JPH06298173A

JPH06298173A - 自立角型タンクおよび低温液化ガス運搬船

Info

Publication number: JPH06298173A
Application number: JP5108916A
Authority: JP
Inventors: Jun Maeda; 恂前田; Akitoshi Ando; 明俊安東; Shutaro Togashi; 修太郎富樫; Akinori Abe; 昭則安部
Original assignee: IHI Corp
Current assignee: IHI Corp
Priority date: 1993-04-09
Filing date: 1993-04-09
Publication date: 1994-10-25

Abstract

(57)【要約】【目的】タンクの船体への支持や搭載を容易とした
り、船体構造の軽量化等を図ることができる自立角型タ
ンクおよびこのタンクを用いる低温液化ガス運搬船を提
供すること。【構成】上部コーナ部１２を切り欠いたＬＮＧタンク
１１を、タンク前後壁１４と船艙２３の前後隔壁２２と
の間に横移動防止用ブロック２７，２８を配置して支持
する。これにより、ＬＮＧタンク１１上部での移動防止
の必要を無くし、船体２１への支持構造が容易とする。
そして、このＬＮＧタンク１１を用い、両舷側壁３０を
コーナ部１２の下側までの浅い船体２１とし、各タンク
１１上部を軽構造の甲板２９で別々に覆うようにする。
これにより、船体２１および甲板２９の構造を軽量化
し、重量の軽減を図り、船体の小形化を図るようにして
いる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、ＬＮＧ（液化天然ガ
ス）などの低温液化ガスを運搬する低温液化ガス運搬船
およびそれに用いる自立角型タンクの改良に関し、タン
クの船体への支持および搭載を容易としたり、船体構造
の軽量化等を図るようにしたものである。

【０００２】

【従来の技術】ＬＮＧ（液化天然ガス）やＬＰＧ（液化
石油ガス）等の低温液化ガスを大量に海上輸送する低温
液化ガス運搬船には、種々の形式があるが、その一つに
自立角型タンクを用いるものがあり、タンクと船体との
間にスペースを確保して保守点検などに利用できるこ
と、船体の形状や構造に合わせてタンクシステムを設計
できること、さらにはタンク内に隔壁を設けることでス
ロッシングの問題がないことなどの特徴がある。

【０００３】このような自立角型タンク式の低温液化ガ
ス運搬船は、その一例の横断面形状を図４に示すよう
に、二重殻構造の船体１の船底２上に断熱支持ブロック
３を介して自立角型タンクであるＬＮＧタンク４を搭載
し、ＬＮＧタンク４の上部を船体主構造を構成する平坦
な甲板５で覆い、この甲板５の下面とＬＮＧタンク４の
上面の間に移動止め６を取付けて横移動を防止するよう
にしている。

【０００４】したがって、甲板５上が平坦で広いため、
機器の配置が自由にでき、見通しが良く操船などが比較
的容易なるなどの利点がある。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところが、このような
自立角型タンク式の低温液化ガス運搬船をより合理化し
て安価にするためには、安全性を保持しつつ改良を加え
る必要がある。

【０００６】そこで、この自立角型タンク式の低温液化
ガス運搬船の船体構造について検討してみると、自立角
型タンク４全体を船体主構造１，２，５など覆うように
し、しかも甲板５の下面とタンク４の上面との間で横移
動を防止するようにしているため、甲板５の構造を強固
にしなければならないだけでなく、船体１の舷側壁も強
固にしなければならない。

【０００７】このため、船体１の深さＤが深く、重量増
大を招くとともに、建造に要する工数が増大するという
問題がある。

【０００８】また、甲板５で各自立角型タンクの横移動
を支持するため、甲板５を強固にする必要があるととも
に、船体１の上面を一体の甲板５で構成しているため、
波浪などによって加わる縦曲げモーメントによる応力も
大きく一層強固な構造が必要となり、この点からも重量
増大と工数増大を招いてしまうという問題がある。

