JP3379133B2 - オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ遺伝子およびその利用 - Google Patents

オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ遺伝子およびその利用

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JP3379133B2
JP3379133B2 JP4679893A JP4679893A JP3379133B2 JP 3379133 B2 JP3379133 B2 JP 3379133B2 JP 4679893 A JP4679893 A JP 4679893A JP 4679893 A JP4679893 A JP 4679893A JP 3379133 B2 JP3379133 B2 JP 3379133B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は担子菌類アラゲカワラタ
ケから得られた新規オルニチンカルバモイルトランスフ
ェラーゼ(以下OCTと略す)遺伝子、それを含む組換
えDNAおよび該組換えDNAを含む形質転換体および
その利用に関する。OCTは生物においてアルギニンの
生合成経路中でオルニチンをシトルリンに変換する酵素
である。上記酵素遺伝子をUV照射やNTG処理により
破壊したアルギニン要求性アラゲカワラタケ変異株を、
宿主・ベクター系における宿主微生物として利用するこ
とができる。さらに、これまで困難とされてきた種々の
タンパク質を上記宿主・ベクター系を用いて遺伝子組換
えにより安定的に、さらに大量に供給することが期待で
きる。
【0002】
【従来の技術】現在まで、組換えDNA技術を用いて多
様なポリペプチドを産生する系として大腸菌(Esch
erichia coli)を宿主とする系が主として
用いられている。しかしながら、大腸菌は宿主として適
さない場合が多い。例えば、大腸菌において、ヒトなど
高等生物由来の有用なポリペプチドを生産させる場合、
目的ポリペプチド以外にも多数の毒性物質を産生し、目
的産物の精製が非常に困難となる。上記問題点を解決す
る手段として下等真核生物の酵母を宿主として生産する
方法が盛んに研究されているが、生産性が低いという問
題点が新たに生じている。そこで、ポリペプチド産生の
ための新しい宿主・ベクター系に対する関心が高まって
いる。
【0003】担子菌類は真核生物に属するが、酵母より
も動物細胞に近縁であると考えられている[T.L.S
mith,Proc.Natl.Acad.Sci.U
SA, 86,7063(1989)]。担子菌を用い
た宿主・ベクター系はいくつか報告されているが[A.
Munoz−Rivas,et al.,Mol.Ge
n.Genet.,205,103,(1986)]、
実用的利用はなされていない。コリオラス属に属する担
子菌類であるアラゲカワラタケは、まだ遺伝的解析はほ
とんどなされていない。さらにこの微生物を用いた宿主
・ベクター系はまだ開発されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明は、担子
菌類を宿主とする新規な且つ実用的な宿主・ベクター系
を提供しようとするものである。さらには、上記宿主・
ベクター系を用いて目的とする蛋白質を培養物中に分泌
生産させる方法を提供するものである。本発明はさら
に、担子菌アラゲカワラタケにおいて目的蛋白質を製造
する方法、及びそのための遺伝子系を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らはアラゲカワ
ラタケのOCT遺伝子に着目し、アラゲカワラタケの染
色体DNA制限酵素処理断片からOCTをコードするD
NA断片をクローン化し、これをOCT欠損アラゲカワ
ラタケ変異株に移入することにより、新規な宿主・ベク
ター系を確立することに成功し、さらに、この宿主・ベ
クター系を用いて目的とする蛋白質をアラゲカワラタケ
において生産することができることを確認し、本発明を
完成するに至った。
【0006】従って本発明は、(1)アラゲカワラタケ
のオルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ(OC
T)をコードする構造遺伝子を提供する。この構造遺伝
子は、好ましくは配列番号1又は配列番号2に示すアミ
ノ酸配列をコードする塩基配列から実質上成る。その塩
基配列の具体例は配列番号3の78番目の塩基から12
02番目の塩基までの塩基配列、又は配列番号4の塩基
番号653から塩基番号2340までの塩基配列であ
る。
【0007】本発明はさらに、(2)OCTをコードす
る構造遺伝子及び該構造遺伝子の発現を制御する配列を
含んで成るOCT遺伝子を提供する。発現を制御する配
列にはプロモーターが含まれる。この様なプロモーター
をコードする配列は例えば配列番号4で示される塩基配
列中の前記コード配列より上流の部分に含まれている。
【0008】本発明はさらに、(3)前記(1)又は
(2)の遺伝子を含んで成る環状又は直鎖状DNAを提
供する。このDNAは本発明の宿主ベクター系の一方を
構成するものであり、目的とする蛋白質の遺伝子を宿主
に導入する際のマーカーとして機能する。前記環状DN
Aは例えばプラスミドである。
【0009】本発明はさらに、(4)前記(1)又は
(2)の遺伝子、コリオラス担子菌において機能する発
現制御配列、及び該発現制御配列の制御下にある目的蛋
白質をコードする遺伝子を含んで成る環状又は直鎖状D
NAを提供する。このDNAも本発明の宿主ベクター系
の一方を構成するものである。前記発現制御配列にはプ
ロモーターが含まれ、例えばフェノールオキシダーゼ遺
伝子のプロモーター、リグニンパーオキシダーゼ遺伝子
のプロモーター、OCT遺伝子のプロモーター等が挙げ
られる。前記目的蛋白質をコードする遺伝子の上流には
シグナルペプチドをコードするDNA領域が連結されて
いてもよい。このシグナルペプチドとしては、例えばフ
ェノールオキシダーゼのシグナル配列、リグニンパーオ
キシダーゼのシグナル配列等が挙げられる。
【0010】本発明はさらに、(5)コリオラスに属
し、OCT発現能を欠損している担子菌を提供する。こ
の変異担子菌は本発明の宿主・ベクター系における宿主
を構成する。本発明はまた、(6)前記の(3)又は
(4)に記載の環状又は直鎖状DNAと前記(5)のO
CT発現能欠損変異体担子菌とから成る宿主−ベクター
系を提供する。
【0011】本発明はまた、(7)前記(3)のDNA
と、コリオラス属担子菌において機能する発現制御配列
及び該発現制御配列の制御下にある目的蛋白質をコード
する遺伝子を含んで成る環状又は直鎖状DNAとによ
り、前記(5)の担子菌を形質転換することを特徴とす
る、目的蛋白質を生産することができるコリオラス属担
子菌の製造方法を提供する。この方法において(3)の
DNAは、目的蛋白質をコードする遺伝子及びこのため
の制御配列を宿主に導入する場合のマーカーとして機能
する。この場合も、目的蛋白質をコードする遺伝子の上
流にはシグナル配列をコードするDNAが連結されてい
てもよい。発現制御配列及びシグナル配列としては、前
記4に記載したものを用いることができる。
【0012】本発明はさらに、(8)前記(4)のDN
Aにより前記(5)の担子菌を形質転換することを特徴
とする、目的蛋白質を生産することができるコリオラス
属担子菌の製造方法を提供する。本発明はまた、(9)
前記(7)又は(8)の方法により得られるコリオラス
属担子菌の形質転換体を提供する。本発明はさらに、
(10)前記(9)の形質転換体を培養し、その培養物
から目的蛋白質を採取することを特徴とする目的蛋白質
の製造方法を提供する。
【0013】
【具体的な説明】本発明に用いる染色体DNAおよびm
RNAの供与体はアラゲカワラタケであり、具体的に
は、例えばIFO4917株である。アラゲカワラタケ
からの全mRNAの抽出および、それに基づくcDNA
ライブラリーの作製は次に記載する方法による。
【0014】即ち、OCT生産の誘導がかかるようにア
ルギニンだけを除いた合成培地で培養したアラゲカワラ
タケの菌体から実施例で後述する方法により全RNAを
抽出する。得られた全RNAからProc.Natl.
