JP3395309B2 - 耐寒性材料 - Google Patents
耐寒性材料Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリ塩化ビニル系樹脂
(以下、PVCという)、コア−シェル型のラテックス
ゴム及び可塑剤を含むPVC組成物からなり、圧縮永久
歪や材料強度に優れ、耐寒性及び耐熱性の良好な耐寒性
ゴム成形品材料に関するものである。 【0002】 【従来の技術】PVCにDOP(フタル酸ジ−2−エチ
ルヘキシル)に代表される可塑剤を適当量配合させると
柔軟性、弾力性に優れるゴム状成形品を得ることがで
き、各種ホース・チューブ、シーリング材、パッド、ブ
ーツ等に広く使用されている。しかしながら、この組成
物では圧縮永久歪等のゴム弾性的性質は充分とはいえ
ず、かつまた自動車関係のゴム成形材料に用いる場合は
使用温度において弾性率変化が少なく耐熱性及び耐寒性
の改良されたゴム成形品が要求されている。 【0003】また一般に、PVCと相溶性の良い架橋あ
るいは部分架橋NBR(アクリロニトリル−ブタジエン
ゴム)などをPVCにブレンドすると圧縮永久歪は改善
されることが知られているが、このものについても圧縮
永久歪が依然として充分とはいえず、耐寒性に関しても
さらなる改良が望まれているのが現状である。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明は圧縮永久歪や
材料強度に優れ、耐寒性及び耐熱性の良好なゴム成形品
材料を提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明者らは上述のよう
な現状に鑑み、PVCと可塑剤の混合系にコア−シェル
型のラテックスゴムを配合してなる樹脂組成物について
鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。すなわ
ち本発明は、PVC100重量部に対して特定のコア−
シェル型のラテックスゴムが20〜200重量部、特定
の可塑剤がPVCとコア−シェル型のラテックスゴムの
総重量100重量部に対して20〜200重量部含まれ
るPVC組成物を成形してなる耐寒性材料である。以下
に本発明の詳細を記述する。 【0006】本発明で用いられるPVCとは、塩化ビニ
ル単独重合樹脂、塩素化塩化ビニル樹脂、塩化ビニル単
量体と共重合し得るすべての単量体のうち1つ以上とラ
ンダム共重合あるいはブロック共重合して得られる塩化
ビニル共重合樹脂であり、共重合できる単量体としては
エチレン、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、メタクリル酸
メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸エステル
類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル
酸エステル類、メチルマレイミド、エチルマレイミド等
のアルキルマレイミド、フェニルマレイミド等のマレイ
ミド単量体、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレ
ン系単量体、アクリロニトリル等が挙げられる。また上
記樹脂の単品あるいは2種類以上の混合物を使用するこ
とも可能である。 【0007】本発明において用いられるコア−シェル型
ラテックスゴムの構造はブチルアクリレートを主な主成
分として2個以上の反応性の等しい二重結合を持つ単量
体、例えばジビニルベンゼン等の芳香族ジビニル単量体
あるいはブチレングリコールジアクリレート等の化合物
で架橋が施されたコア材および該コア材の表面部分がP
VCとの相溶性に優れる樹脂で構成されるシェル材とか
らなることを特徴とするコア−シェルラテックスをい
う。このコア材は架橋の程度に関わらず架橋が施されて
いれば本発明の目的を達成する。また耐寒性の目安とな
る脆化温度は用いる組成物の最低ガラス転移温度(T
g)成分で決定され、本発明において用いられるPVC
組成物ではコア材部分のガラス転移温度がそれに該当す
る。 【0008】本発明において用いられるコア−シェル型
ラテックスゴムは多段式に乳化、シード重合を行うこと
でコア材部分の平均粒子径やシェル材の平均厚みを均一
に調製することができる。本発明においてはこのコア材
部分の平均粒子径が0.05〜5μmのものが用いら
れ、さらに0.15〜1μmであるものを用いることが
好ましい。平均粒子径が0.05μmより小さいと充分
なゴム弾性すなわち圧縮永久歪を発現させることが困難
