JP3398316B2 - 配線基板およびその製造方法 - Google Patents

配線基板およびその製造方法

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  • Manufacturing Of Printed Wiring (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半導体素子を収容す
るための半導体素子収納用パッケージや混成集積回路基
板等に用いられる配線基板およびその製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、配線基板、例えば半導体素子を収
容する半導体素子収納用パッケージに使用される配線基
板は、酸化アルミニウム質焼結体等のセラミックスより
成り、その上面に半導体素子を搭載する搭載部を有する
絶縁基体と、絶縁基体の上面で搭載部または搭載部近傍
から絶縁基体下面にかけて導出されたタングステン・モ
リブデン等の高融点金属メタライズから成る配線導体と
から構成されており、絶縁基体の搭載部に半導体素子を
載置するとともに半導体素子の各電極を絶縁基体の上面
に導出した配線導体に半田バンプやボンディングワイヤ
等の電気的接続手段を介して電気的に接続し、しかる
後、絶縁基体の上面に金属やセラミックス等から成る蓋
体を半導体素子を覆うようにしてガラス・樹脂・ロウ材
等の封止材を介して接合させ、半導体素子を気密に収容
することによって製品としての半導体装置となる。そし
て、配線導体の絶縁基体下面に導出した部位を外部電気
回路基板の配線導体に接続することによって半導体素子
の各電極が外部電気回路基板に電気的に接続されること
となる。
【0003】この従来の配線基板は、セラミックグリー
ンシート積層法によって製作され、具体的には、酸化ア
ルミニウム・酸化珪素・酸化マグネシウム・酸化カルシ
ウム等のセラミック原料粉末に適当な有機バインダや溶
剤等を添加混合して泥漿状となすとともにこれを従来周
知のドクターブレード法を採用してシート状とすること
によって複数のセラミックグリーンシートを得、しかる
後、これらのセラミックグリーンシートに適当な打ち抜
き加工を施すとともに配線導体となる金属ペーストを所
定パターンに印刷塗布し、最後にこれらのセラミックグ
リーンシートを所定の順に上下に積層して生セラミック
成形体となすとともにこれを還元雰囲気中約1600℃の高
温で焼成することによって製作される。
【0004】しかしながら、この従来の配線基板は、絶
縁基体を構成する酸化アルミニウム質焼結体等のセラミ
ックスが硬くて脆い性質を有するため、搬送工程や半導
体装置製作の自動ライン等において配線基板同士が、あ
るいは配線基板と半導体装置製作自動ラインの一部とが
激しく衝突すると絶縁基体に欠けや割れ・クラック等が
発生し、その結果、半導体素子を気密に収容することが
できず、半導体素子を長期間にわたり正常かつ安定に作
動させることができなくなるという欠点を有していた。
【0005】また、この従来の配線基板の製造方法によ
れば、生セラミック成形体を焼成する際、生セラミック
成形体に不均一な焼成収縮が発生し、得られる配線基板
に反り等の変形や寸法のばらつきが発生し、その結果、
半導体素子と配線導体とを電気的に正確かつ確実に接続
することが困難であるという欠点を有していた。
【0006】そこで、配線基板の絶縁基体を従来のセラ
ミックスに代えて無機絶縁物粉末を熱硬化性樹脂により
結合した材料からなる絶縁基板を積層することで形成
し、また配線導体を従来のタングステンやモリブデン等
の高融点金属メタライズに代えて銅等の金属粉末を熱硬
化性樹脂により結合して成る材料で形成した配線基板が
提案されている。
【0007】この無機絶縁物粉末を熱硬化性樹脂で結合
して成る絶縁基板を積層した絶縁基体と金属粉末を熱硬
化性樹脂で結合して成る配線導体とから成る配線基板
は、熱硬化性樹脂前駆体と無機絶縁物粉末とを混合して
成る半硬化状態の前駆体シートを複数準備するとともに
これに適当な打ち抜き加工を施し、次にこれらの前駆体
シートに熱硬化性樹脂前駆体と金属粉末とを混合して成
る金属ペーストを所定パターンに印刷塗布し、最後に金
