JP3419197B2 - 像担持体及び画像形成装置 - Google Patents

像担持体及び画像形成装置

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JP3419197B2
JP3419197B2 JP10859796A JP10859796A JP3419197B2 JP 3419197 B2 JP3419197 B2 JP 3419197B2 JP 10859796 A JP10859796 A JP 10859796A JP 10859796 A JP10859796 A JP 10859796A JP 3419197 B2 JP3419197 B2 JP 3419197B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真方式を利
用した複写機、プリンター等の画像形成装置に係り、特
に導電性の円筒状基体の周面に像担持層を備え、像光が
照射されることによって表面に静電潜像が形成される像
担持体を用いた画像形成装置に関する。 【0002】 【従来の技術】一般に、電子写真方式の複写機、プリン
ター等で用いられる像担持体は、図8に示すように、中
空円筒状の導電性基体101の周面に感光層を備えてお
り、該基体101の一端にフランジ102aが取り付け
られている。また、基体101の他端に駆動用ギア10
4が一体となったフランジ102bが取り付けられ、こ
れに支持軸103が固定されている。このような像担持
体は、寸法精度や表面の平滑性に優れた円筒形状である
ことが要求されるため、従来より種々の製造方法が提案
されており、例えば次のような加工が施された管体を用
いるものがある。アルミニウム又はその合金をインゴ
ットからビレットにし、熱間押出しによって得られる押
出し管、押出し管を常温で引き抜いた引き抜き管、
棒状ビレットから冷間衝撃押出しをした後、しごき加工
を施したインパクトアイオニング管(以降II管と称す
る)、金属条又は金属板より形成された打ち抜き及び
深絞り管(以降DI管と称する)。 【0003】これらの管を実際に感光体用基体101と
するには、さらに従来より次に示す加工が施される。 1)押出し管又は引き抜き管の両端部及び外周面を切削
し、そのまま基体とするか、或いは引き抜き管を焼鈍し
た後、更に引き抜いて基体とする(特開昭64−475
3号公報等)。 2)押出し管の外周を切削し、更にしごき加工を施して
基体とするか、或いは衝撃押し出し加工により基体とす
る(特開昭59−90877号公報)。 3)深絞り加工により得られたDI管を切削して基体と
する(特開昭59−107357号公報)。 4)高周波溶接によって形成された電縫管又は加工電縫
管にロール矯正を施すか、又は研削・切削・研磨加工を
施し、更に電界研磨又は陽極酸化を施すことにより基体
とする(特開平1−315781号公報)。 5)電縫管にしごき加工を施し、研削・切削・研磨等の
加工を行って基体とする(特開平5−27467号公
報)。 【0004】上記基体の周面に感光層を形成した像担持
体は、基体端部にフランジを結合し、このフランジを介
して軸線回りに回転可能に支持されるが、従来、フラン
ジは、基体端部の内周部とフランジの外周部とを嵌め合
わせて結合している。このフランジの結合方法として
は、例えばエポキシ系樹脂・ポリウレタン系樹脂・アク
リル系樹脂等の一液性もしくは二液性の接着剤を使用す
る結合、機械的な圧入後のしまりばめ嵌合等、弾性・塑
性変形を利用した摩擦結合、或いはステーとワッシャ・
ナットを用いた挟み込みによる機械的結合等が採用され
ている。特に近年、利用が増大してきている低コストの
小型像担持体では、そのコスト低減の目的でフランジを
基体に接着する方法が主流となっている。 【0005】このようにフランジを介して支持された導
電性基体は、外周面が振れることなく円滑に回転駆動さ
れる必要がある。そのために、基体は、内径をデータム
とした外径との同軸度、外径の真円度、円筒度等で非常
に精度の高いものとし、全振れを低減することが要求さ
れる。さらに、感光層が形成される外周面は緻密な表面
粗さが要求される。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】このような像担持体の
