JP3046978B2 - 摺動性に優れたポリアミドの製法 - Google Patents

摺動性に優れたポリアミドの製法

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JP3046978B2
JP3046978B2 JP4223158A JP22315892A JP3046978B2 JP 3046978 B2 JP3046978 B2 JP 3046978B2 JP 4223158 A JP4223158 A JP 4223158A JP 22315892 A JP22315892 A JP 22315892A JP 3046978 B2 JP3046978 B2 JP 3046978B2
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康博 蔵本
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は摺動性に優れたポリアミ
ドの製法に係り、更に詳しくはラクタムのアルカリ重合
法を利用して、軸受け、カム、摺動板等の機械部品の構
成材料として巾広く使用される自己潤滑性及び摺動性に
優れたポリアミドを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ラクタム類をアルカリ触媒及び助触媒の
作用で重合させる方法は公知である。この方法で得られ
るポリアミドは自己潤滑性及び耐摩耗性にも優れ引張強
さ、曲げ強さなどの機械的性質や耐熱性に優れているた
め、従来、無給油で使用する軸受け、カム、ギヤー、摺
動板等の構成材料として広く用いられている。しかし、
高速・高荷重の使用条件下では摩擦熱で焼きつきを起す
など、ポリアミド自体の潤滑性では実用上不十分とな
る。
【0003】これらの問題を解決するため、通常ラクタ
ム類中に二硫化モリブデン、グラファイトポリテトラフ
ルオロエチレン等の微粉末を添加する方法、あるいはオ
イル等を分散させて重合する方法が行なわれている。ま
た、イソパラフィンを主成分とする石油系ワックスを添
加する方法(特公昭52−39878号)、パラフィン
ワックス、ステアロン及びフィッシャートロプシュワッ
クスを添加する方法(特公昭62−34269号)も提
案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来法のうち、二
硫化モリブデン等を用いる方法では、潤滑性の改良効果
が小さいか、或いは、これらの添加剤が不均一となっ
て、良好な組成物が得られないという欠点がある。ま
た、特公昭52−39878号、又は、特公昭62−3
4269号の方法でも満足し得る効果は得られていな
い。
【0005】本発明は上記従来の問題点を解決するた
め、本出願人は既に特許願平成3−9678号(平成3
年1月30日出願)を出願している。本発明はこれをさ
らに改良したものである。本発明によれば、ラクタム類
のアルカリ重合法において特別に選定された4種類の潤
滑剤を添加することにより、機械的強度が低下すること
なく著しく優れた自己潤滑性を有するポリアミドを添加
剤の分離や、不均一分散が生じることなく製造すること
ができる方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の摺動性に優れた
ポリアミドの製法は、ラクタム類をアルカリ触媒及び助
触媒の作用で重合させるに際し、(1)水添ポリ−α−
オレフィン、(2)イソパラフィン、(3)フィッシャ
ートロプシュワックス及び(4)鉱物油をラクタム類1
00重量部に対し、各々1.0〜6.0重量部、合計で
4.5〜12重量部添加することを特徴とする。
【0007】以下に本発明を詳細に説明する。本発明で
用いる水添ポリ−α−オレフィンとしては、α−オレフ
ィンを原料にした水添合成油である。即ち、α−オレフ
ィン(c=6〜14)オリゴ(2〜23)マー水添物、
水添α−オレフィン(c=4〜10)オリゴ(3〜2
3)マー等であり、具体的にはライオン株式会社製パオ
ール40、50、60、400等である。これらの分子
量400〜1000のものが特に好ましい。イソパラフ
ィンとしては、融点60〜120℃、好ましくは60〜
75℃、特に64℃前後、分子量500〜700の石油
系ワックスが好ましい。フィッシャートロプシュワック
スは、フィッシャートロプシュ法により合成された硬質
ワックスであるが、特に、融点100℃以上、分子量4
50〜1500の合成ワックスが好適である。また、鉱
物油については、工業用潤滑油のISO粘度2〜150
cst/40℃が好適である。
【0008】これら4種類の添加剤の添加量は、ラクタ
ム類100重量部に対して各々1.0〜6.0重量部、
好ましくは1.5〜5.0重量部である。各添加量が
1.0重量部未満では添加による改善効果が乏しく、ま
た、6重量部を超えると重合系において添加剤の相分離
などが生じ、好ましくない。
【0009】なお、本発明において、(1)水添ポリ−
α−オレフィン、(2)イソパラフィン、(3)フィッ
シャートロプシュワックス及び(4)鉱物油の添加量の
合計量は、ラクタム類100重量部に対して4.5〜1
2.0重量部、好ましくは6〜10重量である。この添
加量が4.5重量部未満では潤滑性が十分でなく、12
重量部を超えると分散不良等の問題が生じる恐れがあ
る。
【0010】本発明におけるラクタム類のアルカリ重合
