JP3398165B2 - 無機非水電解液電池 - Google Patents
無機非水電解液電池Info
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Description
関し、さらに詳しくは、貯蔵後の大電流放電においても
放電初期の電圧降下が小さく、かつ放電電圧の回復時間
が短い無機非水電解液電池に関する。
スホリルなどの常温(25℃)で液体のオキシハロゲン
化物を正極活物質および電解液の溶媒とし、リチウム、
ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属を負極活物質
とする無機非水電解液電池では、その代表的電池である
塩化チオニル−リチウム電池を例に挙げて説明すると、
正極活物質である塩化ニオニルが負極のリチウムと直接
接触しているため負極のリチウム上に塩化リチウムの被
膜が形成される。
膜であるが、高温貯蔵または長期間貯蔵した場合、緻密
な被膜となって成長し、負極の不動態化を招くことにな
る。その結果、この電池を高温ないし長期間貯蔵した後
に使用すると、放電初期に電圧降下が生じ、所望の電圧
値にまで達しないため、この電池を駆動電源として使用
した機器が作動できないという問題がある。
の間に瞬間的に表れるヒゲ状の電圧降下が大きく、電池
の使用範囲が非常に制約されることになる。しかも、こ
の放電初期の電圧降下現象は未放電の電池を貯蔵した場
合だけではなく、ある程度使用した電池を貯蔵した場合
にもその貯蔵ごとに繰り返し現れるという特異性があ
る。
279号公報に示されるように、電解液にハロゲン化有
機シラン化合物を添加して放電初期の電圧降下を抑制す
ることや、特開昭64−3961号公報に示されるよう
に、電解液に含酸素有機シラン化合物を添加して放電初
期の電圧降下を抑制することが提案されている。
機シラン化合物や含酸素有機シラン化合物を電解液に添
加した場合でも、放電開始直後の数100μs〜数ms
の間に現れるヒゲ状の大きな電圧降下を抑制すること
や、電圧降下後の放電電圧の回復を早めることに対して
は効果が充分とはいえなかった。
品が持っていた高温ないし長期間貯蔵後の大電流放電で
放電初期に電圧降下が生じるという問題点を解決し、高
温ないし長期間貯蔵後の大電流放電においても放電初期
の電圧降下が小さく、かつ放電電圧の回復時間が短い無
機非水電解液電池を提供することを目的とする。
一般式(I)
炭素数1〜4のアルキル基または炭素数6〜24のアリ
ール基を表し、R1 、R2 、R3 、R4 は同一でもよ
く、また異なっていてもよい。ただし、R1 、R2 、R
3 、R4 のすべてが水素の場合を除く)で示される有機
シラン化合物を添加することによって、上記目的を達成
したものである。
される有機シラン化合物を添加することによって、上記
有機シラン化合物が負極のリチウム表面に取り込まれ、
生成する塩化リチウムの結晶が大きく成長し、負極のリ
チウム表面に形成される塩化リチウム被膜が非常に粗な
膜となり、高温ないし長期間貯蔵後の大電流放電におい
ても、負極からの電荷の移行および負極から電解液への
リチウムイオンの拡散が塩化リチウム被膜によって阻害
されることなくスムーズに行われるようになり、活性化
分極および濃度分極が小さくなって、放電初期の電圧降
下が抑制され、かつ放電電圧の回復時間が短くなるので
ある。
れる有機シラン化合物を添加することにより、負極のリ
チウム上に形成される塩化リチウム被膜が粗な膜になる
理由は、現在のところ必ずしも明確ではないが、一般式
(I)で示される有機シラン化合物中のアルキル基また
はアリール基が電子供与性の基であるため、それらが有
機シラン化合物の中心にあるケイ素をわずかであるが負
に帯電させるので、有機シラン化合物が負極のリチウム
表面に被膜のような状態で配置し、その表面に析出しよ
うとする塩化リチウム結晶を粗大化させて、塩化リチウ
ム被膜を粗な膜にし、その結果、塩化リチウム被膜の成
長および緻密化が防止されるものと考えられる。
ラン化合物は、前記一般式(I)、つまりSiR1 R2
R3 R4 で示されるものであり、そのR1 、R2 、
R3 、R4 は水素、炭素数1〜4のアルキル基または炭
素数6〜24のアリール基であるが(ただし、R1 、R
2 、R3 、R4 のすべてが水素の場合を除く)、上記ア
ルキル基は不飽和結合を含んでいてもよく、その具体例
としては、たとえばCH3−、C2 H5 −、n−C3 H
6 −、n−C4 H9 −、CH=CH−などが挙げられ
る。また、アリール基の具体例としては、たとえばC6
H5 −、C10H8 −などが挙げられる。
