JP3419967B2 - ポリアミド組成物 - Google Patents
ポリアミド組成物Info
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はポリアミド組成
物、特に自己潤滑性及び耐摩耗性に優れ、軸受け、歯車
などの機械的部品を得るに好適な、モノマ−キャストナ
イロン組成物に係わるものである。
物、特に自己潤滑性及び耐摩耗性に優れ、軸受け、歯車
などの機械的部品を得るに好適な、モノマ−キャストナ
イロン組成物に係わるものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ポリア
ミド、特にモノマ−キャストナイロンは自己潤滑性があ
り、摩耗に耐えるので、無給油で使用する軸受等の材料
として用いられている。ところが、高速、高荷重の摩耗
が加わる使用条件下では、軸受等が摩滅したり、摩擦熱
で焼付けを起こしたりし、ポリアミド自体が有する潤滑
性では実用上、不充分となる。これらの問題を解決する
ため、従来、ε−カプロラクタムの重合時に滑剤(例え
ば二硫化モリブデン、グラファイト、ポリテトラフルオ
ロエチレン、鉱油、シリコン油、石油系ワックス等)を
添加することが提案されている。
ミド、特にモノマ−キャストナイロンは自己潤滑性があ
り、摩耗に耐えるので、無給油で使用する軸受等の材料
として用いられている。ところが、高速、高荷重の摩耗
が加わる使用条件下では、軸受等が摩滅したり、摩擦熱
で焼付けを起こしたりし、ポリアミド自体が有する潤滑
性では実用上、不充分となる。これらの問題を解決する
ため、従来、ε−カプロラクタムの重合時に滑剤(例え
ば二硫化モリブデン、グラファイト、ポリテトラフルオ
ロエチレン、鉱油、シリコン油、石油系ワックス等)を
添加することが提案されている。
【0003】しかしながら、このようなものは、ある程
度、耐摩耗性、潤滑性の効果は有しているものの、滑剤
の分散が不均一になる場合がある。滑剤の分散が不均一
になった場合、製品単体内において、耐摩耗性や潤滑性
の程度が部分的に不均一になったり、あるいは外観の異
なる部位が発生したりする。また同品種の製品同士の間
でも、耐摩耗性や潤滑性の度合いに、ばらつきが生じた
り或いは外観の異なる製品が発生したりし、さらに製品
単体自体の耐摩耗性、潤滑性の効果が低下したりする。
また、滑剤の分離が容易に起ってしまうので、成形条件
が制約される不都合も起る。
度、耐摩耗性、潤滑性の効果は有しているものの、滑剤
の分散が不均一になる場合がある。滑剤の分散が不均一
になった場合、製品単体内において、耐摩耗性や潤滑性
の程度が部分的に不均一になったり、あるいは外観の異
なる部位が発生したりする。また同品種の製品同士の間
でも、耐摩耗性や潤滑性の度合いに、ばらつきが生じた
り或いは外観の異なる製品が発生したりし、さらに製品
単体自体の耐摩耗性、潤滑性の効果が低下したりする。
また、滑剤の分離が容易に起ってしまうので、成形条件
が制約される不都合も起る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記従来の
問題点を解消し、高速、高荷重の摩耗負荷を受けても充
分これに耐え、向上した自己潤滑性を示すポリアミド組
成物を得ることを目的として検討を重ね、この目的を達
成する本発明に到達した。
問題点を解消し、高速、高荷重の摩耗負荷を受けても充
分これに耐え、向上した自己潤滑性を示すポリアミド組
成物を得ることを目的として検討を重ね、この目的を達
成する本発明に到達した。
【0005】上記目的を達成する第1の発明の要旨とす
るところは、ポリ−ε−カプロラクタム100重量部
に、フィッシャー・トロプシュワックスを1〜12重量
部及び末端又は側鎖に極性基を有するポリエチレンワッ
クスを0.1〜5重量部の割合で分散、配合してなるポ
リアミド組成物に存する。
るところは、ポリ−ε−カプロラクタム100重量部
に、フィッシャー・トロプシュワックスを1〜12重量
