JP3394628B2 - バイアス回路 - Google Patents
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Description
ジスタ等で構成されたMOSプロセスにおいて差動増幅
器等に用いられるバイアス電流を発生するバイアス回路
に関し、特に、MOSプロセス構成素子の製造工程によ
るバラツキであるプロセス変動や、環境変化等に関わら
ず、一定のバイアス電流を供給することの可能なバイア
ス回路に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、MOSプロセスにおける差動増幅
器等のバイアス回路としては、例えば、図3に示すよう
な回路が知られている。図3において、1は差動増幅
器、50はバイアス回路である。この差動増幅器1は、
例えば、直列接続された電流値Icの定電流源2及びN
チャネル型MOSFETであるFET3と、同様に直列
接続された、電流値Icの定電流源4及びNチャネル型
MOSFETであるFET5とが電源供給側と接地との
間に並列に接続され、FET3及びFET5のソースと
接地との間にNチャネル型MOSFETであるFET6
が介挿されている。前記FET3及びFET5は入力用
の差動対MOSFETであり、FET5のゲートにはF
ET3への入力信号の反転信号が入力されるようになっ
ている。 【0003】一方、バイアス回路50は、例えば、抵抗
値Rの抵抗51と、Nチャネル型MOSFETであるF
ET52と、増幅器53とから構成され、抵抗51とF
ET52とが直列に接続されて電流供給側と接地との間
に接続されている。そして、増幅器53の非反転入力端
子に抵抗51とFET52との間の電位が供給され、増
幅器53の反転入力端子には例えばバンドギャップ電圧
発生回路等で発生した定電圧Vcが供給されるようにな
っている。そして、増幅器53の出力がFET52のゲ
ートに供給されると共に、差動増幅器1のFET6のゲ
ートに供給され、この増幅器53の出力が差動増幅器1
へのバイアス電圧として供給されるようになっている。
そして、バイアス回路50では、定電圧Vcを抵抗51
の抵抗値Rで電圧電流変換しており、増幅器53は、F
ET52のドレイン電流I52が次式(1)となる信号を
出力し、これがFET52のゲート電圧VG となってい
る。 【0004】I52=Vc/R ……(1) そして、このとき、FET6の動作電流が2×Icとな
るように、FET52及びFET6のMOSトランジス
タのサイズW/L(Wはゲート幅、Lはゲート長を表
す。)の比を調整することによって、FET6のドレイ
ン電流I6 は、FET52のドレイン電流I52に依存す
ることになり、このとき、ドレイン電流I 52は定電圧V
c及び抵抗値Rにより決定されるから、ドレイン電流I
6 はプロセス変動、環境変化等によって変化することの
ない、定電圧Vcだけに依存するバイアス電流となるよ
うになっている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】図3において、差動増
幅器1の入力対のFET3及びFET5のゲート電圧の
動作点をそれぞれVGS3 ,VGS5 とし(VGS3 =VGS5
=VGSとする。)、この状態で、FET3及びFET5
の動作点に振幅±ΔVの差動信号を入力する。そして、
この差動信号によるFET3及びFET5のドレイン電
流を±ΔIOUT とすると、FET3及びFET5のドレ
イン電流は次式(2)により求められる。 【0006】 Ic±ΔIOUT =K′・(W/L)・(VGS±ΔV−VTH)2 ……(2) ここで、K′はプロセス、環境などによって決定される
定数,VTHはFET3及びFET5のしきい値電圧であ
る。ところで、FET3及びFET5への差動信号±Δ
Vの入力可能な最大振幅値|ΔVMAX |は、動作点での
ゲート・ソース間電圧VGSとしきい値電圧VTHとで設定
されるVON電圧(VON=VGS−VTH)で決まり、電流変
化分の最大値は、入力対FETであるFET3及びFE
T5の何れか一方のドレイン電流に全て流れる2×Ic
のところまでであるから、これらの間には次式(3)の
関係が成り立つ。 【0007】 (VON+|ΔVMAX |)2 /VON 2 <(2×Ic)/Ic ……(3) (3)式から|ΔVMAX |を求めると、次式(4)とな
る。 |ΔVMAX |<(21/2 −1)・VON ……(4) したがって、上記(4)式から、入力対のFET3及び
FET5のVONの約4割の電圧が差動信号入力の最大値
となることがわかる。 【0008】ここで、図3の差動増幅器1のFET3及
びFET5のVON電圧と、定電流源2及び4の定電流値
Icとの間には次式(5)の関係が成り立ち、また、定
電流値Icは次式(6)と表すことができる。 Ic=K′・(W/L)・VON 2 ……(5) Ic=(α/2)・(Vc/R) ……(6) ここで、αはFET52とFET6とのミラー比であ