振れの要因は、基体とフランジに関して下記の表1に示
す各要素に分解することができ、これらの各要素がそれ
ぞれ複雑に絡み合ってフランジ付き像担持体の振れが生
じる。 【表1】【0007】上記像担持体の振れの向上を試みると、表
1に示すように部品の加工工程が増加し、更に表には記
載していないが検査工程及び検査頻度の増加によりコス
トが上昇することになる。逆にコストを抑えようとする
と、これまでに記載した加工手段のいずれかを省くこと
になり、省かない場合と比較して全振れの程度は悪化
し、結果的に良好な画質を得ることができない。また、
同軸度に関しては、前述のように基体端部の内周部にフ
ランジ外周部を嵌合させているため、精度の向上には限
界があり、十分満足のいくものは得られない。特に、電
縫管のように溶接された管の場合は、内周部を未処理の
ままフランジを嵌合することができず、また溶接部分が
非溶接部分と組織的に異なるため、基体内周部の加工度
を上げることが困難である。このため、フランジを取り
付ける際の寸法精度が十分に得られない。 【0008】また、表1(6)に示すようにフランジ付
き像担持体では、振れを抑えるために接触剤の有無に関
わらず、締まり嵌めになるように嵌合部のフランジ外径
及び基体内径を公差中心に設定することが一般的であ
る。このため、一度フランジ加工を行うと、締まり嵌め
によりフランジ及び基体は共に変形してしまい、繰り返
し使用が困難となる。特に、近年においては社会的に強
く望まれている使用済み部品の再利用の観点からもこの
ようなフランジ付き像担持体は好ましくない。 【0009】また、これらの像担持体を複写機、プリン
ター等の画像形成装置に装着し、使用後に寿命となった
ものを回収しても、基体に傷をつけずに感光層を剥離す
ることが困難であるという問題もある。すなわち、一般
的には、基体を酸・アルカリ等に浸して感光層を剥離す
るが、基体の材料として一般的なアルミニウム又はその
合金が用いられる場合は、酸・アルカリに弱いために再
度の化学的研磨が困難である。 【0010】他方、帯電用部材を被帯電体である像担持
体に当接させて帯電を行う接触帯電方式が広く実用化さ
れている。この帯電方式は、直流電圧又は直流と交流と
の重畳電圧を印加した帯電用部材を像担持体に所定の圧
力で当接し、像担持体を所定の電位に帯電させるもので
ある。ところが、この接触帯電方式を採用した画像形成
装置では、帯電用部材と像担持体とが接触していること
により、両者間に形成される振動電界がこれらを振動さ
せ、その結果、振動音が発生し易くなるという問題があ
る。また、像担持体のクリーニング工程においても、ブ
レードが像担持体と当接して摺動する際に、ブレードの
材質や使用条件によって振動音が発生するという問題が
ある。これらの振動音の発生は、基体が薄肉になるほど
大きくなる傾向があり、例えばアルミニウム又はその合
金等、剛性が低い金属ほどこの傾向が顕著になる。 【0011】このような振動音の発生を防止するのため
の手段として、従来より、像担持体の内部に金属材料、
粘性材料、又はそれらの複合材料で形成された充填物を
充填する方法が採用されている。また、充填物を用いな
い場合には、基体の剛性を上げるために基体を厚くする
方法がある。しかし、いずれの方法においても、重量が
増大し、画像形成装置の駆動系の負担が大きくなるとと
もに、装置全体のコスト上昇を避けることができない。 【0012】本発明は、このような従来技術における種
々の問題点を解消するためになされたものであり、以下
のことを目的としている。すなわち、本発明は、フラン
ジを使用せずに像担持体を駆動することを可能とし、全
振れを改善するとともに、振動音の発生を防止できる画
像形成装置を提供することを目的とする。また本発明の
他の目的は、寸法精度に優れた像担持体を実現し、全振
れを改善するとともに、接触帯電方式やクリーニングブ
レードの使用に際して振動音が発生しない画像形成装置
を提供することである。さらに、感光層の劣化により使
用できなくなった像担持体の再利用を可能とすることを
目的とするものである。 【0013】 【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めに、請求項1に記載の発明は、 導電性の円筒状基体