シラン化合物の具体例としては、たとえばトリメチルシ
ラン〔(CH3 )3 SiH〕、テトラメチルシラン
〔(CH3 )4 Si〕、トリエチルシラン〔(C
2 H5 )3 SiH〕、テトラエチルシラン〔(C
2 H5 )4 Si〕、ジフェニルシラン〔(C6 H5 )2
SiH2 〕、トリフェニルシラン〔(C6 H5 )3 Si
H〕、フェニルトリメチルシラン〔(C6 H5 )Si
(CH3 )3 〕などが挙げられ、それらはいずれも本発
明において好適に使用される。
化合物の電解液への添加量としては、0.01mol/
l〜0.5mol/lの範囲にするのが好ましい。つま
り、一般式(I)で示される有機シラン化合物の電解液
への添加量が上記範囲より少なくなると、負極の表面上
に形成する塩化リチウム被膜を粗にする効果が充分に発
揮されず、また、一般式(I)で示される有機シラン化
合物の電解液への添加量が上記範囲より多くなっても、
塩化リチウム被膜を粗にして放電初期の電圧降下を抑制
する効果はそれほど変わらず、むしろ有機シラン化合物
の添加量の増加に応じて電池内に充填できる正極活物質
が低下するので放電特性面から好ましくない。
は、たとえば塩化チオニル、塩化スルフリル、塩化ホス
ホリルなどの常温(25℃)で液体のオキシハロゲン化
物が用いられる。
であるとともに電解液の溶媒として用いられ、電解液は
これらのオキシハロゲン化物にLiAlCl4 、LiA
lBr4 、LiGaCl4 、LiB10Cl10などの支持
電解質を溶解させることによって調製される。なお、支
持電解質はLiClとAlCl3 をオキシハロゲン化物
に添加して電解液中でLiAlCl4 の形で存在(ただ
し、イオン化してLi+ とAlCl4 - で存在)するよ
うにしてもよい。
シラン化合物は、既に調製済の電解液に添加してもよい
し、また電解液調製時に支持電解質とともに、あるいは
支持電解質より先に電解液溶媒に添加してもよい。
は、たとえばリチウム、ナトリウム、カリウムなどのア
ルカリ金属が用いられる。
説明する。ただし、本発明はそれらの実施例のみに限定
されるものではない。
てリチウムを用いて単3形で塩化チオニル−リチウム系
の無機非水電解液電池を作製した。電解液は上記の塩化
チオニルに支持電解質としてのLiAlCl4 (ただ
し、塩化チオニルへの添加時はLiClとAlCl3 と
を添加)を1.2mol/l溶解し、さらにテトラメチ
ルシランを0.30mol/l添加し溶解させたもので
ある。
負極であり、この負極1はリチウムシートをステンレス
鋼製で有底円筒状の電池ケース2の内周面に圧着するこ
とによって形成され、円筒状をしている。
ブラックに結着剤としてポリテトラフルオロエチレンを
少量添加した炭素を主構成材料とする炭素多孔質成形体
からなり、前記負極1とはセパレータ4を介して設置さ
れている。
り、円筒状をしている。5は電解液であり、この電解液
5は上記のように塩化チオニルにLiAlCl4 を1.
2mol/l溶解し、テトラメチルシランを0.30m
ol/l添加したものである。
塩化チオニルが電解液溶媒を兼ねている関係で、他の電
池とは異なり、多量の電解液5が電池内に注入されてお
り、塩化チオニルが正極活物質であることからみてもわ
かるように、前記正極3はそれ自身が反応するものでは
なく、正極活物質の塩化チオニルと負極1からイオン化
して溶出してきたリチウムイオンとの反応場所を提供す
るものである。
で、7は電池蓋であり、この電池蓋7はボディ8とガラ
ス層9と正極端子10を有し、ボディ8はステンレス鋼
で形成されていて、その立ち上がった外周部が前記電池
ケース2の開口端部と溶接により接合されている。
ていて、このガラス層9はボディ8と正極端子10とを
絶縁するとともに、外周面でその構成ガラスがボディ8
の内周面に融着し、内周面でその構成ガラスが正極端子
10の外周面に融着して、ボディ8と正極端子10との
間をシールしている。
は電池組立時はパイプ状をしていて電解液注入口として
使用され、その上端部を電解液注入後にその中空部内に
挿入された正極集電体6の上部と溶接して封止したもの
である。
11はガラス繊維不織布からなり、正極3と負極端子を
兼ねる電池ケース2とを絶縁している。
12は上記底部絶縁材11と同様のガラス繊維不織布か
らなり、正極3と負極端子を兼ねる電池蓋7のボディ8
とを絶縁している。
で形成されているが、この図1では図示していないもの
の、その底部に電池の高圧下での破裂を防止するための
薄肉部をたとえば十字状を設けておいてもよい。
ラエチルシラン、トリフェニルシラン、フェニルトリメ
チルシランをそれぞれ0.30mol/l添加した電解