属ペーストが印刷塗布された前駆体シートを積層すると
ともに約150 〜300 ℃の温度および約4〜100 kgf/
cm2 の圧力でホットプレスし、これを熱硬化させるこ
とによって製作される。
【0008】この配線基板によれば、絶縁基板となる無
機絶縁物粉末および配線導体となる金属粉末を靭性に優
れる熱硬化樹脂により結合して成ることから、配線基
板同士あるいは配線基板と半導体装置製作自動ラインの
一部とが激しく衝突しても絶縁基体に欠けや割れ・クラ
ック等が発生することは一切ない。
【0009】またこの配線基板の製造方法によれば、絶
縁基体および配線導体に含有される熱硬化性樹脂の前駆
体を熱硬化させることにより製作されることから、焼成
に伴う不均一な収縮による変形や寸法のばらつきが発生
することはない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近時、
半導体素子は高速駆動が行なわれるようになってきてお
り、これに伴い半導体素子を駆動するための駆動パルス
もその周波数が高く、かつパルスの立ち上がり時間が極
めて短いものとなってきているため、半導体素子の電源
や信号には駆動パルスよりも高次の高調波ノイズが発生
し易いものとなってきている。
【0011】このような高次の高調波ノイズは、半導体
素子が搭載された配線基板の配線導体を通じてこの配線
基板が接続される外部電気回路基板に伝搬され、他の半
導体装置に悪影響を及ぼすという問題点があった。ま
た、他の半導体装置が発生した高調波ノイズが配線導体
を通じて配線基板に搭載される半導体素子に伝搬され、
半導体素子に誤動作を生じさせるという問題点もあっ
た。
【0012】一方、半導体素子の高速駆動に対応するた
めに配線基板の絶縁基体の材質には損失(tanδ)が
小さい材料が求められており、上記の無機絶縁物粉末を
熱硬化性樹脂で結合して成る絶縁基板と金属粉末を熱硬
化性樹脂で結合して成る配線導体とから成る配線基板に
対しても同様の要求があるが、その反面、絶縁基体の材
質の損失(tanδ)が小さくなると、その絶縁基体内
あるいは表面に被着形成された配線導体からの不要輻射
が大きくなって上記の高調波ノイズが発生し易くなると
いう問題点があった。
【0013】本発明は上記事情に鑑みて案出されたもの
であり、その目的は、無機絶縁物粉末を熱硬化性樹脂で
結合した絶縁基体に金属粉末を熱硬化性樹脂で結合した
配線導体を被着して成る配線基板について、配線導体か
らの不要輻射を抑制し、高調波ノイズの有効に除去し
て、外部電気回路基板に対してノイズを放出しにくいと
ともに搭載される半導体素子を正常かつ安定に高速駆動
させることが可能な配線基板を提供することにある。
【0014】また本発明の目的は、無機絶縁物粉末を熱
硬化性樹脂で結合した絶縁基板に金属粉末を熱硬化性樹
脂で結合した配線導体を被着して成る配線基板の製造方
法について、配線導体からの不要輻射を抑制し、高調波
ノイズの有効に除去して、外部電気回路基板に対してノ
イズを放出しにくいとともに搭載される半導体素子を正
常かつ安定に高速駆動させることが可能な配線基板を得
ることができる製造方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の配線基板は、60
乃至95重量%の無機絶縁物粉末および粒径が0.5〜50μ
mの範囲であるとともに無機絶縁物粉末の粒径の1/2
以下であり、形状がアスペクト比が2以下の球状もしく
は多面体状である強磁性体粉末を5乃至40重量%の熱硬
化性樹脂により結合した絶縁基体に、金属粉末を熱硬化
性樹脂により結合した配線導体を被着して成ることを特
徴とするものである。
【0016】また本発明の配線基板は、上記構成の配線
基板において、前記強磁性体粉末を前記無機絶縁物粉末
との合計量に対して30乃至60重量%含有していることを
特徴とするものである。
【0017】また、本発明の配線基板の製造方法は、60
乃至95重量%の無機絶縁物粉末および粒径が0.5〜50μ
mの範囲であるとともに無機絶縁物粉末の粒径の1/2
以下であり、形状がアスペクト比が2以下の球状もしく
は多面体状である強磁性体粉末と5乃至40重量%の熱硬
化性樹脂前駆体とを混合して成る前駆体シートを半硬化
させる工程と、この半硬化した前駆体シートに所定の打
