JP3383136B2 - 定振幅クロック発生回路 - Google Patents

定振幅クロック発生回路

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JP3383136B2
JP3383136B2 JP22901095A JP22901095A JP3383136B2 JP 3383136 B2 JP3383136 B2 JP 3383136B2 JP 22901095 A JP22901095 A JP 22901095A JP 22901095 A JP22901095 A JP 22901095A JP 3383136 B2 JP3383136 B2 JP 3383136B2
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謙治 根本
健一 佐藤
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旭化成マイクロシステム株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インバータ回路に
関し、特に、抵抗性負荷を駆動する定振幅クロック信号
を発生するインバータ回路の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、定振幅クロック信号を発生するイ
ンバータ回路は、CMOSインバータを用いて構成して
いる。これは、CMOSインバータの出力値が正電源電
圧値と負電源電圧値であることを利用し、所望の出力振
幅値を正電源電圧値としてCMOSインバータを駆動す
ることによって、CMOSインバータの出力振幅値を制
御するようにしている。
【0003】図4は、従来のインバータ回路の一例を示
したものであり、CMOSインバータ10の正電源電圧
として用いられる正電源電圧VREF を低インピーダンス
出力とするために、バッファアンプAMPを介してCM
OSインバータ10に供給するようにしている。そし
て、例えば、水晶発振器等の出力信号からなるクロック
信号をCMOSインバータ10の入力端子に入力するよ
うになっている。そして、CMOSインバータ10の出
力端子には、近似的に、容量C及び抵抗Rの直列回路で
表される負荷が接続される。前記容量Cは、直流成分除
去用の容量であって、信号成分は伝達することが十分に
可能な容量値を有している。
【0004】そして、抵抗Rの他端は、定振幅クロック
信号を受信する回路のDC動作点であり、容量Cと抵抗
Rとの間の電圧値が定振幅クロック信号として取り出さ
れる。そして、これによって、容量Cにより直流成分が
除去されたCMOSインバータ10の信号成分は、イン
バータ回路100からの定振幅クロック信号を受信する
回路のDC動作点VDCを中心に変化し、出力信号VOUT
として出力されるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の定振幅クロ
ック信号を発生するインバータ回路では、低インピーダ
ンス出力の正電源VREF を必要としており、この正電源
REF を供給する手段としては、図4に示すように、バ
ッファアンプAMPを用いる方法,IC外部から供給す
る方法等が考えられる。しかしながら、図4に示すよう
に、バッファアンプAMPを用いる場合には、安定した
振幅のクロック信号を得るためには、かな高速な高価な
バッファアンプを用いる必要がある。また、IC外部か
ら供給する場合には、IC駆動用の電源とは別に新たに
電源が必要になるという欠点がある。
【0006】さらに、容量性の負荷だけでなく、抵抗性
の負荷も駆動しなくてはならない場合には、出力端子か
ら外部に電流が流れるので、PチャネルMOSトランジ
スタ及びNチャネルMOSトランジスタ共に、ソース・
ドレイン間に電圧降下が発生し、結果として出力するク
ロック出力信号の振幅値がVREF 値、すなわち、所望と
する振幅値よりも小さくなってしまうという未解決の課
題がある。また、この電圧降下は、プロセス依存性,温
度依存性,電源電圧依存性を持つので、VREF値の微調
整を行うことで補正することはできないという問題もあ
る。
【0007】そこで、この発明は、上記従来の未解決の
課題に着目してなされたものであり、低インピーダンス
