JP3420350B2 - マイクロ構造体の形成法 - Google Patents

マイクロ構造体の形成法

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JP3420350B2 JP21586194A JP21586194A JP3420350B2 JP 3420350 B2 JP3420350 B2 JP 3420350B2 JP 21586194 A JP21586194 A JP 21586194A JP 21586194 A JP21586194 A JP 21586194A JP 3420350 B2 JP3420350 B2 JP 3420350B2
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  • Micromachines (AREA)
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  • ing And Chemical Polishing (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、マイクロメカニクス技
術を用いて作製するマイクロ構造体、特に犠牲層を用い
て形成されるマイクロ構造体の形成法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、小型の可動機構を有する微小機械
がマイクロメカニクス技術により検討されている。特
に、半導体集積回路形成技術(半導体フォトリソグラフ
ィプロセス)を用いて形成するマイクロ構造体は、基板
上に複数の小型で作製再現性の高い微小な機械部品を作
製することが可能である。このため、アレイ化、低コス
ト化が比較的容易となり、且つ小型化により従来の機械
式構造体に比べて優れた高速応答性を期待することがで
きる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】基板上にマイクロ構造
体を作製する典型的な方法としては以下に示す4例があ
る。第1の方法としては、ポリシリコン膜より成るワブ
ルマイクロモーター(M.Mehregany et al., "Operation
of microfabiricated harmonic and ordinary side-d
rive motors", Proceedings IEEE Micro Electro Mecha
nical Systems Workshop 1990,pp.1-8)、並びにリニア
マイクロアクチュエータ(P. Cheung et al.,"Modeling
and position-detection of a polysilicon linear mi
croactuator",Micromechanical Sensors, Actuators, a
nd Systems ASME 1991, DSC-Vol. 32,pp.269-278)等を
形成する作製方法であり、これはSi基板上の犠牲層と
なるシリコン酸化膜と薄膜形成したマイクロ構造体とな
るポリシリコン、SOI(Si onInsulator) 又はSIM
OX(Separatin by ion implantation of oxygen, B.D
iem et al.,"SOI(SIMOX) as a Substrate for Surface
Micromachining of Single Crystalline Silicon and A
ctuators", The 7th International Conferenceon Soli
d-State Sensors and Actuators, Transducers '93, Ju
ne 7-10, 1993,pp.233-236) のシリコン膜を、所望の形
状にパターニングした後にフッ酸水溶液によりシリコン
酸化膜を除去するシリコン酸化膜を犠牲層として用いる
方法がある。
【0004】然しながら第1の方法では、シリコン酸化
膜をフッ酸水溶液によりエッチング除去するために、構
造体としてはフッ酸に食刻されないてフッ酸腐食耐性材
料を用いる必要があり、マイクロ構造体上にアルミニウ
ム電極等の電極を配線することができない。更に、ポリ
シリコンをマイクロ構造体として用いる場合には、膜応
力による反りが生じないようにポリシリコンの膜応力を
制御する必要がある。SOI基板を用いる場合、バルク
Si薄膜の下のシリコン酸化膜を除去してしまうため
に、構造体を支えるシリコン酸化膜がエッチバックさ
れ、構造体が梁形状となり基板と構造体との電気的接続
が困難となる。
【0005】第2の方法は、アルミニウム(Al)薄膜
のマイクロミラーより成る空間光変調器(L.J. Hornbec
k:特開平2−8812号)を形成する作製方法であり、
基板上に犠牲層となるフォトレジストを塗布し、Al薄
膜を薄膜形成し所望の形状にパターニングした後に、酸
素プラズマを用いたドライエッチングによりフォトレジ
ストを除去し、Al薄膜から成るマイクロ構造体を形成
する方法である。
【0006】この第2の方法では、フォトレジストを犠
牲層として用いることにより基板の表面粗さに依存する
ことなく、多様な種類の基板上にマイクロ構造体を形成
することが可能である。これにより、酸素プラズマによ
るドライエッチングにより犠牲層の除去が可能であり、
ウエットエッチングにより犠牲層を除去する際に生じる
マイクロ構造体と基板との貼り付き(Sticking) を回避
することができる。
【0007】然しながら、作製工程中でフォトレジスト
が熱的損傷を起こさない程度の低温で構造体薄膜形成を
行う必要があり、構造体材料の制約の効果が大きい。更
に、マイクロ構造体を真空蒸着、スパッタリング等の薄
