JP3396224B2 - カンジダ・ボイジニイのギ酸脱水素酵素遺伝子のプロモーター/ターミネーター - Google Patents
カンジダ・ボイジニイのギ酸脱水素酵素遺伝子のプロモーター/ターミネーターInfo
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Description
i)のギ酸脱水素酵素遺伝子のプロモーター及び/又は
ターミネーター、並びに該プロモーター、異種遺伝子及
びターミネーターを含む遺伝子発現カセット、該発現カ
セットを含むベクター、該発現ベクターを含有する形質
転換細胞並びに該形質転換細胞を用いた有用遺伝子産物
の製造法に関する。
として生育することができる酵母である。メタノール資
化性酵母におけるメタノール代謝は、最初の反応とし
て、アルコールオキシダーゼによりメタノールと酸素か
らホルムアルデヒドと過酸化水素を生成する。
解される。一方、ホルムアルデヒドは、ホルムアルデヒ
ド脱水素酵素、S−ホルミルグルタチオンヒドロラーゼ
及びギ酸脱水素酵素の作用により、二酸化炭素まで酸化
され、その際に生じるNADHは細胞のエネルギー源として
利用される。それと同時に、ホルムアルデヒドはジヒド
ロキシアセトンシンターゼによりキシルロース−5−リ
ン酸と縮合し、グリセルアルデヒド−3−リン酸とジヒ
ドロキシアセトンへと変換され、その後ペントースリン
酸経路を経て菌体構成成分となる。
アセトンシンターゼ及びギ酸脱水素酵素は、メタノール
資化性酵母をメタノール存在化で培養すると、著量生産
され、菌体内可溶性蛋白質の約40%に達する。
ールで大量培養が可能であるうえに、他の酵母にはみら
れない強力な転写活性を示すメタノール代謝プロモータ
ーを有するという点で、異種遺伝子発現系として適した
酵母であると考えられる。
ノール資化性酵母の一種である。そして、該酵母を利用
して、アルコールオキシダーゼ遺伝子(AOD1)の調節領
域を用いた異種遺伝子の発現方法が研究されている(特
開平5−344895号公報)。
様に著量生産される酵素であるが、該酵素はメタノール
代謝の下流に存在する酵素であり、アルコールオキシダ
ーゼとは異なった発現制御を受けていると考えられる。
例えば、本発明で明らかにされたように、アルコールオ
キシダーゼ発現を完全に抑制するグルコース存在下で
も、培養条件によっては誘導発現可能な酵素である。そ
れゆえ、アルコールオキシダーゼプロモーターを用いた
時とは異なった異種遺伝子の大量発現法の確立が可能で
あると考えられる。
酸脱水素酵素の発現抑制に関する知見は全く得られてい
ない。ギ酸脱水素酵素の発現制御の解明、及び強力な転
写活性を用いた異種遺伝子の効率的発現の点から、当該
酵素のプロモーターの提供が求められている。
性を有するプロモーター及び/又はターミネーター、並
びに該プロモーター及びターミネーターを含む発現ベク
ター、該発現ベクターを含む形質転換体並びに該形質転
換体を用いた異種遺伝子発現産物の製造方法を提供する
ことを目的とする。
niiが持つギ酸脱水素酵素遺伝子の発現系を解明し、異
種遺伝子の効果的発現を達成すべく鋭意研究を行なった
結果、異種遺伝子を発現させるのに強力な転写活性を有
するプロモーター及び/又はターミネーターを見い出
し、本発明を完成するに至った。
から選ばれる190bp以上の連続的な塩基配列を実質的に
含む、カンジダ・ボイジニイのギ酸脱水素酵素遺伝子の
プロモーターである。
れる塩基配列を実質的に含む、ガンジダ・ボイジニイの
ギ酸脱水素酵素遺伝子のプロモーターである。
実質的に含む、カンジダ・ボイジニイのギ酸脱水素酵素
遺伝子のターミネーターである。
的とするプロモーター及び/又はターミネーター活性が
得られる限り、配列番号1、48、49若しくは50又は2で
表される塩基配列に、置換、欠失又は挿入等の変異が生
じてもよいことを意味する。例えば、配列番号1で表さ
れる塩基配列の第3番目の「C」が「G」に置換されて
も、本発明の目的とするプロモーター活性が得られる限
り、かかる置換された配列も本発明に含まれることを意
味する。
び前記ターミネーターを含む遺伝子発現カセットであ
る。本発明において、「異種遺伝子」とは、発現の対象
となる遺伝子であり、カンジダ・ボイジニイ(Candida
boidinii)由来のギ酸脱水素酵素とは異なる任意の遺伝
子を意味する。異種遺伝子としては、例えば、酸性フォ
スファターゼ遺伝子、α−アミラーゼ遺伝子、各種イン
ターフェロン遺伝子、エリスロポエチン遺伝子、顆粒球
コロニー刺激因子遺伝子等が挙げられる。また、いかな
る手法によって得られるものでもよい。
換え発現ベクターである。
形質転換された形質転換体である。
得られる培養物から異種遺伝子の発現産物を採取するこ
とを特徴とする異種遺伝子の発現産物の製造方法であ
る。ここで、前記培地としては、酸素原子又は窒素原子
を有し、かつ該原子に結合する炭素数1の置換基を少な
くとも1つ有する化合物を含むものが挙げられる。例え
ば、前記酸素原子を有する化合物としてはメタノール又
はギ酸若しくはその塩が挙げられ、窒素原子を有する化
合物としてはメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチ
ルアミン、及びコリン等のN−置換メチルを有するアン
モニウム化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種
が挙げられる。
ジダ・ボイジニイ(Candida boidinii)が有するギ酸脱
水素酵素遺伝子(以下FDHと略称する場合がある)の塩
基配列そのプロモーター、ターミネーターと共に解明
し、(2)プロモーター、ターミネーターを単離し、
(3)発現ベクターを構築した。さらに(4)本発現ベ
クターを用いて形質転換細胞を作製し、異種遺伝子を発
現させた時、Candida boidinii由来のギ酸脱水素酵素と
同様にその発現がメタノール等によって誘導されること
を確認し、本発明を完成するに至った。
遺伝子のクローニングを行う。その出発材料としては、
酵母、例えばCandida boidinii S2 AOU−1株が例示さ
れる。
(Molecular Cloning(1989),Methods in Enzymology