の周面に像担持層を有する像担持体と、 この像担持体
の周面に静電電位の差による潜像を形成する像書き込み
装置と、 前記潜像に現像剤を選択的に転移して可視像
を形成する現像装置と、 前記像担持体上に形成された
可視像を転写材上に転写する転写装置とを有する画像形
成装置において、 前記円筒状基体は、外周面の両端部
に当接された支持部材によって、軸線回りに回転可能に
支持され、 少なくとも端部に円筒状部分と連続一体に
形成された断面縮小部を有し、該断面縮小部は、 円筒
状金属管の端部にプレス加工又は絞り加工を施すことに
よって形成されたものであり、 該像担持体を軸線回り
に回転させる駆動部材と接続するための嵌合部を有する
ものとする。 【0014】上記発明において、円筒状基体は、上記問
題点であるブレード等による振動音を抑えるために、表
面形状誤差の真直度及び真円度が0.08〜0.002
mm、表面粗度のRmaxが3.0〜0.2μmの範囲
であることが望ましい。さらに、本発明の目的である再
利用可能な像担持体を実現するために、円筒状基体の材
質は鉄合金、黄銅などが望ましく、特に鉄合金中ではス
テンレス鋼が良い。また、上記円筒状基体は、金属条、
金属板を溶加棒を用いずに被溶接金属を溶接することが
望ましく、特にTIG溶接によって円筒状にすることが
好ましい。 【0015】上記のような構成を備えることにより、本
発明は次のように作用する。本発明に係る画像形成装置
では、像担持体が、円筒状基体の端部に該円筒状部分と
連続一体に形成された断面縮小部を有しているので、従
来のようなフランジを用いずに像担持体を形成すること
ができ、さらに外周面と当接された支持部材によって軸
線回りに回転可能に支持されているので、外周面を精度
よく形成することによって振れを生じることなく、円滑
に回転駆動させることが可能となる。また、上記断面縮
小部に、像担持体を軸線回りに回転させる駆動部材と接
続するための嵌合部を形成することにより、駆動部材を
円筒状基体に直接接合することができ、駆動系の動力で
直接像担持体を回転させることができる。このため、良
好な画質を得ることが可能となる。 【0016】上記断面縮小部は、円筒状金属管の端部に
プレス加工又は絞り加工を施すことによって形成するこ
とが可能である。また、円筒状基体と駆動部材との接合
は、例えば断面縮小部を駆動部材と嵌合させることによ
り可能となる。このように駆動部材を直接円筒状基体に
接合することによって、ギア、チェーン、プーリーなど
の部品点数を減らすことができ、これにより駆動伝達部
分の機械的精度や製造上の精度を問題とする必要がなく
なる。したがって、コスト上昇を抑えることができる。 【0017】また、フランジを用いることによる中心の
ずれ等がなくなり、円筒状基体の真直度、真円度を向上
し、表面粗度を比較的小さくすることができる。これに
より、像担持体に帯電用部材やクリーニングブレードが
当接しても、回転時の振動が低減され、振動音の発生を
防止することができる。さらに、像担持体の振れによっ
て機械的設定が振れることがなくなり、装置全体の維持
・管理性を向上することができる。 【0018】さらに、フランジを用いることなく円筒状
基体は駆動部材との接合部と一体となった単一部材とす
ることができ、感光層の寿命等による回収後に像担持体
の再利用が容易となる。このとき、像担持体の再利用を
図るためには、使用済みの感光層を完全に除去する必要
がある。したがって、円筒状基体の材料がアルミニウム
等であると、化学的に活性であるため除去処理が不可能
であるが、化学的に安定であるステンレス鋼等を用いる
ことによって、像担持体の再利用が可能となる。 【0019】なお、上記円筒状基体は、金属条又は金属
板を丸めて接合部を溶接することによって形成するが、
その部分は非溶極式溶接のほうが良く、特にTIG溶接
が好ましい。非溶極式溶接法は、接合部両端の被溶接金
属を溶かして一体化することができる。この方法におい
ては、被溶接金属と異なる溶加棒を用いることがないた
め、被溶接部分と溶接部分の組成が変わらないため組織
的にも同等であり、後工程において切削、機械的研磨、
化学的研磨と同一の処理が可能となり、表面形状誤差等
を小さくすることができる。また、TIG溶接ではこれ
