JP3415246B2 - 熱硬化性被覆組成物 - Google Patents

熱硬化性被覆組成物

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JP3415246B2
JP3415246B2 JP02165594A JP2165594A JP3415246B2 JP 3415246 B2 JP3415246 B2 JP 3415246B2 JP 02165594 A JP02165594 A JP 02165594A JP 2165594 A JP2165594 A JP 2165594A JP 3415246 B2 JP3415246 B2 JP 3415246B2
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acrylic copolymer
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武 加藤
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高度の美粧性と塗膜性
能が要求される、自動車等のトップクリヤーコート用塗
料に特に有用な熱硬化性被覆組成物に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】自動車等のトップクリヤーコート用塗料
としては、耐候性、美粧性に優れた性能を有することか
ら、アクリル−メラミン系樹脂が多く使用されている。
しかし、アクリル−メラミン系樹脂は、メラミン樹脂を
硬化剤として使用するために耐酸性が低く、これを塗料
に適用した場合、酸性雨により塗膜に雨ジミが発生し、
外観が低下するという欠点を有する。
【0003】この問題を解決するために、メラミンに代
わる新規な硬化系が求められており、酸基とエポキシ基
の架橋反応を利用した硬化系の検討が盛んに行われてい
る。例えば、特開昭63−84674号公報には、接着
性、光沢および鮮映性に優れた塗料用組成物として、低
分子量ポリエポキシド、低分子量ヒドロキシル基含有多
官能性物質、酸無水物からなる架橋剤および硬化触媒を
含有する高固形分硬化性組成物が提案されている。ま
た、特開平1−139653号公報には、耐酸性、耐溶
剤性、耐水性、塗膜外観に優れた塗料用組成物として、
酸基を有するアクリル系共重合体とエポキシ基を有する
アクリル系共重合体から成る熱硬化性溶剤型塗料組成物
が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特開昭63−
84674号公報に開示されているように酸無水物から
なる架橋剤を用いた場合には、組成成分間の反応性が高
くなるために貯蔵安定性が悪く、組成成分全体を一液化
することが困難であり、作業性が悪いという問題点を有
している。また、特開平1−139653号公報に開示
されているような熱硬化性溶剤型塗料組成物では、低温
硬化性に劣るために、自動車の焼き付けラインで採用さ
れうる比較的低い温度で焼き付けた場合、冷熱環境下に
おける耐クラック性、耐酸性、耐溶剤性等の塗膜性能が
不十分となる欠点を有している。
【0005】これらの問題点を解決する目的で、特開平
2−45577号公報、特開平3−287650号公報
や特開平4−363374号公報には、酸基としての酸
無水物基がハーフエステル化された共重合体、ヒドロキ
シ化合物およびエポキシ化合物を含有する熱硬化性組成
物や、酸基としての酸無水物基をハーフエステル化した
共重合体、エポキシ基および水酸基を有する化合物を含
有する熱硬化性組成物が提案されている。しかし、これ
らの熱硬化性組成物は、塗膜の耐擦り傷性が不十分であ
るという問題点を有している。本発明の目的は、貯蔵安
定性、低温硬化性に優れ、さらに、耐溶剤性、耐酸性、
耐擦り傷性、耐候性、美粧性に代表される塗膜性能、特
に耐擦り傷性に優れた熱硬化性被覆組成物を提供するも
のである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記従来
技術の問題点に鑑み、熱硬化性被覆組成物ついて鋭意検
討した結果、本発明に至ったものである。すなわち、本
発明の熱硬化性被覆組成物は、一般式[1]に示す構造
を持つカルボキシル基含有単量体(a)0.5〜30重
量%、一般式[3]に示す構造を持つカルボキシル基含
有(メタ)アクリル酸エステル単量体(b)0.5〜5
0重量%および前記(a)、(b)以外のビニル系単量
体(c)20〜90重量%から成るアクリル系共重合体
(A)と、エポキシ基を有するアクリル系共重合体
(B)を含有することを特徴とする。
【0007】
【化13】
【0008】(式中、R1は水素またはメチル基または
カルボキシルメチル基を表し、R2は水素原子または一
般式[2]に示すカルボキシル基またはカルボン酸エス
テル置換基を表す。)
【0009】
【化14】
【0010】(式中、R3は水素または炭素数1〜10
の炭化水素置換基を表す。)
【0011】
【化15】
【0012】(式中、R4は水素またはメチル基を表
し、R5は一般式[4]〜[6]に示す構造を持つ炭化
水素置換基またはヘテロ原子で置換された炭化水素置換
基を表す。)
【0013】
【化16】
【0014】(式中、R6は炭素数1〜3の直鎖状また
は分岐状のアルキレン基を表す。)
【0015】
【化17】
【0016】(式中、R7は炭素数1〜10の直鎖状ま
たは分岐状のアルキレン基を表し、R8は炭素数2〜1
0の直鎖状または分岐状のアルキレン基またはアルケニ
レン基またはカルボキシル基やハロゲン原子で置換され
ても良いアリーレン基またはシクロアルキレン基を表
す。)
【0017】
【化18】
【0018】(式中、Rは炭素数1〜10の直鎖状ま
たは分岐状のアルキレン基を表し、mは4〜6の整数で
表され、R10はR 同じ置換基を表し、nは1〜6
の整数で表される。)本発明の熱硬化被覆組成物に用い
るアクリル系共重合体(A)は、特定のカルボキシル基
を有する単量体を含む重合性単量体混合物を重合させて
得られるものであり、一般式[3]で示す構造を持つカ
ルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル単量体
(b)を使用し、アクリル系共重合体(A)に長鎖カル
ボキシル基を存在させることによって、塗膜の耐擦り傷
性を向上させることができるものである。
【0019】本発明のアクリル系共重合体(A)に使用
されるカルボキシル基含有単量体(a)としては、前記
の一般式[1]に示す構造を持つものであり、例えば、
メタクリル酸、アクリル酸、クロトン酸、ビニル安息香
酸、フマール酸、イタコン酸、マレイン酸、シトラコン
酸等の一塩基酸または二塩基酸単量体類、マレイン酸モ
ノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチ
ル、マレイン酸モノオクチル、イタコン酸モノメチル、
イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノブチル、イタコ
ン酸モノオクチル、イタコン酸モノ2−エチルヘキシ
ル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル
酸モノブチル、フマル酸モノオクチル、シトラコン酸モ
ノエチル等に代表される二塩基酸または酸無水物単量体
のモノエステル類等が挙げられる。
【0020】これらカルボキシル基含有単量体(a)
は、必要に応じて単独であるいは二種以上を併用して使
用することができ、その使用量としてはアクリル系共重
合体(A)の0.5〜30重量%となるような範囲であ
ることが好ましく、さらに好ましくは2〜20重量%の
範囲である。これは、0.5重量%未満では、塗膜の耐
溶剤性が低下する傾向にあり、30重量%を越えると塗
料の貯蔵安定性が低下する傾向にあるためである。
【0021】また、本発明においては、カルボキシル基
含有単量体(a)として、上記一塩基酸または二塩基酸
単量体類とともに、二塩基酸または酸無水物単量体のモ
ノエステル類を併用することによって、熱硬化性被覆組
成物の貯蔵安定性、低温硬化性及び塗膜性能のバランス
をより向上させることができる。この場合、二塩基酸ま
たは酸無水物単量体のモノエステル類の使用量は、0.
