JP3398619B2 - 逆のこぎり波を利用した力率補正回路 - Google Patents

逆のこぎり波を利用した力率補正回路

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    • H02GENERATION; CONVERSION OR DISTRIBUTION OF ELECTRIC POWER
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は力率補正回路に関
し、特に逆のこぎり波と電流の傾きの制御を利用した力
率補正(Power Factor Correction;以下‘PFC’とい
う)回路に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、力率回路を具現するための方式と
して連続電流モード(Continuous Current Mode;CC
M)制御方式が知られている。CCM制御方式を利用し
た力率改善方式としてはピーク電流制御方式、可変ヒス
テリシス制御方式、平均電流制御方式などがあり、これ
らの個々の方式は力率が得られる長所があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記方
式は次のような問題点がある。すなわち、ピーク電流検
出制御方式は外部インダクタ電流の歪み、死角歪み(de
ad angle distortion)、最大デューティを50%以下
に維持しなければならないなどの短所のために正確な補
正ができず、可変ヒステリシス制御方式は、インダクタ
電流検知による可変周波数方式で入力電圧が低くなる場
合、インダクタ電流制御のための周波数が無限に増加す
るため、周波数制御の限界があり、平均電流制御方式は
力率1を実現するための制御方式の構成が極めて複雑で
あるという短所があった。
【0004】本発明は、前記のような従来のCCM P
FC方式の問題点を解決するためのものであって、その
目的は、逆のこぎり波を利用した簡単な力率補正回路を
提供することにより、より高い力率を提供し、かつデュ
ーティ比の制限が殆どない力率補正回路を提供すること
にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明の一特徴による力率補正回路は、コンバータ
部、電流検知部、エラー増幅部、比較波形生成部及びス
イッチング駆動部を含む。
【0006】コンバータ部は入力電圧に連結されるイン
ダクタと、インダクタに流れる電流を制御するスイッチ
ング素子と、インダクタの出力電圧を整流して負荷に供
給するダイオード及び第1キャパシタを有する。
【0007】電流検知部はスイッチング素子に連結され
る第1抵抗と第2キャパシタとを有し、スイッチング素
子がオンになった時にインダクタに流れる電流を検知す
る。エラー増幅部はコンバータ部の出力電圧を分配する
ための第2、第3抵抗と、第2及び第3抵抗間の接点の
電圧と基準電圧との差を増幅させるためのエラー増幅器
とを有する。
【0008】比較波形生成部は、同一周波数の逆のこぎ
り波と基準クロック信号とを発生させる発振器及び、エ
ラー増幅器の出力電圧と逆のこぎり波とを所定利得で乗
ずる乗算機を有する。
【0009】スイッチング駆動部は電流検知部の出力電
圧と乗算器の出力電圧とが同一になる場合にスイッチン
グ素子をオフとし、基準クロック信号の状態が遷移する
場合にスイッチング素子をオンとする。ここで、コンバ
ータはブースタコンバータであるのが好ましい。
【0010】また、スイッチング駆動部は電流検知部の
出力電圧と乗算器の出力電圧とを比較する比較器と、比
較器の出力電圧をリセット入力とし、発信機の基準クロ
ック信号をセット入力とするフリップフロップと、フリ
ップフロップの反転出力と発振器の基準クロック信号を
入力とするノアゲートと、ノアゲートの出力信号に従っ
て前記スイッチング素子をオン、オフとするスイッチン
グ駆動回路とを含むのが好ましい。
【0011】一方、本発明の他の特徴による力率補正回
路のコンバータ部、電流検知部、エラー増幅部は前記力
率補正回路と同一であり、比較波形生成部は同一周波数
の逆のこぎり波と基準クロック信号とを発生させる発振
器と、エラー増幅器の出力電圧を第2基準電圧に減算す
るための第1減算器と、第3基準電圧を第1減算器の出
力電圧に減算するための第2減算器と、逆のこぎり波と
第1減算器の出力電圧を第1利得で乗ずる第1乗算器
と、第2減算器の出力電圧と電流検知部の出力電圧とを
第2利得で乗ずる第2乗算器とを有する。
【0012】スイッチング駆動部は第1乗算器と前記第
2乗算器の出力電圧が同一になる場合にスイッチング素