膜形成プロセスにより形成するために、作製したマイク
ロ構造体が膜応力による反りを生じないよう膜の応力制
御をする必要がある。
【0008】第3の方法は、バルクであるSi基板上に
マイクロ構造体のパターンを形成した後に、ガラス基板
に前記パターンの一部を陽極接合法により接合し、接合
したSi基板を裏面よりエッチングし、マイクロ構造体
のみをガラス基板上に残すことにより形成する方法であ
る。この第3の方法を用い、Si基板を薄膜化したバル
クSi薄膜から成るリニアアクチュエータ(Y. Giancha
ndani et al., "Micron-Size, High Aspect Ratio Bulk
Silicon micromechanical Devices", Proceedings IEE
E Micro Electro Mechanical Systems Workshop, 1992,
pp.208-213) 及びシリコン窒化膜より成るAFM(Atom
ic Force Microscope)用のカンチレバー(T.A. Albrech
t et al., USP5,221,415)等を形成することができる。
【0009】この第3の方法では、犠牲層を用いる必要
がなく、フッ酸耐性のない材料によりマイクロ構造体を
形成することが可能である。然しながら、ガラスと陽極
接合を行う必要から、材料としては酸化物を形成する導
電性のSi及びAl,Ti,Ni等の金属、又はSi基
板上に形成した薄膜においてのみ陽極接合可能なシリコ
ン窒化膜、及びシリコン酸化膜に限定される。また、陽
極接合の接合温度が300℃以上であり、熱応力の歪み
による接合時の基板の損傷を回避するには、ガラスはS
i基板とほぼ等しい熱膨張係数を有することが必要であ
る。
【0010】このために使用できるガラスはパイレック
スガラス(商品名、#7740,Corning 社)等のガラ
スに限定される。更に、接合面に予め空隙を形成してお
くため、接合後に電極等をマイクロ構造体上に形成する
ことができない。また、基板としては可動イオンを含む
ガラスを用いる必要から、基板上に回路を集積化するこ
とができない。更に、陽極接合によりガラスと導電性材
料を接合する場合、ガラス及び導電性材料の表面粗さが
50nm以下に抑える必要があり、段差の大きな配線上
に接合することができない。
【0011】本発明は、上記に鑑み、下記のような優れ
たマイクロ構造体の形成法の提供を目的とする。即ち、
該方法は、(1)マイクロ構造体及び基板の材料が制限
されないこと、(2)マイクロ構造体上に電極パターン
を形成し、基板との電気的接続が可能なこと、等の利点
を有するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、以下に示
す本発明によって達成される。即ち、マイクロ構造体を
形成する方法において、該方法が、(1)第1基板上に
樹脂膜より成る犠牲層及び接着層を形成する工程、
(2)第2基板上に構造体層を形成する工程、(3)前
記接着層を介して第1基板と構造体層を接着する工程、
(4)前記第2基板を除去する工程、(5)前記構造体
層と第1基板とを接続するための支持層を形成する工
程、(6)前記犠牲層及び接着層を除去する工程、から
成る各工程を有することを特徴とするマイクロ構造体の
形成法、を開示するものである。
【0013】以下、本発明を更に詳細に説明する。犠牲
層及び接着層を形成する方法としては、通常の形成方法
を使用することができ、例えば、樹脂分子を有機溶媒に
より希釈した液をスピンナー法、ディッピング法、スプ
レー法等により塗布する方法等の樹脂膜形成法を用いて
行う。塗布方法では樹脂膜は基板上の表面凹凸が存在し
ても、平坦性よく塗布することが可能であり、これによ
り第2基板と接着する工程において基板表面粗さに依存
せずに良好な面接着が可能となる。樹脂材料としては、
回路を集積化したSi基板上に樹脂膜を形成する場合、
ナトリウムイオン等の不純物の少ないフォトレジストが
好ましい。更に、密着力及び機械的な強度に優れたゴム
を有するゴム系フォトレジストがより好ましい。
【0014】本発明で使用可能なゴム系フォトレジスト
としては、例えば「微細加工とレジスト」(野々垣三郎
著、高分子学会編集、共立出版発行、1990年)11
頁第3行に記載のゴムが好ましく、また東京応化工業
(株)製の高解像度ネガ型フォトレジストとしてOMR
−83等のゴムを含有するフォトレジストが好ましく使
用することができる。
【0015】接着層を形成する際に犠牲層が溶解されな
いよう犠牲層を形成した後に硬化処理を施す。硬化処理
の方法としては、樹脂膜を硬化する通常の方法を使用す
ることができ、例えば加熱、光照射等の硬化処理法が用
いられる。犠牲層としてフォトレジストを用いる場合、
加熱硬化処理の温度は、フォトレジスト中の高分子が架
橋し不溶化する温度となる。ネガ型のフォトレジストで
は光照射により架橋させることにより強く不溶化する。
【0016】構造体層が形成された第2基板としては、
半導体フォトリソグラフィプロセス及びエッチングによ
り構造体のパターンを形成した基板、第2基板上に構造
体層を薄膜形成した基板、転写用犠牲層を介して構造体
層を形成した第2基板等を用いることが可能である。
【0017】半導体フォトリソグラフィプロセス及びエ
ッチングにより構造体のパターンを形成した基板、及び
第2基板上に構造体層を薄膜形成した基板では、第2基
板を除去する工程において、基板材料に適したエッチン
グ液を用いたウエットエッチング、反応性ガスを用いた
ドライエッチング、又は研磨砥粒を用いてラッピングす
る方法を用いて、裏面を研削して構造体層のみを残すこ
ととなる。例えば、第2基板としてSiを用いる場合、
エッチング液としては水酸化カリウム溶液(KOH)、