部及び末端又は側鎖に極性基を有するポリエチレンワッ
クスを0.1〜5重量部の割合で分散、配合してなるポ
リアミド組成物に存する。
【0006】上記目的を達成する第2の発明の要旨とす
るところは、ポリ−ε−カプロラクタム100重量部
に、マイクロクリスタリンワックスを1〜12重量部及
び末端又は側鎖に極性基を有するポリエチレンワックス
を0.1〜5重量部の割合で分散、配合してなるポリア
ミド組成物に存する。上記目的を達成する第3の発明の
要旨とするところは、ポリ−ε−カプロラクタム100
重量部に、ペトロラタムワックスを1〜12重量部及び
末端又は側鎖に極性基を有するポリエチレンワックスを
0.1〜5重量部の割合で分散、配合してなるポリアミ
ド組成物に存する。
るところは、ポリ−ε−カプロラクタム100重量部
に、マイクロクリスタリンワックスを1〜12重量部及
び末端又は側鎖に極性基を有するポリエチレンワックス
を0.1〜5重量部の割合で分散、配合してなるポリア
ミド組成物に存する。上記目的を達成する第3の発明の
要旨とするところは、ポリ−ε−カプロラクタム100
重量部に、ペトロラタムワックスを1〜12重量部及び
末端又は側鎖に極性基を有するポリエチレンワックスを
0.1〜5重量部の割合で分散、配合してなるポリアミ
ド組成物に存する。
【0007】
【発明の実施の形態】先ず本発明の第1の発明について
説明する。この発明の組成物を構成する末端又は側鎖に
極性基を有するポリエチレンワックス(以下、これを変
性PEワックスと略称することがある)における極性基
としては、水酸基、カルボキシル基、エポキシド基、カ
ルボニル基などが挙げられる。これら極性基を有する変
性PEワックスを製造するには、従来から、これら極性
基を導入付加する方法として知られている手法に準じて
行なえばよい。例えば水酸基の付加には、ポリエチレン
ワックスに対し、一旦その末端をエチレンオキサイドで
置換し、それを更に水酸基に変える方法による。カルボ
キシル基の付加は、ポリエチレンワックスを酸化し、熱
により付加させる。エポキシド基の付加は過酢酸での処
理により、またカルボニル基の付加は酸化法による。な
お、ポリエチレンワックスにカルボキシル基を付加した
ものは、三洋化成工業(株)からサンワックスE−31
0の商品名で市販されている。
説明する。この発明の組成物を構成する末端又は側鎖に
極性基を有するポリエチレンワックス(以下、これを変
性PEワックスと略称することがある)における極性基
としては、水酸基、カルボキシル基、エポキシド基、カ
ルボニル基などが挙げられる。これら極性基を有する変
性PEワックスを製造するには、従来から、これら極性
基を導入付加する方法として知られている手法に準じて
行なえばよい。例えば水酸基の付加には、ポリエチレン
ワックスに対し、一旦その末端をエチレンオキサイドで
置換し、それを更に水酸基に変える方法による。カルボ
キシル基の付加は、ポリエチレンワックスを酸化し、熱
により付加させる。エポキシド基の付加は過酢酸での処
理により、またカルボニル基の付加は酸化法による。な
お、ポリエチレンワックスにカルボキシル基を付加した
ものは、三洋化成工業(株)からサンワックスE−31
0の商品名で市販されている。
【0008】上記本発明における変性PEワックスはポ
リエチレン分子の末端ないし側鎖に1〜3 個程度の極性
基を有しており、その分子量は 800〜12000 程度であ
り、融点は通常90〜140 ℃である。本発明組成物におけ
る上記変性PEワックスの配合割合はポリ−ε−カプロ
ラクタム100 重量部に対し0.1 〜5 重量部、好ましくは
0.3 〜3 重量部である。この割合が0.1 重量部未満であ
ると滑剤としてのワックス(即ちこの場合、フィッシャ
−・トロプシュワックス)の分散効果が乏しく、一方 5
重量部を越えると、モノマ−キャスティングにおけるε
−カプロラクタムの重合を阻害し、組成物の機械的強度
を著しく低下させる。