に加えて不活性ガスを溶融金属表面に吹き付け、覆うこ
とから金属の酸化を防止し、酸化物の生成、混入を防止
でき、金属組成を均一に維持することができるため、基
体の再利用が容易となる。 【0020】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図に
基づいて説明する。図1は、請求項1に記載の発明の一
実施形態である画像形成装置を示す概略構成図である。
この画像形成装置は、帯電及び像光の照射により表面に
静電潜像が形成される像担持体1を備えており、この像
担持体1の周囲に、像担持体1の表面を一様に帯電する
帯電装置2と、帯電後の像担持体1の表面に像光を照射
して静電潜像を形成する像書き込み装置3と、像担持体
上の静電潜像をトナーの付着により可視化する現像装置
4と、用紙を一枚づつ像担持体1との対向位置に送り込
む搬送ロール6と、像担持体に形成されたトナー像を用
紙上に転写する転写装置7と、転写後の像担持体1上に
残留するトナーを除去するクリーニング装置8と、用紙
上のトナー像を加熱・加圧により定着させる定着装置9
とを備えている。 【0021】上記帯電装置2は、像担持体1と接触する
ように支持された導電性ローラであり、直流電圧が印加
させることにより像担持体1の表面を一様に帯電させる
ことができるものである。上記現像装置4は、像担持体
1と対向する位置で軸線回りに回転駆動される現像ロー
ラ5を有しており、現像ローラ5の表面に担持された現
像剤を像担持体1と対向する位置へ搬送するようになっ
ている。現像ローラ5には直流と交流との重畳電圧が印
加され、像担持体との間に形成される電界によりマイナ
スの電荷を有するトナーが像担持体の露光部に転移され
るようになっている。 【0022】上記像担持体1は、図2に示すように、そ
の両端部において2つの支持ロール11a,11bと1
対のトラッキングロール12によって支持されている。
すなわち、両端部を支持ベアリング15にて支持された
現像ロール5と同軸上に設けられたトラッキングロール
12を像担持体1の両端付近に当接させ、さらに2つの
支持ロール11a,11bを像担持体1の両端付近に当
接させ、これらによって像担持体1が支持されている。
また、像担持体1の端部には、図3に示すように円筒状
部分と連続一体に形成された断面縮小部1aを有してお
り、図4に示すように断面縮小部1aに駆動部材13の
凹状部13aが嵌合されるようになっている。これによ
り像担持体1と駆動部材13とが接合され、駆動部材1
3から回転駆動力が伝達されることによって像担持体1
が回転するようになっている。 【0023】このような画像形成装置では、像担持体1
が図1中に示す矢印Aの方向に回転駆動され、帯電装置
2により像担持体1の表面が帯電される。次いで、像書
き込み装置3から像担持体1に像光が照射され、像担持
体1の表面に静電潜像が形成される。この静電潜像は像
担持体1の回転により現像装置4との対向位置に到達
し、像担持体1と現像ローラ5との間に形成された現像
電界により、像担持体1の表面電位極性と同じ極性電荷
を持つトナーが像担持体1の露光部に選択的に転移して
静電潜像が可視化される。現像されたトナー像は、搬送
ロール6によって搬送される用紙と当接され、転写装置
7の作用により転写される。一方、転写後に像担持体1
上に残留するトナーは、クリーニング装置8により除去
される。 【0024】上記のような画像形成装置において、像担
持体1は、フランジを用いることなく円筒状の基体が駆
動部材13と直接接合されており、ギア等を用いること
なく駆動力が伝達されるようになっているので、ギア等
の駆動力伝達部分やフランジの機械的精度を問題とする
必要がなくなり、誤差を生じる要因を減らすことができ
る。また、像担持体は外周面に当接されたトラッキング
ロール12と二つの支持ロール11a,11bとによっ
て支持されているので、円筒面の真円度・真直度等を精
度よく仕上げることによって像担持体1の回転に振れ等
の発生が防止され、良好な画質を得ることができる。ま
た、像担持体1にクリーニングブレード8aや帯電ロー
ルが当接しても、振れ等による振動が低減され、振動音
の発生を防止することができる。 【0025】次に上記画像形成装置において用いられる
像担持体1の作製方法について説明する。図5及び図6