Acad.Sci.USA,69,1408(197
2)に記載の方法によりポリ(A)含有RNAをオリゴ
(dT)−セルロースを用いて精製し、ポリ(A)RN
Aを得る。このポリ(A)RNAからcDNAをGen
e,25,263(1983)に記載の方法で合成し、
Science,222,778(1983)に記載の
方法でファージDNAλgt10に挿入し、in vi
troでパッケージを行ない、cDNAのライブラリー
とする。
【0015】上記で作製したcDNAライブラリーから
当該OCT遺伝子をクローニングするには、他生物種か
ら単離されているOCT遺伝子のDNA配列[B.Be
rse,ら,Gene,25,109(1983);
F.P.Buxton,ら,Gene,60,255
(1987)]に基づいて作製した合成DNAをプロー
ブとして用い、プラーク・ハイブリダイゼーションを行
なうことができる。またアスペルギルス・ニドランスの
OCT遺伝子をコードしているARGB遺伝子断片をD
NAプローブとして用い、プラークハイブリダイゼーシ
ョンを行なうこともできる。
【0016】得られたcDNAの塩基配列決定は、Sa
ngerらの方法[Proc.Natl.Acad.S
ci.USA,74,5463(1977)]により行
なうことができる。なお、アラゲカワラタケ由来OCT
cDNA遺伝子を含む大腸菌組換え体E.coli J
M109/pUCRMは工業技術院微生物工業技術研究
所に微工研菌寄第13424号(FERM P−134
24)として寄託されている。
【0017】本菌株から染色体DNAを調製するには、
Yeltonらの方法[Proc.Natl.Aca
d.Sci.USA,81,1470(1984)]
等、通常の染色体DNAの抽出法を用いることができ
る。次に、得られた染色体DNAを適当な制限酵素で処
理し、部分分解を行なった後ショ糖密度勾配超遠心法で
分画して10kbp〜25kbpの断片を得る。同じ接
着末端を生じさせる制限酵素で処理したファージDNA
に、上記で得られたDNA断片を挿入して染色体遺伝子
ライブラリーを作製する。
【0018】当該ファージDNAとしては例えばEMB
L3[A−M,Frishauf,ら,J.Mol.B
iol.170,827(1983)]が用いられる。
挿入後、in vitroでパッケージを行ない、染色
体DNAライブラリーとする。またサブクローニングに
は常用のクローニングベクター、好ましくは大腸菌クロ
ーニングベクター、例えばpUC系ベクター、例えばp
UC18[C.Yanisch−Perron,ら,G
ene,33,103(1985)]を用いる。
【0019】上記で得られた染色体遺伝子ライブラリー
からの当該遺伝子の単離にあたっては、前述のアラゲカ
ワラタケのcDNAライブラリーから単離したOCT遺
伝子をプローブに用いたプラークハイブリダイゼーショ
ンにより行なう。なお、cDNAライブラリーからのO
CT遺伝子のクローニングに用いる前記のプローブを用
いて、染色体遺伝子ライブラリーからのOCT染色体遺
伝子の選択を行うこともできる。単離された当該OCT
染色体遺伝子を含む断片は図1中の斜線で示す部分で表
される制限酵素地図から成っていた。
【0020】上記断片を適当なクローニングベクター、
好ましくは細菌クローニングベクター、特に大腸菌クロ
ーニングベクター、例えばpUC系クローニングベクタ
ー、例えばpUC18に挿入し、OCT欠損コリオラス
属変異株、例えばアラゲカワラタケ変異株へ移入するこ
とにより宿主・ベクター系を構築することができる。な
お、前記OTT染色体断片をpUC18に挿入すること
により得られたプラスミドをpUCR1と称し、図1に
示す。
【0021】OCT欠損コリオラス属変異株、例えばア
ラゲカワラタケ変異株は、常法通りコリオラス属の担子
胞子、分裂子または一核化したプロトプラストを用い
て、紫外線照射やN−メチル−N’−ニトロソーNーニ
トロソグアニジン(以下NTGと略す)、エチルメタン
スルホン酸などの突然変異誘発物質で処理することによ
り得ることができる。
【0022】次に、ある特異的な代謝経路に欠損のある
突然変異株の単離および同定は、例えば実施例5で詳し
く述べるように、同株が増殖に要求する栄養素を決定す
ることにより行うことができる。次に、突然変異株が欠
損している遺伝子および遺伝子産物の同定は、例えば実
施例6に述べるように欠損している酵素活性の有無を調
べることにより行なえる。
【0023】上記のようにしてクローニングされたOC
T遺伝子を含有するベクターと、OCT遺伝子を欠損し
たコリオラス属変異株との組合わせにより新規な真核生
物宿主ベクター系が提供される。上記の遺伝子を含有す
るベクターをOCT欠損コリオラス属変異株、例えばア
ラゲカワラタケ変異株に導入した場合、該酵素が発現す
ることから、前記のOCT遺伝子は該酵素の構造遺伝子
すなわちコード領域及び該コード領域の発現に必要な制
御領域の両者を含有していることが確認される。このこ
とはまた、OCT遺伝子の塩基配列の解析において、オ
ープンリーディングフレームの上流にプロモーター様配
列が存在することによっても確認される。
【0024】前記のクローニングされたOCT遺伝子を
用いて宿主・ベクター系を構築するに際しては、該遺伝
子制御領域のみを他の遺伝子、例えばマーカー遺伝子等
と組合わせてベクター系を構成することもでき、また該
遺伝子制御領域及びコード領域の両者を含有するベクタ
ー系を構成することもできる。なお、アラゲカワラタケ
のOCT活性を欠損している栄養要求性変異株であるO
JI−1078、及びアラゲカワラタケ由来OCT遺伝
子を含む大腸菌組換え株E.coli JM109/p
UCR1は工業技術院微生物工業技術研究所にそれぞれ
微工研菌寄第12677号(FERM P−1267
7)及び微工研菌寄第12679号(FERM P−1
2679)として寄託されている。
【0025】本発明はさらに、コリオラス属担子菌にお
いて目的蛋白質を製造する方法、及びそのための遺伝子
系を提供する。この遺伝子系は、例えば前記の宿主・ベ
クター系において使用される。このための遺伝子系は、
コリオラス属担子菌において機能するプロモーターを含
有するDNA、及び該DNAの3’−末端側に連結され
た、目的蛋白質をコードするDNAを含んで成る。この
DNAの上流にはシグナルペプチドをコードするDNA
が融合していることが好ましい。
【0026】本発明の目的蛋白質をコードする遺伝子の
発現に用いるプロモーターとしては、コリオラス属担子
菌、例えばアラゲカワラタケにおいて機能するものであ
ればいずれでもよいが、好ましくはアラゲカワラタケ由
来のプロモーターを用いる方が高発現を期待できる。そ
の具体例としては、アラゲカワラタケのフェノールオキ
シダーゼ遺伝子のプロモーター[Y.Kojima,
ら,J.Biol.Chem.,265,25,152
24(1990)]、が挙げられる。
【0027】さらに、リグニンパーオキシダーゼ遺伝子
のプロモーターを使用することもでき、このプロモータ
ーは例えば特願平4−60503号の明細書に詳細に記
載されており、該プロモーターを含むプラスミドpBS
LPOG7により形質転換された大腸菌E.coli
XL−1 blue/pBSLPOG7が微工研菌寄第
12683号(FERM P−12683)として工業
技術院微生物工業技術研究所に寄託されている。
【0028】さらに、アラゲカワラタケのリグニンパー
オキシダーゼ遺伝子のプロモーターが特願平4−526
73号の明細書に記載されており、このプロモーターを
含むプラスミドpBSLPOG4により形質転換された
大腸菌JM109/pUCLPOG4が微工研菌寄第1
2678号(FERM P−12678)として寄託さ
れている。
【0029】シグナルペプチドをコードするDNAとし
ては、コリオラス属担子菌例えばアラゲカワラタケで機
能するものであれば如何なるものでもよく、発現させた
い目的蛋白質に本来含まれているシグナルペプチドをコ
ードするDNAを用いるか、あるいは酵母や糸状菌の分
泌蛋白質遺伝子のシグナルペプチドをコードするDNA
を用いてもよい。また、これらのシグナルペプチドをコ
ードするDNAを化学合成したものも用いることができ
る。さらに、アラゲカワラタケ由来の分泌酵素であるフ
ェノールオキシダーゼ遺伝子のシグナルペプチド領域、
リグニンパーオキシダーゼ遺伝子のシグナルペプチド領
域、およびその改良型なども挙げられる。
【0030】本発明において、担子菌アラゲカワラタケ
で発現される遺伝子の産物としては、高等真核生物由来
の酵素、成長因子、ホルモン、サイトカイニン、ウイル
ス蛋白質などがあり、具体例としては、ヒトリゾチー
ム、プロテインジスルフィドイソメラーゼ(PDI)、
ヒトEGF(epidermal growth fa
ctor)、ヒトNGF(nerve growth
factor)、成長ホルモン、インシュリン、インタ
ーフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロン
γ、インターロイキン2、TNF(腫瘍壊子因子)、B
型肝炎ウイルス表面抗原、リンホトキシン、リグニンパ
ーオキシダーゼ、フェノールオキシダーゼなどが挙げら
れる。これらの遺伝子は相補DNA(cDNA)、もし
くは染色体DNA(genomic DNA)のいずれ
を用いてもよく、また化学合成をしたものを用いてもよ
い。
【0031】発現させたい遺伝子のシグナルペプチドコ
ード領域と成熟蛋白質コード領域との間にプロペプチド
をコードする領域が存在する場合には、その遺伝子をそ
のまま発現させてもよい。また、プロペプチドコード領
域が存在しない場合には、該プロペプチドコード領域を
シグナルペプチド領域と成熟蛋白質の間に挿入し、その
遺伝子を発現させてもよい。
【0032】本発明において、発現される遺伝子の産物
として挙げられるリグニンパーオキシダーゼを野生株を
用いて生産せしめる場合、培地中の窒素源濃度を低濃度
に抑えること、培養器中の酸素分圧を高くすること、さ
らに静置培養に限ることなどの制約があり、リグニンパ
ーオキシダーゼの大量生産は困難であった。また、リグ
ニンパーオキシダーゼ遺伝子の単離が公表されているの
はファネロカエテ・クリソスポリウム[Nature,
326,520(1987)]、カワラタケ[B.B.