5〜15重量%程度であることが好ましく、さらに好ま
しくは1〜10重量%の範囲である。これは、これらモ
ノエステル類が0.5重量%未満では十分な効果が得ら
れない傾向にあり、15重量%を越えると熱硬化性被覆
組成物の貯蔵安定性が低下する傾向にあるためである。
【0022】本発明のアクリル系共重合体(A)に使用
されるカルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル
単量体(b)としては、前記の一般式[3]に示す構造
を持つものであり、例えば、β−カルボキシエチル(メ
タ)アクリレート、β−カルボキシプロピル(メタ)ア
クリレート、β−(メタ)アクリロキシエチルアシッド
サクシネート、β−(メタ)アクリロキシエチルアシッ
ドマレート、β−(メタ)アクリロキシエチルアシッド
フタレート、β−(メタ)アクリロキシエチルアシッド
ヘキサヒドロフタレート、β−(メタ)アクリロキシエ
チルアシッドメチルヘキサヒドロフタレート、γ−(メ
タ)アクリロキシプロピルアシッドサクシネート、2−
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートへのε−カプロ
ラクトンまたはγ−ブチロラクトンの開環付加物の末端
水酸基を無水コハク酸でエステル化して末端にカルボキ
シル基を導入したコハク酸モノエステルや2−ヒドロキ
シエチル(メタ)アクリレートへのε−カプロラクトン
またはγ−ブチロラクトンの開環付加物(例えば、ダイ
セル化学(株)製プラクセルF単量体、UCC社製トー
ンM単量体)の末端水酸基を無水フタル酸、無水ヘキサ
ヒドロフタル酸でエステル化したフタル酸モノエステ
ル、無水ヘキサヒドロフタル酸モノエステル等のカプロ
ラクトン変性水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルと
酸無水物の半エステル反応生成物等の長鎖カルボキシル
基含有単量体が挙げられる。
【0023】これらカルボキシル基含有(メタ)アクリ
ル酸エステル単量体(b)は、必要に応じて単独である
いは二種以上を併用して使用することができ、その使用
量としてはアクリル系共重合体(A)の0.5〜50重
量%となるような範囲であることが好ましく、さらに好
ましくは5〜40重量%の範囲である。これは、0.5
重量%未満では、塗膜の耐擦り傷性や耐衝撃性が低下す
る傾向にあり、50重量%を越えると塗膜の耐溶剤性や
美装性が低下する傾向にあるためである。
【0024】本発明のアクリル系共重合体(A)に使用
される、前記(a)、(b)以外のビニル系単量体とし
ては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル
(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレ
ート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル
(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレー
ト、Sec−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチ
ル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレー
ト、トリデシル(メタ)アクリレート、2−ヘチルヘキ
シル(メタ)アクリレート等の炭化水素置換基を有する
(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン、ビニルトル
エン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導体、アクリ
ロニトリル、メタクリロニトリル等のエチレン性不飽和
ニトリル類、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−
エトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルア
クリルアミド等のN−アルコキシ置換アミド類、ジメチ
ルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノ
エチル(メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和塩基
性単量体類、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3
−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒド
ロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブ
チル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル
(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル基を有す
る(メタ)アクリル酸エステル類、2−ヒドロキシエチ
ルメタクリレートへのγ−ブチロラクトン開環付加物、
2−ヒドロキシエチルアクリレートへのε−カプロラク
トン開環付加物、メタクリル酸へのエチレンオキシドの
開環付加物、メタクリル酸へのプロピレンオキシドの開
環付加物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート
または2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートの
2量体や3量体等の末端に水酸基を有する(メタ)アク
リル酸エステル類、4−ヒドロキシブチルビニルエーテ
ル、p−ヒドロキシスチレン等の他の水酸基含有ビニル
系単量体類、グリシジル(メタ)アクリレート、メチル
グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシ
クロヘキシル(メタ)アクリレート、アリルグリシジル
エーテル等のエポキシ基含有単量体類等が挙げられる。
これらは、必要に応じて単独であるいは二種以上を併用
して使用することができる。
【0025】本発明においては、他の重合性単量体とし
て水酸基含有単量体類および/またはエポキシ基含有単
量体類を使用し、アクリル系共重合体(A)にカルボキ
シル基とともに、水酸基および/またはエポキシ基を含
有させることによって、貯蔵安定性を損なうことなく被
覆組成物の反応性をより高めることが可能となり、低温