194(1991))に従って行なうことが出来る。
に由来するDNA断片を組み込んだ遺伝子導入用ベクター
を宿主に導入して上記酵母の遺伝子ライブラリーを作製
する。(b)ついで、かかる遺伝子ライブラリーから所
望のクローンを選択して、当該クローンを増幅すること
により上記のクローニング工程を実施することが出来
る。
ストを調製して、当該プロトプラストから、通常公知の
DNA抽出法、高塩濃度下での細胞残さ除去後のアルコー
ル沈殿法、フェノールやクロロホルム抽出後のアルコー
ル沈殿法等の常法を用いて行なうことが出来る。なお、
上記の予めプロトプラストを調製する方法の他に、ガラ
スビーズ等による細胞破砕法等によってもDNAの抽出を
行なうことが出来るが、高分子量のDNAを調製すること
が容易であるという点から上記プロトプラスト法を行な
うのが好ましい。
よって部分消化し、適当なベクターに連結した後、適当
な宿主に形質転換することによってゲノミックライブラ
リーを得ることが出来る。この際用いられるベクターと
しては、通常公知の遺伝子ライブラリー調製用ベクター
として知られる。pBR系統、pUC系統、ブルースクリプト
(Blue Script)系統等の一般に市販されている入手可
能なプラスミドを用いることも出来る。また、Charon系
統やEMBL系統のファージベクター又はコスミド等も広く
用いることが出来る。
換又は形質導入を行なう宿主は、上記ベクターの種類に
応じたものを採用することが出来る。
遺伝子を有するクローンをギ酸脱水素酵素遺伝子に特有
の配列を含む標識プローブを用いてコロニー・ハイブリ
ダイゼーション法、プラーク・ハイブリダイゼーション
法等により選択し、得ることが出来る。プローブに用い
るギ酸脱水素酵素遺伝子に特有の配列は、Candida boid
iniiから精製したギ酸脱水素酵素遺伝子のアミノ酸配列
に対応するオリゴヌクレオチドを合成し、Candida boid
iniiの染色体DNAを鋳型とするPCR(PCR Technology.Hen
ry A.Erlich,Atockton press(1989))により所望する
DNA断片を特異的に増幅し、得ることが出来る。なお、
合成したオリゴヌクレオチドをプローブとして用いても
よい。
定及び確認は、例えばマクサム・ギルバートの化学修飾
法(Maxam−Gilbert,Methods in Enzymology,65,499(1
980))、ジデオキシヌクレオチド鎖終結法(Messing,
J.and Vieire,J.,Gene,19,269(1982))又はこれらの
自動化された変法等により行ない得る。
よって、又は決定された当該塩基配列から合成したプラ
イマーを用いたPCRによって、あるいは該塩基配列を有
するDNA断片をプローブとしてハイブリダイズさせるこ
とによって、所望の遺伝子を得ることが出来る。
は、制限酵素を用いて切り出すことも可能であるが、一
般的に都合の良い制限酵素部位が適切な位置に存在する
とは限らない。そこで、コーディング領域の制限酵素部
位からエンド型DNA分解酵素によってプロモーターの方
向に削って行き、適当なところまで削れたクローンを探
す方法がある。最近では予め制限酵素認識部位を末端に
設けたプライマーを用い、PCRで所望のプロモーター領
域、ターミネーター領域を増幅し取得することが容易で
ある。
し、一部の領域を化学合成しクローン化したDNAと制限
酵素部位を利用して半合成のプロモーターやターミネー
ターを作製することも可能である。
に転写活性を担持する配列であればこの配列に限定され
るものではなく、欠失、挿入、置換、付加などによって
その塩基配列を改変することが可能である。
えば宝酒造社のTAKARA LA PCR in vitro Mutagenesis k
itを用いた方法)等により行うことが出来る。
る塩基配列から190bp以上の連続する塩基配列を実質的
に含むものであり、Candida biodiniiのギ酸脱水素酵素
遺伝子の発現に関与するものである。この場合、配列番
号1で表される塩基配列において連続する190bp以上の
配列を含む限り、5'側又は3'側の一定領域が欠失して
も、あるいは5'側及び3'側の両領域が欠失してもよい。
例えば、配列番号1で表される塩基配列の5'側(1〜83
6番目)の領域を欠失させると、配列番号49で表される
塩基配列(642bp)を実質的に含むプロモーターが得ら
れる。同様に、配列番号1で表される塩基配列の5'側
(1〜600番目)及び3'側(901〜1478番目)の領域を欠
失させると、300bpの連続する塩基配列を実質的に含む
プロモーターを得ることが出来る。
せる場合は、例えば、市販のデレーション用キット(宝
酒造社のキロシークエンス用デレーションキット)を用
いて、PCRにより調製するのが適当である。
造遺伝子、FDHターミネーター、マーカー遺伝子、相同
領域を適当なベクターに挿入することによって得られ
る。そのため使用されるベクターとしては、前記pBR系
統、pUC系統、ブルースクリプト系統等の大腸菌プラス
ミドベクターが例示される。発現ベクターの構成成分を
ベクターに挿入することは、後記実施例の記載を参照し
て、あるいは慣用の技術により当業者が容易に実施する
ことが可能である。選択マーカー遺伝子、相同領域は当
業者が容易に決めることが出来る。マーカ遺伝子とし
て、G−418等の抗生物質耐性遺伝子、URA3、LEU2等の
栄養要求性相補遺伝子が例示される。
用いられてきた一般的な方法を応用することが可能であ
る。すなわち、プロトプラスト法、リチウム法、エレク
トロポレーション法、およびそれらの変法が適用するこ
とが出来る。本発明の発現ベクターは宿主染色体DNAに
組み込まれ安定に存在させることが出来る。なお、公知
の方法(Sakai,Y.et al.,J.Bacteriol.,175,3556(199
3))に従い、プラスミド状態で存在させることも可能
である。
て得られた形質転換体を培養し、得られる培養物から遺
伝子発現産物を精製することにより得られる。
つ該原子に結合する炭素数1の置換基を少なくとも1つ
有する化合物を含むものを添加することが出来る。例え
ば、酸素原子を有する化合物としてメタノール又はギ酸
若しくはその塩を添加することができ、窒素原子を有す