R.C.,179,428(1991)]、コガネシワ
ウロコタケ[Gene,85,343(1989)]の
他にはなく、これらの菌のリグニンパーオキシダーゼ遺
伝子を利用した工業生産法も幾つか検討されている
[M.Saloheimo,ら,Gene,85,34
3,(1989)]が、これまで活性のある状態で生産
された例はない。
【0033】しかし、ここで提供する形質転換系による
酵素生産法を用いれば、リグニンパーオキシダーゼ遺伝
子が染色体DNA(genomic DNA)、もしく
は相補DNA(cDNA)、また化学合成したものにか
かわらず、容易にリグニンパーオキシダーゼを生産する
ことができる。
【0034】本発明の発現に用いる供与DNAとして
は、コリオラス属担子菌例えばアラゲカワラタケで機能
できる選択マーカーを含むベクターDNA、例えばプラ
スミドDNAが挙げられ、具体的には選択マーカーとし
てアラゲカワラタケ由来のOCT遺伝子を含むベクター
DNAが挙げられる。ベクターDNAとしては遺伝子操
作のために便利な宿主、例えば細菌、好ましくは大腸菌
でDNAを増幅させるためのものなら如何なるものでも
よい。例えば、pUCベクター、pBR322ベクタ
ー、pBluescriptベクター等が挙げられる。
上記選択マーカーを含むプラスミドDNAは環状、又は
直鎖状のいずれでもよく、あるいはOCT遺伝子部分だ
けでも、選択マーカーとして用いることができる。
【0035】目的蛋白質、例えばリグニンパーオキシダ
ーゼを発現させるベクター(発現ベクター)の1つの態
様は、選択マーカーと、目的遺伝子を発現させるための
プロモーター及び該プロモーターの制御下にある目的遺
伝子との両者を含有するベクターであり、これは例え
ば、上記の選択マーカーを含む供与DNAにプロモータ
ーを挿入し、そのプロモーターの下流に発現させたい目
的遺伝子を連結するか、あるいは、プロモーターの下流
に目的遺伝子を連結させたDNA断片を該ベクターに挿
入することによって得られる。この場合、目的蛋白質、
例えばリグニンパーオキシダーゼをコードする遺伝子の
下流にコリオラス属担子菌例えばアラゲカワラタケで機
能できるターミネーター領域を挿入することにより目的
蛋白質、例えばリグニンパーオキシダーゼの発現量を高
めることも可能である。
【0036】また、上記選択マーカーを含有するが目的
遺伝子を含有しない環状又は直鎖状のDNAと、プロモ
ーターの制御下に目的遺伝子が連結されているDNAを
含有するが選択マーカーを含有しない環状又は直鎖状の
DNA、例えば発現ベクターを混合し、同時形質転換
(co−transformation)することによ
り形質転換体を得ることもできる。
【0037】本発明における発現ベクターを構築するた
めの方法は公知であり、文献たとえば、[Sambro
ok.,ら,Molecular Cloning A
Laboratory Manual/2nd Ed
ition(1989)]に記載されている。リグニン
パーオキシダーゼ発現プラスミドの具体例としては、実
施例8、9、10、11、12及び13に記載されてい
るpPgHLC1 、pPcHLC1 、pPSgHL1 、pPSproHL1 、pRPgHL
1 及びpRPgHLC1などが挙げられる。
【0038】上記のようにして得られた発現ベクターを
用いてコリオラス属担子菌例えばアラゲカワラタケを形
質転換する。形質転換の方法は実施例7記載の方法で調
製したプロトプラストを用い、ポリエチングリコール法
やエレクトロポーレーション法などにより行なうことが
できる。特に、ポリエチレングリコール(PEG)法の
場合にはPEG終濃度が10〜50%の範囲で行なうの
が好ましい。またカルシウム濃度に関しては25〜20
0mMの範囲で用いるのが好ましい。
【0039】このようにして得られた形質転換株をそれ
自体公知の方法で培養する。培地としては、例えばグル
コース・ペプトン培地などが挙げられる。培養は通常1
5℃〜40℃、好ましくは24℃〜37℃で7日間行な
う。振盪培養でも静置培養でもよいが、必要に応じて通
気や攪拌を加えることもできる。
【0040】培養終了後、それ自体公知の方法で細胞と
上清とを分離する。分泌された遺伝子産物は、通常の蛋
白質精製法、例えば塩析、等電点沈澱、ゲル濾過、イオ
ン交換クロマトグラフィー(HPLC,FPLCなど)
などを用いることにより、精製することができる。細胞
内に残存する遺伝子産物は、当分野における通常の方
法、例えば、超音波破砕法、フレンチプレスなどを利用
した破砕法、摩砕などの機械的破砕法、細胞溶解酵素に
よる破砕法などにより細胞を破砕する。
【0041】さらに必要ならば、トリトン−X100、
デオキシコーレートなどの界面活性剤を加えることによ
って産生された遺伝子産物を抽出する。このようにして
得られた抽出液中に含まれる遺伝子産物は上記の蛋白質
精製法を用いることにより精製することができる。
【0042】上記で得られるリグニンパーオキシダーゼ
活性は、例えばベラトリルアルコールを酸化して生じる
ベラトルアルデヒドの生成に伴う吸光度の増加を指標と
した方法[M.Tien,ら,Proc.Natl.A
cad.Sci.USA,81,2280,(198
4)]で測定することができる。以下に、本発明を実施
例をもって、さらに詳しく説明するが、本発明はこれに
限定されることはない。
【0043】
【実施例】以下、実施例によって本発明を詳細に述べ
る。実施例1.cDNAライブラリーの作製 アラゲカワラタケ(IFO4917株)の平板寒天培養
から直径5mmの寒天片をコルクボーラーで打ち抜き、グ
ルコース・ペプトン培地(グルコース2%、ポリペプト
ン0.5%、酵母エキス0.2%、KH2 PO4 0.1
%、MgSO4・7H2 O 0.05%、りん酸でpH
4.5に調製)200mlに植菌し、28℃で7日間回
転振盪培養を行ない、菌体を集菌後、1Lの滅菌水で菌
体を洗浄した。
【0044】この菌体をアルギニンだけを除いた合成培
地(グルコース2%、 (NH4)2 HPO4 0.15%、
KH2 PO4 0.05%、K2 HPO4 0.1%、Mg
SO 4 ・7H2 O0.15%、塩酸チアミン0.12p
pm、Yeast Nitrogen Base(Di
fco)0.67%、りん酸でpH5.6に調製、アミ
ノ酸含量はリジン一塩酸塩70ppm、メチオニン70
ppm、システイン一塩酸塩120ppm、ロイシン7
0ppm、イソロイシン70ppm、バリン60pp
m、フェニルアラニン80ppm、チロシン90pp
m、トリプトファン100ppm、ヒスチジン一塩酸塩
80ppm、スレオニン60ppm、グルタミン酸90
ppm、プロリン60ppm、アスパラギン酸70pp
m、アラニン40ppm、グリシン40ppm、セリン
50ppm)500mlに植菌し、28℃で4日間回転
振盪培養を行い、集菌後液体窒素で凍結した。この凍結
菌体5gを乳鉢を用いて粉砕した。
【0045】以下に使用する器具、試薬類は常法により
[Sambrookら著、”Molecular Cl
oning A Laboratory Manual
/2nd Edition(1989)]ジエチルピロ
カーボネート処理したものを用いた。粉砕した菌体をフ
ァルマシア社製RNA抽出キットを用い、そのマニュア
ルに従って全RNAを抽出した。
【0046】該全RNA画分2mgを、ファルマシア社製
のmRNA Purification Kitを用
い、そのマニュアルに従ってpoly(A)+ RNA画
分を調製した。次に5μgのpoly(A)+ RNAか
らアマシャム社製のcDNA合成キットを用いて、その
マニュアルに従って2本鎖cDNAを合成した。合成し
た2本鎖cDNAからアマシャム社製のcDNAクロー
ニングキットを用い、そのマニュアルに従ってλgt1
0でのcDNAライブラリーを作製した。その結果、5
x107 プラーク/μgインサートcDNAの力価を有
するcDNAライブラリーが作製できた。さらに、直径
90mmのシャーレに2,000〜3,000のプラー
クが出るようにE.coli NM514にファージを
感染させ、当該遺伝子のクローニングを行なった。
【0047】実施例2.cDNAライブラリーからOC
T遺伝子の単離 上記cDNAライブラリーからのOCT遺伝子の単離は
常法のプラークハイブリダイゼーション[Sambro
okら著、”Molecular Cloning A
Laboratory Manual/2nd Ed
ition(1989)]により行なった。
【0048】プラークハイブリダイゼーションに用いた
プローブは次の配列を持つ合成オリゴマー(17mer,2
本) 5'-TTTATGCATTGTCTICC-3' 5'-CCATAAAAAACCTCATC-3' C C C G G G T G C T
【0049】および麹カビ(Aspergillus
nidulans)由来のARGB遺伝子SalI0.
8kb断片を32Pで放射能標識したものである。続い
て、プレハイブリダイゼーション溶液(5xSSC,5
xデンハート溶液、1%SDS、変性100μg/ml
仔牛胸線DNA)中で65℃一晩振盪し、さらにハイブ
リダイゼーション溶液1mlにつき、1x106 cpm
のDNAプローブを加えて45℃24時間ハイブリダイ
ゼーションを行なった。
【0050】ハイブリダイゼーション後のメンブランは
常法に従い、数回洗浄し、乾燥後増感紙を用いたオート
ラジオグラフィーにより陽性プラークを選抜した。その
結果、約80,000個のプラークの中から上記3種類
のDNAプローブがハイブリダイズする1個のクローン
を選抜することができた。
【0051】陽性プラークから常法に従って、液体培養
によりファージDNAを調製し、制限酵素BamHIで
切断後1%アガロースゲルにより分画して1.3kbp
のDNA断片を得た。該断片を常法に従って宝酒造社製
プラスミドベクターpUC18のBamHIサイトにサ
ブクローニングし、大腸菌JM109株に形質転換し
た。サブクローニングしたDNAを大量に調製し、超遠
心(50,000rpm,16hr,20℃)で精製し
て塩基配列を決定した。塩基配列の決定はUnited
States Biochemical社製のシーケ
ナーゼのキットを用いて行なった。
【0052】その結果、配列番号3に示す1125bp
から成るオープンリーディングフレームが見い出され、
得られたDNA配列から推定されるアミノ酸配列は、プ
ローブとして用いた麹カビ(A.nidulans)A
RGBのアミノ酸配列や他の生物種由来のOCTと比較
して高い類似性が認められ、さらにOCTに共通の配列
を持つカルバモイル基結合領域が認められた。従って、
今回単離した1.3kbpのDNA断片はアラゲカワラ
タケのOCT遺伝子であることが判明した。なお、この
オープンリーディングフレームによりコードされている
アミノ酸配列を配列番号1に示す。
【0053】この1.3kbpのcDNA断片を用いた
染色体遺伝子のクローニングを実施例3、4に示す。な
お、得られたアラゲカワラタケ由来OCTcDNA遺伝
子を含む大腸菌形質転換株E.coli JM109/
pUCRMは工業技術院微生物工業技術研究所に微工研
菌寄第13424号(FERM P−13424)とし
て寄託され、そしてFERM BP−4202としてブ
ダペスト条約に基く国際寄託に移管された。
【0054】実施例3.染色体遺伝子ライブラリーの作
アラゲカワラタケ(IFO4917株)の平板寒天培養
から直径5mmの寒天片をコルクボーラーで打ち抜き、実
施例1で述べたグルコース・ペプトン培地200mlに
植菌し、28℃で7日間回転振盪培養を行なった。菌体
を集菌後、1Lの滅菌水で菌体を洗浄し、液体窒素で凍
結した。
【0055】この凍結菌体5gを乳鉢を用いて粉砕し
た。粉砕した菌体を遠心管に移し、Lysis緩衝液
(100mMトリス(pH8)、100mMEDTA、
100mM NaClさらにプロテイナーゼKを100
μg/mlとなるように添加)10mlを加え、55℃
で3時間インキュベートした。インキュベート後、フェ
ノール抽出、クロロホルム抽出を行ない、抽出した水層
部分にエタノールを徐々に添加しDNAが析出したとこ