ち抜き加工を施す工程と、この打ち抜き加工された前駆
体シートに金属粉末と熱硬化性樹脂前駆体とを混合して
成る金属ペーストを所定パターンに印刷する工程と、
属ペーストが被着された前駆体シートを複数枚上下に積
層するとともに前記前駆体シートおよび金属ペーストを
熱硬化させて、無機絶縁物粉末および強磁性体粉末を熱
硬化性樹脂により結合した絶縁基体に金属粉末を熱硬化
性樹脂により結合した配線導体を被着させる工程とを具
備することを特徴とするものである。
【0018】本発明の配線基板によれば、絶縁基体を無
機絶縁物粉末および粒径が0.5〜50μmの範囲であると
ともに無機絶縁物粉末の粒径の1/2以下であり、形状
がアスペクト比が2以下の球状もしくは多面体状である
強磁性体粉末を熱硬化性樹脂により結合したものとした
ことから、強磁性体粉末により配線導体からの不要輻射
を吸収して高調波ノイズを有効に除去することができ、
外部電気回路基板に対するノイズの放出や外部電気回路
基板からのノイズの伝搬を抑制することが可能であると
ともに、無機絶縁物粉末により絶縁基体の誘電率を所望
の小さい値に設定することができて搭載される半導体素
子を正常かつ安定に高速駆動させることが可能な配線基
板となる。
【0019】また本発明の配線基板の製造方法によれ
ば、無機絶縁物粉末および強磁性体粉末と熱硬化性樹脂
前駆体とを混合して成る前駆体シートを用いて上記構成
の配線基板を製造することにより、搭載される半導体素
子を正常かつ安定に高速駆動させることが可能な、優れ
た電気特性を有する配線基板を提供できる。
【0020】
【発明の実施の形態】次に、本発明を添付の図面に基づ
き、詳細に説明する。図1は本発明の配線基板を半導体
素子を収容する半導体素子収納用パッケージに適用した
場合の実施の形態の一例を示す断面図であり、1は絶縁
基体、2は配線導体である。
【0021】絶縁基体1は、3枚の絶縁基板1a・1b
・1cを積層することによって形成されており、その上
面中央部に半導体素子を収容するための凹部1dを有
し、凹部1d底面には半導体素子3が樹脂等の接着剤を
介して接着固定される。
【0022】絶縁基体1を構成する絶縁基板1a・1b
・1cは、無機絶縁物粉末、例えば酸化珪素・酸化アル
ミニウム・窒化アルミニウム・炭化珪素・チタン酸バリ
ウム・チタン酸ストロンチウム・チタン酸カルシウム・
酸化チタン・ゼオライト等、および強磁性体粉末、例え
ばフェロ磁性体である鉄・ニッケル・コバルト・酸化ク
ロムもしくはこれらの合金等の粉末、あるいはフェリ磁
性体であるMn−Znフェライト・Ni−Znフェライ
ト・Baフェライト・Mg−Mnフェライト・Ni−C
uフェライト等の各種のフェライト(MOFe2 3
Mは2価金属イオン)の粉末を、エポキシ樹脂・ポリイ
ミド樹脂・フェノール樹脂・熱硬化性ポリフェニレンエ
ーテル樹脂・ポリイミドアミド樹脂・ビスマレイミドト
リアジン樹脂等の熱硬化性樹脂により結合することによ
って形成されている。
【0023】絶縁基体1を構成する3枚の絶縁基板1a
・1b・1cはその各々が無機絶縁物粉末および強磁性
体粉末を靭性に優れるエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂で
結合することによって形成されていることから、絶縁基
体1の靭性が極めて強いものとなり、絶縁基体1に外力
が印加されてもこの外力によって絶縁基体1に欠けや割
れ・クラック等が発生することを極めて有効に防止する
ことができる。
【0024】なお、この無機絶縁物粉末および強磁性体
粉末と熱硬化性樹脂とから成る絶縁基体1を構成する3
枚の絶縁基板1a・1b・1cは、これを構成する無機
絶縁物粉末および強磁性体粉末と熱硬化性樹脂との組成
比において、無機絶縁物粉末および強磁性体粉末の含有
量が60重量%未満であると絶縁基体1の熱膨張係数が半
導体素子3の熱膨張係数に対して大きく相違し、半導体
素子3が作動時に発熱してその熱が半導体素子3と絶縁
基体1の両者に印加されると、両者間に両者の熱膨張係
数の相違に起因する大きな熱応力が発生し、この大きな
熱応力によって半導体素子3が絶縁基体1から剥離した
り半導体素子3に割れや欠けが発生しやすい傾向があ