となり、5μmより大きいと材料強度を損なうおそれが
ある。また平均粒子径の大きいものは同一添加量のとき
圧縮永久歪の改善に効果的である。 【0009】本発明において用いられるPVC組成物中
のコア−シェル型ラテックスゴムの添加量は、PVC1
00重量部に対し20〜200重量部であり、さらに好
ましくは40〜150重量部である。この量が20重量
部未満では、得られる材料のゴム弾性すなわち圧縮永久
歪の改良がなされないばかりでなく、充分な耐熱性及び
耐寒性を得ることができず、200重量部を超えると圧
縮永久歪は改善されるもののその他の物性バランス例え
ば材料強度が損なわれる。 【0010】また本発明に用いられるコア−シェル型ラ
テックスゴムのシェル材樹脂の化学組成はPVCとの相
溶性に優れるポリエステル系ポリウレタン、エチレン−
酢酸ビニル共重合体及びスチレン−アクリロニトリル共
重合体からなる群より選ばれる樹脂よりなるものであ
る。なお、ここでいう相溶性とは2種類の高分子を適当
な混合法(溶融ブレンド、溶液ブレンド)で調整し、例
えば示差走査熱量分析(DSC)や動的粘弾性測定にお
けるガラス転移温度(Tg)が単一となる混合状態をい
う。この相溶性は2相(層)間の界面接着性を介して材
料強度に反映され、PVCとコア−シェル型ラテックス
ゴムの界面接着性については積層体の剥離強度を一目安
とすることができる。すなわちPVCの2mm厚のシー
ト(可塑剤としてフタル酸ジ−2−エチルヘキシル(D
OP)をPVC100重量部に対して100重量部含
む)とコア−シェル型ラテックスゴムの2mm厚シート
の積層体を引張速度50mm/分において剥離試験して
PVCとシェル材が相溶するとき剥離強度は好ましくは
150g/cm以上、さらに好ましくは700g/cm
以上である。因みにシェル材がスチレン−アクリロニト
リル共重合体のときのは900g/cmである。 【0011】本発明に用いるコア−シェル型ラテックス
ゴムのシェル材の厚みは5〜50nmであり、さらに好
ましくは10〜30nmである。すなわちシェル厚みが
5nmより薄いと得られる組成物のゴムとしての柔軟性
には優れるもののPVCとシェル材を構成する樹脂、あ
るいはシェル材同士の絡み合いが充分でなく、材料強度
が損なわれる。一方シェル材の厚みを増加することのよ
って材料強度や圧縮永久歪は向上するが、必要以上に厚
くすると材料強度には優れるものの組成物の硬度は著し
く高くなり成形物は樹脂ライクになり熱可塑性エラスト
マーとしての柔軟性を損なう。なお、ここでいうシェル
厚みと絡み合いとは密接な関係があり、同一シェル厚み
のときは絡み点間分子量の小さい方が絡み易く、本発明
においてこの絡み合い点間分子量は20000以下とす
ることが好ましく、さらに好ましくは15000以下で
ある。 【0012】本発明において使用する可塑剤は耐寒性発
現のために凝固点が−30℃以下であるフタル酸ジ−2
−エチルヘキシルとジオクチルアジペート、又は、フタ
ル酸ジ−2−エチルヘキシルとジオクチルセバケートと
を組み合わせて用いられる。 【0013】上記可塑剤の使用量はPVCとコア−シェ
ル型ラテックスゴムの総重量100重量部に対して20
〜200重量部であり、好ましくは30〜100重量
部、さらに好ましくは40〜70重量部である。すなわ
ち、20重量部未満では得られる材料は柔軟性に欠け、
一方200重量部を越えると材料は柔軟性、低粘度性、
圧縮永久歪にすぐれるものの、著しく材料強度が損なわ
れ、表面のベタつき等可塑剤のブリードの問題が生じ
る。 【0014】本発明において用いられるPVC組成物に
はその性能を極端に低下させない程度にPVCとの相溶
性に優れる熱可塑性樹脂やPVCに通常添加される炭酸
カルシウム、タルク、クレー、カーボンブラック、金属
酸化物等に代表される無機充填材、三酸化アンチモンや
ホウ酸亜鉛に代表される難燃剤、ステアリン酸バリウ
ム、ステアリン酸亜鉛等の熱安定剤、酸化防止剤、紫外
線吸収剤などの各種添加剤を必要に応じて添加すること
ができる。 【0015】本発明の耐寒材料は上述したPVC組成物
を成形してなるものである。そしてこの成形のための混
練及び成形加工方法は特に限定されるものではなく、一
般的な混練及び成形加工方法を用いることができる。す
なわち、PVC、可塑剤、コア−シェル型のラテックス
ゴムを配合してなるPVC組成物をロール混練機、バン
バリー型混練機および1軸あるいは2軸押出機等により
剪断力下、加熱溶融混合することで容易に混練すること
ができ、さらに該PVC組成物の混練物は通常の成形加
工方法、すなわちプレス成形機、押出し成形機、射出成