【０００９】一方、自立角型タンク４はそれ自体に自立
できる強度があることから、船体１に搭載した場合の移
動などを支持できれば、強固な船体１で全体を覆う必要
はなく、特にタンク４の上部を覆う甲板５の構造を改良
できる余地がある。

【００１０】この発明は、かかる従来技術の課題に鑑み
てなされたもので、タンクの船体への支持や搭載を容易
としたり、船体構造の軽量化等を図ることができる自立
角型タンクおよびこのタンクを用いる低温液化ガス運搬
船を提供しようとするものである。

【００１１】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、この発明の低温液化ガス運搬船用の自立角型タンク
は、低温液化ガス運搬船に設置される自立角型タンクの
上部コーナ部を斜めに切り欠いて上部が窄まった形状に
形成し、この自立角型タンクの前後壁と前記低温液化ガ
ス運搬船の前後隔壁との間に横移動防止用ブロックを配
置したことを特徴とするものである。

【００１２】また、この発明の低温液化ガス運搬船は、
第１の発明の自立角型タンクが設置される低温液化ガス
運搬船の両舷側壁を上部コーナ部の下側までの低深構造
とする一方、ホールド部の甲板を前記各自立角型タンク
を各船艙ごとに覆う構造としたことを特徴とするもので
ある。

【００１３】

【作用】この発明の低温液化ガス運搬船用の自立角型タ
ンクによれば、上部コーナ部を切り欠いた上部が窄まっ
た形状とし、タンク前後壁と船艙の前後隔壁との間に横
移動防止用ブロックを配置して支持するようにしてお
り、タンク上部での移動防止の必要を無くし、船体への
支持構造が容易となるようにしている。

【００１４】また、この発明の低温液化ガス運搬船によ
れば、第１の発明の上部コーナ部を切り欠いたタンクを
用い、両舷側壁をコーナ部の下側までの浅い船体構造と
するとともに、各タンク上部を軽構造の甲板で別々に覆
うようにしており、船体および甲板の構造を合理化し、
重量の軽減を図るようにしている。

【００１５】

【実施例】以下、この発明の実施例を図面に基づき詳細
に説明する。図１〜図３はこの発明の自立角型タンクお
よびこれを用いた低温液化ガス運搬船の一実施例にかか
り、図１（ａ）は全体側面図、図１（ｂ）は部分横断面
図、図２は部分平面図、図３は部分側面図である。

【００１６】この低温液化ガス運搬船の自立角型タンク
１０は、図１（ｂ）に示すように、ＬＮＧタンク１１の
上部コーナ部１２が左右２方向で斜めに切り欠かれた形
状とされ、上部が窄まった形状に形成されている。そし
て、この自立角型タンク１０の側壁部１３、前後壁部１
４および底板部１５はそれぞれこの自立角型タンク１０
が設置される船体の各船艙の形状に応じた形状に形成さ
れている。また、このＬＮＧタンク１１の上部コーナ部
１２を切り欠いた残り部分の側壁部１３の高さは、これ
らＬＮＧタンク１１を所定個数搭載する低温液化ガス運
搬船の船体構造により定められ、たとえば運搬船として
必要な浮力を得ることができる船体の深さや安全運航の
必要な乾舷の確保等によって定められる。

【００１７】次に、このような自立角型タンク１０の移
動防止用の支持を低温液化ガス運搬船２０の構造ととも
に説明する。

【００１８】この低温液化ガス運搬船２０では、二重殻
構造とされた船体２１の前後隔壁２２で区画された各船
艙２３の底板上に滑り面を備えた支持ブロック２４が取
付けられ、この支持ブロック２４の滑り面にＬＮＧタン
ク１１の底部１５の下面に取付けた合板などで構成した
断熱ブロック２５が載せられてＬＮＧタンク１１がブロ
ック支持されている。

