JP3412206B2 - 多孔質セラミックスの製造方法 - Google Patents
多孔質セラミックスの製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は,非酸化物セラミ
ックスを母相する多孔質セラミックスの製造方法に関す
る。 【0002】 【従来の技術】従来,炭化ケイ素SiC,窒化硼素BN
を窒化ケイ素Si3 N4 中に分散させて摩擦係数を低減
するものは,例えば,特開昭59−30769号公報に
開示されている。また,焼結助剤として,Fe3 O4 等
の鉄Feの酸化物を添加した窒化ケイ素Si3 N4 は,
例えば,特開昭58−64268号公報,特開昭59−
88374号公報,特開昭61−72685号公報等に
開示されている。 【0003】また,焼結多孔質セラミックスは,樹脂等
の多孔材を中子にして,多孔材の空隙にセラミックスを
充填させて成形を行い,多孔材を加熱除去して空隙とし
た後,焼成を行って焼結多孔質体を作製したり,原料粒
子径の調整によって焼結多孔質体に作製したり,或いは
反応焼結法によって焼結多孔質体を作製している。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら,中子を
用いて焼結多孔質セラミックスを作製する場合には,中
子を加熱除去する際に中子が膨脹し,割れ,クラックが
生じ易く,また,加熱時に分解したC,Oが焼結を阻害
することがある。また,従来の焼結多孔質セラミックス
を作製する方法では,φ50μm以上の孔を有する多孔
体を得ることは困難であり,気孔率50%以上の多孔体
を作製することは困難であった。更に,作製できるSi
3 N4 はβ−Si3 N4 になり難く,緻密質の焼結体の
組織にならず,しかも焼結時間も長時間を要した。 【0005】ところで,窒化ケイ素のセラミックスにつ
いては,低い摩擦係数を持つものが望まれている。一般
に,Si3 N4 中に,炭化ケイ素,窒化ホウ素或いは酸
化物の粒子を分散させた場合には,結合界面での反応性
に乏しく,材料自体の強度が低下する。また,窒化ホウ
素を複合した材料では高温中その部分が酸化され結晶構
造が変化し,摩擦係数が上昇することがある。上記公報
に開示されているように,焼結助剤として,Fe3 O4
等の金属酸化物を添加したものでは,該添加量が少な
く,また低摩擦の特性を得ることができない。 【0006】また,Si3 N4 と鉄Feの酸化物との複
合では,焼成時に還元反応が起こり,FeO,Fe2 O
3 ,Fe3 O4 の形で混合段階で添加しても,焼成後に
は,Fe−Si系の化合物に変化する。このような化合
物も潤滑油との吸着性に優れるが,更に一層吸着性を高
め,低摩擦化するためには,酸化物の状態で残すことが
望ましいものである。 【0007】そこで,この発明の目的は,上記の課題を
解決することであり,Si3 N4 ,SiC等の非酸化物
セラミックスを母相とし,母相中にFe酸化物が点在
し,大きな開気孔の空隙部を有すると共に空隙部以外は
緻密質を有し,強度を有すると共に,オイルとの吸着性
に優れ,気孔がオイル溜りの機能を果たすことによって
低摩擦化する多孔質セラミックスの製造方法を提供する
ことである。 【0008】 【課題を解決するための手段】この発明は,非酸化物セ
ラミックス及び焼結助剤に,前記非酸化物セラミックス
の焼結温度以下で発泡するFe酸化物を30〜45vo
l%添加して焼成することを特徴とする多孔質セラミッ
クスの製造方法に関する。 【0009】この発明による多孔質セラミックスの製造
方法は,上記のように構成されており,次のように作用
する。即ち,この多孔質セラミックスは,非酸化物セラ
ミックスを母相として,開気孔の空隙部を有し,母相中
にFe化合物が点在しているものであり,前記非酸化物
セラミックス及び焼結助剤にセラミックスの焼結温度以
下で発泡するFe酸化物を添加して焼成することによっ
て大きな気孔で気孔率の大きい多孔質焼結体に形成させ
ることができる。 【0010】この発明の製造方法で作製された多孔質セ
ラミックスは,Fe化合物が点在した非酸化物セラミッ
クスの母相は緻密質の組織即ち前記空隙部以外の組織は
組織針状粒子が絡み合う緻密質で構成されており,従来
の多孔質セラミックスに比較して高い強度を有してい
る。従って,この多孔質セラミックスの製造方法では,
焼結工程において,中子,原料の粒度調整を行う必要が
なく,容易に確実に多孔質焼結体に作製することができ
る。 【0011】また,この発明の製造方法で作製された多