子をオフとし、基準クロック信号の状態が遷移する場合
にスイッチング素子をオンとする。
【0013】一方、本発明の他の特徴による力率補正回
路の比較波形生成部は、同一周波数の逆のこぎり波と基
準クロック信号とを発生させる発振器と、第1利得をエ
ラー増幅器の出力電圧で除するための除算器と、逆のこ
ぎり波とエラー増幅器の出力電圧とを第2利得で乗ずる
ための第1乗算器と、乗算器の出力電圧と電流検知部の
出力電圧とを第3利得で乗ずる第2乗算器とを有し、ス
イッチング駆動部は、第1乗算器と第2乗算器の出力電
圧が同一になる場合に前記スイッチング素子をオフと
し、基準クロック信号の状態が遷移する場合にスイッチ
ング素子をオンとする。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】図1は本発明の第1実施形態によるPFC
回路を示した図である。図1に示したように本発明の第
1実施形態によるPFC回路は、ブースタコンバータ部
10、エラー増幅部20、電流検知部30、比較波形生
成部40、スイッチング駆動部50で構成される。
【0016】ブースタコンバータ部10は、交流電源A
Cを整流して平滑化した後、スイッチングゲートの動作
によって2次側負荷に出力電圧を発生させるためのもの
であり、図1においてブースタコンバータ部10は交流
電源を1次に整流する1次整流器11及びキャパシタC
1、入力電流によってコイルにエネルギーを貯蔵して2
次側に電流を誘起させるインダクタL、インダクタに流
れる電流を制御するためのスイッチングモーストランジ
スタ12、インダクタの出力電圧を整流して負荷に供給
するダイオードD1及びキャパシタC0からなる。
【0017】エラー増幅部20は、前記ブースタコンバ
ータ10の出力電圧を所定基準電圧と比較してこの比較
値を増幅させるためのものであって、出力電圧Vout
を分配するための分配抵抗R1、R2と、分配抵抗間の
接点の電圧Vfbと基準電圧Vref1との差を増幅す
るエラー増幅器21とからなる。
【0018】電流検知部30は、スイッチングMOSF
ET12がオンになった時のインダクタに流れる電流を
検知するためのものであって、抵抗Rcsとキャパシタ
Cfとからなる。
【0019】比較波形生成部40は、前記電流検知部3
0の出力電圧Vcsと比較するための比較波形を生成す
るためのものであって、同一周波数の逆のこぎり波Vs
wと基準クロック信号とを発生させる発振器41と、前
記逆のこぎり波Vswと前記エラー増幅部の出力電圧V
eとを利得Kで乗ずる乗算器42とからなる。
【0020】スイッチング駆動部50は、スイッチング
MOSFETのオン、オフを制御するための駆動電圧を
発生させるものであって、前記電流検知部30の出力電
圧Vcsと前記乗算器42の出力値Vmoとを比較する
比較器51と、前記比較器の出力をリセット信号とし、
前記逆のこぎり波に同期した基準クロック信号をセット
信号とするフリップフロップ52と、前記フロップフロ
ップの反転出力と前記基準クロック信号とを否定論理和
するノアゲート53と、前記ノアゲート53の出力でス
イッチングMOSトランジスタ12のゲートを駆動させ
る駆動回路54とからなる。
【0021】次は図1と図2を参照して本発明の第1実
施形態によるPFC回路の動作について説明する。
【0022】図1のブースタコンバータ10において、
入力電圧Vinと出力電圧Voutとの関係式は(1)
式の通りである。 Vout/Vin = 1/(1-ton/T) = 1/(1-D) ・・・(1) ここで、Tは一周期を示し、tonは一周期の間にスイッ
チングMOSFET12がオンになる時間を示す。ま
た、Dはデューティ比であって、一周期Tの間にスイッ
チングMOSFET12がオンになる時間の比を示す。
【0023】(1)式からわかるように、出力電圧Vo
utは入力電圧Vinとデューティ比Dによって決定さ
れ、これによってスイッチングのオン時間tonを調節す
ることで出力電圧を制御することができる。
【0024】スイッチングMOSトランジスタ12のス
イッチングのオン、オフ時点はスイッチング駆動部50
によって制御される。
【0025】具体的に、スイッチングMOSトランジス
タのオン時点はフリップフロップ52のセット信号に入
力される発振器41の基準クロック信号によって決定さ
れる。すなわち、発振器の基準クロック信号が、例えば
上昇エッジである場合、フリップフロップの反転出力は
ロー状態の出力値を出力するようになる。このロー状態
の出力値と発振器の基準クロック信号はノアゲート53
に入力され、スイッチングモーストランジスタ12がオ
ンになるようにする。
【0026】一方、スイッチングMOSトランジスタ1