る化合物としてメチルアミン、ジメチルアミン、トリメ
チルアミン、及びN−置換メチルを有するアンモニウム
化合物(例えばコリン等)からなる群から選ばれる少な
くとも一種を添加することが出来る。
て誘導発現させるための条件はそれぞれ以下の通りであ
る。
てメタノールを含む他、酵母エキス、トリプトン、肉エ
キス、カザミノ酸、アンモニウム塩等の一種以上の窒素
源に、リン酸、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、
カルシウム、鉄、銅、マンガン、コバルト等の無機塩類
を添加し、更に必要により各種ビタミン、ヌクレオチド
等の微量栄養素、糖質原料を便宜添加したものが挙げら
れる。
ルコース、グリセロール等の一種以上の炭素源と、酵母
エキス、トリプトン、肉エキス、カザミノ酸、アンモニ
ウム塩等の一種以上の窒素源に、リン酸、ナトリウム、
カリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、銅、マンガ
ン、コバルト等の無機塩類を添加し、更に必要により各
種ビタミン、ヌクレオチド等の微量栄養素、糖質原料を
便宜添加したものが挙げられる。
はコリン等によって誘導発現させる際には、窒素源とし
てこれらの化合物を少なくとも一種含む他、グルコー
ス、グリセロール等の一種以上の炭素源に、リン酸、ナ
トリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、
銅、マンガン、コバルト等の無機塩類を添加し、更に必
要により各種ビタミン、ヌクレオチド等の微量栄養素、
糖質原料を便宜添加したものが挙げられる。
た、培養温度は25〜30℃、好ましくは28℃前後である。
培養時間は、24〜1000時間程度であり、培養は静置、振
とう、攪拌、通気下の回分培養または連続培養等により
実施することが出来る。
は、通常のタンパク質精製手段等を用いて得ることが出
来る。例えば、形質転換細胞内に生産された場合は、常
法により菌体を超音波破壊処理、磨砕処理、加圧破砕等
により遺伝子産物を抽出する。必要に応じてプロテアー
ゼ阻害剤を添加する。
用いることが出来る。
を除去し、必要によりプロトタミン処理等により核酸を
除去する。
して分画し、沈殿物を採取し、粗タンパク質溶液を得
る。該タンパク質溶液を各種クロマトグラフィー、電気
泳動等にかけて精製酵素標品を得る。例えば、セファデ
ックス、ウルトロゲル若しくはバイオゲル等を用いるゲ
ル濾過、イオン交換体クロマトグラフィー、ポリアクリ
ルアミドゲル等を用いる電気泳動法、アフィニティクロ
マトグラフィー、逆相クロマトグラフィー等を用いる分
画法を適宜選択し、又はこれらを組合わせることによ
り、精製された目的の遺伝子産物を得ることが出来る。
しかし、上記培養法、精製法は一例であって、これに限
定されるものではない。
確認は、公知のアミノ酸分析、例えばエドマン分解法に
よる自動アミノ酸配列決定法等により行うことが出来
る。
限酵素地図を示した図である。
ーター断片を含むプラスミドの構築図である。
ネーター断片を含むプラスミドの構築図である。
ーミネーターを利用した発現プラスミドpFexAGの構築法
を示した図である。
地図を示した図である。
及びターミネーター各断片の取得法並びに当該プロモー
ター及びターミネーターを利用した発現プラスミドの構
築法を示した図である。
ーターを利用したG418耐性遺伝子発現プラスミドpAcNEO
1の構築法を示した図である。
した図である。
る。
る酸性フォスファターゼ活性を示したものである。なお
プロモーター領域が欠失していないプラスミドpPUF1の
形質転換体が示す酸性フォスファターゼ活性を100とし
たときの相対値を示している。また親株とはプラスミド
を導入していないCandida boidinii KST2515株の値であ
る。
る。但し、本発明はこれら実施例に限定されない。
ング Candida boidinii S2 AOU−1(Tani,Y.et al.,Agri.
Biol.Chem.,49,2699(1985))よりギ酸脱水素酵素遺伝
子の取得、及びその塩基配列決定を行なった例である。
なお、当該株はCandida boidinii SAM1958と命名され、
工業技術院生命工学工業技術研究所に、受託番号:FERM
BP−3766として1992年2月25日に寄託されている。
配列は、ガスフェード・ペプチドシーケンサーmodel 12
0−A(アプライドバイオシステム社)によって、配列
番号3で表される配列であると決定した。また、部分ア
ミノ酸配列を岩松の方法(生化学,63,139(1991))に
従い、配列番号4〜16のように決定した。
(チロシン)から第14番目(アラニン)のアミノ酸に相
当するオリゴヌクレオチド(FDH−NT1)及び配列番号8
で表されるアミノ酸配列の第5番目(グリシン)から第
12番目(チロシン)のアミノ酸配列に相当する以下のオ
リゴヌクレオチド(FDH−AP7)を、394型DNA/RNAシンセ
サイザー(アプライドバイオシステム社)を用いて合成
した。
素BamH I認識部位の塩基配列(配列番号17及び18の配列
の第4〜9番目;GGATCC)を有する。上記プライマーFDH
−NT1及びFDH−AP7と、Cryerらの方法(Cryer,D.et.a
l.,Methods Cell Biol.,12,39(1975))にもとづいて
調製したCandida boidiniiの染色体DNAとを混合し、rTa
qポリメラーゼ(宝酒造社)を用いたPCR反応を行なっ
た。PCRは、95℃で1分、58℃で1分及び72℃で3分の
反応を1サイクルとしてこれを30サイクル行った。
luescript II SK+にクローニングした。ダイプライマ
ーサイクルシーケンスキット(パーキンエルマー社)を
用いて両方方向から塩基配列を決定したところ、プライ
マーに用いたアミノ酸配列と一致し、FDH遺伝子の一部
を増幅したことが確認された。
断した後、前記(1−1)で得られたDNA断片をプロー
ブとしたサザンハイブリダイゼーションを行なった。プ
ローブの放射性標識はメガプライマーDNAラベリングシ
ステム(アマシャム社)を用いて行ない、ハイブリダイ
ゼーションは、常法(Molecular cloning 2nd edn.,ed.