4−メチルアンモニウム水溶液(tetramethyl ammoniumh
ydoxide)等のアルカリ水溶液、又はフッ酸及び硝酸の混
合水溶液等を用い、また反応性ガスとしてはCF4 ,S
6 ,NF3 等のプラズマガスを用いて行う。エッチン
グにより構造体のパターンを形成したSi等のバルクを
第2基板として用いれば、マイクロ構造体は反ることが
なく、犠牲層上に薄膜形成してマイクロ構造体を作製す
る際に問題となった膜応力による反りの問題を回避する
ことができる。
【0018】転写用犠牲層を介して構造体層を形成した
基板としては、例えば、第2基板をガラス基板として構
造体層に転写用犠牲層となる金属膜を薄膜形成した後、
該金属膜とガラス基板に電圧を印加し、陽極接合法によ
り形成した接合体から成る基板、シリコン酸化膜を転写
用犠牲層とし、シリコン膜を構造体層とするSOI基
板、又はSIMOX基板等の中間層を有する基板、第2
基板上に転写用犠牲層及び構造体層を薄膜形成した基板
等を用いることができる。転写用犠牲層の材料として
は、転写用犠牲層を除去するエッチャントにより少なく
とも接着層及び構造体層が腐食されない材料より選択さ
れる。薄膜形成法としては真空蒸着法、CVD(Chemic
al Vapor Deposition)法等の薄膜堆積法を用いる。陽極
接合による場合、第2基板はアルカリ金属の可動イオン
(例えばナトリウム等)を含むガラス基板であり、金属
膜としてはSi,Al,Ti,Ni等の陽極接合可能な
金属膜、又は、これら元素を含有する合金より成る金属
膜を用いればよい。これら金属膜を構造体層に薄膜形成
することにより、構造体層の材料として絶縁体、半導
体、金属等種々の材料をガラス基板に陽極接合すること
が可能である。
【0019】第2基板に構造体層を接合する際に、構造
体層の厚みが数十μm以下の場合には、ハンドリングが
困難である。このため、接合後に薄膜化し構造体層とな
る、或いは構造体層が予め形成された基板の該基板が除
去されることにより、構造体層を形成する等の基板を用
いることも可能である。該基板の薄膜化、或いは除去に
おいては、基板材料に適したエッチング液を用いるウエ
ットエッチング、反応性ガスを用いるドライエッチン
グ、又は研磨砥粒を用いるラッピング、ポリッシングす
る方法を用いて裏面から研削を行えば、所望の厚みの構
造体層を第2基板上に接合することができ、構造体材料
としてSi,GaAs等のバルクの基板を用いれば、薄
膜化したバルクから成るマイクロ構造体は反ることがな
く、犠牲層上に薄膜形成してマイクロ構造体を作製する
際に問題となった膜応力による反りの問題を回避するこ
とができる。また、薄膜化により接合体層の膜厚を任意
に調整することが可能である。
【0020】第1基板と構造体層を接着する工程として
は、第1基板と第2基板を裏面より圧力をかけて押し当
てた後に、加熱処理することにより接着層である樹脂膜
中に含まれる有機溶媒を蒸発させ、樹脂を硬化させると
ともに各基板との接着力を強くすることにより行う。第
1基板及び第2基板が導電体であるならば、各々に電圧
を印加し発生する静電力を用いて圧力を加え接着するこ
とも可能である。
【0021】第1基板と第2基板が反っている場合、又
は圧力が接着する基板面に均一に印加されない場合、本
発明の形成工程の犠牲層を省くと接着層は未硬化であ
り、部分的に構造体層が接着層に埋込まれ接着層の厚み
を均一に保持することが困難となり、構造体層と第1基
板の間隔が面内で異なることとなる。これにより、基板
面上の複数のマイクロ構造体と基板との空隙間隔が各々
異なってしまうことになる。予め樹脂膜より成る犠牲層
を形成し十分に硬化することにより、たとえ構造体層が
接着層に埋込まれても犠牲層に埋込まれることはない。
これにより、例え基板の反りや接着時の圧力が不均一に
印加されても、構造体層と第1基板との間隔を基板面内
で再現性よく制御することが可能となる。犠牲層を構造
体層と第1基板との間隔制御を行う層として用いるの
で、接着層は犠牲層に比べて薄く形成することが好まし
い。
【0022】第1基板及び/又は構造体層に溝を形成す
ることにより接着層を加熱処理する際に発生する有機溶
媒の蒸気を前記溝を通して逃がすことができる。溝とし
て、半導体フォトリソグラフィプロセスによりパターニ
ングした構造体層のパターンの段差部分を前記溝として
用いることが可能である。
【0023】接着層である樹脂膜を硬化するには、比較
的低温において行うことが可能であり、第1基板と第2
基板の熱膨張係数の違いによる接着時の基板損傷を回避
することができ、熱膨張係数差に伴う第1基板材料の制
限がない。
【0024】第2基板を除去する工程において、転写用
犠牲層を有する第2基板では転写用犠牲層を除去する工
程により、第1基板上の接着層と構造体層が接着された
まま第2基板と構造体層は分離されることとなる。即
ち、本工程により第2基板上の構造体が第1基板の接着
層上に転写される。
【0025】支持層は第1基板と構造体層を機械的に接
続するものであり、犠牲層及び接着層を除去する前に形
成することにより転写された構造体層の上面と第1基板
面上に形成してあり、構造体層を上から釣り上げる構造
となっている。支持層として金属薄膜(Al等)を用い
ることにより、電気的に構造体層と第1基板を接続する
ことができる。
【0026】樹脂膜から成る犠牲層及び接着層を除去す
る工程では、樹脂膜を溶解する溶液に浸すことによりウ
エットエッチング除去する方法、酸素プラズマを用いる
アッシングによりドライエッチングする方法により行
う。犠牲層及び接着層が樹脂から成ることにより、ドラ
イエッチングすることが可能であり、従来ウエットエッ
チングによる犠牲層除去の際に問題となるStickingを回
避することができる。
【0027】上記形成法により作製されたマイクロ構造