る。 【0009】したがって、(5)及び(6)式より、V
c及びIcは一定値であり、定数K′はプロセス,環境
条件等によって変化する値であるので、VON電圧はプロ
セス,環境条件等によって変化することになる。よっ
て、(4)式より、プロセス,環境条件等の変化によっ
て入力対のFET3及びFET5のダイナミックレンジ
が変動してしまうという未解決の課題がある。 【0010】そこで、この発明は上記従来の未解決の課
題に着目してなされたものであり、プロセス,環境条件
等の変化により各MOSトランジスタの特性が変化した
場合でも、入力対のFET3及びFET5のダイナミッ
クレンジを一定にすることのできるバイアス回路を提供
することを目的としている。 【0011】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係るバイアス回路は、入力MOSトランジ
スタを備える回路にバイアス電流を供給するバイアス回
路において、前記入力MOSトランジスタと同一規格で
あり且つ自身のゲート及びドレイン間が接続されたMO
Sトランジスタ対と、該MOSトランジスタ対のソース
に接続され、前記MOSトランジスタ対にソース電位差
を与える定電圧源と、前記MOSトランジスタ対のゲー
ト電圧が同一となるように前記MOSトランジスタ対の
ドレイン電流を制御するドレイン電流制御回路とを備
え、当該ドレイン電流制御回路は、前記MOSトランジ
スタ対のドレインそれぞれに接続され且つそのミラー比
が異なる比率に設定され、さらに前記MOSトランジス
タ対のドレイン電流を制御する第1及び第2のMOSト
ランジスタと、前記MOSトランジスタ対のゲート電圧
それぞれを入力し、前記第1及び第2のMOSトランジ
スタのゲートに制御信号を出力する増幅器と、を有し、
前記第1及び第2のMOSトランジスタを流れる電流に
基づいて前記バイアス電流を生成することを特徴として
いる。 【0012】環境変化等により入力トランジスタのゲー
ト・ソース間電圧が変化しようとすると、この入力トラ
ンジスタと同一規格のMOSトランジスタ対のゲート・
ソース間電圧も変化しようとする。このMOSトラジス
タ対のゲート・ソース間電圧の変動に応じて、前記MO
Sトランジスタ対のドレインにそれぞれ接続され且つミ
ラー比が異なる比率に設定された第1及び第2のMOS
トランジスタのドレイン電流が変動し、これに伴って、
前記MOSトランジスタ対のドレイン電流がそれぞれ変
動する。このとき、前記MOSトランジスタ対のゲート
・ソース間電圧と一対一に決まるゲート電圧が同一とな
るように、前記第1及び第2のMOSトランジスタのド
レイン電流が制御されて、前記MOSトランジスタ対の
ドレイン電流が制御されるから、前記MOSトランジス
タ対のゲート・ソース間電圧は常に所定値となるように
制御されることになる。このようにゲート・ソース間電
圧の変化を抑制するように変化する前記第1及び第2の
MOSトランジスタを流れる電流に基づいてバイアス電
流が生成され、そのバイアス電流が入力トランジスタの
バイアス電流として供給されるから、入力MOSトラン
ジスタのゲート・ソース間電圧も所定値となるように制
御されることになる。 【0013】 【実施例】以下に、本発明の実施例を説明する。図1
は、本発明におけるバイアス回路の一例を示す構成図で
あり、差動増幅器にバイアス電流を供給するようにした
ものである。この差動増幅器1は上述の従来の差動増幅
器1と同一の機能構成であるので、同一部には同一符号
を付与し、その詳細な説明は省略する。 【0014】バイアス回路10は、バイアス電流生成部
11と、バイアス電流生成部11で生成したバイアス電
流を電圧に変換して差動増幅器1に供給する電圧変換部
20とから構成され、バイアス電流生成部11は、差動
増幅器1の入力MOSトランジスタ対であるFET3及
びFET5と同一規格のMOSトランジスタ対としての
FET12及びFET13と、これらFET12及びF
ET13の各ドレイン電流を制御するドレイン電流制御
回路としてのドレイン電流制御部15とから構成されて
いる。 【0015】このドレイン電流制御部15は、FET1
2及びFET13のゲート電圧の差に応じた信号を出力
する増幅器16と、増幅器16の出力信号がゲートに供
給され、これに応じてドレイン電流が制御されるPチャ
ネル型MOSトランジスタであるFET17及びFET
18とから構成される。そして、FET17とFET1
2とがこの順に直列に接続されて、電源供給側と、例え
ばバンドギャップ電圧発生回路等で発生した、温度等環
境変化或いはプロセス変化等に不変な定電圧Vcとの間
に接続され、同様に、FET18とFET13とがこの
順に直列に接続され、電源供給側と接地との間に接続さ
れている。そして、FET12のドレインがそのゲート
と接続されると共に増幅器16の反転入力端子と接続さ