リエチレン分子の末端ないし側鎖に1〜3 個程度の極性
基を有しており、その分子量は 800〜12000 程度であ
り、融点は通常90〜140 ℃である。本発明組成物におけ
る上記変性PEワックスの配合割合はポリ−ε−カプロ
ラクタム100 重量部に対し0.1 〜5 重量部、好ましくは
0.3 〜3 重量部である。この割合が0.1 重量部未満であ
ると滑剤としてのワックス(即ちこの場合、フィッシャ
−・トロプシュワックス)の分散効果が乏しく、一方 5
重量部を越えると、モノマ−キャスティングにおけるε
−カプロラクタムの重合を阻害し、組成物の機械的強度
を著しく低下させる。
【0009】組成物中に配合され、潤滑の作用を行なう
フィッシャ−・トロプシュワックスはフィッシャ−・ト
ロプシュ法により、一酸化炭素の接触水素化によって炭
化水素を合成する際に副生されるワックスであって、こ
のものの配合割合はポリ−ε−カプロラクタム100 重量
部に対し 1〜12重量部、好ましくは 2〜6 重量部であ
る。この配合割合が 1重量部未満であると潤滑効果が乏
しく、一方12重量部を越えると、組成物の機械的強度の
低下を生じ、エンジニアリングプラスチックとして好ま
しくない。
フィッシャ−・トロプシュワックスはフィッシャ−・ト
ロプシュ法により、一酸化炭素の接触水素化によって炭
化水素を合成する際に副生されるワックスであって、こ
のものの配合割合はポリ−ε−カプロラクタム100 重量
部に対し 1〜12重量部、好ましくは 2〜6 重量部であ
る。この配合割合が 1重量部未満であると潤滑効果が乏
しく、一方12重量部を越えると、組成物の機械的強度の
低下を生じ、エンジニアリングプラスチックとして好ま
しくない。
【0010】本発明の組成物は従来から知られているア
ニオン重合触媒を用い、モノマ−キャスティング方式に
従い製造することができる。即ち無水のε−カプロラク
タムにフィッシャ−・トロプシュワックス及び変性PE
ワックスを加え、アニオン重合触媒及び重合助触媒の存
在下でε−カプロラクタムの融点以上、ポリ−ε−カプ
ロラクタムの融点以下(通常130 〜180 ℃)に加熱して
ε−カプロラクタムをアニオン重合させる。
ニオン重合触媒を用い、モノマ−キャスティング方式に
従い製造することができる。即ち無水のε−カプロラク
タムにフィッシャ−・トロプシュワックス及び変性PE
ワックスを加え、アニオン重合触媒及び重合助触媒の存
在下でε−カプロラクタムの融点以上、ポリ−ε−カプ
ロラクタムの融点以下(通常130 〜180 ℃)に加熱して
ε−カプロラクタムをアニオン重合させる。
【0011】重合触媒及び重合助触媒は通常用いられて
いるものでよく、重合触媒としては、例えばアルカリ金
属、アルカリ土類金属及びこれら金属の水素化合物、水
酸化物、酸化物等、また重合助触媒としては、例えばイ
ソシアネート類、トリアジン類、置換尿素類を、通常
0.05〜2モル%の範囲内で用いる。
いるものでよく、重合触媒としては、例えばアルカリ金
属、アルカリ土類金属及びこれら金属の水素化合物、水
酸化物、酸化物等、また重合助触媒としては、例えばイ
ソシアネート類、トリアジン類、置換尿素類を、通常
0.05〜2モル%の範囲内で用いる。
【0012】上記のようにして得られた本発明の組成物
は、無給油で使用される軸受、歯車、スライドプレート
等の機械部品の材料として用いられ、優れた機械強度と
潤滑性を併せもった製品が得られる。
は、無給油で使用される軸受、歯車、スライドプレート
等の機械部品の材料として用いられ、優れた機械強度と
潤滑性を併せもった製品が得られる。
【0013】次に本発明に係わる第2の発明の実施の形
態について説明する。この第2の発明は、上記第1の発
明において潤滑作用を奏する構成物として、配合されて
いるフィッシャー・トロプシュワックスの代りにマイク
ロクリスタリンワックスを配合する点で相違し、その他
の点は第1の発明と同じである。
態について説明する。この第2の発明は、上記第1の発
