JP3149903B2 - マンガンパーオキシダーゼ遺伝子 - Google Patents

マンガンパーオキシダーゼ遺伝子

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、マンガンパーオキシダ
ーゼ遺伝子、それを含む組換えプラスミドおよび当該組
換えプラスミドを含む形質転換体に関する。マンガンパ
ーオキシダーゼはリグニンに作用して、これを低分子化
または分解する機能を有するため、木材等のリグノセル
ロース材料を原料とする紙パルプ製造において種々の工
程に利用できる。即ちパルプ化工程、パルプ漂白工程、
排水処理工程等におけるリグニンの低分子化または分解
に利用できる。さらに、いわゆるセルロース系バイオマ
ス利用の分野において、セルロースの糖化の前処理とし
てリグニンを分解することにより、糖化効率を高める目
的にも利用できる。
【0002】
【従来の技術】マンガンパーオキシダーゼはリグニンを
分解する酵素として、ファネロケーテ・クリソスポリウ
ム(Phanerochaete chrysosporium)から最初に単離精
製され[Arch. Biochem. Biophys., 242巻, 329-341(19
85)参照]、分子量が46,000以下であること、鉄含有酵
素であると推定されていること、酵素作用に過酸化水素
が必要であること、酵素反応がMn(II)依存性である
こと、リグニンモデル化合物の4位のフェノール性水酸
基がメトキシル基になった化合物に対しては作用せず、
フェノール性のリグニンモデルに対して作用することが
確認されていること等が主な特徴である。
【0003】マンガンパーオキシダーゼはファネロケー
テ・クリソスポリウム以外の微生物については、ヒラタ
ケ(Pleurotus ostreatus)[特開平3-123295号公報、B
IOTECHNOL. LETT., 15巻, No.3, 289-294(1993)参
照]、カワラタケ(Trametes versicolor)[Acta Chem
ica Scandinavica, B41巻, 762-765(1987)、Arch. Bioc
hem. Biophys., 300巻, No.1, 57-62(1993)参照]、コ
ガネシワウロコタケ(Phelebia radiata)[Arch. Bioc
hem. Biophys., 279巻, 25-31(1990)参照]、シイタケ
(Lentinus edodes)[Appl. Microbiol. Biotechnol.,
33巻, 359-365(1990)参照]、ケガワタケ(Panus tigr
inus)[Biotec. Appl. Biochem., 13, 291-302(1991)
参照]、ファネロケーテ・ソルディダ(Phanerochaete
sordida)[Appl. Environ. Microbiol., 60巻, No. 2,
599-605(1994)参照]等の培養物中から精製されている
が、上記の菌株の他に精製された例は知られていない。
【0004】上記のいずれの菌もその培養物中にいくつ
かのマンガンパーオキシダーゼアイソザイムを見い出す
ことができ、リグニン分解においても多種の酵素が関与
していると考えることができる。ファネロケーテ・クリ
ソスポリウム、ヒラタケ、カワラタケ、コガネシワウロ
コタケ、シイタケ、ケガワタケおよびファネロケーテ・
ソルディダのいずれの菌株においても、野生株を用いて
マンガンパーオキシダーゼを生産させる場合培地中の窒
素源濃度を低濃度に抑えることが必要であり、栄養豊富
な培地で菌体を増殖させながら酵素を生産させることが
できずマンガンパーオキシダーゼの大量生産は困難であ
った。アラゲカワラタケにおいても上記菌株と同様に静
置培養によりマンガンパーオキシダーゼを生産すること
ができるが、その生産量は少なく、実用化するためにさ
らに生産方法の改善が望まれている。
【0005】これまでに高窒素源濃度下でマンガンパー
オキシダーゼを生産する変異株の取得が試みられている
[Appl. Environ. Microbiol., 57巻, No. 9, 2591-259
6(1991)参照]が、未だ実用化には至っていない。ま
た、遺伝子組換えによる酵素の大量生産が考えられるが
本菌からは未だにマンガンパーオキシダーゼ遺伝子は単
離されていない。
【0006】上述のマンガンパーオキシダーゼ生産菌の
中でその遺伝子が単離されているのはファネロケーテ・
クリソスポリウム[J. Biol. Chem., 264巻, 5036-5040
(1989), J. Biol. Chem., 264巻, 13531-13535(1989)参
照]の他にはなく、この菌のマンガンパーオキシダーゼ
遺伝子を利用した工業生産も未だ行われていない。マン
ガンパーオキシダーゼ遺伝子の取得が困難な理由は本遺
伝子の塩基配列が、リグニンパーオキシダーゼの塩基配
列と高い相同性があり、リグニンパーオキシダーゼには
多数のアイソザイムがあって遺伝子も多数存在するた
め、マンガンパーオキシダーゼを区別することが困難で
あることが挙げられる。例えばファネロケーテ・クリソ
スポリウムの場合、リグニンパーオキシダーゼ遺伝子6
種[Nature, 326巻, 520-523(1987)(Corrigendum, 328
巻, 742), Gene, 60巻, 93-102(1987)(Corrigendum, 69
巻, 369(1988)), Gene, 97巻, 191-198(1991), Bioche
m. Biophys. Res. Commun., 162巻, 673-680(1989), Bi
ochem. Biophys. Res. Commun., 73巻, 994-1000(1990)
参照]、マンガンパーオキシダーゼ遺伝子2種が報告さ
れているが、これらの遺伝子間の相同性は57%〜86%と
非常に高い。
【0007】一般に精製された蛋白質の遺伝子を取得し
ようとする場合、その精製蛋白質のアミノ酸配列から推
定される塩基配列を持つ合成DNAプローブを作製し、
これが結合する遺伝子を選抜して取得するが、マンガン
パーオキシダーゼ遺伝子はリグニンパーオキシダーゼ遺
伝子と相同性が高いため、マンガンパーオキシダーゼ遺
伝子のみに選択的に結合する合成DNAプローブを作り
にくい。アラゲカワラタケにおいてもファネロケーテ・
クリソスポリウムと同様、多数のリグニンパーオキシダ
ーゼアイソザイムの遺伝子があり[特開平5-252958号公
報、特開平5-252959号公報、特開平5-260978号公報参
照]、わずかな違いを利用した合成DNAプローブで、
マンガンパーオキシダーゼ遺伝子のみを選択的に取得す
ることが困難であった。
【0008】また、全ての遺伝子を含む染色体DNAラ
イブラリーと異なり、生産中の蛋白質の遺伝子のみを集
めたcDNAライブラリーの場合、リグニンパーオキシ
ダーゼを生産させずにマンガンパーオキシダーゼのみを
生産させることができれば、リグニンパーオキシダーゼ
遺伝子を含まないライブラリーを作ることができ、マン
ガンパーオキシダーゼ遺伝子を選択的に取得することも
可能である。しかし、アラゲカワラタケは前述の従来か
らの培養方法で培養した場合マンガンパーオキシダーゼ
を生産する時は同時にリグニンパーオキシダーゼも生産
しており、リグニンパーオキシダーゼ遺伝子を含まない
cDNAライブラリーの作製は困難であった。
【0009】さらに、マンガンパーオキシダーゼの大量
生産を行う場合、ファネロケーテ・クリソスポリウムの
遺伝子を利用することも考えられるが、本菌は植物防疫
の立場から利用が限られているため、日本在来種による
生産が必要であった。また、アラゲカワラタケのマンガ
ンパーオキシダーゼは至適pHが従来知られている他の
菌株のいずれのマンガンパーオキシダーゼより高く、工
業的利用に有利であるため、大量生産が望まれていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、遺伝子組換
え技術を利用してマンガンパーオキシダーゼのより効率
的な工業生産を行うために、必要なアラゲカワラタケ由
来のマンガンパーオキシダーゼをコードする遺伝子を提
供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、マンガンパー
オキシダーゼをもたらす配列番号1のアミノ酸配列、ま
たは配列番号1のアミノ酸配列において1もしくは複数
のアミノ酸が付加、欠失もしくは置換されており(ただ
し、Asn-103, Arg-44, His-48及びHis-177が付加、欠失
もしくは置換の対象アミノ酸となる場合を除く)且つマ
ンガンパーオキシダーゼの酵素活性を有するアミノ酸配
列をコードしてなるマンガンパーオキシダーゼ遺伝子に
ある。
【0012】本発明はさらに、配列番号2の塩基配列で
表されるマンガンパーオキシダーゼ遺伝子を提供する。
本発明はまた、配列番号3の塩基配列中に含まれるプロ