Sambrook,J.,et al.,Cold Spring Harbor Laboratory
U.S.A.,1989)に従って行なった。
にシグナルが認められた。そこで、これらDNA断片9を
クローニングするため、ライブラリーを作製した。
アガロース電気泳動後、5kb付近のDNA断片をゲルから回
収した。回収したDNA断片をpBluescript II SK+のHind
III切断部位に挿入し、Hind IIIプラスミドライブラリ
ーを作製した。同様にしてEcoR Iプラスミドライブラリ
ーを作製した。
ンによりスクリーニングした。オートラジオグラフィー
によって、Hind IIIプラスミドライブラリーからpFD1、
EcoR IプラスミドライブラリーからpFD3を保持するクロ
ーンが陽性クローンとして選抜された。
(図1)。サザンハイブリダイゼーションによる解析の
結果、図1のHinc IIからXba I(Hinc II,Xba Iは四角
で囲んで示している)までの約3.6kbの領域にFDH遺伝子
があると考えられた。塩基配列決定のため、pFD1の2kb
のHinc II−Hind III断片、pFD3の2.5kbのEcoR I−Xba
I断片をそれぞれpBluescript II SK−に挿入し、pFdH
2、pFdEXを作製した(図1)。
らキロシーケンス用デレーションキット(宝酒造社)を
用いて種々の欠失変異プラスミドを作製した。これらの
プラスミドを鋳型としてダイプライマーサイクルシーケ
ンスキット及びダイターミーネーターサイクルシーケン
スキット(パーキンエルマー社)を用いて塩基配列を決
定した。決定したプラスミドpFdH2、pFdH2の塩基配列を
つなぎ合わせることにより、図1の約3.6kbのHinc II−
Xba I領域の全塩基配列が決定された(配列番号19)。
り、2573番目のTAAで終わる1,095塩基対からなるオープ
ンリーディングフレームが存在する。このオープンリー
ディングフレーム(配列番号20)が目的のギ酸脱水素酵
素遺伝子であることは、以下の点で明らかである。
の部分アミノ酸配列と一致する(配列番号20の配列中、
第1〜45番目、第56〜76番目、第86〜103番目、第189〜
201番目、第206〜236番目、第241〜246番目、第291〜32
6番目及び第328〜356番目のアミノ酸配列)。
される酵素の分子量(41kDa)が、塩基配列から計算さ
れる分子量(40,368)と一致する。
ール資化性酵母ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula
polymorpha)のギ酸脱水素酵素のアミノ酸配列(EPO029
9108,18−JAN−1989)と82%の相同性を示す。なお、5'
側上流(プロモーター領域)及び3'側上流(ターミネー
ター領域)の塩基配列には、上述のHansenula polymorp
haのそれらとの相同性は全く認められなかった。
ーター領域の単離は翻訳開始コドンATGの前、及び終止
コドンTAAの後に適当な制限酵素切断部位を設けること
によって行なった。制限酵素部位の導入は図4に示した
PCRを用いた。PCRのプライマーとして以下に示す4種類
のオリゴヌクレオチドを合成した。
列を含み、5'末端にNot I制限酵素切断部位(配列番号2
2中、第1〜8番目の配列)を有する。PfdhT5は、FDHタ
ーミネーターの5'末端と同一の塩基配列を含み、5'末端
にNot I、Sma I制限酵素切断部位(配列番号23中、第1
〜14番目の配列)を有する。PfdhP5は、FDHプロモータ
ーの途中に存在するAcc I制限酵素切断部位(配列番号2
1中、第5〜10番目の配列)を有し、PfdhT3は、FDHター
ミネーターの途中に存在するSac I制限酵素切断部位
(配列番号24中、第13〜18番目の配列)を有する。
イマーPfdhP5及びPfdhP3とを混合し、Ex Taqポリメラー
ゼ(宝酒造社)を用いたPCR反応を行なった((94℃で
1分、57℃で1分、72℃で1分)×25サイクル)。
切断部位より下流領域を含み、3'末端にNot I制限酵素
切断部位を有する。反応生成物をアガロースゲル電気泳
動し、増幅DNA断片を回収した。回収したDNA断片とベク
ターpT7 Blue T−Vector(ノバジェン社)を結合し、pF
P1を作製した。
EXと、プライマーPfdhT5及びPfdhT3とを混合してPCR反
応((94℃で1分、57℃で1分、72℃で1分)×25サイ
クル)を行ない、FHDターミネーター領域のSac I制限酵
素切断部位より上流領域を含み、5'末端にNot I、Sma I
制限酵素切断部位を有するDNA断片を増幅し、このDNA断
片と、pT7 Blue T−Vectorを結合したpFT1を作製した。
イクルシーケンスキット及びダイターミネーターサイク
ルシーケンスキットを用いて塩基配列を決定し、目的領
域が正確に増幅されていることを確認した。プラスミド
pFP1をAcc I−Not Iで切断した後、アガロース電気泳動
で0.5kbのDNA断片を分離した。また、プラスミドpFdH2
をXho I−Acc Iで切断することにより、Acc Iより上流
のFDHプロモーター領域を含む1kbのDNA断片を分離した
(図2)。この2種類のDNA断片をpBluescript II SK−
のXho I−Not I間に挿入し、FDHプロモーター領域を有
するpFdhPを作製した(図2)。同様に、プラスミドpFT
1の0.15kbのNot I−Sac I断片と、プラスミドpFdEXの0.