2のオフ時点は、比較器51にそれぞれ入力される信号
である電流検知部30の出力信号Vcsと乗算器42の
出力信号Vmoとによって決定される。
【0027】すなわち、電流検知部30の出力信号Vc
sと乗算器42の出力信号Vmoとが同一になる場合、
前記比較器51はハイ状態の信号を出力し、この出力信
号はフリップフロップ52をリセットさせ、フリップフ
ロップの反転出力がハイ状態になるようにする。このフ
リップフロップ52からの信号はノアゲート53と駆動
回路54とを経てスイッチングMOSトランジスタ12
をオフさせる。
【0028】以下、本発明の第1実施形態によるPFC
回路においてスイッチングMOSトランジスタ12のタ
ーンオン区間について図1及び図2を参照して説明す
る。
【0029】図1において、乗算器42の出力電圧Vm
oは(2)式のように、エラー増幅部の出力電圧Veと
逆のこぎり波信号Vswとに利得Kを乗じた値となる。 Vmo = K × Ve × Vsw ・・・(2)
【0030】従って乗算器42の出力電圧Vmoは、エ
ラー増幅器21の出力電圧Veによって変化するように
なる。
【0031】電流検知部30の出力電圧Vcsは図2に
示したように、スイッチングMOSトランジスタ12が
オンになる時点、すなわち発振器21の基準クロック信
号が上昇エッジに変化した時点から増加し始める。
【0032】電流検知部30の出力電圧Vcsが増加す
ることにより、電流検知部30の出力電圧Vcsと乗算
器の出力電圧Vmoとが結局同一になり、この時点にお
いてスイッチングMOSトランジスタ12はオフにな
る。このスイッチングMOSトランジスタ12は、発振
器41の基準クロック信号が上昇エッジに変化する時点
で再びオンになって前記過程を繰返す。
【0033】電流検知部30の出力電圧Vcsと乗算器
の出力電圧Vmoとが同一になる点におけるVcsとV
moとの関係式は(3)式の通りである。 Vcs = K × Ve × Va × (1-ton/T) ・・・(3) ここで、VaはスイッチングMOSトランジスタがオン
になる時点における逆のこぎり波の電圧を示し、Tは逆
のこぎり波の周期を示す。
【0034】(1)式を(3)式に代入すると、(4)
式の通りである。 Vcs = K × Ve × Va × Vin/Vout ・・・(4)
【0035】電流検知部30の出力電圧Vcsは(5)
式の通りである。 Vcs = iL × Rcs ・・・(5) ここで、iLはインダクタLに流れる電流を示す。
【0036】(4)式及び(5)式から、電流iLは
(6)式で求められる。 iL = (K × Ve × Va × Vin)/(Vout × Rcs) ・・・(6)
【0037】(6)式から、インダクタに流れる電流i
Lは、入力電圧Vinと一定のゲインGm(Gm = (K × V
e × Va)/(Vout × Rcs) )によってその大きさが決定
される比例関係にあり、入力電圧と位相が同一であるこ
とがわかる。
【0038】すなわち、インダクタに流れる電流iLの
波形は入力電圧の波形と一致し、これによって本発明の
実施形態によるPFC回路は高い力率を提供することが
できる。
【0039】次に、出力電圧Voutが変動する場合、
本発明の第1実施形態によるPFC回路の動作について
図1及び図3を参照して説明する。負荷の変動によって
出力電圧がVoutからVout′に減少したと仮定す
る。そうすれば、分配抵抗R1、R2によって分配され
る電圧Vfbは減少し、これによってエラー増幅器21
の出力電圧はVeからVe′に増加するようになる。従
って乗算器42の出力電圧は図3に示したように、Vm
oからVmo′に傾きが増加するようになる。
【0040】この場合、電流検知部30の出力電圧Vc
sは、出力電圧Voutの変動に関係なくて一定の傾き
を有するため、図3に示したように、スイッチングMO
Sトランジスタ12のオン時間はtonからton′に
増加するようになる。従って、デユーティ比の増加に伴
い、(1)式からわかるように、出力電圧Voutは増
加するようになる。
【0041】これと同様に、出力電圧Voutが負荷の
変動によって増加した場合には、デユーティ比は減少
し、これによって出力電圧Voutは減少するようにな
る。
【0042】しかし、本発明の第1実施形態によるPF
C回路は、以下の説明の通り、最大デユーティ比を有す
るのに限界がある。例えば、出力電圧Voutの減少に
よって乗算器の出力電圧Vmoの傾きが増加するとして
も、この傾きの増加には限界がある。
【0043】すなわち、出力電圧Voutが減少しても
エラー増幅器の出力値Veの最大値は制限され、これに