る。また無機絶縁物粉末および強磁性体粉末の含有量が
95重量%を超えると無機絶縁物粉末および強磁性体粉末
を熱硬化性樹脂で強固に結合することが困難となる傾向
にある。従って、絶縁基体1を構成する絶縁基板1a・
1b・1cは、その各々を構成する無機絶縁物粉末およ
び強磁性体粉末と熱硬化性樹脂との組成比において無機
絶縁物粉末および強磁性体粉末の量が60〜95重量%の範
囲に特定される。
【0025】また、無機絶縁物粉末と強磁性体粉末との
合計量に対する強磁性体粉末の量については、強磁性体
粉末の含有量が30重量%未満となると配線導体2からの
不要輻射を吸収して高調波ノイズを有効に除去する効果
が小さいものとなる傾向があり、他方、60重量%を超え
ると絶縁基体1を構成する各絶縁基板1a・1b・1c
の前駆体シート、すなわち無機絶縁物粉末および強磁性
体粉末と熱硬化性樹脂前駆体とを混合して成る前駆体シ
ートの強度が低くなり、製造上の取扱いが困難となる傾
向がある。従って、強磁性体粉末の含有量は、無機絶縁
物粉末と強磁性体粉末との合計量に対して30〜60重量%
の範囲とすることが望ましい。
【0026】なお、無機絶縁物粉末の粒径としては、1
μm未満では無機絶縁物粉末の比表面積が大きくなるこ
とから、前駆体シートを形成する際に粘度が高くなり前
駆体シートを安定して形成することが困難となる傾向が
ある。他方、50μmを超えると前駆体シートの表面粗さ
が粗くなるため、その表面に均一な配線導体を金属ペー
ストの印刷により形成することが困難となる傾向があ
る。従って、無機絶縁物粉末の粒径は、1〜50μmの範
囲とすることが好ましい。
【0027】また、強磁性体粉末の粒径としては、0.5
μm未満では強磁性体粉末の比表面積が大きくなること
から、所定の量を充填すると前駆体シートを形成する際
に粘度が高くなり安定して形成することが困難となる傾
向がある。他方、50μmを超えると前駆体シートの表面
粗さが粗くなるため、その表面に均一な配線導体を金属
ペーストの印刷により形成することが困難となる傾向が
ある。従って、強磁性体粉末の粒径は、0.5 〜50μmの
範囲とすることが好ましい。
【0028】さらに、強磁性体粉末の粒径と無機絶縁物
粉末の粒径ならびに形状との関係については、強磁性体
粉末を均一に分散させることにより強磁性体粉末の効果
をより効率的に発揮させることとなることから、強磁性
体粉末の粒径は無機絶縁物粉末の粒径の1/2以下と
し、さらに強磁性体粉末の形状はアスペクト比が2以下
の球状もしくは多面体状としておくことが好ましい。
【0029】このように絶縁基体1が所定量の強磁性体
粉末を有しているので、強磁性体粉末が不要輻射を熱エ
ネルギーに変換吸収し、また高透磁率を有するため損失
(tanδ)が大きくなって高調波ノイズに対して高イ
ンピーダンスとなる。従って、配線導体2を伝搬する入
出力信号から不要輻射が生じたり、あるいは配線基板に
搭載される半導体素子3より高調波ノイズを含んだ出力
信号が配線導体2を介して外部電気回路基板に伝搬され
ようとしたり、外部電気回路基板より高調波ノイズを含
んだ入力信号が配線導体2を介して半導体素子3に伝搬
されようとしても、不要輻射や入出力信号に含まれる高
調波ノイズは強磁性体粉末により吸収除去されることと
なり、その結果、不要輻射がノイズとして発生したり、
高調波ノイズが半導体素子3より外部電気回路基板に、
あるいは外部電気回路基板より半導体素子3に伝搬され
ることがなくなる。
【0030】なお、強磁性体粉末は、絶縁基体1を構成
する3枚の絶縁基板1a・1b・1cに対して特に配線
導体2からの不要輻射や高調波ノイズの発生が問題とな
る部位に特に重点的に含有させるようにしてもよい。そ
れにより、その部位では強磁性体粉末による不要輻射の
吸収・高調波ノイズの抑制が効果的に行なえるととも
に、他の部位では高い電気絶縁性や良好な高周波信号伝
送特性を発揮させることができ、全体として優れた電気
特性を有する配線基板とすることができる。
【0031】また絶縁基体1は、その凹部1d周辺から
下面にかけて例えば銅・銀・金・銀で被覆した銅もしく
はこれらの合金等の金属粉末をエポキシ樹脂等の熱硬化
性樹脂により結合した配線導体2が被着形成されて配設
されている。
【0032】配線導体2は、半導体素子3の各電極を外