硬化性をより向上させるとともに、塗膜の耐溶剤性及び
硬度をより向上させることができる。
【0026】本発明においては、アクリル系共重合体
(A)として、酸価(アクリル系共重合体1gを中和す
るのに要する水酸化カリウムのmg数)が30〜200
mgKOH/g、重量平均分子量が5000〜5000
0であることが好ましい。これは、アクリル系共重合体
(A)の酸価が30mgKOH/g未満であると、硬化
性が不足するために塗膜の硬度、耐溶剤性が低下する傾
向にあり、200mgKOH/gを越えると、共重合体
の粘度が著しく上昇し、さらに塗膜の光沢、耐水性、耐
候性が低下する傾向にあるためであり、より好ましく
は、50〜150mgKOH/gの範囲である。また、
アクリル系共重合体(A)の重量平均分子量が5000
未満であると、塗膜の耐水性、耐候性が低下する傾向に
あり、50000を越えると、樹脂の粘度が著しく上昇
し、樹脂の粘度が高くなり、安定性が低下する傾向にあ
るためであり、より好ましくは、7000〜30000
の範囲である。
【0027】さらに、アクリル系共重合体(A)に水酸
基やエポキシ基を含有させる場合には、アクリル系共重
合体(A)の水酸基当量(1グラム当量の水酸基を含む
樹脂のグラム数)が300g/eq以上、エポキシ当量
(1グラム当量のエポキシ基を含む樹脂のグラム数)
が、1000g/eq以上となるようにすることが好ま
しい。これは、アクリル系共重合体(A)の水酸基当量
が300g/eq未満になると、被覆組成物の粘度が著
しく上昇し、塗膜の光沢、耐水性、耐候性が低下する傾
向にあるためであり、より好ましくは、500〜300
0g/eqの範囲である。また、エポキシ当量が100
0g/eq未満では、被覆組成物が増粘したりゲル化し
やすくなる傾向にあるためである。
【0028】本発明の熱硬化被覆組成物に用いるアクリ
ル系共重合体(B)は、エポキシ基を有する単量体を特
定の比率で共重合させて得られる。本発明のアクリル系
共重合体(B)に使用されるエポキシ基含有単量体とし
ては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチ
ルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシ
シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、アリルグ
リシジルエーテル等が挙げられ、これらは、必要に応じ
て単独であるいは二種以上を併用して使用することがで
きる。これらエポキシ基含有単量体の使用量は、アクリ
ル系共重合体(B)のエポキシ当量が200〜1500
g/eqとなるような範囲であることが好ましく、例え
ば、15〜60重量%であることが好ましく、さらに好
ましくは20〜55重量%の範囲である。
【0029】本発明のアクリル系共重合体(B)に使用
されるその他の重合性単量体としては、例えば、メチル
(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、
n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メ
タ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、
t−ブチル(メタ)アクリレート、Sec−ブチル(メ
タ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレー
ト、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メ
タ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリ
レート等の炭化水素置換基を有する(メタ)アクリル酸
エステル類、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルス
チレン等のスチレン誘導体、アクリロニトリル、メタク
リロニトリル等のエチレン性不飽和ニトリル類、N−メ
トキシメチルアクリルアミド、N−エトキシメチルアク
リルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド等のN
−アルコキシ置換アミド類、ジメチルアミノエチル(メ
タ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アク
リレート等のエチレン性不飽和塩基性単量体類、2−ヒ
ドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ
プロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピ
ル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メ
タ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アク
リレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレー
ト等のヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリル
酸エステル類、2−ヒドロキシエチルメタクリレートへ
のγ−ブチロラクトン開環付加物、2−ヒドロキシエチ
ルアクリレートへのε−カプロラクトン開環付加物、メ
タクリル酸へのエチレンオキシドの開環付加物、メタク
リル酸へのプロピレンオキシドの開環付加物、2−ヒド
ロキシエチル(メタ)アクリレートまたは2−ヒドロキ
シプロピル(メタ)アクリレートの2量体や3量体等の
末端に水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、
4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、p−ヒドロキシ
スチレン等の他の水酸基含有ビニル系単量体類、メタク
リル酸、アクリル酸、クロトン酸、ビニル安息香酸、フ
マール酸、イタコン酸、マレイン酸、シトラコン酸、マ
レイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン
酸モノブチル、マレイン酸モノオクチル、イタコン酸モ
ノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノブチ
ル、イタコン酸モノオクチル、イタコン酸モノ2−エチ