体は、第1基板と、支持層から成る支持部と、支持部に
より第1基板と空隙を介して支持されパターニングされ
た構造体層とからなり、構造体層を空隙を介して支持す
るに際して、支持部が第1基板と構造体層の上面を接続
して支持する特徴を有している。第1基板に固定電極及
び駆動電極を形成し、構造体層をビーム形状にパターニ
ングし、ビーム上に可動電極を設けることにより、支持
部が可動電極と固定電極を電気的に接続すると共に機械
的にビームを該ビーム上面より支持し、駆動電極と可動
電極に電圧を印加することによりビームが変位すること
を特徴とする静電アクチュエータを作製することができ
る。本発明の方法で製造することができるマイクロ構造
体としては、例えば静電アクチュエータ、AFM、ST
M(Scanning Tunneling Microscope)等のトンネル電
流、ファンデルワールス力、磁力、静電力等を検出する
マイクロスコープシステムに用いるカンチレバー、エア
ブリッジ構造型の配線等を精度よく製造することが可能
となる。
【0028】上記のように構成された本発明のマイクロ
構造体の形成法においては、第1基板上に形成した樹脂
膜より成る犠牲層及び接着層と、第2基板上に形成した
構造体層を接着した後に、第2基板を除去し、支持層に
より第1基板と構造体層を機械的に接続し、前記犠牲層
及び接着層を除去することにより行う。樹脂膜により接
着することにより、第1基板、第2基板、及び第2基板
上に形成した構造体層の材料が制限されることなく、ま
た樹脂膜を除去する前工程により構造体層上に電極を形
成することができる。前記犠牲層及び接着層は、樹脂膜
より成ることにより溶媒、アッシング等により除去する
ことができ、電極をエッチングすることがない。そし
て、樹脂膜より成る犠牲層及び接着層をドライエッチン
グにより除去することにより、従来の犠牲層除去の際に
問題となるStickingを回避することができる。また、予
め樹脂膜から成る犠牲層を形成し十分に硬化することに
より、構造体層と第1基板との間隔を、基板面内で再現
性よく制御することが可能となる。
【0029】
【実施例】以下に本発明に係るマイクロ構造体の形成法
の実施例について、図1〜7の図面を参照して詳細に説
明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるもの
ではない。
【0030】実施例1 図1,2は、本発明のマイクロ構造体の形成法の第1の
実施例を示す作製工程説明図であり、図3はそれを用い
て作製したマイクロ構造体の模式的斜視図である。本発
明のマイクロ構造体は図3より以下の構造を有する。1
は第1基板となるガラス基板、2はSiから成る第2基
板を薄膜化して形成した構造体層から成るビームであ
り、3は支持層であるAl薄膜の支持部となっている。
ビーム2は空隙9を介して支持部3により前記ビーム上
面より釣り下げられた構造となり、支持部3がビーム2
と基板1とをエアブリッジ(Air Bridge) 構造により機
械的に接続している。
【0031】図1,2を用いて、図3に示すマイクロ構
造体のA−A断面における本発明の形成法について説明
する。第2基板として、バルクSiから成るSi基板4
を用いて、前記基板上にフォトレジスト101を塗布し
露光、現像を行うフォトリソグラフィプロセスを用い
て、フォトレジストのパターニングを施す(図1(A)
参照)。フォトレジストをマスクとしてSi基板4を、
SF6 とCCl22 の混合ガスを用いて反応性イオン
エッチング(RIE)によりエッチングし、Si基板4
上にビームパターン5を形成する。フォトレジスト10
1をレジスト剥離液を用いて剥離し、第2基板を作製す
る(図1(B)参照)。ビームパターン5の段差は5μ
mとした。
【0032】次に、第1基板であるガラス基板1(商品
名、#7059,Corning 社)に、ポリイミド前駆体を
溶解した溶液を樹脂膜形成法の1種であるスピナー法に
より塗布して250℃の温度で加熱硬化し、ポリイミド
樹脂膜から成る2μm厚の犠牲層6を形成する。次い
で、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)をメチルエチ
ルケトン(MEK)に溶解した溶液をスピナー法により
塗布して、硬化処理を施していないPMMAから成る
0.5μm厚の接着層7を形成する(図1(C)参
照)。
【0033】前記ガラス基板はSiに比べて熱膨張係数
が1.4倍ほど大きい。図1(B)の第2基板と図1
(C)の犠牲層6及び接着層7を形成した第1基板を、
各基板の裏面より圧力を加えて接着する(図1(D)参
照)。
【0034】図に示すようにビームパターン5は接着層
7’に埋込まれても犠牲層6に埋込まれることはない。
犠牲層が構造体層と第1基板との間隔制御を行う層とな
り、基板に反りがあっても、また、接着時の圧力が不均
一に印加されても、構造体層と第1基板との間隔を基板
面内で再現性よく制御することが可能となった。第1基
板と第2基板を接着層を介して接着した後に、150℃
に加熱し接着層を硬化した。
【0035】この後、Si基板4を100℃に加熱した
KOH30wt%水溶液によりウエットエッチングし、
第2基板を薄膜化した(図1(E)参照)。次に、SF
6 ガスによるRIEにより第2基板を更にエッチングし
て膜厚1μmのSiのビーム2を形成した(図1(F)
参照)。続いて、酸素ガスによるRIEによりPMMA
とポリイミドを、ビームと同一のパターンでエッチング
した(図1(G)参照)。
【0036】以上のようにして形成したSiビーム上
に、支持層となるAl薄膜8を真空蒸着法の1種である
Alターゲットを用いたスパッタリング法により1μm
成膜した。前記Al膜上にフォトリソグラフィプロセス
によりフォトレジスト102を塗布、露光、現像した
