよびRレンジでスプール231が図7の左半分に示
す位置に押し上げられ、また第3速ないし第5速でスプ
ール231が図7の右半分に示す位置に押し下げられる
よう構成されている。
【0062】したがって第1速でエンジンブレーキを効
かせる場合には、ポート234が第2の出力ポート23
6に連通させられて、ここからブレーキ圧を出力し、ま
た第3速でエンジンブレーキを効かせる場合にはポート
234が出力ポート235に連通させられてここからブ
レーキ圧を 3-4シフトバルブ100を介して第1ブレー
キB1 に供給するように構成されている。なお、第2ブ
レーキB2 はポート238に接続されている。
【0063】さらに 2-3シフトバルブ230は、Dレン
ジ圧の供給されるDレンジ圧入力ポート301を備えて
おり、ここに油路302が接続されている。またこのポ
ート301を挟んで図の上下両側に第1Dレンジ圧出力
ポート303と第2Dレンジ圧出力ポート304とが形
成されている。そしてDレンジ圧入力ポート301は、
第3速ないし第5速で図7の上側の第1Dレンジ圧出力
ポート303に連通し、それ以外の変速段およびNレン
ジならびにRレンジで図7の下側の第2Dレンジ圧出力
ポート304に連通するようになっている。またこの第
2Dレンジ圧出力ポート304が油路305を介して前
記 3-4シフトバルブ100のホールドポート108に接
続されている。このDレンジ圧は後述するようにDレン
ジを含む前進レンジで油路302に発生する油圧であ
り、したがって第1速および第2速のときに 3-4シフト
バルブ100のホールドポート108にDレンジ圧が 2
-3シフトバルブ230を介して供給される。
【0064】第1速でエンジンブレーキを効かせる際に
係合させられる第4ブレーキB4 は、シャトルバルブ2
40を介して 1-2シフトバルブ250に接続されてい
る。この 1-2シフトバルブ250は4つのランドを有す
るスプール251によってポートの連通状態を切り換え
るバルブであって、前記 2-3シフトバルブ230の第2
出力ポート236が入力ポート252に接続されてお
り、この入力ポート252とドレインポート253とに
選択的に連通される出力ポート254にシャトルバルブ
240が接続されている。
【0065】またエンジンブレーキレンジ圧を前記B2
リリースコントロールバルブ130に供給する油路14
2が他の出力ポート255に接続されており、この出力
ポート255に選択的に連通されるエンジンブレーキポ
ート256には、“3”レンジ圧を供給する油路257
と“2”レンジ圧を供給する油路258とが接続されて
いる。さらにスプール251をその軸線方向に押圧する
スプリングを配置してある箇所に開口したホールドポー
ト259が形成されており、このホールドポート259
が前記 2-3シフトバルブ230の第1Dレンジ圧出力ポ
ート303に接続されている。またこのホールドポート
259と反対側の制御ポートには第2ソレノイドバルブ
S2 が接続されている。
【0066】したがってこの 1-2シフトバルブ250の
スプール251は第1速、NレンジおよびRレンジにお
いて図7の右半分に示す位置に押し下げられる。この状
態では、入力ポート252が出力ポート254に連通す
る。また第2速ないし第5速ではスプール251が図7
の左半分に示す位置に押し上げられ、その結果、エンジ
ンブレーキポート256が他の出力ポート255に連通
する。なお、他の油路の接続状態は図7に示すとおりで
ある。
【0067】さらにマニュアルバルブ260について説
明すると、このマニュアルバルブ260は、手動操作さ
れてパーキング(P)レンジ、Rレンジ、Nレンジ、D
レンジ、“3”レンジ、“2”レンジおよびLレンジの
7ポジションを設定することのできるバルブであり、ラ
イン圧油路PL が接続された入力ポート265をPレン
ジ以外の各レンジに対応させて設けたポートに連通させ
るようになっている。すなわちNレンジを設定した場合
には、図7に示すように入力ポート265に対して他の
ポートが遮断される。またDレンジを設定した場合に
は、Dレンジ圧をDポート261から出力し、また
“3”レンジを設定した場合には、Dポート261およ
び“3”ポート262とから油圧を出力し、この“3”
ポートから出力される油圧がいわゆる“3”レンジ圧で
ある。また“2”レンジを設定した場合に、Dポート2
61および“3”ポート262ならびに“2”ポート2
63とから油圧を出力するようになっている。この
“2”ポート263から出力される油圧が“2”レンジ
圧である。
【0068】なお、Dポート261は第1クラッチC1
に連通され、“3”ポート262には、前述した油路2
57が接続され、また“2”ポート263には、前記油
路258が接続されている。そしてLレンジに設定した
場合には、Dポート261、“3”ポート262、
“2”ポート263およびLポート264から油圧を出
力し、このLポート264から出力した油圧が前記 2-3
シフトバルブ230のホールドポート233に供給され
る。
【0069】そしてRレンジに設定した場合には、入力
ポート265がRポート267に連通し、ここからRレ
ンジ圧が出力される。このRポート267には、特には
図示しないが、リバースコントロールバルブを介してシ
ャトルバルブ240および第4ブレーキB4 と、図示し
ない他のシャトルバルブおよび第2クラッチC2 とが接
続されている。したがってマニュアルバルブ260によ
ってRレンジを設定すれば、電気的な制御を行うことな
く、これら第2クラッチC2 と第4ブレーキB4 とが係
合して主変速部32が後進状態になる。なお、Pレンジ
を設定した場合には、入力ポート265が閉じられる。
【0070】また図7で符号270はB3 コントロール
バルブであって、ソレノイドリレーバルブ210を介し
て供給されるリニアソレノイドバルブSLUの信号圧を制
御ポート271に供給することにより調圧レベルを変
え、第2速を設定する際に係合させる第3ブレーキB3
への供給油圧を制御するように構成されている。このB
3 コントロールバルブ270の構成は従来から知られて
いるので、図7に主な油路の接続状態を示してその説明
を省略する。
【0071】なお、前記C0 エキゾーストバルブ190
は副変速部31のクラッチC0 を制御するためのバルブ
であって、図8に示すように、Dレンジの第2速では第
1制御ポート191に油圧が供給されることにより、第
