JP3398723B2 - 液体運搬船の自立角型タンク及びその支持装置 - Google Patents

液体運搬船の自立角型タンク及びその支持装置

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JP3398723B2
JP3398723B2 JP30206893A JP30206893A JP3398723B2 JP 3398723 B2 JP3398723 B2 JP 3398723B2 JP 30206893 A JP30206893 A JP 30206893A JP 30206893 A JP30206893 A JP 30206893A JP 3398723 B2 JP3398723 B2 JP 3398723B2
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昭則 安部
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液体運搬船の自立角型
タンク及びその支持装置に係り、特に、船殻と自立角型
タンクとの相対移動に基づく干渉を防止する技術に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】液体運搬船に関連する技術として、特開
平2−249796号公報(液体運搬船)、特開平4−
8999号公報(液体運搬船用ガスタンクの支持装
置)、特開平4−92794号公報(液体運搬船用ガス
タンクの支持装置)、特開平4−143187号公報
(船の二重殻構造物及びその構築方法)等が提案されて
いる。
【0003】これらの技術を適用した液体運搬船では、
図9ないし図11に示すように、船体(船殻)1を、外
側殻1Aと内側殻1Bとからなる二重構造とし、船体1
の中空部2に搭載されるタンク3を、長方体(角型)と
するとともに船体1(内側殻1B)から独立させた自立
構造として、甲板の平坦化、液化ガス等の液体の収納容
積拡大、座礁等の事故時の安全性の確保、LNG(液化
天然ガス)運搬時の信頼性向上等の優れた特長を持たせ
ることができるものと期待される。
【0004】そして、タンク3を角型とする場合には、
球型タンクと比較して、タンク隔壁3aが内部圧力等に
よって変形し易くなるために、図11に示すように、タ
ンク隔壁3aの内面に、内方に突出した状態の大骨(補
強内部構造物)4を配して補強を行なうとともに、図1
2に示すように、大骨4の補強板5の内方縁部に直交状
態のフェースプレート6を配して、全体の強度の向上と
軽量化とを達成するようにしている。
【0005】また、図11及び図13に示すように、内
側殻1Bとタンク3との間には、タンク3及び搭載液体
の重量を複数箇所において支持するための荷重支持台7
と、タンク3の前後移動を抑制するための前後移動抑制
用支持装置8と、タンク3の左右移動を抑制するための
左右移動抑制用支持装置9とが配される。これらの前後
移動抑制用支持装置8及び左右移動抑制用支持装置9
は、内側殻1Bの天井部分とタンク3の頂部との間、内
側殻1Bの底部内表面とタンク3の底部との間にそれぞ
れ複数配される。前後移動抑制用支持装置8にあって
は、図13に示すように、左右方向に沿って横1列状態
に、かつ、タンク3の上下位置で、内側殻1Bとタンク
3との間の前後方向の相対移動を拘束するとともに、左
右方向の相対移動を許容するように設定される。左右移
動抑制用支持装置9にあっては、図11及び図13に示
すように、タンク3の上下位置で、内側殻1Bとタンク
3との間の左右方向の相対移動を拘束するとともに、前
後方向の相対移動を許容するように設定される。なお、
これら支持装置8,9にあっては、常温雰囲気で組み付
けられるために、各水平方向の移動を許容するためのク
リアランスを、例えば1mm以下とする精度の高い作業
が必要になる。
【0006】このような液体運搬船にあっては、波浪の
影響及び航行によるピッチング及びローリング発生や衝
突等に起因する外力が、タンク3に及ぶことを予測した
荷重条件での検討が必要である。このうち、最も厳しい
荷重条件である30度ヒール時(左右方向に30度傾斜
時)においては、例えば上下方向に0.87G、左右方
