JP6900922B2 - ポリエチレン樹脂用改質材、並びにそれを用いたポリエチレン樹脂組成物及び成形体 - Google Patents

ポリエチレン樹脂用改質材、並びにそれを用いたポリエチレン樹脂組成物及び成形体 Download PDF

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本発明は、ポリエチレン樹脂用改質材、並びにそれを用いたポリエチレン樹脂組成物及び成形体に関する。
ポリエチレンの中空成形、射出成形、インフレーション成形、押出成形においては、一般に成形加工性及び物性の良好な材料が求められている。特に清涼飲料用熱可塑性樹脂容器の蓋部には、高速成形性、高流動性、剛性、耐衝撃性、耐久性、耐熱性、滑り性、低臭気性、食品安全性、開栓性、密封性が良好である材料が要望されている。更に、高温での取扱い時における炭酸飲料内圧による耐ストレスクラック性やFNCT破断性能及び引張降伏強度などの機械的特性にも優れるなど、多数の諸性能をおしなべてバランス良く向上させた材料が要望されている。
近年では、生産性向上のための成形サイクル短縮や、低コスト、環境負荷低減などのための薄肉軽量化の動きが顕著であり、材料の成形性、剛性、耐久性及び衝撃強度をより高度にバランス良くさせることが求められている。
しかしながら、容器蓋部の軽量化及び意匠の多様化が益々進む中で、容器蓋部を薄肉化したまま容器蓋部の剛性を確保しようとすると、ポリエチレンの密度を高くする必要が生じ、即ちコモノマー共重合量を抑制する必要が生じ、耐環境応力亀裂性の維持とは相反するため、剛性と耐環境応力亀裂性のバランスに優れ、薄肉化に対応できる材料が求められている。
また、射出成形法や圧縮成形法に代表される、容器蓋部の成形サイクルの短縮化の効果的な手段の一つとしては、溶融樹脂を金型内で成形した後の冷却・固化工程に要する時間の短縮化が挙げられる。そのため、溶融樹脂を金型内で成形する以前の、樹脂を溶融・混練する工程における成形温度は、可能な限り低下させておくことが望ましい。
しかし、一般に、ポリエチレン材料の粘度は温度の低下に伴い大きくなり、成形温度を低下させていくと、混練、押出、射出等の工程において成形機への負荷が大きくなる可能性がある。また、射出成形では、材料の流動性が低下することにより、キャビティー内への樹脂の充填が不十分となる、いわゆるショートショットと呼ばれる成形不良現象を生じ易くなる。
これらのことから、成形温度を下げるための検討を行う場合には、材料の溶融粘度が大きくなることを考慮し、使用するポリエチレン材料には、より流動性の高い材料が求められる。即ち、成形サイクルの短縮化を達成するためには、ポリエチレン材料の流動性を高く、即ち、分子量を低くする必要が生じ、耐環境応力亀裂性の維持とは相反するため、流動性と耐環境応力亀裂性のバランスに優れ、成形サイクルの短縮化に対応できる材料が求められている。
2種類以上のポリエチレン成分を組み合わせることにより、ポリエチレン樹脂の分子量分布や組成を制御し、樹脂又は成形品の各種物性、成形性、成形品の外観等を改良する技術が種々提案されている。
2種類以上の樹脂成分を組み合わせる方法としては、各成分をそれぞれ重合した後で、溶融混練やドライブレンドによりブレンドする方法、多段重合を連続的に行なう方法、及び、これらを組合せて行なう方法等が提案されている。そして、被改質材料にブレンドすることにより、被改質材料の物性や外観等を改質する、樹脂用改質材を用いる方法も提案されている。
樹脂用改質材は、一般的に被改質材料よりもコストが高くなり、また生産設備の制約等により、添加量に制限がある場合もあることから、少量の添加でも被改質材料中に高度に分散し、被改質材料の物性を改善する効果を有することが求められる。少量の添加で、被改質材料の耐久性、耐衝撃性等の物性を高度に改質するためには、改質材は、より分子量の大きな材料であることが望まれる。しかし、改質材の分子量が大きくなる程、改質材の溶融粘度は大きくなると予想されるため、改質材製造時の造粒設備への負荷が増大することや、改質材の安定生産が困難となることが予想される。
また、一般的に、粘度の異なるポリエチレン同士を溶融混合する場合、両者の粘度比が小さいほうが相溶し易くなることが知られている。例えば、ニュートン流体においては、より詳細な研究が行なわれており、粘度比の異なる液体同士を混合する場合において、高粘度液体が分散するための条件(キャピラリー数)が、混練様式別に両者の粘度比によって整理できることが報告されている(H.P.Grace:Chem.Eng.Commun.,14,225(1982))。また、粘度比が異なる液体同士が混在する系に同じ歪を加えた場合、粘度比が大きい系ほど、高粘度液体の歪速度は小さくなり、分散不良の要因となることも報告されている(A.Biswas et al.:SPE−ANTEC,336(1994))。
一方、ポリエチレン樹脂等は、非ニュートン流体であるため、粘度がせん断速度に依存するため上記知見を単純に適用することはできないが、上記知見を参考にすることができる。
改質材の粘度が大きくなり過ぎると、被改質材料との粘度比が大きくなるため、被改質材料中での改質材の分散が悪くなり、偏在化することにより、外観不良や物性低下の原因となるという問題が生じる。
更に、容器蓋部の生産においては、成形サイクル短縮化の要求に伴い、前述のようにポリエチレン材料の高流動化が求められるため、被改質材料に添加される改質材自身にも流動性の高い材料が求められる。
被改質材料にブレンドする樹脂改質材の例としては、シングルサイト触媒を担体に担持した触媒を用いた、分子量分布が相対的に小さいエチレン・α−オレフィン共重合体がある。該重合体は、特開2005−239749号公報で説明されるように、組成分布が狭いために機械強度に優れ、被改質材料の機械強度を著しく改善することができる。
しかし、特開2005−239749号公報で説明されるように、該エチレン・α−オレフィン共重合体は、分子量分布が狭いために、これを高分子量に重合し、被改質材料に添加して溶融混練した場合に、該エチレン・α−オレフィン共重合体の分散が十分でなく、最終的なブレンド材料に、高分子量ゲルが生じ、製品外観を損ねることが多い。このような高分子量ゲルは高い粘度を有しているため、被改質材料とのブレンド後の粘度が十分に高い場合には、分散され得るが、これには、被改質材料に添加される該エチレン・α−オレフィン共重合体の質量分率がかなり高いことが必要である。このため、ブレンドデザインの制約を受けると共に、ブレンド後の押出し特性が制約されることから、成形品の生産効率が悪くなり、特に、容器蓋部のような高い流動性が求められる製品の材料としては不十分となる。
メタロセン触媒を用いたポリエチレン用改質材として、特許文献1には、炭素数3ないし6のα−オレフィンから導かれる単位を10モル%未満の量で含有していてもよく、密度が0.92ないし0.98g/cmであり、極限粘度[η]が0.4ないし10dl/gであり、メタロセン化合物を含む触媒を用いて製造されるエチレン系重合体からなることを特徴とする高密度ポリエチレン用改質材が開示されており、このエチレン系重合体と、他の高密度ポリエチレンとからなる樹脂組成物が、成形性、機械強度、及び剛性に優れたブロー成形用樹脂組成物であることが開示されている。
特許文献2には、特定のポリエチレン(A)及びポリエチレン(B)を多段重合してなり、密度、ハイロードメルトフローレート、ポリエチレン(A)とポリエチレン(B)のHLMFRの比及びポリエチレン(A)とポリエチレン(B)の含有重量比の割合が特定のものであるポリエチレン(C)と、メタロセン触媒又はチーグラー触媒により製造され、特定の密度及びメルトフローレートであるポリエチレン(D)とを、それぞれ特定量含有するポリエチレン系樹脂組成物が、分子量分布の比較的狭い高分子量成分を含むポリエチレン(C)と、ポリエチレン(D)との、両者の相溶性に優れるポリエチレン系樹脂組成物であって、高分子量成分を高度に分散し、成形性、耐久性及び衝撃強度に優れるうえに、高分子量ゲルに由来する凹凸が生じにくく、外観に優れた成形品を製造することができることが開示されている。
また、特許文献3には、特定の特性を有する2種のポリエチレンからなる密度0.900〜0.968g/cm及びハイロードメルトフローレート0.14〜70g/10分のマルチモーダルポリエチレン系樹脂(C)10〜90重量%と、特定の特性を有する2種のポリエチレンからなる密度0.900〜0.975g/cm及びメルトフローレート1〜1000g/10分のマルチモーダルポリエチレン系樹脂(G)10〜90重量%とを含有するポリエチレン系樹脂組成物が、成形性、耐久性及び衝撃強度に優れるうえに、高分子量ゲルに由来する凹凸が生じにくく、外観に優れた成形品を製造することができることが開示されている。
さらに、特許文献4には、2種類のポリエチレン成分を組み合わせる方法として、特定のMFRやHLMFR、密度、CSD(コモノマー・シークエンス・ディストリビューション)を有する2種類のポリエチレン系重合体を用いたポリエチレン系樹脂成型材料が、容器蓋部材用の樹脂材料としての基本性能である、高速成形性、高流動性、剛性、耐衝撃性、耐久性、耐熱性、滑り性、低臭気性、食品安全性などの諸性能がバランス良くおしなべて優れ、開栓性や密封性も良好であり、耐衝撃性とりわけシャルピー衝撃強度に優れることから、特に炭酸飲料の液体を収容する容器の蓋に適した材料であることが開示されている。
特開平9−95571号公報 特開2014−208817号公報 特開2016−183334号公報 特開2015−151181号公報
上述のように、清涼飲料用などの熱可塑性樹脂容器における蓋部材用のポリエチレン系樹脂材料の分野において、高速成形性、高流動性、剛性、耐衝撃性、耐久性、更に、高温での取扱い時における炭酸飲料内圧による耐ストレスクラック性やFNCT破断性能及び引張降伏強度などの機械的特性に優れる容器蓋用樹脂材料が要望されている。
しかしながら、特許文献1に示される改質材を被改質材料にブレンドすることで、ある一定の物性改善が期待できるが、容器蓋用樹脂材料に求められる剛性、高流動性、耐久性、耐衝撃性等の高度な機械物性に対応する材料の被改質材料としては不十分である。
また、特許文献2及び3に示される樹脂組成物は、他の特定の樹脂(被改質材)に改質材としてブレンドすることで、容器蓋用樹脂材料に求められる剛性、高流動性、耐久性、耐衝撃性等の高度な機械物性に対応する材料に改良できることについて何ら開示されていない。
また、特許文献4に示されるポリエチレン系樹脂成形材料は、炭酸飲料の容器蓋部材として必要な耐ストレスクラック性能や衝撃性を維持するために、さらなる高速成形性を達成するには流動性が不十分であるという問題点を抱えている。
このような状況下、容器蓋用樹脂材料の高流動化が求められ、ブレンド時に改質材を被改質材料に分散させることがより困難になる中で、被改質材料にブレンドした際の分散性に優れ、更に改質材そのものの造粒を容易に行うことが可能な、製造適性に優れた改質材が求められている。
本発明の目的は、上記従来技術の問題点等に鑑み、被改質材料に改質材をブレンドして作成される組成物が高度な剛性、流動性を維持し、被改質材料に添加することで耐久性、及び耐衝撃性等の機械物性を高度に改善し、被改質材料にブレンドした際の分散性、及び改質材そのものの製造適性が良好な、ポリエチレン樹脂用改質材、並びに、当該ポリエチレン樹脂用改質材を用いたポリエチレン樹脂組成物、及び、成形体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定のポリエチレン(C)及びポリエチレン(D)を特定量含有し、特定の特性を満足するポリエチレン組成物をポリエチレン樹脂用改質材として用いることにより、被改質材料に改質材をブレンドして作成される組成物が高度な剛性と流動性を維持し、被改質材料の耐久性、及び耐衝撃性等の機械物性を高度に向上することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のポリエチレン樹脂用改質材は、下記の特性(I)〜(IV)を満足するポリエチレン(C)10〜90質量%と、下記の特性(i)〜(ii)を満足するポリエチレン(D)10〜90質量%とを含有し、下記の特性(1)〜(2)を満足する。
特性(I):下記のポリエチレン(A)及びポリエチレン(B)を含む。
ポリエチレン(A):密度(A)が、0.900〜0.950g/cmであり、ハイロードメルトフローレート(HLMFR(A)、JIS K7210、温度190℃、荷重21.60kg)が、0.1〜10g/10分である。
ポリエチレン(B):密度(B)が、0.900〜0.970g/cmであり、ハイロードメルトフローレート(HLMFR(B)、JIS K7210、温度190℃、荷重21.60kg)が、0.5〜100g/10分である。
特性(II):密度(C)が、0.900〜0.968g/cmである。
特性(III):ハイロードメルトフローレート(HLMFR(C)、JIS K7210、温度190℃、荷重21.60kg)が、0.14〜70g/10分である。
特性(IV):HLMFR(A)に対するHLMFR(B)の割合(HLMFR(B)/HLMFR(A))が、1.5〜1000である。
特性(i):密度(D)が、0.900〜0.975g/cmである。
特性(ii):メルトフローレート(MFR(D)、JIS K7210、温度190℃、荷重2.16kg)が、0.05〜1000g/10分である。
特性(1):HLMFRが5〜30g/10分以下である。
特性(2):密度が0.930〜0.955g/cm以下である。
また、本発明のポリエチレン樹脂用改質材は、前記ポリエチレン(C)が下記の特性(V)を満足してもよい。
特性(V):ポリエチレン(A)とポリエチレン(B)との合計を基準として、ポリエチレン(B)の含有質量比(X(B))に対するポリエチレン(A)の含有質量比(X(A))の割合(X(A)/X(B))が、0.11〜4である。
また、本発明のポリエチレン樹脂用改質材は、前記ポリエチレン(A)のゲルパーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)で測定される重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)が、2以上5未満であってもよい。