1速ないし第4速およびNレンジでライン圧PL が供給
される第1入力ポート192を閉じるようになってい
る。またこの時、“2”レンジ圧が入力される第2入力
ポート193が出力ポート194に連通されるようにな
っている。したがってDレンジの第2速では、油圧を出
力しないためにクラッチC0 が解放され、また“2”レ
ンジおよびLレンジでは、第2入力ポート193に
“2”レンジ圧が供給されるので、クラッチC0 が係合
してエンジンブレーキが効くようになっている。さらに
第2制御ポート195には、リニアソレノイドバルブS
LUの信号圧が供給されるようになっている。
【0072】なお、図8において符号280はリニアソ
レノイドバルブSLTによって制御されるリレーバルブで
あり、また符号290はアキュームレータを示す。さら
に符号295は、アキュームレータ背圧PACC を調圧す
るためのアキュームレータコントロールバルブを示す。
【0073】さらにここで、各レンジを選択するための
シフト装置について説明する。この実施例においては、
各レンジ位置を図9に示すように配列したシフトパター
ンのシフト装置が採用されている。その配列を簡単に説
明すると、パーキング(P)レンジ位置に続けてリバー
ス(R)レンジ位置が配置され、これらの配列方向に対
して斜め方向の位置にRレンジに続けてニュートラル
(N)レンジ位置が設けられている。ドライブ(D)レ
ンジ位置は、このNレンジに対して、前記Pレンジ位置
とRレンジ位置との配列方向と平行に配置され、さらに
4速レンジ位置が、これらの配列方向に対して直行する
方向に屈曲した位置に配置されている。さらに3速レン
ジ位置が、4速レンジ位置に対して、前記NレンジとD
レンジとの配列方向と平行な方向に配置され、2速レン
ジ位置は、前記Rレンジ位置に対するNレンジ位置と同
様な関係となる位置に設けられ、そしてロー(L)レン
ジ位置は、Dレンジ位置に対する4速レンジ位置と同様
な関係となる位置に設けられている。
【0074】これらの走行レンジのうち、Dレンジで
は、図4に示す前進5段を達成することができ、これに
対して4速レンジでは、オーバードライブ段である第5
速のない前進4段を達成することができ、さらに3速レ
ンジでは第3速までの変速段、2速レンジでは第2速ま
での変速段をそれぞれ達成することができ、そしてLレ
ンジでは第1速のみを達成することができる。
【0075】上記の各レンジ位置を検出し、またフェイ
ルを判断するために、2つのスイッチ群が設けられてい
る。その詳細は特開平5−306764号公報に記載さ
れているとおりであり、これを簡単に説明すると、Pレ
ンジ位置とRレンジ位置、あるいはNレンジ位置とDレ
ンジ位置との配列方向と平行に6つのスイッチが配列さ
れている。これらの配列方向は具体的には車両の前後方
向であり、Pレンジ位置に対応する位置を最先端位置と
して車両の後方側に、Rレンジ位置、Nレンジ位置、D
レンジ位置、“3”レンジ位置、“2”レンジ位置にそ
れぞれ対応するように6つのスイッチが配列されてい
る。これに対して他のスイッチ群として3つのスイッチ
が設けられている。具体的には、Pレンジ位置と4速レ
ンジ位置とLレンジ位置とにスイッチが設けられてい
る。
【0076】これらのスイッチは前記自動変速機用電子
制御装置10に接続され、6つのスイッチからなる第1
のスイッチ群からの出力信号と、3つのスイッチからな
る第2のスイッチ群からの出力信号との論理和によっ
て、選択されているレンジ位置(シフトポジション)を
判定し、またフェイルを判定するようになっている。
【0077】なお、レンジの判定は、他の方法によって
行うこともでき、例えば各レンジ位置を直線的に配列し
てある周知のシフト装置においては、Dレンジ位置以外
の各レンジ位置にスイッチを設けておき、これらのレン
ジはそれぞれに対応したスイッチからの信号によって判
定し、Dレンジについては、いずれのスイッチからも信
号が出力されないことにより判定することとしてもよ
い。このような構成であれば、電気的なフェイルによっ
ていずれのスイッチからも電子制御装置10に信号が入
力されない場合には、Dレンジが設定されるので、走行
を確保し、またフェイルセーフを確立できる。
【0078】上記の制御装置によれば、後進段を設定す
るためのシフトソレノイドバルブS1 ,S2 ,S3 の通
電パターンとDレンジの第1速を設定するためのシフト
ソレノイドバルブS1 ,S2 ,S3 の通電パターンとが
同一である。先ずDレンジの第1速について説明する
と、マニュアルバルブ260でDレンジを設定すること
により、Dレンジ圧が発生する。図3の作動表から知ら
れるように、第1クラッチC1 は前進レンジで常に係合
するようになっており、具体的にはDレンジ圧が第1ク
ラッチC1 に送られる。この状態で第1ソレノイドバル
ブS1 がON制御されて信号圧を出力せず、これに対し
て第2および第3のソレノイドバルブS2,S3 がOF
F制御されてそれぞれ信号圧を出力する。
【0079】したがって 2-3シフトバルブ230の制御
ポート239に信号圧が印加されないので、そのスプー
ル231が図7の左半分に示す位置に押し上げられる。
すなわちDレンジ圧入力ポート301が第2Dレンジ圧
出力ポート304に連通し、油路302から供給された
Dレンジ圧がこれらのポート301,304ならびに油
路305を介して 3-4シフトバルブ100のホールドポ
ート108に供給される。
【0080】Dレンジの第1速では、この 3-4シフトバ
ルブ100の制御ポート109に第2ソレノイドバルブ
S2 の信号圧が入力されているが、そのスプール104
に作用する軸線方向力は、第2ソレノイドバルブS2 の
信号圧によるよりも、Dレンジ圧とスプリング力とによ
る力の方が大きいので、スプール104が図6の左半分
に示す位置に押し上げられる。その結果、第3ソレノイ
ドバルブS3 の信号圧が供給されているポート101が
ポート102に連通されてこの信号圧がB2 リリースコ
ントロールバルブ130のホールドポート131に供給
される。これに対して 4-5シフトバルブ170の制御ポ
ート171に連通されているポート103がドレインに
連通され、したがって 4-5シフトバルブ170の制御ポ
ート171から排圧される。
【0081】そのため 4-5シフトバルブ170のスプー
ル176が図6の左半分に示す位置に押し上げられ、ブ