形機等を用いて容易に加熱溶融成形することができる。 【0016】以上述べた本発明の材料は圧縮永久歪等の
ゴム弾性的性質ならびに耐寒性及び耐熱性の優れたゴム
成形品用材料となり、上述の適当な成形法を用いて成形
加工することにより、ホース・チューブ、パッキン・シ
ーリング材、パッド、ブーツ、グロメット、ガスケット
等耐寒性の材料部材として幅広く用いることができる。 【0017】 【実施例】以下に本発明を実施例を用いて説明するが、
本発明はこれら実施例に限定されるものではない。 【0018】実施例1 PVCとしてエチレン−塩化ビニル共重合体(リューロ
ンE−2800,東ソー(株)製)100重量部、安定
剤としてステアリン酸バリウム2重量部、ステアリン酸
亜鉛1重量部、可塑剤としてフタル酸ジ−2−エチルヘ
キシル(DOP(凝固点−55℃、「可塑剤 その理論
と応用」村井著 幸書房、なお以下可塑剤の凝固点の数
値は全て同文献から引用))とジオクチルアジペート
(DOA、凝固点−70℃以下)の混合物(重量比で5
/5)をPVCに対して100重量部、コア−シェルラ
テックス(武田薬品工業(株)製スタフィロイド141
3、平均粒子径0.6μm、シェル組成アクリロニトリ
ル(AN)−スチレン共重合体(AN含量=25wt
%、絡み合い点間分子量11500)、シェル厚み10
〜15nm)を70重量部配合し、8インチロールを用
いて150℃15分間溶融混練した。得られた混合試料
をプレス成形し各材料試験に供した。試験結果を表1に
示す。 【0019】 【0020】 【0021】実施例2 可塑剤としてDOPとDOS(ジオクチルセバケート、
凝固点−55℃)の混合物(混合重量比5/5)を使用
した以外は実施例1と同様の方法で試料を得、評価を行
った。その結果を表1に示す。 【0022】比較例1 PVCとしてエチレン−塩化ビニル共重合体(リューロ
ンE−2800,東ソー(株)製)100重量部、安定
剤としてステアリン酸バリウム2重量部、ステアリン酸
亜鉛1重量部、可塑剤としてジオクチルフタレート(D
OP)とジオクチルアジペート(DOA)の混合物(重
量比で5/5)をPVCに対して100重量部、部分架
橋NBR(日本合成ゴム(株)製PNC−38、アクリ
ロニトリル含量40%、粒子径0.05〜0.1μm)
70重量部を配合して得た組成物を用いた以外は実施例
1と同様の成形及び材料試験を行った。その結果を表1
に示す。 【0023】比較例2 可塑剤としてDOPとDOSとの混合物(混合重量比5
/5)を用いた以外は比較例1と同様の成形及び材料試
験を行った。その結果を表1に示す。 【0024】以下、材料試験の方法を示す。 【0025】(圧縮永久歪の評価)JIS K6301
に準拠し圧縮永久歪試験を行った(70℃、22時
間)。 【0026】(材料強度の評価)JIS K6723に
準拠して測定した。 【0027】(耐寒性の評価)JIS K6301に準
拠し非破壊温度と脆化温度を評価した。 【0028】(耐熱性の評価)JIS K6723に準
拠し加熱変形率で評価した。 【0029】 【表1】 【0030】 【発明の効果】以上述べたとおり、本発明の材料によれ
ば圧縮永久歪や材料強度に優れ、なおかつ耐寒性及び耐
熱性の良好なゴム成形品を得ることができる。
(以下、PVCという)、コア−シェル型のラテックス
ゴム及び可塑剤を含むPVC組成物からなり、圧縮永久
歪や材料強度に優れ、耐寒性及び耐熱性の良好な耐寒性
ゴム成形品材料に関するものである。 【0002】 【従来の技術】PVCにDOP(フタル酸ジ−2−エチ
ルヘキシル)に代表される可塑剤を適当量配合させると
柔軟性、弾力性に優れるゴム状成形品を得ることがで
き、各種ホース・チューブ、シーリング材、パッド、ブ
ーツ等に広く使用されている。しかしながら、この組成
物では圧縮永久歪等のゴム弾性的性質は充分とはいえ
ず、かつまた自動車関係のゴム成形材料に用いる場合は
使用温度において弾性率変化が少なく耐熱性及び耐寒性
の改良されたゴム成形品が要求されている。 【0003】また一般に、PVCと相溶性の良い架橋あ
るいは部分架橋NBR(アクリロニトリル−ブタジエン
ゴム)などをPVCにブレンドすると圧縮永久歪は改善
されることが知られているが、このものについても圧縮
永久歪が依然として充分とはいえず、耐寒性に関しても
さらなる改良が望まれているのが現状である。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明は圧縮永久歪や
材料強度に優れ、耐寒性及び耐熱性の良好なゴム成形品