(図2(I)参照)。次いで、Al膜8をりん酸、硝酸
及び酢酸から成るAlエッチントを用いてパターニング
し支持部3のパターンを形成した(図2(J)参照)。
【0037】最後に、酸素プラズマによりフォトレジス
ト102及びビーム2下部の樹脂膜をエッチング除去し
空隙9を形成した。以上の形成法を用いて空隙9を有す
る1μmの膜厚のSiのビーム2を、Al膜で支持した
図3に示すマイクロ構造体を形成した(図2(K)参
照)。酸素プラズマによるエッチングにより各電極がエ
ッチングされることなく、且つ従来のウエットエチング
による犠牲層除去の際に問題となるStickingを回避する
ことができた。
【0038】本発明の形成法においては、図1(B)に
示したように、バルクのSi基板4に初めにビーム形状
の構造体層のパターンを形成した。バルクSiを薄膜化
して作製したことにより、本質的に内部応力を有しない
反りのないビームを作製することができた。また、ビー
ムのパターンにより、Si基板4上に溝が形成され、図
1(D)での工程により、PMMAから成る接着層を加
熱硬化処理する際に発生する溶媒の蒸気を前記溝を通じ
て逃がすことができる。構造体層の面積が大きい場合に
は、塗布する際の樹脂を溶解した溶液中に含まれる溶媒
の含有量を調節しないと、加熱処理の際の溶媒蒸気によ
り接着層と第2基板との間に気泡が残る場合がある。こ
のような場合には硬化しない程度の低温において前処理
加熱を施し、樹脂膜中に含まれる溶媒の含有量を調節す
ることにより界面に気泡が残ることを防止することがで
きる。PMMAにおいては、50℃における10分間の
前処理により気泡の発生を抑えることが可能であった。
【0039】また、樹脂膜を接着層として用いることに
より、150℃の低温で接着することができ、第1基板
に第2基板と熱膨張の異なる基板を用いることが可能と
なった。本実施例で示したように樹脂膜は第1基板と第
2基板を接着する接着層であると共にマイクロ構造体を
形成するための犠牲層の役割を担っている。
【0040】支持部にAl薄膜より成る金属薄膜を用い
たが、真空蒸着法を用いて樹脂膜より成る犠牲層及び接
着層が熱損傷しない温度において形成したシリコン酸化
膜等の絶縁膜を用いれば、同様の工程により電気的に絶
縁のあるマイクロ構造体を基板上に形成することも可能
であることは言う迄もない。第1基板として、ガラス基
板を用いたが、同様の形成工程により石英、Al2
3 ,MgO,ZrO2 等の他の絶縁体、Si,GaA
s,InP等の半導体、金属等種々の基板を用いること
ができることは言う迄もない。また、犠牲層としてポリ
イミドを用い、接着層としてPMMAを用い、各々が異
なる樹脂膜としたが接着層を塗布した際に、犠牲層が溶
解しないように十分に犠牲層を架橋させることにより、
同一の有機樹脂膜の部材を用いることも可能である。
【0041】構造体層と第1基板との間隔制御の再現性
の評価として、第1基板の接着面側にCrを200nm
形成し、膜応力による基板の反りを有するようにした径
2インチφのガラス基板と、2インチφSiウエハから
成る第2基板を用い、第2基板上に100μm幅、20
mm長さの4本のビームパターンを各々10mm間隔で
図1(B)と同様に形成し、続いて図1(C)から図1
(F)の工程によりガラス基板上の犠牲層及び接着層上
に4本のSiビームを形成した。
【0042】図1(G)の工程によりビームを樹脂膜上
に形成した後に該ビームをエッチング除去し樹脂膜の膜
厚を測定したところ、樹脂膜の膜厚は2.0〜2.2μ
mの範囲に収まっていた。これに対し、図1(C)の工
程により犠牲層を形成する工程を除いて接着層が2.5
μmとなるように塗布し、上記と同様にビームを形成し
た後に除去し、樹脂膜の膜厚を測定したところ、樹脂膜
の膜厚は1.5〜2.4μmの範囲であった。犠牲層が
構造体層と第1基板との間隔制御を行う層となり、基板
に反りがあっても、また接着時の圧力が不均一に印加さ
れても、構造体層が樹脂膜より成る犠牲層に埋込まれる
ことなく第1基板との間隔を基板面内で再現性よく制御
することが可能であった。
【0043】実施例2 図4,5は、本発明のマイクロ構造体の形成法の第2の
実施例を示す作製工程説明図であり、図6はそれを用い
て作製したマイクロ構造体の模式的斜視図である。本発
明のマイクロ構造体は図6より以下の構造を有する。1
0は第1基板であるSi基板、14はシリコン酸化膜よ
り成る絶縁層、15及び16は絶縁層14上に薄膜形成
した駆動電極及び固定電極、ビーム12はパターニング
したSi構造体層からなり、トーションバー11を有し
空隙を介して支持部13,13’によりビーム上面より
支持され、更にビーム12上には可動電極17が形成し
てある。支持部13,13’は電気導電体よりなり可動
電極17と固定電極16を電気的に接続している。本実
施例のマイクロ構造体は、駆動電極15とビーム12上
の可動電極17と電気的に接続した固定電極16に電圧
を印加することにより静電アクチュエータとして変位す
ることが可能である。
【0044】これにより静電アクチュエータは、ビーム
12が空隙を介して支持部13,13’により前記ビー
ム上面より釣り下げる構造となり、支持部13,13’
はビーム12と絶縁層14、及び固定電極16とをエア
ブリッジ(Air Bridge) 構造により機械的、且つ電気的
に接続する構造となる。駆動電極15と可動電極17に
電圧を印加することによりトーションバー11が捩じり
回転しビームが変位する。
【0045】図4,5を用いて図6に示すマイクロ構造
体のB−B断面における本発明の形成法を説明する。ビ
ーム厚みが2μmのマイクロ構造体を形成するに際し、
ビームとなる構造体層を第2基板に接合する。然しなが
ら、第2基板に転写用犠牲層を介して2μm厚の構造体
層を接合することはハンドリング上困難であり、このた