部電気回路に電気的に接続する作用をなし、絶縁基体1
の凹部1d周辺に位置する部位には半導体素子3の各電
極がボンディングワイヤ4を介して電気的に接続され、
また絶縁基体1の下面に導出された部位は外部電気回路
に電気的に接続される。
【0033】なお、配線導体2は、これに含有される金
属粉末の含有量が70重量%未満では配線導体2の電気抵
抗が高いものとなり、また95重量%を超えると金属粉末
を熱硬化性樹脂で強固に結合して所定の配線導体2を形
成することが困難となる傾向にある。従って、配線導体
2は、その内部に含有される金属粉末の量を70〜95重量
%の範囲としておくことが好ましい。
【0034】また配線導体2は、その露出する表面にニ
ッケルや金等の耐食性に優れかつ良導電性の金属をメッ
キ法により1.0 〜20.0μmの厚みに層着させておくこと
が好ましく、それにより、配線導体2の酸化腐食を有効
に防止することができるとともに配線導体2とボンディ
ングワイヤ4とを強固に電気的に接続させることができ
る。
【0035】かくして本発明の配線基板によれば、絶縁
基体1の凹部1d底面に半導体素子3を樹脂等の接着剤
を介して接着固定するとともに半導体素子3の各電極を
ボンディングワイヤ4を介して配線導体2に電気的に接
続し、最後に絶縁基体1の上面に蓋体5を樹脂等から成
る封止材を介して接合させ、絶縁基体1と蓋体5とから
成る容器内部に半導体素子3を気密に収容することによ
り製品としての半導体装置が完成する。
【0036】次に、上述の本発明の配線基板の製造方法
について図2に基づいて説明する。
【0037】図2(a)〜(c)は、それぞれ本発明の
配線基板の製造方法を説明するための工程毎の断面図で
ある。
【0038】先ず、図2(a)に示すように絶縁基体1
の絶縁基板1a・1b・1cとなる3枚の前駆体シート
11a・11b・11cを準備する。
【0039】前駆体シート11a・11b・11cは、60〜95
重量%の前述の無機絶縁物粉末および前述のフェロ磁性
体もしくはフェリ磁性体といった強磁性体粉末を5〜40
重量%の前述の熱硬化性樹脂の前駆体で結合することに
よって形成されている。
【0040】これら前駆体シート11a・11b・11cは、
微細な打ち抜き加工を施したり配線導体2となる金属ペ
ーストを印刷塗布する際等に前駆体シート11a・11b・
11cに変形やクラックを発生させることなく正確かつ確
実に打ち抜き加工や金属ペーストの印刷を行なうことが
できる。
【0041】これらの前駆体シート11a・11b・11c
は、例えば粒径が1〜50μmの酸化珪素粉末および粒径
が0.5 〜20μmのフェライト粉末と、ビスフェノールA
型エポキシ樹脂・ビスフェノールF型エポキシ樹脂・ノ
ボラック型エポキシ樹脂・グリシジルエステル型エポキ
シ樹脂等の熱硬化性樹脂およびアミン系硬化剤・イミダ
ゾール系硬化剤・酸無水物系硬化剤等の硬化剤を混合し
て得たペーストをドクターブレード法等のシート成形法
を採用してシート状となすとともに約25〜130 ℃の温度
で半硬化させることによって製作される。
【0042】次に図2(b)に示すように半硬化された
3枚の前駆体シート11a・11b・11cのうち2枚の前駆
体シート11a・11bに凹部1dとなる開口A・A’を、
2枚の前駆体シート11b・11cに配線導体2を引き回す
ための貫通孔B・B’を各々形成する。
【0043】開口A・A’および貫通孔B・B’は、前
駆体シート11a・11b・11cに従来周知の打ち抜き加工
法であるパンチング加工法を施し、前駆体シート11a・
11b・11cの各々に所定形状の孔を穿孔することによっ
て形成される。
【0044】この場合、前駆体シート11a・11b・11c
は適当な可撓性を有することから、微細なパンチング加
工であってもそれによりクラックや割れが発生すること
はない。
【0045】次に図2(c)に示すように、半硬化され
た前駆体シート11b・11cの上下面および貫通孔B・
B’内に配線導体2となる金属ペースト12を従来周知の
スクリーン印刷法および充填法を採用して所定パターン
に印刷塗布する。
【0046】配線導体2となる金属ペースト12として
は、例えば粒径が0.1 〜20μm程度の銅等の金属粉末に