孔質セラミックスは,Fe化合物を添加原料としてセラ
ミックスの母相中に所定量点在させることによって,オ
イルとの吸着性を良好にして低い摩擦係数で且つ高い強
度を維持したセラミックスと鉄化合物との複合セラミッ
クス材を得ることができる。 【0012】 【発明の実施の形態】以下,図面を参照して,この発明
による製造方法で作製された多孔質セラミックスについ
て説明する。この発明による製造方法で作製された多孔
質セラミックスは,非酸化物セラミックスを母相とし
て,開気孔の空隙部を有し,母相中にFe化合物が点在
し,前記空隙部以外の組織は組織針状粒子が絡み合う緻
密質であることを特徴としている。しかも,この多孔質
セラミックスの表面は,緻密質の皮膜で覆われ,その皮
膜が母相即ち母材の構成元素とFe化合物の混合物で形
成されているものである。また,非酸化物セラミックス
としては,Si3 N4 ,SiC,あるいはSiAlX O
Y NZ (X≧0,Y≧0,Z>0)で構成されているも
のである。この多孔質セラミックスにおいて,Fe化合
物は,Feの酸化物 である。しかも,この多孔質セラミ
ックスは,気孔率が50%以上であり,その気孔率の8
0%の容積を気孔径がφ0.1〜φ1mmの気孔で占め
られているものである。 【0013】特に,この多孔質セラミックスは,非酸化
物セラミックス及び焼結助剤にセラミックスの焼結温度
以下で揮発即ち発泡するFe酸化物である発泡物質を添
加して焼成することによって容易に且つ確実に作製でき
る。発泡物質としては,母材中にFe化合物を点在させ
ていることから,Fe酸化物であることが好ましく,そ
れによって摩擦係数を低減することができる。 【0014】次に,この発明の製造方法による多孔質セ
ラミックスについて説明する。 〔実施例1〕 この多孔質セラミックスの製造方法において,まず,S
i3 N4 ,Al2 O3及びY2 O3 を次の比率で配合す
る。Si3 N4 :Al2 O3 :Y2 O3 =90:5:5
の比率で配合する。この総量に対して,粒径1μm以下
の揮発性即ち発泡性のFe酸化物を所定量加え,メタノ
ール,バインダと共に,ボールミルにて約24時間混合
して混合物を作った後,該混合物をスプレードライヤに
よって造粒処理を行なって粒状物を作った。 【0015】次いで,造粒処理したこれらの粒状物を,
25×20×100mmの内寸とした金型内で予備成形
した後,予備成形体をCIPによって約2000kgf
/cm2 のプレス圧によって直方体の種々の成形体を得
た。これらの成形体を脱脂した後に,これらの脱脂成形
体を3.0MPaのN2 雰囲気中で,最高温度1850
℃まで加熱焼成して焼結体即ち多孔質セラミックスを作
製した。 【0016】上記工程により作製した焼結体即ち多孔質
セラミックスより,4点曲げ強度評価用テストピースを
切り出し,テストピースの密度測定,強度測定を行っ
た。その結果を図1及び図2に示す。図から分かるよう
に,Fe酸化物の添加量が増加するに従って,相対密度
及び強度も低下する傾向であることが分かる。 【0017】また,この焼結体について,Fe酸化物の
添加量が30vol%以上になると,焼結体表面に膨れ
が認められた。この焼結体の組織を電子顕微鏡で観察し
たところ,φ100μm〜φ1mmの連続気孔即ち開気
孔を有する多孔質体であった。また,気孔率は60%で
あり,従来のSi3 N4 に比較して大きい値を示した。
気孔率中には,φ100μm〜φ1mmの気孔が占める
割合は,80%以上であった。また,この焼結体の組織
は,組織針状粒子が絡み合う組織であり,緻密質のSi
3 N4 組織と同様であった。XRD分析(X線回折)で
は,Si−Al−O−N,Si−O−N,Fe,Fe−
Si等で構成されていることが確認できた。この焼結体
は,作製された多孔体の表面のみに緻密質の皮膜で覆わ
れており,その皮膜にもFe元素が検出された。また,
図1に示すように,Fe酸化物の添加量が45vol%
以上になると,保形性が無くなることが認められた。従
って,Fe酸化物の添加量は,30〜45vol%の範
囲である。 【0018】この多孔質セラミックスを比較するため,
比較例1の焼結体を作製した。 〔比較例1〕 比較例1の焼結体の製造方法では,Si3 N4 ,Al2
O3 及びY2 O3 を次の比率で配合する。Si3 N4 :
Al2 O3 :Y2 O3 =90:5:5の比率で配合す
る。この混合物にメタノール,バインダと共に,ボール
ミルにて約24時間混合して混合物を作った後,該混合
