JP3416203B2 - サーマルプリンタによる印刷方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は像担持媒体上に目立たな
いマークを形成する方法及び装置、特に媒体上のマーキ
ング領域の鏡面性を熱的に変化させる抵抗素子サーマル
プリントヘッドを用いて、視認者が観察可能なマークを
形成するシステムに関する。

【０００２】

【従来の技術】比較的光沢性をもつプリント媒体上に高
品質な黒白及びマルチカラー像を確認マーク、例えば印
刷された像、印刷日及び他の情報を確認するための英数
字記号またはスペーシングマークと共に印刷する技術
は、従来において周知である。例えば、写真では、米国
特許第４，５３３，８３３号に記載のように、非露光フ
ィルム上に、処理後に視認可能となる潜在フレーム番号
及びマークを撮像することが周知である。写真印刷で
は、写真印刷媒体の連続ロール上に印刷されたイメージ
の各サイドに沿ってスペーシングマークを露光させ、こ
れによって写真プリントの裏面に印刷日を付記すること
が周知である。また、米国特許第４，９８３，９９１号
等に開示のように、マイクロコンピュータ内に記憶され
た像データによって励起される熱素子によって形成され
る潜在英数字確認文字または他の情報が付されたｘ線フ
ィルムの領域を露光することが知られている。この引例
では、潜在像文字はフィルム処理後に可視状態になる。
ダイからダイ受容媒体へ熱を伝達することによって印刷
作用を行うサーマルプリントシステムでは、受容媒体へ
のダイ転送によって像または記号及びマーキングを印刷
することが知られている。これは、例えば、同一の非譲
渡人による米国特許第４，７１０，７８１号、同第４，
９９５，７４１号、及び同第４，５１６，１３７号に教
示されている。また、’１３７号より、プリントヘッド
の熱素子から熱及び圧力が加えられると色を変化させる
感熱媒体を使用することも周知である。

【０００３】これら全てのコンテキスト特に或種のサー
マルプリンタに関するものでは、プリンタヘッドは種々
の像発生源に接続される。或るケースでは、像源は、デ
ジタルカラー像を発生可能とする一連の撮像ワークステ
ーションである。これらの各ステーションは相互にネッ
トワークされ、これによって像がワークステーションか
らデジタルサーマルプリンタまたはプリントエンジンへ
転送可能となる。これらの像はプリントエンジンに受領
され、優先スキームに従って、熱活性されたダイ転送受
容媒体の細長ウェブ上に印刷される。優先スキームの結
果、相互連関した各像組は、所定時間にわたって印刷さ
れたウェブ媒体上のシーケンスから出て分布する。この
ほか、もし受容媒体がシート形状であるならば、各印刷
されたシートは一または複数の集積容器（ｂｉｎ）内で
順不同で出て堆積する。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】いずれかの場合におい
て、オペレータは関連イメージを順序正しくまとめ、そ
れらを種々の領域や顧客へ分布させることが必要とな
る。従って、このような分布のためには、印刷された個
々の像が識別可能であることが好ましい。オペレータに
とっては、プリントに、ソース、内容及び／または分
布、そして印刷日を確認する記号がラベルされているこ
とが好適である。また、この情報が熟練オペレータに視
認可能であるが他の面では目立たないことが望ましい。

【０００５】典型的な印刷像確認作用では、プリントの
裏側がインパクトプリンタ及びダイベアリングウェブを
用いてマークされる。写真印刷では、顧客ネガ組のプリ
ント順序が記憶され、個別のスタンピングユニットが印
刷ステーションから下流に使用され、これによってダイ
がダイベアリングウェブから像担持プリントの裏側上の
適切な位置へ、選択的に制御可能なインパクトハンマを
用いて転送される。この方法は、イメージ投写に使用さ
れる透明シートに使用されるときには不都合がある。更
に、ダイベアリングウェブが何らかの理由で故障すると
印刷作用に欠陥が生じる。

