JP2007023171A - 耐熱性に優れる超高分子量ポリエチレン微粒子及び製造方法 - Google Patents

耐熱性に優れる超高分子量ポリエチレン微粒子及び製造方法 Download PDF

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茂俊 西島
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Abstract

【課題】耐摩耗性、耐衝撃性、自己潤滑性、耐熱性に優れた超高分子量ポリエチレン微粒子を提供する。
【解決手段】ポリエチレン含有量が50〜99質量%である超高分子量ポリエチレン微粒子であって、少なくとも表面は極限粘度[η]が5dl/g以上の超高分子量ポリエチレンであり、粒子の内部にプロピレン、3-メチル-1-ブテンおよび4-メチル-1-ペンテンから選ばれるα-オレフィンの重合体を含有する超高分子量ポリエチレン微粒子;及び、遷移金属触媒成分と有機金属成分からなる触媒を用いてはじめに全重合量の50質量%以上となるようにエチレンを重合し、次いでプロピレン、3-メチル-1-ブテンおよび4-メチル-1-ペンテンから選ばれるα-オレフィンを残りの重合量となるように重合することを特徴とする超高分子量ポリエチレン微粒子の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐摩耗性、耐衝撃性、自己潤滑性、耐ストレスクラック性などの超高分子量ポリエチレン本来の特性を有し、しかも耐熱性に優れる超高分子量ポリエチレン微粒子に関する。
超高分子量ポリエチレンは軽量でしかも耐摩耗性、耐衝撃性、自己潤滑性、耐ストレスクラック性、耐薬品性などに優れており多くの用途に展開されているが、ポリオレフィンの中でも比較的耐熱性に劣るためその用途の展開に限界がある。
このような課題を解決するには、耐熱性に優れた他の重合体を混合することが考えられるが単純に混合したのでは超高分子量ポリエチレンが有している上記特性が損なわれる。特許文献1には、超高分子量ポリエチレンと通常乃至低分子量のポリエチレンからなる低摩擦性改良用添加材が開示され、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエステル、ポリカーボネートなどのエンジニアリングプラスチックの耐摩耗性を改良した例が示されているが、これらはあくまでエンジニアリングプラスチックに超高分子量のポリエチレンを添加してエンジニアリングプラスチックの摩擦特性を改良しようとするものである。一方、特許文献2では、分子量の異なるポリオレフィンを高活性なチタン触媒成分の存在下に連続して製造することで表面に超高分子量のポリオレフィンを製造し内部に通常乃至低分子量のポリオレフィンを製造して微粒子とする技術が開示されている。しかし、これは、超高分子量ポリオレフィンの本来有する摺動特性と耐衝撃性に優れしかも層状剥離しない表面状態の良好な射出成形用に好適なポリオレフィンを目的としたもので耐熱性を意図したものではなく、実施例でも単に超高分子量のポリエチレンに引続き低分子量のポリエチレンを製造していることからも耐熱性について何ら考慮していないことは明確である。
荷重たわみ温度などは耐熱性のポリマーを添加することで改善されるが、荷重たわみ温度が改善されるほどの量を添加すると超高分子量ポリエチレン本来の耐摩耗性も低下してしまい本発明の目的を達成することができない。
特開昭63−175069号公報 特開平01−129047号公報
本発明の目的は、超高分子量ポリエチレンの耐摩耗性、耐衝撃性、自己潤滑性などを失うことなく耐熱性に優れた超高分子量のポリエチレンを提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決する為に、鋭意検討したところ、意外なことに表面に超高分子量ポリエチレンを配すれば超高分子量ポリエチレン本来の特性を保つことができることを見出し本発明を完成した。
即ち本発明は、ポリエチレン含有量が50〜99質量%である超高分子量ポリエチレン微粒子であって、少なくとも表面は極限粘度[η]が5dl/g以上の超高分子量ポリエチレンであり、粒子の内部にプロピレン、3−メチル−1−ブテンおよび4−メチル−1−ペンテンから選ばれたα−オレフィンの重合体を含有する超高分子量ポリエチレン微粒子である。