れ、FET13のドレインがそのゲートと接続されると
共に増幅器16の非反転入力端子と接続されている。こ
の増幅器16の出力側はFET17及びFET18のゲ
ートと接続されると共に、電圧変換部20を構成するF
ET21のゲートと接続される。 【0016】そして、増幅器16がFET12及びFE
T13のゲート電圧の差に応じた信号を出力し、これに
応じたFET17及びFET18のドレイン電流がFE
T12及びFET13にそれぞれ供給されることによっ
て、FET12及びFET13のゲート電圧が同一とな
るように制御される。電圧変換部20はPチャネル型M
OSトランジスタであるFET21とNチャネル型MO
SトランジスタであるFET22とから構成されてい
る。そして、これらFET21とFET22とはこの順
に直列に接続されて電源供給側と接地との間に接続され
ている。そして、FET22のドレインとそのゲートと
が接続されると共に差動増幅器1を構成するFET6の
ゲートと接続され、FET22とFET6とでカレント
ミラー回路を構成している。 【0017】そして、ゲートに同一の電圧が供給される
FET17とFET18とFET21とは、例えば、各
FETのゲート幅を調整する等によりそのゲートサイズ
を調整することによって、ミラー比が、上述の順に、
1:4:1となるように設定されている。図2は、上述
のバイアス回路10を具体的に表したものであり、図2
において、16′が図1の増幅器16に対応している。 【0018】次に、上記実施例の動作を説明する。今、
図1のFET17とFET18とのミラー比は、1:4
であり、FET12及びFET13は同一規格であり、
MOSトランジスタのドレイン電流IDSは次式(7)に
より求められることから、FET12及びFET13の
ゲート・ソース間電圧VGSとしきい値電圧VTHとの差で
あるVON電圧、VON12及びVON13との間には、次式
(8)の関係が成り立つ。ここで、K′は温度等環境変
化、プロセス変動等によって変化する値、Wはゲート
幅、Lはゲート長である。 【0019】 IDS=K′・(W/L)・(VGS−VTH)2 =K′・(W/L)・VON 2 ……(7) VON12:VON13=1:2 ……(8) このとき、増幅器16はFET12及びFET13のゲ
ート電圧が等しくなるようにFET17及びFET18
のドレイン電流IDS17及びIDS18を制御しているから、
次式(9)の関係が成り立つ。 【0020】 VON12+VTH+Vc=VON13+VTH ……(9) ここで、上記式(8)から次式(10)のように設定す
ると、式(9)より次式(11)が導かれる。 VON13=2・VON12=VON′ ……(10) Vc=VON′/2 ……(11) したがって、VON12及びVON13は定電圧値Vcにのみに
依存する値となり、FET17及びFET18のドレイ
ン電流IDS17及びIDS18は、FET12及びFET13
のVON電圧、VON12及びVON13を一定にすることの可能
な電流であることになる。 【0021】よって、FET17,FET18,FET
21は、ミラー比が、1:4:1に設定されていること
から、ドレイン電流IDS17が、電圧変換部20のFET
21のドレイン電流IDS21として取り出され、これをF
ET22で電圧値に変換し、差動増幅器1のFET6の
ゲートに供給することにより、ドレイン電流IDS17が差
動増幅器1のバイアス電流として伝達されることにな
る。そして、このバイアス電流はFET3及びFET5
と同一規格のFET12及びFET13の環境変化等に
よるVON電圧変動を抑えるような値であるから、FET
3及びFET5のVON電圧は環境変化等により変動しな
いことになる。 【0022】したがって、例えば、温度変化等によって
各MOSトランジスタの特性が変化し、FET12及び
FET13のゲート電圧が変化し、例えば、増幅器16
の出力信号が増加すると、これによって、FET17及
びFET18のドレイン電流IDS17及びIDS18が小さく
なるが、FET17とFET18とのミラー比は、1:
4であるから、FET18のドレイン電流IDS18の減少
幅の方がより大きくなる。よって、FET13のゲート
電圧はFET12のゲート電圧に比較してより小さくな
る。この操作を繰り返すことによって、FET12及び
FET13のゲート電圧が等しくなるように、ドレイン
電流IDS17及びIDS18が変化し、このドレイン電流I
DS17が差動増幅器1のバイアス電流として作動するか
ら、FET3及びFET5のVON電圧は常に一定とな
る。 【0023】逆に、例えば、増幅器16の出力信号が減
少すると、FET17のドレイン電流IDS17に比較して
FET18のドレイン電流IDS18がより大きくなり、よ
って、FET13のゲート電圧はFET12のゲート電
圧に比較してより大きくなる。この操作を繰り返すこと
によってFET12及びFET13のゲート電圧が等し