【０００６】上記サーマル印刷システムに関し、ダイ転
送は、印加された熱エネルギーに応じて、サーマルプリ
ントヘッド素子と受容媒体との間に介挿されたダイ担持
ドナーから行われる。或いは、熱応答性プリント媒体
は、わずかな量の熱エネルギーが印加された時に色を変
化させるように構成される。前者の場合には、個別のダ
イ転送ウェブがインパクトプリンタウェブの欠点を持
ち、後者の場合には熱応答性プリント媒体は像担持媒体
と互換性をもたない（インコンパーチブル）であるとい
う欠点がある。

【０００７】サーマルダイ転送印刷では、受容媒体は通
常、印刷面上に高鏡面性または光沢仕上げまたはコーテ
イングを、そして媒体の裏面上には鈍仕上げまたはコー
テイングを有する。これは、一部には、積層されたシー
ト媒体が分離され印刷ステーションへ搬送される性能に
対する静電作用を減少させるために使用される薄ゼラチ
ンコーテイングによって行われる。透明媒体及び写真印
刷媒体は、同様に、実用的または美的理由から像面上で
たいてい固有の光沢性をもつ。典型的なサーマル写真印
刷媒体は、米国特許第４，７７８，７８２号及び第４，
９８３，９９１号に開示されている。これらの引例は、
本願に参考文献として添付されており、イーストマン・
コダック・カンパニーの特許である。

【０００８】従って、簡単で比較的フェールセーフな前
存在媒体上へ目立たないマークを印刷する印刷システム
を提供することが望まれている。

【０００９】従って本発明の目的は、所定の鏡面性をも
つ像担持媒体のマーキング領域上に記号を担持した目立
たない情報を印刷するための、簡単で信頼性高く経済的
な印刷システムを提供することにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段及び作用】本発明によれ
ば、そうしたマーキングは所定の鏡面性を選択的に変化
させることによって達成できることが発見された。これ
により、透明または半透明媒体を介して伝送されまたは
不透明媒体から反射した光で視認し、所定の鏡面性と変
化した鏡面性との間のコントラストによって、観察可能
な英数字文字または他のマーキングを生成することがで
きる。従って、本発明の方法及び装置は、所定鏡面性の
マーキング領域へ熱パターンを適用するために選択的に
駆動可能な抵抗性熱素子を有するサーマルプリントヘッ
ドを使用することを含む。これによって、鏡面性が、通
常は、鈍から視認者が確認可能な高光沢性へと変化す
る。

【００１１】その上面に記述情報を与えるために、所定
の鏡面性面を有する物体のマーキング領域上に可視マー
キングを生成するための方法及び装置は、面上のマーキ
ング領域へサーマルプリントヘッドを印加するための手
段及びステップと、マーキング領域内の物体の面の鏡面
性を可視的に変化させることによってマーキング領域内
にマークを担持する情報を可視的に与えるため、サーマ
ルヘッドにより印加された熱及び圧力を変調する手段及
びステップと、を含む。

【００１２】本発明によれば、感光性及びサーマルプリ
ント媒体の既存の表面コーテイングを活用して、ダイ転
送ウェブを用いてマーキングをその上面に形成すること
が可能となる。

【００１３】

【実施例】本発明によれば、米国特許第４，７１０，７
８３に開示されたタイプのサーマルプリンタは、図３に
示したタイプのサーマルプリントヘッド素子５０のリニ
アアレイを含む。すなわち、発熱するヘッド素子５０が
直線上に配列されている。このリニアアレイは、図４に
示されるようにシート走行路の印刷ステーションにおい
て、印刷相手である受容シート１２またはサーマルプリ
ント媒体の裏側と接触する。しかし、本発明の実施にお
いては、熱転写を行うためのダイドナーウェブ１４は使
用されない。像担持面上にプリントが形成され、マイク
ロコンピュータ１７によりコマンドが受領され（図５及
び６）、シート１２が反転されて再びプリントステーシ
ョンに送られた後、米国特許第４，７１０，７８３に記
載のように、マイクロコンピュータ１７及びインターフ
ェース６８の制御下で、この出願の受容シートコーテイ
ングの発熱ピクセルサイズ溶融によって英数字が発生さ
れるようにシートが移動されると、サーマルプリント素
子が励起されることが観察される。例えば、サーマルプ
リントヘッドは、図１に示したように英数字を生成する
ためにデジタル像プロセッサの制御により周知の方法で
選択的に駆動される９個の素子のリニアアレイを含む。
すなわち、ヘッド素子に選択的に電流が供給され、その
素子が発熱され、対応するシートの部分が溶解する。そ
して、シートの移動に同期して素子の発熱が制御され、
シートの所定部分が溶融されて、文字が生成される。