よって乗算器の出力電圧Vmoの傾きの増加には限界が
存在するようになる。従って、電流検知部30の出力電
圧の傾きが一定であるため、実際の最大デユーティ比値
は一定の限界を有し、これにより、過度な負荷がかかる
時にデユーティオンタイムが制限されるようになって出
力電圧Voutの制御が困難であった。
【0044】本発明の第2及び第3実施形態によるPF
C回路は、前記のような問題点を解決するために提案さ
れたものである。図4は本発明の第2実施形態によるP
FC回路を示した図である。図4に示したように、本発
明の第2実施形態によるPFC回路としてはブースタコ
ンバータ部10、エラー増幅部20、電流検知部30、
比較波形生成部60、スイッチング駆動部50からな
る。図4において、ブースタコンバータ部10、エラー
増幅部20、電流検知部30、スイッチング駆動部50
は、図1に示したPFC回路と同一であるため、詳細な
説明は省略する。
【0045】比較波形生成部60は、スイッチングMO
Sトランジスタ12のオフ時点を決定する比較波形を提
供するためのものであって、加減器61、62と、乗算
器63、64とからなる。
【0046】加減器62は、エラー増幅器21の出力電
圧Veから比較電圧Vref3を減算してVm2(Vm
2=Ve−Vref3)を出力し、加減器61は比較電
圧Vref2から加減器62の出力電圧Vm2を減算し
てVm1(Vm1=Vref2−Vm2=Vref2+
Vref3−Ve)を出力する。
【0047】乗算器63は電流検知部30の出力電圧V
csと加減器61の出力電圧Vm1とに利得K1を乗じ
てVmo1を出力し、乗算器64は逆のこぎり波Vsw
と加減器62の出力電圧Vm2とに利得K2を乗じてV
mo2を出力する。
【0048】すなわち、乗算器63、64の出力電圧V
mo1、Vmo2は、それぞれ(7)式、(8)式の通
りである。 Vmo1 = K1 × (Vref2 + Vref3 - Ve ) × Vcs ・・・(7) Vmo2 = K2 × (Ve - Vref3 ) × Vsw ・・・(8)
【0049】次に、図4及び図5を参照して本発明の第
2実施形態によるPFC回路の動作について説明する。
上述のように、スイッチングMOSトランジスタのオン
時点は、フリップフロップ52のセット信号に入力され
る発振器41の基準クロック信号によって決定され、ス
イッチングMOSトランジスタ12のオフの時点は、比
較器51にそれぞれ入力される信号である乗算器63、
64の出力信号Vmo1、Vmo2によって決定され
る。
【0050】図5において、乗算器64の出力電圧Vm
o2は(8)式からわかるように、逆のこぎり波Vsw
に一定のゲイン( G = K2 × (Ve - Vref3 ) )を乗じ
た値であるので、図5のような波形となる。
【0051】乗算器63の出力電圧Vmo1は、(7)
式からわかるように電流検知部30の出力電圧Vcsに
比例した値となるので、スイッチングMOSトランジス
タ12がオンになる時点、すなわち発振器65の基準ク
ロック信号が上昇エッジに変化した時点から増加し始め
る。
【0052】乗算器63の出力電圧Vmo1が増加する
ことにより、前記電圧Vmo1は乗算器64の出力電圧
Vmo2と結局同一になり、この時点でスイッチングM
OSトランジスタ12はオフとなる。このスイッチング
MOSトランジスタ12は、発振器65の基準クロック
信号が上昇エッジに変化する時点で再びオンになって前
記過程を繰返す。
【0053】乗算器63、64の出力電圧Vmo1、V
mo2が同一になる点におけるVmo1とVmo2との
関係式は、(9)式の通りである。 K1 × (Vref2 + Vref3 - Ve ) × Vcs = K2 × (Ve - Vref3 ) × Va × (1-ton/T) ・・・(9) ここで、VaはスイッチングMOSトランジスタがオン
になる時点における逆のこぎり波の電圧を示し、Tは逆
のこぎり波の周期を示す。
【0054】(1)式と(5)式とを(9)式に代入す
ると、(10)式の通りである。 iL = {K2 × (Ve - Vref3 ) × Va × Vin} / { K1 × (Vref2 + Vref3 - Ve ) × Rcs × Vout } ・・・(10) (10)式からわかるように、インダクタに流れる電流
iLは、入力電圧Vinと一定のゲインGm1( Gm1 =
{K2 × (Ve - Vref3 ) × Va } / { K1 × (Vref2 + V
ref3 - Ve ) × Rcs × Vout } )によってその大きさ
が決定される比例関係にあり、入力電圧と位相が同一で
あることがわかる。
【0055】すなわち、インダクタに流れる電流iLの