ろで染色体DNAを巻取り、TE溶液に懸濁した。
【0056】得られた染色体DNA100μgを制限酵
素Sau3AIで部分分解し、5〜20%ショ糖密度勾
配超遠心分離(30,000rpm,18時間)により
分画し、10〜25kbp断片区分を集めた。この断片
区分を東洋紡社製ファージλEMBL3−BamHIア
ームにT4DNAリガーゼを用いて連結し、得られたフ
ァージDNAをSTRATAGENE社製ギガパックゴ
ールドを用いてパッケージング後、大腸菌P2392株
に感染せしめ染色体DNAライブラリーとした。
【0057】実施例4.染色体DNAライブラリーから
のOCT遺伝子の単離 上記染色体DNAライブラリーからプラークハイブリダ
イゼーションによりOCT遺伝子を含むクローンの選抜
を行なった。この一連の操作は常法[Sambrook
ら著、”Molecular Cloning A L
aboratory Manual/2nd Edit
ion(1989)]によった。
【0058】プラークハイブリダイゼーションに用いた
プローブは実施例2で得られたcDNA断片を[α−32
P]dCTPで放射能標識したものである。その結果、
約40,000個のプラークの中から6個の陽性クロー
ンを選抜することができた。陽性クローンから常法に従
って調製した組換え体ファージDNAを各種制限酵素で
消化し、上記1.3kbpcDNAをプローブとして用
いてサザンハイブリダイゼーションを行なった。その結
果、制限酵素SalIで消化して得られた断片中に単一
のDNAバンドとして5.5kbにハイブリダイズする
クローンが認められた。
【0059】上記SalI断片5.5kbpをアガロー
スゲル電気泳動法により切り出し、大腸菌ベクターpU
C18のSalIサイトにサブクローン化し、大腸菌J
M109株へ形質転換した。サブクローン化したDNA
を大量に調製し、超遠心操作(50,000rpm,1
6hrs,20℃)で精製し、OCT欠損アラゲカワラ
タケ変異株への供与DNA試料とした。
【0060】なお、得られたアラゲカワラタケ由来OC
T遺伝子を含む大腸菌形質転換株E.coli JM1
09/pUCR1は工業技術院微生物工業技術研究所に
微工研寄託菌寄第12679号(FERM P−126
79)として寄託され、そしてFERM BP−420
1としてブダペスト条約に基く国際寄託に移管された。
さらに、サブクローニングしたDNAの塩基配列を決定
した。塩基配列の決定はUnited States
Biochemical社製のシーケナーゼのキットを
用いて行なった。
【0061】その結果、配列番号4に示すようにアラゲ
カワラタケ由来染色体OCT遺伝子は4つのイントロン
により分断されていることが判明した。また翻訳開始点
(653bp)上流にはいくつかのTATA−box様
配列やCAAT−box様配列、さらにアミノ酸合成系
遺伝子に認められるcis−acting配列も存在し
ていた。さらに実施例2において単離したcDNA遺伝
子と比較してオープンリーディングフレーム内に21ヶ
所の塩基置換が認められたが、20ヶ所の塩基置換はア
ミノ酸をコードするコドンの第3番目の塩基が異なって
いるだけでアミノ酸自身の置換は認められなかった。
【0062】唯一、配列番号4における1414番目か
ら1416番目に対応するアミノ酸がアルギニンからリ
ジンへ置換されていたが共に塩基性のアミノ酸となり性
質に変化は認められなかった。従って、実施例2で単離
したcDNA遺伝子と実施例4で単離した染色体遺伝子
は対立遺伝子の関係にあることが推定される。上記染色
体由来のOCT遺伝子によりコードされているOCTの
アミノ酸配列を配列番号2に示す。
【0063】実施例5.栄養要求性変異株の単離 アラゲカワラタケの子実体を誘導するために、1Lの三
角フラスコにラディアータ・パイン由来のメカニカルパ
ルプ20gとポテト・デキストロース培地130mlを
加え、アラゲカワラタケ野生株(IFO4917)を接
種し、光照射下で28℃にて8週間培養した。得られた
子実体の一部を切り取り滅菌水で洗浄することにより担
子胞子を遊離させ、ポアサイズ60ミクロンのナイロン
メッシュを通して子実体を除き、担子胞子懸濁液を作製
した。上記胞子懸濁液を段階的に希釈して、グルコース
・ペプトン寒天培地に塗布し、28℃で一昼夜培養後、
実体顕微鏡で観察しながら、シングルコロニーを単離し
た。単離株をクランプの有無と核染色により一核である
株を選抜した。
【0064】上記で作製した一核菌糸を最小培地(グル
コース 2%、(NH4 2 HPO 4 0.15%、K
2 SO4 0.05%、K2 HPO4 0.1%、M
gSO4 ・7H2 O 0.15%、塩酸チアミン 0.
12ppm)にカザミノ酸を10g/lおよび寒天を13g
/l添加した寒天培地上で28℃で7から10日間培養
した。上記寒天培地に生育した菌糸上に滅菌水を注ぎ、
分裂子懸濁液とした。次に、60ミクロンのナイロンメ
ッシュで濾過して菌糸体を除き、濾液を1500×gで
10分間、室温で遠心してペレットを集め、得られた分
裂子を10mMリン酸バッファー(pH7)に懸濁し
た。
【0065】上記分裂子懸濁液2mlにフィルター滅菌
したNTG溶液を50μg/mlとなるように添加し、
28℃で60分間、ゆっくりと振盪した。この変異操作
は生存率が3〜5%程度となるように行った。変異処理
を施された分裂子を1,500×gで10分間遠心し
て、上清を捨て、上記リン酸バッファー10mlを注
ぎ、さらに遠心した。この洗浄操作を3回繰り返した。
洗浄後、リン酸バッファーに再懸濁し、数段階に希釈し
て上記最小寒天培地に塗布し、コロニーが1mm程度ま
で増殖したらグルコース・ペプトン軟寒天培地(完全培
地)を重層し、新たに増殖が認められたクローンを選抜
した。
【0066】上記で選抜したクローンに関してどのアミ
ノ酸代謝系遺伝子に突然変異的欠損があるかを次に示す
ように決定した。アミノ酸プールは、以下のように、そ
れぞれ4種ならびに5種の異なるアミノ酸のL−異性体
を濃度が10mg/mlとなるように溶解して調製し
た。
【0067】
【表1】
【0068】上記のように、アミノ酸プール1はそれぞ
れ10mg/ml のグリシン、ヒスチジン、フェニル
アラニン、グルタミン酸を含み;アミノ酸プール2はそ
れぞれ10mg/ml のアスパラギン、ロイシン、チ
ロシンおよびセリンを含み、以下同様である。第10番
目のアミノ酸プールは、1gのカザミノ酸を1Lの滅菌
水に溶解することにより調製した。アミノ酸プール1〜
10を200μlずつ別々に最小寒天培地(直径90m
mのシャーレに20mlの培地を含む)に添加し、アミ
ノ酸プレートを作製した。これらのプレートを一晩乾燥
後、使用した。
【0069】与えられた突然変異株の突然変異的欠損
は、多種のアミノ酸プールプレート上における成長パタ
ーンの検定により決定し得る。上記のようにアルギニン
合成経路に欠損のある変異株はアミノ酸プールプレート
5、9および10でのみ生育し、それ以外のアルギニン
が添加されていないプレート上では生育しなかった。さ
らに、上記で得られた変異株を同様の変異処理を行うこ
とによりロイシン合成経路上にも欠損が認められる変異
株(OJI−1078)が得られた。
【0070】実施例6.OCT活性欠損アラゲカワラタ
ケ(Coriolus hirsutus)突然変異株
の同定 上記実施例5で得られた二重栄養要求性突然変異株にお
けるアルギニン合成経路上の欠損遺伝子部位の同定は、
以下に示す5種類のプレート上での生育の有無を調べる
ことにより行なった。
【0071】(1) 最小寒天培地+150μg/ml
ロイシン+200μg/mlシトルリン (2) 最小寒天培地+150μg/mlロイシン+2
00μg/mlオルニチン (3) 最小寒天培地+150μg/mlロイシン+2
00μg/mlアルギニン (4) 最小寒天培地+150μg/mlロイシン (5) 最小寒天培地+0.2%カザミノ酸
【0072】上記5種のプレートに接種した変異株を2
8℃で少なくとも48時間培養した。その結果、得られ
た突然変異株は、プレート(1)、(3)および(5)
上では生育するが、プレート(2)、(4)では生育し
ないことが認められ、OCT活性が欠損していることが
判明した。なお、このOCT活性を欠損しているアラゲ
カワラタケ栄養要求性変異株OJI−1078は工業技
術院微生物工業技術研究所に微工研寄託菌寄第1267
7号(FERM P−12677)として寄託され、そ
してFERM BP−4210としてブダペスト条約に
基く国際寄託に移管された。
【0073】実施例7.アラゲカワラタケ(Corio
lus hirsutus)形質転換法 a.一核菌糸培養 直径6mm前後のガラスビーズを約30個入れた500m
l容の三角フラスコにSMY培地(シュークロース1
%、麦芽エキス1%、酵母エキス0.4%)100ml
を分注して滅菌後、アラゲカワラタケ(Coriolu
s hirsutus)OJI−1078の平板寒天培
地から直径5mmの寒天片をコルクボーラーで打ち抜きS
MY培地に植菌し、28℃で7日間静置培養した(前培
養)。
【0074】ただし、菌糸を細分化するために、1日に
1〜2回振り混ぜた。次に、1L容の三角フラスコにS
MY培地200mlを分注し、さらに攪拌子を入れ、滅
菌後、前培養菌糸をナイロンメッシュ(孔径30μm)
で濾集し、全量を植菌し、28℃で培養した。なお、ス
ターラーで1日2時間攪拌することにより菌糸を細分化
した。この培養を4日間行なった。もしくは、実施例6
で作製したアラゲカワラタケ栄養要求性一核菌糸体OJ
I−1078株から実施例5に示す方法で分裂子懸濁液
を作製し、10mMリン酸バッファー(pH7)に懸濁
した。
【0075】b.プロトプラストの調製 上記液体培養菌糸をナイロンメッシュ(孔径30μm)
で濾集し、浸透圧調節溶液(0.5M MgSO4 、5
0mMマレイン酸バッファー(pH 5.6))で洗浄
した。次に湿菌体100mgあたり1mlの細胞壁分解
酵素液に懸濁し、緩やかに振盪しながら28℃で4時間
インキュベートしてプロトプラストを遊離させた。細胞
壁溶解酵素として、次の市販酵素製剤を組み合わせて使
用した。即ち、セルラーゼ・オノズカ(cellula
se ONOZUKA RS)ヤクルト社製5mg、ノ
ボザイム234(Novozyme234)ノボ社製1
0mgを上記浸透圧調節溶液1mlに溶解して酵素液と
して用いた。
【0076】c.プロトプラストの精製 上記酵素反応液からナイロンメッシュ(孔径30μm)
で菌糸断片を除いた後、プロトプラストの回収を高める
ため、ナイロンメッシュ上に残存する菌糸断片とプロト
プラストを上記浸透圧調節溶液で1回洗浄した。得られ
たプロトプラスト懸濁液を遠心分離(1,000×g、
5分間)し、上清を除去し、4mlの1Mシュークロー
ス(20mM MOPS緩衝液、pH6.3)で再懸濁
後、遠心操作を繰り返し、上記1Mシュークロース溶液
で2回洗浄した。沈澱物に1Mソルビトール溶液(20
mM MES、pH6.4)に40mM塩化カルシウム
を加えた溶液500 μlに懸濁し、プロトプラスト溶液と
した。この溶液を4℃で保存した。
【0077】プロトプラスト濃度は血球計算盤を用いて
直接検鏡により求めた。全ての遠心操作はスウィングロ
ーターで1,000×g、5分間、室温下で行なった。
尚、分裂子からのプロトプラストの調製は、1mlの浸
透圧調節溶液あたり、未発芽の分裂子108 個を含む溶
液に対し、上記菌糸からのプロトプラスト調製法と同様
の方法で行ない、精製法ではナイロンメッシュの濾過操
作のみを省略した。両者のプロトプラスト再生率は5〜
15%の範囲であった。
【0078】d.形質転換 実施例4で作製したプラスミドpUCR1を制限酵素S
alIで切断し、アラゲカワラタケ由来OCT遺伝子部
分のみをアガロースゲル電気泳動法により取り出した。
106 個/100μl濃度のプロトプラスト溶液100
μlに対し、上記DNA断片2μgを添加し、30分間
氷冷した。つぎに、液量に対し2/3のPEG溶液(2
5% PEG3400、20mM MOPS(pH
6.4)を加え、30分間氷冷した。
【0079】つぎに、60分間室温で放置した後、0.