くなり、FET3及びFET5のVON電圧は常に一定と
なる。 【0024】したがって、差動増幅器1の入力対である
FET3及びFET5のVON電圧が常に一定となるか
ら、上記(4)式に示すように、従来のように差動増幅
器1のダイナミックレンジが変動することはない。な
お、上記実施例においては、差動増幅器1のバイアス回
路として作動する場合について説明したが、これに限ら
ず、例えば、シングルエンド形差動増幅器等に適用する
ことも可能であり、入力MOSトランジスタを有する回
路であれば適用することができる。 【0025】また、上記実施例においては、FET17
及び18のミラー比を、1:4に設定し、FET12の
ソース電圧を定電圧Vc分高くした場合について説明し
たが、FET17及びFET18のミラー比は同一比で
なければ任意に設定することができ、このとき、FET
12及びFET13のうち、より小さい電流値が供給さ
れる方のソース電位を定電圧Vc分高くすることにより
上記実施例と同等の効果を得ることができる。 【0026】 【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るバイ
アス回路によれば、バイアス電流を供給すべき回路の入
力MOSトランジスタと同一規格のMOSトランジスタ
対の環境変化、プロセス変化等によるゲート・ソース間
電圧の変化に応じて、MOSトランジスタ対のゲート・
ソース間電圧を一定に維持するように第1及び第2のM
OSトランジスタを流れる電流を制御することにより、
MOSトランジスタ対のドレイン電流を制御するから、
前記第1及び第2のMOSトランジスタを流れる電流を
もとにバイアス電流を生成してこれをバイアス電流とし
て供給することによって、入力MOSトランジスタのゲ
ート・ソース間電圧を環境変化、プロセス変化等に関わ
らず所定値に維持することができ、よって、入力MOS
トランジスタのダイナミックレンジを所定値に維持する
ことができる。
である。 【図3】従来のバイアス回路の一例を示す構成図であ
る。 【符号の説明】 1 差動増幅器 10 バイアス回路 11 バイアス電流生成部 15 ドレイン電流制御部 16 増幅器 20 電圧変換部
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 入力MOSトランジスタを備える回路に
バイアス電流を供給するバイアス回路において、 前記入力MOSトランジスタと同一規格であり且つ自身
のゲート及びドレイン間が接続されたMOSトランジス
タ対と、 該MOSトランジスタ対のソースに接続され、前記MO
Sトランジスタ対にソース電位差を与える定電圧源と、 前記MOSトランジスタ対のゲート電圧が同一となるよ
うに前記MOSトランジスタ対のドレイン電流を制御す
るドレイン電流制御回路とを備え、当該ドレイン電流制御回路は、前記MOSトランジスタ
対のドレインそれぞれに接続され且つそのミラー比が異
なる比率に設定され、さらに前記MOSトランジスタ対
のドレイン電流を制御する第1及び第2のMOSトラン
ジスタと、 前記MOSトランジスタ対のゲート電圧それぞれを入力
し、前記第1及び第2のMOSトランジスタのゲートに
制御信号を出力する増幅器と、を有し、 前記第1及び第2のMOSトランジスタを流れる電流に
基づいて 前記バイアス電流を生成することを特徴とする
バイアス回路。
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---|---|---|---|
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JP08953095A JP3394628B2 (ja) | 1995-04-14 | 1995-04-14 | バイアス回路 |
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JPH08288754A JPH08288754A (ja) | 1996-11-01 |
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Family Applications (1)
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JP08953095A Expired - Fee Related JP3394628B2 (ja) | 1995-04-14 | 1995-04-14 | バイアス回路 |
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1995
- 1995-04-14 JP JP08953095A patent/JP3394628B2/ja not_active Expired - Fee Related
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