85kbのSac I−Xba I断片とをpBluescript II SK−のNot
I−Xba I間に挿入し、FDHターミネーター領域を有する
pFdhTを作製した(図3)。
られたFDHプロモーター領域のDNA断片と、プラスミドpF
dhTをNot I−Xba Iで切断し、得られたFDHターミネータ
ー領域のDNA断片とをpBluescript II KS+のXho I−Xba
I間に挿入し、pFdhPTを作製した(図4)。pFdhPTは、
FDH遺伝子のプロモーター及びターミネーター領域を持
ち、プロモーターとターミネーターとの間のNot I及びS
ma I部位に種々の構造遺伝子(異種遺伝子)を挿入する
ことができるものである(図4)。
遺伝子のプロモーター及びターミネーターで発現させた
G418耐性遺伝子を用い、相同領域としてアクチン遺伝子
領域を用いた。
リーの作製 YPD培地(酵母エキス1%、ペプトン2%、グルコー
ス2%、pH6.0)で培養したCandida boidinii ATCC4818
0株の菌体より、酢酸カリウム法(Methods Enzymol.,6
5,404(1980))に基づき染色体DNAを調製した。
3,Academic press 1987)に従い、染色体DNAを制限酵素
Sau3A Iを用いて部分分解し、10〜40%ショ糖密度勾配
遠心分離を行なって15〜20kb画分のDNAを調製した。
素BamH I切断の後、アルカリフォスファターゼで処理し
た。
C48180株の染色体DNA断片と、50ngのBamH I切断したpUC
118とを混合した後、DNAライゲーションキット(宝酒造
社製)を用いて16℃、30分間の反応により連結した。
質転換細胞として調製した大腸菌DH5α株に上記組換え
プラスミドを形質転換したところ、約20,000個の形質転
換体が得られた。
で標識した相同的なサッカロミセス・セレビシエ(Sacc
haromyces cerevisiae)のアクチン遺伝子とのハイブリ
ダイズにより単離された。
はPCR法を用いた。既知のSaccharomyces cerevisiaeの
アクチン遺伝子(Gallwitz,D.,Sures,I.,Proc.Natl.Aca
d.Sci.U.S.A.,77,2546(1980))の塩基配列に従って、
PCR法のプライマーとして下記の2種類のオリゴヌクレ
オチドを、394型DNA/RNAシンセサイザー(アプライドバ
ィオシステム社)を用いて合成した。
s cerevisiaeのアクチン遺伝子のエクソン2領域のN末
端側、C末端側のアミノ酸配列に相当する塩基配列であ
る。
色体DNAと、プライマーPScAC1及びPScAC2とを混合し、P
CR反応を行なった((94℃で30秒、55℃で1分、72℃で
2分)×25サイクル)。
DNA断片を回収した。このDNA断片をメガプライマーDNA
ラベリングシステム(アマシャム社)を用いて32Pで放
射性標識した。
g 2nd edn.,ed.Sambrook,J.,et al.,Cold Spring Harbo
r Laboratory U.S.A.,1989)に従い、65℃で16時間行な
い、フィルターを0.1%SDSを含む2×SSPE緩衝液で2
回、0.1%SDSを含む1×SSPE緩衝液で1回洗浄した後、
オートラジオグラフィーによって陽性クローンを検出し
た。
(Molecular cloning 2nd edn.,ed.Sambrook,J.,et a
l.,Cold Spring Harbor Laboratory U.S.A.,1989)に従
って、プラスミドDNAを単離した。得られたラスミドDN
A、及びCandida boidinii ATCC48180株の染色体DNAを種
々の制限酵素で切断し、サザンハイブリダイゼーション
を行い、ハイブリダイズしたバンドの大きさを比較した
ところ、プラスミドpAc1を有するクローンがアクチン遺
伝子領域を含むものと考えられた。
ラスミドpAc1を制限酵素Kpn I、Sma I切断し、約6kbの
アクチン遺伝子を担持する断片をpBluescript II KS+
のKpn I、Sma I部位に挿入したプラスミドpAc1−7を作
製した。このpAc1−7について更に詳細な制限酵素地図
を作製した(図5参照)。
ろ、約5kbのKpn I−Cla I領域にアクチン遺伝子がある
と考えられた。塩基配列決定のため、更にサブクローニ
ングを行なった。まず、pAc1−7をKpn I−Hind III切
断し、約3.4kbの断片を抽出し、T4 DNAポリメラーゼで
平滑化した後、pBluescript II KS+のSma I部位に挿入
したpAc1−7−10、及び方向が逆向きに挿入されたpAc1
−7−17を作製した。次に、pAc1−7を制限酵素Cla I
で切断して得られた約2kbの断片をpBluescript II KS+
のCla I部位に挿入したプラスミドpAc1−7/Claを作製し
た(図5)。
7/Claからキロシーケンス用デレーションキット(宝酒
造社)を用いて種々の欠失変異プラスミドを作製した。
これらのプラスミドを鋳型としてダイプライマーサイク
ルシーケンスキット(パーキンエルマー社)を用いて塩
基配列を決定した。決定したプラスミドpAc1−7−10、
pAc1−7/Claの塩基配列をつなぎ合わせることにより、
図5の約5kbのKpn I−Cla I領域の全塩基配列が決定さ
れた(配列番号27)。
決定した。TimeSaver cDNA Synthesis Kit、Directiona
l Cloning Toolbox(ファルマシア社)を用いて、Candi
da boidinii ATCC48180株より、mRNAの5'末端のEcoR I