ルヘキシル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチ
ル、フマル酸モノブチル、フマル酸モノオクチル、シト
ラコン酸モノエチル、β−カルボキシエチル(メタ)ア
クリレート、β−カルボキシプロピル(メタ)アクリレ
ート、β−(メタ)アクリロキシエチルアシッドサクシ
ネート、β−(メタ)アクリロキシエチルアシッドマレ
ート、β−(メタ)アクリロキシエチルアシッドフタレ
ート、β−(メタ)アクリロキシエチルアシッドヘキサ
ヒドロフタレート、β−(メタ)アクリロキシエチルア
シッドメチルヘキサヒドロフタレート、γ−(メタ)ア
クリロキシプロピルアシッドサクシネート、2−ヒドロ
キシエチル(メタ)アクリレートへのε−カプロラクト
ンまたはγ−ブチロラクトンの開環付加物の末端水酸基
を無水コハク酸でエステル化して末端にカルボキシル基
を導入したコハク酸モノエステルや2−ヒドロキシエチ
ル(メタ)アクリレートへのε−カプロラクトンまたは
γ−ブチロラクトンの開環付加物(例えば、ダイセル化
学(株)製プラクセルF単量体、UCC社製トーンM単
量体)の末端水酸基を無水フタル酸、無水ヘキサヒドロ
フタル酸でエステル化したフタル酸モノエステル、無水
ヘキサヒドロフタル酸モノエステル等のカプロラクトン
変性水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルと酸無水物
の半エステル反応生成物等が挙げられる。これらは、必
要に応じて単独であるいは二種以上を併用して使用する
ことができる。
【0030】本発明においては、他の重合性単量体とし
て水酸基含有単量体類またはカルボキシル基含有単量体
類を使用し、アクリル系共重合体(B)にエポキシ基と
ともに水酸基またはカルボキシル基を含有させることに
よって、保存安定性を損なうことなく、被覆組成物の反
応性を高めることが可能となり、低温硬化性をより向上
させるとともに、塗膜の耐溶剤性及び硬度をより向上さ
せることができる。さらに、水酸基含有単量体類および
カルボキシル基含有単量体類を使用し、アクリル系共重
合体(B)にエポキシ基、水酸基及びカルボキシル基を
含有させることによって、この効果をより高めることが
できる。
【0031】本発明においては、アクリル系共重合体
(B)として、そのエポキシ当量が200〜1500g
/eq、重量平均分子量が1000〜20000である
ことが好ましい。これは、アクリル系共重合体(B)の
エポキシ当量が1500g/eqを越えると硬化性が不
足するために塗膜の硬度、耐溶剤性が低下する傾向にあ
り、200g/eq未満になると被覆組成物が増粘した
りゲル化しやすくなる傾向にあるためであり、より好ま
しくは、250〜950g/eqの範囲である。また、
アクリル系共重合体(B)の重量平均分子量が1000
未満であると、塗膜の耐水性、耐候性が低下する傾向に
あり、20000を越えると、アクリル系共重合体
(A)との反応率が低下する傾向にあるためであり、よ
り好ましくは、3000〜10000の範囲である。
【0032】さらに、アクリル系共重合体(B)に水酸
基やカルボキシル基を含有させる場合には、アクリル系
共重合体(B)の水酸基当量は、300〜6000g/
eqの範囲が好ましく、さらに好ましくは800〜60
00g/eqの範囲である。これは、水酸基当量が30
0g/eq未満であると耐水性が低下し、6000g/
eqを越えるとノンサンドリコート性が低下する傾向に
あるためである。また、アクリル系共重合体(B)の酸
価は50mgKOH/g以下が好ましい。これは、酸価
が50mgKOH/gを越えると、被覆組成物が増粘し
たりゲル化しやすくなる傾向にあるためである。
【0033】本発明の熱硬化性被覆組成物中のアクリル
系共重合体(A)と(B)の重量比は、1/3≦(A)
/(B)≦10/3の範囲であることが好ましい。これ
は、アクリル系共重合体(A)と(B)の重量比が1/
3未満であると貯蔵安定性や塗膜の耐水性が低下する傾
向にあり、10/3を越えると塗膜の耐溶剤性や硬度が
低下する傾向にあるためであり、より好ましくは、1/
2≦(A)/(B)≦4/2の範囲である。本発明の熱
硬化性被覆組成物のカルボキシル基とエポキシ基のモル
比は、1/0.5≦カルボキシル基/エポキシ基≦1/
2の範囲であることが好ましい。この範囲以外では、未
反応の官能基により、塗膜の耐水性、耐候性などが低下
する傾向にあり好ましくない。より好ましくは、1/
1.8≦カルボキシル基/エポキシ基≦1/0.7の範
囲である。
【0034】また、本発明の熱硬化性被覆組成物には、
耐黄変性やノンサンドリコート性をさらに向上させるた
めに、水酸基を有するアクリル系共重合体(C)をアク
リル系共重合体(A)及び(B)の合計量に対して、
0.5〜30重量%の範囲で添加することができる。こ
れは、アクリル系共重合体(C)の添加量がアクリル系
共重合体(A)及び(B)の合計量に対して0.5重量
%未満であると、塗膜の耐黄変性やノンサンドリコート
性の改良効果が十分でなく、30重量%を越えると塗膜
の硬度、耐溶剤性が低下する傾向にあるためであり、よ
り好ましくは、5〜20重量%の範囲である。
【0035】本発明のアクリル系共重合体(C)は、水
酸基含有単量体を含む重合性単量体混合物を重合させる
ことによって得られるものであり、使用される水酸基含
有単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)ア
クリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ
ート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4
−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロ
キシヘキシル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアル
キル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、2−ヒ
ドロキシエチルメタクリレートへのγ−ブチロラクトン
開環付加物、2−ヒドロキシエチルアクリレートへのε
−カプロラクトン開環付加物、メタクリル酸へのエチレ
ンオキシドの開環付加物、メタクリル酸へのプロピレン
オキシドの開環付加物、2−ヒドロキシエチル(メタ)
アクリレートまたは2−ヒドロキシプロピル(メタ)ア
クリレートの2量体や3量体等の末端に水酸基を有する
(メタ)アクリル酸エステル類、4−ヒドロキシブチル
ビニルエーテル、p−ヒドロキシスチレン等の他の水酸