レーキポート173がドレインに連通されて、ここに連
通されているブレーキB0 が解放される。これに対して
入力ポート172が出力ポート174に連通するから、
ライン圧PL がここからC0 エキゾーストバルブ190
およびリレーバルブ280を介してクラッチC0 に供給
され、このクラッチC0 が係合する。すなわち副変速部
31が低速段(直結状態)になる。なお、第2クラッチ
C2 はブレーキレンジ圧を元圧とするから解放状態とな
る。また主変速部32におけるブレーキB1 〜B4 は解
放状態となる。
【0082】これらのブレーキのうち第1速でエンジン
ブレーキ状態を設定するための第4ブレーキB4 につい
て説明すると、Dレンジの第1速では第3ソレノイドバ
ルブS3 がOFF制御されてその信号圧が 3-4シフトバ
ルブ100を介してB2 リリースコントロールバルブ1
30の制御ポート131に入力される。その結果、B2
リリースコントロールバルブ130のスプール132が
図4あるいは図6の右半分に示す位置に押し上げられて
Dレンジ圧の供給されるポート134を遮断する。その
ためにDレンジ圧はコーストブレーキコントロールバル
ブ150に送られないので、第4ブレーキB4 は解放さ
れたままとなり、エンジンブレーキが効くことはない。
したがってDレンジの第1速を設定するにあたって、第
3ソレノイドバルブS3 がたとえOFFフェイルしたと
しても、第4ブレーキB4 が係合することはないので、
第1速からの変速あるいは第1速への変速の際に変速シ
ョックが悪化するなどの不都合は生じない。
【0083】なお、第1速でエンジンブレーキを効かせ
る必要のあるLレンジにおいては、第3ソレノイドバル
ブS3 がON制御されて信号圧を出力しないから、B2
リリースコントロールバルブ130の制御ポート131
から排圧される。その結果、スプール132が図4ある
いは図6の左半分に示す位置に押し下げられるので、D
レンジ圧がポート134およびポート133を介してコ
ーストブレーキコントロールバルブ150に出力され、
ここから 2-3シフトバルブ230および 1-2シフトバル
ブ250ならびにシャトルバルブ240を介して第4ブ
レーキB4 に油圧が供給される。すなわち第4ブレーキ
B4 が係合してエンジンブレーキを効かせることができ
る。
【0084】また一方、Dレンジの第3速を設定する際
にも第3ソレノイドバルブS3 がOFF制御されるか
ら、第1速の場合と同様に、B2 リリースコントロール
バルブ130のポート134が閉じられてDレンジ圧は
カットされる。したがって第1ブレーキB1 に油圧が供
給されず、これが解放されたままとなるので、エンジン
ブレーキが効くことはない。
【0085】これに対して第3速でエンジンブレーキを
効かせる“3”レンジおよび“2”レンジでは、第3ソ
レノイドバルブS3 がON制御されるから、B2 リリー
スコントロールバルブ130の制御ポート131から排
圧され、その結果、Dレンジ圧がポート134およびポ
ート133を介してコーストブレーキコントロールバル
ブ150に供給され、ここで調圧されたエンジンブレー
キ圧が 2-3シフトバルブ230および 3-4シフトバルブ
100を介して第1ブレーキB1 に供給され、これが係
合することによりエンジンブレーキを効かせることがで
きる。
【0086】この“3”レンジあるいは“2”レンジの
第3速において、第3ソレノイドバルブS3 がOFFフ
ェイルした場合、B2 リリースコントロールバルブ13
0の制御ポート131に油圧が供給されるために、Dレ
ンジ圧の入力されているDレンジ圧入力ポート134が
閉じられる替わりに、エンジンブレーキレンジ圧の供給
されているエンジンブレーキレンジ圧入力ポート135
が出力ポート133に連通するので、ここからエンジン
ブレーキレンジ圧がコーストブレーキコントロールバル
ブ150に供給される。その結果、ここで調圧されたエ
ンジンブレーキ圧が第1ブレーキB1 に供給されてこれ
が係合するので、たとえ第3ソレノイドバルブS3 がO
FFフェイルしてもエンジンブレーキを効かせることが
できる。
【0087】なお、B2 リリースコントロールバルブ1
30のエンジンブレーキレンジ圧入力ポート135にエ
ンジンブレーキレンジ圧を供給する場合、ダブルオリフ
ィス136を介して供給することになるので、第1ブレ
ーキB1 の油圧の立ち上がりを緩和することができ、そ
の結果、第1ブレーキB1 と第2ブレーキB2 との干渉
を避けることができる。
【0088】上述した制御装置によれば、後進段とDレ
ンジの第1速とをソレノイドバルブS1 ,S2 ,S3 の
通電状態を同一にして設定することができる。したがっ
て後進走行しているにも拘らず、電気的なフェイルによ
ってDレンジが判断された場合、低車速であれば後進段
と同一の通電状態になるため、後進走行を継続すること
ができる。しかしながらヒルホールドモードが選択され
ている場合(前記ホールドモードスイッチがONの場
合)には、フェイルによってDレンジと判定されている
ために、副変速部31が低速段になってしまう。
【0089】すなわちヒルホールドモードは、この発明
の例では、エンジンブレーキの効く前進第3速であり、
したがって図3に示すように、第1ソレノイドバルブS
1 がOFF、第2ソレノイドバルブS2 がON、第3ソ
レノイドバルブS3 がOFFに制御される。しかしなが
ら実際にはRレンジが設定され、フェイルによってDレ
ンジと判定しているのであるから、第3ソレノイドバル
ブS3 がOFFであることにより出力する信号圧は、こ
の発明の切換弁に相当する 3-4シフトバルブ100から
4-5シフトバルブ170の制御ポート171に送られず
に、B2 リリースコントロールバルブ130の制御ポー
ト131に送られてしまう。したがってこの 4-5シフト
バルブ170が第4速状態に切り替わって副変速部31
を低速段に設定してしまう。
【0090】そこでこの発明では、このような不都合を
解消するために、以下のように制御する。図10はその
制御ルーチンの一例を示すフローチャートであって、入
力信号の処理(ステップ1)を行った後に、Dレンジあ
るいは“4”レンジが選択されているか否かを判断する
(ステップ2)。Dレンジあるいは“4”レンジが選択
されていた場合には、ホールドモードスイッチがON操
作されているか否かを判断する(ステップ3)。
【0091】このホールドモードスイッチは、前述した