は、プレス加工による像担持体1の製造方法を示す概略
図である。図5(a)に示すように、円筒状基体に加工
する前の金属管21は、パイプホルダー22にセットさ
れている。この金属管21の内側には、プレス加工時の
パンチによる変形を防止するためのマンドレル25が挿
入され、このマンドレル25に金属管21を所望の寸法
にするダイ24が取り付けられる。このダイ24と金属
管21を介して対峙する位置に該金属管21をプレスす
るためのパンチ23が配設される。 【0026】このような金属管21は、図5(b)に示
すように、パンチ23によって端部付近がプレス加工さ
れる。プレス加工の完了後に、図6(a)に示すように
パンチ23及びダイ24が解放され、金属管21の端部
はパンチおよびダイの形状に従って成型された状態とな
っている。そして、図6(b)に示すように、マンドレ
ル25が引き抜かれ、図3に示すような所望の形状の円
筒状基体が形成される。その後、円筒状基体の周面に感
光層が塗布され、所望の像担持体1が得られる。 【0027】図7は、請求項1に記載の発明の画像形成
装置で用いることができる像担持体の他の例を示す概略
構成図である。この像担持体31は、円筒状の金属管の
端部付近にプレス加工を施し、半円状の断面縮小部31
aを形成したものである。また、この像担持体の断面縮
小部31aの寸法に合わせて駆動部材の凹状部が形成さ
れ、断面縮小部31aとこの凹状部とが嵌合されるよう
になっている。このような像担持体31でも、図3に示
す像担持体と同様に駆動部材が直接接合され、上記と同
様に振れ等の発生を防止することができる。また、像担
持体31に当接されるクリーニングブレードや帯電装置
の使用に際しても振動が低減され、振動音の発生を防止
することができる。 【0028】 【実施例】以下、本発明に係る画像形成装置で用いられ
る像担持体の構成および加工方法を、さらに具体的な実
施例に基づいて説明する。 [第1の実施例] 本実施例の像担持体は、SUS304の円筒状管体を作
成し、これに伸管処理・矯正・切断・端部のプレス加工
を施した円筒状基体を用いるものである。そして、この
円筒状基体の周面に、下引き層・電荷発生層・電荷輸送
層が積層して形成されている。 【0029】この像担持体を作製する工程の詳細は次の
通りである。幅が65mm、厚さが0.45mmのSU
S304の条材を準備する。条材には製造上、スリッタ
ーによるバリが発生するので、本実施例では、外径部分
の出っ張りの発生を避けるために、バリ側を内径側にな
るようにセットして加工装置により管形状に変形する。
次いで、溶接の直前にシムをかませ、一定のギャップを
保った状態でアルゴンガス中にてタングステン電極と被
溶接部材との間にアークを発生させ、被溶接部材を溶融
させて溶接を施す。このようにして作製した管は、外形
がΦ21mm、肉厚はもとの板材の厚さの0.45mm
となる。次いで、作製された管の伸管処理を行う。グリ
スとしてはポリブテン(HV−15、日本石油社製)を
使用する。また、ダイス及びプラグとしては、管との摺
動部分にTiNをイオンプレーティングした超鋼材を使
用する。これにより、2m/分の造管速度で直径Φ1
9.8mm、肉厚0.4mmの傷の殆どない管が作製さ
れる。さらに、矯正装置により、潤滑剤として白灯油を
用いて矯正する。管はその後、最終製品の長さに切断
し、図5に示すプレス装置を用いて端部付近を前記断面
縮小部の形状にプレス加工することにより、駆動部材と
の嵌合部を形成する。 【0030】上記のようにして作製させた管の寸法精度
と表面粗度を調べた結果を表2に示す。 【表2】 【0031】上記の管を円筒状基体として用い、その上
に、8ナイロン樹脂(ラッカマイド、大日本インキ社
製)のメタノール・ブタノール混合溶液を浸漬塗布法に
よって塗布し、膜厚1.0μmの下引き層を形成する。 【0032】次に、円筒状基体の下引き層の上に形成さ
れる電荷発生層及び電荷輸送層(感光層)の作製方法に
ついて説明する。まず、ポリビニルブチラール樹脂(B
M−1、積水化学社製)1部(以下、「部」は重量部を
意味する)をシクロヘキサノン19部に溶解し、得られ
た溶液に、ジブロムアントアントロン顔料(C.I.ピ
グメントレッド168)8部及びトリフルオロ酢酸0.