波形は入力電圧の波形と一致し、これによって本発明の
第2実施形態によるPFC回路は力率回路補正が可能で
ある。
【0056】以下、出力電圧Voutが変動する場合、
本発明の第2実施形態によるPFC回路の動作について
図4、図6及び図7を参照して説明する。図6は、負荷
が増加して出力電圧Voutが減少した場合を示した図
であり、図7は負荷が減少して出力電圧Voutが増加
した場合を示した図である。
【0057】負荷が増加してブースタコンバータ10の
出力がVoutからVout′に減少したと過程する。
そうすると、分配抵抗R1、R2によって分配される電
圧は減少するようになり、エラー増幅器21の出力電圧
はVeからVe′に増加するようになる。従って、乗算
器64の出力電圧は図6に示したように、Vmo2から
Vmo2′に傾きが増加するようになり、乗算器63の
出力電圧はVmo1からVmo1′に傾きが減少するよ
うになる。
【0058】従って、スイッチングMOSトランジスタ
12のオン時間はtonからton′に増加するので、
出力電流が増加して出力電圧Voutは増加するように
なる。
【0059】一方、負荷が減少してブースタコンバータ
10の出力電圧がVoutからVout″に増加したと
仮定する。そうすると、分配抵抗R1、R2によって分
配される電圧Vfbは増加するようになってエラー増幅
器21の出力電圧はVeからVe″に減少するようにな
る。これによって乗算器64の出力電圧は図7に示した
ように、Vmo2からVmo2″に傾きが減少するよう
になり、乗算器63の出力電圧はVmo1からVmo
1″に傾きが増加するようになる。
【0060】従って、スイッチングMOSトランジスタ
12のオン時間は、tonからton″に減少するの
で、出力電流が減少して結局出力電圧Voutは減少す
る。
【0061】本発明の第2実施形態によるPFC回路
は、次に説明するように電流制御、すなわちデユーティ
比において殆ど制限を受けることがない。
【0062】例えば、出力電圧Voutが減少し、エラ
ー増幅器21の出力値VeがVref2+Vref3と
ほぼ同一になったと仮定する。そうすれば、(7)式か
らわかるように、乗算器63の出力電圧Vmo1の傾き
が減少してほぼゼロになる。従って、スイッチングMO
Sトランジスタ12のオンの時間は増加するようになっ
てデユーティ比がほぼ1になる。
【0063】一方、出力電圧Voutが増加し、エラー
増幅器21の出力値VeがVref3とほぼ同一になっ
たと仮定する。そうすれば(8)式からわかるように乗
算器64の出力電圧Vmo2の傾きが減少してほぼゼロ
になる。従って、スイッチングMOSトランジスタ12
のオン時間が減少してデューティはほぼゼロになる。
【0064】このように、本発明の第2実施形態による
PFC回路はデユーティ比をほぼゼロから1まで制御す
ることができるため、広い範囲の負荷変動や入力電圧の
変動に対してもデューティの変動を最大、最小に制御す
ることができる。
【0065】図8は本発明の第3実施形態によるPFC
回路を示した図である。図8に示したように、本発明の
第3実施形態によるPFC回路は、ブースタコンバータ
部10、エラー増幅部20、電流検知部30、比較波形
生成部70、スイッチング駆動部50からなる。図8に
おいて、ブースタコンバータ部10、エラー増幅部2
0、電流検知部30、スイッチング駆動部50は、図1
に示したPFC回路と同一であるため、詳細な説明は省
略する。
【0066】比較波形生成部70は、スイッチングMO
Sトランジスタ12のオフの時点を決定する比較波形を
提供するためのものであって、乗算器71、72と除算
器73とからなる。
【0067】除算器73は利得K5をエラー増幅器21
の出力電圧Veで割ってVy( Vy= K5/Ve )を出力
し、乗算器71は除算器73の出力電圧Vyと電流検知
部30の出力電圧Vcsとを利得K3で乗じて電圧Vm
o3を出力し、乗算器72はエラー増幅器21の出力電
圧Veと逆のこぎり波Vswを利得K4で乗じてVmo
4を出力する。
【0068】すなわち、乗算器71、72の出力電圧V
mo3、Vmo4は、それぞれ(11)式、(12)式
の通りである。 Vmo3 = K × Vcs × Vy = K3 × Vcs × K5/Ve ・・・(11)
【0069】 Vmo4 = K4 × Ve × Vsw ・・・(12)
【0070】以下、図8及び図9を参照して本発明の第
3実施形態によるPFC回路の動作について説明する。
図8において、乗算器72の出力電圧Vmo4は(1
2)式からわかるように、逆のこぎり波Vswに一定の
ゲイン( G = K4 × Ve )を乗じた値であるので、図9