ようにヒルホールドモードを選択するためのスイッチで
あり、インストルメントパネルやシフトレバー(それぞ
れ図示せず)などに通常設けられている。
【0092】ホールドモードスイッチがOFF操作され
ている場合には、通常のDレンジあるいは“4”レンジ
の変速パターンを設定する(ステップ4)。このDレン
ジの変速パターンの一例を示せば、図11の(A)のと
おりであり、車速Vおよびスロットル開度θをパラメー
タとした第1速から第5速までの変速段領域を設定して
あり、走行状態に応じて第1速ないし第5速の変速段が
設定される。
【0093】ホールドモードスイッチがON操作されて
いた場合、シフトポジションスイッチがフェイルしてい
るか否かを判定する(ステップ5)。このフェイルの判
定はシフト装置の構成に応じた種々の判定方法によって
行うことができ、例えば前述した特開平5−30676
4号公報に記載されている装置においては、スイッチ群
から判断されるレンジと実際の走行状態との矛盾からシ
フトポジションスイッチのフェイルを判定することがで
きる。ステップ5で否定判断された場合には走行レンジ
の判定にフェイルが生じていないから、ホールドモード
スイッチのON操作に応じてホールドモードを設定する
(ステップ6)。
【0094】このホールドモードパターンの一例を図1
1の(B)に示してある。ここに示すようにホールドモ
ードパターンは車速Vとスロットル開度θとによって決
められる変速段領域のうち、所定の車速以下の全ての領
域を第3速領域とし、それよりも高速側に第4速領域と
第5速領域とを設定したものである。したがって、発進
時の変速段は第3速が設定され、またその場合、第3ソ
レノイドバルブS3 がON操作されてエンジンブレーキ
用の摩擦係合装置である第1ブレーキB1 が係合させら
れる。すなわち第3ソレノイドバルブS3 の通電パター
ンは、Rレンジにおける通電パターンとは反対になる。
【0095】一方、ステップ5で肯定判断された場合、
すなわちシフトポジションスイッチのフェイルが判定さ
れた場合には、たとえホールドモードスイッチがON操
作されていても、ホールドモードを禁止する(ステップ
7)。そしてホールドモードを禁止したことを示す禁止
表示を行う(ステップ8)。ホールドモードを禁止する
場合、例えば、Dレンジの変速パターンが設定される。
したがって、発進時の変速段として第1速が設定され
る。
【0096】このDレンジの第1速を設定するためのシ
フトソレノイドバルブS1 ,S2 ,S3 の通電パターン
は後進段を設定するための通電パターンと同一であり、
したがってシフトポジションスイッチのフェイルにより
Rレンジが設定されているにも拘らず、Dレンジと誤判
定したとしても発進時のシフトソレノイドバルブS1,
S2 ,S3 の通電パターンが後進段を設定する通電パタ
ーンになるため、後進段において副変速部31が低速段
になることが防止される。これは、低速で後進走行して
いる際にDレンジと誤判定し、かつホールドモードスイ
ッチがON操作された場合も同様である。
【0097】なお、ステップ2で否定判断された場合に
は、“3”レンジが選択されているか否かを判断する
(ステップ9)。ここで否定判断された場合には、特に
制御を行うことなくこのルーチンから抜け、また肯定判
断された場合には、ホールドモードスイッチがON操作
されているか否かを判断する(ステップ10)。
【0098】ステップ10で否定判断された場合には、
通常の“3”レンジパターンを設定する(ステップ1
1)。この“3”レンジのパターンは図12の(A)に
示すとおりであって、第1速から第3速までの変速段領
域を設定したものである。これに対してステップ10で
肯定判断された場合には、“3”レンジのホールドモー
ドパターンを設定する(ステップ12)。これは図12
の(B)に示すとおりであって、車速Vとスロットル開
度θとで決まる変速段領域の全てを第3速領域としたも
のである。またこの第3速においては、いわゆる坂道発
進の際に車両が後退することを防止するためにエンジン
ブレーキ用の摩擦係合装置である第1ブレーキB1 が係
合させられる。これは第3ソレノイドバルブS3 をON
動作させることにより達成される。
【0099】したがって図10に示す制御を行うよう構
成すれば、実際にはRレンジが設定されているにも拘ら
ず、電気的なフェイルによりDレンジと誤判定され、か
つ副変速部31を高速段に設定する通電パターンとは異
なる通電パターンに制御する変速段を設定する状態であ
っても、そのような変速段を設定するホールドモード自
体を禁止するから、RレンジをDレンジに誤判定する事
態が生じても、後進段において副変速部31が低速段に
設定されることはない。そのため後進状態を設定するべ
く係合している主変速部32における第4ブレーキB4
に過大なトルクがかかってこれが滑り、ひいてはその摩
耗の進行によって耐久性が低下するなどの不都合が未然
に防止される。また後進走行中のホールドモードスイッ
チのON操作によって副変速部31の低速段への変速が
生じることがないので、変速による違和感や変速ショッ
クを防止できる。
【0100】図13は請求項2の発明に係る装置におい
て実施される制御ルーチンの一例を示しており、ここに
示す例においては前述したホールドモードの禁止に替え
てライン圧の昇圧制御を実行するよう構成されている。
すなわち図13のステップ5において否定判断された場
合には、ステップ6においてホールドモードを設定し、
前述した図11の(A)に示す変速パターンを設定す
る。また通常のライン圧制御を行う(ステップ6−
1)。これに対してステップ5で肯定判断された場合に
は、ステップ6と同様にホールドモードを設定(ステッ
プ7−1)するが、この場合は、ライン圧PL の昇圧制
御を実行する(ステップ7−2)。なお、図13に示す
フローチャートでの他の制御ステップは、図10に示す
制御ルーチンと同じである。
【0101】上記のライン圧PL の昇圧制御は、スロッ
トル開度θに対するライン圧PL を通常より高くする制
御であり、これを図に示せば図14のとおりであり、シ
フトポジションスイッチのフェイルが判定された場合に
は、通常のライン圧PL のスロットル開度θに対する特
性に対して高い圧力となる特性に制御される。これは、
例えば、スロットル開度θに対するライン圧PL の制御
ゲインを高くすることにより達成される。