本発明はまた、上記超高分子量ポリエチレン粒子を製造するに好適な製造方法であり、遷移金属触媒成分と有機金属成分からなる触媒を用いてはじめに全重合量の50質量%以上となるようにエチレンを重合し、次いでプロピレン、3−メチル−1−ブテンおよび4−メチル−1−ペンテンから選ばれたα−オレフィンを残りの重合量となるように重合することを特徴とする超高分子量ポリエチレン微粒子の製造方法である。
本発明はまた、上記超高分子量ポリエチレン粒子からなる成形品であり例えばライナー、ワッシャーまたは軸受等が挙げられるがこれに限定されるものではない。
本発明の超高分子量ポリエチレン微粒子は、超高分子量ポリエチレン本来の耐摩耗性を有ししかも耐熱性に優れたものであり工業的に極めて価値がある。
本発明の超高分子量ポリエチレン微粒子は、少なくともその表面が、極限粘度[η]5dl/g以上の超高分子量ポリエチレンにより構成されたものである。
このような高い極限粘度の超高分子量ポリエチレンで少なくとも表面を構成することにより、特に耐摩耗性および自己潤滑性の点で優れた効果が得られる。具体的には、耐摩耗性の点から、その極限粘度[η]は5dl/g以上であり、さらに10dl/g以上であることが好ましく、12dl/g以上であることが特に好ましい。また、極限粘度[η]の上限については特に制限は無いが、生産性の点から、50dl/g以下、特に40dl/g以下であることが好ましい。なお、この極限粘度[η]は、ASTM D4020に準じ、溶媒としてデカリンを用い、温度135℃にて、毛細管法にて測定して得た値である。
本発明の超高分子量ポリエチレン微粒子は、そのような高い極限粘度の超高分子量ポリエチレンを、耐摩耗性および自己潤滑性の点で優れた効果を示すに十分な量を含有する。具体的には、ポリエチレン含有量は50〜99質量%であり、さらに60〜99質量%であることが好ましく、60〜95質量%であることが特に好ましい。上記各範囲の下限値は、特に耐摩耗性の点で意義があり、上限値は耐熱性などの点に意義がある。
本発明の超高分子量ポリエチレン微粒子は、その粒子の内部に、プロピレン、3−メチル−1−ブテンおよび4−メチル−1−ペンテンから選ばれたα−オレフィンの重合体を含有する。これら3種のα−オレフィンは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良いが、特に単独の重合体が好ましい。
このような特定種類のα−オレフィンの重合体を粒子内部に含有させることにより、超高分子量ポリエチレンが本来有する耐摩耗性、耐衝撃性、自己潤滑性などの特性を失うことなく、耐熱性を向上することができる。このα−オレフィンの重合体の極限粘度[η]については特に制限は無いが、加成性が成り立つとして計算して求めた極限粘度[η]としては、0.5〜10dl/gであることが一般的である。この範囲より小さいと耐熱性が十分に発現しないことがあり、この範囲より大きいものは通常の条件では得るのが困難である。本発明の超高分子量ポリエチレン微粒子の極限粘度[η]は、上記超高分子量ポリエチレンの極限粘度[η]と同様の方法で測定することができる。
このような特定種類のα−オレフィンの重合体の含有量は、通常は、上述した超高分子量ポリエチレンの総量を除いた残余の量に相当する。すなわち、その含有量は、通常は1〜50質量%であり、さらに1〜40質量%であることが好ましく、5〜40質量%であることが特に好ましい。なお、粒子内部には、上記特定種類のα−オレフィンの重合体と共に、ポリエチレンが含有されていても良い。また、本発明の効果を損なわない範囲内において、その他の重合体が少量含有されていても構わない。
本発明の超高分子量ポリエチレン微粒子の平均粒径については特に制限は無いが、成形性および成形物の物性の点から、5〜1000μmであることが好ましく、70〜500μmであることがより好ましく、100〜400μmであることが特に好ましい。具体的には、上記各範囲の下限値は、微粒子を適度な粒径にすることにより、粒子の過度の凝集を回避し、かつ成形時の取扱い性を良好にするなどの点において意義がある。また、上限値は、微粒子の粒径を抑えることにより、成形時の粒子間の隙間を小さくし、かつ流動性を維持することによって、成形物にボイド等の不均一な領域が発生することを防止し、均一な物性を得る点において意義がある。