02部を添加する。次いで、直径1mmのガラスビーズ
を分散媒として使用し、サンドミルによって分散処理を
行う。得られた分散液にシクロヘキサノンを加えて、固
形分濃度が約10%の塗布液を作製する。この塗布液
を、上記のような下引き層の上に、リング塗布機によっ
て塗布し、100℃で10分間加熱乾燥して、膜厚0.
8μmの電荷発生層を形成する。 【0033】次に、N,N−ジフェニル−N,N−ビス
(3−メチルフェニル)ベンジジン4部及びポリカーボ
ネート樹脂6部を、モノクロロベンゼン36部に溶解す
る。得られた溶液を、上記電荷発生層の上に浸漬塗布法
によって塗布し、150℃で60分間乾燥して、膜厚1
8μmの電荷輸送層を形成する。 【0034】上記のようにして製造されたOPC(有機
感光体)ドラムを像担持体として複写機に装着し、画像
評価を行ったところ、良好な画像が得られることが確認
された。また、この像担持体と現像ロールとの距離を、
像担持体の周方向に8ケ所、軸方向に3ケ所測定したと
ころ、平均=0.195mmであり、σ=0.012で
あった。さらにこの複写機によって4000枚の複写試
験を行い、その後の像担持体の状態を調査したところ、
電荷輸送層は16μmに摩耗し、帯電性が悪化していた
が、像担持体の他の損傷は確認されなかった。 【0035】この使用済み像担持体を取りはずして、容
器に入れたモノクロロベンゼン中に浸漬し、上下に揺動
して電荷輸送層を溶解させる。一槽目で粗洗浄し、次の
容器で再度モノクロロベンゼン中に浸漬し、電荷輸送層
を完全に溶解させる。これを取り出して表面を乾燥した
後、電荷発生層表面にムラがないことを確認し、その後
再び電荷輸送層を塗布により形成する。以上のようにし
て再生したOPCドラムは新たな製品と同様に使用する
ことができ、良好な画像が得られることが確認された。
従って、上記像担持体は容易に再利用が可能である。 【0036】[第2の実施例] 本実施例の像担持体は、第1の実施例と同じ円筒状基体
及び電荷輸送層を有するものであるが、下引き層及び電
荷発生層の構成が異なるものである。この像担持体を作
製する工程の詳細は次の通りである。上記実施例1と同
じ方法で、まず円筒状基体を作製する。その後、トリブ
トキシジルコニウムアセチルアセトネート(ZC54
0、松本交商社製)の50%トルエン溶液100部、γ
−アミノプロピルトリエトキシシラン(A1199、日
本ユニカー社製)10部及びn−ブタノール130部を
混合した溶液に、粒径0.09μmの超微粒子酸化チタ
ン(STT30D、チタン工業社製)30部をサンドミ
ルで分散する。この分散液を、上記円筒状基体の表面に
リング塗布機により塗布し、140℃で10分間加熱し
て、ジルコニウム化合物とシラン化合物とが反応して形
成された無機硬化膜よりなる膜厚2.0μmの硬化下引
き層を作製する。 【0037】次いで、ポリビニルブチラール樹脂(BM
−S、積水化学社製)の2%シクロヘキサノン溶液に、
ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料(特開平5−2
63007号公報参照)をPB比2:1となるように混
合し、サンドミルにて3時間の分散を行う。得られた分
散液を酢酸n−ブチルで更に希釈して下引き層の上に塗
布し、100℃で10分間加熱して、膜厚0.05μm
の電荷発生層を形成する。その上に実施例1と同様にし
て電荷輸送層を形成し、OPCドラムを作製する。この
OPCドラムを像担持体として、接触式帯電装置を使用
しているレーザープリンターに装着して画像評価を行っ
たところ、良好な画像が得られることが確認された。 【0038】また、振動電界による振動音についての評
価も行った。評価を行ったレーザープリンターは、帯電
装置に印加する電圧を手動でOn/Offできるように
改造したものであり、評価は、レーザープリンターより
手前に30cm、上方に40cmの位置に音圧測定計を
設置して行った。評価した周波数は、電源周波数の2倍
の周波数であり、その評価結果を表3に示す。 【表3】 表に示すように、帯電装置に電圧を印加しても振動音の
発生は殆どなく、像担持体等の振動が低減されることが