物をスプレードライヤによって造粒処理を行なって粒状
物を作った。 【0019】次いで,造粒処理したこれらの粒状物を,
25×20×100mmの内寸とした金型内で予備成形
した後,予備成形体をCIPによって約2000kgf
/cm2 のプレス圧によって直方体の種々の成形体を得
た。これらの成形体を脱脂した後に,これらの脱脂成形
体を3.0MPaのN2 雰囲気中で,最高温度1900
℃まで加熱焼成して焼結体を作製した。上記工程により
作製した比較例1の焼結体より,4点曲げ強度評価用テ
ストピースを切り出し,該テストピースの密度測定,強
度測定を行った。その結果,比較例1の焼結体は,相対
密度95%で,4点曲げ強度は520MPaであった。
また,比較例1の焼結体の表面に膨れが見られるが,そ
の組織の断面は僅かの気泡,クラックの存在が認められ
るに過ぎず,組織は多孔質になっていなかった。 【0020】この多孔質セラミックスを比較するため,
更に比較例2の焼結体を作製した。 〔比較例2〕 比較例2の焼結体の製造方法では,Si粉末の圧粉体を
1400℃のN2 ガス雰囲気中で40時間加熱し,焼結
体を作製した。比較例2の焼結体より,4点曲げ強度評
価用テストピースを切り出し,該テストピースの密度測
定,強度測定を行った。その結果は,比較例2の焼結体
について,相対密度25%で4点曲げ強度は200MP
aであり,相対密度32%で4点曲げ強度は130MP
aであり,更に相対密度40%で4点曲げ強度は95M
Paであった。比較例2の焼結体では,相対密度40%
までの気孔率を有する焼結体は作製できたが,相対密度
40%以上の気孔率を有する焼結体は強度が低く,ハン
ドリング時に割れてしまった。また,比較例2の焼結体
は,気孔サイズはほとんどが40μm以下であり,しか
も連続気孔にはならなかった。 【0021】 【発明の効果】この発明による多孔質セラミックスの製
造方法は,上記のように構成されており,次のような効
果を有する。即ち,この発明の製造方法による多孔質セ
ラミックスは,非酸化物セラミックスを母相として,開
気孔の空隙部を有し,前記母相中にFe酸化物が点在
し,前記空隙部以外の組織は組織針状粒子が絡み合う緻
密質で構成されており,気孔率が50%以上の大きい気
孔率であり,しかも気孔径がφ100μm〜φ1mmの
大きいサイズのものである。特に,この多孔質セラミッ
クスの製造方法は,前記非酸化物セラミックスとしてS
i3 N4 ,SiC等のセラミックスを使用し,焼結助剤
とは別に焼結温度以下で揮発するFe酸化物を30〜4
5vol%添加して,焼結することにより,製造工程に
おいて従来のような中子を必要とせず,また,原料の粒
度調整を行うことなく,上記の構造を有する多孔質セラ
ミックスを作製できる。特に,この発明の製造方法によ
る多孔質セラミックスは,Fe酸化物が点在しているの
で,Fe化合物がオイルとの吸着性にすぐれるため,低
摩擦化となり,前記空隙部以外の組織は組織針状粒子が
絡み合う緻密質で構成されているので,高い強度を有す
るようになる。
ックスを母相する多孔質セラミックスの製造方法に関す
る。 【0002】 【従来の技術】従来,炭化ケイ素SiC,窒化硼素BN
を窒化ケイ素Si3 N4 中に分散させて摩擦係数を低減
するものは,例えば,特開昭59−30769号公報に
開示されている。また,焼結助剤として,Fe3 O4 等
の鉄Feの酸化物を添加した窒化ケイ素Si3 N4 は,
例えば,特開昭58−64268号公報,特開昭59−
88374号公報,特開昭61−72685号公報等に
開示されている。 【0003】また,焼結多孔質セラミックスは,樹脂等
の多孔材を中子にして,多孔材の空隙にセラミックスを
充填させて成形を行い,多孔材を加熱除去して空隙とし
た後,焼成を行って焼結多孔質体を作製したり,原料粒
子径の調整によって焼結多孔質体に作製したり,或いは
反応焼結法によって焼結多孔質体を作製している。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら,中子を
用いて焼結多孔質セラミックスを作製する場合には,中
子を加熱除去する際に中子が膨脹し,割れ,クラックが
生じ易く,また,加熱時に分解したC,Oが焼結を阻害
することがある。また,従来の焼結多孔質セラミックス
を作製する方法では,φ50μm以上の孔を有する多孔
体を得ることは困難であり,気孔率50%以上の多孔体
を作製することは困難であった。更に,作製できるSi
3 N4 はβ−Si3 N4 になり難く,緻密質の焼結体の