本発明のポリエチレン樹脂組成物は、下記特性(f1)〜(f2)を満足するポリエチレン樹脂(F)90〜40質量%と、前記ポリエチレン樹脂用改質材10〜60質量%とを含むことを特徴とする。
特性(f1):密度(F)が、0.900〜0.975g/cmである。
特性(f2):メルトフローレート(MFR(F)、JIS K7210、温度190℃、荷重2.16kg)が、0.05〜1000g/10分である。
本発明の成形体は、前記ポリエチレン樹脂組成物で構成されることを特徴とする。
本発明のポリエチレン樹脂用改質材は、改質材そのものの流動性が良好であるため、改質材自身の造粒適性に優れるという効果がある。また、改質材そのものの粘度が低いために、被改質材料にブレンドした際に、比較的少量の添加でも改質材を高度に分散することが可能であり、被改質材料とブレンドした後の粘度を高くすることがなく、高度な流動性を維持するため、成形性、剛性、耐久性及び衝撃強度等の機械物性に優れるブレンド組成物を提供することができるポリエチレン樹脂用改質材であるという効果がある。
また、本発明のポリエチレン樹脂用改質材は、被改質材料にブレンドした際に容器蓋部の製造に代表される圧縮成形法への適性を示す押出特性評価や、射出成形法への適性を示すスパイラルフロー長さといった評価において、低温でも良好な流動性を有し、従って成形温度を低下させることができるため、溶融樹脂を金型内で成形した後の冷却・固化工程に要する時間を短縮化させ、成形サイクル全体の短縮化を達成することができるため、成形性、剛性、耐久性及び衝撃強度等の機械物性に優れるブレンド組成物を提供することができるポリエチレン樹脂用改質材であるという効果がある。
従って、本発明のポリエチレン樹脂用改質材、それを用いたポリエチレン樹脂組成物、及び成形体は、物性及び成形性が優れた成形体を得ることができるため、高度な物性及び成形性が要求される分野での用途等に好適に使用できるという効果がある。
本発明のポリエチレン樹脂用改質材は、下記の特性(I)〜(IV)を満足するポリエチレン(C)10〜90質量%と、下記の特性(i)〜(ii)を満足するポリエチレン(D)10〜90質量%とを含有し、下記の特性(1)〜(2)を満足する。
特性(I):下記のポリエチレン(A)及びポリエチレン(B)を含む。
ポリエチレン(A):密度(A)が、0.900〜0.950g/cmであり、ハイロードメルトフローレート(HLMFR(A)、JIS K7210、温度190℃、荷重21.60kg)が、0.1〜10g/10分である。
ポリエチレン(B):密度(B)が、0.900〜0.970g/cmであり、ハイロードメルトフローレート(HLMFR(B)、JIS K7210、温度190℃、荷重21.60kg)が、0.5〜100g/10分である。
特性(II):密度(C)が、0.900〜0.968g/cmである。
特性(III):ハイロードメルトフローレート(HLMFR(C)、JIS K7210、温度190℃、荷重21.60kg)が、0.14〜70g/10分である。
特性(IV):HLMFR(A)に対するHLMFR(B)の割合(HLMFR(B)/HLMFR(A))が、1.5〜1000である。
特性(i):密度(D)が、0.900〜0.975g/cmである。
特性(ii):メルトフローレート(MFR(D)、JIS K7210、温度190℃、荷重2.16kg)が、0.05〜1000g/10分である。
特性(1):HLMFRが5〜30g/10分以下である。
特性(2):密度が0.930〜0.955g/cm以下である。
本発明は、特性(I)〜(IV)、好ましくは特性(I)〜(V)を満足するポリエチレン(C)10〜90質量%と、特性(i)〜(ii)を満足するポリエチレン(D)10〜90質量%とを含有することを特徴とするポリエチレン樹脂用改質材、当該ポリエチレン樹脂用改質材を用いたポリエチレン樹脂組成物、及び、成形体に係るものである。
以下、本発明に用いられるポリエチレン(C)、特にそれを特徴付ける特性(I)〜(IV)、好ましくは特性(I)〜(V)、及びそのポリエチレン(C)の製造方法、並びにポリエチレン(D)、特にそれを特徴付ける特性(i)〜(ii)、及びそのポリエチレン(D)の製造方法、更にはポリエチレン樹脂用改質材、並びにポリエチレン樹脂用改質材を用いたポリエチレン樹脂組成物及び成形体等について、項目毎に、詳細に説明する。
1.ポリエチレン(C)
本発明のポリエチレン樹脂用改質材に用いられるポリエチレン(C)は、下記の特性(I)〜(IV)を満足し、さらに特性(V)を満足することが好ましい。
(1)特性(I):下記のポリエチレン(A)及びポリエチレン(B)を含む。
ポリエチレン(A):密度(A)が、0.900〜0.950g/cmであり、ハイロードメルトフローレート(HLMFR(A)、JIS K7210、温度190℃、荷重21.60kg)が、0.1〜10g/10分である。
ポリエチレン(B):密度(B)が、0.900〜0.970g/cmであり、ハイロードメルトフローレート(HLMFR(B)、JIS K7210、温度190℃、荷重21.60kg)が、0.5〜100g/10分である。
(1−1)ポリエチレン(A)
ポリエチレン(A)は、エチレン系重合体であって、密度(A)が、0.900〜0.950g/cmであり、HLMFR(A)が、0.1〜10g/10分であることが必要である。
本発明におけるポリエチレン(A)の密度(A)は、0.900〜0.950g/cmであることが必要であり、好ましくは0.910〜0.935g/cm、更に好ましくは0.915〜0.935g/cmである。密度(A)が0.900g/cm以上では、被改質材料と改質材をブレンドした後のブレンド組成物の剛性が良好となる傾向がある。一方、密度(A)が0.950g/cm以下であるとポリエチレン(A)中のα−オレフィン含有量が増加し、改質材の械物性改質効果が良好となる傾向がある。
なお、本明細書において、ポリエチレン及びポリエチレン樹脂用改質材の密度は、JIS K7112(1999年版):A法(水中置換法)により測定したときの値をいう。
密度(A)は、主にポリエチレン(A)の製造時のα−オレフィンの量により調整することができる。
本発明におけるポリエチレン(A)のハイロードメルトフローレート(HLMFR(A)、JIS K7210、温度190℃、荷重21.60kg)は、0.1〜10g/10分であることが必要である。好ましくは0.1〜5g/10分、更に好ましくは0.1〜3g/10分、好適には0.1g/10分以上1g/10分未満である。HLMFR(A)が0.1g/10分以上では、ポリエチレン(C)とポリエチレン(D)を溶融混練する際に相溶性が良好となる傾向がある。また、ポリエチレン(C)としての流動性が向上するため、改質材の流動性が向上し、改質材の造粒適性や、被改質材料とのブレンド時の改質材の分散が良好となる傾向がある。一方、HLMFR(A)が10g/10分以下では、改質材の機械物性改質効果が良好となる傾向がある。
なお、本明細書において、ポリエチレン及びポリエチレン樹脂用改質材のHLMFRは、JIS K7210の「プラスチック―熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」に準拠して測定したときの値をいう。
HLMFR(A)は、主にポリエチレン(A)の製造時の水素量により調整することができる。
ポリエチレン(A)のゲルパーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)で測定される重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn(A))は、2以上5未満であることが好ましい。Mw/Mn(A)が2以上では、ポリエチレン(C)と(D)を溶融混練する際に相溶性が良好となる傾向がある。一方、Mw/Mn(A)が5未満では改質材の機械物性改質効果が良好となる傾向がある。
なお、本明細書において、ポリエチレンのMw/Mnは、ゲルパーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)で測定される重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnから計算される値をいう。
Mw/Mn(A)は、主にポリエチレン(A)の触媒種により調整することができる。
(1−2)ポリエチレン(B)
ポリエチレン(B)は、エチレン系重合体であって、密度(B)が、0.900〜0.970g/cmであり、HLMFR(B)が、0.5〜100g/10分であることが必要である。
本発明におけるポリエチレン(B)の密度(B)は、0.900〜0.970g/cmであることが必要であり、好ましくは0.910〜0.965g/cm、更に好ましくは0.915〜0.965g/cmである。密度(B)が0.900g/cm以上では、被改質材料と改質材をブレンドした後のブレンド組成物の剛性が良好となる傾向がある。一方、密度(B)が0.970g/cm以下であると改質材の機械物性改質効果が良好となる傾向がある。
密度(B)は、主にポリエチレン(B)の製造時のα−オレフィンの量により調整することができる。
本発明におけるポリエチレン(B)のハイロードメルトフローレート(HLMFR(B)、JIS K7210、温度190℃、荷重21.60kg)は、0.5〜100g/10分であることが必要である。好ましくは0.5〜80g/10分、更に好ましくは0.5〜50g/10分である。HLMFR(B)が上記範囲にあると、ポリエチレン(C)とポリエチレン(D)を溶融混練する際に高分子量ポリエチレン(A)をより高度に分散し、また耐久性や耐衝撃性等の機械物性を改善する効果が大きくなるため好ましい。また、HLMFR(B)が0.5g/10分以上では、ポリエチレン(B)の高分子量ゲルの発生を抑制し、ポリエチレン(C)とポリエチレン(D)を溶融混練する際に相溶性が良好となる傾向がある。また、ポリエチレン(C)としての流動性が向上するため、改質材の流動性が向上し、改質材の造粒適性や、被改質材料とのブレンド時の改質材の分散が良好となる傾向がある。一方、HLMFR(B)が100g/10分以下であると、改質材の機械物性改質効果が良好となる傾向がある。
本発明の改質材において、耐久性改質効果を付与しているのは、主に、HLMFRが最も低い、すなわち最も分子量の大きいポリエチレン(C)中のポリエチレン(A)である。しかし、本発明者らによる検討の結果、ポリエチレン(A)よりも相対的に分子量の小さいポリエチレン(B)について、本発明のHLMFRの範囲において、ポリエチレン(C)の耐久性改質効果をポリエチレン(A)のみによる改質効果と比較して著しく向上させる効果を有することを確認した。更に、ポリエチレン(B)のHLMFRが大きくなる、すなわち分子量が小さくなるに従い、その効果が減衰する傾向であることを確認した。
HLMFR(B)は、主にポリエチレン(B)の製造時の水素量により調整することができる。
(2)特性(II):密度(C)が、0.900〜0.968g/cmである。
本発明に用いられるポリエチレン(C)の密度(C)は、0.900〜0.968g/cmであることが必要であり、好ましくは0.910〜0.957g/cm、更に好ましくは0.915〜0.951g/cmである。密度(C)が0.900g/cm以上では、被改質材料と改質材をブレンドした後のブレンド組成物の剛性が良好となる傾向がある。一方、密度(C)が0.968g/cm以下であるとポリエチレン(C)中のα−オレフィンを多く含む成分の含有量が増加し、改質材の機械物性改質効果が良好となる傾向がある。
密度(C)は、主にポリエチレン(A)及び(B)それぞれの製造時のα−オレフィン量、並びにポリエチレン(A)及びポリエチレン(B)の重合比率により調整することができる。
(3)特性(III):ハイロードメルトフローレート(HLMFR(C)、JIS K7210、温度190℃、荷重21.60kg)が、0.14〜70g/10分である。
本発明におけるポリエチレン(C)のハイロードメルトフローレート(HLMFR(C)、JIS K7210、温度190℃、荷重21.60kg)は、0.14〜70g/10分であることが必要である。好ましくは0.14〜40g/10分、更に好ましくは0.14〜15g/10分である。HLMFR(C)が0.14g/10分以上では、ポリエチレン(C)と(D)を溶融混練する際に相溶性が良好となる傾向がある。一方、HLMFR(C)が70g/10分以下であるとポリエチレン(C)中の高分子量成分の含有量が増加し、また低分子量成分の含有量が低下し、改質材の械物性改質効果が良好となる傾向がある。
HLMFR(C)は、主にポリエチレン(A)及び(B)それぞれの製造時の水素量、並びにポリエチレン(A)及びポリエチレン(B)の重合比率により調整することができる。
(4)特性(IV):HLMFR(A)に対するHLMFR(B)の割合(HLMFR(B)/HLMFR(A))が、1.5〜1000である。
本発明に用いられるポリエチレン(C)において、HLMFR(A)に対するHLMFR(B)の割合(HLMFR(B)/HLMFR(A))は、1.5〜1000であることが必要である。好ましくは1.5〜500、更に好ましくは1.5〜200である。
HLMFR(B)/HLMFR(A)の値は、ポリエチレン(A)とポリエチレン(B)の分子量差を表すものと考えることができる。従って、HLMFR(B)/HLMFR(A)がこの範囲にあると、ポリエチレン(A)とポリエチレン(B)に分子量差が生じ、組成分布が生じるため、本発明におけるポリエチレン(C)の組成分布を高度に制御することが可能となり、流動性、剛性、及び耐久性改質効果のバランスに優れたポリエチレン樹脂用改質材を製造することが可能となるため、好ましい。また、HLMFR(B)/HLMFR(A)が1.5以上では、ポリエチレン(A)とポリエチレン(B)の分子量差が生じるために、ポリエチレン(B)の粘度がポリエチレン(A)に近づくことを抑制し、ポリエチレン(A)と同様の高い粘度を示すようになることを抑制し、ポリエチレン(B)自身がポリエチレン(A)と共に、ポリエチレン(C)とポリエチレン(D)を溶融混練する際に、高分子量ゲルとなるのを抑制することができる。また、ポリエチレン(C)の流動性が増加するため、ポリエチレン樹脂用改質材の流動性が増加し、造粒適性に適し、被改質材料にブレンドした際に、被改質材料中に改質材を高度に分散しやすくなり、更に被改質材料とブレンドした後のブレンド組成物の粘度を低下させ、すなわち流動性が良好となる傾向がある。一方、HLMFR(B)/HLMFR(A)が1000以下であると、上述の通り、ポリエチレン(B)の分子量の増加に伴い、改質材の耐久性改質効果が良好となるため好ましい。
