JP2000143976A - ポリアミド組成物及びその成形体 - Google Patents
ポリアミド組成物及びその成形体Info
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Abstract
下でスティックースリップ現象が発生しない、しかも均
一なモノマーキャストナイロン及びポリアミド樹脂成形
体の樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 ε−カプロラクタム100重量部に対し
て、融点が70〜90℃であり、かつ25℃における密
度が0.92〜0.94g/cm3であるマイクロクリ
スタリンワックス5〜40重量部と、酸またはアルコー
ルで変性された変性ワックス0〜2.0重量部と、グラ
ファイト1〜40重量部とが配合されたポリアミド組成
物。
Description
関し、より詳細には特定のワックスを配合したポリアミ
ド組成物、該ポリアミド組成物からなるモノマーキャス
トナイロンおよびポリアミド樹脂成形体、ならびに該モ
ノマーキャストナイロンからなるポリアミド樹脂成形体
に関する。
ロンは自己潤滑性があり、磨耗に耐えるので、無給油で
使用する軸受け等の材料として用いられている。ポリア
ミドの摩擦係数低減、限界PV値の向上、磨耗量の低減
等を目的として、マイクロクリスタリンワックスを添加
する方法(特公昭52−39878号公報)や、水添ポリ−α
−オレフィン、イソパラフィン、フィッシャー・トロプ
シュワックスを添加する方法(特開平4−253726号公
報)等が報告されている。しかし、これらの方法ではワ
ックスとε−カプロラクタムとの相溶性が悪く、製品成
形時にワックスとε−カプロラクタムとが分離してしま
い、外観および品質面で良好な製品が得られなかった。
に液状二硫化モリブデンを用いる方法(特公昭61−1964
8号公報)も報告されているが、この方法でも製品中へ
のワックスの分散は十分ではく、製品の上下方向でワッ
クスの分離が生じるという問題があった。
め、滑剤としてHO−R−OHの構造を有するものを用
いる方法(特公昭54−15593号公報)も報告されている
が、この方法では滑剤が反応性を著しく低下させるため
十分な量の滑剤を添加することができず、十分な摩擦係
数低減、限界PV値の向上、磨耗量の低減等を達成する
には不十分であった。
ボキシル基を有するポリエチレンワックスを配合する方
法(特開平6−73287号公報)、フィッシャー・トロプシ
ュワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリ
ンワックスまたはペトロラクタムワックスおよび極性基
を有するポリエチレンワックスを配合する方法(特開平
9−53014号公報)、ポリエチレンワックスおよび水酸基
またはエポキシ基を有する変性ポリエチレンワックスを
添加する方法(特開平9−118822号)等も報告されてい
るが、低速、高荷重条件下で発生するスティック−スリ
ップ(stick-slip)現象等の問題を有していた。
スティック−スリップ現象等を発生しない、しかも均一
なモノマーキャストナイロン、ポリアミド成形体が求め
られていた。
解決すべく鋭意検討した結果、本発明を完成するに至っ
た。即ち本発明の要旨は、ε−カプロラクタム100重
量部に対して、融点が70〜90℃であり、かつ25℃
における密度が0.92〜0.94g/cm3であるマ
イクロクリスタリンワックス5〜40重量部と、酸また
はアルコールで変性された変性ワックス0〜2.0重量
部と、グラファイト1〜40重量部とが配合されたポリ
アミド組成物に存する。
量は5〜25重量部であることが好ましく、更に好まし
くは5〜20重量部である。また、上記変性ワックスと
しては融点が60〜90℃であることが好ましい。上記
グラファイトは平均粒径が1〜30μmであり、かつ嵩
比重0.05〜0.25g/cm3であるグラファイト
が好ましい。上記ポリアミド組成物は、スティック−ス
リップ防止効果を有する。
リアミド組成物からなるモノマーキャストナイロン、上
記のポリアミド組成物からなりスティック−スリップ防
止効果を有するモノマーキャストナイロンが挙げられ
る。更に本発明の別の実施形態としては、上記のポリア
ミド組成物からなるポリアミド樹脂成形体、上記のポリ
アミド組成物からなりスティック−スリップ防止効果を
有するポリアミド樹脂成形体、上記のモノマーキャスト
ナイロンからなるポリアミド樹脂成形体、および上記の
モノマーキャストナイロンからなりスティック−スリッ
プ防止効果を有するポリアミド樹脂成形体が挙げられ
る。
石油精製時に得られるワックスの一種で、一般的に結晶