突出末端、3'末端にNot I突出末端を有するcDNAを合成
した。合成したcDNAは、Phagemid Directional Cloning
Vector(ファルマシア社)を用いて、プラスミドpT7T3
DのEcoR I−Not I部位に結合し、これをcDNAライブラリ
ーとした。Saccharomyces cerevisiaeのアクチン遺伝子
と高い相同性を示した。配列番号27の2858bpから3558bp
の領域の塩基配列からオリゴヌクレオチドプライマーPC
BAC、ベクターpT7T3DのEcoR I部位上流の塩基配列から
オリゴヌクレオチドプライマーPT7T3を合成した。
混合し、rTaqポリメラーゼ(宝酒造社)を用いたPCR反
応を行なった((94℃で30秒、55℃で1分、72℃で30
秒)×25サイクル)。
片を回収した。回収したDNA断片とベクターpT7 Blue T
−Vectorを結合した。これらのプラスミドを鋳型とし
て、ダイプライマーサイクルシーケンスキットを用いて
塩基配列を決定した。もっとも長いクローンの塩基配列
は配列番号27の1922番目から開始し、1974番目から2508
番目の領域と2524番目から2853番目の領域を欠いてい
た。欠いている領域はイントロンであり、cDNAにおいて
最初に現れるATGの配列(配列番号27の1965番目)が開
始コドンであると考えられた。推定される遺伝子産物の
アミノ酸配列についてSaccharomyces cerevisiaeのアク
チン遺伝子とのホモロジーを調べた結果、互いに96%の
ホモロジーを示したことから、取得した遺伝子がCandid
a boidiniiのアクチン遺伝子であり、またコーディング
領域は、1965番目の塩基配列から始まることを断定し
た。
離 アクチン遺伝子のプロモーター領域、ターミネータ領
域の単離はPCR法を用いた(図6)。プロモーター領域
として翻訳開始コドンATG上流約1kb、ターミネータ領域
として終止コドンTAAの下流約0.5kbを増幅するために、
以下に示す4種類のオリゴヌクレオチドを合成した。
び3'末端の塩基配列を含み、それぞれのオリゴヌクレオ
チドの5'末端に、PP5については制限酵素EcoR I認識部
位(配列番号28の第3〜8番目の配列)、PP3について
はSal I認識部位の塩基配列(配列番号29の第5〜10番
目の配列)を有する。PT5及びPT3は、それぞれターミネ
ーター領域の5'末端、3'末端の塩基配列を含み、それぞ
れのオリゴヌクレオチドの5'末端に、PT5につては制限
酵素Sal IとPst Iの認識部位の塩基配列(配列番号30の
第1〜12番目の配列)、PT3についてはHind IIIとPst I
の認識部位の塩基配列(配列番号31の第1〜12番目の配
列)を有する。
イマーPP5及びPP3とを混合し、rTaqポリメラーゼ(宝酒
造社)を用いたPCR反応を行なった((94℃で30秒、55
℃で1分、72℃で1分)×25サイクル)。
片を回収した。回収したDNA断片とベクターpT7 Blue T
−Vector(ノバジェン社)を結合し、アクチン遺伝子の
プロモーター領域を含んでいるpAcPを作製した(図
6)。同様に、PT5及びPT3を用いたPCR反応((94℃で3
0秒、45℃で1分、72℃で1分)×25サイクル)により
アクチン遺伝子のターミネーター領域を含んでいるpAcT
を作製した(図6)。
イクルシーケンスキット及びダイターミネーターサイク
ルシーケンスキット(パーキンエルマー社)を用いて塩
基配列を決定し、プローモーター及びターミネーター領
域が正確に増幅されていることを確認した。
ロース電気泳動で1.0kbのアクチン遺伝子プロモーター
領域を分離した。同様に、プラスミドpAcTをSal I−Hin
d IIIで切断することにより0.5kbのアクチン遺伝子ター
ミネーター領域を分離した。この2種類のDNA断片をpUC
118のEcoR I−Hind III間に挿入し、pMAcを作製した
(図6)。
クチン遺伝子のプロモーター及びターミネーター領域を
持ち、プロモーターとターミネーターとの間のSal I及
びPst I部位に種々の構造遺伝子を挿入することが出来
るものである。
間にG418耐性遺伝子を挿入した発現プラスミドを構築し
た。トランスポゾンTn5由来のG418耐性遺伝子は、プラ
スミドpNEO(ファルマシア社)よりPCR法を用いて取得
した。Jorgensenら(Jorgensen,R.A.et al.,Mol.Gen.Ge
net.177,65(1979))の報告に基づいて、下に示す2種
類のプライマーを合成した。
ゼを用いたPCR反応を行なった((94℃で30秒、55℃で
1分、72℃で1分)×25サイクル)。
片を回収した。回収したDNA断片とベクターpT7 Blue T
−Vectorとを結合し、プラスミドpTA−NEOを作製した
(図7)。プラスミドpTA−NEOをNde I−Sma Iで切断
し、T4ポリメラーゼで平滑化した後、アガロース電気泳
動でG418耐性遺伝子DNA断片を回収した。このG418耐性
遺伝子DNA断片と、Sal I−Pst Iで切断し、T4 DNAポリ
メラーゼで平滑化したpMAcとを結合し、pAcNEO1を作製
した(図7)。
ギ酸脱水素酵素(FDH)のプロモーター、ターミネータ
ー部分を利用したSaccharomyces cerevisiae由来の酸性
フォスファターゼ遺伝子の発現ベクターを作製し、Cand
ida boaidiniiに形質転換した例である。
ン遺伝子領域としたFDHプロモーターで異種遺伝子を発
現させるプラスミドを作製した。pAcNEO1からG418耐性