は、アルカリ触媒及び助触媒を用いて、それ自体公知の
方法に従って行なうことができる。本発明で使用される
ラクタム類の具体例としては、ε−カプロラクタム−、
ω−カプリルラクタム、ω−ラウリンラクタム等が挙げ
られる。これらのラクタムは、単独で使用しても良く、
2種類以上を併用しても良い。
【0011】アルカリ触媒としては、公知のラクタム類
のアルカリ重合法において使用される化合物をすべて用
いることができる。その具体例としては、アルカリ金
属、アルカリ土類金属、グリニャール化合物等が挙げら
れる。このようなアルカリ触媒の使用量はラクタム類に
対して0.05〜10モル%、特に0.2〜5モル%で
あることが好ましい。
【0012】助触媒についても公知のラクタム類のアル
カリ重合法に使用される化合物をすべて用いることがで
きる。その具体例としては、N−アシルラクタム、有機
イソシアネート、酸塩化物等が挙げられ、その使用量
は、ラクタム類に対して0.03〜10モル%であるこ
とが好ましい。
【0013】
【作用】潤滑剤として、(1)水添ポリ−α−オレフィ
ン、(2)イソパラフィン、(3)フッシャートロプシ
ュワクッスおよび(4)鉱物油の特定量を併用すること
により、著しく優れた相乗効果が得られ、摺動性が大幅
に改善されたポリアミドが提供される。即ち、4種の潤
滑剤を併用することにより、潤滑性が向上し、添加量を
増加させても相分離を引き起こすことがなくなり、比較
的多量の潤滑剤を用いて、高特性ポリアミドを得ること
が可能とされる。
【0014】本発明において、本発明に使用する4成分
の他に補強材としてガラス繊維、カーボン繊維、ガラス
フレーク、ミルドグラス、タルク、ワラストナイト等の
無機フィラー、金属粉等、潤滑材として二硫化モリブデ
ン、グラファイト、カーボンブラック、ポリテトラフル
オロエチレン等、着色剤として染料、顔料等を摺動性を
損なわない範囲で併用することができる。これらの添加
量は一般的にはラクタム100重量部に対して0.05
〜10.0重量部、好ましくは0.1〜5.0重量部で
ある。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例及び比較例を挙げて更
に詳しく説明するが、本発明はその要旨を超えない限
り、以下の実施例により限定されるものではない。な
お、以下において、潤滑性即ち摺動性の評価に用いた限
界PV値は、東洋ポールドウイン社製「摩擦摩耗試験
機」により、ポリアミド成形品とS−45C鋼とを種々
の面圧P(kg/cm)及び摩擦速度V(m/mi
n)で摩擦させ、10分間異常摩耗を起こさないPVの
最大値である。
【0016】実施例1〜3,比較例1〜8 フラスコ中の、140℃に加熱された実質的に無水のε
−カプロラクタム500gに、重合助触媒トリレンジイ
ソシアネート4gを加え混合調製した。一方、別のフラ
スコ中の、140℃に加熱された実質的に無水のε−カ
プロラクタム500gに、重合触媒水素ナトリウム(油
性62.8%)1.2gを加え、混合調製した。
【0017】ステンレスビーカー内に、予め表1の配合
にて溶融調製した各種の潤滑剤(比較例1では潤滑剤使
用せず)の中に、上記各フラスコ中の内容物を同時に入
れて撹拌した後、150℃のモールド内に注型し、潤滑
剤が分散したポリアミドを得た。得られたポリアミドの
限界PV値を表1に示す。
【0018】
【表1】
【0019】表1より次のことが明らかである。即ち、
4種の潤滑剤成分を全く使用しないか、各々単独又は2
種ないし3種併用使用した場合には、限界PV値が低
く、また、重合中に潤滑剤が浮き上がる相分離がみら
れ、単独または2種併用の潤滑剤の添加量としては合計
6重量部が限界であった(比較例2〜6)。また、3種
の潤滑剤成分を併用した場合でも、特に、良好な結果が
得られない。(比較例7) また、4種の潤滑剤成分を使用した場合でも、各々の添
加量が1.0〜6.0重量部の範囲外では限界PV値が
低い。(比較例8) これに対し本発明配合の潤滑剤であれば、相分離もなく
均一な組成が得られ、しかも限界PV値も著しく高いも
のが得られた。
【0020】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の摺動性に優
れたポリアミドの製法によれば、著しく潤滑性、摺動性
に優れたポリアミドが提供される。本発明で得られるポ
リアミドは、無給油で使用する軸受け、カム、ギヤー、
摺動板等の構成材料として、工業的に極めて有用であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 69/00 - 69/50 C08L 77/00 - 77/12 C08L 91/00 - 91/08

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ラクタム類をアルカリ触媒及び助触媒の
    作用で重合させるに際し、(1)水添ポリ−α−オレフ
    ィン、(2)イソパラフィン、(3)フィッシャートロ
    プシュワックス及び(4)鉱物油をラクタム類100重
    量部に対し、各々1.0〜6.0重量部、合計で4.5
    〜12重量部添加することを特徴とする摺動性に優れた
    ポリアミドの製法。
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