が極めて細かく、イソパラフィンを含み、パラフィンワ
ックスよりも分子量の大きな飽和炭化水素を主成分とす
る常温で固体のワックスであり、通常分子量は450〜
1000、融点は60〜100℃である。
リスタリンワックスは、融点が70〜90℃であり、か
つ25℃における密度が0.92〜0.94g/cm3
であるマイクロクリスタリンワックスである。マイクロ
クリスタリンワックスの融点または密度が上記範囲外の
場合は、スティッスク−スリップ現象等の防止が十分で
きない。なお、本発明における融点は、JIS K-2235にて
測定した値である。
量は、ε−カプロラクタム100重量部に対して、5〜
40重量部、好ましくは5〜25重量部、より好ましく
は5〜20重量部、特に好ましくは10〜20重量部で
ある。ワックスの配合量が少なすぎると潤滑性の効果が
十分ではなく、多すぎると強度が低下したり、加工性が
低下したり、成形性が悪くなってしまう。
アルコールで変性された変性ワックスである。上記変性
ワックスは融点が60〜90℃であることが好ましい。
変性ワックスの具体例としては、酸化パラフィン、酸化
ワックス、酸化ワックスエステル、アルコール型ワック
ス等が挙げられ、好ましくは酸化ワックス、アルコール
型ワックスである。これらは通常「変性ワックス」とし
て市販されているものを使用することができる。
ラクタム100重量部に対して0〜2.0重量部、好ま
しくは0.5〜1.5重量部、特に好ましくは0.8〜
1.2重量部である。変性ワックスは必ずしも配合する
する必要はないが、変性ワックスが配合されていないと
マイクロクリスタリンワックスの均一分散が不十分とな
り、製品成形中にワックスとε−カプロラクタムの分離
が生じる場合がある。例えば、グラファイトの配合量が
多い場合には変性ワックスを配合しなくてもよいが、グ
ラファイトの配合量が少ない場合には配合した方がよ
い。また、多すぎると変性ワックスがアニオン重合を阻
害し、製品の成形が困難となる。
の更なる向上及び強度低下の抑制の面からグラファイト
を配合する。グラファイトを配合することによりワック
スの分離が抑制され、多量のワックスを配合することが
可能となる。また、グラファイトの添加により、ポリア
ミドの強度低下を軽減し、自己潤滑性能、特にスティッ
クースリップの抑制に効果的である。グラファイトの添
加量は1〜40重量部、好ましくは5〜20重量部、特
に好ましくは10〜15重量部である。グラファイトの
添加量が少なすぎると上記性能向上の効果が少なく、多
すぎると粘度が高くなりすぎて成形が困難である。
が1〜30μmであり、かつ嵩比重0.05〜0.25
g/cm3であるグラファイトが好ましく、より好まし
くは平均粒径が4〜15μmであり、かつ嵩比重0.0
8〜0.20g/cm3であるグラファイトである。グ
ラファイトの平均粒径が大きすぎると沈降により、グラ
ファイトが製品中に均一分散せず、小さすぎると、グラ
ファイトのコストがアップするだけで経済効果が低くな
る。また、グラファイトの嵩比重が上記範囲外の場合、
沈降、凝集等により、グラファイトが製品中に均一分散
しない。
ストナイロンおよびポリアミド樹脂成形体は、従来から
知られているアニオン重合触媒を用い、モノマーキャス
ティング方式に従い製造することができる。即ち、無水
のε−カプロラクタムにマイクロクリスタリンワック
ス、変性ワックスおよびグラファイトを加え、アニオン
重合触媒および重合助触媒の存在下でε−カプロラクタ
ムの融点以上、ポリ−ε−カプロラクタムの融点以下
(通常130〜180℃)に加熱してε−カプロラクタ
ムをアニオン重合させる。
ているものでよく、重合触媒としてはアルカリ金属、ア
ルカリ土類金属およびこれら金属の水素化物、水酸化
物、酸化物、炭酸塩、アルキル化物、アルコキシド、グ
リニャール化合物及びそれらとωーラクタムとの反応生
成物等が挙げられ、具体的にはリチウム、ナトリウム、
カリウム、マグネシウム、カルシウム、水素化リチウ
ム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、酸化ナトリウ
ム、酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、メチルナトリウ
ム、エチルナトリウム、メチルカリウム、エチルカリウ
ム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カ
リウムメチラート、カリウムエチラート、エチルマグネ
シウムブロマイド等が挙げられ、好ましくは水素化リチ
ウム、水素化ナトリウム、水素化カリウムである。重合
触媒の添加量は、通常0.01〜0.2モル%である。
類、トリアジン類、置換尿素類、アシルラクタム類を挙