液を用いたほかは、実施例1と同様の構成からなる塩化
チオニル−リチウム系の無機非水電解液電池を作製し
た。
0.03mol/l添加した電解液を用いたほかは、実
施例1と同様の構成からなる塩化チオニル−リチウム系
の無機非水電解液電池を作製した。
50mol/l添加した電解液を用いたほかは、実施例
1と同様の構成からなる塩化チオニル−リチウム系の無
機非水電解液電池を作製した。
添加していない電解液、つまり塩化チオニルにLiAl
Cl4 を1.2mol/l溶解しただけの電解液を用い
たほかは、実施例1と同様の構成からなる塩化チオニル
−リチウム系の無機非水電解液電池を作製した。
ンを0.30mol/l添加した電解液を用いたほか
は、実施例1と同様の構成からなる塩化チオニル−リチ
ウム系の無機非水電解液電池を作製した。
ンを0.30mol/l添加した電解液を用いたほか
は、実施例1と同様の構成からなる塩化チオニル−リチ
ウム系の無機非水電解液電池を作製した。
池を60℃で40日間貯蔵した後、20℃、300Ωで
5秒間放電したときの最低電圧(TMV)および5秒後
の電圧(EDV)を測定した。その結果を表1に示す。
後に、300Ωで5秒間放電させた場合、有機シラン化
合物などの添加物をまったく添加していない比較例1の
電池では、放電初期に電池電圧が2.52Vまで低下
し、さらに5秒後には2.17Vまで低下し、大きな電
圧降下が認められたのに対し、実施例1〜7の電池で
は、有機シラン化合物の種類や添加量により若干の相違
はあるものの、電池電圧は3V以上を示し、大きな電圧
降下は認められなかった。
を添加した比較例2の電池や電解液にトリメトキシビニ
ルシランを添加した比較例3の電池は、放電初期に電池
電圧がそれぞれ2.73V、2.81Vに低下し、さら
に5秒後には2.65V、2.56Vまで低下した。
は、電解液に添加物をまったく添加していない比較例1
の電池に比べれば、貯蔵後の放電初期の電圧降下が少な
かったが、本発明の実施例1〜7の電池に比べて貯蔵後
の放電初期の電圧降下を抑制する効果が少なかった。
たジクロロジフェニルシランなどのハロゲン化有機シラ
ン化合物や、比較例3の電池の電解液に添加したトリメ
トキシビニルシランなどの含酸素有機シラン化合物は、
ハロゲンや酸素が電子吸引性であるため、有機シラン化
合物の中心にあるケイ素がわずかではあるが正に帯電
し、そのため、有機シラン化合物が負極のリチウム表面
に配置するのが本発明で使用する有機シラン化合物の場
合より少なくなり、それが貯蔵後の放電初期の電圧降下
を抑制する効果を少なくしたものと考えられる。
電池では、TMV(20℃、300Ωで5秒間放電した
ときの最低電圧)よりEDV(5秒後の電圧)の方が高
く、5秒間で電圧がかなり回復していた。
VよりEDVの方が低く、5秒間で電圧の回復がまった
く認められなかった。
施例1〜7の電池は比較例1〜3の電池に比べて放電電
圧の回復時間が短い。
液に一般式(I)で示される有機シラン化合物を添加す
ることにより、貯蔵後の大電流放電においても放電初期
の電圧降下、特に放電開始直後に現れる大きな電圧降下
を抑制でき、かつ放電電圧の回復時間が短い無機非水電
解液電池を提供することができた。
断面図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 常温で液体のオキシハロゲン化物を正極
活物質および電解液の溶媒とし、アルカリ金属を負極活
物質とする無機非水電解液電池において、電解液に次の
一般式(I) SiR1 R2 R3 R4 (I) (式中、R1 、R2 、R3 、R4 は水素、炭素数1〜4
のアルキル基または炭素数6〜24のアリール基を表
し、R1 、R2 、R3 、R4 は同一でもよく、また異な
っていてもよい。ただし、R1 、R2 、R3 、R4 のす
べてが水素の場合を除く)で示される有機シラン化合物
を添加したことを特徴とする無機非水電解液電池。 - 【請求項2】 有機シラン化合物が、トリメチルシラ
ン、テトラメチルシラン、トリエチルシラン、テトラエ
チルシラン、ジフェニルシラン、トリフェニルシランお
よびフェニルトリメチルシランよりなる群から選ばれた
少なくとも1種である請求項1記載の無機非水電解液電
池。 - 【請求項3】 有機シラン化合物の電解液への添加量
が、0.01mol/l〜0.5mol/lである請求
項1記載の無機非水電解液電池。
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-
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