ビスフェノールA型エポキシ樹脂・ノボラック型エポキ
シ樹脂・グリシジルエステル型エポキシ樹脂等の熱硬化
性樹脂の前駆体およびアミン系硬化剤・イミダゾール系
硬化剤・酸無水物系硬化剤等の硬化剤等を添加混合して
ペースト状となしたものが使用される。
【0047】そして最後に前駆体シート11a・11b・11
cを上下に積層するとともにこれを約80〜300 ℃の温度
で約10秒〜24時間加熱し、前駆体シート11a・11b・11
cおよび前駆体シート11b・11cに所定パターンに印刷
塗布された金属ペースト12を十分に熱硬化させることに
よって、図1に示すような絶縁基体1に配線導体2を被
着させた配線基板が得られる。
【0048】この場合、前記前駆体シート11a・11b・
11cおよび金属ペースト12は、熱硬化時に収縮すること
はほとんどなく、従って、得られる配線基板に変形や寸
法のばらつきが発生することは皆無であり、半導体素子
と配線導体とを正確に接続することが可能となる。
【0049】また、前駆体シート11a・11b・11cは熱
硬化時に収縮することがほとんどないことから、無機絶
縁物粉末とともに強磁性体粉末を含有させていても、絶
縁基板1a・1b・1cに反りや変形等の悪影響を及ぼ
すこともない。
【0050】なお、本発明は上述の実施の形態に限定さ
れるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であ
れば種々の変更は可能である。例えば、上述の実施の形
態では本発明の配線基板を半導体素子を収容する半導体
素子収納用パッケージに適用した場合を例に採って説明
したが、例えば混成集積回路等他の用途に使用される配
線基板に適用してもよく、半導体素子と配線導体との電
気的な接続にパンプ電極を用いた、いわゆるフリップチ
ップ実装法により半導体素子を搭載してもよい。
【0051】また、上述の実施の形態では3枚の前駆体
シートを積層することによって配線基板を製作したが、
1枚や2枚あるいは4枚以上の前駆体シートを使用して
配線基板を製作してもよい。
【0052】さらに、上述の実施の形態では絶縁基体は
無機絶縁物粉末と熱硬化性樹脂とから成っていたが、こ
れらにさらにガラス繊維やカーボン繊維・アラミド繊維
・アルミナ繊維・チタン酸カリウムウィスカー・ホウ酸
アルミニウムウィスカー等の短繊維を配合させてもよ
い。
【0053】さらにまた、上述の実施の形態では配線導
体は金属粉末を熱硬化性樹脂により結合することにより
形成したが、配線導体にさらに低融点金属を配合させる
とともにこの低融点金属により金属粉末同士を結合する
ことにより形成してもよい。
【0054】この場合、配線導体となる金属ペースト中
に低融点金属として例えば錫−鉛半田等から成る低融点
金属粉末を配合させるとともにこれを絶縁基体となる前
駆体シートに印刷塗布した後、これに熱を印加して低融
点金属粉末を溶融させ、この溶融した低融点金属により
金属粉末を結合する方法が採用される。
【0055】
【発明の効果】本発明の配線基板によれば、絶縁基体を
無機絶縁物粉末および粒径が0.5〜50μmの範囲である
とともに無機絶縁物粉末の粒径の1/2以下であり、形
状がアスペクト比が2以下の球状もしくは多面体状であ
強磁性体粉末を熱硬化性樹脂により結合したものとし
たことから、その熱膨張率を搭載される半導体素子に近
似したものとできるとともに、強磁性体粉末により配線
導体からの不要輻射を吸収して高調波ノイズを有効に除
去することができ、外部電気回路基板に対するノイズの
放出や外部電気回路基板からのノイズの伝搬を抑制する
ことが可能であり、しかも、無機絶縁物粉末により絶縁
基体の誘電率を所望の小さい値に設定することができて
搭載される半導体素子を正常かつ安定に高速駆動させる
ことが可能な配線基板となる。
【0056】また本発明の配線基板によれば、絶縁基体
が無機絶縁物粉末および強磁性体粉末と熱硬化性樹脂と
から成り、無機絶縁物粉末および強磁性体粉末を靱性に
優れる熱硬化性樹脂で結合していることから、絶縁基体
の靭性が極めて強いものとなり、配線基板同士あるいは
配線基板と半導体装置の一部とが激しく衝突しても絶縁
基体に欠けや割れ・クラック等が発生することを極めて
有効に防止することができる。
【0057】以上により、本発明によれば、配線導体か