確認された。 【0039】[第3の実施例] 本実施例の像担持体は、第1の実施例1で用いた円筒状
基体に、センターレス研磨機によって研削加工又は機械
的研磨加工を施したものである。研削油としては白灯油
を用いる。また、砥石としてはCBM砥粒を用いて、送
り速度=5m/分の条件でイン・フィード加工を施す。
以上のようにして作製された管の寸法精度と表面粗度を
調べた結果を表4に示す。 【表4】 【0040】以上のようにして得られた管を円筒状基体
とし、その上に実施例1と同じ方法で下引き層、電荷発
生層、及び電荷輸送層を形成する。このようにして得ら
れた像担持体を複写機に装着して画像評価を行ったとこ
ろ、良好な画像が得られることが確認された。 【0041】[第4の実施例] 本実施例の像担持体は、第1の実施例で用いた円筒状基
体にブラスト加工を施して使用するもので、ここで用い
る加工方法は、圧縮空気を圧送する乾式エアー加速式の
ブラスト加工である。投射材としては、平均粒径0.3
2mmのスチールグリット(Hc64)を用い、3kg
/cm2 の圧力をかけることによって、5kg/min
の投射量を得ることができる。このようにして作製され
た管の寸法精度と表面粗度を調べた結果を表5に示す。 【表5】 【0042】上記のようにして得られた円筒状基体の上
に、実施例2と同様にして下引き層、電荷発生層、及び
電荷輸送層を形成する。このような像担持体をレーザー
プリンターに装着して画像評価を行ったところ、良好な
画像が得られることが確認された。 【0043】[第5の実施例] 本実施例の像担持体は、第1の実施例で用いた円筒状基
体にホーニング加工を施して使用するものである。ホー
ニング加工は次のようにして行う。管を回転チャックに
チャックし、チャックを1000rpmで回転させ、研
磨材としてアルミナ粒状微粉の水懸濁液をホーニングガ
ンに導入し、3kg/cm2 のエアと同時に噴射する。
このとき、回転チャックの回転とホーニングガンの上下
送りを同期させる。以上のようにして作製された管の寸
法精度及び表面粗度を調べた結果を表6に示す。 【表6】 【0044】上記のようにして得られた管を円筒状基体
とし、その上に実施例2と同様に下引き層、電荷発生
層、及び電荷輸送層を形成する。このようして形成され
た像担持体をレーザープリンターに装着して画像評価を
行ったところ、良好な画像が得られることが確認され
た。 【0045】[第6の実施例] 本実施例の像担持体は、実施例1で用いた円筒状基体に
電解研磨を施して使用するものである。基体の表面を浸
す液体と接触させて表面を侵食する電解研磨によって、
所要の表面性状と表面粗度を得ることができる。この電
解研磨の技術はすでに公知の技術であるため、詳細な説
明は省略する。電解液としては、燐酸とクロム酸の混合
液(燐酸1000mlに対して300gのクロム酸)を
準備し、130℃に加熱する。この電解液中に被加工物
を数秒間浸漬する。上記のようにして作製された管の寸
法精度と表面粗度を調べた結果を表7に示す。 【表7】 【0046】上記のようにして得られた管を円筒状基体
とし、その上に実施例1と同様にして下引き層、電荷発
生層、及び電荷輸送層を形成し、像担持体を作製する。
このような像担持体を複写機に装着して画像評価を行っ
たところ、良好な画像が得られることが確認された。 【0047】[第7の実施例] 本実施例の像担持体は、第1の実施例で用いた円筒状基
体に、第3の実施例と同様に研磨加工を行い、さらに高
周波電流による焼鈍を施して使用するものである。焼鈍
条件として、高周波電流を流す輪の中に管を1.5m/
分の速度で通し、1050〜1100℃に加熱した後、
徐冷する。以上のようにして作製された管の寸法精度と
表面粗度を調べた結果を表8に示す。なお、参考までに
伸管後、焼鈍前後の硬度を表9に示す。測定した部位は
溶接部の隣接部である。 【表8】 【0048】 【表9】 【0049】上記条件によって焼鈍した管と焼鈍前の管
の2種類を用意する。それぞれをホーニング装置の回転
チャックにチャックして1000rpmで回転させ、水
と研磨材(アルミナ粒状微粉)の懸濁液をホーニングガ
ンに導入し、2kg/cm2のエアと同時に噴射する。