め、接合後に薄膜化し構造体層となるSi基板20を用
いる。Si基板20にAl膜より成る転写用犠牲層21
を薄膜体積法の1種である電子ビーム蒸着法により20
0nm厚に成膜する(図4(A)参照)。ガラス基板
(商品名、#7740,Corning 社)より成る第2基板
22と転写用犠牲層21を陽極接合法により接合する
(図4(B)参照)。
【0046】図7を用いて陽極接合する工程を説明す
る。同図において、33はSi基板20に成膜した転写
用犠牲層(Al膜)21と第2基板22であるガラス基
板との間に電圧を印加するための電源であり、リード線
32,34により、針状電極31,35と電気的に接続
してある。30は導電性でありヒーターを有するプラテ
ンである。転写用犠牲層(Al膜)21を接合面として
第2基板22を重ね合わせる。プラテンの温度を300
℃に保持した状態で電源33によって第2基板と転写用
犠牲層との間に500Vの電圧を20分間印加し、第2
基板と転写用犠牲層を陽極接合法により接合した。次
に、Si基板20を研磨砥粒を用いて構造体層の厚みが
2μmとなる迄ラッピング及びポリッシングした(図4
(C参照))。
【0047】次いで、図には示していないがフォトレジ
ストを構造体層23に塗布したフォトリソグラフィプロ
セスによりパターニングし、該フォトレジストをマスク
として構造体層をCF4 ガスによる反応性イオンエッチ
ング(RIE)によりエッチングし、その後エッチング
ガスをBCl3 とCl2 との混合エッチングガスに変え
て転写用犠牲層21をエッチングし、フォトレジストを
剥離しビームパターン24を形成した(図4(D)参
照)。
【0048】接着する第1基板には、絶縁層14と駆動
電極15及び固定電極16を有するSi基板10を用い
た。絶縁層14は酸化ガスを用いてSi基板10を熱酸
化した1μmの厚みのシリコン酸化膜である。駆動電極
15、固定電極16は前記絶縁層上に電子ビーム蒸着法
によりCrを5nm,Auを200nm連続して成膜
し、フォトリソグラフィプロセスによりフォトレジスト
を塗布、露光、パターニングし、該フォトレジストをマ
スクとしてAu,Crをヨウ素とヨウ化カリウムの水溶
液から成るAuエッチャント及び硝酸セリウムアンモニ
ウム及び過塩素酸の水溶液から成るCrエッチャントに
より図6に示す電極パターンにパターニングしたもので
ある、前記第1基板上に犠牲層25となる樹脂膜をスピ
ナー法により塗布する。樹脂膜として東京応化(株)製
のゴム系レジストOMR−83(商品名)を用いた。ゴ
ム系レジストを塗布した後に80℃にて20分間の熱処
理を施しゴム系レジスト中に含まれる溶媒を蒸発させ、
その後に紫外線を照射し架橋させる光硬化処理を施し、
最後に150℃にて1時間の加熱硬化処理を行った。犠
牲層の膜厚が2μmとなるよう塗布条件を設定した。次
に、犠牲層と同様に東京応化(株)製のゴム系レジスト
OMR−83(商品名)をスピナー法により塗布し硬化
処理を施していない0.4μm厚の接着層26を形成し
た(図4(E)参照)。
【0049】接着層となる樹脂膜には、犠牲層と同様の
ゴム系レジストを用いたが、犠牲層に硬化処理を施した
ことにより接着層を塗布しても犠牲層が溶解されること
はなかった。図に示すように、ビームパターン24は接
着層26’に埋込まれても犠牲層25に埋込まれること
はない。犠牲層が構造体層と第1基板との間隔制御を行
う層となり、基板に反りがあっても、また接着時の圧力
が不均一に印加されても、構造体層と第1基板との間隔
を基板面内で再現性よく制御することが可能となった。
【0050】接着層26を塗布した後に、図4(D)の
第2基板と図4(E)の第1基板を裏面より圧力をかけ
て押し当てた後、150℃に加熱処理することにより接
着層である樹脂膜中に含まれる有機溶媒を蒸発させると
共に硬化させて接着した(図4(F)参照)。本実施例
の形成法では、ガラス基板を第2基板として用いること
により、接着時に目視により観察しながら接着すること
ができ、接着時の駆動電極とビームのアライメントが容
易となった。
【0051】次に、パターニングした転写用犠牲層21
を80℃に加熱したりん酸、硝酸及び酢酸から成るAl
エッチャントを用いて除去し、第2基板をリリースする
ことにより、第2基板上の構造体層が第1基板の接着層
上に転写された(図4(G)参照)。Alエッチャント
により樹脂膜であるフォトレジスト及びSi構造体層が
腐食されることはない。
【0052】続いて、駆動電極15及び固定電極16を
形成したと同様にCrとAuの金属膜100を成膜し、
フォトレジスト103を塗布しフォトリソグラフィプロ
セスによりパターンニングした(図5(H)参照)。フ
ォトレジスト103をマスクとしてAuエッチャント及
びCrエッチャントにより金属膜100をエッチングし
可動電極17を形成した。
【0053】次に、ビームパターン24をマスクとして
酸素ガスによるRIEにより樹脂膜より成る犠牲層及び
接着層をビームパターンと同様の形状にパターニングし
た(図5(I)参照)。以上のようにして形成したSi
のビームと可動電極17上に支持層となるAl膜27を
2μm厚さに成膜した。前記Al膜上にフォトリソグラ
フィプロセスによりフォトレジスト104を塗布、露
光、現像した(図5(K)参照)。次いでAl膜27を
BCl3 とCl2 との混合エッチングガスによりRIE
によりパターニングし、支持部13,13’を形成した
(図5(L)参照、支持部13は不図示)。
【0054】最後に、酸素プラズマによりフォトレジス
ト104及びビームパターン24下部の樹脂膜より成る
犠牲層及び接着層をエッチング除去し空隙29を形成し
た(図5(M)参照)。
【0055】以上の形成法を用いて空隙29を有する2
μmの膜厚のSiのビーム12をAl膜で支持した図6