らの不要輻射を抑制し、高調波ノイズ有効に除去し
て、外部電気回路基板に対してノイズを放出しにくいと
ともに搭載される半導体素子を正常かつ安定に高速駆動
させることが可能な配線基板を提供することができる。
【0058】また、本発明の配線基板の製造方法によれ
ば、無機絶縁物粉末および強磁性体粉末と熱硬化性樹脂
前駆体とを混合して成る前駆体シートおよび熱硬化性樹
脂前駆体と金属粉末とを混合して成る金属ペーストを熱
硬化させることによって製作され、前記前駆体シートお
よび金属ペーストはほとんど収縮しないことから、収縮
に起因する変形や寸法のばらつきは発生せず、半導体素
子を配線導体に正確に電気的接続することができる。
【0059】その結果、本発明によれば、配線導体から
の不要輻射を抑制し、高調波ノイズの有効に除去して、
外部電気回路基板に対してノイズを放出しにくいととも
に搭載される半導体素子を正常かつ安定に高速駆動させ
ることが可能な配線基板を得ることができる製造方法を
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の配線基板を半導体素子収納用パッケー
ジに適用した場合の実施の形態の一例を示す断面図であ
る。
【図2】(a)〜(c)はそれぞれ本発明の配線基板の
製造方法を説明するための工程毎の断面図である。
【符号の説明】
1・・・・・・・・・・・・絶縁基体 1a、1b、1c・・・・・絶縁基板 2・・・・・・・・・・・・配線導体 11a、11b、11c・・・・・前駆体シート 12・・・・・・・・・・・・金属ペースト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05K 1/02 H05K 1/03 H05K 1/09 H05K 3/12 H05K 3/46 H01L 23/12 - 23/15 H01B 1/00 - 1/24

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 60乃至95重量%の無機絶縁物粉末お
    よび強磁性体粉末を5乃至40重量%の熱硬化性樹脂に
    より結合して成り、前記無機絶縁物粉末および前記強磁
    性体粉末を前記熱硬化性樹脂により結合して成る前駆体
    シートを半硬化させて、前記無機絶縁物粉末および前記
    強磁性体粉末を前記熱硬化性樹脂により結合した複数枚
    の絶縁基板を積層して成る絶縁基体の前記絶縁基板に、
    金属粉末を熱硬化性樹脂により結合した配線導体を被着
    して成る配線基板であって、前記強磁性体粉末は、粒径
    が0.5〜50μmの範囲であるとともに前記無機絶縁
    物粉末の粒径の1/2以下であり、形状がアスペクト比
    が2以下の球状もしくは多面体状であることを特徴とす
    る配線基板。
  2. 【請求項2】 前記強磁性体粉末を前記無機絶縁物粉末
    との合計量に対して30乃至60重量%含有しているこ
    とを特徴とする請求項1記載の配線基板。
  3. 【請求項3】 60乃至95重量%の無機絶縁物粉末お
    よび粒径が0.5〜50μmの範囲であるとともに前記
    無機絶縁物粉末の粒径の1/2以下であり、形状がアス
    ペクト比が2以下の球状もしくは多面体状である強磁性
    体粉末と5乃至40重量%の熱硬化性樹脂前駆体とを混
    合して成る前駆体シートを半硬化させる工程と、該半硬
    化した前駆体シートに所定の打ち抜き加工を施す工程
    と、該打ち抜き加工された前駆体シートに金属粉末と熱
    硬化性樹脂前駆体とを混合して成る金属ペーストを所定
    パターンに印刷する工程と、前記金属ペーストが被着さ
    れた前駆体シートを複数枚上下に積層するとともに前記
    前駆体シートおよび前記金属ペーストを熱硬化させて、
    前記無機絶縁物粉末および前記強磁性体粉末を熱硬化性
    樹脂により結合した絶縁基体に前記金属粉末を熱硬化性
    樹脂により結合した配線導体を被着させる工程とを具備
    することを特徴とする配線基板の製造方法。
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