遺伝子を含むDNA断片をEcoR I切断により分離し、pUC11
8のEcoR I部位に挿入してプラスミドpAcNEO2を作製した
(図8)。アクチン遺伝子を有するプラスミドpAc1−7
からCla Iで2kbのDNA断片を分離し、T4ポリメラーゼで
平滑化した後、プラスミドpAcNEO2のSma I部位に挿入し
てpAcNEO3を作製した(図8)。
を含む2.6kbのDNA断片を分離し、pAcNEO3のSal I−Xba
I間に挿入してpFexAGを作製した(図4)。
ーターとの間にSaccharomyces cerevisiae由来の酸性フ
ォスファターゼ遺伝子(PHO5遺伝子)を導入したプラス
ミドを作製した。
cleic Acids Res.,11,1657(1983))に基づいてPCRに
て取得した。PCRのプライマーとして以下の2種類のオ
リゴヌクレオチドを合成した。
素切断部位(配列番号34中、第1〜第8番目の配列)を
有し、PPHO3は、PHO5遺伝子の終止コドンの後にSma I制
限酵素切断部位(配列番号35中、第1〜第6番目の配
列)を有している。
色体DNAと、プライマーPPHO5及びPPHO3とを混合し、PCR
を行なった((94℃で30秒、53℃で1分、72℃で2分)
×25サイクル)。
片を回収した。回収したDNA断片とベクターpT7 Blue T
−Vectorとを結合し、プラスミドpTA−PHO5を作製し
た。プラスミドpTA−PHO5をNot I−Sma Iで切断し、PHO
5遺伝子DNA断片を回収した。このPHO5遺伝子DNA断片を
プラスミドpfexAGのNot I−Sma I間に挿入し、pFPhoAG
を作製した。
プラスミドpFHhoAGで形質転換し、G418耐性を示す形質
転換細胞を取得した。形質転換法はSakaiによって詳し
く開示されている方法(Sakai Y.et al.,J.Bacteriol.,
175,3556(1993))に従った。
い0.3mg/mlのG418を含むYPD平板培地で選抜した。
C48180株)を、炭素源としてメタノール又はグルコース
を添加した培地で培養し、菌体量及び酸性ウォスファタ
ーゼ活性を測定した。
gen Base(ディフコ社)0.67%、Yeast Extract(ディ
フコ社)0.5%を含むpH5.5の培地を用いた。また、酸性
フォスファターゼ活性の測定法は、Toh−eらの方法(T
oh−e,A.et al.,J.Bacteriol.,113,727(1973))に従
い、洗浄菌体懸濁液をそのまま酵素として用いた。1単
位の酵素活性は、30℃で1分間に1mmoleのp−ニトロフ
ェノールを生成する酵素量とした。
転換細胞では活性は検出されなかったが、メタノールで
培養した形質転換細胞から活性が検出された。このこと
は、Candida boidiniiのギ酸脱水素酵素と同様に、PHO5
遺伝子の発現がメタノールによって誘導されることを示
している。
コース、エタノール、メタノールまたはグリセロールを
添加した培地で培養し、菌体量及び酸性フォスファター
ゼ活性を測定した。表2に示す通り、PHO5遺伝子はメタ
ノールによってのみ強力に誘導されていた。
gen Base w/o amino acids and ammonium sulfate(デ
ィフコ社)並びに表3に示す炭素源及び窒素源を含む培
地で培養し、酸性フォスファターゼ活性を測定した。炭
素源としてメタノール、窒素源として硫酸アンモニウム
で培養したときの酸性フォスファターゼ比活性(ユニッ
トOD610)を100としたときの比活性を表3に示す。酸性
ウォスファターゼの誘導発現はメタノールのみならず、
ギ酸、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミ
ン、コリンによっても誘導されていた。ギ酸、メチルア
ミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、コリンは培
地中にグルコースが存在していても、誘導効果を示し
た。このことから、ギ酸脱水素酵素遺伝子プロモーター
は、グルコースによって完全に抑制されるアルコールオ
キシダーゼ遺伝子プロモーターとは異なった制御をうけ
ていることが示された。
10240、Candida boidinii IFO 10574について、Bgl II
で切断したプラスミドpFPhoAGで形質転換し、G418耐性
を示す形質転換細胞を取得した。それぞれの形質転換細
胞をメタノールまたはゴルコースを炭素源として添加し
た培地で培養し、酸性フォスファターゼ活性を測定した
ところ、実施例(4−4)の結果と同様に、メタノール
で培養した形質転換細胞のみから酸性フォスファターゼ
活性が検出された。このことは本発明で開示されたギ酸
脱水素酵素プロモーターはあらゆるCandida boidinii株
で機能することを示している。
DHプロモーターを作製し、上流欠失型FDHプロモーター
により支配される酸性フォスファターゼ活性を測定する
ことによりFDHプロモーターの機能に必要な領域を同定
した例である。
含む発現プラスミドを構築するため、まず、土壌より単
離したCandida boidinii KST25株より、URA3遺伝子及び
URA3遺伝子の変異株であるKST2515株を取得した。
uescript II SK−に有しているプラスミドをpCBU3と命
名した。KST25株の同定はBarnettの「YEASTS:Character
istics and identification」に基づいた。URA3遺伝子
及びKST2515株の取得は公知の方法(Sakai Y.et al.,J.