材料を提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明者らは上述のよう
な現状に鑑み、PVCと可塑剤の混合系にコア−シェル
型のラテックスゴムを配合してなる樹脂組成物について
鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。すなわ
ち本発明は、PVC100重量部に対して特定のコア−
シェル型のラテックスゴムが20〜200重量部、特定
の可塑剤がPVCとコア−シェル型のラテックスゴムの
総重量100重量部に対して20〜200重量部含まれ
るPVC組成物を成形してなる耐寒性材料である。以下
に本発明の詳細を記述する。 【0006】本発明で用いられるPVCとは、塩化ビニ
ル単独重合樹脂、塩素化塩化ビニル樹脂、塩化ビニル単
量体と共重合し得るすべての単量体のうち1つ以上とラ
ンダム共重合あるいはブロック共重合して得られる塩化
ビニル共重合樹脂であり、共重合できる単量体としては
エチレン、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、メタクリル酸
メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸エステル
類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル
酸エステル類、メチルマレイミド、エチルマレイミド等
のアルキルマレイミド、フェニルマレイミド等のマレイ
ミド単量体、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレ
ン系単量体、アクリロニトリル等が挙げられる。また上
記樹脂の単品あるいは2種類以上の混合物を使用するこ
とも可能である。 【0007】本発明において用いられるコア−シェル型
ラテックスゴムの構造はブチルアクリレートを主な主成
分として2個以上の反応性の等しい二重結合を持つ単量
体、例えばジビニルベンゼン等の芳香族ジビニル単量体
あるいはブチレングリコールジアクリレート等の化合物
で架橋が施されたコア材および該コア材の表面部分がP
VCとの相溶性に優れる樹脂で構成されるシェル材とか
らなることを特徴とするコア−シェルラテックスをい
う。このコア材は架橋の程度に関わらず架橋が施されて
いれば本発明の目的を達成する。また耐寒性の目安とな
る脆化温度は用いる組成物の最低ガラス転移温度(T
g)成分で決定され、本発明において用いられるPVC
組成物ではコア材部分のガラス転移温度がそれに該当す
る。 【0008】本発明において用いられるコア−シェル型
ラテックスゴムは多段式に乳化、シード重合を行うこと
でコア材部分の平均粒子径やシェル材の平均厚みを均一
に調製することができる。本発明においてはこのコア材
部分の平均粒子径が0.05〜5μmのものが用いら
れ、さらに0.15〜1μmであるものを用いることが
好ましい。平均粒子径が0.05μmより小さいと充分
なゴム弾性すなわち圧縮永久歪を発現させることが困難
となり、5μmより大きいと材料強度を損なうおそれが
ある。また平均粒子径の大きいものは同一添加量のとき
圧縮永久歪の改善に効果的である。 【0009】本発明において用いられるPVC組成物中
のコア−シェル型ラテックスゴムの添加量は、PVC1
00重量部に対し20〜200重量部であり、さらに好
ましくは40〜150重量部である。この量が20重量
部未満では、得られる材料のゴム弾性すなわち圧縮永久
歪の改良がなされないばかりでなく、充分な耐熱性及び
耐寒性を得ることができず、200重量部を超えると圧
縮永久歪は改善されるもののその他の物性バランス例え
ば材料強度が損なわれる。 【0010】また本発明に用いられるコア−シェル型ラ
テックスゴムのシェル材樹脂の化学組成はPVCとの相
溶性に優れるポリエステル系ポリウレタン、エチレン−
酢酸ビニル共重合体及びスチレン−アクリロニトリル共
重合体からなる群より選ばれる樹脂よりなるものであ
る。なお、ここでいう相溶性とは2種類の高分子を適当
な混合法(溶融ブレンド、溶液ブレンド)で調整し、例
えば示差走査熱量分析(DSC)や動的粘弾性測定にお
けるガラス転移温度(Tg)が単一となる混合状態をい
う。この相溶性は2相(層)間の界面接着性を介して材
料強度に反映され、PVCとコア−シェル型ラテックス
ゴムの界面接着性については積層体の剥離強度を一目安
とすることができる。すなわちPVCの2mm厚のシー
ト(可塑剤としてフタル酸ジ−2−エチルヘキシル(D
OP)をPVC100重量部に対して100重量部含