HLMFR(B)/HLMFR(A)は、主にポリエチレン(A)、(B)それぞれの製造時の水素量により調整することができる。
(5)特性(V):ポリエチレン(A)とポリエチレン(B)との合計を基準として、ポリエチレン(B)の含有質量比(X(B))に対するポリエチレン(A)の含有質量比(X(A))の割合(X(A)/X(B))が、0.11〜4である。
本発明に用いられるポリエチレン(C)において、ポリエチレン(A)とポリエチレン(B)との合計を基準として、ポリエチレン(B)の含有質量比(X(B))に対するポリエチレン(A)の含有質量比(X(A))の割合(X(A)/X(B))が、0.11〜4であることが好ましく、更に好ましくは0.33〜4、更に好適には0.80〜4である。
ポリエチレン(A)及びポリエチレン(B)をこの順で多段重合する場合、X(A)/X(B)の値は、ポリエチレン(C)の粒子の外表面に存在する、先に製造した高分子量ポリエチレン(A)が、中心部に存在する後で製造したポリエチレン(B)により、溶融混練前のポリエチレン(C)の粒子の状態でどれだけ押し広げられ、拡散されるかを表すものと考えられる。従って、X(A)/X(B)がこの範囲にあると、溶融混練前のポリエチレン(C)の粒子の外表面に存在する、高分子量ポリエチレン(A)の拡散が十分であるため好ましい。X(A)/X(B)が0.11以上では、実際の多段重合の場合、ポリエチレン(A)の製造で比率調整のために触媒活性を落とす必要がなくなり、ポリエチレン(C)の生産性を向上させることができるため好ましい。一方、X(A)/X(B)が4以下であると溶融混練前のポリエチレン(C)の粒子の外表面に存在する、高分子量ポリエチレン(A)の拡散が良好となり、またポリエチレン(C)の流動性が向上するため、ポリエチレン樹脂用改質材の流動性が向上し、造粒適性に適し、被改質材料にブレンドした際に、改質材を高度に分散させやすくなり、更に被改質材料とブレンドした後のブレンド組成物の粘度を低下させ、すなわち流動性が良好となる傾向がある。
X(A)/X(B)は、主にポリエチレン(A)とポリエチレン(B)の各重合量により調整することができる。
(6)ポリエチレン(C)の製造方法
本発明のポリエチレン(C)は、ポリエチレン(A)及びポリエチレン(B)を多段重合して得たものであることが好ましい。
本発明の多段重合においては、ポリエチレン(A)及びポリエチレン(B)の重合の順番は特に限定されないが、得られた樹脂組成物の特性の面や作業面等からみて、ポリエチレン(A)及びポリエチレン(B)をこの順番で多段重合することが望ましい。また、多段重合は、連続多段重合であることが好ましい。
本発明のポリエチレン樹脂用改質材は、上記特定の物性を満足し、好ましくは、ポリエチレン(A)を先に重合し、その後、多段重合により、特定のポリエチレン(B)を製造するといった特定の製法により製造されることにより、ポリエチレン(C)の粒子の外表面に存在する、先に製造した高分子量ポリエチレン(A)が、中心部に存在する後で製造したポリエチレン(B)により、溶融混練前のポリエチレン(C)の粒子の状態で押し広げられ、拡散すると推定される。
被改質成分とのブレンド時の分散性、及び改質材そのものの造粒適性の良い改質材を得るためには、ポリエチレン(C)自身も、より流動性の高い成分である必要がある。また、被改質材料とブレンド後のブレンド組成物の剛性をより高くするためには、ポリエチレン(C)自身も、より剛性の高い成分である必要がある。そのためには、ポリエチレン(C)の分子量はより小さく、密度をより高く、即ちコモノマー共重合量を抑制する必要があり、何れも被改質材料への耐久性改質効果の維持と相反することが予想される。
一般にポリエチレンは、多段重合で製造することにより、単段重合による組成の単一なポリエチレンよりも、高い耐久性改質効果を維持したまま、より高い流動性と剛性を発現することが可能となる。
これは、多段重合を実施することで、ポリエチレンの分子量分布や組成分布を高度に制御することが可能となるためであると考えられる。すなわち、ポリエチレン中の分子量の大きな成分へのコモノマー共重合量を選択的に高くすることで、高度な耐久性改質効果が効率的に付与され、分子量の小さな成分へのコモノマー共重合量を選択的に低くすることで、高度な剛性及び流動性が付与されるため、ポリエチレンが流動性、剛性、及び耐久性改質効果のバランスに優れた樹脂組成物となると考えられる。
ポリエチレン(A)及びポリエチレン(B)のポリエチレン系樹脂の種類としては、エチレンの単独重合体及び/又はエチレンとα−オレフィンとの共重合体であることが好ましく、すなわち、エチレン系重合体であることが好ましいが、より機械強度を向上させるために、ポリエチレン(A)及びポリエチレン(B)は、エチレン・α−オレフィン共重合体であることが更に好ましい。
ポリエチレン(A)及びポリエチレン(B)は、エチレンの単独重合又はエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィン、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等との共重合により得られる。また、改質を目的とする場合のジエンとの共重合も可能である。このとき使用されるジエン化合物の例としては、ブタジエン、1,4−ヘキサジエン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン等を挙げることができる。
なお、ポリエチレン(A)及びポリエチレン(B)の重合の際のコモノマー含有率は、任意に選択することができるが、例えば、エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合の場合には、エチレン・α−オレフィン共重合体中のα−オレフィン含有量は、0〜40モル%、好ましくは0〜30モル%である。
ポリエチレン(A)及びポリエチレン(B)のポリエチレン系樹脂の重合触媒は特に限定しないが、本発明の範囲におけるHLMFRと密度のバランスから、好ましくはメタロセン触媒又はチーグラー系触媒が用いられ、更に好適にはメタロセン触媒が用いられる。
チーグラー系触媒としては、遷移金属化合物と典型金属のアルキル化合物等の組み合わせからなるオレフィン配位重合触媒としてのチーグラー・ナッタ触媒、とりわけマグネシウム化合物にチタニウム化合物を担持させた固体触媒成分と有機アルミニウム化合物を組み合わせたいわゆるMg−Ti系チーグラー触媒(例えば、「触媒活用大辞典;2004年工業調査会発行」、「出願系統図―オレフィン重合触媒の変遷―;1995年発明協会発行」等を参照されたい。)は安価で高活性かつ重合プロセス適性に優れることから好適である。
中でも、特開昭54−142192号公報、特開昭54−148093号公報に記載されているような不活性担体物質担持Mg/Ti触媒、すなわち、例えば、無水MgClのテトラヒドロフラン溶液とTiClあるいはTiClの均一混合液を、あらかじめトリエチルアルミニウムで処理した多孔質シリカに含浸して乾燥乾固して得られる触媒や、特開昭63−117019号公報に記載されているような、有機アルミニウムの存在下でMg/Ti触媒にオレフィン予備重合を施して得られた触媒、例えば、MgClとTi(OnBu)とメチルハイドロジエンポリシロキサンの反応で得られた固体成分にTiClとメチルハイドロジエンポリシロキサンの混合液を導入して得られた触媒をトリエチルアルミニウム存在下、エチレン予備重合して得られた予備重合触媒、等が挙げられる。また、特開昭60−195108号公報に記載されているようなマグネシウム・アルミニウム複合体と4価のチタン化合物とを反応させて得られた低原子価のチタン原子を含有する触媒成分と有機アルミニウム化合物とを組み合わせたオレフィン重合用触媒、特開昭56−61406号公報等に記載されているようなマグネシウムエトキシド、トリn−ブトキシモノクロルチタン、n−ブタノールの均一混合物にエチルアルミニウムセスキクロライド等を滴下して得られる固体状触媒、特開2001−139635号公報等に記載されているようなマグネシウム、ハロゲン、チタン及び電子供与体を含むオレフィン重合用固体触媒等が挙げられる。
本発明において、好ましくは、分子量分布や共重合組成分布の狭いエチレン系重合体を高い活性で製造することが出来るという理由により、好ましくは、下記一般式(a)で表されるマグネシウム化合物群の中から選択される化合物と、下記一般式(b)で表されるチタニウム化合物群の中から選択される化合物を少なくとも含むことを特徴とするMg−Ti系チーグラー触媒が用いられる。
一般式(a): Mg、MgO、又は、MgX (OR2−m−n
ここで、Xはハロゲン原子、好ましくは塩素原子であり、Rは炭素数1〜10の炭化水素基、好ましくは炭素数1〜6の炭化水素基、更に好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチルであり、Rは水素又は炭素数1〜10の炭化水素基、好ましくは炭素数1〜6の炭化水素基、更に好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチルである。m、nは各々、0≦m≦2、0≦n≦2、0≦m+n≦2を満たす数である。
上記一般式(a)の好ましい態様の一例は、Mg、MgO、MgClR (OR1−n、MgCl、MgX 1−m(OR)、Mg(OR、ただし、0≦m≦1、0≦n≦1であり、更に好ましい態様の一例は、Mg、MgO、MgClR、MgCl、MgX(OR)、Mg(ORであり、特に好ましい態様の一例は、MgCl、Mg(ORである。ただし、R、R、Xの定義は上記の通りである。
上記一般式(a)に含まれるマグネシウム化合物は、具体的には、以下に列挙することができる。
(1)Mg、MgO、MgF、MgCl、MgBr、MgI、MgClF、MgBrCl、MgClI等、
(2)Mg(CH、Mg(C、Mg(C、Mg(C、Mg(C13、Mg(C17、Mg(C1021、Mg(C、Mg(C11、Mg(C、Mg(C−CH、Mg(C−C、Mg(C−C、Mg(C(CH、Mg(CH−C、Mg(C−C、Mg(CH)(C)、Mg(C)(C)、Mg(CH)(C)、Mg(C)(C)等、
(3)Mg(OH)、Mg(OCH、Mg(OC、Mg(OC、Mg(OC、Mg(OC13、Mg(OC11、Mg(OC、Mg(OCH、Mg(OH)(OC)、Mg(OC)(OC)、Mg(OCCH等、
(4)Mg(C)Cl、Mg(C)Br、Mg(C)I、Mg(C)Cl、Mg(C)Br、Mg(C)I等、
(5)Mg(OH)Cl、Mg(OH)Br、Mg(OH)I、Mg(OC)Cl、Mg(OC)Br、Mg(OC)I、Mg(OC)Cl、Mg(OC)Br、Mg(OC)I等、
(6)Mg(C)(OC)、Mg(C)(OC)、Mg(C)(OC)、Mg(C)(OC13)等、
それらの中でも好ましくは、Mg、MgO、MgCl、MgBr、MgI、Mg(CH、Mg(C、Mg(C、Mg(C、Mg(C)(C)、Mg(OCH、Mg(OC、Mg(OC、Mg(OC、Mg(OC13、Mg(C)Cl、Mg(C)Br、Mg(C)I、Mg(C)Cl、Mg(C)Br、Mg(C)I、Mg(OC)Cl、Mg(OC)Br、Mg(OC)Iであり、更に好ましくは、MgO、MgCl、Mg(C、Mg(C、Mg(C)(C)、Mg(OCH、Mg(OC、Mg(OC、Mg(OCであり、特に好ましくは、MgCl、Mg(C、Mg(C、Mg(C)(C)、Mg(OCである。
一般式(b): TiX (OR4−p
ここで、Xはハロゲン原子、好ましくは塩素原子であり、Rは炭素数1〜10の炭化水素基、好ましくは炭素数1〜6の炭化水素基、更に好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチルであり、pは0≦p≦4を満たす数である。
上記一般式(b)の好ましい態様の一例は、TiCl(OR、TiCl(OR、TiCl(OR)、TiClであり、更に好ましい態様の一例は、TiCl(OR、TiClである。
ただし、Rの定義は上記の通りである。また、p=0の場合、すなわち、Ti(ORを使用する場合は、ハロゲン化剤が併用される。
ここで、ハロゲン化剤とは、Ti(ORの1つ以上の炭化水素オキシ基(OR)をハロゲンに置換する作用を有する化合物であれば特に制限はないが、例えば、本発明で記載されているマグネシウム化合物、アルミニウム化合物、ケイ素化合物のうち、ハロゲン原子を含有する化合物、あるいは、元素状態のハロゲン、塩化水素等のハロゲン化水素、クロロホルム等のハロアルカン、塩化チオニル、オキシ塩化リン、塩化アシル等のオキシハロゲン化物、三塩化リン、五塩化リン、塩化アンモニウム、塩化ホウ素等の非金属ハロゲン化物、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化ジルコニウム、塩化バナジウム、塩化クロム、塩化マンガン、塩化鉄、塩化ニッケル、塩化スズ、塩化亜鉛等のハロゲン化金属、等が使用される。
上記一般式(b)に含まれるチタニウム化合物は、具体的には、以下に列挙することができる。
(1)TiF、TiCl、TiBr、TiI、TiFCl、TiBrCl、TiBrCl、TiBrCl、TiBrClI、等、
(2)Ti(OCH、Ti(OC、Ti(OC、Ti(OC、Ti(OC13、Ti(OC11、Ti(OC、Ti(OC17、Ti(OC1021、Ti(OCH、Ti(OCH、Ti(OCH11、Ti(OC、Ti(OC)(OC、Ti(OC(OC、Ti(OC(OC)、Ti(OCCH、Ti(OC)(OC)(OC13等、
(3)Ti(OCH)Cl、Ti(OCHCl、Ti(OCHCl、Ti(OC)Cl、Ti(OCCl、Ti(OCCl、Ti(OC)(OC)Cl、Ti(OC)Br、Ti(OC)I、Ti(OC)ClBr、Ti(OC)ClI、Ti(OC)ClBrI、Ti(OC)Cl、Ti(OCCl、Ti(OCCl、Ti(OC)Cl、Ti(OCCl、Ti(OCCl、Ti(OC)Br、Ti(OC)I、Ti(OC11Cl、Ti(OC13Cl、Ti(OCCl、Ti(OCCl、Ti(OC)Cl等、