本発明の超高分子量ポリエチレン微粒子を得る為の方法については、特に制限は無いが、まず、1段目の重合として、遷移金属触媒成分と有機金属成分からなる触媒を用いて全重合量の50質量%以上となるようにエチレンを重合し、次いで、2段目の重合として、プロピレン、3−メチル−1−ブテンまたは4−メチル−1−ペンテンから選ばれたα−オレフィンを残りの重合量となるように重合することからなる2段重合工程により行うことが、生産性などの点から好ましい。
このような方法により得られる微粒子は、具体的には、2段目の重合において形成されたα−オレフィン重合体が粒子内部に含有され、1段目の重合において形成された超高分子量ポリエチレンが少なくとも粒子外層を構成することになる。これは、重合が触媒粒子の活性点で進行することに因る。その触媒としては、発明の構成から明らかなようにエチレンおよび、プロピレン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンから選ばれたα−オレフィンが固体状で重合する限り特に制限はなくチグラー触媒、メタロセン触媒、ポストメタロセン触媒などが好ましい触媒として例示でき、例えば、高活性ハロゲン化チタン等の遷移金属化合物あるいは、それらをハロゲン化マグネシウムなどに担持した固体触媒成分と有機アルミニウム化合物等の有機金属成分からなる触媒を用いてポリエチレンの融点以下で重合することが好適な例として例示される。
1段目の重合は、例えば、反応容器に所定量の触媒を含む溶液を入れ、所定の圧力下で反応容器内にエチレンを供給し、エチレンの重合が進行する温度に加熱することで実施できる。引き続き2段目の重合は、例えば、1段目の重合後に反応容器内のエチレンをパージし、次いで上記特定種類のα−オレフィンを供給し、そのα−オレフィンの重合が進行する温度に保つことにより実施できる。その後、例えば、重合反応液から重合体微粒子を濾別し、その微粒子を洗浄、乾燥することにより、本発明の超高分子量ポリエチレン微粒子が得られる。
本発明の超高分子量ポリエチレン微粒子は、超高分子量ポリエチレンが本来有する耐摩耗性、耐衝撃性、自己潤滑性などの特性を失うことなく、さらに耐熱性にも優れているので、これを所望形状に成形することにより、そのような優れた特性を示す成形品を提供することができる。その成形法は特に制限されず、高粘度の樹脂の成形法として従来より知られる各種の成形法を適用できる。例えば、プレス成形法、或いは、高粘度樹脂を成形する為の特定の射出成形法により所望形状の成形品を得ることができる。また、成形品の要求性能に応じて、他の樹脂を併用したり、さらに各種添加剤を混合して成形することもできる。
本発明の超高分子量ポリエチレンから得た成形品は、特に、耐摩耗性を低下させることなく、高温時の剛性、弾性率や荷重たわみ温度(HDT)が向上するので、例えば、自動車や電気電子機器の部品として有用である。具体的には、自動車では変速機のシフトノブの位置を決めるための波板やローラー、ケーブルやワイヤーのライナー(liner;円筒状の部品)、変速機内やエンジン内のワッシャー、特にスラストワッシャー等の種々の軸受、円筒形状で軸方向やラジアル方向に使用される摺動部品に利用できる。これらのうち特に好ましい用途は、ライナー、ワッシャー、軸受等である。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、実施例および比較例において各性状の測定および評価は以下の方法で実施した。
1)極限粘度[η]
ASTM D4020に準じ、溶媒としてデカリンを用い、温度135℃にて、毛細管法にて測定したものを極限粘度[η]とした。
2)貯蔵弾性率(E’)
重合体粒子を30mmφの金型内に入れて、温度180℃、圧力10MPaで20分間、加熱および加圧成形した後、室温まで20分間で冷却して成形品を取り出し、厚さ0.2mmの成形シートを得、48時間、23℃、50%RH(相対湿度)中に放置した。
次いで、該成形シートから2mm×30mm×厚さ0.2mmの試験片を切り出し、レオメトリックス社製、ソリッドアナライザーRSA2を用い、昇温速度5℃/分、周波数2Hzで貯蔵弾性率を測定し、エチレンのみを重合した比較例1で得られた貯蔵弾性率(E’)を100とした場合に対する比率を求めて評価した。結果を表1に示した。