のような波形となる。
【0071】乗算器71の出力電圧Vmo3は(1)式
1からわかるように、電流検知部30の出力電圧Vcs
に比例した値となるので、スイッチングMOSトランジ
スタ12がオンになる時点、すなわち発振器41の基準
クロック信号が下降エッジに変化した時点から増加し始
める。
【0072】乗算器71の出力電圧Vmo3が増加する
ことによって、前記電圧Vmo3は乗算器72の出力電
圧Vmo4と結局同一になり、この時点でスイッチング
MOSトランジスタ12はオフになる。このスイッチン
グMOSトランジスタ12は、発振器41の基準クロッ
ク信号が下降エッジに変化する時点で再びオンになって
前記過程を繰返す。
【0073】乗算器71、72の出力電圧Vmo3、V
mo4が同一になる点におけるVmoとVmo4との関
係式は、(13)式の通りである。 K3 × Vcs × K5/Ve = K4 × Ve × Va × (1-ton/T) ・・・(13) ここで、Vaは、スイッチングMOSトランジスタがオ
ンになる時点における逆のこぎり波の電圧を示し、Tは
逆のこぎり波の周期を示す。
【0074】(1)と(5)式を(13)式に代入する
と、(14)式の通りである。 iL = {K4 × Ve2 × Va × Vin} / { K3 × K5 × Rcs × Vout } ・・・(14) (14)式から、インダクタに流れる電流iLは入力電
圧Vinと一定のゲインGM2によって、その大きさが
決定される比例関係にあり、入力電圧と位相が同一であ
ることがわかる。
【0075】すなわち、インダクタに流れる電流iLの
波形は入力電圧の波形と一致し、これによって本発明の
第3実施形態によるPFC回路は力率補正が可能であ
る。
【0076】以下、出力電圧Voutが変動する場合、
本発明の第3実施形態によるPFC回路の動作について
図8、図10及び図11を参照して説明する。図10は
負荷が増加して出力電圧Voutが減少した場合を示し
た図であり、図11は負荷が減少して出力電圧Vout
が増加した場合を示した図である。
【0077】負荷が増加してVoutからVout′に
減少したと仮定する。そうすると、分配抵抗R1、R2
によって分配される電圧Vfbは減少するようになり、
これによってエラー増幅器21の出力電圧はVeからV
e′に増加するようになる。従って、乗算器72の出力
電圧は図10に示したようにVmo4からVmo4′に
傾きが増加するようになり、乗算器71の出力電圧はV
mo3からVmo3′に傾きが減少するようになる。
【0078】従って、スイッチングMOSトランジスタ
12のオン時間はtonからton′に増加するので、
出力電流が増加して出力電圧Voutは増加するように
なる。
【0079】一方、負荷が減少して出力電圧がVout
からVout″に増加したと仮定する。そうすると、分
配抵抗R1、R2によって分配される電圧Vfbは増加
するようになって、エラー増幅器21の出力電圧はVe
からVe″に減少するようになる。これによって乗算器
72の出力電圧は図10に示したように、Vmo4から
Vmo4″に傾きが減少するようになり、乗算器71の
出力電圧はVmo3からVmo3″に傾きが増加するよ
うになる。
【0080】従って、スイッチングMOSトランジスタ
12のオン時間はtonからton″に減少するので、
出力電流が減少して結局出力電圧Voutは減少する。
【0081】本発明の第3実施形態によるPFC回路
は、次に説明するように、第1実施形態によるPFC回
路に比べてさらに広いデューティ比を調節することがで
きる。
【0082】すなわち、図10と図11からわかるよう
に、本発明の第3実施形態によるPFC回路は、出力電
圧Voutが変動して乗算器72の出力電圧Vmo4の
傾きが変動する場合、同時に乗算器71の出力電圧Vm
o3の傾きが前記Vmo4の傾きの変動方向と反対方向
に変わる。従って、本発明の第3実施形態によるPFC
回路は第1実施形態によるPFC回路に比べてさらに広
いデューティ比を調節することができる。
【0083】以上説明した本発明の実施形態は一実施形
態に過ぎず、本発明の権利範囲が前記実施形態に限られ
るわけではない。また、本発明によるPFC回路は前記
実施形態以外にも種々に変形して実施できる。
【0084】例えば、本発明の実施形態においては、コ
ンバータとしてブースタコンバータを用いたが、ブース
タコンバータ以外のコンバータ(例えば、バック(Buc
k)コンバータ)を用いることができる。また、スイッ
チング素子としてスイッチングMOSトランジスタ以外
のスイッチング素子(例えば、バイポーラトランジス
タ)を用いることも可能である。