【００１９】さらに、この自立角型タンク１０では、Ｌ
ＮＧタンク１１の横揺れを防止するため、これまでのタ
ンク頂部で支持する構造に代え、ＬＮＧタンク１１の前
後壁１４と船体２１の前後隔壁２２との間に横移動防止
構造２６が設けられ、壁面での支持構造となっている。

【００２０】この横移動防止構造２６は、図２および図
３に示すように、ＬＮＧタンク１１の前後壁１４の内構
材の位置に対応して合板などの断熱ブロック２７が必要
に応じて上下方向に複数個取付けられ、この断熱ブロッ
ク２７の両側を挾むように、船体２１の前後隔壁２２に
移動止め２８が取付けられて構成されている。

【００２１】このような横揺れ防止構造２６を用いるこ
とで、ＬＮＧタンク１１の頂部で大きな力を支持するた
めの船体構造が不要となる。

【００２２】なお、万一の浸水などによるＬＮＧタンク
１１の浮き上がりを防止するための浮上り防止構造を設
ける場合には、ＬＮＧタンク１１の前後壁１４と船体２
１の前後隔壁２２との間、あるいはＬＮＧタンク１１の
側壁部１２と船体２１の船艙２３の舷側壁３０の間に設
けるようにし、ＬＮＧタンク１１の頂部での支持構造か
ら側壁部での支持構造とする。

【００２３】このような横移動防止構造２６が設けられ
た自立角型タンク１０が設置される低温液化ガス運搬船
２０は、図１に示すように、船体２１の深さＤが自立角
型タンク１０の上部コーナ部までの垂直な側壁部１２の
高さまでとされている。

【００２４】この船体深さＤは低温液化ガス運搬船２０
として必要な浮力や船舶の安全運航の必要などによって
決定される。

【００２５】このように船体深さＤを減少することがで
きるのは、船艙２３内に設置されるＬＮＧタンク１１の
支持をＬＮＧタンク１１の頂部で行う必要がなく、ＬＮ
Ｇタンク１１の周囲を船体主構造と同様な剛構造の構造
材で囲む必要がないことによるものである。

【００２６】したがって、低温液化ガス運搬船２０の甲
板２９で大きな力を支持する必要がなく、軽構造にする
ことが可能となる。

【００２７】そこで、甲板２９を、左右方向では船体２
１の両舷側壁３０を結ぶアーチ型にし、前後方向では各
船艙２３ごとに分割した構造とし、船艙２３内への波浪
や降雨からＬＮＧタンク１１を保護することができる強
度の軽構造としてある。

【００２８】このような自立角型タンク１０によれば、
上部コーナ部１２を切り欠く形状にするとともに、船体
２１への横移動防止構造２６を側壁部１３に設置するよ
うにしたので、この自立角型タンク１０を設置する低温
液化ガス運搬船２０の構造を合理化し、船体の深さＤを
減少することができるとともに、甲板の構造を軽量化す
ることができる。

【００２９】一方、この自立角型タンク１０を用いる低
温液化ガス運搬船２０では、船体２１の深さＤを減少す
ることができるので、船体２１を構成する鋼材の使用量
が大幅に減少し、加工に要する工数も減少する。

【００３０】また、船体１の重量の減少により、船速の
増大が可能となったり、アンカやチェーン等の係留装置
を小さくすることなど多大な利点がある。

【００３１】さらに、この自立角型タンク１０を用いる
低温液化ガス運搬船２０では、甲板２９の構造を軽構造
とすることができるので、甲板２９を構成する鋼材の使
用量が大幅に減少し、加工に要する工数も減少する。

【００３２】また、自立角型タンク１０を船艙２３に搭
載した後、甲板２９を構築することが容易となるととも
に、工数の減少となる。

【００３３】また、甲板２９が船艙２３ごとに独立して
設けられて分割された構造となっているので、船体縦曲
げモーメントによる応力が甲板２９に流入しなくなり、
軽構造で十分な強度が得られるとともに、アーチ型とし
ているので、波浪や降雨に対する荷重を十分支持するこ
とができる。