3)砂摩耗量
重合体粒子を長さ130mm、幅50mmの金型内に入れて、温度180℃、圧力10MPaで20分間、加熱および加圧成形した後、室温まで20分間で冷却して成形品を取り出し、厚さ7mmの成形シートを得、48時間、23℃、50%RH中に放置した。
次いで、該成形シートから70mm×25mm×厚さ3mmの試験片、ここで厚さ方向は中心から両側に各1.5mmを切削加工により切り出し、JIS R6001で規定される#100の砂2.6kgおよび水3kgを入れた容器の中に、回転モーターに取り付けた試験片を、試験片全体が容器中の水および砂と接触するように設置して、温度25℃、回転数1600rpmで3時間、試験片を回転させて水および砂と接触させ、該試験片の試験前後の質量差を求めて砂摩耗量を測定した。
4)荷重たわみ温度(HDT)
重合体粒子を長さ130mm、幅50mmの金型内に入れて、温度180℃、圧力10MPaで20分間、加熱および加圧成形した後、室温まで20分間で冷却して成形品を取り出し、厚さ7mmの成形シートを得、48時間、23℃、50%RH中に放置した。
次いで、127mm×13mm×厚さ6.2mmの試験片、ここで厚さ方向は中心から両側に各3.1mmを切削加工により切り出し、ASTM D648に従い、荷重4.6kg/cmで測定した。
5)密度
ASTM D1505に準じて、重合体粒子の密度を測定した。
[実施例1]
(固体状チタン触媒成分[A]の調製)
無水塩化マグネシウム75g、デカン280.3gおよび2−エチルヘキシルアルコ−ル308.3gを温度130℃で3時間加熱反応させて均一溶液とした後、この溶液中に2−イソブチル−2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン22.2mlを添加し、さらに温度100℃にて1時間攪拌混合を行なった。
このようにして得られた均一溶液を室温まで冷却した後、この均一溶液30mlを−20℃に保持した四塩化チタン80ml中に攪拌下45分間にわたって全量滴下挿入した。挿入終了後、この混合液の温度を4.5時間かけて110℃に昇温して、2時間、同温度にて攪拌下保持した。2時間の反応終了後、熱濾過にて固体部を採取し、この固体部を100mlの四塩化チタンにて再懸濁させた後、再び温度110℃で2時間、加熱反応を行った。反応終了後、再び熱濾過にて固体部を採取し、温度90℃のデカンおよびヘキサンを用いて洗液中に遊離するチタン化合物が検出されなくなるまで充分洗浄した。以上の操作によって調整した固体状チタン触媒成分[A]はデカンスラリ−として保存したが、この内の一部を触媒組成を調べる目的で乾燥した。このようにして得られた固体状チタン触媒成分[A]の組成はチタン3.8質量%,マグネシウム17.0質量%,塩素60質量%,2−イソブチル−2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン15.9質量%および2−エチルヘキシルアルコ−ル2.1質量%であった。
(重合)
充分に窒素置換された内容積1リットルの重合器に、室温で250mlのヘプタン、トリエチルアルミニウム2.0ミリモル、および固体状チタン触媒成分[A]をチタン原子換算で0.045ミリモルを加え、温度65℃まで昇温して、重合器にエチレンを供給して圧力0.8MPaで73分間重合した。その後、温度60℃まで温度を下げ脱圧の後、窒素で系内のエチレンをパージした。次いで4−メチル−1−ペンテン350mlを添加し、温度60℃で60分間重合を行った。重合終了後、重合器から重合体粒子を取り出してろ過した後、ヘキサンで洗浄した。得られた全重合体の収量は65.3gであり、反応系に供給したエチレンの積算量と全重合体の収量の関係から算出した重合体の組成は、質量比でポリエチレン;93質量%、ポリ−4−メチル−1−ペンテン;7質量%であった。また極限粘度[η]は17.9dl/gであり、エチレンの重合後が完了した時点でサンプリングしたポリエチレンの極限粘度[η]は18.9dl/gであった。評価結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1において、エチレンの重合時間を30分間、4―メチル−1−ペンテンの重合時間を60分間とした以外は実施例1と同様にして重合を行なった。