モーター領域を含むマンガンパーオキシダーゼ遺伝子に
ある。本発明はまた、配列番号1のアミノ酸配列をコー
ドするDNAまたは配列番号1のアミノ酸配列において
1もしくは複数のアミノ酸が付加、欠失もしくは置換さ
れており(ただし、Asn-103, Arg-44, His-48及びHis-1
77が付加、欠失もしくは置換の対象アミノ酸となる場合
を除く)且つマンガンパーオキシダーゼの酵素活性を有
するアミノ酸配列をコードしてなるDNAを含む組み換
えプラスミドにある。
【0013】さらに、本発明は、配列番号2および3の
塩基配列で表されるマンガンパーオキシダーゼ遺伝子を
含む組み換えプラスミドにある。さらに、本発明は、前
記組換えプラスミドを含む形質転換体にある。以下、本
発明を詳細に説明する。本発明のマンガンパーオキシダ
ーゼの構造遺伝子は、配列番号2における44番目のA
TG(Met)から1138番目のTCG(Ser)の
塩基配列、または配列番号3における93番目のATG
(Met)から1504番目のTCG(Ser)の塩基
配列からなる。この塩基配列は365アミノ酸をコード
するものであり、N末端から26アミノ酸のリーダー配
列と339アミノ酸のマンガンパーオキシダーゼをそれ
ぞれコードするものである。また、26アミノ酸よりな
るリーダー配列は、N末端近傍に塩基性アミノ酸である
リジン(Lys)残基を保持し、その後ろに疎水性アミ
ノ酸の多い領域が続く典型的な分泌蛋白のシグナル配列
であった。
【0014】染色体DNA(配列番号3)は構造遺伝子
中にGT−AGルールに従う5個のイントロン(154〜2
11番目、555〜615番目、817〜880番目、1123〜1193番
目、1432〜1494番目)を含んでいる。成熟タンパク質の
N末端アミノ酸であるバリンから数えて103番目のア
スパラギンは、N−グリコシル化されたアミノ酸残基と
考えられる。また、パーオキシダーゼに特徴的に認めら
れるヘム鉄が配位するプロキシマルヒスチジンが177
番目のヒスチジンであり、過酸化水素の分解に関与する
ディスタルアルギニンが44番目のアルギニン、同じく
過酸化水素の分解に関与するディスタルヒスチジンが4
8番目のヒスチジンであると考えられる。これらの位置
については他のパーオキシダーゼと高い相同性を有して
いるが、その前後の配列は全く異なるものである(表1
参照)。
【0015】
【表1】 プロキシマル、ディスタルヒスチジン付近のアミノ酸配列 酵素 ───────────────────────────────── A:本発明の酵素 B:Coliorus hirstus LPO4 C:P.chrysosporium MPO H4 D:P.chrysosporium LPO H8 E:P.chrysosporium LPO H2 ディスタルヒスチジン付近 A:39 ValHisGluSerLeuArgLeuThrPheHisAspAlaIle 51 B:39 GlyHisAspSerLeuArgLeuThrPheHisAspGlyIle 51 C:37 AlaHisGluValIleArgLeuThrPheHisAspAlaThr 49 D:38 AlaHisGluSerIleArgLeuValPheHisAspSerIle 50 E:39 AlaHisGluAlaLeuArgMetValPheHisASpSerIle 51 プロキシマルヒスチジン付近 A:168 AspGluValValAlaLeuLeuAlaSerHisThrIleAla 180 B:170 IleLeuThrValTrpLeuLeuThrAlaHisThrValAla 182 C:164 PheGluValValSerLeuLeuAlaSerHIsThrValAla 176 D:167 LeuGluLeuValTrpMetLeuSerAlaHisSerValAla 179 E:168 IleGluThrValTrpLeuLeuSerAlaHisSerIleAla 180 ─────────────────────────────────
【0016】本発明のマンガンパーオキシダーゼ遺伝子
はファネロケーテ・クリソスポリウムのマンガンパーオ
キシダーゼH4遺伝子とは表2に示したように種々の点
で異なっており、その相同性は塩基配列において59%、
アミノ酸配列において52%であり、ファネロケーテ・ク
リソスポリウムのマンガンパーオキシダーゼ H4遺伝
子とは全く異なるものである。
【0017】
【表2】 本発明の遺伝子とファネロケーテ・クリソスポリウムの マンガンパーオキシダーゼ H4遺伝子の比較 ────────────────────────────────── 本発明の酵素 ファネロケーテH4 ────────────────────────────────── イントロンの数 5ヶ所 7ヶ所 リーダー配列の アミノ酸数 26残基 24残基 構造遺伝子 365アミノ酸 358アミノ酸 分子量 39985 38152 N−グリコシル化部位 Asn−103 Asn−100 Asn−155 Asn−184 Asn−241 ディスタルアルギニン Arg−44 Arg−42 ディスタルヒスチジン His−48 His−46 プロキシマルヒスチジン His−177 His−173 ──────────────────────────────────
【0018】また、ファネロケーテ・クリソスポリウム
のマンガンパーオキシダーゼ遺伝子はリグニンパーオキ
シダーゼ遺伝子と比較すると、酸性アミノ酸と塩基性ア
ミノ酸が置き換わるなどの特徴的なアミノ酸の置換が3
カ所あるが、本発明の遺伝子もアラゲカワラタケのリグ
ニンパーオキシダーゼ遺伝子と比較すると同様のアミノ
酸置換が見られた。しかしながらファネロケーテ・クリ
ソスポリウムではマンガンパーオキシダーゼは成熟蛋白
のN末端アミノ酸から230番目付近に、リグニンパー
オキシダーゼには見られない特徴的な7残基のアミノ酸
の挿入があるが、本発明のマンガンパーオキシダーゼ遺
伝子にはこのような挿入は見られなかった。(表3参
照)
【0019】
【表3】 ファネロケーテ・クリソスポリウムのマンガンパーオキシダーゼに特徴 的なアミノ酸の挿入 ─────────────────────────────────── 酵素 A:本発明の酵素 B:Coliorus hirstus LPO4 C:Coliorus hirstus LPO6 E:P.chrysosporium MPO H3 F:P.chrysosporium MPO H4 G:P.chrysosporium LPO H8 H:P.chrysosporium LPO H2 アミノ酸配列の挿入 A:227 GluSerProLeu---------------------HisGlyGluLeu 234 B:229 GluSerProLeu---------------------GluGlyGluLeu 236 C:228 GluSerProLeu---------------------AlaGlyGluLeu 235 E:226 MetSerProLeuProLeuGlySerGlySerAspThrGlyGluLeu 240 F:227 AlaSerProLeuProLeuGlySerGlySerAspThrGlyGluLeu 241 G:229 GluSerProLeu---------------------ProGlyGluLeu 236 H:229 ThrSerProLeu---------------------ProGlyGluLeu 236 ───────────────────────────────────
【0020】これらのことから本発明のマンガンパーオ
キシダーゼ遺伝子は既知のパーオキシダーゼとはアミノ
酸配列が異なり、新規なマンガンパーオキシダーゼ遺伝
子である。本発明においては、配列番号1のアミノ酸配
列をコードしてなるマンガンパーオキシダーゼ遺伝子の
他、配列番号1のアミノ酸配列において1もしくは複数
のアミノ酸が付加、欠失もしくは置換されており(ただ
し、Asn-103, Arg-44, His-48及びHis-177が付加、欠失
もしくは置換の対象アミノ酸となる場合を除く)且つマ
ンガンパーオキシダーゼの酵素活性を有するアミノ酸配
列をコードしてなるマンガンパーオキシダーゼ遺伝子も
本発明のマンガンパーオキシダーゼ遺伝子に含まれるも
のである。そして、ここでアミノ酸の付加、欠失又は置
換は公知技術である部位特定変異誘発(例えば、Nuclei
c Acid Reseach, Vol.10, No.20, 6487-6500, (1982)参
照)により実施することができ、アミノ酸の付加、欠失
又は置換に関し、1もしくは複数のアミノ酸とは、部位
特定変異誘発法により付加、欠失又は置換できる程度の
数のアミノ酸を意味する。
【0021】本発明のマンガンパーオキシダーゼ遺伝子
はアラゲカワラタケのmRNAを基に合成したcDNA
ライブラリーまたは染色体DNAライブラリーから以下