5Mシュークロースと150μg/mlのロイシンを含
む最小軟寒天培地(寒天1%)に混合してプレートに撒
いた。上記プレートを28℃で数日間培養を行ない、形
質転換体を得た。この時における形質転換効率は300
コロニー/μg形質転換DNAであった。なお、プラス
ミドベクターpUC18だけのDNA供与体を用いた対
照実験では形質転換体は全く得られなかった。
【0080】同様に、制限酵素で処理していない環状の
ハイブリッドDNApUCR1を用いた場合も上記と同
じ頻度で形質転換体が得られた。なお、プラスミドベク
ターpUC18だけのDNA供与体を用いた対照実験で
は形質転換体は全く得られなかった。
【0081】実施例8.リグニンパーオキシダーゼ発現
プラスミドの構築(1) 担子菌アラゲカワラタケ用のリグニンパーオキシダーゼ
発現プラスミドpPgHLC1はフェノールオキシダー
ゼ遺伝子のプロモーター領域(特開平3−15392;
微工研菌寄第10048号)の下流にリグニンパーオキ
シダーゼ染色体遺伝子(特願平4−60503;pBS
LPOG7;微工研菌寄第12683号)の構造遺伝子
領域を連結し、さらに下流にはフェノールオキシダーゼ
遺伝子のターミネーター領域を連結し発現プラスミドと
した。
【0082】具体的には、フェノールオキシダーゼ染色
体遺伝子HindIII断片5.5kbをExonuc
leaseIIIとMung bean nuclea
seを用いて、フェノールオキシダーゼコード領域を除
去し、T4DNAリガーゼにより連結を行ない2.0k
bのフェノールオキシダーゼプロモーター領域を含むプ
ラスミドpP1を得た(図2)。
【0083】他方、前記フェノールオキシダーゼ遺伝子
を含むプラスミドをBamHI及びSphIにより消化
し、ExonucleaseIII及びMung be
annucleaseで処理し、T4DNAリガーゼに
より連結し、さらにHindIIIにより消化し、Kl
enow fragment処理し、BamHIリンカ
ーと共に連結して、600bpのターミネーター領域を
含むプラスミドを得、このプラスミドを制限酵素Bam
HIとSacIで消化してターミネーター領域を含む6
00bpのDNA断片をアガロースゲル電気泳動法によ
り切り出し、これを前記プラスミドpP1のBamHI
−SacI部位に挿入することによりプラスミドpPC
1を得た(図2)。
【0084】一方、リグニンパーオキシダーゼ染色体遺
伝子(特願平4−60503)を大腸菌ベクターpBl
uescript SK+ のBamHIサイトとEco
RIサイト間にサブクローニングした組換え体DNAで
あるpBSLPOG7を上記と同様にExonucle
aseIIIとMung bean nuclease
で処理し、今回はリグニンパーオキシダーゼのプロモー
ター領域だけを除去し、SalIリンカーを連結した
後、制限酵素SalIで処理し、アガロースゲル電気泳
動法により1.8kbのリグニンパーオキシダーゼ構造
遺伝子部分だけを含むDNA断片を得た。
【0085】最後に、プロモーター領域とターミネータ
ー領域を含むプラスミド(pPC1)を制限酵素Sal
Iで切断後、T4DNAリガーゼを用い、上記1.8k
bのリグニンパーオキシダーゼ構造遺伝子部分を挿入し
たのち、これを用いて大腸菌JM109株の形質転換を
行ない、アンピシリン耐性の形質転換株からプラスミド
を単離し、これをpPgHLC1と命名した(図3)。
【0086】実施例9.リグニンパーオキシダーゼ発現
プラスミドの構築(2) リグニンパーオキシダーゼcDNA遺伝子(特願平4−
60503)を大腸菌ベクターpBluescript
SK+のBamHIサイトにサブクローニングした組
換え体DNAであるpBSLPOC7(微工研菌寄第1
2680号)を制限酵素NcoIで切断後、Mung
bean nucleaseで処理し、平滑化した後、
BamHIリンカーをT4DNAリガーゼを用いて連結
する。さらに、制限酵素BamHIで切断後、アガロー
スゲル電気泳動法により1.3kbのリグニンパーオキ
シダーゼcDNA遺伝子断片を得た。
【0087】一方、実施例8で用いたプラスミドpPC
1を制限酵素BamHIで切断後、上記1.3kbのリ
グニンパーオキシダーゼcDNA遺伝子断片を挿入した
後、これを用いて大腸菌JM109株形質転換を行な
い、アンピシリン耐性の形質転換株からプラスミドを単
離し、これをpPcHLC1と命名した(図4)。
【0088】実施例10.リグニンパーオキシダーゼ発
現プラスミドの構築(3) フェノールオキシダーゼ染色体遺伝子(特開平3−15
392;微工研菌寄第10048号)HindIII断
片5.5kbをファージベクターM13mp19のHi
ndIIIサイトにT4DNAリガーゼを用いて連結
し、これを大腸菌JM109株に形質転換し、一本鎖フ
ァージDNAを調製した。次に、21個のシグナルペプ
チドをコードしている遺伝子の相補鎖(図5断片1に示
す)を合成DNA機で化学合成し、上記一本鎖ファージ
DNAにアニーリングを行ない、プライマー伸長法によ
りフェノールオキシダーゼのプロモーターおよびシグナ
ルペプチド領域だけを合成し、制限酵素HindIII
で切断することにより2.1kbのDNA断片を調製し
た(断片1)。
【0089】一方、リグニンパーオキシダーゼの成熟型
酵素をコードしている遺伝子領域を取り出すため、プラ
スミドpBSLPOG7(特願平4−60503;微工
研菌寄第12683号)を基礎とし、図5の断片2に示
すプライマーを用いて上記と同様のプライマー伸長法に
よりDNAを合成し、制限酵素SalIで切断し、リグ
ニンパーオキシダーゼのシグナルペプチドコード領域お
よびプロ領域を除去した1.7kbのDNA断片を得た
(断片2)。
【0090】大腸菌ベクターpUC18を制限酵素Hi
ndIIIとSalIで切断し、上記2種類のDNA断
片を混合して、T4DNAリガーゼで連結したのち、大
腸菌JM109株の形質転換を行ない、アンピシリン耐
性の形質転換株の中から2種類のDNA断片が同時に挿
入されているプラスミドを単離し、これをpPSgHL
1と命名した(図5)。
【0091】実施例11.リグニンパーオキシダーゼ発
現プラスミドの構築(4) リグニンパーオキシダーゼのプロ型酵素をコードしてい
る遺伝子領域を取り出すため、実施例10と同様に、プ
ラスミドpBSLPOG7(微工研菌寄第12683
号;特願平4−60503)を基礎とし図6の断片3に
示すプライマーを用いてプライマー伸長法によりDNA
を合成し、制限酵素SalIで切断し、リグニンパーオ
キシダーゼのシグナルペプチド領域のみを除去した1.