【0085】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のPFC回
路は逆のこぎり波を利用した簡単な力率補正回路を提供
することにより、さらに高い力率を提供し、かつデュー
ティ比の制限が殆どない力率補正回路を提供することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態による力率補正回路を
示した図である。
【図2】 図1においてスイッチングMOSFETのオ
ン、オフ時点を示した図である。
【図3】 図2において出力電圧の変動によるデューテ
ィ比の変化を示した図である。
【図4】 本発明の第2実施形態による力率補正回路を
示した図である。
【図5】 図4においてスイッチングMOSFETのオ
ン、オフ時点を示した図である。
【図6】 図4において負荷が増加して出力電圧が減少
する場合のデューティ比の変化を示した図である。
【図7】 図4において負荷が減少して出力電圧が増加
する場合のデューティ比の変化を示した図である。
【図8】 本発明の第3実施形態による力率補正回路を
示した図である。
【図9】 図8においてスイッチングMOSFETのオ
ン、オフ時点を示す図である。
【図10】 図8において負荷が増加して出力電圧が減
少する場合のデューティ比の変化を示した図である。
【図11】 図8において負荷が減少して出力電圧が増
加する場合のデューティ比の変化を示した図である。
【符号の説明】
10 ブースタコンバータ部 11 1次整流器 12 スイッチングMOSトランジスタ 20 エラー増幅部 21 エラー増幅器 30 電流検知部 40、60、70 比較波形生成部 41 発振器 42、63、64、71、72 乗算器 50 スイッチング駆動部 51 比較器 52 フリップフロップ 53 ノアゲート 54 駆動回路 61、62 加減器 73 除算器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H03K 17/687 H02M 3/155 H02M 7/12

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力電圧に連結されるインダクタ、前記
    インダクタに流れる電流を制御するスイッチング素子、
    前記インダクタの出力電圧を整流して負荷に供給するダ
    イオード及び第1キャパシタを有するコンバータ部と、 前記スイッチング素子に連結される第1抵抗と第2キャ
    パシタとを有し、前記スイッチング素子がオンになった
    時に前記インダクタに流れる電流を検知するための電流
    検知部と、 前記コンバータ部の出力電圧を分配するための第2、第
    3抵抗と、前記第2及び第3抵抗間の接点の電圧と基準
    電圧との差を増幅するためのエラー増幅器とを有するエ
    ラー増幅部と、 同一周波数の逆のこぎりと基準クロック信号とを発生さ
    せる発振器と、前記エラー増幅器の出力電圧と前記逆の
    こぎり波とを所定利得で乗ずる乗算器とを有する比較波
    形生成部と、 前記電流検知部の出力電圧と前記乗算器の出力電圧が同
    一になる場合に前記スイッチング素子をオフとし、前記
    基準クロック信号の状態が遷移する場合に前記スイッチ
    ング素子をオンとするスイッチング駆動部とを含む逆の
    こぎり波を利用した力率補正回路。
  2. 【請求項2】 前記コンバータ部はブースタコンバータ
    である請求項1に記載の逆のこぎり波を利用した力率補
    正回路。
  3. 【請求項3】 前記スイッチング駆動部は、 前記電流検知部の出力電圧と前記乗算器の出力電圧とを
    比較する比較器と、 前記比較器の出力電圧をリセット入力とし、前記発振器
    の基準クロック信号をセット入力とするフリップフロッ
    プと、 前記フリップフロップの反転出力と前記発振器の基準ク
    ロック信号とを入力とするノアゲートと、 前記ノアゲートの出力信号に従って前記スイッチング素
    子をオン、オフとするスイッチング駆動回路とを含む請
    求項2に記載の逆のこぎり波を利用した力率補正回路。
  4. 【請求項4】 前記スイッチング素子はスイッチングM
    OSFETである請求項3に記載の逆のこぎり波を利用
    した力率補正回路。
  5. 【請求項5】 入力電圧に連結されるインダクタ、前記
    インダクタに流れる電流を制御するスイッチング素子、
    前記インダクタの出力電圧を整流して負荷に供給するダ
    イオード及び第1キャパシタを有するコンバータ部と、 前記スイッチング素子に連結される第1抵抗と第2キャ