のようにして得ることができる。
【0022】〈cDNAライブラリーの作製〉アラゲカ
ワラタケのマンガンパーオキシダーゼ遺伝子を含むmR
NAからのcDNAライブラリー作製は以下のようにし
て行なう。アラゲカワラタケはマンガンパーオキシダー
ゼを生産する能力のあるものであればいずれも用いるこ
とができるが、アラゲカワラタケIFO4917株に由
来する変異株NTG III−55株〔微工研(現在の、生
命研)寄託番号FPRMP−14046〕が特に適して
いる。アラゲカワラタケのcDNAライブラリー作製に
適した菌体はマンガンパーオキシダーゼを生産中であ
り、リグニンパーオキシダーゼを生産していないもので
あればいずれでも良い。
【0023】従来、マンガンパーオキシダーゼを生産す
るために用いる窒素源が少ない培地を用いて、野性株を
培養した場合、マンガンパーオキシダーゼを生産すると
同時にリグニンパーオキシダーゼも生産することが知ら
れている。しかしながら、本発明の変異株は、窒素源が
少ない培地を用いて培養した場合であっても、野性株の
約10倍のマンガンパーオキシダーゼを生産し、リグニ
ンパーオキシダーゼは極めて少量しか生産せず、マンガ
ンパーオキシダーゼ遺伝子を取得するためのcDNAラ
イブラリー作製に特に適した菌体を得ることができる。
【0024】培養方法については特に限定されるもので
はなく、培地の栄養源としては微生物の培養に通常用い
られているものを広く用いることができる。炭素源とし
ては同化可能なものであれば良く、例えばグルコース、
マルトース、パルプ、木粉等が使用される。窒素源とし
ては利用可能な窒素化合物であれば良く、例えばペプト
ン、ソイトン、酒石酸アンモニウム、ダイズレクチン等
が用いられる。その他りん酸塩、硫酸塩、マグネシウ
ム、カルシウム、カリウム、ナトリウム、銅、マンガ
ン、亜鉛、等の塩類が必要に応じて使用される。培養温
度は生産菌が増殖可能な範囲で適宜変更し得るが、20
℃〜40℃が好ましい。。
【0025】得られた菌体を、直ちに液体窒素で凍結
し、例えば乳鉢、ワーリングブレンダー等を用いて粉砕
し、植物細胞からRNAを抽出する常法[Molecular Cl
oningA Laboratory Manual/2nd Edition(1989)]に従っ
てRNAを抽出する。得られたRNA中のmRNAはオ
リゴdTセルロース等のアフィニティカラムを通して濃
縮、精製し、次いでこの一部を使用してcDNAを合成
し、適当なリンカーまたはアダプターを介して、大腸菌
のクローニングベクター、例えばλgt10(アマシャム社
製)に連結してcDNAライブラリーを作製することが
できる。
【0026】これらの操作は、一般的に知られた方法、
例えば前述の"Molecular Cloning ALaboratory Manual"
の方法に従って行なうことができる。また市販のmRN
A抽出キット、cDNA合成キット、cDNAクローニ
ングキット、ライゲーションキット等のキット類を適宜
用いることにより簡便に行なうことができる。
【0027】〈染色体DNAライブラリーの作製〉アラ
ゲカワラタケを増殖可能な培地、例えばグルコース・ペ
プトン培地(グルコース2%、ポリペプトン0.5%、
酵母エキス0.2%、KH2PO40.1%、MgSO4
・7H2O0.05%)で培養した菌体を濾集し、液体
窒素で凍結する。
【0028】凍結菌体を乳鉢等ですりつぶし、Yeltonら
の方法[Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81巻, 1470(198
4)]等の染色体DNA抽出法により、染色体DNAを調
製する。染色体DNAをベクターに導入可能な適当な制
限酵素で切断し、ベクターに連結して大腸菌に導入、形
質転換し、染色体DNAライブラリーを作製する。この
場合、用いる宿主ベクター系は特に限定されるものでは
ないが、好ましくは大腸菌を宿主とし、EMBL3(東
洋紡績社製)等のファージベクターを用いる。用いるベ
クターの種類によっては、染色体DNAを適当な制限酵
素で切断後、アガロースゲル電気泳動法、ショ糖密度勾
配遠心法等常法により分画し、その長さを適当に揃えた
方が良い場合もある。
【0029】〈合成DNAプローブの作製〉前述の方法
に従って精製した酵素蛋白質を、リシルエンドペプチダ
ーゼ(和光純薬工業社製)により消化し、各ペプチドを
例えばODS等の逆相カラムを用いたHPLCにより分
画する。分離精製後エドマン法によりN末端からアミノ
酸配列を分析する。これらの配列を既知のアラゲカワラ
タケのリグニンパーオキシダーゼと比較し相同性の少な
く、且つそれらのアミノ酸から推定される塩基配列の組
み合わせが少ない部分を探し、合成DNAプローブを作
製することができる。
【0030】〈ライブラリーからのマンガンパーオキシ
ダーゼ遺伝子の単離およびその塩基配列の決定〉マンガ
ンパーオキシダーゼcDNA遺伝子は、マンガンパーオ
キシダーゼを生産中であり、リグニンパーオキシダーゼ
を生産していない菌体から作製したcDNAライブラリ
ーからコロニーハイブリダイゼーションもしくはプラー
クハイブリダイゼーションにより選抜できる。マンガン
パーオキシダーゼ遺伝子は、リグニンパーオキシダーゼ
遺伝子とマンガンパーオキシダーゼ遺伝子の相同性の高
さを利用してリグニンパーオキシダーゼ遺伝子を[α−
32P]dCTPでラベルしたものをプローブとして用い
て、選択的に取得することができる。このとき、上記合
成DNAプローブを[γ−32P]ATPで末端ラベルし
たものをプローブとして用いることも可能である。次に
一次選抜を行った遺伝子について合成DNAプローブを
用いたサザンハイブリダイゼーションで二次選抜を行
い、結合の強度から目的のマンガンパーオキシダーゼc
DNA遺伝子を選択的に取得することができる。
【0031】マンガンパーオキシダーゼ染色体遺伝子
は、取得したマンガンパーオキシダーゼcDNA遺伝子
を[α−32P]dCTPでラベルしたものをプローブと
して用いて、前述の染色体ライブラリーからコロニーハ
イブリダイゼーション、もしくはプラークハイブリダイ
ゼーションにより選抜できる。この時、混在する多数の
リグニンパーオキシダーゼ遺伝子を排除し、取得したマ
ンガンパーオキシダーゼcDNA遺伝子に対応する染色
体遺伝子を取得するために、通常の方法より厳しい条件
で洗浄する必要がある。
【0032】また、上記方法で単離したマンガンパーオ
キシダーゼ遺伝子の塩基配列は、Sangerらの方法[Pro
c. Natl. Acad. Sci. USA, 74巻, 5463(1977)]により
決定できる。mRNAからcDNAを合成し、λgt10
で作製したcDNAライブラリーから選抜したクローン
を大腸菌ベクターpBluescriptIISK+(Stratagene社製)
にサブクローニングして得た株、大腸菌JM109/pBSMPOC1
は工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託番号FERM P
-14932 として寄託されている。また、染色体DNAラ
イブラリーから選抜したクローンを大腸菌ベクターpBlu
escriptIISK+ のEcoRIサイトにサブクローニングして得
た株、大腸菌JM109/pBSMPOG1は生命工学工業技術研究所
に寄託番号FERM P-14933 として寄託されている。
【0033】〈組換えDNA,形質転換体〉上記方法に
より決定した配列番号2または3の塩基配列で表される
本発明のマンガンパーオキシダーゼ遺伝子は、プラスミ
ドベクターに組み込んで発現組換えプラスミドを得るこ
とができる。この場合プラスミドベクターとしては特に
限定されるものではなく、λファージ、コスミドベクタ
ー、pUC、pBluescript等が適宜用いられる。さらに酵母
や枯草菌のベクターも用いられる。また、上記組換えプ
ラスミドを所望の宿主細胞に導入して形質転換体が得ら
れる。宿主細胞としては大腸菌、枯草菌および酵母が用
いられる。
【0034】
〔実施例1〕
〈cDNAライブラリーの作製〉アラゲカワラタケIF
O−4917株由来のマンガンパーオキシダーゼCH−
1高生産変異株NTG III−55株を、表4に示す低濃
度窒素源培地(Bonnarmeらの培地)1.5lを
含むエアーリフト型2l培養槽を用いて28℃で培養し
た。
【0035】
【表4】 Bonnarmeの培地 ───────────────────────────── グルコース 10 g D-酒石酸二アンモニウム 0.2 g 酒石酸ナトリウム(pH4.5) 20 mM KH2PO4 2 g MgSO4・7H2O 0.5 g CaCl2・2H2O 0.1 g 塩酸チアミン 1 mg Tween20 0.5 g ベラトリルアルコール 2.5 mM 微量元素溶液* 70 ml ───────────────────────────── 全量 1000 ml *微量元素溶液 ───────────────────────────── MgSO4 3 g MnSO4 0.5 g NaCl 1.0 g FeSO4・7H2O 0.1 g CoCl2 0.1 g ZnSO4・7H2O 0.1 g CuSO4 0.1 g AlK(SO42・12H2O 10 mg H3BO4 10 mg Na2MoO4・2H2O 10 mg ニトリルアセテート 1.5 g ─────────────────────────────