【0102】したがってシフトポジションスイッチのフ
ェイルによってRレンジをDレンジと誤判定し、かつそ
の際にホールドモードスイッチがON操作されていて副
変速部31が低速段に制御されたとしても、主変速部3
2で後進状態を設定するために係合している摩擦係合装
置(例えば第4ブレーキB4 )のトルク容量がライン圧
PL の上昇によって増大するから、副変速部31が低速
段に制御されて主変速部32に入力されるトルクが大き
くても、そのトルク容量が不足することはない。すなわ
ちその摩擦係合装置の滑りやそれに起因する耐久性の低
下を防止することができる。なお、変速時には、ライン
圧を通常時の圧力に制御することとしてもよく、このよ
うにすれば、変速ショックの悪化を防止することができ
る。
【0103】図13を参照して説明した例は、主変速部
32に入力されるトルクがフェイルに起因して増大した
場合に、それに応じて係合圧を増大することにより、ト
ルクと係合圧とを適合させるように構成した例である
が、トルクと係合圧とを適合させる制御としては、係合
圧を高めずにトルクを低下させる制御が可能である。そ
の例を以下に説明する。
【0104】図15は、請求項3に記載した発明にかか
る装置で実行される制御ルーチンの一例を示しており、
前述した図13に示す制御ルーチンのうちライン圧制御
をトルクダウン制御に置き換えたものである。すなわち
図15において、ステップ5において否定判断された場
合には、ホールドモードを設定(ステップ6)するとと
もに、通常のエンジントルク制御を実行する(ステップ
6−2)。またステップ5で肯定判断された場合には、
ホールドモードを設定(ステップ7−1)するととも
に、エンジントルクダウン制御を実行する(ステップ7
−3)。なお、図15に示すフローチャートでの他の制
御ステップは、図13に示す制御ルーチンと同じであ
る。
【0105】スロットル開度θに対するエンジントルク
の通常時とトルクダウン制御時との特性を示せば、図1
6のとおりであり、ホールドモードスイッチがON操作
されかつシフトポジションスイッチのフェイルが判定さ
れている場合には、スロットル開度θに対するエンジン
トルクが小さくなるように制御される。これは例えば前
述したサブスロットルバルブ5の開度を絞ることにより
達成される。
【0106】したがって図15に示すように制御した場
合には、RレンジをDレンジに誤判定し、かつホールド
モードスイッチがON操作されていて副変速部31が低
速段に設定される場合には、自動変速機Aに入力される
トルクが低下させられるから、後進状態を設定している
主変速部32に前置される副変速部31が低速段に設定
されても、主変速部32を後進状態に設定するべく係合
している摩擦係合装置(例えば第4ブレーキB4 )にか
かるトルクが、通常時より小さくなる。その結果、その
摩擦係合装置の滑りやそれに起因する摩耗によってその
耐久性が低下するなどの事態を未然に防止することがで
きる。なお、エンジン出力を低下させるとしても副変速
部31が低速段に設定されるから、アクセルペダルの操
作に対する発進性能が損なわれることはない。このよう
な作用は、副変速部31が主変速部32に対して後置さ
れている場合にも得られる。
【0107】上述した図10や図13あるいは図15に
示す制御は、ホールドモードスイッチをON操作してい
る際にシフトポジションスイッチのフェイルによって、
後進時に副変速部31が低速段になることに伴う不都合
を防止するためのものであるが、このような制御は、ス
ノーモードスイッチがON操作されている状態でシフト
ポジションスイッチのフェイルが判定された場合にも同
様に実施することができる。すなわちスノーモードは、
発進時の変速段として第2速あるいは第3速などの第1
速より高速側の変速段を設定することによりタイヤにか
かるトルクを抑制して雪道などの低μ路でのスリップを
防止するモードである。したがって発進時の第2ソレノ
イドバルブS2 の通電状態は、図3に示すようにON状
態となり、第2ソレノイドバルブS2 が信号圧を出力し
ないから、実際にはRレンジが設定されているにも拘ら
ず、電気的なフェイルでDレンジと誤判定すると、副変
速部31が低速段になる。
【0108】これを油圧回路によって説明すると、マニ
ュアルバルブ260は、Rレンジが選択されていること
により、Rポート267のみからRレンジ圧を出力して
おり、したがって 3-4シフトバルブ100のスプリング
室108には油圧が作用していない。この状態で第2ソ
レノイドバルブS2 が信号圧を出力しないと、 3-4シフ
トバルブ100のスプール104は図6の左半分に示す
位置に押し上げられ、したがって第3ソレノイドバルブ
S3 の信号圧が入力されるポート101がポート102
に連通され、第3ソレノイドバルブS3 の信号圧が 4-5
シフトバルブ170の制御ポート171に供給されな
い。すなわち 4-5シフトバルブ170が副変速部31を
低速段に設定する状態になる。
【0109】したがってスノーモードが選択されている
状態でシフトポジションスイッチのフェイルが判定され
た場合には、図17に示すように制御する。この図17
は請求項4の発明にかかる装置によって実行される制御
ルーチンの一例を示しており、入力信号の処理(ステッ
プ20)を行った後に、Dレンジあるいは“4”レンジ
が選択されているか否かを判断する(ステップ21)。
Dレンジあるいは“4”レンジが選択されていた場合に
はスノーモードスイッチがON操作されているか否かを
判断する(ステップ22)。
【0110】このスノーモードスイッチは、前述したよ
うにスノーモードを選択するためのスイッチであり、イ
ンストルメントパネルやシフトレバー(それぞれ図示せ
ず)などに通常設けられている。
【0111】スノーモードスイッチがOFF操作されて
いる場合には、通常のDレンジあるいは“4”レンジの
変速パターンを設定する(ステップ23)。この制御
は、前述した図10に示すステップ4の制御と同じであ
る。これに対してスノーモードスイッチがON操作され
ていた場合には、シフトポジションスイッチがフェイル
しているか否かを判定する(ステップ24)。このフェ
イルの判定は、前述した図10に示すステップ5につい
て説明したのと同様にして実行することができる。ステ
ップ24で否定判断された場合には、走行レンジの判定
のフェイルが生じていないから、スノーモードスイッチ
のON操作に応じてスノーモードを設定する(ステップ