に示すマイクロ構造体を形成した。酸素プラズマによる
エッチングにより各電極がエッチングされることなく、
且つウエットエッチングによる従来の犠牲層除去の際に
問題となるStickingを回避することができた。
【0056】本実施例の形成法により、バルクのSi基
板20を薄膜化し、ビームを形成することが可能となっ
た。更に、ビーム上に駆動電極を形成することができ、
且つ第1基板上に形成した固定電極と支持部を通じて、
電気的に接続することができた。また、可動電極と駆動
電極の間に電圧を印加することによりビームの自由端は
第1基板方向にトーションバーの捩じり回転に応じて変
位した。
【0057】樹脂膜を第1基板上に塗布することによ
り、駆動電極及び固定電極等により生じる基板上の凹凸
に対して平滑に塗布することが可能であり、接着面の平
坦性を保持すると共に良好な基板同士の接着が可能とな
った。更に、樹脂層としてフォトレジストを用いたこと
により、第1基板であるSi基板10上に集積回路を形
成した基板を用いても同様にマイクロ構造体を形成する
ことができることは言う迄もない。フォトレジストは可
動イオンの含有量が極めて少なく、MOSトランジスタ
等の電子デバイスへの可動イオンの侵入による動作不良
を起こすことがない。また、基板としてSiを用いたが
ガラス、GaAs、金属、金属膜が形成されたガラス基
板等の他の基板を用いても可能であることは言う迄もな
い。
【0058】図4(D)において転写用犠牲層21をビ
ームパターン状に除去せずに残し、構造体層と第1基板
を接着層を介して接着する工程において各基板の裏面よ
り圧力をかけて押し当てる代わりに、転写用犠牲層であ
るAlと第1基板であるSi基板に100Vの電圧を印
加し、発生する静電力により押し当てることにより同様
に接着することが可能であった。
【0059】本実施例の形成法においては、バルクSi
を研磨砥粒により薄膜化してSiビームを作製したが、
その他の薄膜化の方法として、Si基板20の代わりに
シリコン基板上にシリコン酸化膜を介して、直接接合さ
れた2μm厚みのシリコン膜から成るSOI基板を用い
て同様のマイクロ構造体を作製した。その工程として
は、Al膜をシリコン膜上に成膜後、上記と同様に第2
基板に陽極接合し、SOI基板の裏面より100℃に加
熱したKOH30wt%水溶液によりエウットエッチン
グしSOIのSi基板を除去する。シリコン酸化膜がエ
ッチングを阻止するエッチストップ層となりKOHによ
るエッチングが停止する。その後フッ酸水溶液によりシ
リコン酸化膜をエッチングすることにより、図4(C)
に示すと同様の、第2基板に転写用犠牲層を介して2μ
mの膜厚のSi構造体層を形成することができた。SO
I基板を用いることにより、構造体層の厚みを高精度に
保証することができ、且つ任意の厚みの構造体層を得る
ことが可能となった。Si構造体層を形成する上記以外
の方法として、図4(C)に示す構造体層、転写用犠牲
層を有する第2基板としてSOI基板を用いることが可
能である。この場合には第2基板としてSOIのSi基
板、転写用犠牲層としてシリコン酸化膜を用い、図4
(D)に示す工程と同様にSi膜にビームパターンを形
成し、図4(E)に示す第1基板と接着する。フッ酸水
溶液により転写用犠牲層であるシリコン酸化膜をエッチ
ング除去することにより図4(G)と同様の接着層上へ
の構造体層の転写が可能である。
【0060】転写用犠牲層の材料としてAl膜を用いた
が、Ti,Ni等の陽極接合可能な他の金属材料を用
い、樹脂膜及び構造体層を腐食することがないエッチャ
ントを選ぶことにより同様の構造体を形成することが可
能である。
【0061】また、図4(D)のビームパターンによ
り、構造体層23に溝が形成されたこととなり、図4
(E)での工程により樹脂膜を加熱処理し硬化する際に
発生する溶媒の蒸気を前記溝を通じて逃がすことができ
る。溝のない場合には、塗布する際の樹脂を溶解した溶
液中に含まれる溶媒の含有量を調節しないと、加熱処理
の際の溶媒蒸気により接着層と構造体層との間に気泡が
残る場合がある。溝を形成することにより気泡の発生を
防止する効果が得られる。
【0062】また、本実施例において示したように樹脂
膜は、第1基板と構造体を接着する接着層であると共
に、マイクロ構造体を形成するための犠牲層の役割を担
っている。
【0063】本実施例では、酸素プラズマを用いたドラ
イエッチングにより樹脂膜より成る犠牲層及び接着層を
除去したが、OMR−83から成る犠牲層及び接着層を
東京応用化学工業(株)のOMR用剥離液−502(商
品名)に浸漬することにより除去することができる。前
記剥離液は有機溶液よりなりAl電極がエッチングされ
ることはない。本実施例の方法によりウエットエッチン
グにより犠牲層及び接着層を除去することが可能である
ことは言う迄もない。
【0064】また、犠牲層と接着層として同一の有機樹
脂膜の材料を用いたが、各々が異なる樹脂膜の材料を用
いることも可能であることは言う迄もない。
【0065】
【発明の効果】上記のように、本発明のマイクロ構造体
の形成法によって、第1基板上に形成した樹脂膜より成
る犠牲層と接着層と、第2基板上に形成した構造体層を
前記接着層を介して接着した後に、第2基板を除去し、
支持層により第1基板と構造体層を機械的に接続し、前
記犠牲層及び接着層を除去することにより、絶縁体、金
属、半導体等の種々の材料から成るマイクロ構造体を形
成することができ、マイクロ構造体上に電極パターンを
形成し、基板との電気的接続が可能なマイクロ構造体を
形成することができる。
【0066】また、構造体層を第1基板とは別の工程に
より作製するために、第1基板と構造体層の材料が制限
されることがない。更に、ビームとしてバルク材料を用
いることが可能であり、反りのないビームを形成するこ
とができる。