【0036】培養2日目にダイズレクチン(0.1g/
l)とベラトリルアルコール(2.5mM)を添加し、
マンガンパーオキシダーゼ生産が盛んであり、リグニン
パーオキシダーゼが生産されていない培養3日目の菌体
を集菌し、洗浄後、液体窒素で凍結し、乳鉢で粉砕し
た。以下に使用する器具、試薬類は常法により[Molecu
lar Cloning A Laboratory Manual/2nd" Edition(198
9)]ジエチルピロカーボネート処理したものを用いた。
粉砕した菌体約5gからアマシャム社製RNA抽出キッ
トを用い、そのマニュアルに従って全RNAを抽出し
た。
【0037】2mgの該全RNAからファルマシア社製の
mRNA Purification Kitを用い、そのマニュアルに従っ
てpoly(A)RNA画分を調製した。次に5μgのpoly(A)R
NAからアマシャム社製のcDNA合成キットを用い
て、そのマニュアルに従って2本鎖cDNAを合成し
た。合成した2本鎖cDNAからアマシャム社製のcD
NAクローニングキットを用い、そのマニュアルに従っ
てλgt10でのcDNAライブラリーを以下のように作製
した。cDNAにEcoRIアダプターを連結し、ゲル濾過
カラムにより未反応のアダプターを除去し、0.5kb
p以上のcDNA断片を含む画分を取り出した。さらに
上記cDNA断片画分をキナーゼ処理後、フェノール、
クロロホルム処理、エタノール沈澱により回収し、風乾
後、10μlのTE溶液に溶解した。
【0038】λgt10アーム1μgとcDNA25ngとを
混合し、T4DNAリガーゼ2.5ユニットを含む付属
のライゲーションバッファー中で16℃16時間連結反
応させた。次に、マニュアルに従ってin vitroでパッケ
ージを行ない、cDNAライブラリーとした。上記cD
NAライブラリーから組換え体λファージを大腸菌NM
514に感染せしめ、LB寒天プレート上でプラークを
形成させた。その結果、1.6×108プラーク/μg
インサートcDNAの力価を有するcDNAライブラリ
ーを作製することができた。
【0039】〈合成DNAプローブの作製〉アラゲカワ
ラタケIFO4917 株由来のマンガンパーオキシダーゼ CH-
1 高生産株NIGIII-55 株を培養し、培養7日目の培養液
からイオン交換カラム、ゲル濾過カラム、HPLCカラム等
を用いて処理する方法( 特願平6-66941号の実施例2記
載の方法参照)に従って精製した酵素蛋白質を、リシル
エンドペプチダーゼにより消化し、各ペプチドをVydac2
18TP54カラムを用いたHPLC(溶媒A: 0.1%TFA/DWB:
0.1%TFA/Acetonitrile, A: 5→55%/50min)により分画
した。4個のペプチド断片を分離精製しエドマン法に従
ってN末端よりアミノ酸配列を分析した。結果は図1に
示した。これらの配列を既知のアラゲカワラタケのリグ
ニンパーオキシダーゼのアミノ酸配列と比較し(図2)
相同性が少なく、且つそれらのアミノ酸から推定される
塩基配列の組み合わせが少ない部分(図2、アンダーラ
インで表示)を探し、2カ所のアミノ酸配列から4種類
の合成DNAプローブを作製した。作製した合成DNA
プローブを図3に示す。
【0040】〈cDNAライブラリーからのマンガンパ
ーオキシダーゼcDNA遺伝子の単離〉上記cDNAラ
イブラリーからのマンガンパーオキシダーゼ遺伝子の単
離は常法通り[Molecular Cloning A Laboratory Manua
l/ 2nd" Edition(1989)]のプラークハイブリダイゼー
ションにより行った。
【0041】直径90mmのシャーレに4,000〜6,000の
プラークが出現するようにE.coli NM514にファージを感
染させ、プラークが0.5mm〜1mm位の大きさの時
にナイロンメンブランを2分間プレートにのせてメンブ
ランにプラークを移した。続いてアマシャム社製のブロ
ッティング・メンブランのマニュアルに従って、変性液
による変性操作を1回、中和液による中和操作を2回、
さらに2×SSC(1×SSC:150mM NaC
l、15mMクエン酸三ナトリウム)による洗浄を行な
って風乾後、紫外線照射により組換え体DNAをメンブ
ランに固定し、プラークハイブリダイゼーション用メン
ブランとした。プレハイブリダイゼーション終了後、一
枚あたり新たに2mlのハイブリダイゼーション溶液(5
×SSC、1×デンハート溶液、1%SDS、100μg/
mlサケ変性DNA)を加え、さらに1×106cpm
/mlとなるように放射能標識したプローブを加え70
℃で24時間ハイブリダイゼーションを行った。プロー
ブとして、リグニンパーオキシダーゼ遺伝子[特開昭5-
260978号公報]をアマシャム社製ギガラベリングキット
により[α−32P]dCTPで標識したものを用いて、
リグニンパーオキシダーゼ遺伝子とマンガンパーオキシ
ダーゼ遺伝子の相同性の高さを利用してマンガンパーオ
キシーダーゼ遺伝子を選抜した。ハイブリダイゼーショ
ン後のメンブランは常法に従い、室温の1%SDSを含
む2×SSC中で30分間振盪しながら洗浄し、さらに
室温の1%SDSを含む0.1%SSC中で30分間洗
浄後、乾燥後増感紙を用いたオートラジオグラフィーを
行ない、約20個の陽性プラークを検出した。これらの
陽性プラークから常法に従って、液体培養によりファー
ジDNAを調製し、制限酵素 EcoRIで切断後、各サンプ
ルのDNA量を一定にして1%アガロースゲル電気泳動
を行った。アマシャム社製のブロッティングメンブラン
のマニュアルに従って変性操作、中和操作、ブロッティ
ング操作、UVによる固定操作を行うことにより、ゲル
中のDNAをメンブランに移し、サザンハイブリダイゼ
ーション用のメンブランとした。プレハイブリダイゼー
ション終了後、10mlのハイブリダイゼーション液と
1×106cpm/mlとなるように合成DNAプロー
ブを添加し、40℃で24時間ハイブリダイゼーション
を行った。合成DNAプローブは常法通り、T4DNA
キナーゼにより[γ−32P]ATPを用いて末端標識し
た。マンガンパーオキシダーゼcDNA遺伝子の選抜に
は図1に示したプローブ1a、1b、2a、2bの4種
類を用いた。ハイブリダイゼーション後のメンブラン
は、室温の2×SSC中で30分間振盪することによる
洗浄を2回繰り返し、乾燥後オートラジオグラフィーを
行った。オートラジオグラフィーの結果プローブ1aと
プローブ2bの2種類が共通に他より強くハイブリダイ
ズする1.4kbpの陽性DNA断片が検出できた。該
断片を常法に従ってStratagene社製のpBluescriptIISK+
のEcoRIサイトにサブクローニングしたプラスミド(pBS
MPOC1)を図4に示す。該プラスミドで大腸菌を形質転
換し、大量調製し塩基配列を決定したところ、アラゲカ
ワラタケIFO4917 株由来のマンガンパーオキシダーゼ C
H-1 高生産株NIGIII-55 株を培養し、培養7日目の培養
液からイオン交換カラム、ゲル濾過カラム、HPLCカラム
等を用いて処理する方法( 特願平6-66941号の実施例2
記載の方法参照)に従って精製した酵素のアミノ酸配列
(4ヶ所、計70アミノ酸、図1参照)と一致した。得
られたマンガンパーオキシダーゼcDNA遺伝子(MP
OC1)を含む大腸菌形質転換株E.coli JM109/pBSMPOC
1は工業技術院生命工学工業技術研究所に生命研寄託番
号FERM P-14932 として寄託されている。
【0042】塩基配列の決定は宝酒造社製のデリーショ
ンキットおよび東洋紡社製のシークエンスキットSequen
cing PROを用いて行った。結果は配列番号2に示した通
りである。この配列番号2のDNA配列から演繹される
アミノ酸配列を配列番号1に示す。
【0043】〔実施例2〕 〈染色体遺伝子ライブラリーの作製〉アラゲカワラタケ
(IFO4917株)の平板寒天培地から直径5mmの寒
天片をコルクボーラーで打ち抜き、グルコース・ペプト
ン培地(グルコース2%、ポリペプトン0.5%、酵母
エキス0.2%、KH2PO40.1%、MgSO4・7
2O0.05%、りん酸でpH4.5に調製)200
mlに植菌し、28℃で7日間回転振盪培養を行った。
菌体を濾集後、1リットルの滅菌水で菌体を洗浄し、液
体窒素で凍結した。この凍結菌体5gを乳鉢を用いて粉
砕した。粉砕した菌体を遠心管に移し、Lysis緩衝液(1
00mMトリス(pH8.0)、100mMEDTA、 100mMNaClさ