げることができ、具体的にはn−ブチルイソシアネー
ト、フェニルイソシアネート、オクチルイソシアネー
ト、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシア
ネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチル
ヘキサメチレンジイソシアネート、キシレンジイソシア
ネート、ジフェニルメタンメタンジイソシアネート、テ
トラメチレンジイソシアネート等が挙げられ、好ましく
はトリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネ
ートである。重合助触媒の添加量は、通常0.01〜
1.0モル%である。
じ顔料、染料、補強剤、抗菌剤等の添加剤を適宜配合し
てもよい。
ーキャストナイロンおよびポリアミド樹脂成形体は、無
給油で使用される軸受け、歯車、スライドプレート、耐
震用パット等の機械部品の材料として用いられる。
より得られた成形体を15mm×25mm×40mmのstick-
slip評価用試験片に加工し、所定荷重にて相手材(炭素
鋼)に押しつけ、相手材を移動させたときに発生するst
ick-slipを観測することにより評価を行った。
50重量部を採り、160℃に調整した。これに重合助
触媒のトリレンジイソシアネート0.5重量部を加え、
更に予め溶融しておいた(1)マイクロクリスタリンワ
ックス(商品名:Hi−Mic−2065(日本精蝋
製)、融点:75℃、密度:0.93g/cm3(25
℃))、予め溶融しておいた(2)変性ワックス(商品
名:NPS−9125(日本精蝋製)、融点:63℃、
アルコール型ワックス)、および予熱しておいたグラフ
ァイト(商品名:AT−20(オリエンタル産業製)、
平均粒径:8μm、嵩比重:0.15g/cm3)を、
表1に記載した種々の割合で加え、均一に攪拌した。
カプロラクタム50重量部を採り、これに重合触媒の水
酸化ナトリウム(油性63%)0.2重量部を加え、1
50℃に調整した。これを上記ワックスおよびグラファ
イトを含有する混和物と混合した。系を均一にした後、
160℃の金型(板状)に注入し、滑剤およびグラファ
イトが分散したモノマーキャストナイロンを得た。
凹凸がある。 △:ワックスが均一に分散していない。 ×:重合せず。 ●:グラファイトが底部に沈降。 「stick-slipの評価」 ◎:面圧100kgf/cm2、摺動速度1m/minでstick-slipが
発生しない。 ○:面圧100kgf/cm2、摺動速度1m/minで微小stick-sli
pが発生する。 △:面圧100kgf/cm2、摺動速度1m/minでstick-slipが
発生する。 ×:面圧100kgf/cm2、摺動速度1m/minできしみ音が発
生する。 「加工性の評価」 ◎:問題なし。 ○:欠け・むしれ等があるが、加工可能。 ×:ワックスの分離または未重合により加工できない。
均粒径:37μm、嵩比重:0.6g/cm3のグラフ
ァイトを使用した「比較例9」、および平均粒径:18
μm、嵩比重:0.30g/cm3のグラファイトを使
用した「比較例10」の実験結果の評価は各々下記の通
りであった。 「比較例9」の成形性は「●」であった。 「比較例10」の成形性は「●」であった。
ティック−スリップ現象等を発生しない、しかも均一な
モノマーキャストナイロン及びポリアミド樹脂成形体を
得ることが出来た。
Claims (12)
- 【請求項1】 ε−カプロラクタム100重量部に対し
て、融点が70〜90℃であり、かつ25℃における密
度が0.92〜0.94g/cm3であるマイクロクリ
スタリンワックス5〜40重量部と、酸またはアルコー
ルで変性された変性ワックス0〜2.0重量部と、グラ
ファイト1〜40重量部とが配合されたポリアミド組成
物。 - 【請求項2】 マイクロクリスタリンワックスの配合量
が、5〜25重量部であることを特徴とする請求項1記
載のポリアミド組成物。 - 【請求項3】 マイクロクリスタリンワックスの配合量
が、5〜20重量部であることを特徴とする請求項1記
載のポリアミド組成物。 - 【請求項4】 グラファイトの平均粒径が1〜30μm
であり、かつ嵩比重0.05〜0.25g/cm3であ
ることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポ
リアミド組成物。 - 【請求項5】 変性ワックスの融点が60〜90℃であ
ることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポ
リアミド組成物。 - 【請求項6】 スティック−スリップ防止効果を有する