基含有ビニル系単量体類が挙げられ、これらは、必要に
応じて単独であるいは二種以上を併用して使用すること
ができる。これら水酸基含有単量体の使用量としては、
アクリル系共重合体(C)の水酸基当量が400〜15
00g/eqとなるような範囲であることが好ましく、
例えば、10〜40重量%であることが好ましく、さら
に好ましくは15〜25重量%の範囲である。
【0036】本発明のアクリル系共重合体(C)に使用
されるその他の重合性単量体としては、例えば、メチル
(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、
n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メ
タ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、
t−ブチル(メタ)アクリレート、Sec−ブチル(メ
タ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレー
ト、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メ
タ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリ
レート等の炭化水素置換基を有する(メタ)アクリル酸
エステル類、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルス
チレン等のスチレン誘導体、アクリロニトリル、メタク
リロニトリル等のエチレン性不飽和ニトリル類、N−メ
トキシメチルアクリルアミド、N−エトキシメチルアク
リルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド等のN
−アルコキシ置換アミド類、ジメチルアミノエチル(メ
タ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アク
リレート等のエチレン性不飽和塩基性単量体類、メタク
リル酸、アクリル酸、クロトン酸、ビニル安息香酸、フ
マール酸、イタコン酸、マレイン酸、シトラコン酸、マ
レイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン
酸モノブチル、マレイン酸モノオクチル、イタコン酸モ
ノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノブチ
ル、イタコン酸モノオクチル、イタコン酸モノ2−エチ
ルヘキシル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチ
ル、フマル酸モノブチル、フマル酸モノオクチル、シト
ラコン酸モノエチル、β−カルボキシエチル(メタ)ア
クリレート、β−カルボキシプロピルメタクリレート、
β−(メタ)アクリロキシエチルアシッドサクシネー
ト、β−(メタ)アクリロキシエチルアシッドマレー
ト、β−(メタ)アクリロキシエチルアシッドフタレー
ト、β−(メタ)アクリロキシエチルアシッドヘキサヒ
ドロフタレート、β−(メタ)アクリロキシエチルアシ
ッドメチルヘキサヒドロフタレート、γ−(メタ)アク
リロキシプロピルアシッドサクシネート、2−ヒドロキ
シエチル(メタ)アクリレートへのε−カプロラクトン
またはγ−ブチロラクトンの開環付加物の末端水酸基を
無水コハク酸でエステル化して末端にカルボキシル基を
導入したコハク酸モノエステルや2−ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレートへのε−カプロラクトンまたはγ
−ブチロラクトンの開環付加物(例えば、ダイセル化学
(株)製プラクセルF単量体、UCC社製トーンM単量
体)の末端水酸基を無水フタル酸、無水ヘキサヒドロフ
タル酸でエステル化したフタル酸モノエステル、無水ヘ
キサヒドロフタル酸モノエステル等のカプロラクトン変
性水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルと酸無水物の
半エステル反応生成物、グリシジル(メタ)アクリレー
ト、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−
エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、
アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有単量体類
等が挙げられる。これらは、必要に応じて単独であるい
は二種以上を併用して使用することができる。
【0037】本発明のアクリル系共重合体(A)、
(B)および(C)は、溶液重合法、塊状重合法、乳化
重合法等の既知の重合法により製造することができる
が、溶液重合法により製造するのが好ましい。溶液重合
法により上記アクリル系共重合体を製造する場合には、
有機溶剤および重合開始剤の存在下に単量体の混合物を
共重合させる。有機溶剤としては、イソプロパノール、
n−ブタノール、トルエン、キシレン等の一般的なもの
を選択できる。重合開始剤としては、アゾビスイソブチ
ロニトリル、過酸化ベンゾイル、クメンヒドロペルオキ
シド等の通常用いられる重合開始剤から選択できる。ま
た、必要に応じて2−メルカプトエタノール、n−オク
チルメルカプタン等の連鎖移動剤を使用することができ
る。
【0038】溶液重合法でアクリル系共重合体を製造す
る場合、一般的には、分子量をコントロールするため、
80〜160℃の範囲で重合を行なうことが好ましく、
さらに好ましくは100〜140℃の範囲である。アク
リル系共重合体として、カルボキシル基及びエポキシ基
を含有する場合には、カルボキシル基を有する単量体と
エポキシ基を有する単量体を同時に共重合させようとす
ると、カルボキシル基とエポキシ基との反応によって重
合中に著しく粘度が上昇したり、ゲル化を起こし易くな
るため、共重合体中のカルボキシル基及びエポキシ基の
含有量が極めて少量に制限される。従って、本発明のア
クリル系共重合体(A)にエポキシ基を含有させる場合
には、まず、カルボキシル基を有する単量体を有する単
量体(必要に応じて水酸基を有する単量体も含む)を1
00℃以上の温度で共重合し、ひき続き、エポキシ基を
有する単量体を重合温度を75℃以下に下げて重合させ
るという二段重合法を用いることが好ましい。同様に、
アクリル系共重合体(B)にカルボキシル基を含有させ
る場合には、まず、エポキシ基を有する単量体(必要に