【００１４】より詳細には、米国特許第４，７１０，７
８３のサーマルプリント装置のコンテキストでは（受容
シート１２とプリントヘッド１８との間にウェブ１４が
ない）、本発明方法は、比較的鈍な非鏡面性面を有する
透明性またはサーマル像受容シート１２である写真プリ
ントの非像担持面に関してプリントヘッド１８のサーマ
ル素子のリニアアレイを配置することによって実施する
ことができる。プラテン１６は、像担持面に対して係止
し、これによってシート１２が進むにつれて、プリント
ヘッド１８上の抵抗性素子５０のアレイを非プリント面
と接触させる。印刷されるべき像情報（データ入力端末
により供給された）は、米国特許第４，７１０，７８３
等に開示のように、プリントヘッドに関するバッファ内
に記憶される。シートがサーマルプリントヘッドを超え
て移動すると、個々の励起されたサーマル素子５０はシ
ート１２の非像担持面内に記憶された情報に基づいてピ
クセルサイズのヒートを生成する。

【００１５】米国特許第４，７１０，７８３のサーマル
素子からの熱エネルギーの印加により、個々のドットま
たはピクセルが溶融し、これらはサーマル素子の励起が
終了し媒体が次ピクセルラインへ進められた直後に硬化
する。溶融及び硬化により、背景鏡面性に関するドット
またはピクセルの鏡面性が変化する。この結果、目立た
ない像が生成される。この像は、不透明媒体中の反射光
または透明媒体中の伝達光または反射光双方によって読
みとり可能である。

【００１６】本願の図１において、低光沢、低鏡面性を
有し、そして光鏡面文字１０２が形成されたテストシー
ト１００が示されている。この文字は、熱印加により形
成され、シートに対して垂直に見た時に、光の反射によ
って可視状態となる。溶融面層の粗さの変化は触覚（さ
わること）によっても感知され、これが印刷面の初期装
荷を援助することになる。すなわち、これを見て、マー
クを確認できる。

【００１７】図２は、図１に示した像担持印刷媒体の側
面図を示す。ペーパコア１０４は図１に示した側の反対
側に像担持領域１０６を有する。従って、実際には、高
光沢マーキング１０２が、低光沢背面１００に対するサ
ーマル印刷素子によって形成される。これは、像担持領
域１０６内の像印刷と結合または同時に、或いは次の印
刷作用と結合または同時に行われる。像担持領域１０６
は印刷された記号面とは反対のコア１０４の面上に形成
されるように示されているが、双方を媒体の同一側に形
成することも可能であることが理解される。媒体は、ま
た、透明媒体を含む他の形態をとることも可能であるこ
とが理解される。

【００１８】一連の実験が種々の媒体を試験するために
行われた。あるテストでは、つや消し仕上げでゼラチン
ベースコーテイングを有するサーマルダイ受容シートを
含む反射性サーマル媒体が上記米国特許第４，７１０，
７８３に記載の方法でサーマルプリントヘッドエネルギ
ーに晒された（熱に晒された）。プリントヘッドの個々
の素子の熱変調によってゼラチンが溶融すると共に、高
光沢または輝度のドットまたはピクセル記号が生成され
た。サーマル素子上に物質が堆積することはなく、得ら
れた印刷英数字はシート面に対してある角度で可視で
き、種々のテスト物体によって明瞭に読みとられた。色
に変化も生じず、これによって文字が視認可能となっ
た。