請求項1〜5のいずれかに記載のポリアミド組成物。 - 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載のポリア
ミド組成物からなるモノマーキャストナイロン。 - 【請求項8】 請求項1〜6のいずれかに記載のポリア
ミド組成物からなり、スティック−スリップ防止効果を
有するるモノマーキャストナイロン。 - 【請求項9】 請求項1〜6のいずれかに記載のポリア
ミド組成物からなるポリアミド樹脂成形体。 - 【請求項10】 請求項1〜6のいずれかに記載のポリ
アミド組成物からなり、スティック−スリップ防止効果
を有するポリアミド樹脂成形体。 - 【請求項11】 請求項7または8に記載のモノマーキ
ャストナイロンからなるポリアミド樹脂成形体。 - 【請求項12】 請求項7または8に記載のモノマーキ
ャストナイロンからなり、スティック−スリップ防止効
果を有するポリアミド樹脂成形体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31706898A JP2000143976A (ja) | 1998-09-11 | 1998-11-09 | ポリアミド組成物及びその成形体 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10-257705 | 1998-09-11 | ||
JP25770598 | 1998-09-11 | ||
JP31706898A JP2000143976A (ja) | 1998-09-11 | 1998-11-09 | ポリアミド組成物及びその成形体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000143976A true JP2000143976A (ja) | 2000-05-26 |
Family
ID=26543353
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP31706898A Pending JP2000143976A (ja) | 1998-09-11 | 1998-11-09 | ポリアミド組成物及びその成形体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000143976A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103013102A (zh) * | 2012-12-12 | 2013-04-03 | 中国科学院宁波材料技术与工程研究所 | 一种led散热器及其制备方法 |
CN103965620A (zh) * | 2014-05-19 | 2014-08-06 | 苏州聚冠复合材料有限公司 | 高导热性碳粉/mc尼龙6复合材料的制备方法 |
CN106084210A (zh) * | 2016-06-28 | 2016-11-09 | 中山市永威新材料有限公司 | 尼龙6原位插层石墨基导热复合材料及其制备方法 |
CN113864424A (zh) * | 2021-09-28 | 2021-12-31 | 重庆市大足区宝丽得物资有限公司 | 一种mc尼龙轮及其生产方法 |
-
1998
- 1998-11-09 JP JP31706898A patent/JP2000143976A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103013102A (zh) * | 2012-12-12 | 2013-04-03 | 中国科学院宁波材料技术与工程研究所 | 一种led散热器及其制备方法 |
CN103013102B (zh) * | 2012-12-12 | 2015-08-19 | 中国科学院宁波材料技术与工程研究所 | 一种led散热器及其制备方法 |
CN103965620A (zh) * | 2014-05-19 | 2014-08-06 | 苏州聚冠复合材料有限公司 | 高导热性碳粉/mc尼龙6复合材料的制备方法 |
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CN113864424A (zh) * | 2021-09-28 | 2021-12-31 | 重庆市大足区宝丽得物资有限公司 | 一种mc尼龙轮及其生产方法 |
CN113864424B (zh) * | 2021-09-28 | 2023-09-15 | 重庆市大足区宝丽得物资有限公司 | 一种mc尼龙轮及其生产方法 |
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