向に0.5Gがタンク3に加わるものとして検討され
る。
【0007】図11及び図13に示すように、タンク3
の上下に左右移動抑制用支持装置9を配している場合に
は、0.5Gのうちの30%を上方位置で支持し、残り
の70%を下方位置で支持する等の設定がなされる。こ
の場合、下方位置では、各荷重支持台7の摩擦力によっ
て左右方向の移動抑制作用が生じる。したがって、上下
方向の0.87Gに滑り摩擦係数(ほぼ0.4〜0.5
程度)を乗じた値の左右方向の移動抑制力を利用するこ
とができるため、下方位置の左右移動抑制用支持装置9
が分担すべき移動抑制力は、理論上小さなものとなる。
【0008】一方、荷重支持台7、各支持装置8,9に
は、内側殻1Bとタンク3との熱伝達を抑制するための
強化合板が使用されるが、その際に積層方向を上下方向
に設定することによって、重量支持時に積層部分に圧縮
力のみを付加して、十分な強度を得るようにしている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、タンク3は、
液化ガス搭載時の冷却によって図13の鎖線で示すよう
な収縮を伴うために、タンク3の頂部の前後移動抑制用
支持装置8及び左右移動抑制用支持装置9を、寸法変化
に追従し得る構造とするとともに、常温状態において収
縮状態まで考慮した高い寸法精度の設定を行なっておく
必要が生じる。加えて、常温状態にあっては、内側殻1
Bの天井部分とタンク3の頂部との間が最も狭められた
狭隘部となるため、常温状態での寸法調整作業性が損わ
れ易い。
【0010】本発明は、これらの事情に鑑みてなされた
もので、船殻とタンク頂部との間の移動抑制用支持装
置を省略して、タンク構築性の向上と移動抑制用支持装
置の構造の単純化とを図ること、タンク支持部分の精
度管理を簡素化すること、タンク強度の向上を図るこ
とを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するための複数の手段を提案している。第1の発明
は、船殻とタンク頂部との間に、両者の相対移動を許容
する解放空間が形成されるとともに、船殻の内底部とタ
ンク底部との間に、タンク及び搭載液体の荷重を複数箇
所で支持する荷重支持台と、タンクの前後移動を抑制す
るための前後移動抑制用支持装置と、タンク全体の左右
方向の移動をタンク底部の支持によって抑制する左右移
動抑制用支持装置とが配され、該左右移動抑制用支持装
による直接的な左右方向の移動抑制力が、前記荷重支
持台と前記前後移動抑制用支持装置と前記左右移動抑制
用支持装置の滑り方向の摩擦力による左右方向の荷重分
担と、傾斜時における上下方向の圧縮荷重に荷重支持部
分の摩擦係数を乗じた値との差よりも大きく設定される
構成の液体運搬船の自立角型タンクとしている。第2の
発明は、タンク隔壁の内面に、内方に突出した状態に配
される補強板とその内方縁部に面と直交状態に一体に配
されるフェースプレートとからなる補強内部構造物が配
されるとともに、該補強内部構造物の断面係数が、タン
クの底部及びその近傍において他の箇所よりも大きく設
定される構成を第1の発明に付加してなる液体運搬船の
自立角型タンクとしている。第3の発明は、主としてフ
ェースプレートの横断面積増大により断面係数が大きく
設定される構成を、第2の発明の付加してなる液体運搬
船の自立角型タンクとしている。第4の発明は、船殻と
タンク頂部との間の前後移動抑制用支持装置が省略され
る構成を、第1の発明、第2の発明または第3の発明に
付加してなる液体運搬船の自立角型タンクとしている。
第5の発明は、船殻とタンク頂部との間に、許容移動距
離設定支持装置が配設され、該許容移動距離設定支持装
置における一対のストッパとチョックとの間隔が、タン
ク底部位置の移動抑制用支持装置の移動抑制によるタン
ク頂部の許容移動距離より小さく設定される構成を、第
1の発明、第2の発明、第3の発明または第4の発明に
付加してなる液体運搬船の自立角型タンクとしている。
第6の発明は、船殻の内面に間隔を空けて取り付けられ
る一対のストッパと、該一対のストッパの間にタンクの
外表面と一体に配されるチョックとを具備し、該チョッ
クが、積層方向にボルト止めされた強化合板により形成