【0067】また、樹脂膜は第1基板と第2基板を接着
する接着層であると共にマイクロ構造体を形成するため
の犠牲層の役割を担っていることから、樹脂膜を除去す
る方法として酸素ガスによるドライエッチングを用いる
ことが可能となり、従来の犠牲層除去の際に問題となる
Stickingを回避することができる。
【0068】また、樹脂膜は基板上に形成した電極パタ
ーン等による凹凸に左右されずに平坦面を形成すること
ができ、基板の表面粗さに依存せず、良好な接着が可能
となる。更に、本発明の方法により、比較的低温プロセ
スによってマイクロ構造体を形成することができ、熱膨
張係数の異なる基板を用いてもマイクロ構造体を形成す
ることが可能である。
【0069】また、予め犠牲層を形成し十分に硬化する
ことにより、構造体層と第1基板との間隔を基板面内で
再現性よく制御することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のマイクロ構造体の形成法の第1の実施
例の作製工程を示す説明図。
【図2】本発明のマイクロ構造体の形成法の第1の実施
例の作製工程を示す説明図。
【図3】実施例1のマイクロ構造体の形成法を用いて作
製したマイクロ構造体を示す模式的斜視図。
【図4】本発明のマイクロ構造体の形成法の第2の実施
例の作製工程を示す説明図。
【図5】本発明のマイクロ構造体の形成法の第2の実施
例の作製工程を示す説明図。
【図6】実施例2のマイクロ構造体の形成法を用いて作
製したマイクロ構造体である静電アクチュエータを示す
模式的斜視図。
【図7】本発明のマイクロ構造体の形成方法の実施例2
の陽極接合法により第2基板上に転写用犠牲層を介して
構造体層となるSi基板を形成する工程を示す説明図。
【符号の説明】
1 ガラス基板 2,12 ビーム 3,13,13’ 支持部 4,10,20 Si基板 5,24 ビームパターン 6,25 犠牲層 7,7’,26,26’ 接着層 8,27 Al薄膜 9,29 空隙 11 トーションバー 14 絶縁層 15 駆動電極 16 固定電極 17 可動電極 21 転写用犠牲層 22 第2基板 23 構造体層 30 プラテン 31,35 針状電極 32,34 リード線 33 電源 100 金属膜 101,102,103,104 フォトレジスト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H02N 1/00 H02N 1/00 (56)参考文献 特開 平5−36347(JP,A) 特開 平4−296604(JP,A) 特開 平3−174112(JP,A) 特開 平2−74582(JP,A) 特開 平3−234982(JP,A) 特開 平6−178565(JP,A) 特表 平8−504266(JP,A) 特許3181174(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B81C 1/00 B32B 15/08 C23F 1/00 C23F 4/00 G02B 26/08 H02N 1/00

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マイクロ構造体を形成する方法におい
    て、該方法が、(1)第1基板上に樹脂膜より成る犠牲
    層及び接着層を形成する工程、(2)第2基板上に構造
    体層を形成する工程、(3)前記接着層を介して第1基
    板と構造体層を接着する工程、(4)前記第2基板を除
    去する工程、(5)前記構造体層と第1基板とを接続す
    るための支持層を形成する工程、(6)前記犠牲層及び
    接着層を除去する工程、から成る各工程を有することを
    特徴とするマイクロ構造体の形成法。
  2. 【請求項2】 前記犠牲層及び接着層を形成する工程
    が、犠牲層となる樹脂膜を硬化処理した後に接着層を形
    成するものであることを特徴とする請求項1記載のマイ
    クロ構造体の形成法。
  3. 【請求項3】 前記犠牲層及び接着層を形成する工程
    が、樹脂分子を溶媒により希釈した溶液を薄膜塗布する
    ことにより行うものであることを特徴とする請求項2記
    載のマイクロ構造体の形成法。
  4. 【請求項4】 前記樹脂膜が、フォトレジストから成る
    ことを特徴とする請求項1記載のマイクロ構造体の形成
    法。
  5. 【請求項5】 前記フォトレジストが、環化ゴムを含有
    することを特徴とする請求項4記載のマイクロ構造体の
    形成法。
  6. 【請求項6】 前記第1基板及び/又は第2基板上に、
    溝を形成して成ることを特徴とする請求項1記載のマイ
    クロ構造体の形成法。
  7. 【請求項7】 前記接着する工程が、第1及び第2基板
    に圧力を加える工程を有するものであることを特徴とす
    る請求項1記載のマイクロ構造体の形成法。
  8. 【請求項8】 前記圧力を加える工程が、第1基板と第
    2基板に、電圧を印加することにより行うものであるこ
    とを特徴とする請求項7記載のマイクロ構造体の形成
    法。
  9. 【請求項9】 前記支持層が、金属薄膜より成ることを
    特徴とする請求項1記載のマイクロ構造体の形成法。
  10. 【請求項10】 前記犠牲層及び接着層を除去する工程
    が、酸素を用いたドライエッチングにより行うものであ
    ることを特徴とする請求項1記載のマイクロ構造体の形
    成法。
  11. 【請求項11】 前記ドライエッチングを、プラズマエ
    ッチングにより行うことを特徴とする、請求項10記載
    のマイクロ構造体の形成法。
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