応じて水酸基を有する単量体も含む)を100℃以上の
温度で共重合し、ひき続き、カルボキシル基を有する単
量体を重合温度を75℃以下に下げて重合させるという
二段重合法を用いることが好ましい。
【0039】本発明の熱硬化性被覆組成物には、必要に
応じて、メラミン系樹脂やブロックイソシアネート系樹
脂を補助硬化剤として添加してもよい。これらは、被覆
組成物の貯蔵安定性や塗膜性能を損なわない程度に適量
添加することができるが、添加量としては、アクリル系
共重合体(A)および(B)の合計量に対して20重量
%以下が好ましい。これは、補助硬化剤の添加量が20
重量%を越えると塗膜の耐酸性が低下したり、塗膜が黄
変しやすくなる傾向にあるためである。上記以外の補助
硬化剤としては、グリシジルエーテル、グリシジルエス
テル、脂環式エポキシ化合物のようなエポキシ化合物類
やアルキルジオール、アルキルポリオール、アクリルポ
リオール、ポリエステルポリオール、ポリウレタンポリ
オール、ヒドロキシ化合物類等を挙げることができる。
これら補助硬化剤は、二種類以上を混合して用いても良
い。
【0040】本発明の熱硬化性被覆組成物には、硬化促
進のため触媒を含有させることができる。硬化触媒とし
ては、酸基とエステル基のエステル化反応に用いられる
公知のもので良く、例えば、4級アンモニウム塩やホス
ホニウム塩等が好ましい。具体的には、ベンジルトリメ
チルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアン
モニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムクロラ
イド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブ
チルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニル
ホスホニウムクロライド、ベンジルトリフェニルホスホ
ニウムブロマイド等を挙げることができる。
【0041】また、安定性を向上させるため必要に応じ
て、スルホン酸系やリン酸系に代表される酸性化合物を
添加することができる。具体的には、パラトルエンスル
ホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタ
レンスルホン酸およびこれらのアミンブロック化物、モ
ノアルキルリン酸、ジアルキルリン酸、モノアルキル亜
リン酸等が挙げられる。さらに、本発明の熱硬化性被覆
組成物には、有機ベントン、ポリアミド、マイクロゲ
ル、繊維素系樹脂等のようなレオロジー調節剤やシリコ
ーンに代表される表面調整剤、紫外線吸収剤、光安定
剤、酸化防止剤、垂れ止め剤等の添加剤を必要に応じて
公知の手段を用いて適宜配合することができる。
【0042】本発明の熱硬化性被覆組成物を自動車塗装
用のクリヤーコート用塗料として使用する場合、クリヤ
ーコート層と接するベースコート層としては、本発明の
熱硬化性被覆組成物を用いることもできるが、公知の硬
化性樹脂を必要に応じて適宜使用することもできる。こ
れら熱硬化性樹脂には、揮発性の有機溶剤からなる希釈
剤、アミノ樹脂やポリイソシアネート化合物等からなる
硬化剤、アルミニウムペースト、マイカ、リン片状酸化
鉄等の光輝剤、酸化チタン、カーボンブラック、キナク
リドン等の無機顔料および有機顔料、ポリエステル樹
脂、エポキシ樹脂、セルロース樹脂等の添加樹脂、さら
に表面調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の添加剤を
必要に応じて公知の手段を用いて適宜配合することがで
きる。
【0043】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げて具体的に説明
する。例中の部および%は、全て重量基準である。共重合体の物性の定義 粘度 :ガードナー・ホルト泡粘度計で測定し
た値(25℃) 不揮発分 :1gのレジンをアルミ皿上にサンプリ
ングし、150℃で1時間乾燥させたときの不揮発分の
比率 水酸基当量 :1グラム当量の水酸基を含む樹脂のグ
ラム数 酸価 :アクリル系共重合体1gを中和するの
に要する水酸化カリウムのmg数 エポキシ当量 :1グラム当量のエポキシ基を含む樹脂
のグラム数 重量平均分子量:ゲルパーミュエーションクロマトグラ
フィーで測定。
【0044】塗料の物性の定義 塗装粘度 :No.4フォードカップ中の塗料が全
て落下流出するまでの秒数(20℃)塗膜性能の定義 目視外観 :ツヤ感や平滑性を中心に判定 光沢 :スガ試験機(株)製のデジタル変角光
沢計UGV−4Dを用いて測定(60°G) 硬度 :三菱鉛筆ユニ使用(45度の角度で塗
膜を引っかいて硬度を測定) 耐酸性 :40%硫酸水溶液をスポットし、50
℃で1時間放置後水洗し、スポット跡を目視判定 耐水性 :40℃の温水に10日間浸漬後、外観
を目視判定 耐溶剤性 :ガーゼにメチルエチルケトンを浸し、
50往復ラビングテストを行った後の外観を目視で判定
した 耐候性 :スガ試験機製サンシャインウェザーオ
メーターで1000時間評価後、50℃の温水に24時
間浸漬した塗膜の外観を目視判定 耐擦傷性 :大栄科学精器(株)製の摩擦堅牢度試
験機を用い、塗面を接触する箇所にガーゼを当て、荷重
1kgで10往復摩擦試験を行い、傷跡を目視により判
定 貯蔵安定性 :30℃で72時間放置後の塗料の状態
を示す ◎:異常なし ○:若干粘度が上昇、実用上問題なし △:増粘、実用上問題あり ×:ゲル化、使用不可。
【0045】ノンサンドリコート性 リン酸亜鉛処理された鋼板(30*90cm)に自動車
用カチオン電着塗料を塗装し、180℃で30分間焼き
付けた。さらに、アミノアルキッド樹脂系の中塗り塗料
を塗装し、160℃で30分間焼き付けた後、塗膜をサ
ンディングし乾燥させ、テストピースを得た。このテス
トピース上にまず、ベースコート塗料とクリヤーコート
塗料をウェットオンウェット方式で重ね塗りし、160
℃の熱風乾燥機で25分間焼き付け、放冷後さらにサン
ディングしない状態でさらに同じベースコート塗料とク
リヤーコート塗料をウェットオンウェット方式で重ね塗
りし、120℃の熱風乾燥機で25分間焼き付け、評価
用多層塗膜を形成した。この積層塗膜の1cm四方に1
mm間隔で傷をつけ、100個の碁盤目を作り、この上
にセロハンテープを張り付けた後一気に引きはがし、剥
離せずに残った碁盤目の数から付着性を評価した。 ◎:剥離せずに残った面積が90/100以上 △:剥離せずに残った面積が50/100以上90/1
00未満 ×:剥離せずに残った面積が50/100未満。