7kbのDNA断片を得た(断片3)。
【0092】大腸菌ベクターpUC18を上記と同様に
制限酵素で切断し、上記の(断片1)と(断片3)を混
合して、連結を行ない、2種類のDNA断片が同時に挿
入されているプラスミドを単離し、これをpBSpro
HLと命名した(図6)。
【0093】実施例12.リグニンパーオキシダーゼ発
現プラスミドの構築(5) 担子菌アラゲカワラタケ用のリグニンパーオキシダーゼ
発現プラスミドpRPgHL1はOCT遺伝子のプロモ
ーター領域の下流にリグニンパーオキシダーゼ遺伝子の
構造遺伝子領域を連結し、作製した発現プラスミドであ
る。具体的には実施例10と同様にOCT染色体遺伝子
を含むプラスミドpUCR1を基礎とし図7の断片4に
示すプライマーを用いてプライマー伸長法によりDNA
を合成し、制限酵素EcoRIで切断し、OCT染色体
遺伝子のプロモーター領域のみを取り出した0.6kb
のDNA断片を得た(断片4)。
【0094】またリグニンパーオキシダーゼ構造遺伝子
部分の取り出しはプラスミドpBSLPOG7を基礎と
し図6の断片5に示すプライマーを用いて上記DNA断
片と同様にDNA断片を作製し、制限酵素HindII
Iで切断することによりリグニンパーオキシダーゼ構造
遺伝子部分のみからなる1.7kbpのDNA断片を得
た(断片5)。
【0095】さらに、大腸菌ベクターpUC19を制限
酵素EcoRIとHindIIIで切断し、上記2種類
のDNA断片を混合して、T4DNAリガーゼで連結し
たのち、大腸菌JM109株の形質転換を行ない、アン
ピシリン耐性の形質転換株の中から2種類のDNA断片
が同時に挿入されているプラスミド単離し、これをpR
PgHL1と命名した(図7)。
【0096】実施例13.リグニンパーオキシダーゼ発
現プラスミドの構築(6) マーカー遺伝子を含むプラスミドpUCR1を制限酵素
EcoRIで処理し、次にklenow fragme
ntで突出部分を埋め、平滑末端とした。さらに8me
rのHindIIIリンカーを付与し、新規にHind
IIIサイトを作出した。さらに、制限酵素SalIで
処理し、上記と同様に突出部分を埋め、ハイブリッドD
NAを自己連結することにより、SalIサイトを欠損
させた。
【0097】次に、上記ハイブリッドDNAを制限酵素
HindIIIで処理し、アガロースゲル電気泳動法に
より4.2kbのOCT染色体遺伝子部分を含むDNA
断片を得(図8)、実施例8で作製したプラスミドpP
C1のHindIIIサイトへ挿入したハイブリッドD
NApRPC1を得た(図9)。さらに、ハイブリッド
DNApRPC1を制限酵素SalIで処理し、実施例
8で作製した1.8kbのリグニンパーオキシダーゼ構
造遺伝子部分だけを含むDNA断片を挿入し、リグニン
パーオキシダーゼ発現プラスミドpRPgHLC1を得
た(図10)。
【0098】実施例14.リグニンパーオキシダーゼを
分泌生産するアラゲカワラタケ形質転換体の作製 実施例8で得たpPgHLC1、実施例9で得たpPc
HLC1、実施例10で得たpPSgHL1、実施例1
1で得たpPSproHL1および実施例12で得たp
RPgHL1を用いてアルギニン要求性アラゲカワラタ
ケ(OJI−1078)を形質転換する場合、選択マー
カーとしてアラゲカワラタケ由来のOCT遺伝子を保持
するプラスミド(pUCR1)を同時に導入すること
(PEG法、もしくはエレクトロポーレーション法な
ど)により形質転換体pPgHLC1/OJI−107
8、pPcHLC1/OJI−1078、pPSgHL
1/OJI−1078、pPSproHL1/OJI−
1078、およびpRPgHL1/OJI−1078を
得た。
【0099】さらに、実施例13で得たpRPgHLC
1だけを用いてアルギニン要求性アラゲカワラタケ(O
JI−1078)を形質転換する場合も上記と同様にP
EG法、もしくはエレクトロポーレーション法などによ
り目的遺伝子を導入して、形質転換体pRPgHLC1
/OJI−1078を得た。ここで、形質転換に供与す
るDNAは環状、もしくは直鎖状にかかわらず目的とす
る形質転換体を得ることができた。以下に形質転換条件
を記す。
【0100】約107 個/100μl濃度のプロトプラ
スト溶液100μlに対し実施例8、実施例9、実施例
10、実施例11及び実施例12で作製したプラスミド
2μgを環状、もしくは直鎖状で添加し、さらに選択マ
ーカーとしてpUCR1を0.2μg添加し、30分間
氷冷した。同様に実施例13で作製したプラスミドだけ
を2μg添加し、30分管氷冷した。
【0101】次に、等量のPEG溶液(50%PEG3
400、20mM MOPS(pH6.4))を加え、
30分間氷冷した。0.5Mシュークロースを含む実施
例1記載の合成軟寒天培地(寒天1%)に混合してプレ
ートに撒いた。上記プレートを28℃で4日間培養を行
ない、形質転換体を得た。さらに上記形質転換株からD
NAを調製し、目的とするリグニンパーオキシダーゼ発
現プラスミドが組み込まれていることをサザンハイブリ
ダイゼーションにより確認した。
【0102】実施例15.形質転換株の培養およびリグ
ニンパーオキシダーゼの活性測定 上記実施例14で得られた形質転換体5株(pPgHL
C1/OJI−1078、pPcHLC1/OJI−1
078、pPSgHL1/OJI−1078、pPSp
roHL1/OJI−1078及びpRPgHLC1/
OJI−1078)を500ml容の三角フラスコに1
00mlのグルコースペプトン液体培地(グルコース2
0g/L、ペプトン5g/L、酵母エキス2g/L、K
2 PO 4 1g/L、MgSO4 ・7H2 O 0.5g
/L、リン酸でpH4.5に調製)に接種し、28℃で
10日間、振盪下で培養した。得られる培養液を遠心分
離し、その上清を得た。
【0103】また、形質転換体(pRPgHL1/OJ
I−1078)は実施例1で用いた合成培地100ml
に接種し、28℃で10日間、振盪下で培養した。得ら
れる培養液を遠心分離し、その上清を得た。活性測定法
は8mMベラトリルアルコール50μl、0.5M酒石
酸ナトリウム緩衝液(pH3.0)200μl、酵素液
700μlおよび5.4mM過酸化水素50μlを充分
に混合し、反応の結果生じるベラトルアルデヒドの31
0nmの吸光度を時間を追って記録することにより行な
い、上記培養上清中にベラトリルアルコールをベラトル
アルデヒドへ変換する酵素活性が20〜80ユニット/
mlの範囲で認められた。ここで酵素活性単位は1分間
にベラトルアルデヒド1μmol増加させる活性を1ユ
ニットとした。一方、同条件下で培養した供与DNAを
含まないOJI−1078株の培養上清には本活性は認
められなかった。
【0104】実施例16.フェノールオキシダーゼ発現
プラスミドの構築 アラゲカワラタケ由来OCT遺伝子に相当するDNA断
片はコーディング領域の開始コドンATG上流に約2k
bpのDNA断片が存在し、プロモーター領域を含むこ
とより、このOCT遺伝子の制御領域の下流にフェノー
ルオキシダーゼの構造遺伝子(シグナルペプチドコード
領域と成熟型酵素コード領域から成る)を連結し、アラ
ゲカワラタケOJI−1078株に導入することによる
フェノールオキシダーゼの生産性向上を試みた。
【0105】具体的には実施例10と同様にOCT遺伝
子SalI断片5.5kbをファージベクターM13m
p19のSalIサイトにT4DNAリガーゼを用いて
連結し、図7の断片4に示すプライマーを用いてプライ
マー伸長法によりDNAを合成し、制限酵素EcoRI
で切断し、OCT染色体遺伝子のプロモーター領域のみ
を取り出した0.6kbのDNA断片を得た(断片
4)。
【0106】一方、フェノールオキシダーゼ染色体遺伝
子を含むプラスミドを制限酵素EcoRIで切断し、フ
ァージベクターM13mp19のEcoRIサイトに挿
入し、図11の断片5に示すプライマーを用いてプライ
マー伸長法によりDNAを合成し、制限酵素EcoRI
で切断することによりフェノールオキシダーゼ構造遺伝
子部分のみを含む4.2kbのDNA断片を得た(断片
6)。
【0107】大腸菌ベクターpUC18を制限酵素Ec
oRIで切断し、上記2種類のDNA断片を混合して、
T4DNAリガーゼで連結したのち、大腸菌JM109
株の形質転換を行ない、アンピシリン耐性の形質転換株
の中から2種類のDNA断片が同時に挿入されているプ
ラスミドを単離し、これをpRPgPO1と命名した
(図11)。
【0108】実施例17.フェノールオキシダーゼ発現
プラスミドによるアラゲカワラタケの形質転換体の作製 上記プラスミドpRPPOM1を用いて、実施例14に
記載の方法でアラゲカワラタケOJI−1078株を形
質転換し、形質転換体pRcPO1/OJI−1078
を得た。またフェノールオキシダーゼ染色体遺伝子(特
開平3−15392;微工研菌寄第10048号)を導
入することによる遺伝子量効果を期待する形質転換体p
PO1/OJI−1078を得た。
【0109】実施例18.フェノールオキシダーゼの分
泌生産および活性測定 実施例17.で得られた形質転換体アラゲカワラタケp
RPPOM1/OJI−1078を実施例1記載の合成
培地100mlに接種し、実施例14に記載の方法と同
様に28℃で20日間振盪下で培養を行なった。得られ
る培養液を遠心分離し、その上清を得た。また、pPO
1/OJI−1078を前述のグルコースペプトン培地
を用い、上記と同条件で培養を行なった。上記のように
して得られた培養上清中にフェノールオキシダーゼ活性
が、それぞれのコントロールとなる供与DNAを含まな
いOJI−1078株に比べ20〜50%増加している
ことが認められた。
【0110】実施例19.ルシフェラーゼ発現プラスミ
ドの構築 市販のルシフェラーゼ遺伝子を含むプラスミド(ピッカ
ジーン)(東洋インキ製造(株))、エンハンサーベク
ターをBamHI及びBglIIで消化し、アガロース
ゲル電気泳動法によりルシフェラーゼ構造遺伝子を含む
約3kbのDNA断片を切り出し、実施例8記載のプラ
スミドpPC1のBamHIサイトに挿入し、目的とす
るルシフェラーゼ発現プラスミドpPLUCC1を構築
した(図12)。
【0111】実施例20.ルシフェラーゼ発現プラスミ
ドによるアラゲカワラタケの形質転換体の作製及び活性
測定 実施例19で得たpPLUCC1を用いて、実施例14
記載の方法でアラゲカワラタケOJI−1078株を形
質転換し、形質転換体pPLUCC1/OJI−107
8を得た。得られた形質転換体pPLUCC1/OJI
−1078を実施例1記載のグルコース・ペプトン培地
100mlに接種し、実施例14記載の方法と同様に2
8℃で7日間振盪培養を行なった。培養終了後、遠心分
離により菌体を集菌し、数回滅菌水で洗浄した。
【0112】得られた菌体を液体窒素下で凍結し、乳鉢
ですりつぶし、細胞破砕物を30ml容コーニング製遠
心チューブに加え、細胞溶解剤(25mMトリス・リン
酸pH7.8、2mMDTT、2mM1,2−diam
inocyclohexane−N,N,N’,N’−
tetraacetic acids、10%グリセロ
ール、1%トリトンX−100)に懸濁し、室温で10
〜15分間放置した。放置後、遠心操作(約5秒間)に
より菌体を除去し、その上清20μlと添付の発光基質
液100μlを室温にて混和したところ、暗所にて発光
が認められた。
【0113】
【発明の効果】本発明は、これまで遺伝子組換え技術に
よる酵素生産が困難とされていた酵素タンパク質を、活
性のある形で生産するための新規な形質転換系を提供す
るものである。また、これまでにクローニングされた担
子菌由来の種々の染色体遺伝子には、多数のイントロン
が存在していることが報告されている。従って、イント
ロンを含む他の生物種由来の染色体遺伝子をアラゲカワ
ラタケで発現させるための形質転換系を提供するもので
ある。