され、該強化合板の積層方向が、一対のストッパの対向
と直交する横方向に設定される構成の液体運搬船の自立
角型タンクの支持装置としている。
【0012】
【作用】第1の発明にあっては、タンクの上方位置の左
右移動抑制用支持装置が省略されて、解放空間において
タンク頂部が相対移動可能な状態となり、タンク及びそ
の搭載液体の荷重が、タンク底部の荷重支持台や各移動
抑制用支持装置によって支持される。そして、タンクの
左右方向の移動抑制は、タンクの下方位置において、荷
重支持台等の滑り摩擦による支持と、左右移動抑制用支
持装置による支持との併用によって行なわれる。第2の
発明にあっては、タンクが左右方向に傾くと、搭載液体
の重量等が、タンクの傾斜を深めるように作用してタン
ク隔壁に変形力を及ぼし、補強内部構造物に傾斜分の応
力が付加される。補強内部構造物の断面係数が、応力集
中の生じ易い箇所の底部等において大きく設定されてい
ると、発生応力値が低く抑えられるとともに、タンク隔
壁の厚さをほぼ均等化した場合にあっても、安全性の確
保とタンク重量の増加抑制との点で有利なものとなる。
第3の発明にあっては、第2の発明による作用に加え
て、主としてフェースプレートの横断面積を大きくする
ことにより、断面係数の増大が図られ、タンク隔壁から
離間した箇所で寸法の融通性が確保される。第4の発明
にあっては、第1の発明、第2の発明または第3の発明
による作用に加えて、タンク頂部における前後移動抑制
用支持装置が省略されることにより、船殻とタンク頂部
との間の狭隘部における構造物の設置が省略されて、解
放空間が確保される。第5の発明にあっては、第1の発
明、第2の発明、第3の発明または第4の発明による作
用に加えて、通常の左右移動範囲内にあっては、許容移
動距離設定支持装置が作動することがないが、タンクの
傾斜状態が大きく、支持台、前後及び左右移動抑制用支
持装置による移動抑制管理範囲を越える際に、許容移動
距離設定支持装置の作動によってタンクの傾斜増大の阻
止が行なわれる。第6の発明にあっては、チョックにつ
いて、移動抑制方向の強度増大が図られ、この際に、強
化合板が積層方向にボルト止めされることにより、積層
部分における剥離等による損傷発生が防止される。
【0013】
【実施例】以下、本発明に係る液体運搬船の自立角型タ
ンク及びその支持装置の一実施例について、図1ないし
図3を参照して説明する。
【0014】船殻1(内側殻1B)とタンク3の頂部と
の間には、図1及び図2に示すように、前述した前後移
動抑制用支持装置8や左右移動抑制用支持装置9の設置
が省略されて、タンク3の頂部の相対移動を許容する解
放空間1aが形成される。したがって、タンク3の底部
位置のみに、図1及び図3に示すように、荷重支持台
7、前後移動抑制用支持装置8及び左右移動抑制用支持
装置9が、それぞれ必要数配される。
【0015】そして、左右移動抑制用支持装置9にあっ
ては、図2に示すドーム10の中心の拘束基準位置Sの
直下位置から、中心線Yに沿って配され、前後移動抑制
用支持装置8にあっては、拘束基準位置Sの直下位置か
ら中心線Yの直交線Xに沿った状態に、左右方向に配さ
れる。
【0016】図1ないし図3例では、前後移動抑制用支
持装置8及び左右移動抑制用支持装置9は、タンク3の
底部のみに設置されるために、タンク3に付加される外
力による荷重を、荷重支持台7と前後移動抑制用支持装
置8と左右移動抑制用支持装置9とで分担するように設
定される。
【0017】前後移動抑制用支持装置8にあっては、例
えば衝突荷重0.5Gを設定する場合であると、荷重支
持台7、前後移動抑制用支持装置8及び左右移動抑制用
支持装置9を合計した上下方向の荷重支持時に、摩擦力
に基づく荷重分担を0.45Gとすれば、前後移動抑制
用支持装置8による直接的な移動抑制力で0.05Gの
荷重分担が行なわれる。そのために、荷重支持台7、左
右移動抑制用支持装置9とともに、前後移動抑制用支持
装置8の数、大きさ、滑り摩擦係数及び前後方向の移動
抑制能力等が設定される。
【0018】左右移動抑制用支持装置9にあっては、例
えば最も厳しい荷重条件である30度ヒール時(左右方
向に30度傾斜時)において、上下方向に圧縮荷重0.