らにプロティナーゼKを100μg/mlとなるように添加)
10mlを加え、55℃で3時間インキュベートした。
インキュベート後、フェノール抽出、クロロホルム抽出
を行ない、水層部分にエタノールを徐々に添加しDNA
が析出したところで染色体DNAを巻き取り、TE溶液
に溶解した。
【0044】得られた染色体DNA100μgを制限酵素S
au3AIで部分分解し、10〜40%ショ糖密度勾配超遠
心分離(30,000rpm、18時間)により分画し、30〜
50kbpのDNA断片画分を集めた。EMBL3BamH
Iアームと上記Sau3AIで部分分解した 30〜50kbpの染色
体DNA断片をモル比で3:1の割合で混合し、T4D
NAリガーゼにより16℃、一晩結合反応を行った後、ア
マシャム社製 in vitro パッケージングキットによりパ
ッケージを行ない、アラゲカワラタケ染色体DNAライ
ブラリーとした。
【0045】〈染色体DNAライブラリーからのマンガ
ンパーオキシダーゼ遺伝子の単離〉染色体DNAライブ
ラリーからのマンガンパーオキシダーゼ遺伝子の単離
は、常法通り[Sambrookら著、"Molecular Cloning A L
aboratory Manual/ 2nd" Edition(1989)のプラークハイ
ブリダイゼーションにより行った。上記染色体DNAラ
イブラリーを大腸菌P2392(東洋紡績社製)に感染せし
め、直径90mmのLBプレート上に約5000個の組換え
体プラークが出現するように蒔き、組換え体プラークが
直径1mm程度に増殖するまで37℃で培養し、ナイロン
メンブランを2分間プレートにのせてプラークをメンブ
ランに移した。続いて実施例1に示した方法でフィルタ
ーの変性、中和、洗浄、乾燥、UV処理を行いハイブリ
ダイゼイション用フィルターを作製した。
【0046】プラークハイブリダイゼーションに用いた
プローブは実施例1に示した方法でで単離したマンガン
パーオキシダーゼcDNA遺伝子を以下のように調製し
た。該遺伝子をクローン化した大腸菌JM109/pBSMPOC1を
培養し、その菌体からアルカリ抽出法により得た組換え
プラスミド10μgを制限酵素EcoRIで完全に切断し、1
%アガロースゲル電気泳動法により1.4kbpのマン
ガンパーオキシダーゼcDNA遺伝子断片を切り出し
た。該遺伝子断片1μgを[α−32P]dCTPを用い
てアマシャム社製ギガラベリングキットによりマニュア
ルに従って放射能標識し、プローブとした。
【0047】続いて、プレハイブリダイゼーション終了
後、10mlのハイブリダイゼーション液と1×106
cpm/mlとなるように上記プローブを添加し、70
℃で24時間ハイブリダイゼーションを行った。ハイブ
リダイゼーション後のメンブランは、混在するリグニン
パーオキシダーゼ遺伝子を排除し実施例1で取得したマ
ンガンパーオキシダーゼcDNAに相当する染色体断片
を区別するため、通常の方法より厳しい条件で洗浄し
た。すなわち室温の1%SDSを含む2×SSC中で3
0分間振盪することにより洗浄し、70℃の同溶液中で
30分間洗浄し、さらに70℃の1%SDSを含む0.
1×SSC中で30分間洗浄することにより、多数存在
するリグニンパーオキシダーゼやマンガンパーオキシダ
ーゼアイソザイム遺伝子をできるだけ検出しないように
した。風乾後オートラジオグラフィーを行い、5個の陽
性プラークを単離し、3個の6.5kbpEcoRI断片と
2個の4.3kbpのEcoRI断片を得た。これらの断片
を常法に従ってStratagene社製のpBluescriptIISK+のEc
oRIサイトにサブクローニングし、大腸菌JM109を形質転
換した。サブクローニングしたDNAを大量調製し塩基
配列を決定したところ、既にクローニングしたcDNA
遺伝子に対応するマンガンパーオキシダーゼ染色体遺伝
子(MPOG1)を6.5kbpEcoRI断片として得る
ことができた。該断片をStratagene社製のプラスミドpB
luescriptIISK+のEcoRIサイトに連結した組換えプラス
ミドを図5に示す。該組み合えプラスミドで大腸菌E.co
li JM109を形質転換して得た株E.coli JM109/pBSMPOG1
は工業技術院生命工学工業技術研究所に生命研寄託番号
FERM P-14933 として寄託されている。該遺伝子の塩基
配列は配列番号3に示した通りである。
【0048】〈マンガンパーオキシダーゼ遺伝子の構
造〉配列番号2のmRNAに由来する遺伝子と、配列番
号3の染色体DNAに由来するマンガンパーオキシダー
ゼ遺伝子との比較から染色体DNA上にあるイントロン
の存在、分泌に関与するリーダー配列の存在が明らかと
なった。配列番号4にまとめて示す。染色体上イントロ
ンは、配列番号4の154〜211番目、555〜615番目、817
〜880番目、1123〜1193番目、1432〜1494番目の塩基配
列の5ヶ所であった。145 番目のメチオニンから始まり
アルギニンまでの26個のアミノ酸配列がリーダー配列
であり、成熟蛋白質としてはアミノ末端のバリンから、
カルボキシル末端のセリンまで 339アミノ酸をコードす
るオープンリーディングフレームが見い出される。
【0049】成熟タンパク質のアミノ末端のアミノ酸で
あるバリンから数えて103 番目のアスパラギンはAsn
−X−Thrの配列からN−グリコシル化されていると
考えられる。また、多くのパーオキシダーゼに共通して
みられるヘム鉄が配位するプロキシマルヒスチジンが17
7 番目、過酸化水素の分解に関与するディスタルアルギ
ニンが44番目、ディスタルヒスチジンが48番目に見ら
れ、これらのアミノ酸の位置については他のパーオキシ
ダーゼと高い相同性を有しているが、その前後の配列は
全く異なるものであった。
【0050】また、ファネロケーテ・クリソスポリウム
のマンガンパーオキシダーゼはリグニンパーオキシダー
ゼと比較すると、酸性アミノ酸と塩基性アミノ酸が置き
換わるなどの特徴的なアミノ酸の置換が3カ所あるが、
本発明の遺伝子もアラゲカワラタケのリグニンパーオキ
シダーゼ遺伝子と比較すると同様のアミノ酸置換が見ら
れ、明らかにマンガンパーオキシダーゼ遺伝子であると
考えられた。しかしながらファネロケーテ・クリソスポ
リウムではマンガンパーオキシダーゼは成熟蛋白のN末
端アミノ酸から230番目付近に、リグニンパーオキシ
ダーゼには見られない特徴的な7残基のアミノ酸の挿入
があるが、本発明のマンガンパーオキシダーゼ遺伝子に
はこのような挿入は見られなかった。これらのことから
本発明のマンガンパーオキシダーゼ遺伝子は既知のパー
オキシダーゼとはアミノ酸配列が異なり、新規なマンガ
ンパーオキシダーゼ遺伝子である。
【0051】
【発明の効果】本発明により、新規なマンガンパーオキ
シダーゼ染色体遺伝子ならびにマンガンパーオキシダー
ゼcDNA遺伝子、それらの組換えプラスミドおよび形
質転換体を提供することができた。これにより、遺伝子
組換え技術を用いた効率的なマンガンパーオキシダーゼ
生産を行なうことができる。
【0052】
【配列表】 (1)配列番号:1 配列の長さ:365 配列の形:アミノ酸 起源 生物名:アラゲカワラタケ(Coliorus hirstus) 株名:IFO4917 配列の特徴 1-26 シグナルペプチド 27-365 成熟ペプチド 配列: Met Ala Phe Lys Thr Leu Ala Ser Phe Val Ser Val Leu Ala Ala -25 -20 -15 Leu Gln Val Thr Asn Gly Ala Leu Thr Arg Arg Val Thr Cys Pro -10 -5 1 Asp Gly Val Asn Thr Ala Ser Asn Ala Ala Cys Cys Ala Leu Phe 5 10 15 Pro Val Leu Glu Asp Ile Gln Thr Asn Leu Phe Asp Gly Gly Glu 20 25 30 Cys Gly Glu Glu Val His Glu Ser Leu Arg Leu Thr Phe His Asp 35 40 45 Ala Ile Gly Ile Ser Pro Lys Ile Ala Ser Thr Gly Thr Phe Gly 50 55 60 Gly Gly Gly Ala Asp Gly Ser Ile Ala Ile Phe Ala Asp Ile Glu 65 70 75 Thr Asn Phe His Ala Asn Asn Gly Val Asp Glu Ile Ile Gly Glu 80 85 90 Gln Ala Pro Phe Ile Ala Arg His Asn Leu Thr Thr Ala Asp Phe 95 100 105 Ile Gln Phe Ala Gly Ala Ile Gly Val Ser Asn Cys Pro Gly Ala 110 115 120 Pro Arg Leu Asp Val