明において潤滑作用を奏する構成物として、配合されて
いるフィッシャー・トロプシュワックスの代りにマイク
ロクリスタリンワックスを配合する点で相違し、その他
の点は第1の発明と同じである。
【0014】このマイクロクリスタリンワックスは石油
精製時に得られるワックスの一種で、一般的にいって、
結晶が極めて細かく、イソパラフィンを多く含み、パラ
フィンワックスよりも分子量の大きな飽和炭化水素を主
成分とする常温で固体のワックスである。通常、分子量
は、450〜1000、融点は60〜100℃である。
精製時に得られるワックスの一種で、一般的にいって、
結晶が極めて細かく、イソパラフィンを多く含み、パラ
フィンワックスよりも分子量の大きな飽和炭化水素を主
成分とする常温で固体のワックスである。通常、分子量
は、450〜1000、融点は60〜100℃である。
【0015】このマイクロクリスタリンワックスの配合
割合は、ポリ−ε−カプロラクタム100 重量部に対し、
1〜12重量部、好ましくは 2〜6 重量部である。この割
合が1重量部未満であると潤滑効果が乏しく、また12重
量部を越えると、組成物の機械的強度の低下を生じ、エ
ンジニアリングプラスチックとして好ましくない。
割合は、ポリ−ε−カプロラクタム100 重量部に対し、
1〜12重量部、好ましくは 2〜6 重量部である。この割
合が1重量部未満であると潤滑効果が乏しく、また12重
量部を越えると、組成物の機械的強度の低下を生じ、エ
ンジニアリングプラスチックとして好ましくない。
【0016】次に本発明に係わる第3の発明の実施の形
態について説明する。この第3の発明は、第1の発明に
おいて潤滑作用を奏する構成物として配合されているフ
ィッシャー・トロプシュワックスの代りに、ペトロラタ
ムワックスを配合する点で相違し、その他の点は上記第
1の発明と同じである。ペトロラタムワックスは石油精
製時に得られ、側鎖を有する飽和炭化水素を主成分とす
る常温で半固体(ゼリー状)のワックスであり、通常、
分子量は、400〜1000、融点は60〜100℃で
ある。
態について説明する。この第3の発明は、第1の発明に
おいて潤滑作用を奏する構成物として配合されているフ
ィッシャー・トロプシュワックスの代りに、ペトロラタ
ムワックスを配合する点で相違し、その他の点は上記第
1の発明と同じである。ペトロラタムワックスは石油精
製時に得られ、側鎖を有する飽和炭化水素を主成分とす
る常温で半固体(ゼリー状)のワックスであり、通常、
分子量は、400〜1000、融点は60〜100℃で
ある。
【0017】このペトロラタムワックスの配合割合は、
ポリ−ε−カプロラクタム100 重量部に対し、 1〜12重
量部、好ましくは 2〜6 重量部である。ペトロラタムワ
ックスの割合が 1重量部未満であると、潤滑効果が乏し
く、また12重量部を越えると、組成物の機械的強度の低
下を生じエンジニアリングプラスチックとして好ましく
ない。
ポリ−ε−カプロラクタム100 重量部に対し、 1〜12重
量部、好ましくは 2〜6 重量部である。ペトロラタムワ
ックスの割合が 1重量部未満であると、潤滑効果が乏し
く、また12重量部を越えると、組成物の機械的強度の低
下を生じエンジニアリングプラスチックとして好ましく
ない。
【0018】本発明の実施の態様を挙げると次の通りで
ある。 (1)モノマーキャスティング法によって製造されたも
のであって、ポリ−ε−カプロラクタム100重量部
に、フィッシャ・トロプシュワックスを1〜12重量部
及び末端又は側鎖に極性基を有するポリエチレンワック
スを0.1〜5重量部の割合で分散、配合してなるポリ
アミド組成物。
ある。 (1)モノマーキャスティング法によって製造されたも
のであって、ポリ−ε−カプロラクタム100重量部
に、フィッシャ・トロプシュワックスを1〜12重量部
及び末端又は側鎖に極性基を有するポリエチレンワック
スを0.1〜5重量部の割合で分散、配合してなるポリ
アミド組成物。
【0019】(2)モノマーキャスティング法によって