得られた全重合体の収量は59.5gであり、反応系に供給したエチレンの積算量と全重合体の収量の関係から算出した重合体の組成は、質量比でポリエチレン;90質量%、ポリ−4−メチル−1−ペンテン;10質量%であった。また極限粘度[η]は15.2dl/gであり、エチレンの重合が完了した時点でサンプリングしたポリエチレンの極限粘度[η]は16.6dl/gであった。評価結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1において、エチレンの重合時間を25分間、4―メチル−1−ペンテンの重合時間を120分間とした以外は実施例1と同様にして重合を行なった。得られた全重合体の収量は47.2gであり、反応系に供給したエチレンの積算量と全重合体の収量の関係から算出した重合体の組成は質量比でポリエチレン;75質量%、ポリ−4−メチル−1−ペンテン;25質量%であった。また極限粘度[η]は11.9dl/gであり、エチレンの重合が完了した時点でサンプリングしたポリエチレンの極限粘度[η]は15.1dl/gであった。評価結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例1において、エチレンの重合時間を14分間、4−メチル−1−ペンテンの重合時間を190分間とした以外は実施例1と同様にして重合を行なった。得られた全重合体の収量は46.4gであり、反応系に供給したエチレンの積算量と全重合体の収量の関係から算出した重合体の組成は、質量比でポリエチレン;54質量%、ポリ−4−メチル−1−ペンテン;46質量%であった。また極限粘度[η]は10.4dl/gであり、エチレンの重合が完了した時点でサンプリングしたポリエチレンの極限粘度[η]は17.1dl/gであった。評価結果を表1に示す。
[実施例5]
(固体状チタン触媒成分[B]の調製)
無水塩化マグネシウム75g、デカン280.3gおよび2−エチルヘキシルアルコ−ル308.3gを温度130℃で3時間加熱反応させて均一溶液とした後、この溶液中に無水フタル酸17.5gを添加し、さらに温度100℃にて1時間攪拌混合を行なった。このようにして得られた均一溶液を室温まで冷却した後、この均一溶液30mlを−20℃に保持した四塩化チタン80ml中に攪拌下45分間にわたって全量滴下挿入した。挿入終了後、この混合液の温度を4.5時間かけて温度110℃に昇温し、温度110℃に達したところでフタル酸ジイソブチル2.01mlを添加し、これより2時間、同温度にて攪拌下保持した。2時間の反応終了後、熱濾過にて固体部を採取し、この固体部を100mlの四塩化チタンにて再懸濁させた後、再び温度110℃で2時間、加熱反応を行った。反応終了後、再び熱濾過にて固体部を採取し、温度90℃のデカンおよびヘキサンを用いて、洗液中に遊離するチタン化合物が検出されなくなるまで充分洗浄した。以上の操作によって調整した固体状チタン触媒成分[B]はデカンスラリ−として保存したが、この内の一部を触媒の組成を調べる目的で乾燥した。このようにして得られた固体状チタン触媒成分[B]の組成はチタン2.3質量%,マグネシウム19.0質量%,塩素62質量%,フタル酸ジイソブチル12質量%および2−エチルヘキシルアルコ−ル0.9質量%であった。
(重合)
充分に窒素置換された内容積1リットルの重合器に、室温で500mlのヘプタン、トリエチルアルミニウム2.0ミリモル、および固体状チタン触媒成分[B]をチタン原子換算で0.02ミリモルを加え、温度65℃まで昇温して、重合器にエチレンを供給して圧力0.8MPaで65分間重合した。その後、温度60℃まで温度を下げ脱圧の後窒素で系内のエチレンをパージした。その後、重合液にシクロヘキシルメチルジメトキシシランを0.2ミリモル添加し、重合器にプロピレンを供給して圧力0.5MPaで10分間重合を行った。重合終了後、重合器から重合体粒子を取り出してろ過した後、ヘキサンで洗浄した。得られた全重合体の収量は85.6gであり、反応系に供給したエチレンの積算量と全重合体の収量の関係から算出した重合体の組成は、質量比でポリエチレン;94質量%、ポリプロピレン;6質量%であった。また極限粘度[η]は18.8dl/gであり、エチレンの重合が完了した時点でサンプリングしたポリエチレンの極限粘度[η]は19.8dl/gであった。評価結果を表1に示す。
[実施例6]