【0114】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:375 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 起源: 生物名:アラゲカワラタケ(Coriolus hirsutus) 株名:IFO4917 配列の特徴 1-375 P mat peptide 配列: Met Ala Leu Ser Thr Lys Val Pro His Leu Met Thr Leu Ala Asp 5 10 15 Leu Thr Pro Gly Gln Ile Gln Arg Ile Ile Thr His Ser Tyr His 20 25 30 Leu Lys Arg Thr Ala Gln Pro Trp Leu Ala Pro Gln Gly Arg Ala 35 40 45 Gly Ser Gly Gly Lys Tyr Ser Asn Ala Pro His Lys Leu Arg Met 50 55 60 Pro Ser Gln Ser Leu Phe Ser Lys Ser Ile Ala Leu Leu Phe Ser 65 70 75 Lys Arg Ser Thr Arg Thr Arg Leu Ser Ala Glu Thr Ala Ala Leu 80 85 90 Leu Leu Gly Gly Gln Ala Leu Phe Leu Gly Arg Glu Asp Ile Gln 95 100 105 Leu Gly Val Asn Glu Thr Val Pro Asp Ser Ala Arg Val Ile Gly 110 115 120 Gly Met Cys Gln Gly Ile Phe Ala Arg Val Gly Asp His Ser Glu 125 130 135 Ile Glu Glu Leu Ala Arg Tyr Ser Pro Val Pro Val Leu Asn Ala 140 145 150 Leu Ser Ser Leu Trp His Pro Thr Gln Val Leu Ala Asp Ile Leu 155 160 165 Thr Leu His Glu His Ala Ala Leu Phe Asp Pro Ala Ser Ala Ser 170 175 180 Pro Thr Pro Ser Ala Ala Asp Ala Phe Ser Gln Lys Tyr Thr Lys 185 190 195 Leu Gly Glu Val Gly Pro Leu Thr Val Ala Tyr Val Gly Asp Ser 200 205 210 Ala Asn Val Leu His Asp Met Leu Val Thr Tyr Pro Arg Leu Gly 215 220 225 His Gln Leu Ala Val Ala Ser Pro Glu Asn Asp Lys Tyr Arg Ala 230 235 240 Pro Lys Ala Val Trp Asp Arg Val Val Glu Leu Gly Cys Asp Lys 245 250 255 Asn Ile Phe Trp Thr Ala Asp Pro Arg Ala Ala Val Lys Gly Ala 260 265 270 Asp Leu Val Val Thr Asp Thr Trp Ile Ser Met Gly Gln Glu Ala 275 280 285 Glu Lys Ala Gln Arg Leu Lys Asp Phe Ala Gly Tyr Gln Val Thr 290 295 300 Glu Ala Leu Cys Arg Glu Gly Gly Ala Asn Pro Asp Trp Lys Phe 305 310 315 Met His Cys Leu Pro Arg Lys Gln Asp Glu Val Asp Asp Glu Val 320 325 330 Phe Tyr Gly Pro Arg Ser Leu Val Phe Gln Glu Ser Asp Asn Arg 335 340 345 Lys Trp Thr Ile Met Ala Leu Phe Asp Leu Leu Phe Gly Lys Trp 350 355 360 Ser Leu Leu Ala Arg Asn Gly Glu Gly Ala Asp Ala Gly Ser Glu 365 370 375
【0115】配列番号:2 配列の長さ:375 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 起源: 生物名:アラゲカワラタケ(Coriolus hirsutus) 株名:IFO4917 配列の特徴 1-375 P mat peptide 配列: Met Ala Leu Ser Thr Lys Val Pro His Leu Met Thr Leu Ala Asp 5 10 15 Leu Thr Pro Gly Gln Ile Gln Arg Ile Ile Thr His Ser Tyr His 20 25 30 Leu Lys Arg Thr Ala Gln Pro Trp Leu Ala Pro Gln Gly Arg Ala 35 40 45 Gly Ser Gly Gly Lys Tyr Ser Asn Ala Pro His Lys Leu Arg Met 50 55 60 Pro Ser Gln Ser Leu Phe Ser Lys Ser Ile Ala Leu Leu Phe Ser 65 70 75 Lys Arg Ser Thr Arg Thr Arg Leu Ser Ala Glu Thr Ala Ala Leu 80 85 90 Leu Leu Gly Gly Gln Ala Leu Phe Leu Gly Arg Glu Asp Ile Gln 95 100 105 Leu Gly Val Asn Glu Thr Val Pro Asp Ser Ala Arg Val Ile Gly 110 115 120 Gly Met Cys Gln Gly Ile Phe Ala Arg Val Gly Asp His Ser Glu 125 130 135 Ile Glu Glu Leu Ala Arg Tyr Ser Pro Val Pro Val Leu Asn Ala 140 145 150 Leu Ser Se Leu Trp His Pro Thr Gln Val Leu Ala Asp Ile Leu 155 160 165 Thr Leu His Glu His Ala Ala Leu Phe Asp Pro Ala Ser Ala Ser 170 175 180 Pro Thr PrO Ser Ala Ala Asp Ala Phe Ser Gln Lys Tyr Thr Lys 185 190 195 Leu Gly Glu Val Gly Pro Leu Thr Val Ala Tyr Val Gly Asp Ser 200 205 210 Ala Asn Val Leu His Asp Met Leu Val Thr Tyr Pro Arg Leu Gly 215 220 225 His Gln Leu Ala Val Ala Ser Pro Glu Asn Asp Arg Tyr Arg Ala 230 235 240 Pro Lys Ala Val Trp Asp Arg Val Val Glu Leu Gly Cys Asp Lys 245 250 255 Asn Ile Phe Trp Thr Ala Asp Pro Arg Ala Ala Val Lys Gly Ala 260 265 270 Asp Leu Val Val Thr Asp Thr Trp Ile Ser Met Gly Gln Glu Ala 275 280 285 Glu Lys Ala Gln Arg Leu Lys Asp Phe Ala Gly Tyr Gln Val Thr 290 295 300 Glu Ala Leu Cys Arg Glu Gly Gly Ala Asn Pro Asp Trp Lys Phe 305 310 315 Met His Cys Leu Pro Arg Lys Gln Asp Glu Val Asp Asp Glu Val 320 325 330 Phe Tyr Gly Pro Arg Ser Leu Val Phe Gln Glu Ser Asp Asn Arg 335 340 345 Lys Trp Thr Ile Met Ala Leu Phe Asp Leu Leu Phe Gly Lys Trp 350 355 360 Ser Leu Leu Ala Arg Asn Gly Glu Gly Ala Asp Ala Gly Ser Glu 365 370 375
【0116】配列番号:3 配列の長さ:1280 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA 起源 生物名:アラゲカワラタケ (Coriolus hirsutus) 株名:IFO4917 配列の特徴 78-1202 P CDS 配列: GCACAGAGCG ACAGCCTGAC TCGTCCCGCG CGCCTCCCAA CCGGCCAGTC 50 GTCCTCTCAT CCGCTCCTTG ACCCGCCATG GCGCTCTCGA CGAAAGTGCC 100 GCACCTGATG ACGCTCGCGG ACCTGACCCC GGGCCAGATC CAGCGCATCA 150 TCACGCACTC CTACCACCTC AAGCGCACCG CCCAGCCCTG GCTCGCGCCC 200 CAGGGGCGCG CAGGCAGCGG CGGCAAGTAC AGCAACGCCC CGCACAAGCT 250 GCGCATGCCG TCGCAGTCGC TGTTCAGCAA GTCCATCGCC CTCCTGTTTT 300 CAAAGCGGAG CACGCGCACG CGGCTCTCCG CCGAGACCGC CGCCCTCCTC 350 CTCGGCGGGC AGGCGCTCTT CCTCGGGCGG GAGGACATCC AGCTCGGCGT 400 GAACGAGACC GTGCCCGACT CGGCGCGGGT CATCGGCGGG ATGTGCCAGG 450 GCATCTTCGC GCGGGTGGGG GACCATTCCG AGATCGAGGA ACTCGCCCGG 500 TACTCGCCCG TGCCGGTGCT CAACGCGCTC TCCTCGCTCT GGCACCCGAC 550 GCAGGTGCTC GCGGACATCC TCACGCTGCA CGAGCACGCC GCGCTCTTCG 600 ACCCGGCCTC CGCGAGCCCC ACGCCCTCCG CCGCGGACGC GTTCTCGCAA 650 AAGTACACCA AGCTCGGCGA GGTGCGCCCG CTCACGGTCG CGTACGTCGG 700 CGACAGCGCG AACGTCCTGC ACGACATGCT CGTCACGTAC CCGCGCCTCG 750 GCCACCAGCT GCGCGTCGCG AGCCCCGAGA ACGACAAGTA CCGCGCGCCG 800 AAGGCGGTGT GGGACCGCGT CGTCGAGCTC GGCTGCGATA AGAACATCTT 850 CTGGACGGCG GACCCGCGGG CGGCGGTGAA GGGCGCCGAT TTGGTCGTTA 900 CTGACACCTG GATCTCGATG GGCCAAGAGG CCGAGAAGGC ACAGCGACTG 950 AAAGACTTTG CAGGCTACCA AGTGACGGAG GCGCTGTGCC GGGAAGGCGG 1000 GGCCAACCCG GACTGGAAGT TTATGCATTG TCTTCCTCGG AAGCAGGACG 1050 AGGTGGACGA CGAGGTGTTC TACGGGCCGC GATCGCTGGT GTTCCAGGAG 1100 TCGGACAACC GGAAGTGGAC GATCATGGCG TTGTTCGACC TTCTCTTTGG 1150 AAAATGGTCG CTGCTCGCGC GGAACGGGGA GGGCGCAGAT GCGGGGTCGG 1200 AGTAGACACA GATAGCGTAG ACGGAGTAAT GCTGGCACAA CGAACGTCTG 1250 TCCGTGCGGG GTAAAAAAAA AAAAAAAAAA 1280