    パシタとを有し、前記スイッチング素子がオンになった
    時に前記インダクタに流れる電流を検知するための電流
    検知部と、 前記コンバータ部の出力電圧を分配するための第2、第
    3抵抗と、前記第2及び第3抵抗間の接点の電圧と第1
    基準電圧との差を増幅するためのエラー増幅器を有する
    エラー増幅部と、 同一周波数の逆のこぎり波と基準クロック信号を発生さ
    せる発振器と、前記エラー増幅器の出力電圧を第2基準
    電圧に減算するための第1減算器と、第3基準電圧を前
    記第1減算器の出力電圧に減算するための第2減算器
    と、前記逆のこぎり波と前記第1減算器の出力電圧とを
    第1利得で乗ずる第1乗算器と、前記第2減算器の出力
    電圧と前記電流検知部の出力電圧を第2利得で乗ずる第
    2乗算器とを有する比較波形生成部と、 前記第1乗算器と前記第2乗算器の出力電圧が同一にな
    る場合に前記スイッチング素子をオフとし、前記基準ク
    ロック信号の状態が遷移する場合に前記スイッチング素
    子をオンとするスイッチング駆動部とを含む逆のこぎり
    波を利用した力率補正回路。
  6. 【請求項6】 前記コンバータはブースタコンバータで
    ある請求項5に記載の逆のこぎり波を利用した力率補正
    回路。
  7. 【請求項7】 前記スイッチング駆動部は、 前記第1乗算器の出力電圧と前記第2乗算器の出力電圧
    とを比較する比較器と、 前記比較器の出力電圧をリセット入力とし、前記発振器
    の基準クロック信号をセット入力とするフリップフロッ
    プと、 前記フリップフロップの反転出力と前記発振器の基準ク
    ロック信号とを入力とするノアゲートと、 前記ノアゲートの出力信号に従って前記スイッチング素
    子をオン、オフとするスイッチング駆動回路とを含む請
    求項6に記載の逆のこぎり波を利用した力率補正回路。
  8. 【請求項8】 前記スイッチング素子はスイッチングM
    OSFETである請求項6に記載の逆のこぎり波を利用
    した力率補正回路。
  9. 【請求項9】 入力電圧に連結されるインダクタ、前記
    インダクタに流れる電流を制御するスイッチング素子、
    前記インダクタの出力電圧を整流して負荷に供給するダ
    イオード及び第1キャパシタを有するコンバータ部と、 前記スイッチング素子に連結される第1抵抗と第2キャ
    パシタとを有し、前記スイッチング素子がオンになった
    時に前記インダクタに流れる電流を検知するための電流
    検知部と、 前記コンバータ部の出力電圧を分配するための第2、第
    3抵抗と、前記第2及び第3抵抗間の接点の電圧と第1
    基準電圧との差を増幅するためのエラー増幅器を有する
    エラー増幅部と、 同一周波数の逆のこぎり波と基準クロック信号を発生さ
    せる発振器と、第1利得を前記エラー増幅器の出力電圧
    で除するための除算器と、前記逆のこぎり波と前記エラ
    ー増幅器の出力電圧とを第2利得で乗ずるための第1乗
    算器と、前記除算器の出力電圧と前記電流検知部の出力
    電圧とを第3利得で乗ずる第2乗算器を有する比較波形
    生成部と、 前記第1乗算器と前記第2乗算器の出力電圧とが同一に
    なる場合に前記スイッチング素子をオフとし、前記基準
    クロック信号の状態が遷移する場合に前記スイッチング
    素子をオンとするスイッチング駆動部とを含む逆のこぎ
    り波を利用した力率補正回路。
  10. 【請求項10】 前記コンバータはブースタコンバータ
    である請求項9に記載の逆のこぎり波を利用した力率補
    正回路。
  11. 【請求項11】 前記スイッチング駆動部は、 前記第1乗算器の出力電圧と前記第2乗算器の出力電圧
    とを比較する比較器と、 前記比較器の出力電圧をリセット入力とし、前記発振器
    の基準クロック信号をセット入力とするフリップフロッ
    プと、 前記フリップフロップの反転出力と前記発振器の基準ク
    ロック信号とを入力とするノアゲートと、 前記ノアゲートの出力信号に従って前記スイッチング素
    子をオン、オフとするスイッチング駆動回路とを含む請
    求項9に記載の逆のこぎり波を利用した力率補正回路。
  12. 【請求項12】 前記スイッチング素子はスイッチング
    MOSFETである請求項10に記載の逆のこぎり波を
    利用した力率補正回路。
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