87G、左右方向にずれ荷重0.5Gがタンク3に加わ
るとし、滑り摩擦係数を0.45とすれば、荷重支持台
7、前後移動抑制用支持装置8及び左右移動抑制用支持
装置9の滑り方向の摩擦力による荷重分担は、 0.87G×0.45=0.3915G となるので、左右移動抑制用支持装置9における直接的
な左右方向の移動抑制力は、 0.5G−0.3915G=0.1085G となる。したがって、左右移動抑制用支持装置9に求め
られる移動抑制力は、0.1085Gよりも大きな値
で、かつ、安全率を考慮したものとすればよい。
【0019】次いで、図4を参照して、液体運搬船の自
立角型タンクの支持装置の具体例について、最も厳しい
移動抑制力が求められる左右移動抑制用支持装置9を例
にとって説明する。図4において、符号11はストッ
パ、12はチョック、13はボルト、14は締結板、1
5は強化合板、16は支持台、17は摺動面(摺動
板)、18,19はライナー、20は断熱性ブロックで
ある。
【0020】前記ストッパ11は、船体1(内側殻1
B)の内面に、移動抑制方向である左右方向に間隔を空
けて一対をなすように取り付けられる。該一対のストッ
パ11の間には、タンク3(タンク隔壁3a)の外表面
と一体にチョック12が配される。該チョック12は、
ボルト13及び締結板14により積層方向に圧縮状態に
締結された強化合板15によって構成されるとともに、
該強化合板15の積層方向が、従来技術のように上下方
向の重量支持方向ではなく、移動抑制方向と直交する横
方向に設定される。この結果、強化合板15における木
目方向が、一対のストッパ11の対向に設定される。そ
して、内側殻1Bの内面に突設した支持台16の上に、
断熱性ブロック20を介在させて、チョック12の強化
合板15を摺動可能に支持する摺動面17が配され、ス
トッパ11とチョック12との間には、ライナー18が
介在状態に配される。なお、断熱性ブロック20は、強
化合板15と同材質のもの等が適用されるが、積層方向
が上下方向に設定される。
【0021】このような左右移動抑制用支持装置9であ
ると、チョック12の部分について、強化合板15がボ
ルト13によって締結されているために、左右方向に圧
縮される際の膨らみが抑制されることと、強化合板15
が圧縮された際の積層部分の剥離現象が妨げられること
とにより、座屈強度が大きくなって移動抑制方向の強度
増大が図られるとともに、強化合板15の損傷発生が防
止される。したがって、チョック12の寸法が同じ場合
にあっても、剪断剛性の差により、例えば3倍強に増大
して、左右移動抑制用支持装置9への適用性を得るもの
である。
【0022】以下、30度ヒール時のタンク3への影響
を検討した結果について説明する。
【0023】〔30度ヒール時の各部圧力〕タンク3が
図5に示すように、傾斜した場合には、搭載液体による
内圧と、水位WLからの深さ(水頭差)による圧力と
が、矢印で示すように付加される。図5において、矢印
の長さは、付加される圧力の大きさを模擬的に表わして
いる。この場合、船殻1にあっては、水頭差(通常の吃
水線からの深さ)による強度の検討が十分になされてい
るため、タンク3の相対移動について着目すると、図1
の鎖線で示すように、タンク隔壁3aが内側殻1Bに対
して右側に傾斜した状態となり、側部間隔Hが減少す
る。
【0024】〔上下拘束時の発生応力〕図6は、タンク
3の上下位置に左右移動抑制用支持装置9が設置され、
かつ、タンク3の下方位置に、荷重支持台7、前後移動
抑制用支持装置8及び左右移動抑制用支持装置9が設置
されたもの、つまり、図11ないし図13例の構造にお
けるタンク隔壁3a及び補強内部構造物4に付与される
応力値をモデル化して示している。以下の応力モデルに