このとき、回転チャックの回転とホーニングガンの上下
送りを同期させる。以上のようにして得られた管の表面
粗度を測定した結果を表10に示す。また、得られた管
を円筒状基体とし、その上に実施例2と同様にして下引
き層、電荷発生層、及び電荷輸送層を形成し、得られた
像担持体をレーザープリンターに装着して画像評価を行
った結果も併せて表10に示す。 【0050】 【表10】 この表より、高周波焼鈍を施した円像状基体のほうが良
好な画像が得られることが確認された。 【0051】以上の実施例により、像担持体の円筒状基
体は、表面形状誤差の真直度及び真円度が0.08〜
0.002mm、表面粗度のRmaxが3.0〜0.2
μmの範囲であることが望ましいことが確認された。 【0052】 【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る像担
持体では、円筒状基体の端部にフランジを用いることな
く、円筒部と一体に加工された断面縮小部を有してお
り、外周部に当接されたロールで支持されるため、回転
時の振れが改善され、良好な画像を形成することができ
る。また、クリーニングブレードや接触式の帯電部材等
を使用した場合においても、振動音の発生を防止でき
る。また、基体の材料を適切に選択することにより像担
持体を再生して再利用することも容易となる。
【図面の簡単な説明】 【図1】請求項1に記載の発明の一実施形態である画像
形成装置を示す概略構成図である。 【図2】図1に示す画像形成装置における像担持体の支
持機構及び駆動機構を示す概略図である。 【図3】図1に示す画像形成装置で用いられる像担持体
の側面図、正面図、平面図及び断面図である。 【図4】図3に示す像担持体とこれを駆動する部材との
接続構造を示す概略斜視図である。 【図5】図3に示す像担持体の製造方法を示す概略図で
ある。 【図6】図3に示す像担持体の製造方法を示す概略図で
ある。 【図7】図1に示す画像形成装置で用いることができる
像担持体の他の例を示す側面図、正面図、平面図及び断
面図である。 【図8】従来の像担持体を示す概略構成図である。 【符号の説明】 1 像担持体 2 帯電装置 3 像書き込み装置 4 現像装置 5 現像ロール 6 搬送ロール 7 転写装置 8 クリーニング装置 9 定着装置 10 クリーニングブレード 11 支持ロール 12 トラッキングロール 13 駆動部材 21 像担持体の円筒状基体に加工する前の金属管 22 パイプホルダー 23 パンチ 24 ダイ 25 マンドレル
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−27467(JP,A) 特開 平7−234609(JP,A) 特開 平4−130389(JP,A) 特開 昭60−239763(JP,A) 実開 昭59−164069(JP,U) 実開 昭59−94360(JP,U) 実開 昭62−58460(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 21/00 350 F16C 13/00

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】【請求項1】 導電性の円筒状基体の周面に像担持層
    を有する像担持体と、 この像担持体の周面に静電電位の差による潜像を形成す
    る像書き込み装置と、 前記潜像に現像剤を選択的に転移して可視像を形成する
    現像装置と、 前記像担持体上に形成された可視像を転写材上に転写す
    る転写装置とを有する画像形成装置において、 前記円筒状基体は、 外周面の両端部に当接された支持部材によって、軸線回
    りに回転可能に支持され、 少なくとも端部に円筒状部分と連続一体に形成された断
    面縮小部を有し、 該断面縮小部は、 円筒状金属管の端部にプレス加工又は絞り加工を施すこ
    とによって形成されたものであり、 該像担持体を軸線回りに回転させる駆動部材と接続する
    ための嵌合部を有することを特徴とする画像形成装置。
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