む)とコア−シェル型ラテックスゴムの2mm厚シート
の積層体を引張速度50mm/分において剥離試験して
PVCとシェル材が相溶するとき剥離強度は好ましくは
150g/cm以上、さらに好ましくは700g/cm
以上である。因みにシェル材がスチレン−アクリロニト
リル共重合体のときのは900g/cmである。 【0011】本発明に用いるコア−シェル型ラテックス
ゴムのシェル材の厚みは5〜50nmであり、さらに好
ましくは10〜30nmである。すなわちシェル厚みが
5nmより薄いと得られる組成物のゴムとしての柔軟性
には優れるもののPVCとシェル材を構成する樹脂、あ
るいはシェル材同士の絡み合いが充分でなく、材料強度
が損なわれる。一方シェル材の厚みを増加することのよ
って材料強度や圧縮永久歪は向上するが、必要以上に厚
くすると材料強度には優れるものの組成物の硬度は著し
く高くなり成形物は樹脂ライクになり熱可塑性エラスト
マーとしての柔軟性を損なう。なお、ここでいうシェル
厚みと絡み合いとは密接な関係があり、同一シェル厚み
のときは絡み点間分子量の小さい方が絡み易く、本発明
においてこの絡み合い点間分子量は20000以下とす
ることが好ましく、さらに好ましくは15000以下で
ある。 【0012】本発明において使用する可塑剤は耐寒性発
現のために凝固点が−30℃以下であるフタル酸ジ−2
−エチルヘキシルとジオクチルアジペート、又は、フタ
ル酸ジ−2−エチルヘキシルとジオクチルセバケートと
を組み合わせて用いられる。 【0013】上記可塑剤の使用量はPVCとコア−シェ
ル型ラテックスゴムの総重量100重量部に対して20
〜200重量部であり、好ましくは30〜100重量
部、さらに好ましくは40〜70重量部である。すなわ
ち、20重量部未満では得られる材料は柔軟性に欠け、
一方200重量部を越えると材料は柔軟性、低粘度性、
圧縮永久歪にすぐれるものの、著しく材料強度が損なわ
れ、表面のベタつき等可塑剤のブリードの問題が生じ
る。 【0014】本発明において用いられるPVC組成物に
はその性能を極端に低下させない程度にPVCとの相溶
性に優れる熱可塑性樹脂やPVCに通常添加される炭酸
カルシウム、タルク、クレー、カーボンブラック、金属
酸化物等に代表される無機充填材、三酸化アンチモンや
ホウ酸亜鉛に代表される難燃剤、ステアリン酸バリウ
ム、ステアリン酸亜鉛等の熱安定剤、酸化防止剤、紫外
線吸収剤などの各種添加剤を必要に応じて添加すること
ができる。 【0015】本発明の耐寒材料は上述したPVC組成物
を成形してなるものである。そしてこの成形のための混
練及び成形加工方法は特に限定されるものではなく、一
般的な混練及び成形加工方法を用いることができる。す
なわち、PVC、可塑剤、コア−シェル型のラテックス
ゴムを配合してなるPVC組成物をロール混練機、バン
バリー型混練機および1軸あるいは2軸押出機等により
剪断力下、加熱溶融混合することで容易に混練すること
ができ、さらに該PVC組成物の混練物は通常の成形加
工方法、すなわちプレス成形機、押出し成形機、射出成
形機等を用いて容易に加熱溶融成形することができる。 【0016】以上述べた本発明の材料は圧縮永久歪等の
ゴム弾性的性質ならびに耐寒性及び耐熱性の優れたゴム
成形品用材料となり、上述の適当な成形法を用いて成形
加工することにより、ホース・チューブ、パッキン・シ
ーリング材、パッド、ブーツ、グロメット、ガスケット
等耐寒性の材料部材として幅広く用いることができる。 【0017】 【実施例】以下に本発明を実施例を用いて説明するが、
本発明はこれら実施例に限定されるものではない。 【0018】実施例1 PVCとしてエチレン−塩化ビニル共重合体(リューロ
ンE−2800,東ソー(株)製)100重量部、安定
剤としてステアリン酸バリウム2重量部、ステアリン酸
亜鉛1重量部、可塑剤としてフタル酸ジ−2−エチルヘ
キシル(DOP(凝固点−55℃、「可塑剤 その理論
と応用」村井著 幸書房、なお以下可塑剤の凝固点の数
値は全て同文献から引用))とジオクチルアジペート
(DOA、凝固点−70℃以下)の混合物(重量比で5
/5)をPVCに対して100重量部、コア−シェルラ
テックス(武田薬品工業(株)製スタフィロイド141
3、平均粒子径0.6μm、シェル組成アクリロニトリ
ル(AN)−スチレン共重合体(AN含量=25wt
%、絡み合い点間分子量11500)、シェル厚み10
〜15nm)を70重量部配合し、8インチロールを用
いて150℃15分間溶融混練した。得られた混合試料
をプレス成形し各材料試験に供した。試験結果を表1に