組織にならず,しかも焼結時間も長時間を要した。 【0005】ところで,窒化ケイ素のセラミックスにつ
いては,低い摩擦係数を持つものが望まれている。一般
に,Si3 N4 中に,炭化ケイ素,窒化ホウ素或いは酸
化物の粒子を分散させた場合には,結合界面での反応性
に乏しく,材料自体の強度が低下する。また,窒化ホウ
素を複合した材料では高温中その部分が酸化され結晶構
造が変化し,摩擦係数が上昇することがある。上記公報
に開示されているように,焼結助剤として,Fe3 O4
等の金属酸化物を添加したものでは,該添加量が少な
く,また低摩擦の特性を得ることができない。 【0006】また,Si3 N4 と鉄Feの酸化物との複
合では,焼成時に還元反応が起こり,FeO,Fe2 O
3 ,Fe3 O4 の形で混合段階で添加しても,焼成後に
は,Fe−Si系の化合物に変化する。このような化合
物も潤滑油との吸着性に優れるが,更に一層吸着性を高
め,低摩擦化するためには,酸化物の状態で残すことが
望ましいものである。 【0007】そこで,この発明の目的は,上記の課題を
解決することであり,Si3 N4 ,SiC等の非酸化物
セラミックスを母相とし,母相中にFe酸化物が点在
し,大きな開気孔の空隙部を有すると共に空隙部以外は
緻密質を有し,強度を有すると共に,オイルとの吸着性
に優れ,気孔がオイル溜りの機能を果たすことによって
低摩擦化する多孔質セラミックスの製造方法を提供する
ことである。 【0008】 【課題を解決するための手段】この発明は,非酸化物セ
ラミックス及び焼結助剤に,前記非酸化物セラミックス
の焼結温度以下で発泡するFe酸化物を30〜45vo
l%添加して焼成することを特徴とする多孔質セラミッ
クスの製造方法に関する。 【0009】この発明による多孔質セラミックスの製造
方法は,上記のように構成されており,次のように作用
する。即ち,この多孔質セラミックスは,非酸化物セラ
ミックスを母相として,開気孔の空隙部を有し,母相中
にFe化合物が点在しているものであり,前記非酸化物
セラミックス及び焼結助剤にセラミックスの焼結温度以
下で発泡するFe酸化物を添加して焼成することによっ
て大きな気孔で気孔率の大きい多孔質焼結体に形成させ
ることができる。 【0010】この発明の製造方法で作製された多孔質セ
ラミックスは,Fe化合物が点在した非酸化物セラミッ
クスの母相は緻密質の組織即ち前記空隙部以外の組織は
組織針状粒子が絡み合う緻密質で構成されており,従来
の多孔質セラミックスに比較して高い強度を有してい
る。従って,この多孔質セラミックスの製造方法では,
焼結工程において,中子,原料の粒度調整を行う必要が
なく,容易に確実に多孔質焼結体に作製することができ
る。 【0011】また,この発明の製造方法で作製された多
孔質セラミックスは,Fe化合物を添加原料としてセラ
ミックスの母相中に所定量点在させることによって,オ
イルとの吸着性を良好にして低い摩擦係数で且つ高い強
度を維持したセラミックスと鉄化合物との複合セラミッ
クス材を得ることができる。 【0012】 【発明の実施の形態】以下,図面を参照して,この発明
による製造方法で作製された多孔質セラミックスについ
て説明する。この発明による製造方法で作製された多孔
質セラミックスは,非酸化物セラミックスを母相とし
て,開気孔の空隙部を有し,母相中にFe化合物が点在
し,前記空隙部以外の組織は組織針状粒子が絡み合う緻
密質であることを特徴としている。しかも,この多孔質
セラミックスの表面は,緻密質の皮膜で覆われ,その皮
膜が母相即ち母材の構成元素とFe化合物の混合物で形
成されているものである。また,非酸化物セラミックス
としては,Si3 N4 ,SiC,あるいはSiAlX O
Y NZ (X≧0,Y≧0,Z>0)で構成されているも
のである。この多孔質セラミックスにおいて,Fe化合
物は,Feの酸化物 である。しかも,この多孔質セラミ
ックスは,気孔率が50%以上であり,その気孔率の8
0%の容積を気孔径がφ0.1〜φ1mmの気孔で占め
られているものである。 【0013】特に,この多孔質セラミックスは,非酸化
物セラミックス及び焼結助剤にセラミックスの焼結温度
以下で揮発即ち発泡するFe酸化物である発泡物質を添
加して焼成することによって容易に且つ確実に作製でき
る。発泡物質としては,母材中にFe化合物を点在させ
ていることから,Fe酸化物であることが好ましく,そ
れによって摩擦係数を低減することができる。 【0014】次に,この発明の製造方法による多孔質セ