【0117】配列番号:4 配列の長さ:2540 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:genomic DNA 起源 生物名:アラゲカワラタケ(Coriolus hirsutus) 株名:IFO4917 配列の特徴 653-2340 P CDS 1064-1116 intron 1539-1928 intron 2083-2140 intron 2215-2276 intron 配列: GAATTCTGAA GCTCTCCGGC AGCCGTTCGT GTGCAAACGT GAAGGTCGTC 50 ATCGAGCCCT CCGTCTCCAA CTTCCGTGCC TCAGCGCGCG TCGTCGGCAA 100 CTTCCCGTCA TGCTTGAACC CCTCCTTCCC AAGCTCGACC GCAAGCCACC 150 GCGGGAAATG GAAGCGAAAG ATAGCGTCGG GACGCGCTAT CTCGGGGGCC 200 GGGCGCGACG GCGGGCGATG CGAGATGTAG AGGCGCTGCC AGCGCGCGAC 250 GATCAAAATC TGGGTGACGC GTTTCGGCGC TTAATGTGAC CCGTGACATC 300 ACGCGTTTCC ATACTTTTAG CGCCCACTAG TAGTATAACA TCTGGAGATA 350 AACCTCCAAT TGTATAACAT GCCCCGACTT CAGCTGGGCA GACCCCATGG 400 CATGTGAACA ATATATGATA CAGTATATAC TGTGCTACAC AATGGCACCA 450 TCGGCCTGCC AGGCTATATC CCTCATGTCT AGGGGCCAAT CCGGCGCCAG 500 TTCCATACCG TTGGCGCCCG CGAGCATCCG GGTGACAAGG TGTGTAGGCG 550 CCCGAGACTC CTCTACCAGC GACGGCACAG AGCGACAGCC TGACTCGTCC 600 CGCACGACTC TCAACCGCGC CAGTCGTCCT CTCATCCGCT CCTTGACCCG 650 CCATGGCGCT CTCGACGAAA GTGCCGCACC TGATGACGCT CGCGGACCTG 700 ACCCCGGGCC AGATCCAGCG CATCATCACG CACTCCTACC ACCTCAAGCG 750 CACCGCCCAG CCCTGGCTCG CGCCCCAGGG GCGCGCAGGC AGCGGCGGCA 800 AGTACAGCAA CGCCCCGCAC AAGCTGCGCA TGCCGTCGCA GTCGCTCTTC 850 AGCAAGTCCA TCGCCCTCCT GTTTTCGAAG CGGAGCACGC GCACGCGGCT 900 CTCCGCCGAG ACCGCCGCCC TCCTCCTCGG CGGGCAGGCG CTCTTCCTCG 950 GGCGGGAGGA CATCCAGCTC GGCGTGAACG AGACCGTGCC GGACTCGGCG 1000 CGCGTCATCG GCGGGATGTG CCAGGGCATC TTCGCGCGCG TGGGGGACCA 1050 TTCGGAGATC GAGGTGCGTC TTTACAGCCG TGCCGTCCAC GCTCGTCACG 1100 CTCACCCATC CCCCAGGAAC TCGCCCGGTA CTCGCCCGTG CCCGTGCTCA 1150 ACGCGCTCTC CTCGCTCTGG CACCCGACGC AGGTGCTCGC GGACATCCTC 1200 ACGCTGCACG AGCACGCCGC GCTCTTCGAC CCGGCCTCCG CGAGCCCCAC 1250 GCCCTCCGCC GCCGACGCGT TCTCGCAAAA GTACACCAAG CTCGGCGAGG 1300 TGCGCCCGCT CACGGTCGCG TACGTCGGCG ACAGCGCGAA CGTGCTGCAC 1350 GACATGCTCG TCACGTACCC GCGCCTCGGC CACCAGCTGC GCGTCGCGAG 1400 CCCCGAGAAC GATAGGTACC GCGCGCCCAA GGCGGTGTGG GACCGCGTCG 1450 TCGAGCTCGG CTGCGATAAG AACATCTTCT GGACGGCGGA CCCGCGGGCG 1500 GCGGTGAAGG GCGCGGACTT GGTCGTCACT GACACCTGGT GAGTCCCCCT 1550 ATACCCTGAG TGGTGGTGAA GTGCAGGATC GCTGCGAACG TATCCGGCGC 1600 GCAAGACCTT TCTCATACGC TGCAGCTGCG TTCACGAATG CACAAACGAT 1650 GGTCAACCAC GGGCATACAA CGCTGGTGTC CGCGTAGACG CCGTCGATGG 1700 AGAGGCTCCG TCTGATATCG CGTACGGAGT GTTTACTAGC CGTAATCTTC 1750 CGGTCGCCCA ACTGTCGGAG AGCGATCTCT GCTTATGGTC GCGCACAACC 1800 TTCAAGTTCG GTCCGACAAC AGAGCTTCGG GTTGCGATTA GATTTGCCCG 1850 ACAGCATGGG CCTCTTCCGC ATCTGTTACC CTGGCGATCC ACGAACGTGT 1900 ACACAGAATA CTGACAGCTG AGTTACAGGA TCTCGATGGG CCAAGAGGCC 1950 GAGAAGGCGC AGCGACTGAA AGACTTTGCA GGGTACCAAG TGACGGAGGC 2000 GCTGTGCCGG GAAGGCGGGG CGAACCCGGA TTGGAAGTTC ATGCATTGTC 2050 TTCCTCGGAA GCAGGACGAG GTGGACGACG AGGTTCGTCG TGCGTCGATC 2100 CCGAGAATTG AGATAGGCTG ACGGGGCCGC ATCGCGACAG GTGTTCTACG 2150 GGCCGCGGTC GCTGGTGTTC CAGGAGTCGG ACAACCGGAA GTGGACGATC 2200 ATGGCGTTGT TCGAGTGCGT TCTCGCGTTA GTTGTGCTGA TACGCCCGAT 2250 GTAGGAGTGC TGATCACGTT CTGCAGCCTT CTCTTTGGAA AGTGGTCGCT 2300 GCTCGCGCGG AACGGGGAGG GCGCAGATGC GGGGTCGGAG TAGACACAGA 2350 TAGCGTAGAC GGAGTAATGC TGGCACAACG ATCGTCTGTC CGTGCGGGGT 2400 ATGTTGCGCG TGAATGTTCC TGGAGACTTG CCTGGAATGG ACAAGATTGG 2450 CCACGTGCCG CGCATGACGT CTGCCAGTCC GGGGTAGCGC CCAGCCCGGC 2500 CGAGCTCTGT TCTCCTCCTC CTCCCCTTCT TCCCTCTCTT 2540
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、アルギニン要求性アラゲカワラタケ変
異株への形質転換に使用されるプラスミドpUCR1で
ある。
【図2】図2は、実施例8に示した発現ベクターpPC
1の構築図を示す。
【図3】図3は、実施例8に示したリグニンパーオキシ
ダーゼ発現プラスミドpPgHLC1の構築図を示す。
【図4】図4は、実施例9に示したリグニンパーオキシ
ダーゼ発現プラスミドpPcHLC1の構築図を示す。
【図5】図5は、実施例10に示したリグニンパーオキ
シダーゼ発現プラスミドpPSgHL1の構築図を示
す。
【図6】図6は、実施例11に示したリグニンパーオキ
シダーゼ発現プラスミドpPSproHL1の構築図を
示す。
【図7】図7は、実施例12に示したリグニンパーオキ
シダーゼ発現プラスミドpRPgHL1の構築図を示
す。
【図8】図8は、実施例13に示したオルニチンカルバ
モイルトランスフェラーゼ遺伝子断片の作製方法を示
す。
【図9】図9は、実施例13に示したプラスミドpRP
C1の構築図を示す。
【図10】図10は、実施例14に示したリグニンパー
オキシダーゼ発現プラスミドpRPgHLC1の構築図
を示す。
【図11】図11は、実施例15に示したフェノールオ
キシダーゼ発現プラスミドpRPcPO1の構築図を示
す。
【図12】図12は、実施例19に示したルシフェラー
ゼ発現プラスミドpPLUCC1の構築図を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C12R 1:645) (C12N 9/02 C12R 1:645) (C12N 9/10 C12R 1:645) (C12N 15/09 ZNA C12R 1:645) (56)参考文献 Mol.Gen.Genet. (1986),204,p.349−354 Gene(1987),60,p.255−266 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) BIOSIS(DIALOG) EUROPAT(QUESTEL) WPI(DIALOG) SwissProt/PIR/GeneS eq GenBank/EMBL/DDBJ/G eneSeq PubMed

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号:1又は2に示すアミノ酸配列
    を有するアラゲカワラタケのオルニチンカルバモイルト
    ランスフェラーゼ(OCT)をコードする構造遺伝子。
  2. 【請求項2】 配列番号:4に示す塩基配列を有する
    CTをコードする構造遺伝子及び該構造遺伝子の発現を
    制御する配列を含んで成るOCT遺伝子。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載の遺伝子を
    含んで成る環状又は直鎖状DNA。
  4. 【請求項4】 請求項1又は請求項2に記載の遺伝子、
    コリオラス属担子菌において機能する発現制御配列、及
    び該発現制御配列の制御下にある目的蛋白質をコードす
    る遺伝子を含んで成る環状又は直鎖状DNA。
  5. 【請求項5】 コリオラス・ヒルスタス(Coriolus hir
    sutus)種に属し、OCT発現能を欠損している担子菌。
  6. 【請求項6】 請求項3又は4に記載のDNAと請求項
    5に記載の担子菌とからなる宿主−ベクター系。
  7. 【請求項7】 請求項5に記載の担子菌を、請求項3に
    記載のDNAと、コリオラス属担子菌において機能する
    発現制御配列及び該発現制御配列の制御下にある目的蛋
    白質をコードする遺伝子を含んで成る環状又は直鎖状D
    NAとにより同時形質転換することを特徴とする、目的
    蛋白質を生産することができるコリオラス属担子菌の製
    造方法。
  8. 【請求項8】 請求項5に記載の担子菌を、請求項4に
    記載のDNAにより形質転換することを特徴とする、目
    的蛋白質を生産することができるコリオラス属担子菌の
    製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項7又は8に記載の方法により得ら
    れるコリオラス属担子菌形質転換体。
  10. 【請求項10】 請求項9記載のコリオラス属担子菌形
    質転換体を培養し、その培養物から目的蛋白質を採取す
    ることを特徴とする蛋白質の製造方法。
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