示す。 【0019】 【0020】 【0021】実施例2 可塑剤としてDOPとDOS(ジオクチルセバケート、
凝固点−55℃)の混合物(混合重量比5/5)を使用
した以外は実施例1と同様の方法で試料を得、評価を行
った。その結果を表1に示す。 【0022】比較例1 PVCとしてエチレン−塩化ビニル共重合体(リューロ
ンE−2800,東ソー(株)製)100重量部、安定
剤としてステアリン酸バリウム2重量部、ステアリン酸
亜鉛1重量部、可塑剤としてジオクチルフタレート(D
OP)とジオクチルアジペート(DOA)の混合物(重
量比で5/5)をPVCに対して100重量部、部分架
橋NBR(日本合成ゴム(株)製PNC−38、アクリ
ロニトリル含量40%、粒子径0.05〜0.1μm)
70重量部を配合して得た組成物を用いた以外は実施例
1と同様の成形及び材料試験を行った。その結果を表1
に示す。 【0023】比較例2 可塑剤としてDOPとDOSとの混合物(混合重量比5
/5)を用いた以外は比較例1と同様の成形及び材料試
験を行った。その結果を表1に示す。 【0024】以下、材料試験の方法を示す。 【0025】(圧縮永久歪の評価)JIS K6301
に準拠し圧縮永久歪試験を行った(70℃、22時
間)。 【0026】(材料強度の評価)JIS K6723に
準拠して測定した。 【0027】(耐寒性の評価)JIS K6301に準
拠し非破壊温度と脆化温度を評価した。 【0028】(耐熱性の評価)JIS K6723に準
拠し加熱変形率で評価した。 【0029】 【表1】 【0030】 【発明の効果】以上述べたとおり、本発明の材料によれ
ば圧縮永久歪や材料強度に優れ、なおかつ耐寒性及び耐
熱性の良好なゴム成形品を得ることができる。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
C08L 27/06
C08L 51/04
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対し
て(標記1)に記載のコア−シェル型のラテックスゴム
が20〜200重量部、(標記2)に記載の可塑剤がポ
リ塩化ビニル系樹脂とコア−シェル型のラテックスゴム
の総重量100重量部に対して20〜200重量部含ま
れるポリ塩化ビニル系樹脂組成物を成形してなる耐寒性
材料。 (標記1) 平均粒子径が0.05〜0.5μm、コア材がポリブチ
ルアクリレート架橋体、シェル材がポリ塩化ビニル系樹
脂との混合状態において示差走査熱量分析又は動的粘弾
性測定におけるガラス転移温度が単一となり、ポリ塩化
ビニル系樹脂との相溶性に優れるポリエステル系ポリウ
レタン、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びスチレン−
アクリロニトリル共重合体からなる群より選ばれる樹脂
で構成され、かつその厚みが5〜50nmであるコア−
シェル型のラテックスゴム。 (標記2) 凝固点が−30℃以下であるフタル酸ジ−2−エチルヘ
キシルとジオクチルアジペート、又は、フタル酸ジ−2
−エチルヘキシルとジオクチルセバケートを組み合わせ
てなる可塑剤。
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JP33081593A JP3395309B2 (ja) | 1993-12-27 | 1993-12-27 | 耐寒性材料 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP33081593A JP3395309B2 (ja) | 1993-12-27 | 1993-12-27 | 耐寒性材料 |
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JPH07188493A JPH07188493A (ja) | 1995-07-25 |
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JP2010235834A (ja) * | 2009-03-31 | 2010-10-21 | Kaneka Corp | 熱可塑性エラストマー組成物 |
-
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- 1993-12-27 JP JP33081593A patent/JP3395309B2/ja not_active Expired - Fee Related
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