25)。
【0112】スノーモードパターンは、この実施例で
は、第3速を発進用の変速段とする変速パターンであ
り、したがって前述した図11の(B)に示す変速パタ
ーンと同様もしくは類似する変速パターンを採用するこ
とによって実行される。すなわち第3速を最低変速段と
し、この変速段と第4速および第5速の各変速段の領域
を設定したものである。なお、このスノーモードパター
ンは、図11の(B)に示すホールドモードパターンと
各変速段領域が同一である必要はなく、設定される変速
段領域が第3速ないし第5速の領域であればよい。
【0113】これに対してステップ24で肯定判断され
た場合、すなわちシフトポジションスイッチのフェイル
が判定された場合には、たとえスノーモードスイッチが
ON操作されていてもスノーモードを禁止する(ステッ
プ26)。そしてスノーモードモードを禁止したことを
示す禁止表示を行う(ステップ27)。スノーモードを
禁止する場合、例えば、Dレンジの変速パターンが設定
される。したがって、発進時の変速段として第1速が設
定される。
【0114】このDレンジの第1速を設定するためのシ
フトソレノイドバルブS1 ,S2 ,S3 の通電パターン
は後進段を設定するための通電パターンと同一であり、
したがってシフトポジションスイッチのフェイルにより
Rレンジが設定されているにも拘らず、Dレンジと誤判
定したとしても発進時のシフトソレノイドバルブS1,
S2 ,S3 の通電パターンが後進段を設定する通電パタ
ーンになるため、後進段において副変速部31が低速段
になることが防止される。これは、低速で後進走行して
いる際にDレンジと誤判定し、かつスノーモードスイッ
チがON操作された場合も同様である。
【0115】なお、ステップ21で否定判断された場合
には、“3”レンジが選択されているか否かを判断する
(ステップ28)。ここで否定判断された場合には、特
に制御を行うことなく、このルーチンから抜け、また肯
定判断された場合には、スノーモードスイッチがON操
作されているか否かを判断する(ステップ29)。
【0116】ステップ29で否定判断された場合には、
通常の“3”レンジパターンを設定する(ステップ3
0)。この“3”レンジの変速パターンは、前述した図
12の(A)に示すものと同様もしくは類似するもので
あってよく、第1速から第3速までの変速段領域を設定
したものである。これに対してステップ29で肯定判断
された場合には、“3”レンジのスノーモードパターン
を設定する(ステップ31)。これは前述した図12の
(B)に示す変速パターンと同様もしくは類似するもの
であってよく、車速Vとスロットル開度θとで決まる変
速段領域の全てを第3速領域としたものである。またこ
の第3速は、エンジンブレーキレンジである“3”レン
ジで設定されるから、エンジンブレーキを効かせるため
に、第3ソレノイドバルブS3 がON制御され、第1ブ
レーキB1 が係合させられる。
【0117】したがって図17に示す制御を行うように
構成すれば、実際にはRレンジが設定されているにも拘
らず、電気的なフェイルによりDレンジと誤判定され、
かつ副変速部31を高速段に設定する通電パターンとは
異なる通電パターンに制御する変速段を設定する状態で
あっても、そのような変速段を設定するスノーモード自
体を禁止するから、RレンジをDレンジに誤判定する事
態が生じても、後進段において副変速部31が低速段に
設定されることはない。そのため後進状態を設定するべ
く係合している主変速部32における第4ブレーキB4
に過大なトルクがかかってこれが滑り、ひいてはその摩
耗の進行によって耐久性が低下するなどの不都合が未然
に防止される。
【0118】なお、シフトポジションスイッチのフェイ
ル判定が行われた場合、スノーモードの禁止に替えて、
ライン圧PL の昇圧制御やエンジントルクの低減制御を
行ってもよいことは、前述したホールドモードの禁止に
替えてこれらライン圧PL の昇圧制御やエンジントルク
の低減制御を行うのと同様である。
【0119】すなわち図18は請求項5の発明に係る装
置において実施される制御ルーチンの一例を示してお
り、ここに示す例においては前述したスノーモードの禁
止に替えてライン圧の昇圧制御を実行するよう構成され
ている。すなわち図18のステップ24において否定判
断された場合には、ステップ25においてスノーモード
を設定し、また通常のライン圧制御を行う(ステップ2
5−1)。これに対してステップ24で肯定判断された
場合には、ステップ25と同様にスノーモードを設定
(ステップ26−1)するが、この場合は、ライン圧P
L の昇圧制御を実行する(ステップ26−2)。なお、
図18に示すフローチャートでの他の制御ステップは、
図17に示す制御ルーチンと同じである。
【0120】上記のライン圧PL の昇圧制御は、スロッ
トル開度θに対するライン圧PL を通常より高くする制
御であり、その油圧特性は、前述した図14に示す特性
と同様もしくは類似したものである。その場合、スロッ
トル開度θに対するライン圧PL の制御ゲインは、ホー
ルドモードの場合とは異なっていてもよい。
【0121】したがってシフトポジションスイッチのフ
ェイルによってRレンジをDレンジと誤判定し、かつそ
の際にスノーモードスイッチがON操作されていて副変
速部31が低速段に制御されたとしても、主変速部32
で後進状態を設定するために係合している摩擦係合装置
(例えば第4ブレーキB4 )のトルク容量がライン圧P
L の上昇によって増大するから、副変速部31が低速段
に制御されて主変速部32に入力されるトルクが大きく
ても、そのトルク容量が不足することはない。すなわち
その摩擦係合装置の滑りやそれに起因する耐久性の低下
を防止することができる。なお、変速時には、ライン圧
を通常時の圧力に制御することとしてもよく、このよう
にすれば、変速ショックの悪化を防止することができ
る。
【0122】またスノーモードの禁止に替えてエンジン
トルクを低減させる制御の例を図19に示す。これは、
請求項6に記載した発明にかかる装置で実行される制御
ルーチンの一例を示しており、前述した図18に示す制
御ルーチンのうちライン圧制御をトルクダウン制御に置
き換えたものである。すなわち図19において、ステッ
プ24において否定判断された場合には、スノーモード
を設定(ステップ25)するとともに、通常のエンジン
トルク制御を実行する(ステップ25−2)。またステ