ラミックスについて説明する。 〔実施例1〕 この多孔質セラミックスの製造方法において,まず,S
i3 N4 ,Al2 O3及びY2 O3 を次の比率で配合す
る。Si3 N4 :Al2 O3 :Y2 O3 =90:5:5
の比率で配合する。この総量に対して,粒径1μm以下
の揮発性即ち発泡性のFe酸化物を所定量加え,メタノ
ール,バインダと共に,ボールミルにて約24時間混合
して混合物を作った後,該混合物をスプレードライヤに
よって造粒処理を行なって粒状物を作った。 【0015】次いで,造粒処理したこれらの粒状物を,
25×20×100mmの内寸とした金型内で予備成形
した後,予備成形体をCIPによって約2000kgf
/cm2 のプレス圧によって直方体の種々の成形体を得
た。これらの成形体を脱脂した後に,これらの脱脂成形
体を3.0MPaのN2 雰囲気中で,最高温度1850
℃まで加熱焼成して焼結体即ち多孔質セラミックスを作
製した。 【0016】上記工程により作製した焼結体即ち多孔質
セラミックスより,4点曲げ強度評価用テストピースを
切り出し,テストピースの密度測定,強度測定を行っ
た。その結果を図1及び図2に示す。図から分かるよう
に,Fe酸化物の添加量が増加するに従って,相対密度
及び強度も低下する傾向であることが分かる。 【0017】また,この焼結体について,Fe酸化物の
添加量が30vol%以上になると,焼結体表面に膨れ
が認められた。この焼結体の組織を電子顕微鏡で観察し
たところ,φ100μm〜φ1mmの連続気孔即ち開気
孔を有する多孔質体であった。また,気孔率は60%で
あり,従来のSi3 N4 に比較して大きい値を示した。
気孔率中には,φ100μm〜φ1mmの気孔が占める
割合は,80%以上であった。また,この焼結体の組織
は,組織針状粒子が絡み合う組織であり,緻密質のSi
3 N4 組織と同様であった。XRD分析(X線回折)で
は,Si−Al−O−N,Si−O−N,Fe,Fe−
Si等で構成されていることが確認できた。この焼結体
は,作製された多孔体の表面のみに緻密質の皮膜で覆わ
れており,その皮膜にもFe元素が検出された。また,
図1に示すように,Fe酸化物の添加量が45vol%
以上になると,保形性が無くなることが認められた。従
って,Fe酸化物の添加量は,30〜45vol%の範
囲である。 【0018】この多孔質セラミックスを比較するため,
比較例1の焼結体を作製した。 〔比較例1〕 比較例1の焼結体の製造方法では,Si3 N4 ,Al2
O3 及びY2 O3 を次の比率で配合する。Si3 N4 :
Al2 O3 :Y2 O3 =90:5:5の比率で配合す
る。この混合物にメタノール,バインダと共に,ボール
ミルにて約24時間混合して混合物を作った後,該混合
物をスプレードライヤによって造粒処理を行なって粒状
物を作った。 【0019】次いで,造粒処理したこれらの粒状物を,
25×20×100mmの内寸とした金型内で予備成形
した後,予備成形体をCIPによって約2000kgf
/cm2 のプレス圧によって直方体の種々の成形体を得
た。これらの成形体を脱脂した後に,これらの脱脂成形
体を3.0MPaのN2 雰囲気中で,最高温度1900
℃まで加熱焼成して焼結体を作製した。上記工程により
作製した比較例1の焼結体より,4点曲げ強度評価用テ
ストピースを切り出し,該テストピースの密度測定,強
度測定を行った。その結果,比較例1の焼結体は,相対
密度95%で,4点曲げ強度は520MPaであった。
また,比較例1の焼結体の表面に膨れが見られるが,そ
の組織の断面は僅かの気泡,クラックの存在が認められ
るに過ぎず,組織は多孔質になっていなかった。 【0020】この多孔質セラミックスを比較するため,
更に比較例2の焼結体を作製した。 〔比較例2〕 比較例2の焼結体の製造方法では,Si粉末の圧粉体を
1400℃のN2 ガス雰囲気中で40時間加熱し,焼結
体を作製した。比較例2の焼結体より,4点曲げ強度評
価用テストピースを切り出し,該テストピースの密度測
定,強度測定を行った。その結果は,比較例2の焼結体
について,相対密度25%で4点曲げ強度は200MP
aであり,相対密度32%で4点曲げ強度は130MP
aであり,更に相対密度40%で4点曲げ強度は95M
Paであった。比較例2の焼結体では,相対密度40%
までの気孔率を有する焼結体は作製できたが,相対密度
40%以上の気孔率を有する焼結体は強度が低く,ハン
ドリング時に割れてしまった。また,比較例2の焼結体
は,気孔サイズはほとんどが40μm以下であり,しか