それらの中でも好ましくは、TiCl、Ti(OCH、Ti(OC、Ti(OC、Ti(OC、Ti(OC13、Ti(OC11、Ti(OC、Ti(OCH)Cl、Ti(OCHCl、Ti(OCHCl、Ti(OC)Cl、Ti(OCCl、Ti(OCCl、Ti(OC)Cl、Ti(OCCl、Ti(OCCl、Ti(OC)Cl、Ti(OCCl、Ti(OCCl、Ti(OC11Cl、Ti(OC13Cl、Ti(OCCl、Ti(OCCl、Ti(OC)Clであり、更に好ましくは、TiCl、Ti(OC、Ti(OC、Ti(OC、Ti(OC)Cl、Ti(OCCl、Ti(OCCl、Ti(OC)Cl、Ti(OCCl、Ti(OCCl、Ti(OC)Cl、Ti(OCCl、Ti(OCClであり、特に好ましくは、TiCl、Ti(OC、Ti(OC、Ti(OC、Ti(OCCl、Ti(OCCl、Ti(OCClである。
メタロセン触媒としては、ポリエチレン(A)及びポリエチレン(B)の多段重合に好適な重合触媒の例として、メタロセン系遷移金属化合物と助触媒成分からなるオレフィン重合触媒であるメタロセン触媒(例えば、「メタロセン触媒による次世代ポリマー工業化技術(上・下巻);1994年インターリサーチ社発行」等を参照されたい)は比較的安価で高活性かつ重合プロセス適性に優れ、更には分子量分布及び共重合組成分布が狭いエチレン系重合体が得られることから使用される。
中でも、特開昭60−35007号公報等に記載されているようないわゆるメタロセン錯体とアルモキサンとを含んでなるオレフィン重合用の触媒系や、特開平8−34809号公報、特開平8−127613号公報、特開平11−193306号公報、特表2002−515522号公報、等に記載されているようなアルモキサン以外の助触媒成分を使用する触媒系が好適に使用される。メタロセン錯体としては中心金属が周期律表4族であるTi、Zr、Hfのものがエチレン重合に対して高活性を示すので好適に使用される。
これら中心金属の配位子の構造としては現在様々な構造のものが知られており、生成ポリエチレンの分子量、α−オレフィン共重合性等の重合性能が調べられている。本発明に用いるポリエチレン(A)は長鎖分岐構造が無いか少量しか含まないものが好適であるが、このような特性のエチレン系重合体の製造には、共役五員環構造配位子が他の配位子と架橋基によって架橋されていないいわゆる非架橋錯体であることが好ましく、例えば、特開平11−310612号公報にあるような、下記の一般式[1]、[2]、[3]もしくは[4]によるメタロセン化合物の構造分類によれば、化合物[1]や化合物[3]が好ましく、化合物[1]がより好ましい。ただし、長鎖分岐構造の生成にはエチレンやα−オレフィンの重合場における濃度が高い程、重合反応時間が短い程不利であると言われているので、メタロセン化合物の好適さの大小はあくまでも重合が同一条件において実施される場合を仮定した相対的なものに限定されることは言うまでもない。また、特開平5−132518号公報、特開2000−154196号公報、特開2004−161760号公報等に記載されているメタロセン錯体も好適に用いられ、また、例えば特表2002−535339号公報記載のヘテロ原子を含有する単環式又は多環式のヘテロ芳香族基を共役五員環構造配位子上の置換基として有するメタロセン錯体も好適に用いられる。
Figure 0006900922
Figure 0006900922
Figure 0006900922
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[ここで、A〜Aは、共役五員環構造を有する配位子(同一化合物内においてA〜Aは同一でも異なっていてもよい)を、Qは2つの共役五員環配位子を任意の位置で架橋する結合性基を、Z、ZはMと結合している窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、リン原子又はイオウ原子を含む配位子、水素原子、ハロゲン原子又は炭化水素基を、Qは共役五員環配位子の任意の位置とZを架橋する結合性基を、Mは周期律表4族から選ばれる金属原子を、そしてX及びYはMと結合した水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基、リン含有炭化水素基又はケイ素含有炭化水素基を、それぞれ示す。以上の詳細定義は該公報に従うものとする。]
本発明において、好適なメタロセン錯体の一例として、高分子量でかつ分子量分布や共重合組成分布の狭いエチレン系重合体を高い重合活性で生成することが可能であるという理由により、上述のA〜Aとして表わされる共役五員環構造を有する配位子すなわちシクロペンタジエニル環配位子上の5つのH原子のうち少なくとも1つ以上が、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基、ケイ素数1〜6を含む炭素数1〜18のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基又は炭素数1〜20の炭化水素基置換シリル基、酸素を含む炭素数1〜20の炭化水素基(酸素原子で直接該環に結合するアルコキシ基等も含む。以下、硫黄、窒素、リンも同様)、硫黄を含む炭素数1〜20の炭化水素基、窒素を含む炭素数1〜20の炭化水素基、リンを含む炭素数1〜20の炭化水素基から選択される置換基により置換されていることを特徴とするメタロセン錯体を挙げることができる。これらシクロペンタジエニル環上の置換基は結合しているシクロペンタジエニル環の炭素原子と一緒に環を形成していてもよく、この場合、A〜Aはインデニル環、アズレニル環、ベンゾインデニル環、フルオレニル環等で代表される副環を有する配位子となることが可能であり、より高分子量のエチレン系重合体が得られる点でより好ましい。
製造プロセスとしては、エチレン系重合体であるポリエチレン(A)及びポリエチレン(B)は、気相重合法、溶液重合法、スラリー重合法などの製造プロセスにより製造することができ、本発明におけるポリエチレン(C)のように比較的HLMFRの低い、すなわち分子量の高いポリエチレンを製造しても反応系の粘度が上昇することがないので生産性に優れているという点において、気相重合法又はスラリー重合法が望ましい。該エチレン系重合体の重合条件のうち、重合温度としては、0〜300℃の範囲から選択することができる。気相重合の場合、生成ポリマーの融点より低い温度で重合を行なう。重合圧力は、大気圧〜約4MPaの範囲から選択することができる。実質的に酸素、水等を断った状態で、溶媒の不在下でエチレン及びα−オレフィンの気相重合を行なうことにより製造することができる。反応器内の重合体粉体の流動を妨げない程度において、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等の比較的低沸点の不活性炭化水素が共存していてもよい。
スラリー重合において重合器に供給される水素は、連鎖移動剤として消費され、生成するエチレン系重合体の平均分子量を決定するほか、一部は溶媒に溶解して重合器から排出される。溶媒中への水素の溶解度は小さく、重合器内に大量の気相部が存在しない限り、触媒の重合活性点付近の水素濃度は低い。そのため、水素供給量を変化させれば、触媒の重合活性点における水素濃度が速やかに変化し、生成するエチレン系重合体の分子量は、短時間の間に水素供給量に追随して変化する。
本発明におけるポリエチレン(C)の好適な製造方法は、ポリエチレン(A)を重合する工程及びポリエチレン(B)を重合する工程が、下記条件(J)と条件(K)を満足することが好ましい。
条件(J):ポリエチレン(A)を重合する工程において、重合反応器中の気相部の水素とエチレンのモル比(H/C2[気相部A])が、0.00〜0.40である。
条件(K):ポリエチレン(A)を重合する工程における重合反応器中の気相部の水素とエチレンのモル比(H/C2[気相部A])と、ポリエチレン(B)を重合する工程における重合反応器中の気相部の水素とエチレンのモル比(H/C2[気相部B])の比([H/C2[気相部B]]/[H/C2[気相部A]])が、1.05〜12.0である。
[H/C2[気相部B]]/[H/C2[気相部A]]は、より好ましくは1.10〜9.0、更に好ましくは1.10〜6.0である。[H/C2[気相部B]]/[H/C2[気相部A]]が1.05以上であるとポリエチレン(A)とポリエチレン(B)の分子量差が大きくなり、ポリエチレン(B)の分子量がポリエチレン(A)に近づくことを抑制し、ポリエチレン(A)と同様の高い粘度となることを抑制し、ポリエチレン(B)自身がポリエチレン(A)と共に、ポリエチレン(C)とポリエチレン(D)を溶融混練する際に、高分子量ゲルとなることを抑制できるため、好ましい。更に、ポリエチレン(C)の流動性が向上するため、ポリエチレン樹脂用改質材の流動性が向上し、ポリエチレン樹脂用改質材の造粒適性や、被改質材料とのブレンド時の改質材の分散が良好となり、好ましい。また、[H/C2[気相部B]]/[H/C2[気相部A]]が12.0以下であるとポリエチレン(A)とポリエチレン(B)の分子量差が大きくなり過ぎることを抑制し、ポリエチレン(B)の分子量の増加に伴い、改質材の耐久性改質効果が良好となるため好ましい。なお、後述する重合液体充填ループ型反応器によるスラリー重合の場合、重合反応器中に気相部が存在しない場合もあるが、通常反応液を気化させた気体組成を測定する方法が採られているので、本発明におけるH/C2[気相部]の定義をそのまま適用することが可能であることは言うまでもない。
本発明におけるポリエチレン(C)の製造方法として、ポリエチレン(A)を重合する工程及びポリエチレン(B)を重合する工程が、下記条件(L)と条件(M)を満足する場合を好適な方法として挙げることもできる。
条件(L):以下の成分(a)、(b)及び(c)を含有するオレフィン重合用触媒を用いてエチレンの単独重合又はエチレンとα−オレフィンの共重合を行なう。
成分(a):シクロペンタジエニル配位子上の5つのH原子のうち少なくとも1つ以上が、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基、ケイ素数1〜6を含む炭素数1〜18のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基又は炭素数1〜20の炭化水素基置換シリル基、酸素を含む炭素数1〜20の炭化水素基(酸素原子で直接該環に結合するアルコキシ基等も含む。以下、硫黄、窒素、リンも同様)、硫黄を含む炭素数1〜20の炭化水素基、窒素を含む炭素数1〜20の炭化水素基、リンを含む炭素数1〜20の炭化水素基から選択される基により置換された構造を有するTi、Zr又はHfのメタロセン化合物
成分(b):成分(a)のメタロセン化合物と反応してカチオン性メタロセン化合物を生成させる化合物
成分(c):微粒子担体
条件(M):生成するエチレン系重合体と、使用される上記条件(L)に記載のオレフィン重合用触媒の質量比(エチレン系重合体質量(g)/オレフィン重合用触媒の質量(g))が、3000〜50000である。
ここで成分(a)とは、上記のメタロセン化合物を指し、より好ましくは、上述のA〜Aとして表わされる共役五員環構造を有する配位子すなわちシクロペンタジエニル環配位子上の5つのH原子のうち少なくとも2つ以上が、更に好ましくは3つ以上が、特に好ましくは4つ以上が、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基、ケイ素数1〜6を含む炭素数1〜18のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基又は炭素数1〜20の炭化水素基置換シリル基、酸素を含む炭素数1〜20の炭化水素基(酸素原子で直接該環に結合するアルコキシ基等も含む。以下、硫黄、窒素、リンも同様)、硫黄を含む炭素数1〜20の炭化水素基、窒素を含む炭素数1〜20の炭化水素基、リンを含む炭素数1〜20の炭化水素基から選択される置換基、より好ましくは、炭素数1〜20の炭化水素基、ケイ素数1〜6を含む炭素数1〜18のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基又は炭素数1〜20の炭化水素基置換シリル基、酸素を含む炭素数1〜20の炭化水素基、硫黄を含む炭素数1〜20の炭化水素基、更に好ましくは、炭素数1〜20の炭化水素基、ケイ素数1〜6を含む炭素数1〜18のケイ素含有炭化水素基、酸素を含む炭素数1〜20の炭化水素基、特に好ましくは、炭素数1〜20の炭化水素基、ケイ素数1〜6を含む炭素数1〜18のケイ素含有炭化水素基、酸素を含む炭素数1〜20の炭化水素基により置換されていることを指す。
これらシクロペンタジエニル環上の置換基は結合しているシクロペンタジエニル環の炭素原子と一緒に環を形成していてもよく、この場合、A〜Aはインデニル環、アズレニル環、ベンゾインデニル環、フルオレニル環等で代表される副環を有する配位子となることが可能であり、より高分子量のエチレン系重合体が得られる点でより好ましく、インデニル環が更に好ましくい。該環がインデニル環である場合、上記の一般式[2]で表される化合物、すなわち架橋ビスインデニル錯体構造が好ましく、2つのインデニル環が1位の位置で公知の炭素架橋基やSi架橋基で橋かけされた構造がより好ましく、加えて該2位の位置に上述のハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基、ケイ素数1〜6を含む炭素数1〜18のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基又は炭素数1〜20の炭化水素基置換シリル基、酸素を含む炭素数1〜20の炭化水素基(酸素原子で直接該環に結合するアルコキシ基等も含む。以下、硫黄、窒素、リンも同様)、硫黄を含む炭素数1〜20の炭化水素基、窒素を含む炭素数1〜20の炭化水素基、リンを含む炭素数1〜20の炭化水素基から選択される置換基を有する化合物が更に好ましく、加えて該4位の位置に上述のハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基、ケイ素数1〜6を含む炭素数1〜18のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基又は炭素数1〜20の炭化水素基置換シリル基、酸素を含む炭素数1〜20の炭化水素基(酸素原子で直接該環に結合するアルコキシ基等も含む。以下、硫黄、窒素、リンも同様)、硫黄を含む炭素数1〜20の炭化水素基、窒素を含む炭素数1〜20の炭化水素基、リンを含む炭素数1〜20の炭化水素基から選択される置換基を有する化合物が特に好ましく、該2位及び4位の置換基が、炭素数1〜20の炭化水素基、ケイ素数1〜6を含む炭素数1〜18のケイ素含有炭化水素基、酸素を含む炭素数1〜20の炭化水素基から選択される置換基を有する化合物が最も好ましい。