Phe Val Gly Arg Lys Asp Ala Thr Gln Pro 125 130 135 Ala Pro Asp Leu Thr Val Pro Glu Pro Phe Asp Thr Val Asp Ser 140 145 150 Ile Leu Ala Arg Phe Ala Asp Ala Gly Gly Phe Ser Ser Asp Glu 155 160 165 Val Val Ala Leu Leu Ala Ser His Thr Ile Ala Ala Ala Asp His 170 175 180 Val Asp Pro Ser Ile Pro Gly Thr Pro Phe Asp Ser Thr Arg Ser 185 190 195 Leu Phe Asp Thr Gln Phe Phe Ile Glu Thr Gln Leu Arg Gly Thr 200 205 210 Leu Phe Pro Gly Thr Gly Gly Asn Gln Gly Glu Val Glu Ser Pro 215 220 225 Leu His Gly Glu Leu Arg Leu Gln Ser Asp Ser Glu Leu Ala Arg 230 235 240 Asp Ser Arg Thr Ala Cys Glu Trp Gln Ser Phe Val Asn Asn Gln 245 250 255 Ala Lys Leu Gln Ser Ala Phe Lys Ala Arg Phe Arg Lys Met Thr 260 265 270 Val Leu Gly His Ser Val Ser Asp Leu Val Asp Cys Ser Glu Val 275 280 285 Val Pro Thr Pro Pro Ala Pro Ala Ser Asn Ala His Phe Pro Ala 290 295 300 Gly Leu Gly Gln Ala Asp Val Glu Gln Ala Cys Ala Ser Thr Pro 305 310 315 Phe Pro Thr Leu Pro Thr Asp Pro Gly Pro Val Thr Ser Val Ala 320 325 330 Pro Val Pro Pro Ser *** 335
【0053】(2)配列番号:2 配列の長さ:1323 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA 起源 生物名:アラゲカワラタケ (Coliorus hirstus) 株名:IFO4917 配列の特徴: 44-1138 CDS 44-121 シグナルペプチド 122-1138 成熟ペプチド 428-436 N-グリコシル化部位 251-253 ディスタルアルギニン 263-265 ディスタルヒスチジン 650-652 プロキシマルヒスチジン 配列: TTCTCCTCTT CTGAGCCATC TCTACTACCT CTCCTAGCAG ATCATGGCTT 50 TCAAGACACT CGCCTCCTTC GTCTCGGTTC TCGCCGCTCT CCAGGTCACC 100 AATGGTGCGC TCACTCGCCG GGTGACTTGC CCCGACGGTG TCAACACTGC 150 GTCCAACGCG GCGTGCTGCG CGCTCTTCCC CGTCCTCGAA GACATCCAGA 200 CAAACCTCTT CGACGGCGGC GAGTGCGGCG AGGAGGTGCA CGAGTCCCTC 250 CGTCTCACCT TCCACGACGC CATCGGCATC TCGCCCAAGA TCGCCTCCAC 300 CGGCACCTTT GGTGGCGGCG GCGCGGACGG CTCTATCGCC ATCTTCGCGG 350 ACATCGAGAC CAACTTCCAC GCGAACAACG GTGTCGACGA GATCATCGGC 400 GAGCAGGCGC CCTTCATCGC GCGCCACAAC CTCACCACTG CGGACTTCAT 450 CCAGTTCGCC GGGGCGATCG GCGTGAGCAA CTGCCCTGGT GCGCCGCGCC 500 TCGACGTCTT CGTCGGCCGC AAGGACGCGA CGCAGCCCGC GCCCGACTTG 550 ACCGTGCCCG AGCCGTTCGA CACCGTCGAC AGCATCCTCG CCCGCTTCGC 600 CGACGCTGGT GGCTTCAGCT CTGACGAGGT CGTCGCCCTC CTGGCCTCGC 650 ACACCATCGC TGCGGCTGAC CACGTCGACC CGAGCATCCC CGGCACGCCG 700 TTCGACTCCA CCCGGAGCCT GTTCGACACG CAGTTCTTCA TCGAGACCCA 750 GCTCCGCGGC ACGCTCTTCC CCGGCACCGG CGGCAACCAG GGCGAGGTCG 800 AGTCGCCCCT CCACGGCGAG CTCCGCCTCC AGTCCGACTC TGAGCTCGCG 850 CGTGACTCGC GCACCGCCTG CGAGTGGCAG TCCTTCGTCA ACAACCAGGC 900 GAAGCTCCAG TCCGCGTTCA AGGCGCGGTT CCGCAAGATG ACCGTGCTCG 950 GGCACAGCGT GAGCGACCTC GTCGACTGCT CCGAGGTCGT GCCCACGCCG 1000 CCCGCGCCCG CGAGCAACGC GCACTTCCCC GCCGGCCTCG GCCAGGGCGA 1050 CGTCGAGCAG GCCTGCGCCA GCACGCCCTT CCCGACCCTC CCCACCGACC 1100 CGGGCCCGGT CACCTCCGTG GCCCCTGTTC CCCCTTCGTA AACGACACAG 1150 GAAGGATGAT GGTCTTGGTT GGCACGGCCG AGGGCTATTA GAACATCTGG 1200 TCTTGGCTTC ACACACACAT TCTTGAGGGT TCACATGATT CTTGGATAGA 1250 GCGCATCTGC ACATGTTTTC GGCTTAATAT ATTGCTGTTG TTATGTTCAG 1300 CTTTACCTTT AAAAAAAAAA AAA 1323
【0054】(3)配列番号:3 配列の長さ:2294 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:染色体DNA 起源 生物名:アラゲカワラタケ (Coliorus hirstus) 株名:IFO4917 配列の特徴: 93-1507 CDS 93-228 シグナルペプチド 229-1507 成熟ペプチド 154-211 イントロン 555-615 イントロン 817-881 イントロン 1123-1193 イントロン 1430-1494 イントロン 535-543 N-グリコシル化部位 358-360 ディスタルアルギニン 370-372 ディスタルヒスチジン 882-884 プロキシマルヒスチジン 配列: GACTTAGTAA AGAGGGTAGG TCGACGTCTG GTGTCCTCAG AGCCTCGGTT 50 TCTCCTCTTC TGAGCCATCT CTACTACCTC TCCTAGCAGA TCATGGCTTT 100 CAAGACACTC GCCTCCTTCG TCTCGGTTCT CGCCGCTCTC CAGGTGACCA 150 ATGGTGCGTG TCTACTCACA TTCCTAGTCC AAGGCCTCGG GCTGACCAGA 200 TCTGCCCACA GGTGCGCTCA CTCGCCGGGT GACTTGCCCC GACGGTGTCA 250 ACACTGCGTC CAACGCGGCG TGCTGCGCGC TCTTCCCGGT CCTCGAAGAC 300 ATCCAGACAA ACCTCTTCGA CGGCGGCGAG TGCGGCGAGG AGGTGCACGA 350 GTCCCTCCGT CTCACCTTCC ACGACGCCAT CGGCATCTCG CCCAAGATCG 400 CCTCCACTGG CACGTTCGGT GGTGGCGGCG CGGACGGCTC TATCGCCATC 450 TTCGCGGACA TCGAGACCAA CTTCCACGCG AACAACGGTG TCGACGAGAT 500 CATCGGCGAG CAGGCTCCCT TCATCGCGCG CCACAACCTC ACCACTGCGG 550 ACTTGTACGT CGATCTGCGC CCGTAAACCC CGCCTGTCAC AACGCTGATC 600 ATCCGCGAGC GCGAGCATCC AGTTCGCCGG GGCGATCGGC