も連続気孔にはならなかった。 【0021】 【発明の効果】この発明による多孔質セラミックスの製
造方法は,上記のように構成されており,次のような効
果を有する。即ち,この発明の製造方法による多孔質セ
ラミックスは,非酸化物セラミックスを母相として,開
気孔の空隙部を有し,前記母相中にFe酸化物が点在
し,前記空隙部以外の組織は組織針状粒子が絡み合う緻
密質で構成されており,気孔率が50%以上の大きい気
孔率であり,しかも気孔径がφ100μm〜φ1mmの
大きいサイズのものである。特に,この多孔質セラミッ
クスの製造方法は,前記非酸化物セラミックスとしてS
i3 N4 ,SiC等のセラミックスを使用し,焼結助剤
とは別に焼結温度以下で揮発するFe酸化物を30〜4
5vol%添加して,焼結することにより,製造工程に
おいて従来のような中子を必要とせず,また,原料の粒
度調整を行うことなく,上記の構造を有する多孔質セラ
ミックスを作製できる。特に,この発明の製造方法によ
る多孔質セラミックスは,Fe酸化物が点在しているの
で,Fe化合物がオイルとの吸着性にすぐれるため,低
摩擦化となり,前記空隙部以外の組織は組織針状粒子が
絡み合う緻密質で構成されているので,高い強度を有す
るようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の製造方法による多孔質セラミックス
について,Fe酸化物の添加量に対する相対密度の関係
を示すグラフである。 【図2】この発明の製造方法による多孔質セラミックス
について,Fe酸化物の添加量に対する4点曲げ強度の
関係を示すグラフである。
について,Fe酸化物の添加量に対する相対密度の関係
を示すグラフである。 【図2】この発明の製造方法による多孔質セラミックス
について,Fe酸化物の添加量に対する4点曲げ強度の
関係を示すグラフである。
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(56)参考文献 特開 平5−117056(JP,A)
特開 昭61−163174(JP,A)
特開 昭61−281082(JP,A)
特開 昭61−91076(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
C04B 38/00 - 38/10
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 非酸化物セラミックス及び焼結助剤に,
前記非酸化物セラミックスの焼結温度以下で発泡するF
e酸化物を30〜45vol%添加して焼成することを
特徴とする多孔質セラミックスの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26545593A JP3412206B2 (ja) | 1993-09-30 | 1993-09-30 | 多孔質セラミックスの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26545593A JP3412206B2 (ja) | 1993-09-30 | 1993-09-30 | 多孔質セラミックスの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07101788A JPH07101788A (ja) | 1995-04-18 |
JP3412206B2 true JP3412206B2 (ja) | 2003-06-03 |
Family
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP26545593A Expired - Fee Related JP3412206B2 (ja) | 1993-09-30 | 1993-09-30 | 多孔質セラミックスの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3412206B2 (ja) |
-
1993
- 1993-09-30 JP JP26545593A patent/JP3412206B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
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JPH07101788A (ja) | 1995-04-18 |
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