【0046】耐冷熱クラック性 リン酸亜鉛処理された鋼板(30×90cm)に自動車
用カチオン電着塗料を塗装し、180℃で30分間焼き
付けた。さらに、アミノアルキッド樹脂系の中塗り塗料
を塗装し、160℃で30分間焼き付けた後、塗膜をサ
ンディングし乾燥させ、テストピースを得た。このテス
トピース上にまず、ベースコート塗料とクリヤーコート
塗料をウェットオンウェット方式で重ね塗りし、120
℃の熱風乾燥機で25分間焼き付け、評価用多層塗膜を
形成した。この塗板を40℃で30分間熱風乾燥機内に
放置した後、−40℃のドライアイスの入ったメタノー
ルバスに入れ急冷する。 メタノールバス中に30分間
放置した後、塗膜中のワレを判定した。同じ操作 を5
サイクル行なう。(数字は、塗板上にワレが発生しない
サイクルの回数を表わす。◎は5サイクルでワレな
し。)。
【0047】目視判定の基準 ◎:性能試験後の塗膜品質が試験前と変化せず、優れた
塗膜性能を維持していると判定 ○:性能試験後の塗膜品質は試験前より若干低下してい
るが、実用性能は十分有していると判定 △:性能試験後の塗膜品質が試験前より低下し、実用上
問題があると判定 ×:性能試験後の塗膜品質が試験前より著しく低下し、
実用上使用不可能と判定。
【0048】(1)ベースコート用塗料(M−1)の製
造例 攪拌機、温度制御装置、コンデンサーを備えた容器に溶
剤としてn−ブタノール10部、トルエン90部を加
え、攪拌しながら100℃に加熱した後、メチルメタク
リレート40部、エチルアクリレート30部、n−ブチ
ルアクリレート15部、2−ヒドロキシエチルメタクリ
レート12部、メタクリル酸3部、アゾビスイソブチロ
ニトリル1部からなるビニル系単量体と重合開始剤の混
合物を溶剤中に4時間かけて滴下した後、同温度で3時
間重合し、アクリル系共重合体(B−1)を合成した。
得られたアクリル系共重合体(B−1)の不揮発分は5
0%、重量平均分子量は40000であった。さらに、
このアクリル系共重合体(B−1)100部、ユーバン
20SE−60(三井東圧化学(株)製、ブチル化メラ
ミン樹脂、固形分60%)25部、アルペースト#17
00NL(東洋アルミニウム(株)製、アルミニウムペ
ースト、固形分65%)14部を混合し、ベースコート
塗料組成物を得た。このベースコート塗料組成物を酢酸
エチル/トルエン/ソルベッソ#150(エッソ社製、
芳香族炭化水素)=40/30/30(重量%)からな
る混合溶剤で希釈し、ベースコート塗料組成物の粘度を
フォードカップ#4で13秒となるように調製し、シル
バーメタリック系ベースコート塗料(M−1)を得た。
【0049】(2)アクリル系共重合体(P−1)の合
成 攪拌機、温度制御装置、コンデンサーを備えた容器に溶
剤としてn−ブタノール30部、ソルベッソ#100
(エッソ社製、芳香族石油誘導体)70部を加え、攪拌
しながら100℃に加熱した後、メタクリル酸10部、
β−メタクリロキシエチルアシッドサクシネート10
部、スチレン30部、n−ブチルメタクリレート10
部、2−エチルヘキシルメタクリレート40部、アゾビ
スイソブチロニトリル3部からなるビニル系単量体と重
合開始剤の混合物を溶剤中に4時間かけて滴下し、さら
にフラスコの内温を100℃で保持し、樹脂への添加率
を充分に高めたところで反応を終了させ、アクリル系共
重合体(P−1)を合成した。得られたアクリル系共重
合体の不揮発分は50%、ガードナー粘度はR、酸価は
89mgKOH/g、重量平均分子量は10000であ
った。
【0050】(3)アクリル系共重合体(P−2)〜
(P−4)、(P−6)〜(P−10) の合成 アクリル系共重合体(P−1)の合成方法と同様な操作
で表1に示すビニル系単量体をそれぞれ重合し、アクリ
ル系共重合体(P−2)〜(P−4)および(P−6)
〜(P−10)を合成した。得られた共重合体の特性値
を表1に示した。
【0051】(4)アクリル系共重合体(P−5)の合
成 攪拌機、温度制御装置、コンデンサーを備えた容器に溶
剤としてn−ブタノール30部、ソルベッソ#100
(エッソ社製、芳香族石油誘導体)70部を加え、攪拌
しながら100℃に加熱した後、メタクリル酸10部、
マレイン酸モノメチル3部、β−メタクリロキシエチル
アシッドヘキサヒドロフタレート10部、4−ヒドロキ
シブチルアクリレート9部、スチレン27.5部、2−
エチルヘキシルメタクリレート30.5部、アゾビスイ
ソブチロニトリル3部からなるビニル系単量体と重合開
始剤の混合物を溶剤中に4時間かけて滴下した。その後
フラスコの内温を75℃に低下させ、さらに、グリシジ
ルメタアクリレート4部、4−ヒドロキシブチルアクリ
レート1部、スチレン2.5部、2−エチルヘキシルメ
タクリレート2.5部、アゾビスジメチルバレロニトリ
ル1部からなるビニル系単量体と重合開始剤の混合物を
溶剤中に2時間かけて滴下した。滴下後、フラスコの内
温を75℃で保持して樹脂への添加率を充分に高めたと
ころで反応を終了させ、アクリル系共重合体(P−5)
を合成した。得られたアクリル系共重合体の不揮発分は
50%、ガードナー粘度はY、酸価は98mgKOH/
g、水酸基当量は1440g/eq、エポキシ当量は3
550g/eq、重量平均分子量は14000であっ
た。
【0052】
【表1】
【0053】(6)アクリル系共重合体(P−11)の
合成 攪拌機、温度制御装置、コンデンサーを備えた容器に溶
剤としてn−ブタノール20部、ソルベッソ#100
(エッソ社製、芳香族石油誘導体)80部を加え、攪拌
しながら120℃に加熱した後、グリシジルメタクリレ
ート40部、スチレン30部、2−エチルヘキシルメタ
クリレート30部、アゾビスイソブチロニトリル3部、
t−ブチルイソプロピルカーボネート7部からなるビニ
ル系単量体と重合開始剤の混合物を溶剤中に4時間かけ
て滴下し、さらにフラスコの内温を120℃で保持し、
樹脂への添加率を充分に高めたところで反応を終了さ
せ、アクリル系共重合体(P−12)を合成した。得ら
れたアクリル系共重合体の不揮発分は50%、ガードナ
ー粘度はC、エポキシ当量は355g/eq、重量平均
分子量は5000であった。
【0054】(7)アクリル系共重合体(P−12)、
(P−15)〜(P−18)の合成 アクリル系共重合体(P−11)の合成方法と同様な操
作で表2に示すビニル系単量体をそれぞれ重合し、アク
リル系共重合体(P−12)、(P−15)〜(P−1
8)を合成した。得られた共重合体の特性値を表2に示
した。
【0055】(8)アクリル系共重合体(P−13)の
合成 攪拌機、温度制御装置、コンデンサーを備えた容器に溶