エチレンの重合時間を38分間、プロピレンの重合時間を40分間とした以外は実施例5と同様にして重合を行なった。
得られた全重合体の収量は47.5gであり、反応系に供給したエチレンの積算量と全重合体の収量の関係から算出した重合体の組成は、質量比でポリエチレン;70質量%、ポリプロピレン;30質量%であった。また極限粘度[η]は19.6dl/gであり、エチレンの重合が完了した時点でサンプリングしたポリエチレンの極限粘度[η]は25.4dl/gであった。評価結果を表1に示す。
[比較例1]
充分に窒素置換された内容積1リットルの重合器に、室温で250mlのヘプタン、トリエチルアルミニウム2.0ミリモル、および実施例1で製造した固体状チタン触媒成分[A]をチタン原子換算で0.045ミリモルを加え、温度65℃まで昇温して、重合器にエチレンを供給して圧力0.8MPaで55分間重合した。重合終了後、重合器から重合体粒子を取り出して、ろ過後、ヘキサンで洗浄した。得られた全重合体の収量は106.5gであり極限粘度[η]は17.3dl/gであった。評価結果を表1に示す。
[比較例2]
充分に窒素置換された内容積1リットルの重合器に、室温で500mlのヘプタン、トリエチルアルミニウム2.0ミリモル、および実施例5で製造した固体状チタン触媒成分[B]をチタン原子換算で0.015ミリモル、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン0.2ミリモルを加え、温度60℃まで昇温して、重合器にプロピレンを供給して圧力0.5MPaで52分間重合した。重合終了後、重合器から重合体粒子を取り出して、ろ過後、ヘキサンで洗浄した。得られた全重合体粒子の収量は36.8gであり、極限粘度[η]は5.1dl/gであった。評価結果を表1に示す。
[比較例3]
充分に窒素置換された内容積1リットルの重合器に、室温で350mlの4−メチル−1−ペンテンを仕込みトリエチルアルミニウム2.0ミリモル、および実施例1で製造した固体状チタン触媒成分[A]をチタン原子換算で0.045ミリモルを加え、温度60℃まで昇温して30分間重合した。その後、温度30℃まで温度を下げヘプタン350ml添加し70℃まで昇温し、未反応4−メチル−1−ペンテンを窒素でパージした。次いで重合器にエチレンを供給して圧力0.8MPa加圧し、温度60℃で30分間重合した。重合終了後、重合器から重合体粒子を取り出して、ろ過後、ヘキサンで洗浄した。得られた全重合体の収量は60.7gであり、反応系に供給したエチレンの積算量と全重合体の収量の関係から算出した重合体の組成は、質量比でポリ−4−メチル−1−ペンテン;10質量%、ポリエチレン;90質量%であった。また極限粘度[η]は14.8dl/gであり、4−メチル−1−ペンテンの重合が完了した時点でサンプリングしたポリ4−メチル−1−ペンテンの極限粘度[η]は6.8dl/gであった。評価結果を表1に示す。
Figure 2007023171
本発明により得られた成形品は、砂摩耗量が少ないという超高分子量ポリエチレンの特長を有したまま、高温時の貯蔵弾性率(E’)や荷重たわみ温度(HDT)等の耐熱性に優れる。

Claims (6)

  1. ポリエチレン含有量が50〜99質量%である超高分子量ポリエチレン微粒子であって、少なくとも表面は極限粘度[η]が5dl/g以上の超高分子量ポリエチレンであり、粒子の内部にプロピレン、3−メチル−1−ブテンおよび4−メチル−1−ペンテンから選ばれるα−オレフィンの重合体を含有する超高分子量ポリエチレン微粒子。
  2. 遷移金属触媒成分と有機金属成分からなる触媒を用いて、はじめに全重合量の50質量%以上となるようにエチレンを重合し、次いでプロピレン、3−メチル−1−ブテンおよび4−メチル−1−ペンテンから選ばれるα−オレフィンを残りの重合量となるように重合することを特徴とする超高分子量ポリエチレン微粒子の製造方法。
  3. 請求項1に記載の超高分子量ポリエチレン微粒子から成形される成形品。
  4. 請求項1に記載の超高分子量ポリエチレン微粒子からなるライナー。
  5. 請求項1に記載の超高分子量ポリエチレン微粒子からなるワッシャー。
  6. 請求項1に記載の超高分子量ポリエチレン微粒子からなる軸受。
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