【００１９】第２の実験は、同じサーマルプリントヘッ
ドが、一般の等価性サーマルダイ受容媒体を熱エネルギ
ーへ晒すために使用された。この媒体は、伝達光が散乱
しないように超平滑高鏡面性面を生成するようにゼラチ
ンベース背面コーテイング仕上げのポリエチレンテレフ
タレート（ＰＥＴ）ベースであった。この媒体はサーマ
ルプリントヘッドに晒され、そして記号は種々のテスト
媒体に明瞭に読みとり可能な光沢面上に印刷された。ド
ットまたはピクセル領域に熱エネルギーを印加すること
により、ゼラチンベース背面コーテイングが機械的に崩
壊し、その表面が、熱印刷された記号が明瞭に読みとり
可能となる程度にまで粗になる。この場合も、サーマル
プリントヘッド上にははっきりとした堆積は生じず、色
の変化も観察されなかった。

【００２０】これらの実験により、サーマルプリントヘ
ッドは種々の像担持媒体上にマーキングデータまたはマ
ークを形成することができる。光沢変化を使用すること
により、一般の視認者に目立たない付加特性を有するマ
ークが生成され、これによって視認者はマーキングを探
すことはない。サーマルヘッドのエネルギー搬送を変化
させそしてマーキング領域の化学物質を変化させること
によって種々のマーキング強度が得られる。或る改善例
では、像担持媒体の背面上の鈍領域は、光沢面内へ流れ
る熱溶融性分子の印加によってさらに拡散する。例え
ば、ポリエチレンまたはポリプロピレン等の低溶融性ポ
リマーへ溶融するポリカーボネートビーズから成る分子
が、媒体上のマーキング領域として使用することを意図
された表面層内で使用することができる。透明性のコン
テキストでは、熱の存在下での光沢性からつや消し面へ
の相を破壊または変化するコーテイングは、また上記の
方法で表面の鏡面性を変化させるためにも使用可能であ
る。

【００２１】以上、本発明の好適な実施例と考えられる
ものを示したが、本発明の本質的技術思想から逸脱する
ことなく、多くの変更改良が可能であることが明らかで
ある。従って、添付の特許請求の範囲では本発明の真正
な範囲内に存在する全てのそうした変更改良例を包含し
た。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明によって鏡面反射性または転送像担持媒
体上に印刷されたマークの図である。

【図２】図１のマークが印刷された媒体の側面図であ
る。

【図３】サーマルプリントヘッド素子のリニアアレイを
示す図である。

【図４】サーマルプリンタの構成図である。

【図５】サーマルプリントヘッドの発熱素子の制御回路
を示す回路図である。

【図６】図５のインターフェースの回路図である。

【符号の説明】

１００ テストシート １０２ 高光沢性マーキング １０４ コア １０６ 像担持領域

フロントページの続き (56)参考文献 特開 平４−250487（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B41J 2/32 B41J 25/20

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 サーマルプリンタによる印刷方法であっ
   て、 ダイドナーウェブから物体への選択的なダイの熱転写を
   行って物体上にカラーイメージを記録することを可能と
   するサーマルプリントヘッド素子を有するサーマルプリ
   ントヘッドを使用し、前記サーマルプリントヘッドと物
   体との間に挿入されたダイドナーウェブから物体へのダ
   イの転写が実行されるダイ転写モードと、 前記サーマルプリントヘッドと物体との間に挿入された
   ダイドナーウェブを使用せず、前記サーマルプリントヘ
   ッド素子による選択的な加熱により物体の表面の光沢を
   選択的に変化させる非ダイ転写モードと、を有し、前記
   ダイ転写モードと非ダイ転写モードとが選択的に実行さ
   れることを特徴とする印刷方法。
2. 【請求項２】 請求項１に記載の印刷方法において、 前記非ダイ転写モードでは、物体の表面の光沢を変化さ
   せることにより、マーキング領域内における物体の面の
   鏡面性を可視的に変化させ、これによりマーキング領域
   内に情報担持マークを形成することを特徴とする印刷方
   法。