GTGAGCAACT 650 GCCCTGGGGC GCCGCGCCTC GACGTCTTCG TCGGCCGCAA GGACGCGACG 700 CAGCCCGCGC CCGACTTGAC CGTGCCCGAG CCGTTCGACA CCGTCGACAG 750 CATCCTCGCC CGCTTCGCCG ACGCTGGTGG CTTCAGCTCT GACGAGGTCG 800 TCGCCCTCCT GGCCTCGTAC GTTATCTCCA GCACCTCTAC TTTCTACTGT 850 GCGGCGACTA ACGTGTTTGT TTGTGCTCAG GCACACCATC GCTGCGGCTG 900 ACCACGTCGA CCCGAGCATC CCCGGCACGC CGTTCGACTC CACCCGGAGC 950 CTGTTCGACA CGCAGTTCTT CATCGAGACC CAGCTCCGCG GCACGCTCTT 1000 CCCGGGCACT GGGGGAAACC AGGGCGAGGT CGAGTCGCCC CTCCACGGCG 1050 AGCTCCGCCT CCAGTCCGAC TCTGAGCTCG CGCGCGACTC GCGCACCGCC 1100 TGCGAGTGGC AGTCCTTCGT CAGTGCGTAC CCCTCTCTCC TCCTGCCCAC 1150 CTCTTACTCC CCTGGCTGAC GCGCCGTCCG CGCAACCCTA CAGACAACCA 1200 GGCGAAGCTC CAGTCCGCGT TCAAGGCGCG GTTCCGCAAG ATGACCGTGC 1250 TCGGGCACAG CGTGAGCGAC CTCGTCGACT GCTCCGAGGT CGTGCCCACG 1300 CCGCCCGCGC CCGCGAGCAA CGCGCACTTC CCCGCCGGCC TCGGCCAGGC 1350 CGACGTCGAG CAGGCCTGCG CCAGCACGCC CTTCCCGACC CTTCCCACCG 1400 ACCCGGGCCC GGTCACCTCC GTCGCTCCTG TGTAAGTCCC GTTCCAGTGA 1450 GGTCCTTTTG AGGAAACATC GATGCTGATT TGGCGCTCTT GCAGCCCCCC 1500 TTCGTAAACG TACACAGGGA AGATGATGGT CTTGGTTGGC ACGGCCGAGG 1550 GCTATTAGAA CATCTGGTCT TGGCTTCCAC ACACATTCTT GAGGGTTCGC 1600 ATGATTTTTG GATAGAGCAA TTCTGCACAT GTTTTCGGCT TAATATATTG 1650 CTTGCTGCTG TTATGTTCAG CTTTACCTTT TGAACTCGAA TGAACTGCAG 1700 GTGAAGTGCG GATTGTAGAC GCATTCCGAT GTCCAAGCGA AGATCTACGG 1750 ATACAAGCCA ATCCCGTTCC CTTGATCTAC AAGTCCGTAC AGTCCTTCCG 1800 AGACGTCTAG CGTTGTCGCA AGGGCCCAAT GGCCATATTT TCTATGAGGA 1850 TTTGAGGAGA GTGCGAATGT CGTGGGCCAT CTGTGTAGCT CTGCCTCATC 1900 GTCGAAGTCG TATGTGTATT GTTTCTCGGC CTGCAATTGG AGTGAGCGAA 1950 ACTTCCCGAG AGCACAGAAT GGATGCTGTA TGGCTCACCG TTCGCAACAC 2000 GAGTTGGTGA GTCTCTTCAA TCGTCCGACA CTCTATTATA ACGTCCTTAT 2050 TAGTTGTTCC GTCGGTCCTA ACGTCCAATT TCTCTCCAGC ACGAGGGAAC 2100 AGGAGTGTAT GCTTGACATC CGACGCCCTC GGCCGCCCCT CCCTCTCCTC 2150 CACAAGCACG CACAGTACCC GCGGCGCAGA CGTCAAGAGG AGCACGCACG 2200 GCCGGTTCTT CTTCAAACAC CGCTTGCGCA CGTGCGACCT CACTGCCGCG 2250 ACGCGGGACG GTCTCGCAAG CGCACAGACC GCGGACCTAC ATGC 2294
【0055】(4)配列番号:4 配列の長さ:2294 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:染色体DNA 起源 生物名:アラゲカワラタケ (Coliorus hirstus) 株名:IFO4917 配列の特徴: 93-1507 CDS 93-228 シグナルペプチド 229-1507 成熟ペプチド 154-211 イントロン 555-615 イントロン 817-881 イントロン 1123-1193 イントロン 1430-1494 イントロン 535-543 N-グリコシル化部位 358-360 ディスタルアルギニン 370-372 ディスタルヒスチジン 882-884 プロキシマルヒスチジン 配列: GACTTAGTAAAGAGGGTAGGTCGACGTCTGGTGTCCTCAGAGCCTCGGTT 50 TCTCCTCTTCTGAGCCATCTCTACTACCTCTCCTAGCAGATCATGGCTTT 100 MetAlaPhe -25 CAAGACACTCGCCTCCTTCGTCTCGGTTCTCGCCGCTCTCCAGGTGACCA 150 LysThrLeuAlaSerPheValSerValLeuAlaAlaLeuGlnValThrAsn -20 -15 -10 ATGGTGCGTGTCTACTCACATTCCTAGTCCAAGGCCTCGGGCTGACCAGA 200 TCTGCCCACAGGTGCGCTCACTCGCCGGGTGACTTGCCCCGACGGTGTCA 250 GlyAlaLeuThrArgArgValThrCysProAspGlyValAsn -5 -1 1 5 ACACTGCGTCCAACGCGGCGTGCTGCGCGCTCTTCCCGGTCCTCGAAGAC 300 ThrAlaSerAsnAlaAlaCysCysAlaLeuPheProValLeuGluAsp 10 15 20 ATCCAGACAAACCTCTTCGACGGCGGCGAGTGCGGCGAGGAGGTGCACGA 350 IleGlnThrAsnLeuPheAspGlyGlyGluCysGlyGluGluValHisGlu 25 30 35 40 GTCCCTCCGTCTCACCTTCCACGACGCCATCGGCATCTCGCCCAAGATCG 400 SerLeuArgLeuThrPheHisAspAlaIleGlyIleSerProLysIleAla 45 50 55 CCTCCACTGGCACGTTCGGTGGTGGCGGCGCGGACGGCTCTATCGCCATC 450 SerThrGlyThrPheGlyGlyGlyGlyAlaAspGlySerIleAlaIle 60 65 70 TTCGCGGACATCGAGACCAACTTCCACGCGAACAACGGTGTCGACGAGAT 500 PheAlaAspIleGluThrAsnPheHisAlaAsnAsnGlyValAspGluIle 75 80 85 90 CATCGGCGAGCAGGCTCCCTTCATCGCGCGCCACAACCTCACCACTGCGG 550 IleGlyGluGlnAlaProPheIleAlaArgHisAsnLeuThrThrAlaAsp 95 100 105 ACTTGTACGTCGATCTGCGCCCGTAAACCCCGCCTGTCACAACGCTGATC 600 Phe ATCCGCGAGCGCGAGCATCCAGTTCGCCGGGGCGATCGGCGTGAGCAACT 650 IleGlnPheAlaGlyAlaIleGlyValSerAsnCys 110 115 120 GCCCTGGGGCGCCGCGCCTCGACGTCTTCGTCGGCCGCAAGGACGCGACG 700 ProGlyAlaProArgLeuAspValPheValGlyArgLysAspAlaThr 125 130 135 CAGCCCGCGCCCGACTTGACCGTGCCCGAGCCGTTCGACACCGTCGACAG 750 GlnProAlaProAspLeuThrValProGluProPheAspThrValAspSer 140 145 150 CATCCTCGCCCGCTTCGCCGACGCTGGTGGCTTCAGCTCTGACGAGGTCG 800 IleLeuAlaArgPheAlaAspAlaGlyGlyPheSerSerAspGluValVal 155 160 165 170 