剤としてn−ブタノール20部、ソルベッソ#100
(エッソ社製、芳香族石油誘導体)80部を加え、攪拌
しながら120℃に加熱した後、グリシジルメタクリレ
ート30部、4−ヒドロキシブチルアクリレート9部、
スチレン27部、2−エチルヘキシルメタクリレート2
4部、アゾビスイソブチロニトリル3部、t−ブチルイ
ソプロピルカーボネート7部からなるビニル系単量体と
重合開始剤の混合物を溶剤中に4時間かけて滴下した。
その後フラスコの内温を70℃に低下させ、さらに、メ
タクリル酸4部、2−エチルヘキシルメタクリレート2
部、スチレン3部、4−ヒドロキシブチルアクリレート
1部、アゾビスジメチルバレロニトリル1部からなるビ
ニル系単量体と重合開始剤の混合物を溶剤中に2時間か
けて滴下した。滴下後、フラスコの内温を70℃で保持
して樹脂への添加率を充分に高めたところで反応を終了
させ、アクリル系共重合体(P−13)を合成した。得
られたアクリル系共重合体の不揮発分は50%、ガード
ナー粘度はH、酸価は26mgKOH/g、水酸基当量
は1440g/eq、エポキシ当量は473g/eq、
重量平均分子量は6000であった。
【0056】(9)アクリル系共重合体(P−14)の
合成 アクリル系共重合体(P−13)の合成方法と同様な操
作で表2に示すビニル系単量体をそれぞれ重合し、アク
リル系共重合体(P−13)を合成した。得られた共重
合体の特性値を表2に示した。
【0057】
【表2】
【0058】(10)クリヤーコート用塗料の調製 表1、表2記載のアクリル系共重合体を表3および表4
記載の割合で配合し、攪拌混合後、混合溶剤(ソルベッ
ソ#100/セロソルブアセテート=50/50(重量
比)を添加し、塗装粘度が25秒(フォードカップN
o.4使用、測定温度20秒)となるように希釈して、
クリヤーコート用塗料を調製した。
【0059】
【表3】
【0060】
【表4】
【0061】(表中記載の数字はすべて固形分基準であ
る。) *1)モンサント社製、表面調整剤 *2)硬化触媒:ベンジルトリブチルアンモニウムクロ
リド *3)三井東圧化学(株)製、ブチル化メラミン樹脂
(不揮発分60%) *4)ナガセ化成(株)製、ブタンジオールジグリシジ
ルエーテル。
【0062】実施例1〜10および比較例1〜12 リン酸亜鉛処理された鋼板(30cmx90cm)に自
動車用カチオン電着塗料を塗装し、180℃で30分間
焼き付けた。さらに、アミノアルキッド樹脂系の中塗り
塗料を塗装し、160℃で30分間焼き付けた後塗膜を
水研し、乾燥させた。この塗膜上に、まずベースコート
塗料(M−1)を乾燥膜厚が15μmとなるように塗装
し、5分間放置した後、表3または表4記載のクリヤー
コート用塗料を乾燥膜厚が30μmとなるようにウェッ
トオンウェット方式で重ね塗りした。未乾燥の重ね塗り
塗膜を室温で15分間放置後、140℃の熱風乾燥機で
30分間焼き付けて(耐冷熱クラック性評価用サンプル
は120℃x25分間で焼き付け)2コート1ベーク方
式による多層塗膜を形成した。得られた多層塗膜の塗膜
性能を表5および表6に示した。
【0063】
【表5】
【0064】
【表6】
【0065】本発明の実施例1〜10の熱硬化性被覆組
成物は、優れた貯蔵安定性、低温硬化性を持ち、塗膜性
能も優れていた。これに対して、本発明が規定する条件
を満たさない比較例1〜12の熱硬化性被覆組成物は、
貯蔵安定性、低温硬化性、塗膜性能ともに低位なもので
あった。
【0066】
【発明の効果】以上の実施例からも明らかなように、本
発明のアクリル系共重合体を含有する熱硬化被覆組成物
は、貯蔵安定性、低温硬化性に優れ、さらに、これを用
いることによって、塗膜性能、特に耐擦り傷性にも優れ
た塗膜の提供が可能であり、工業上非常に有益なもので
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩本 暁生 愛知県名古屋市東区砂田橋四丁目1番60 号 三菱レイヨン株式会社商品開発研究 所内 (72)発明者 岩瀬 国男 愛知県名古屋市東区砂田橋四丁目1番60 号 三菱レイヨン株式会社商品開発研究 所内 (72)発明者 藤江 忍 愛知県名古屋市東区砂田橋四丁目1番60 号 三菱レイヨン株式会社商品開発研究 所内 (56)参考文献 特開 昭60−221469(JP,A) 特開 平4−114069(JP,A) 特開 平1−139655(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 163/00 C08F 220/28 C08G 59/32 C08G 59/40 C09D 133/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)一般式[1]に示す構造を持つカ
    ルボキシル基含有単量体0.5〜30重量% 【化1】 (式中、Rは水素またはメチル基またはカルボキシル
    メチル基を表し、Rは水素原子または一般式[2]に
    示すカルボキシル基またはカルボン酸エステル置換基を
    表す。) 【化2】 (式中、Rは水素または炭素数1〜10の炭化水素置
    換基を表す。) (b)一般式[3]に示す構造を持つカルボキシル基含
    有(メタ)アクリル酸エステル単量体0.5〜50重量
    % 【化3】 (式中、Rは水素またはメチル基を表し、Rは一般
    式[4]〜[6]に示す構造を持つ炭化水素置換基また
    はヘテロ原子で置換された炭化水素置換基を表す。) 【化4】 (式中、Rは炭素数1〜3の直鎖状または分岐状のア
    ルキレン基を表す。) 【化5】 (式中、Rは炭素数1〜10の直鎖状または分岐状の
    アルキレン基を表し、Rは炭素数2〜10の直鎖状ま
    たは分岐状のアルキレン基またはアルケニレン基または
    カルボキシル基やハロゲン原子で置換されても良いアリ
    ーレン基またはシクロアルキレン基を表す。) 【化6】 (式中、Rは炭素数1〜10の直鎖状または分岐状の
    アルキレン基を表し、mは4〜6の整数で表され、R
    10はRと同じ置換基を表し、nは1〜6の整数で表
    される。) (c)前記(a)、(b)以外のビニル系単量体20〜
    90重量%から成るアクリル系共重合体(A)と、エポ
    キシ基を有するアクリル系共重合体(B)を含有する熱
    硬化性被覆組成物。
  2. 【請求項2】 水酸基を有するアクリル系共重合体
    (C)を含有する請求項1記載の熱硬化性被覆組成物。
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