成分(b)、成分(c)については、オレフィン重合用触媒の製造方法と併せて、特開2011−137146号公報(段落[0068]〜[0069])に記載の方法を始め、公知の技術を適用可能である。
本発明のポリエチレン樹脂用改質材がその改質性能を発揮するための好適なポリエチレン(C)の製造方法として、オレフィン重合用触媒当りのエチレン系重合体の生成量が十分高いことが望まれる。該質量比(エチレン系重合体質量(g)/オレフィン重合用触媒の質量(g))のより好ましい範囲は5000〜30000であり、更に好ましい範囲は7000〜25000である。該質量比が3000以上であると触媒そのものが外観不良となることを抑制し、ポリエチレン(A)の混ざり性を向上させることができるため好ましい。また、該質量比が50000以下であるとポリエチレン(A)とポリエチレン(B)の生成比率の制御が容易になり、ポリエチレン(A)とポリエチレン(B)の混ざりに偏りが生じることを抑制できるため好ましい。
ポリエチレン(A)及びポリエチレン(B)は、複数の成分により構成することが可能である。ポリエチレン(A)及びポリエチレン(B)は、1種類の触媒を用いて多段重合反応器にて連続的に重合された重合体でもよく、複数種類の触媒を用いて多段重合反応器にて製造された重合体でもよい。
ポリエチレン(A)及びポリエチレン(B)は、直列に接続した複数の反応器で連続して重合するいわゆる多段重合方法を用いることが好ましく、本願発明特定のものが得られる限り、連続的であっても、連続していなくてもよいが、使用する触媒の安定性や活性持続性の理由により、連続多段重合が好ましい。
多段重合では、ポリエチレン(A)及びポリエチレン(B)の順番は特に限定されないが、その順番をポリエチレン(A)及びポリエチレン(B)の順、すなわち、ポリエチレン(A)を重合する工程の後、ポリエチレン(A)を含む反応系をそのままポリエチレン(B)の反応条件へ移行してポリエチレン(B)を重合する工程を行なうと、触媒の被毒防止や、溶媒・原料の拡散防止の点で、より好ましい。
また、ポリエチレン(A)及び/又はポリエチレン(B)は、本発明のポリエチレン樹脂用改質材がより優れた樹脂改質性能を発揮するように、ポリエチレン(A)をより高分子量の成分を含むポリエチレン樹脂として設計することを目的として、あるいは本発明のポリエチレン樹脂用改質材がより優れた被改質材料改質性能を維持しつつ、高い溶融流動性を示すように、ポリエチレン(B)をより低分子量の成分を含むポリエチレン樹脂として設計することを目的として、それぞれ2段以上の多段重合により得ることができる。
具体的な好ましい重合方法は、以下の方法である。すなわち、メタロセン触媒及び二器の反応器を使用し、第1段目の反応器にエチレン及びα−オレフィンを導入し、低密度の高分子量成分の重合体を製造し、第1段目の反応器から抜き出された重合体を第2段目の反応器に移送し、第2段目の反応器にエチレン及び水素を導入し、高密度の低分子量成分の重合体を製造する方法である。
なお、多段重合の場合、第2段目以降の重合域で生成するエチレン系重合体の量とその性状については、各段における重合体生成量(未反応ガス分析等により把握できる)を求め、各段の後でそれぞれ抜出した重合体の物性を測定し、加成性に基づいて各段で生成した重合体の物性を求めることができる。
2.ポリエチレン(D)
本発明に用いられるポリエチレン(D)は、前述した特性(i)〜(ii)を満足することを必要とする。以下に、特性(i)〜(ii)及びポリエチレン(D)の製造方法について説明する。
(1)特性(i):密度(D)が、0.900〜0.975g/cmである。
本発明のポリエチレン(D)の密度(D)は、0.900〜0.975g/cmであることが必要であり、好ましくは0.920〜0.975g/cm、更に好ましくは0.940〜0.975g/cmである。密度(D)が0.900g/cm以上では、被改質材料と改質材をブレンドした後のブレンド組成物の剛性が良好となる傾向がある。
一方、密度(D)が0.975g/cm以下であると改質材の械物性改質効果が良好となる傾向がある。
密度(D)は、主に成分(D)の製造時のα−オレフィン量により調整することができる。
(2)特性(ii):メルトフローレート(MFR(D)、JIS K7210、温度190℃、荷重2.16kg)が、0.05〜1000g/10分である。
本発明のポリエチレン(D)のメルトフローレート(MFR(D)、JIS K7210、温度190℃、荷重2.16kg)が、0.05〜1000g/10分である。好ましくは1〜500g/10分、更に好ましくは10〜200g/10分である。MFR(D)が0.05g/10分以上では、改質材の流動性が向上し、改質材の造粒適性や、被改質材料とのブレンド時の改質材の分散が良好となる傾向がある。一方、MFR(D)が1000g/10分以下であると、低分子量の成分量の増加を抑制し、被改質材料と改質材をブレンドした後のブレンド組成物の耐衝撃性の低下を抑制することができる。
なお、本明細書で、ポリエチレン、ポリエチレン樹脂、及び、ポリエチレン樹脂組成物のMFRは、JIS K7210の「プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」に準拠して、190℃、2.16kg荷重の条件で測定したときの値をいう。
MFR(D)は、主に成分(D)の製造時の水素量により調整することができる。
(3)ポリエチレン(D)の製造方法
ポリエチレン(D)は、エチレンの単独重合又はエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィン、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等との共重合により得られる。また、改質を目的とする場合のジエンとの共重合も可能である。このとき使用されるジエン化合物の例としては、ブタジエン、1,4−ヘキサジエン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン等を挙げることができる。
なお、ポリエチレン(D)の重合の際のコモノマー含有率は、任意に選択することができるが、例えば、エチレン・α−オレフィン共重合体中のα−オレフィン含有量は、0〜40モル%、好ましくは0〜30モル%である。
ポリエチレン(D)のポリエチレン系樹脂の重合触媒は特に限定しないが、好ましくはメタロセン触媒又はチーグラー系触媒が用いられる。メタロセン触媒又はチーグラー触媒としては、上述したとおりであって、ポリエチレン(C)の製造に使用するものと同様のものが使用できる。
製造プロセスとしては、エチレン系重合体であるポリエチレン(D)は、気相重合法、溶液重合法、スラリー重合法などの製造プロセスにより製造することができ、なかでも、気相重合法又はスラリー重合法が望ましい。該エチレン系重合体の重合条件のうち、重合温度としては、0〜300℃の範囲から選択することができる。スラリー重合においては、生成ポリマーの融点より低い温度で重合を行なう。重合圧力は、大気圧〜約10MPaの範囲から選択することができる。実質的に酸素、水等を断った状態で、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素等から選ばれる不活性炭化水素溶媒の存在下でエチレン及びα−オレフィンのスラリー重合を行なうことにより製造することができる。
スラリー重合において重合器に供給される水素は、連鎖移動剤として消費され、生成するエチレン系重合体の平均分子量を決定するほか、一部は溶媒に溶解して重合器から排出される。溶媒中への水素の溶解度は小さく、重合器内に大量の気相部が存在しない限り、触媒の重合活性点付近の水素濃度は低い。そのため、水素供給量を変化させれば、触媒の重合活性点における水素濃度が速やかに変化し、生成するエチレン系重合体の分子量は、短時間の間に水素供給量に追随して変化する。
ポリエチレン(D)は、複数の成分により構成することが可能である。ポリエチレン(D)は、1種類の触媒を用いて多段重合反応器にて順次連続的に重合された重合体でもよく、複数種類の触媒を用いて多段重合反応器にて製造された重合体でもよい。
また、ポリエチレン(D)の別の具体的な好ましい重合方法は、以下の方法である。すなわち、チタン系遷移金属化合物及び有機アルミニウム化合物を含むチーグラー触媒及び一器の反応器を使用し、反応器にエチレン、水素及び必要に応じてα−オレフィンを導入し、所定の密度とMFRを有する重合体を製造する方法である。
なお、多段重合の場合、第2段目以降の重合域で生成するエチレン系重合体の量とその性状については、各段における重合体生成量(未反応ガス分析等により把握できる)を求め、各段の後でそれぞれ抜出した重合体の物性を測定し、加成性に基づいて各段で生成した重合体の物性を求めることができる。
3.ポリエチレン樹脂用改質材(E)
本発明のポリエチレン樹脂用改質材(E)は、以下の特性(1)〜(2)を満足する。
特性(1):HLMFRが5g/10分以上30g/10分以下である。
特性(2):密度が0.930g/cm以上0.955g/cm以下である。
前記特性(1)〜(2)は、前記と同様にして測定することができる。
(1)配合量比
本発明のポリエチレン樹脂用改質材(E)は、上記したとおり、ポリエチレン(C)と、ポリエチレン(D)とを含有することが必要である。
ポリエチレン(C)とポリエチレン(D)との配合量比は、ポリエチレン(C)とポリエチレン(D)との合計量を基準として、(C)が10〜90質量%に対し、(D)が10〜90質量%であることが必要である。好ましくは、(C)が20〜80質量%に対し、(D)が20〜80質量%、更に好ましくは、(C)が30〜70質量%に対し、(D)が30〜70質量%である。(C)が10質量%以上であると、改質材中の高分子量成分の含有量が増加し、被改質材料に対する機械物性改質効果が良好となる傾向がある。一方、(C)が90質量%以下であると、改質材の流動性が向上し、改質材の造粒適性や、被改質材料とのブレンド時の改質材の分散が良好となる傾向がある。
(2)特性
(2−1)特性(1):HLMFRが5g/10分以上30g/10分以下である。
本発明のポリエチレン樹脂用改質材(E)は、ハイロードメルトフローレート(HLMFR(E)、JIS K7210、温度190℃、荷重21.60kg)が、5〜30g/10分であればよく、好ましくは、5〜25g/10分、特に好ましくは、5〜18g/10分である。HLMFR(E)が5g/10分以上であると、流動性が向上し、改質材の造粒適性、及び被改質材料とのブレンド時の改質材の分散が良好となる傾向がある。
一方、30g/10分以下であると、改質材中の高分子量成分の含有量が増加し、また低分子量成分の含有量が低下し、被改質材料に対する機械物性改質効果が良好となる傾向がある。
なお、ポリエチレン樹脂用改質材のHLMFR(E)は、ポリエチレン(C)及びポリエチレン(D)製造時のそれぞれの水素量、並びにポリエチレン(C)及びポリエチレン(D)の配合量により調整することができる。
(2−2)特性(2):密度が0.930g/cm以上0.955g/cm以下である。
本発明のポリエチレン樹脂用改質材(E)は、密度(E)が、0.930〜0.955g/cmであればよく、好ましくは、0.933〜0.953g/cm、特に好ましくは、0.935〜0.950g/cmである。密度(E)が0.930g/cm以上であると、被改質材料と改質材をブレンドした後のブレンド組成物の剛性が良好となる傾向がある。一方、0.955g/cm以下であると、改質材中のα−オレフィンを多く含む成分の含有量が増加し、被改質材料に対する耐衝撃性、耐久性等の機械物性改質効果が良好となる傾向がある。
なお、ポリエチレン樹脂用改質材の密度(E)は、ポリエチレン(C)及びポリエチレン(D)製造時のそれぞれのα−オレフィン量、並びにポリエチレン(C)及びポリエチレン(D)の配合量により調整することができる。
(3)他の成分
本発明のポリエチレン(C)、ポリエチレン(D)又はポリエチレン樹脂用改質材(E)は、本発明の目的を損なわない範囲において、必要に応じて、通常のポリオレフィンに添加される添加剤を含有していても良い。これらの添加剤は、1種類、又は2種類以上組み合わせて用いることができる。
該添加剤としては、例えば、耐熱安定剤、耐候安定剤などの安定剤、架橋材、架橋助剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、フィラー、鉱物油系軟化剤、石油樹脂、ワックスなどが挙げられる。
(4)製造方法
本発明のポリエチレン樹脂用改質材(E)の製造方法としては、特に制限はなく、公知の方法が適用できる。例えば、ポリエチレン(C)とポリエチレン(D)とを個別に製造し、これらを上記の割合で、押出機、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダープラストグラフ、ニーダー等、通常の混練機を用いて、溶融混練して製造することができる。溶融混練する温度は、ポリエチレン(C)及びポリエチレン(D)が溶融する範囲内であれば特に限定されないが、通常180〜350℃の範囲にて混練することにより製造できる。これらの混練機の中でも、単軸又は二軸の押出機又は連続式混練機を用いることができ、特に二軸押出機を用いて製造することが好ましく、常法に従い、ペレタイザーやホモジナイザー等による機械的な溶融混合によりペレット化した後、被改質材とブレンドし、各種成形機により成形を行なって所望の成形品とすることができる。
本発明のポリエチレン樹脂用改質材(E)は、改質材自身の造粒適性に優れ、また被改質材との相溶性に優れるポリエチレン組成物であって、被改質材料中に高度に分散し、外観、流動性、剛性を損なうことなく成形品の衝撃強度や耐久性といった機械物性を高度に改質することができる樹脂用改質材であり、特に、被改質材料の耐久性の改質を目的として、好適に使用することができる。耐久性の指標としては、全ノッチ付クリープ試験(FNCT、ISO DIS 16770)、耐環境応力亀裂試験(ESCR、ASTM D 1693)、中空成形ボトルを用いるボトルESCR等が挙げられる。