おいて、該当する表面の内側が引っ張り応力、外側が圧
縮応力であることを示し、数値は図7の最大応力値を
1.00としてその比で表わしている。なお、図6ない
し図8の破線のます目は、FEM解析時のメッシュを示
している。
【0025】〔上方解放時の発生応力〕図7は、図11
ないし図13例の構造における上方位置の左右移動抑制
用支持装置9を省略して、相対移動可能な状態とした場
合の応力モデルを示している。ただし、この場合におい
て、タンク3の上から70%の範囲では、応力値が顕著
に大きくなる傾向が現れなかったので、記載を省略し
た。
【0026】〔フェースプレート改良及び上方解放時の
発生応力〕図8は、図7と同様にタンク3の底部のみを
移動抑制し、加えて補強内部構造物4のフェースプレー
ト6について、厚さ及び幅の少なくとも一方を大きくす
る(断面係数を大きくする)対策を施したもの(例えば
300mm×20mmを450mm×40mmの断面と
したもの)、つまり、本発明の実施例の応力モデルを示
している。
【0027】〔各構造例の比較〕図6例にあっては、図
7例と比較して各部の応力値が平均的に小さく、比較値
1.00が仮の許容最大値とすれば、タンク隔壁3a及
び補強内部構造物4の各部における強度が、30度ヒー
ル時にあっても、安全性を保持し得ることが明らかであ
る。図7例にあっては、タンク3の底部とその近傍の側
部において、応力値が大きくなる傾向を示した。したが
って、図11ないし図13に示している上方位置の左右
移動抑制用支持装置9を単純に撤去して、他の部分をそ
のまま転用するだけでは、応力値が大きくなる傾向を避
けることができなくなる。図8例にあっては、前述した
図1ないし図4の技術と、補強内部構造物4におけるフ
ェースプレート6の断面係数を大きくする技術とが付加
されているため、上方位置の左右移動抑制用支持装置9
を省略した場合にあっても、応力値が図7例よりも低く
なる。つまり、フェースプレート6の断面積を大きくす
る等によって、補強内部構造物4の断面係数を適度に大
きくする手法により、フェースプレート6及びタンク隔
壁3aへの付与応力値を低減することができる。その場
合に、タンク3の底部及びその近傍側部の補強内部構造
物4について、フェースプレート6の厚さまたは幅寸法
を大きくする対策の実施により容易になし得る。
【0028】〔他の実施例について〕本発明にあって
は、上述の実施例に代えて以下に説明する技術を採用す
ることができる。図11例の上方位置の左右移動抑制用
支持装置9を省略して、タンク3の頂部等の左右方向の
移動を許容する際に、タンク3の底部の荷重支持台7、
支持装置8,9による許容支持荷重を考慮して、タンク
3の頂部の許容移動量よりも小さな許容間隙Gで移動を
抑制する許容移動距離設定支持装置21を、図1に鎖線
で示す如くタンク3の頂部に設置することも有効であ
る。この場合、許容移動距離設定支持装置21は、図4
に示す技術のチョック12が適用される。また、タンク
3の高さが20mである場合、タンク3の底部の荷重支
持台7、支持装置8,9によって重量を支持する場合に
おいて、タンク3の頂部の左右方向の許容移動量を求め
た例では、図8例で約100mmであり、この値よりも
小さく例えば50mm程度の許容間隙Gに設定するとよ
い。なお、内側殻1Bの側面とタンク3の側面との側部
間隔Hは、例えば1000mm程度であり、50mm程
度の移動で許容移動距離設定支持装置21を作動させる
ことにより、タンク隔壁3a及び補強内部構造物4の発
生応力値を小さな範囲に設定することができる。
【0029】
【発明の効果】本発明に係る液体運搬船の自立角型タン
クにあっては、以下の効果を奏する。 (1) タンク及び搭載液体の重量をタンク底部の荷重