【００３４】なお、このような自立角型タンク１０を深
さＤが浅い船体２１に搭載する低温液化ガス運搬船２０
は、自立球形タンクを搭載したモス球形方式と類似する
かのように見えるが、この低温液化ガス運搬船２０で
は、自立角型のタンクを用いるので、球形タンクの場合
のような船体の大きさによってタンクの直径が決まった
り、逆にタンクの大きさによって船体の大きさが決まる
という制約がなく、タンクを船体の形状や構造に合わせ
て自由に設計できるという大きな特徴がある。

【００３５】また、この発明は、上記実施例に限定する
ものでなく、この発明の要旨を変更しない範囲で各構成
要素に変更を加えても良い。

【００３６】

【発明の効果】以上、実施例とともに具体的に説明した
ようにこの発明の低温液化ガス運搬船用の自立角型タン
クによれば、上部コーナ部を切り欠いた上部が窄まった
形状とし、タンク前後壁と船艙の前後隔壁との間に横移
動防止用ブロックを配置して支持するようにしたので、
タンク上部に移動防止のための構造を設ける必要が無く
なり、船体への支持が容易となる。

【００３７】これにより、この自立角型タンクを用いる
低温液化ガス運搬船の船体の深さを小さくすることがで
きるとともに、甲板を軽構造とできるなど重量軽減を図
ることができる。

【００３８】また、この発明の低温液化ガス運搬船によ
れば、第１の発明の上部コーナ部を切り欠いたタンクを
用い、両舷側壁をコーナ部の下側までの浅い船体構造と
するとともに、各タンク上部を軽構造の甲板で別々に覆
うようにしたので、船体および甲板の構造を合理化し、
重量の軽減を図ることができるとともに、甲板への船体
縦曲げモーメントによる応力の流入を防止することがで
きる。

【００３９】これにより、従来と同様の安全性を確保し
つつ構造の軽量化と同時に、工事の簡略化を図ることが
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の自立角型タンクおよびこれを用いた
低温液化ガス運搬船の一実施例にかかり、（ａ）は全体
側面図、（ｂ）は部分横断面図である。

【図２】この発明の自立角型タンクおよびこれを用いた
低温液化ガス運搬船の一実施例にかかる部分平面図であ
る。

【図３】この発明の自立角型タンクおよびこれを用いた
低温液化ガス運搬船の一実施例にかかる部分側面図であ
る。

【図４】従来の自立角型タンクを用いた低温液化ガス運
搬船の全体側面図および部分横断面図である。

【符号の説明】

１０自立角型タンク１１ＬＮＧタンク１２上部コーナ部１３側壁部１４前後壁部１５底板部２０低温液化ガス運搬船２１船体２２前後隔壁２３船艙２４支持ブロック２５断熱ブロック２６横移動防止構造２７断熱ブロック２８移動止め２９甲板３０舷側壁Ｄ船体の深さ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者安部昭則東京都江東区豊洲二丁目１番１号石川島播磨重工業株式会社東京第一工場内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】低温液化ガス運搬船に設置される自立角
型タンクの上部コーナ部を斜めに切り欠いて上部が窄ま
った形状に形成し、この自立角型タンクの前後壁と前記
低温液化ガス運搬船の前後隔壁との間に横移動防止用ブ
ロックを配置したことを特徴とする低温液化ガス運搬船
用の自立角型タンク。
【請求項２】前記請求項１記載の自立角型タンクが設
置される低温液化ガス運搬船の両舷側壁を上部コーナ部
の下側までの低深構造とする一方、ホールド部の甲板を
前記各自立角型タンクを各船艙ごとに覆う構造としたこ
とを特徴とする低温液化ガス運搬船。