ップ24で肯定判断された場合には、スノーモードを設
定(ステップ26−1)するとともに、エンジントルク
ダウン制御を実行する(ステップ26−3)。なお、図
19に示すフローチャートでの他の制御ステップは、図
17に示す制御ルーチンと同じである。
【0123】スロットル開度θに対するエンジントルク
の通常時とトルクダウン制御時との特性は、前述した図
16に示す特性と同様もしくは類似するものでよく、ス
ノーモードスイッチが0N操作されかつシフトポジショ
ンスイッチのフェイルが判定されている場合には、スロ
ットル開度θに対するエンジントルクが小さくなるよう
に制御される。これは例えば前述したサブスロットルバ
ルブ5の開度を絞ることにより達成される。
【0124】したがって図19に示すように制御した場
合には、RレンジをDレンジに誤判定し、かつホールド
モードスイッチがON操作されていて副変速部31が低
速段に設定される場合には、自動変速機Aに入力される
トルクが低下させられるから、後進状態を設定している
主変速部32に前置される副変速部31が低速段に設定
されても、主変速部32を後進状態に設定するべく係合
している摩擦係合装置(例えば第4ブレーキB4 )にか
かるトルクが、通常時より小さくなる。その結果、その
摩擦係合装置の滑りやそれに起因する摩耗によってその
耐久性が低下するなどの事態を未然に防止することがで
きる。なお、エンジン出力を低下させるとしても副変速
部31が低速段に設定されるから、アクセルペダルの操
作に対する発進性能が損なわれることはない。
【0125】なお、上記の実施例ではヒルホールドモー
ドが設定された場合およびスノーモードが設定された場
合について説明したが、この発明は、スポーツモードを
設定された場合にも同様に適用することができる。すな
わちスポーツモードは、例えば前述したスポーツモード
スイッチがON操作されることにより設定され、シフト
装置におけるシフトレバーをマニュアル操作することに
よって各変速段が選択され、かつそれぞれの前進段でエ
ンジンブレーキが効くように摩擦係合装置が制御され
る。したがってこのような走行モードが選択されている
状態でレンジの誤判定が生じると、副変速部31を後進
時に低速段に設定してしまう可能性があり、したがって
スポーツモードが選択されている場合にも上述した実施
例で述べたように制御することが好ましい。
【0126】また、この発明は上述した各実施例に限定
されないのであって、図2に示すギヤトレイン以外のギ
ヤトレインを備えた自動変速機や図4に示す油圧回路以
外の油圧回路を備えた自動変速機を対象とした制御装置
に適用することができる。またこの発明でエンジントル
クの低減制御は、サブスロットルバルブの開度を絞る以
外に、燃料噴射量を減少させ、あるいは点火時期を変更
することにより実行してもよい。
【0127】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1あるいは
請求項4に記載した発明の制御装置によれば、レンジの
判定にフェイルが生じた場合、前進レンジで副変速部を
低速段に設定する動作状態となる走行モードを禁止する
から、副変速部を高速段に設定して設定する後進レンジ
を前進レンジに誤判定したとしても、副変速部が低速段
になることが防止され、したがって後進状態での変速比
が増大して車速が低下したり、あるいは走行トルクが大
きくなったりすることによる違和感を防止することがで
きる。また後進走行中にそのような走行モードが選択さ
れても、副変速部の低速段への変速やそれに起因する変
速ショックなどが生じることを防止することができる。
【0128】また請求項2もしくは請求項5に記載した
発明の制御装置によれば、レンジの判定のフェイルによ
って後進段で副変速部が低速段に設定される事態が生じ
ると、ライン圧が昇圧されて主変速部を後進状態に設定
するべく係合している摩擦係合装置の係合圧が高くなる
ので、その摩擦係合装置のトルク容量が不足することが
なく、したがってその摩擦係合装置の滑りなどが防止さ
れてその耐久性を維持することができる。
【0129】さらに請求項3もしくは請求項6に記載し
た発明の制御装置によれば、レンジの判定のフェイルに
よって後進段で副変速部が低速段に設定される事態が生
じると、エンジントルクが低減されて変速機に入力され
るトルクが低下するので、変速比が増大しても走行トル
クの増大を抑制し、後進段で走行トルクが大きくなるこ
とよる違和感を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を模式的に示すブロック図
である。
【図2】この発明で対象とする自動変速機の歯車変速機
構を主として示すスケルトン図である。
【図3】各走行レンジおよび変速段でのソレノイドバル
ブのON・OFF状態および各摩擦係合装置の係合・解
放状態を示す図表である。
【図4】この発明の一実施例の主要な油圧回路部分を示
す図である。
【図5】この発明にかかる主要油圧回路部分を取り出し
て概略的に示す部分油圧回路図である。
【図6】図4に示す油圧回路の一部を示す図である。
【図7】図4に示す油圧回路の他の部分を示す図であ
る。
【図8】図4に示す油圧回路の更に他の部分を示す図で
ある。
【図9】シフト装置における各レンジ位置の配列を示す
図である。
【図10】シフト検出のフェイル時にホールドモードを
禁止する制御ルーチンの一例を示すフローチャートであ
る。
【図11】Dレンジの通常の変速パターンとDレンジの
ホールドモードでの変速パターンとを示す線図である。
【図12】通常の“3”レンジの変速パターンと“3”
レンジのホールドモードでの変速パターンとを示す線図
である。
【図13】ホールドモードでシフト検出のフェイルが生
じた場合のライン圧昇圧制御のためのルーチンの一例を
示すフローチャートである。
【図14】通常時と昇圧制御時とのスロットル開度に対
するライン圧の関係を示す線図である。
【図15】ライン圧の昇圧制御に替えてエンジントルク
の低減制御を行う場合の制御ルーチンの一例を示すフロ
ーチャートである。
【図16】通常時とトルク低減制御時とのスロットル開
度に対するエンジントルクの関係を示す線図である。
【図17】シフト検出のフェイル時にスノーモードを禁
止する制御ルーチンの一例を示すフローチャートであ
る。
【図18】スノーモードでシフト検出のフェイルが生じ