本発明のポリエチレン樹脂用改質材(E)は、他のオレフィン重合体やゴム等の各種の樹脂に適用可能であるが、中でも、ポリエチレン樹脂に適用することが好ましい。
本発明のポリエチレン樹脂用改質材(E)を、安価な汎用ポリエチレンや、使用済みの製品、製造工程で生じる廃棄物等からなる再生材に適用すれば、機械物性が良好な成形品を低コストで提供することが可能である。
また、本発明のポリエチレン樹脂用改質材(E)を、特表2010−511634号公報に記載されているような、植物由来のカーボンニュートラル(化石原料を使わず大気中の二酸化炭素の増加につながらない)な性質を持つポリマーに適用すれば、機械物性に優れ、環境に配慮した製品の提供が可能である。
4.ポリエチレン樹脂組成物(G)
本発明のポリエチレン樹脂組成物(G)は、下記特性(f1)〜(f2)を満足するポリエチレン樹脂(F)90〜40質量%と、前記ポリエチレン樹脂用改質材(E)10〜60質量%とを含む。
特性(f1):密度(F)が、0.900〜0.975g/cmである。
特性(f2):メルトフローレート(MFR(F)、JIS K7210、温度190℃、荷重2.16kg)が、0.05〜1000g/10分である。
(1)配合量比
本発明のポリエチレン樹脂組成物(G)は、ポリエチレン樹脂(F)に対し、ポリエチレン樹脂用改質材(E)を混合(例えば、溶融混合等)することにより製造することができる。
ポリエチレン樹脂用改質材(E)とポリエチレン樹脂(F)の配合量比は、ポリエチレン樹脂用改質材(E)とポリエチレン樹脂(F)との合計量を基準として、ポリエチレン樹脂用改質材(E)が10〜60質量%に対し、ポリエチレン樹脂(F)が40〜90質量%であればよく、好ましくは、ポリエチレン樹脂用改質材(E)が15〜55質量%に対し、ポリエチレン樹脂(F)が45〜85質量%、更に好適には、ポリエチレン樹脂用改質材(E)が20〜50質量%に対し、ポリエチレン樹脂(F)が50〜80質量%である。ポリエチレン樹脂用改質材(E)が10質量%以上であると、ポリエチレン樹脂用改質材中の高分子量成分の含有量が増加し、改質材をブレンドした後のポリエチレン樹脂組成物(G)の機械強度が良好となる傾向がある。一方、ポリエチレン樹脂用改質材(E)が60質量%以下であると、改質材をブレンドした後のポリエチレン樹脂組成物(G)の流動性が向上し、押出性や成形性が良好となる傾向がある。
(2)ポリエチレン樹脂(F)
(2−1)特性(f1):密度(F)が、0.900〜0.975g/cmである。
ポリエチレン樹脂(F)は、密度(F)が、0.900〜0.975g/cmであればよく、好ましくは0.920〜0.975g/cm、特に好ましくは0.940〜0.975g/cmである。密度(F)が0.900g/cm以上では、改質材をブレンドした後のポリエチレン樹脂組成物(G)の剛性が良好となる傾向がある。一方、密度(F)が0.975g/cm以下であると、改質材をブレンドした後のポリエチレン樹脂組成物(G)の耐衝撃性が向上する。
密度(F)は、主にポリエチレン樹脂(F)の製造時のα−オレフィン量により調整することができる。
(2−2)特性(f2):メルトフローレート(MFR(F)、JIS K7210、温度190℃、荷重2.16kg)が、0.05〜1000g/10分である。
ポリエチレン樹脂(F)は、メルトフローレート(MFR(F)、JIS K7210、温度190℃、荷重2.16kg)が、0.05〜1000g/10分であればよく、好ましくは1〜500g/10分、特に好ましくは10〜200g/10分である。MFR(F)が0.05g/10分以上では、改質材をブレンドした後のポリエチレン樹脂組成物(G)の流動性が向上し、成形性が良好となる傾向がある。一方、MFR(F)が1000g/10分以下であると、低分子量の成分量が低下することにより、改質材をブレンドした後のポリエチレン樹脂組成物(G)の耐衝撃性が向上する。
MFR(F)は、主にポリエチレン樹脂(F)の製造時の水素量により調整することができる。
本発明に用いられるポリエチレン樹脂(F)は、ポリエチレン(D)と同様の方法で製造することができる。
(3)特性(g1)〜(g3)
本発明のポリエチレン樹脂組成物(G)は、更に下記特性(g1)〜(g3)を満たすことが好ましい。
特性(g1):メルトフローレート(MFR(G)、JIS K7210、温度190℃、荷重2.16kg)が、0.05〜10g/10分である。
特性(g2):ハイロードメルトフローレート(HLMFR(G)、JIS K7210、温度190℃、荷重21.60kg)が10g/10分以上500g/10分以下である。
特性(g3):密度(G)が0.950g/cm以上0.968g/cm以下である。
(3−1)特性(g1):メルトフローレート(MFR(G)、JIS K7210、温度190℃、荷重2.16kg)が、0.05〜10g/10分である。
ポリエチレン樹脂組成物(G)は、メルトフローレート(MFR(G)、JIS K7210、温度190℃、荷重2.16kg)が、0.05〜10g/10分であることが好ましく、更に好ましくは0.1〜8g/10分、特に好ましくは0.2〜6g/10分である。MFR(G)が0.05g/10分以上では、ポリエチレン樹脂組成物(G)の流動性が向上し、成形性が良好となる傾向がある。一方、MFR(G)が10g/10分以下であると、ポリエチレン樹脂組成物(G)の耐衝撃性、耐久性等の機械物性が良好となる傾向がある。
(3−2)特性(g2):HLMFRが10g/10分以上500g/10分以下である。
本発明のポリエチレン樹脂組成物(G)は、ハイロードメルトフローレート(HLMFR(G)、JIS K7210、温度190℃、荷重21.60kg)が、10〜500g/10分であることが好ましく、更に好ましくは、20〜400g/10分、特に好ましくは、30〜350g/10分である。HLMFR(G)が10g/10分以上であると、ポリエチレン樹脂組成物(G)の流動性が向上し、成形性が良好となる傾向がある。
一方、500g/10分以下であると、ポリエチレン樹脂組成物(G)の耐衝撃性、耐久性等の機械物性が良好となる傾向がある。
なお、ポリエチレン樹脂組成物(G)のHLMFR(G)は、ポリエチレン樹脂(F)及びポリエチレン樹脂用改質材(E)に含まれる各ポリエチレンの製造時のそれぞれの水素量、並びにポリエチレン樹脂(F)及びポリエチレン樹脂用改質材(E)の配合量により調整することができる。
(3−3)特性(g3):密度(G)が0.950g/cm以上0.968g/cm以下である。
本発明のポリエチレン樹脂組成物(G)は、密度(G)が、0.950〜0.968g/cmであることが好ましく、更に好ましくは、0.953〜0.966g/cm、特に好ましくは、0.955〜0.964g/cmである。密度(G)が0.950g/cm以上であると、ポリエチレン樹脂組成物(G)の剛性が良好となる傾向がある。
一方、0.968g/cm以下であると、ポリエチレン樹脂組成物(G)の耐衝撃性、耐久性等の機械物性が良好となる傾向がある。
なお、ポリエチレン樹脂組成物(G)の密度(G)は、ポリエチレン樹脂(F)及びポリエチレン樹脂用改質材(E)に含まれる各ポリエチレンの製造時のそれぞれのα−オレフィン量、並びにポリエチレン樹脂(F)及びポリエチレン樹脂用改質材(E)の配合量により調整することができる。
(4)他の成分
本発明のポリエチレン樹脂組成物(G)は、成形品を製造することから、本発明の目的を損なわない範囲において、必要に応じて、通常のポリオレフィンからなる成形品に含有される他のオレフィン系重合体やゴム等のほか、酸化防止剤(フェノール系、リン系、イオウ系)、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、帯電防止剤、防曇剤、ブロッキング防止剤、加工助剤、着色顔料、パール顔料、偏光パール顔料、架橋剤、発泡剤、中和剤、熱安定剤、結晶核剤、無機又は有機充填材、難燃剤等の公知の添加剤を1種又は2種以上配合することができる。
有機充填剤としては、例えば、カーボンファイバー、カーボンブラック、カーボンナノチューブなどが挙げられ、無機充填材としては、例えば、シリカ、ケイ藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、軽石粉、軽石バルーン、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、タルク、クレー、マイカ、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ガラス繊維、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、硫化モリブデン、グラファイト、アスベスト、金属粉(アルミニウム、銅、鉄、鉛など)などが挙げられる。
いずれの場合でも、上記ポリエチレン系樹脂に、必要に応じ各種添加剤を配合し、混練押出機、バンバリーミキサー等にて混練し、成形用材料とすることができる。
また、本発明のポリエチレン樹脂用改質材(E)、ポリエチレン樹脂(F)及び上述の添加剤や充填剤を高濃度に含有するマスターバッチを、本発明の目的を損なわない範囲において各種攪拌機等によりブレンドした後、各種成形機により成形を行なって所望の成形品を得ることができる。
5.成形体
本発明のポリエチレン樹脂組成物(G)は、公知の成形方法にて成形することにより任意の成形体を得ることができる。
成形方法としては、特に限定されるものではなく、目的に応じて各種の成形方法で成形できるが、例えば、射出成形法、圧縮成形法などが挙げられる。これらの成形方法により、各種形状の容器蓋などに成形することができる。
特に、本発明のポリエチレン樹脂用改質材(E)を用いて改質された樹脂組成物(G)は、高い流動性を維持したまま機械的特性が良好であるという特徴があることから、射出成形又は圧縮成形により成形されることが好ましい。具体的には、容器蓋などに成形した際に、高い流動性を維持したまま成形温度を低下させることができるため、溶融樹脂を金型内で成形した後の冷却・固化工程に要する時間を短縮することが可能となり、成形サイクルの短縮化に対応することができる。
本発明のポリエチレン樹脂組成物(G)は、成形性、剛性、耐ストレスクラック性及び衝撃強度に優れるうえに、高い流動性を有し、成形サイクルの短縮化を可能にできるポリエチレン樹脂組成物であることから、特に、射出成形又は圧縮成形してなる成形体であることが好ましい。即ち、本発明の容器蓋用ポリエチレン樹脂組成物は、射出成形用に用いられる。また、本発明の容器蓋用ポリエチレン樹脂組成物は、圧縮成形用に用いられる。
射出成形又は圧縮成形してなる成形品の製造方法については、特に限定されず、通常、従来から公知の成形機を用いた成形法等が用いられる。
更に、本発明の組成物を用いた成形品には、必要に応じて目的を損なわない範囲で、帯電防止剤、酸化防止剤、中和剤、滑剤、抗ブロッキング剤、防曇剤、有機あるいは無機系顔料、充填剤、無機フィラー、紫外線防止剤、分散剤、耐候剤、架橋剤、発泡剤、難燃剤などの公知の添加剤を添加することができる。
以下に、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、これらの実施例に制約されるものではない。
1.測定方法
実施例で用いた測定方法は以下の通りである。
(1)温度190℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレート(MFR):
JIS K7210の「プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」に準拠して測定した。
(2)温度190℃、荷重21.6kgにおけるメルトフローレート(HLMFR):
JIS K7210の「プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」に準拠して測定した。
(3)密度:
JIS K7112:1999に準拠して測定した。
(4)フルノッチクリープ試験(FNCT)(80℃、1.9MPaで測定)における破断時間:
JIS K6774(1995)付属書1の全周ノッチ式引張クリープ試験に準拠し、80℃、1.9MPaで測定を行なった。試験片は、JIS K6922−2(1997)表2の条件で作成した厚さ6mmの圧縮成形シートから切出し、全周にノッチを入れたもの(試験片厚み6mm、ノッチ深さ1mm、全周)を使用した。サンプルを浸漬する試験溶液はアルキル硫酸ナトリウム1%水溶液を用いた。
(5)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分子量の測定(重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn):
下記条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
装置:WATERS社製150C
カラム:昭和電工社製AD80M/Sを3本
測定温度:140℃
濃度:1mg/1ml
溶媒:o−ジクロロベンゼン
なお、分子量の計算及びカラムの較正は、以下の方法に準拠して行なった。
GPCクロマトデータは、1点/秒の頻度でコンピュータに取り込み、森定雄著・共立出版社発行の「サイズ排除クロマトグラフィー」第4章の記載に従ってデータ処理を行ない、Mw、Mn値を計算した。
(6)改質材の造粒適性:
改質材のHLMFRが5g/10分以上のものを良好「○」、5g/10分未満のものを不良「×」と評価した。
(7)ポリエチレン樹脂組成物の耐久性:
ポリエチレン樹脂組成物のFNCTが100時間以上のものを良好「○」、100時間未満のものを不良「×」と評価した。
(8)改質材としての耐久性改質性能:
ポリエチレン樹脂用改質材所定量と、被改質材料であるポリエチレン樹脂所定量をブレンドしてポリエチレン樹脂組成物を製造した際に、製造したポリエチレン樹脂組成物のFNCTが100時間以上となった場合は、改質材の耐久性改質性能を良好「○」、100時間未満となった場合は、改質材の耐久性改質性能を不良「×」と評価した。
(9)押出特性:
東洋精機製作所社製ラボプラストミルD2020単軸押出機を用い、樹脂の流れ方向より順に80メッシュ、120メッシュ、60メッシュのステンレス製金網を装着したφ2.0mm×25穴のブレーカープレート、及び圧縮比2.6のフルフライトスクリューを使用し、150℃、170℃、190℃、210℃の各温度条件にて、吐出量1.5kg/hにおける押出トルクと、樹脂圧力を測定した。
(10)スパイラルフロー長さ:
ファナック社製ROBOSHOT S−2000i 100B射出成形機を用い、金型温度40℃、射出速度10mm/秒にて計量位置21.5mmから切替え位置10mmまで射出した後、射出圧力75MPaにて10秒射出した。ゲート幅2mm、流路幅10mm、厚み2mm、最長流路長2,000mmのアルキメデスのスパイラル流路を有する金型を用い、150℃、170℃、190℃、210℃の各温度条件におけるスパイラルフロー長さを測定した。
2.実施例及び比較例
(1)メタロセン触媒の合成
十分に窒素置換した、誘導撹拌機を装着した円筒状フラスコに、平均粒径11μmのシリカ(平均粒径11μm、表面積313m/g、細孔容積1.6cm/g)を3g充填し、トルエンを75ml添加し、オイルバスにより75℃に加熱した。別のフラスコにメチルアルミノキサンのトルエン溶液(アルベマール社製、3.0mol−Al/L)を8.0ml分取した。ジメチルシリレンビス[1,1’−{2−(2−(5−メチル)フリル)−4−(p−イソプロピルフェニル)−インデニル}]ジルコニウムジクロリド(63.4mg、75μmol)のトルエン溶液(15ml)をメチルアルモキサンのトルエン溶液に室温で添加し、75℃に昇温した後、1時間撹拌した。次いで、75℃に加熱したシリカのトルエンスラリーに、このトルエン溶液を、撹拌しながら添加し1時間保持した。その後、23℃において攪拌しながらn−ヘキサンを175ml添加し、10分後、攪拌を停止し静置した。触媒を十分沈降させた後、上澄みを除去し、n−ヘキサンを200ml添加した。一旦攪拌した後、再度、静置し上澄みを除去した。この操作を3回繰り返して、n−ヘキサンに遊離してくる成分を除去した。更に、40℃加熱した状態で、減圧により溶媒を留去した。減圧度が0.8mmHg以下となってから、更に15分間減圧乾燥を継続しシリカ担持メタロセン触媒Aを得た。
(2)チーグラー触媒(Z−1)の合成
直径が10mmの磁性ボール約700個を入れた内容積が1Lのポット(粉砕用容器)に窒素雰囲気で市販のマグネシウムエチラート(平均粒径860μm)20g(17.8mmol)、粒状の三塩化アルミニウム1.64g(12.3mmol)及びジフェニルジエトキシシラン2.40g(8.81mmol)を入れた。次いで、振動ボールミルを用い、振幅が6mm及び振動数が30Hzの条件で3時間共粉砕を行なった。共粉砕後、内容物を窒素雰囲気下で磁性ボールと分離した。
以上のようにして得られた共粉砕生成物10.0g及び40mlのヘプタンを200mlの三つ口フラスコに加えた。撹拌しながら室温において10.0g(52.7mmol)の四塩化チタンを滴下し、90℃まで昇温し、90分間撹拌を続けた。次いで、反応系を冷却した後、上澄み液を抜き取り、ヘキサンを加えた。この操作を3回繰り返した。得られた淡黄色の固体を50℃にて減圧下で6時間乾燥を行なって、固体触媒15.6gを得た。
この固体触媒のヘキサンスラリー溶液を誘導攪拌装置付き重合反応器に入れ、温度を40℃に維持し、0.27mmolのトリイソブチルアルミニウムを加えて水素分圧0.074MPa、エチレン分圧0.20MPaにて予備重合を実施し、固体触媒1gあたりポリマー生成量0.46gの予備重合チーグラー触媒(Z−1)を得た。
(3)ポリエチレン(D)及びポリエチレン樹脂(F)の製造
2つの重合液体充填ループ型反応器が直列に連結された二槽連続重合装置に、脱水精製イソブタン、トリイソブチルアルミニウム、上記(2)で得られた予備重合チーグラー触媒(Z−1)、エチレンを連続的に供給し、95℃でエチレンを重合することによりポリエチレン(D)((D−1)、(D−2)、(CD−1)及び(CD−2))及び被改質材料であるポリエチレン樹脂(F)((F−5))の製造を実施した。なお、ポリエチレン(D)及びポリエチレン樹脂(F)のMFRの調節は水素を適量供給することにより実施した。
被改質材料であるポリエチレン樹脂(F−5)のMFRは100g/10分であり、密度は0.969g/cmであった。また、ポリエチレン樹脂(F−5)のFNCTの測定を実施した際、試験片作成工程においてサンプルにクラックが発生してしまい、測定を行うことは不可能であった。
(4)ポリエチレン(A)及びポリエチレン(B)の製造条件
ポリエチレン(A)、ポリエチレン(B)を製造した際の重合条件を表1に示した。
Figure 0006900922
[実施例1]
次のようにしてポリエチレン(A−1)とポリエチレン(B−1)の製造を行ない、連続重合することにより、二段重合品であるポリエチレン(C−1)を製造した。ポリエチレン(C−1)のHLMFRは0.8g/10分であり、密度は0.934g/cmであった。
ポリエチレン(A−1)の製造;
上記シリカ担持メタロセン触媒Aによるエチレン・1−ヘキセン共重合を行なうことにより、ポリエチレン(A−1)を製造した。すなわち、2つの重合液体充填ループ型反応器が直列に連結された二槽連続重合装置の1槽目に、脱水精製イソブタン、トリイソブチルアルミニウム、上記(1)で得られたシリカ担持メタロセン触媒A、エチレン、1−ヘキセン、水素を連続的に供給し、70℃でエチレンを重合することによりポリエチレン(A−1)の製造を実施した。この時得られたポリエチレン(A−1)のHLMFRは0.11g/10分であり、密度は0.925g/cmであった。
ポリエチレン(B−1)の製造;
上記のように1槽目にて製造されたポリエチレン(A−1)を含むスラリーの一部分を連結管にて2槽目に導いた後、2槽目に脱水精製イソブタン、エチレン、水素を追加してポリエチレン(B−1)を製造した。この時得られたポリエチレン(B−1)のHLMFRは100g/10分であった。
ポリエチレン(C−1)と表2に記載のポリエチレン(D−1)の二成分を、下記の条件において溶融混練することによりポリエチレン樹脂用改質材(E−1)を製造した。改質材のHLMFRは5g/10分であり、密度は0.950g/cmであった。物性評価結果を表2に示した。
[混練条件]
使用機器:東洋精機製作所社製ラボプラストミル ローラミキサ(ミキサ型式:R100/ブレード形状:ローラ型R100B)
添加剤配合:BASFジャパン社製IRGANOX B225を2,000ppm及び 淡南化学工業社製ステアリン酸カルシウムを1,000ppm使用
充填量:70g/batch
混練温度:190℃
ブレード回転速度:40rpm
[実施例2]
次のようにしてポリエチレン(A−2)とポリエチレン(B−2)の製造を行ない、連続重合することにより、二段重合品であるポリエチレン(C−2)を製造した。ポリエチレン(C−2)のHLMFRは1.7g/10分であり、密度は0.925g/cmであった。
ポリエチレン(A−2)の製造;
上記シリカ担持メタロセン触媒Aによるエチレン・1−ヘキセン共重合を行なうことにより、ポリエチレン(A−2)を製造した。すなわち、1−ヘキセン/エチレンのモル比と水素/エチレンのモル比を調節した以外はポリエチレン(A−1)の製造と同様に実施した。この時得られたポリエチレン(A−2)のHLMFRは0.72g/10分であり、密度は0.920g/cmであった。
ポリエチレン(B−2)の製造;
上記のように1槽目にて製造されたポリエチレン(A−2)を含むスラリーの一部分を連結管にて2槽目に導いた後、2槽目に脱水精製イソブタン、エチレン、水素を追加してポリエチレン(B−2)を製造した。この時得られたポリエチレン(B−2)のHLMFRは10g/10分であった。
ポリエチレン(C−2)と表2に記載のポリエチレン(D−2)の二成分を実施例1と同様の方法でブレンドすることによりポリエチレン樹脂用改質材(E−2)を製造した。
改質材のHLMFRは6.2g/10分であり、密度は0.939g/cmであった。
物性評価結果を表2に示した。
[実施例3]
次のようにしてポリエチレン(A−3)とポリエチレン(B−3)の製造を行ない、連続重合することにより、二段重合品であるポリエチレン(C−3)を製造した。ポリエチレン(C−3)のHLMFRは2.2g/10分であり、密度は0.926g/cmであった。
ポリエチレン(A−3)の製造;
上記シリカ担持メタロセン触媒Aによるエチレン・1−ヘキセン共重合を行なうことにより、ポリエチレン(A−3)を製造した。すなわち、1−ヘキセン/エチレンのモル比と水素/エチレンのモル比を調節した以外はポリエチレン(A−1)の製造と同様に実施した。この時得られたポリエチレン(A−3)のHLMFRは0.73g/10分であり、密度は0.920g/cmであった。
ポリエチレン(B−3)の製造;
上記のように1槽目にて製造されたポリエチレン(A−3)を含むスラリーの一部分を連結管にて2槽目に導いた後、2槽目に脱水精製イソブタン、エチレン、水素を追加してポリエチレン(B−3)を製造した。この時得られたポリエチレン(B−3)のHLMFRは30g/10分であった。
ポリエチレン(C−3)と表2に記載のポリエチレン(D−2)の二成分を実施例1と同様の方法でブレンドすることによりポリエチレン樹脂用改質材(E−3)を製造した。
改質材のHLMFRは8.4g/10分であり、密度は0.940g/cmであった。
物性評価結果を表2に示した。
[実施例4]
次のようにしてポリエチレン(A−4)とポリエチレン(B−4)の製造を行ない、連続重合することにより、二段重合品であるポリエチレン(C−4)を製造した。ポリエチレン(C−4)のHLMFRは2.0g/10分であり、密度は0.925g/cmであった。
ポリエチレン(A−4)の製造;
上記シリカ担持メタロセン触媒Aによるエチレン・1−ヘキセン共重合を行なうことにより、ポリエチレン(A−4)を製造した。すなわち、1−ヘキセン/エチレンのモル比と水素/エチレンのモル比を調節した以外はポリエチレン(A−1)の製造と同様に実施した。この時得られたポリエチレン(A−4)のHLMFRは0.76g/10分であり、密度は0.920g/cmであった。
ポリエチレン(B−4)の製造;
1槽目にて製造されたポリエチレン(A−4)を含むスラリーの一部分を連結管にて2槽目に導いた後、2槽目に脱水精製イソブタン、エチレン、水素を追加してポリエチレン(B−4)を製造した。この時得られたポリエチレン(B−4)のHLMFRは20g/10分であった。
ポリエチレン(C−4)と表2に記載のポリエチレン(D−2)の二成分を実施例1と同様の方法でブレンドすることによりポリエチレン樹脂用改質材(E−4)を製造した。
改質材のHLMFRは7.1g/10分であり、密度は0.939g/cmであった。
物性評価結果を表2に示した。
[比較例1]
次のようにしてポリエチレン(CA−1)とポリエチレン(CB−1)の製造を行ない、連続重合することにより、二段重合品であるポリエチレン(CC−1)を製造した。ポリエチレン(CC−1)のHLMFRは1.7g/10分であり、密度は0.932g/cmであった。
ポリエチレン(CA−1)の製造;
上記シリカ担持メタロセン触媒Aによるエチレン・1−ヘキセン共重合を行なうことにより、ポリエチレン(CA−1)を製造した。すなわち、1−ヘキセン/エチレンのモル比と水素/エチレンのモル比を調節した以外はポリエチレン(A−1)の製造と同様に実施した。この時得られたポリエチレン(CA−1)のHLMFRは0.25g/10分であり、密度は0.921g/cmであった。
ポリエチレン(CB−1)の製造;
1槽目にて製造されたポリエチレン(CA−1)を含むスラリーの一部分を連結管にて2槽目に導いた後、2槽目に脱水精製イソブタン、エチレン、水素を追加してポリエチレン(CB−1)を製造した。この時得られたポリエチレン(CB−1)のHLMFRは200g/10分であった。
ポリエチレン(CC−1)と表3に記載のポリエチレン(CD−1)の二成分を実施例1と同様の方法でブレンドすることによりポリエチレン樹脂用改質材(CE−1)を製造した。改質材のHLMFRは11.6g/10分であり、密度は0.947g/cmであった。物性評価結果を表3に示した。
[比較例2]
次のようにしてポリエチレン(CA−2)とポリエチレン(CB−2)の製造を行ない、連続重合することにより、二段重合品であるポリエチレン(CC−2)を製造した。ポリエチレン(CC−2)のHLMFRは3.1g/10分であり、密度は0.939g/cmであった。
ポリエチレン(CA−2)の製造;
上記シリカ担持メタロセン触媒Aによるエチレン・1−ヘキセン共重合を行なうことにより、ポリエチレン(CA−2)を製造した。すなわち、1−ヘキセン/エチレンのモル比と水素/エチレンのモル比を調節した以外はポリエチレン(A−1)の製造と同様に実施した。この時得られたポリエチレン(CA−2)のHLMFRは0.75g/10分であり、密度は0.925g/cmであった。
ポリエチレン(CB−2)の製造;
1槽目にて製造されたポリエチレン(CA−2)を含むスラリーの一部分を連結管にて2槽目に導いた後、2槽目に脱水精製イソブタン、エチレン、水素を追加してポリエチレン(CB−2)を製造した。この時得られたポリエチレン(CB−2)のHLMFRは1000g/10分であった。
ポリエチレン(CC−2)と表3に記載のポリエチレン(CD−2)の二成分を実施例1と同様の方法でブレンドすることによりポリエチレン樹脂用改質材(CE−2)を製造した。改質材のHLMFRは11.3g/10分であり、密度は0.948g/cmであった。物性評価結果を表3に示した。
[比較例3]
上記シリカ担持メタロセン触媒Aによるエチレン・1−ヘキセン共重合を行なうことにより、ポリエチレン(CA−3)を製造した。すなわち、重合液体充填ループ型反応器に、脱水精製イソブタン、トリイソブチルアルミニウム、上記(1)で得られたシリカ担持メタロセン触媒A、エチレン、1−ヘキセン、水素を連続的に供給し、70℃でエチレンを重合することによりポリエチレン(CA−3)の製造を実施した。この時得られたポリエチレン(CA−3)のHLMFRは0.77g/10分であり、密度は0.934g/cmであった。