支持台、各移動抑制用支持装置で支持し、摩擦接触部分
の摩擦力を利用した左右方向の移動抑制を行なうととも
に、その移動抑制範囲を越えた荷重の支持を、タンク底
部の左右移動抑制用支持装置によって行なうことによ
り、タンク頂部の左右移動抑制用支持装置を省略するこ
とができる。 (2) 上記により、船殻とタンク頂部との間に解放空
間を形成して、この部分の構造の単純化を図り、近傍構
造物の構築性を向上させることができる。 (3) 各種支持装置をタンク底部に集中設置すること
により、タンク頂部の支持装置の省略とあいまって、寸
法精度の調整作業性を向上させ、精度管理を簡素化する
ことができる。 (4) タンク隔壁の補強をする際に、タンク底部等に
おける補強内部構造物の断面係数の増大を図ることによ
り、タンク隔壁の厚さ等の仕様を変えることなく、目的
強度までの補強を自在に実施することができる。 (5) 断面係数の増大時に、主としてフェースプレー
トの断面積を調整して行なうことにより、タンク隔壁か
ら離間した位置で、タンク隔壁の干渉を受けることなく
改善作業を実施し得るとともに、寸法の拡大等の制限が
少なく、既設のタンクについても容易に実施することが
できる。 (6) タンク頂部について、左右移動抑制用支持装置
及び前後移動抑制用支持装置が全部省略されることによ
り、船殻の内部とタンク頂部との解放空間の確保が容易
になり、かつ、タンク構造の簡素化がなされる。 (7) タンク頂部に、通常の支持装置に代えて、許容
移動距離設定支持装置が配設されることにより、タンク
の動揺が許容範囲より大きくなった場合や支持装置が故
障した場合等のタンクへの影響を低減することができ
る。本発明に係る液体運搬船の自立角型タンクの支持装
置にあっては、以下の効果を奏する。チョックに使用さ
れる強化合板の積層方向をストッパの対向方向と直交す
る横方向に設定することにより、積層部分の剪断強度が
荷重支持力に影響を及ぼすことがなく、荷重支持力の増
大を図り、かつ、タンク等の損傷事故の発生を抑制する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る液体運搬船の自立角型タンクの一
実施例を示す一部を省略した横断面図である。
【図2】本発明に係る液体運搬船の自立角型タンクの一
実施例を示す平面図である。
【図3】本発明に係る液体運搬船の自立角型タンクの底
部における荷重支持台及び各移動抑制用支持装置の設置
状況を示す平面図である。
【図4】本発明に係る液体運搬船の自立角型タンクの支
持装置の一実施例を示す正面図である。
【図5】図1の液体運搬船のヒール時に船殻及びタンク
に付加される圧力分布状況のモデル図である。
【図6】タンクの上下拘束時における発生応力のモデル
図である。
【図7】タンクの上方拘束の解放時における発生応力の
一部を省略したモデル図である。
【図8】本発明に係る自立角型タンク及びその支持装置
における発生応力の一部を省略したモデル図である。
【図9】液体運搬船の例を示す正面図である。
【図10】液体運搬船の例を示す平面図である。
【図11】液体運搬船の例を示す横断面図である。
【図12】図11の補強内部構造物の補強板及びフェー
スプレートの組み合わせ構造例を示す横断面図である。
【図13】図11のタンクの頂部における支持装置の配
置状況を示す平面図である。
【符号の説明】
1 船体(船殻) 1A 外側殻 1B 内側殻 1a 解放空間 2 中空部 3 タンク 3a タンク隔壁 4 大骨(補強内部構造物) 5 補強板 6 フェースプレート 7 荷重支持台 8 前後移動抑制用支持装置 9 左右移動抑制用支持装置 10 ドーム 11 ストッパ 12 チョック 13 ボルト 14 締結板 15 強化合板 16 支持台 17 摺動面(摺動板) 18 ライナー 19 ライナー 20 断熱性ブロック 21 許容移動距離設定支持装置 G 許容間隙 H 側部間隔