TCGCCCTCCTGGCCTCGTACGTTATCTCCAGCACCTCTACTTTCTACTGT 850 AlaLeuLeuAlaSer 175 GCGGCGACTAACGTGTTTGTTTGTGCTCAGGCACACCATCGCTGCGGCTG 900 HisThrIleAlaAlaAlaAsp 180 ACCACGTCGACCCGAGCATCCCCGGCACGCCGTTCGACTCCACCCGGAGC 950 HisValAspProSerIleProGlyThrProPheAspSerThrArgSer 185 190 195 CTGTTCGACACGCAGTTCTTCATCGAGACCCAGCTCCGCGGCACGCTCTT 1000 LeuPheAspThrGlnPhePheIleGluThrGlnLeuArgGlyThrLeuPhe 200 205 210 215 CCCGGGCACTGGGGGAAACCAGGGCGAGGTCGAGTCGCCCCTCCACGGCG 1050 ProGlyThrGlyGlyAsnGlnGlyGluValGluSerProLeuHisGlyGlu 220 225 230 AGCTCCGCCTCCAGTCCGACTCTGAGCTCGCGCGCGACTCGCGCACCGCC 1100 LeuArgLeuGlnSerAspSerGluLeuAlaArgAspSerArgThrAla 235 240 245 TGCGAGTGGCAGTCCTTCGTCAGTGCGTACCCCTCTCTCCTCCTGCCCAC 1150 CysGluTrpGlnSerPheVal 250 255 CTCTTACTCCCCTGGCTGACGCGCCGTCCGCGCAACCCTACAGACAACCA 1200 AsnAsnGln GGCGAAGCTCCAGTCCGCGTTCAAGGCGCGGTTCCGCAAGATGACCGTGC 1250 AlaLysLeuGlnSerAlaPheLysAlaArgPheArgLysMetThrValLeu 260 265 270 275 TCGGGCACAGCGTGAGCGACCTCGTCGACTGCTCCGAGGTCGTGCCCACG 1300 GlyHisSerValSerAspLeuValAspCysSerGluValValProThr 280 285 290 CCGCCCGCGCCCGCGAGCAACGCGCACTTCCCCGCCGGCCTCGGCCAGGC 1350 ProProAlaProAlaSerAsnAlaHisPheProAlaGlyLeuGlyGlnAla 295 300 305 CGACGTCGAGCAGGCCTGCGCCAGCACGCCCTTCCCGACCCTTCCCACCG 1400 AspValGluGlnAlaCysAlaSerThrProPheProThrLeuProThrAsp 310 315 320 325 ACCCGGGCCCGGTCACCTCCGTCGCTCCTGTGTAAGTCCCGTTCCAGTGA 1450 ProGlyProValThrSerValAlaProVal 330 335 GGTCCTTTTGAGGAAACATCGATGCTGATTTGGCGCTCTTGCAGCCCCCC 1500 ProPro TTCGTAAACGTACACAGGGAAGATGATGGTCTTGGTTGGCACGGCCGAGG 1550 Ser*** GCTATTAGAACATCTGGTCTTGGCTTCCACACACATTCTTGAGGGTTCGC 1600 ATGATTTTTGGATAGAGCAATTCTGCACATGTTTTCGGCTTAATATATTG 1650 CTTGCTGCTGTTATGTTCAGCTTTACCTTTTGAACTCGAATGAACTGCAG 1700 GTGAAGTGCGGATTGTAGACGCATTCCGATGTCCAAGCGAAGATCTACGG 1750 ATACAAGCCAATCCCGTTCCCTTGATCTACAAGTCCGTACAGTCCTTCCG 1800 AGACGTCTAGCGTTGTCGCAAGGGCCCAATGGCCATATTTTCTATGAGGA 1850 TTTGAGGAGAGTGCGAATGTCGTGGGCCATCTGTGTAGCTCTGCCTCATC 1900 GTCGAAGTCGTATGTGTATTGTTTCTCGGCCTGCAATTGGAGTGAGCGAA 1950 ACTTCCCGAGAGCACAGAATGGATGCTGTATGGCTCACCGTTCGCAACAC 2000 GAGTTGGTGAGTCTCTTCAATCGTCCGACACTCTATTATAACGTCCTTAT 2050 TAGTTGTTCCGTCGGTCCTAACGTCCAATTTCTCTCCAGCACGAGGGAAC 2100 AGGAGTGTATGCTTGACATCCGACGCCCTCGGCCGCCCCTCCCTCTCCTC 2150 CACAAGCACGCACAGTACCCGCGGCGCAGACGTCAAGAGGAGCACGCACG 2200 GCCGGTTCTTCTTCAAACACCGCTTGCGCACGTGCGACCTCACTGCCGCG 2250 ACGCGGGACGGTCTCGCAAGCGCACAGACCGCGGACCTACATGC 2294
【図面の簡単な説明】
【図1】アラゲカワラタケから精製したマンガンパーオ
キシダーゼの部分アミノ酸配列を示す図。
【図2】アラゲカワラタケのマンガンパーオキシダーゼ
の部分アミノ酸配列と、アラゲカワラタケのリグニンパ
ーオキシダーゼを比較した図。合成DNAプローブを作
成するのに適した配列部分をアンダーラインで示した。
【図3】作成した合成DNAプローブの配列を示す図。
【図4】アラゲカワラタケのマンガンパーオキシダーゼ
cDNA遺伝子(MPOC1)をpBluescriptIISK+のEc
oRIサイトにサブクローニングした組換えプラスミドを
示す図。
【図5】アラゲカワラタケのマンガンパーオキシダーゼ
染色体遺伝子(MPOG1)をpBluescriptIISK+のEcoR
Iサイトにサブクローニングした組換えプラスミドを示
す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C12R 1:645) (56)参考文献 J.Biotechnol.,1993 年,第30巻,第1号,第91−87頁 Arch.Biochem.Biop hys.,1993年,第300巻,第1号, 第57−62頁 Biochem.Biophys.A cta.,1994年,第1207巻,第2号, 第255−259頁 Appl.Environ.Micr obiol.,1992年,第58巻,第5 号,第1496−1499頁 J.Biol.Chem.,1989年, 第264巻,第5036−5040頁 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/00 - 15/90 C12N 9/00 - 9/12 BIOSIS(DIALOG) GenBank/EMBL/DDBJ(G ENETYX) MEDLINE(STN) WPI(DIALOG)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マンガンパーオキシダーゼをもたらす配
    列番号1のアミノ酸配列、または配列番号1のアミノ酸
    配列において1もしくは複数のアミノ酸が付加、欠失も
    しくは置換されており(ただし、Asn-103, Arg-44, His
    -48及びHis-177が付加、欠失もしくは置換の対象アミノ
    酸となる場合を除く)且つマンガンパーオキシダーゼの
    酵素活性を有するアミノ酸配列をコードしてなるマンガ
    ンパーオキシダーゼ遺伝子。
  2. 【請求項2】 配列番号2の塩基配列で表されるマンガ
    ンパーオキシダーゼ遺伝子。
  3. 【請求項3】 配列番号3の塩基配列で表されるプロモ
    ーター領域を含むマンガンパーオキシダーゼ遺伝子。
  4. 【請求項4】 配列番号1のアミノ酸配列をコードする
    DNAまたは配列番号1のアミノ酸配列において1もし
    くは複数のアミノ酸が付加、欠失もしくは置換されてお
    り(ただし、Asn-103, Arg-44, His-48及びHis-177が付
    加、欠失もしくは置換の対象アミノ酸となる場合を除
    く)且つマンガンパーオキシダーゼの酵素活性を有する
    アミノ酸配列をコードしてなるDNAを含む組み換えプ
    ラスミド。
  5. 【請求項5】 配列番号2または3の塩基配列で表され
    るマンガンパーオキシダーゼ遺伝子を含む組み換えプラ
    スミド。
  6. 【請求項6】 請求項4または5記載の組み換えプラス
    ミドを含む形質転換体。
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