ポリエチレン(CA−3)と表3に記載のポリエチレン(CD−1)の二成分を実施例1と同様の方法でブレンドすることによりポリエチレン樹脂用改質材(CE−3)を製造した。改質材のHLMFRは5.0g/10分であり、密度は0.950g/cmであった。物性評価結果を表3に示した。
[比較例4]
上記シリカ担持メタロセン触媒Aによるエチレン・1−ヘキセン共重合を行なうことにより、ポリエチレン(CA−4)を製造した。すなわち、1−ヘキセン/エチレンのモル比と水素/エチレンのモル比を調節した以外はポリエチレン(CA−3)の製造と同様に実施した。この時得られたポリエチレン(CA−4)のHLMFRは1.95g/10分であり、密度は0.925g/cmであった。
ポリエチレン(CA−4)と表3に記載のポリエチレン(CD−2)の二成分を実施例1と同様の方法でブレンドすることによりポリエチレン樹脂用改質材(CE−4)を製造した。改質材のHLMFRは7.1g/10分であり、密度は0.939g/cmであった。物性評価結果を表3に示した。
Figure 0006900922
Figure 0006900922
[実施例5]
実施例1で製造したポリエチレン樹脂用改質材(E−1)37.5質量%と、被改質材料であるポリエチレン樹脂(F−5)62.5質量%を、実施例1と同様の方法でブレンドすることにより、ポリエチレン樹脂組成物(G−5)を製造した。ポリエチレン樹脂組成物(G−5)のHLMFRは200g/10分であり、密度は0.963g/cmであった。物性評価結果を表4に示した。
[実施例6〜8]
実施例5と同様の方法で、表4に記載の成分をブレンドすることにより、ポリエチレン樹脂組成物(G−6)、(G−7)、(G−8)を製造した。物性評価結果を表4に示した。
[比較例5]
比較例1で製造したポリエチレン樹脂用改質材(CE−1)37.5質量%と、被改質材料であるポリエチレン樹脂(F−5)62.5質量%を、実施例1と同様の方法でブレンドすることにより、ポリエチレン樹脂組成物(CG−5)を製造した。ポリエチレン樹脂組成物(CG−5)のHLMFRは270g/10分であり、密度は0.962g/cmであった。物性評価結果を表5に示した。
[比較例6〜8]
比較例5と同様の方法で、表5に記載の成分をブレンドすることにより、ポリエチレン樹脂組成物(CG−6)、(CG−7)、(CG−8)を製造した。物性評価結果を表5に示した。
Figure 0006900922
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[実施例9]
前記実施例7と同様の方法で、MFRが3.6g/10分、HLMFRが240.4g/10分、密度が0.958g/cmのポリエチレン樹脂組成物(G−9)を得た。このポリエチレン樹脂(G−9)について、押出特性及びスパイラルフロー長さを評価した。その結果を表7に示した。
[比較例9]
従来技術の容器蓋部材として、特開2015−151181号公報に記載のチーグラー触媒を用いた二段重合方法により、ポリエチレン(CH−9)とポリエチレン(CI−9)の製造を行ない、二段重合品であるポリエチレン(CJ−9)を製造した。具体的には、以下のように行なった。
チーグラー触媒(Z−2)の合成;
マグネシウムエトキシド115gとトリn−ブトキシモノクロルチタン151gとn−ブタノール37gとを150℃で6時間混合して均一化した。次に60℃まで下げてn−ヘキサンを加え均一溶液とした。次いで所定温度にてエチルアルミニウムセスキクロライドを457g滴下し1時間攪拌した。生成した沈殿をn−ヘキサンで洗浄することによって触媒成分が210g得られた。得られた固体を乾燥し粉末とし、チーグラー触媒(Z−2)とした。
ポリエチレン(CH−9)の製造;
チーグラー触媒(Z−2)によるエチレン・1−ブテン共重合を行なうことにより、ポリエチレン(CH−9)を製造した。即ち、2つの重合液体充填反応器が直列に連結された二槽重合装置の1槽目に、n−ヘキサン、トリエチルアルミニウム、上記で得られたチーグラー触媒(Z−2)、エチレン、1−ブテン、水素を連続的に供給し、70℃でエチレンを重合することによりポリエチレン(CH−9)の製造を実施した。
ポリエチレン(CI−9)の製造;
1槽目にて製造されたポリエチレン(CH−9)を含むスラリーの全量を連結管にて2槽目に導いた後、2槽目にn−ヘキサン、エチレン、水素を追加して82℃でエチレンを重合することによりポリエチレン(CI−9)を製造し、二段重合品であるポリエチレン(CJ−9)を製造した。表6に、ポリエチレン(CJ−9)の物性評価結果を示した。
Figure 0006900922
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[評価]
表2に示した結果より、ポリエチレン樹脂用改質材(E−1)〜(E−4)は、何れもHLMFRが5g/10分以上であり、造粒適性に適していた。また、表4に示した結果より、ポリエチレン樹脂用改質材(E−1)〜(E−4)を被改質材料にブレンドしたポリエチレン樹脂組成物(G−5)〜(G−8)は、何れもHLMFRが200g/10分以上、密度が0.958g/cm以上、FNCTが100時間以上であり、流動性及び剛性が高く、耐久性が優れていた。加えて、ポリエチレン樹脂組成物(G−5)〜(G−8)のFNCTが100時間以上であったことから、ポリエチレン樹脂用改質材(E−1)〜(E−4)の耐久性改質性能は、良好であることを確認した。
一方、表3に示した結果から、ポリエチレン樹脂用改質材(CE−1)〜(CE−2)は、何れもHLMFRが5g/10分以上であり、造粒適性に適していた。しかし、表5に示した結果より、ポリエチレン樹脂用改質材(CE−1)〜(CE−2)を被改質材料にブレンドしたポリエチレン樹脂組成物(CG−5)〜(CG−6)は、何れもFNCTが100時間未満であり、低い耐久性を示した。これは、ポリエチレン(B)のHLMFRが高く、すなわち分子量が低かったために、十分な耐久性が確保できなかったと推測される。従って、ポリエチレン樹脂用改質材(CE−1)〜(CE−2)は、耐久性改質性能が不良であった。
また、ポリエチレン樹脂用改質材(CE−3)〜(CE−4)は、何れもHLMFRが5g/10分以上であり、造粒適性に適していた。しかし、表5に示した結果より、ポリエチレン樹脂用改質材(CE−3)〜(CE−4)を被改質材料にブレンドしたポリエチレン樹脂組成物(CG−7)〜(CG−8)は、何れもFNCTが100時間以下であり、低い耐久性を示した。これは、ポリエチレン樹脂用改質材(CE−3)〜(CE−4)に、単段重合品であるポリエチレン(A)のみを使用したため、十分な耐久性が確保できなかったと推測される。従って、ポリエチレン樹脂用改質材(CE−3)〜(CE−4)は、耐久性改質性能が不良であった。
表7の結果より、ポリエチレン樹脂組成物(G−9)は、チーグラー触媒による2段重合で製造したポリエチレン(CJ−9)と密度及びFNCTが同等であるが、ポリエチレン樹脂組成物(G−9)は、HLMFRが240.4g/10分であり、ポリエチレン(CJ−9)の100g/10分よりも著しく高い流動性を示していた。
ポリエチレン樹脂組成物(G−9)の150℃における押出トルクはポリエチレン(CJ−9)の170℃における押出トルクと同等であり、ポリエチレン樹脂組成物(G−9)の170℃における押出トルクはポリエチレン(CJ−9)の190℃における押出トルクと同等であり、ポリエチレン樹脂組成物(G−9)の190℃における押出トルクはポリエチレン(CJ−9)の210℃における押出トルクと同等であり、ポリエチレン樹脂組成物(G−9)は、ポリエチレン(CJ−9)よりも20℃程度低い温度において同等の押出トルクとなることが分かった。また、同様に、ポリエチレン樹脂組成物(G−9)の樹脂圧力は、ポリエチレン(CJ−9)よりも40℃低い温度で同等の樹脂圧力となっていた。
上記の押出特性の評価は、圧縮成形法による容器蓋部の製造において、金型内で圧縮成形されるペレット状の溶融樹脂の押出成形工程の条件と相関性が高い。表7の結果から、ポリエチレン樹脂組成物(G−9)はポリエチレン(CJ−9)よりも低い成形温度で成形負荷が同等となることから、ポリエチレン樹脂組成物(G−9)は、ポリエチレン(CJ−9)よりも成形温度を低下させることが可能であり、初期の樹脂温度を低下させることができるため、成形品の冷却・固化工程に要する時間を短縮化させることが可能となる。
また、表7の結果より、スパイラルフロー長さについて、ポリエチレン樹脂組成物(G−9)は、ポリエチレン(CJ−9)よりも20℃から40℃程度低い温度で同等となることが分かった。
スパイラルフロー長さは、射出成形法による容器蓋部の製造において、キャビティー内の溶融樹脂の流れ性と相関性が高い。ポリエチレン樹脂組成物(G−9)は、ポリエチレン(CJ−9)よりも低い成形温度において同等の流れ性を示しており、ポリエチレン(CJ−9)と同程度の成形を行う際に、より成形温度を低下させることが可能であることが分かる。その結果、初期の樹脂温度を低下させることができるため、成形品の冷却・固化工程に要する時間を短縮化させることが可能となる。
薄肉軽量化や意匠の多様化が進む容器蓋部の製造分野においては、狭い流路や複雑なキャビティー形状の金型を使用するため、ショートショットのような金型内充填不足現象、ポリマーの分子配向による製品内残留応力の発生や、それに伴うクラックの発生、製品寸法安定性の低下等の成形不良現象が問題となる。ポリエチレン材料は、成形温度の低下により粘度が増大し、それらの成形不良が発生し易くなるため、成形サイクルの短縮のために成形温度を低下させることは容易ではない。
このような状況の中で、ポリエチレン樹脂組成物(G−9)は、組成分布が狭いために機械強度に優れるポリエチレン(A−3)を含み、二段重合により組成分布が高度に制御されたポリエチレン(C−3)を用いて製造された改質剤(E−3)を使用しているため、優れた流動性と共に、高い剛性及び耐久性を有している。表7の結果からも分かるように、ポリエチレン樹脂組成物(G−9)は、ポリエチレン(CJ−9)と比較して、同等の剛性と耐久性を有しながらも、流動性が著しく良好であり、成形温度を低下させても流動性が十分であるため、成形サイクル短縮化が達成可能なポリエチレン樹脂組成物であることが分かる。
本発明のポリエチレン樹脂用改質材は、改質材そのものの流動性が良好であるため、改質材自身の造粒適性に優れるという効果がある。また、改質材そのものの粘度が低いために、被改質材料にブレンドした際に、比較的少量の添加でも改質材を高度に分散することが可能であり、被改質材料とブレンドした後の粘度を高くすることがなく、高度な流動性を維持するため、成形性に優れ、更に剛性、耐久性及び衝撃強度等の機械物性に優れるブレンド組成物を提供することができるポリエチレン樹脂用改質材であるという効果がある。
従って、本発明のポリエチレン樹脂用改質材、それを用いたポリエチレン樹脂組成物、及び成形体は、物性及び成形性が優れた成形体を得ることができるため、高度な物性及び成形性が要求される分野での用途等に好適に使用できるため、産業上大いに有用である。

Claims (5)

  1. 下記の特性(I)〜(IV)を満足するポリエチレン(C)10〜90質量%と、下記の特性(i)〜(ii)を満足するポリエチレン(D)10〜90質量%とを含有し、下記の特性(1)〜(2)を満足するポリエチレン樹脂用改質材。
    特性(I):下記のポリエチレン(A)及びポリエチレン(B)を含む。
    ポリエチレン(A):密度(A)が、0.900〜0.950g/cmであり、ハイロードメルトフローレート(HLMFR(A)、JIS K7210、温度190℃、荷重21.60kg)が、0.1〜10g/10分である。
    ポリエチレン(B):密度(B)が、0.900〜0.970g/cmであり、ハイロードメルトフローレート(HLMFR(B)、JIS K7210、温度190℃、荷重21.60kg)が、0.5〜100g/10分である。
    特性(II):密度(C)が、0.900〜0.968g/cmである。
    特性(III):ハイロードメルトフローレート(HLMFR(C)、JIS K7210、温度190℃、荷重21.60kg)が、0.14〜70g/10分である。
    特性(IV):HLMFR(A)に対するHLMFR(B)の割合(HLMFR(B)/HLMFR(A))が、1.5〜1000である。
    特性(i):密度(D)が、0.900〜0.975g/cmである。
    特性(ii):メルトフローレート(MFR(D)、JIS K7210、温度190℃、荷重2.16kg)が、0.05〜1000g/10分である。
    特性(1):HLMFRが5〜30g/10分以下である。
    特性(2):密度が0.930〜0.955g/cm以下である。
  2. 前記ポリエチレン(C)が下記の特性(V)を満足することを特徴とする請求項1に記載のポリエチレン樹脂用改質材。
    特性(V):ポリエチレン(A)とポリエチレン(B)との合計を基準として、ポリエチレン(B)の含有質量比(X(B))に対するポリエチレン(A)の含有質量比(X(A))の割合(X(A)/X(B))が、0.11〜4である。
  3. 前記ポリエチレン(A)のゲルパーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)で測定される重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)が、2以上5未満であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリエチレン樹脂用改質材。
  4. 下記特性(f1)〜(f2)を満足するポリエチレン樹脂(F)90〜40質量%と、前記請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリエチレン樹脂用改質材10〜60質量%とを含む、ポリエチレン樹脂組成物。
    特性(f1):密度(F)が、0.900〜0.975g/cmである。
    特性(f2):メルトフローレート(MFR(F)、JIS K7210、温度190℃、荷重2.16kg)が、0.05〜1000g/10分である。
  5. 請求項4に記載のポリエチレン樹脂組成物で構成される成形体。
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