製造されたものであって、ポリ−ε−カプロラクタム1
00重量部に、マイクロクリスタリンワックス1〜12
重量部及び末端又は側鎖に極性基を有するポリエチレン
ワックスを0.1〜5重量部の割合で分散、配合してな
るポリアミド組成物。 (3)モノマーキャスティング法によって製造されたも
のであって、ポリ−ε−カプロラクタム100重量部
に、ペトロラタムワックスを1〜12重量部及び末端又
は側鎖に極性基を有するポリエチレンワックスを0.1
〜5重量部の割合で分散、配合してなるポリアミド組成
物。 (4)上記(1)〜(3)における末端又は側鎖に極性
基を有するポリエチレンワックスの極性基は水酸基、カ
ルボキシル基、カルボニル基、又はエポキシド基であ
る。
製造されたものであって、ポリ−ε−カプロラクタム1
00重量部に、マイクロクリスタリンワックス1〜12
重量部及び末端又は側鎖に極性基を有するポリエチレン
ワックスを0.1〜5重量部の割合で分散、配合してな
るポリアミド組成物。 (3)モノマーキャスティング法によって製造されたも
のであって、ポリ−ε−カプロラクタム100重量部
に、ペトロラタムワックスを1〜12重量部及び末端又
は側鎖に極性基を有するポリエチレンワックスを0.1
〜5重量部の割合で分散、配合してなるポリアミド組成
物。 (4)上記(1)〜(3)における末端又は側鎖に極性
基を有するポリエチレンワックスの極性基は水酸基、カ
ルボキシル基、カルボニル基、又はエポキシド基であ
る。
【0020】
【実施例】以下の実施例及び比較例では、夫々の組成物
について、限界PV値(単位はkg/cm2 ・m /分)及び
引張強度(単位はkg/cm2)を測定した。限界PV値は潤
滑性及び耐摩耗性の評価を示すものであり、この値は東
洋ボ−ルドウイン社製鈴木式摩擦摩耗試験機により、ポ
リアミド成形品とS−45C鋼とを種々の面圧P(kg/
cm2)及び摩擦速度V(m/分) で摩擦させ、3 分間異常摩
耗を起さないPVの最大値を示す。引張強度は、AST
M規格のD−638法を常温で行って得られた値であ
る。
について、限界PV値(単位はkg/cm2 ・m /分)及び
引張強度(単位はkg/cm2)を測定した。限界PV値は潤
滑性及び耐摩耗性の評価を示すものであり、この値は東
洋ボ−ルドウイン社製鈴木式摩擦摩耗試験機により、ポ
リアミド成形品とS−45C鋼とを種々の面圧P(kg/
cm2)及び摩擦速度V(m/分) で摩擦させ、3 分間異常摩
耗を起さないPVの最大値を示す。引張強度は、AST
M規格のD−638法を常温で行って得られた値であ
る。
【0021】実施例1〜9及び比較例1〜8
ステンレス鋼製ビ−カ−に無水のε−カプロラクタム50
重量部を採り、160 ℃に調整する。これに重合助触媒の
トリレンジイソシアネ−ト0.5 重量部を入れ、更に予め
溶融しておいたフィッシャ−・トロプシュワックス(融
点108 ℃)及びPEワックスの分子片末端に 1個、側鎖
に 1〜2 個の水酸基を導入した変性PEワックスを、後
記表1に記載した種々の重量部の割合で加え、均一に撹
拌する。
重量部を採り、160 ℃に調整する。これに重合助触媒の
トリレンジイソシアネ−ト0.5 重量部を入れ、更に予め
溶融しておいたフィッシャ−・トロプシュワックス(融
点108 ℃)及びPEワックスの分子片末端に 1個、側鎖
に 1〜2 個の水酸基を導入した変性PEワックスを、後
記表1に記載した種々の重量部の割合で加え、均一に撹
拌する。
【0022】別のステンレス鋼製ビ−カ−に無水のε−
カプロラクタム50重量部を採り、これに重合触媒の水素
化ナトリウム(油性63%)0.2重量部を加え150 ℃に調整
する。これを上記のフィッシャ−・トロプシュワックス
等を含有する混和物と混合し、その系を均一にした後、
160 ℃の金型に注入し、滑剤などが分散したポリ−ε−
カプロラクタム組成物を得た。得られたポリ−ε−カプ
ロラクタム組成物に用いたフィッシャ−・トロプシュワ