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI F17C 3/04 F17C 3/04 A (56)参考文献 特開 平4−92794(JP,A) 特開 平4−8999(JP,A) 特開 昭62−244786(JP,A) 実開 昭63−19495(JP,U) 実開 昭63−16999(JP,U) 実開 昭62−203797(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B63B 3/02 B63B 3/20 B63B 3/70 B63B 25/12 B63B 25/16

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 船殻とタンク頂部との間に、両者の相対
    移動を許容する解放空間が形成されるとともに、船殻の
    内底部とタンク底部との間に、タンク及び搭載液体の荷
    重を複数箇所で支持する荷重支持台と、タンクの前後移
    動を抑制するための前後移動抑制用支持装置と、タンク
    全体の左右方向の移動をタンク底部の支持によって抑制
    する左右移動抑制用支持装置とが配され、該左右移動抑
    制用支持装置による直接的な左右方向の移動抑制力が、
    前記荷重支持台と前記前後移動抑制用支持装置と前記左
    右移動抑制用支持装置の滑り方向の摩擦力による左右方
    向の荷重分担と、傾斜時における上下方向の圧縮荷重に
    荷重支持部分の摩擦係数を乗じた値との差よりも大きく
    設定されることを特徴とする液体運搬船の自立角型タン
    ク。
  2. 【請求項2】 タンク隔壁の内面に、内方に突出した状
    態に配される補強板とその内方縁部に面と直交状態に一
    体に配されるフェースプレートとからなる補強内部構造
    物が配されるとともに、該補強内部構造物の断面係数
    が、タンクの底部及びその近傍において他の箇所よりも
    大きく設定されることを特徴とする請求項1記載の液体
    運搬船の自立角型タンク。
  3. 【請求項3】 主としてフェースプレートの横断面積増
    大により断面係数が大きく設定されることを特徴とする
    請求項2記載の液体運搬船の自立角型タンク。
  4. 【請求項4】 船殻とタンク頂部との間の前後移動抑制
    用支持装置が省略されることを特徴とする請求項1、2
    または3記載の液体運搬船の自立角型タンク。
  5. 【請求項5】 船殻とタンク頂部との間に、許容移動距
    離設定支持装置が配設され、該許容移動距離設定支持装
    置における一対のストッパとチョックとの間隙が、タン
    ク底部位置の移動抑制用支持装置の移動抑制によるタン
    ク頂部の許容移動距離より小さく設定されることを特徴
    とする請求項1、2、3または4記載の液体運搬船の自
    立角型タンク。
  6. 【請求項6】 船殻の内面に間隔を空けて取り付けられ
    る一対のストッパと、該一対のストッパの間にタンクの
    外表面と一体に配されるチョックとを具備し、該チョッ
    クが、積層方向にボルト止めされた強化合板により形成
    され、該強化合板の積層方向が、一対のストッパの対向
    と直交する横方向に設定されることを特徴とする液体運
    搬船の自立角型タンクの支持装置。
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