た場合のライン圧昇圧制御のためのルーチンの一例を示
すフローチャートである。
【図19】ライン圧の昇圧制御に替えてエンジントルク
の低減制御を行う場合の制御ルーチンの一例を示すフロ
ーチャートである。
【符号の説明】
1 自動変速機 31 副変速部 32 主変速部 100 3-4シフトバルブ 130 B2 リリースコントロールバルブ B1 第1ブレーキ B4 第4ブレーキ S1 第1ソレノイドバルブ S2 第2ソレノイドバルブ S3 第3ソレノイドバルブ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 後進状態と複数の前進状態とを設定する
    主変速部と高低二段に切り換えることのできる副変速部
    とが、動力を直列的に伝達するよう連結されるととも
    に、所定の制御弁が出力する信号圧を、前記副変速部を
    制御する信号圧と所定の前進段でエンジンブレーキを効
    かせるエンジンブレーキ用摩擦係合装置を係合させる信
    号圧とに切換弁で切り換えて使用し、かつ副変速部を低
    速段にして設定する所定の前進段を発進用の変速段とす
    る走行モードを選択することのできる自動変速機の制御
    装置において、 選択されているレンジを検出するシフト検出手段のフェ
    イルが検出された場合に、前記走行モードを禁止するよ
    う構成されていることを特徴とする自動変速機の制御装
    置。
  2. 【請求項2】 後進状態と複数の前進状態とを設定する
    主変速部に対して高低二段に切り換えることのできる副
    変速部が、動力の伝達方向で前側に連結されるととも
    に、所定の制御弁が出力する信号圧を、前記副変速部を
    制御する信号圧と所定の前進段でエンジンブレーキを効
    かせるエンジンブレーキ用摩擦係合装置を係合させる信
    号圧とに切換弁で切り換えて使用する自動変速機の制御
    装置において、 選択されているレンジを検出するシフト検出手段のフェ
    イルが検出されかつそのシフト検出手段が前記所定の前
    進段を設定可能なレンジを検出している場合に、ライン
    圧の昇圧制御を実行するよう構成されていることを特徴
    とする自動変速機の制御装置。
  3. 【請求項3】 後進状態と複数の前進状態とを設定する
    主変速部と高低二段に切り換えることのできる副変速部
    とが、動力を直列的に伝達するよう連結されるととも
    に、所定の制御弁が出力する信号圧を、前記副変速部を
    制御する信号圧と所定の前進段でエンジンブレーキを効
    かせるエンジンブレーキ用摩擦係合装置を係合させる信
    号圧とに切換弁で切り換えて使用する自動変速機の制御
    装置において、 選択されているレンジを検出するシフト検出手段のフェ
    イルが検出されかつそのシフト検出手段が前記所定の前
    進段を設定可能なレンジを検出している場合に、エンジ
    ントルクの低減制御を実行するよう構成されていること
    を特徴とする自動変速機の制御装置。
  4. 【請求項4】 後進状態と複数の前進状態とを設定する
    主変速部と高低二段に切り換えることのできる副変速部
    とが、動力を直列的に伝達するよう連結されるととも
    に、所定の制御弁が出力する信号圧を、前記副変速部を
    制御する信号圧と所定の前進段でエンジンブレーキを効
    かせるエンジンブレーキ用摩擦係合装置を係合させる信
    号圧とに切換弁で切り換えて使用し、かつ通常の発進段
    より高速側の変速段を発進用変速段とする発進モードを
    選択可能な自動変速機の制御装置において、 選択されているレンジを検出するシフト検出手段のフェ
    イルが検出された場合に、前記発進モードを禁止するよ
    う構成されていることを特徴とする自動変速機の制御装
    置。
  5. 【請求項5】 後進状態と複数の前進状態とを設定する
    主変速部に対して高低二段に切り換えることのできる副
    変速部が、動力の伝達方向で前側に連結されるととも
    に、所定の制御弁が出力する信号圧を、前記副変速部を
    制御する信号圧と所定の前進段でエンジンブレーキを効
    かせるエンジンブレーキ用摩擦係合装置を係合させる信
    号圧とに切換弁で切り換えて使用し、かつ通常の発進段
    より高速側の変速段を発進用変速段とする発進モードを
    選択可能な自動変速機の制御装置において、 選択されているレンジを検出するシフト検出手段のフェ
    イルが検出されかつそのシフト検出手段が前記通常の発
    進段より高速側の前記変速段を設定可能なレンジを検出
    している場合に、ライン圧の昇圧制御を実行するよう構
    成されていることを特徴とする自動変速機の制御装置。
  6. 【請求項6】 後進状態と複数の前進状態とを設定する
    主変速部と高低二段に切り換えることのできる副変速部
    とが、動力を直列的に伝達するよう連結されるととも
    に、所定の制御弁が出力する信号圧を、前記副変速部を
    制御する信号圧と所定の前進段でエンジンブレーキを効
    かせるエンジンブレーキ用摩擦係合装置を係合させる信
    号圧とに切換弁で切り換えて使用し、かつ通常の発進段
    より高速側の変速段を発進用変速段とする発進モードを
    選択可能な自動変速機の制御装置において、 選択されているレンジを検出するシフト検出手段のフェ
    イルが検出されかつそのシフト検出手段が前記通常の発
    進段より高速側の前記変速段を設定可能なレンジを検出
    している場合に、エンジントルクの低減制御を実行する
    よう構成されていることを特徴とする自動変速機の制御
    装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006097209A1 (de) * 2005-03-18 2006-09-21 Zf Friedrichshafen Ag Steuervorrichtung für ein getriebe
CN108459233A (zh) * 2018-03-27 2018-08-28 深圳供电局有限公司 一种主变变高两相断线故障的等效电路及识别方法

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