ックス及び変性PEワックスの量(単位は重量部)、そ
れぞれの組成物の限界PV値(単位はkg/cm2 ・m /
分) 及び引張強度(単位はkg/cm2)を表1に示す。表
中、備考の*印は添加したワックスが重合物の上部に分
離浮上したことを示す。また、表1における比1は比較
例1、実1は実施例1を表わし、以下同様に表示する。
カプロラクタム50重量部を採り、これに重合触媒の水素
化ナトリウム(油性63%)0.2重量部を加え150 ℃に調整
する。これを上記のフィッシャ−・トロプシュワックス
等を含有する混和物と混合し、その系を均一にした後、
160 ℃の金型に注入し、滑剤などが分散したポリ−ε−
カプロラクタム組成物を得た。得られたポリ−ε−カプ
ロラクタム組成物に用いたフィッシャ−・トロプシュワ
ックス及び変性PEワックスの量(単位は重量部)、そ
れぞれの組成物の限界PV値(単位はkg/cm2 ・m /
分) 及び引張強度(単位はkg/cm2)を表1に示す。表
中、備考の*印は添加したワックスが重合物の上部に分
離浮上したことを示す。また、表1における比1は比較
例1、実1は実施例1を表わし、以下同様に表示する。
【0023】
【表1】
【0024】上記表1によれば、フィッシャ−・トロプ
シュワックスを 1重量部以上(ポリ−ε−カプロラクタ
ム100 重量部当りの量、以下同じ)加えると、限界PV
値が向上するが、12重量部を越えると限界PV値の低下
が認められ、かつフィッシャ−・トロプシュワックスの
配合量増加に伴い、引張強度は低下する(実1〜実5と
比6及び比7との対比による)。また比2、比3及び比
7におけるように、フィッシャ−・トロプシュワックス
を単独配合したとき、又は変性PEワックスを配合して
もフィッシャ−・トロプシュワックスの配合割合が大き
いときはフィッシャ−・トロプシュワックスが分離して
くる。
シュワックスを 1重量部以上(ポリ−ε−カプロラクタ
ム100 重量部当りの量、以下同じ)加えると、限界PV
値が向上するが、12重量部を越えると限界PV値の低下
が認められ、かつフィッシャ−・トロプシュワックスの
配合量増加に伴い、引張強度は低下する(実1〜実5と
比6及び比7との対比による)。また比2、比3及び比
7におけるように、フィッシャ−・トロプシュワックス
を単独配合したとき、又は変性PEワックスを配合して
もフィッシャ−・トロプシュワックスの配合割合が大き
いときはフィッシャ−・トロプシュワックスが分離して
くる。
【0025】比4及び比5にみられるように、変性PE
ワックスを単独配合するときは、限界PV値が大きく低
下し、また重合反応が阻害される。そして本発明の要件
を満たす配合割合によれば、限界PV値が875 以上を示
し、かつ引張強度が500 以上を示し、バランスよく良好
な物性を示す。
ワックスを単独配合するときは、限界PV値が大きく低
下し、また重合反応が阻害される。そして本発明の要件
を満たす配合割合によれば、限界PV値が875 以上を示
し、かつ引張強度が500 以上を示し、バランスよく良好
な物性を示す。
【0026】実施例21〜29及び比較例21〜28 ここに示す実施例及び比較例は、本発明の第2の発明に
係わるものである。
係わるものである。
【0027】これらの例では、上記実施例1〜9及び比
較例1〜8に記載したフィッシャー・トロプシュワック
スの代りに、マイクロクリスタリンワックス(融点84
℃)を後記表2に示す割合で加える点を除き(変性PE
ワックスも表2に示す割合とする。)、その他は全て上
記実施例1〜9及び比較例1〜8と同様にし、マイクロ
クリスタリンワックスを分散、配合してなるポリアミド
組成物を得た。これら組成物の限界PV値および引張強
度を表2に示す。
較例1〜8に記載したフィッシャー・トロプシュワック
スの代りに、マイクロクリスタリンワックス(融点84
℃)を後記表2に示す割合で加える点を除き(変性PE
ワックスも表2に示す割合とする。)、その他は全て上
記実施例1〜9及び比較例1〜8と同様にし、マイクロ