Bacteriol.,173,7458(1991))に従った。なお、本実
施例ではCandida boidinii KST2515株を用いているが、
他のCandida boidinii株、例えばIFO 10035株を用いて
も、公知の方法に従えば容易に実施可能である。
1.5kbのDNA断片と、pFPhoAGをNot I−Eco T22Iで切断し
て得られた20kbのDNA断片と、pCBU3をSal I−Pst Iで切
断して得られた2.6kbのDNA断片とを、pUC19のKpn I−Sa
l I間に挿入し、pPUF1を作製した(図9)。pPUF1は、
マーカー遺伝子をURA3遺伝子とする、FDHプロモーター
によるPHO5発現プラスミドである。
るPHO5発現プラスミドの構築 上流領域を欠失したFDHプロモーターは、キロシーク
エンス用デレーションキット(宝酒造社)及びPCRにて
作製した。プラスミドpPUF1をApa I−Xho Iで切断し、
キロシークエンス用デレーションキットを用いて処理
し、上流欠失型FDHプロモーターにより支配されるPHO5
発現プラスミドpPUF15、pPUF24、pPUF44、pPUF54、pPUF
56、pPUF79、pPUF308、pPUF310及びpPUF320を取得し
た。これらのプラスミドを鋳型としてダイプライマーサ
イクルシークエンシングキットを用いて塩基配列を決定
した。その結果、プラスミドpPUF15、pPUF24、pPUF44、
pPUF54、pPUF56、pPUF79、pPUF308及びpPUF310は、FDH
プロモーター領域をそれぞれ1215bp、1000bp、839bp、6
90bp、756bp、403bp、228bp、115bp有していることを確
認した。
るために、以下のオリゴヌクレオチドプライマーを合成
した。
779、PF668、PF642、PF622、PF602、PF194及びPF161の
いずれかとPRV3とを用いて、pPUF1を鋳型としたPCRを行
った((94℃で30秒、55℃で1分、72℃で1分)×20サ
イクル)。
ーニングした後、Xho I−Not Iで切り出し、pPUF1のXho
I−Not Iに挿入した。ライマーPF819から得たプロモー
ター領域を819bp有しているPHO5発現プラスミドをpPUF8
19、プライマーPF810から得たプロモーター領域を801bp
有しているPHO5発現プラスミドをpPUF801、プライマーP
F779から得たプロモーター領域を779有しているPHO5発
現プラスミドをpPUF779、プライマーPF668から得たプロ
モーター領域を668bp有しているPHO5発現プラスミドをp
PUF668、プライマーPF642から得たプロモーター領域を6
42bp有しているPHO5発現プラスミドをpPUF642、プライ
マーPF622から得たプロモーター領域を622bp有している
PHO5発現プラスミドをpPUF622、プライマーPF602から得
たプロモーター領域を602bp有しているPHO5発現プラス
ミドをpPUF602、プライマーPF194から得たプロモーター
領域を194bp有しているPHO5発現プラスミドをpPUF194、
そしてプライマーPF161から得たプロモーター領域を161
bp有しているPHO5発現プラスミドをpPUF161と命名し
た。
amH Iで切断し、Candida boidinii KST2515株に形質転
換した。得られた形質転換細胞のコロニーを各プラスミ
ドにつき数個拾い、メタノール1.5%、Yeast Nitrogen
Base 0.67%及びYeast Extract 0.5%を含むpH5.5の培
地(以下「ME培地」という)、又はグルコース1.0%、
ギ酸ナトリウム0.5%及びYeast Nitrogen Base 0.67%
を含むpH5.5の培地(以下「GF培地」という)で培養し
酸性フォスファターゼ活性を測定した。
(1991))によると、URA3をマーカーとした形質転換体
では、形質転換細胞の約半分がプラスミドが1コピー組
み込まれたものであることから、各プラスミドからの形
質転換細胞の酸性フォスファターゼ活性の値の分布の最
も大きい値を1コピー挿入形質転換細胞の酸性フォスフ
ァターゼ活性の値とした。また、これら形質転換細胞が
実際プラスミドが1コピー組み込まれていることをサザ
ン解析によって確認した。pPUF1が示す酸性フォスファ
ターゼ比活性(ユニット/OD610)を100としたときの各
プラスミドからの形質転換細胞が示す酸性フォスファタ
ーゼ比活性を図10に示す。図10の結果から、メタノール
によって誘導するには、プロモーター領域を194bp(例
えば配列番号48で表される塩基配列を含むもの)以上、
好ましくは839bp(例えば配列番号50で表される塩基配
列を含むもの)以上を有していることが必要であり、ギ
酸によって誘導するにはプロモーター領域を194bp(例
えば配列番号48で表される塩基配列を含むもの)以上、
好ましくは642bp(例えば配列番号49で表される塩基配
列を含むもの)以上を有していることが必要であること
が明らかとなった。
写活性を有するプロモーター及び/又はターミネーター
ガが提供される。該プロモーター、ターミネーター及び
目的の異種遺伝子を含む発現ベクターで形質転換された
形質転換体を培養することにより、高度に発現された異
種遺伝子産物が得られる。
Claims (12)
- 【請求項1】配列番号1、48、49若しくは50で表される
塩基配列、又は配列番号1、48、49若しくは50で表され
る塩基配列の一部の領域に欠失、置換若しくは挿入が生
じ、かつプロモーター活性を有する塩基配列を含む、ギ
酸脱水素酵素遺伝子のプロモーター。 - 【請求項2】配列番号2で表される塩基配列、又は配列
番号2で表される塩基配列の一部の領域に欠失、置換若
しくは挿入が生じ、かつターミネーター活性を有する塩
基配列を含む、ギ酸脱水素酵素遺伝子のターミネータ
ー。 - 【請求項3】請求項1記載のプロモーター、異種遺伝子
及び請求項2記載のターミネーターを含む遺伝子発現カ
セット。 - 【請求項4】異種遺伝子が酸性フォスファターゼ遺伝子
である請求項3記載の遺伝子発現カセット。 - 【請求項5】請求項3又は4記載の遺伝子発現カセット
を含む組換え発現ベクター。 - 【請求項6】請求項5記載の組換え発現ベクターによっ
て形質転換された形質転換体。 - 【請求項7】請求項6記載の形質転換体を培地に培養
し、得られる培養物から異種遺伝子の発現産物を採取す
ることを特徴とする異種遺伝子の発現産物の製造方法。 - 【請求項8】異種遺伝子の発現産物が酸性フォスファタ
ーゼである請求項7記載の製造方法。 - 【請求項9】培地が、酸素原子又は窒素原子を有し、か
つ該原子に結合する炭素数1の置換基を少なくとも1つ
有する化合物を含むものである請求項7又は8記載の製
造方法。 - 【請求項10】酸素原子を有する化合物がメタノール又
はギ酸若しくはその塩である請求項9記載の製造方法。 - 【請求項11】窒素原子を有する化合物がメチルアミ
ン、ジメチルアミン、トリメチルアミン及びN−置換メ
チルを有するアンモニウム化合物からなる群から選ばれ
る少なくとも一種である請求項9記載の製造方法。 - 【請求項12】N−置換メチルを有するアンモニウム化
合物がコリンである請求項11記載の製造方法。
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