クリスタリンワックスを分散、配合してなるポリアミド
組成物を得た。これら組成物の限界PV値および引張強
度を表2に示す。
【0028】
【表2】
【0029】上記表2によれば、マイクロクリスタリン
ワックスを1重量部以上(ポリ−ε−カプロラクタム1
00重量部当たりの量、以下同じ)を加えると、限界P
V値が向上するが、12重量部を超えると限界PV値の
低下が認められ、かつマイクロクリスタリンワックスの
配合量増加に伴い、引張強度は低下する(実21〜実2
5と比26及び比27との対比による)。
ワックスを1重量部以上(ポリ−ε−カプロラクタム1
00重量部当たりの量、以下同じ)を加えると、限界P
V値が向上するが、12重量部を超えると限界PV値の
低下が認められ、かつマイクロクリスタリンワックスの
配合量増加に伴い、引張強度は低下する(実21〜実2
5と比26及び比27との対比による)。
【0030】また比22、比23及び比27におけるよ
うに、マイクロクリスタリンワックスを単独配合したと
き、又は変性PEワックスを配合してもマイクロクリス
タリンワックスの配合割合が大きいときはマイクロクリ
スタリンワックスが分離してくる。
うに、マイクロクリスタリンワックスを単独配合したと
き、又は変性PEワックスを配合してもマイクロクリス
タリンワックスの配合割合が大きいときはマイクロクリ
スタリンワックスが分離してくる。
【0031】比24及び比25に見られるように、変性
PEワックスを単独配合するときは、限界PV値が大き
く低下し、また重合反応が阻害される。そして本発明の
要件を満たす配合割合によれば、限界PV値が1000
以上を示し、かつ引張強度が500以上を示し、バラン
スよく良好な物性を示す。
PEワックスを単独配合するときは、限界PV値が大き
く低下し、また重合反応が阻害される。そして本発明の
要件を満たす配合割合によれば、限界PV値が1000
以上を示し、かつ引張強度が500以上を示し、バラン
スよく良好な物性を示す。
【0032】実施例31及び比較例31 ここに示す実施例及び比較例は、本発明の第3の発明に
係わるものである。
係わるものである。
【0033】これらの例では、上記実施例1〜9及び比
較例1〜8に記載したフィッシャー・トロプシュワック
スの代りに、ペトロラタムワックス(常温で半固体)を
後記表3に示す割合で加える点を除き(変性PEワック
スも表3に示す割合とする。)、その他は全て上記実施
例1〜9及び比較例1〜8と同様にし、ペトロラタムワ
ックスを分散、配合してなるポリアミド組成物を得た。
較例1〜8に記載したフィッシャー・トロプシュワック
スの代りに、ペトロラタムワックス(常温で半固体)を
後記表3に示す割合で加える点を除き(変性PEワック
スも表3に示す割合とする。)、その他は全て上記実施
例1〜9及び比較例1〜8と同様にし、ペトロラタムワ
ックスを分散、配合してなるポリアミド組成物を得た。
【0034】これら組成物の限界PV値及び引張強度を
表3に示す。
表3に示す。
【0035】
【表3】
【0036】上記表3により、ペトロラタムワックスを
含むポリアミド組成物に変性PEワックスを添加するこ
とにより、ペトロラタムワックスの分散を均一にし、機
械的強度を低下することなく潤滑性を向上させ得ること
が明らかである。
含むポリアミド組成物に変性PEワックスを添加するこ
とにより、ペトロラタムワックスの分散を均一にし、機
械的強度を低下することなく潤滑性を向上させ得ること
が明らかである。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、単独では分散困難なフ
ィッシャ・トロプシュワックス、マイクロクリスタリン
ワックス又は、ペトロラタムワックスに、末端又は側鎖
に極性基を有するポリエチレンワックスを配合すること
により、機械的強度の低下を起こすことなく、上記配合
物をポリ−ε−カプロラクタム中に均一に分散させ、自
己潤滑性、耐摩耗性の向上した組成物を得ることができ
る。
ィッシャ・トロプシュワックス、マイクロクリスタリン
ワックス又は、ペトロラタムワックスに、末端又は側鎖
に極性基を有するポリエチレンワックスを配合すること
により、機械的強度の低下を起こすことなく、上記配合
物をポリ−ε−カプロラクタム中に均一に分散させ、自
己潤滑性、耐摩耗性の向上した組成物を得ることができ
る。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
C08L 77/00 - 77/12
Claims (3)
- 【請求項1】 ポリ−ε−カプロラクタム100重量部
に、フィッシャー・トロプシュワックスを1〜12重量
部及び末端又は側鎖に極性基を有するポリエチレンワッ
クスを0.1〜5重量部の割合で分散、配合してなるポ
リアミド組成物。 - 【請求項2】 ポリ−ε−カプロラクタム100重量部
に、マイクロクリスタリンワックスを1〜12重量部及
び末端又は側鎖に極性基を有するポリエチレンワックス
を0.1〜5重量部の割合で分散、配合してなるポリア
ミド組成物。 - 【請求項3】 ポリ−ε−カプロラクタム100重量部
に、ペトロラタムワックスを1〜12重量部及び末端又
は側鎖に極性基を有するポリエチレンワックスを0.1
〜5重量部の割合で分散、配合してなるポリアミド組成
物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22962895A JP3419967B2 (ja) | 1995-08-16 | 1995-08-16 | ポリアミド組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22962895A JP3419967B2 (ja) | 1995-08-16 | 1995-08-16 | ポリアミド組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0953014A JPH0953014A (ja) | 1997-02-25 |
JP3419967B2 true JP3419967B2 (ja) | 2003-06-23 |
Family
ID=16895182
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP22962895A Expired - Fee Related JP3419967B2 (ja) | 1995-08-16 | 1995-08-16 | ポリアミド組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3419967B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20020061716A (ko) * | 2001-01-17 | 2002-07-25 | 차재연 | 기어제조방법 및 그 장치 |
JP4128801B2 (ja) * | 2002-05-22 | 2008-07-30 | オイレス工業株式会社 | 摺動部材用樹脂組成物および摺動部材 |
JP7263922B2 (ja) * | 2018-06-01 | 2023-04-25 | スターライト工業株式会社 | 摺動部材用モノマーキャストポリアミド樹脂組成物及び摺動部材 |
CN115746556B (zh) * | 2022-11-29 | 2023-12-15 | 金发科技股份有限公司 | 一种低模垢无卤阻燃增强尼龙材料及其制备方法和应用 |
-
1995
- 1995-08-16 JP JP22962895A patent/JP3419967B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0953014A (ja) | 1997-02-25 |
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