電源、バッファ用の高速アンプを必要とすることなく、
抵抗性負荷を駆動する際にプロセス依存性,温度依存
性,電源電圧依存性を持たず、安定な定振幅クロック信
号を出力することのできるインバータ回路を提供するこ
とを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の請求項1に係るインバータ回路は、少なく
とも第1及び第2のMOSトランジスタが直列に接続さ
れ且つ抵抗性負荷を駆動するインバータを有し、前記イ
ンバータに入力されるクロック信号の反転信号であり且
つ所定の振幅値を有するクロック信号を、前記第1及び
第2のMOSトランジスタが接続される接続点から出力
するインバータ回路において、前記インバータと直列に
電源間に接続されソース・フォロワとして作動する第3
のMOSトランジスタと、前記インバータを構成する第
1及び第2のMOSトランジスタと同一種類であり且つ
同一の接続関係で接続され導通状態に維持された第4及
び第5のMOSトランジスタ及び前記第4及び第5のM
OSトランジスタ間に介挿された抵抗体からなる調整用
回路と、当該調整用回路と直列に前記電源間に接続され
ソース・フォロワとして作動する第6のMOSトランジ
スタと、4入力差動増幅器と、を備え、当該4入力差動
増幅器は、所望のクロック信号の振幅値に応じた電圧差
を有する正電源電圧及び負電源電圧が非反転入力端子及
び反転入力端子に入力される差動対と、前記抵抗体の両
端の電圧がそれぞれ反転入力端子及び非反転入力端子に
入力される差動対と、前記各差動対の出力を加算する加
算手段とを有し、当該加算手段の出力を前記第3及び第
6のMOSトランジスタにゲート電圧として供給するこ
とを特徴としている。
【0009】また、請求項2に係るインバータ回路は、
少なくとも第1及び第2のMOSトランジスタが直列に
接続され且つ抵抗性負荷を駆動するインバータを有し、
前記インバータに入力されるクロック信号の反転信号で
あり且つ所定の振幅値を有するクロック信号を、前記第
1及び第2のMOSトランジスタが接続される接続点か
ら出力するインバータ回路において、前記インバータと
第1の電源との間に直列に接続されソース・フォロワと
して作動する第3のMOSトランジスタと、前記インバ
ータを構成する第1及び第2のMOSトランジスタのう
ち前記第3のMOSトランジスタ及び前記抵抗性負荷間
に接続されるMOSトランジスタと同一種類であり、且
つ導通状態に維持された第4のMOSトランジスタ及び
当該第4のMOSトランジスタと第2の電源との間に直
列に接続される抵抗体からなる調整用回路と、前記第4
のMOSトランジスタと前記第1の電源との間に接続さ
れソース・フォロワとして作動する第5のMOSトラン
ジスタと、所望のクロック信号の振幅値に応じた電圧が
非反転入力端子に入力され、前記抵抗体と前記第4のM
OSトランジスタとの間の電圧が反転入力端子に入力さ
れる差動増幅器とを備え、当該差動増幅器の出力は、前
記第3及び第5のMOSトランジスタのゲート電圧とし
て供給されることを特徴としている。
【0010】さらに、請求項3に係るインバータ回路
は、前記インバータと電源との間に接続されるMOSト
ランジスタ及び前記調整用回路と電源との間に接続され
るMOSトランジスタのトランジスタサイズ比と、前記
第4のMOSトランジスタに対応する前記インバータを
構成するMOSトランジスタ及び前記第4のMOSトラ
ンジスタのトランジスタサイズ比とを1対Nとしたと
き、前記抵抗性負荷及び前記抵抗体の抵抗値比を1対
(2×N)とすることを特徴としている。
【0011】なお、電源間に接続されるとは、電位に相
対的な高低差がある二つの電源間(正側電源と負側電源
との間)に接続されることをいう。よって、請求項1に
係るインバータ回路によれば、調整用回路を構成する
OSトランジスタはインバータを構成するMOSトラン
ジスタのそれぞれと同一種類のMOSトランジスタであ
って、調整用回路を構成するMOSトランジスタは導通
状態に維持され、且つ、インバータを構成するMOSト
ランジスタの接続関係と同一の接続関係で接続されてい
る。さらに、調整用回路におけるインバータの出力端子
の配設位置に対応する位置には抵抗体が設けられ、調整
用回路及びインバータには電流値が等しい電流が供給さ
れるので、抵抗体の両端の電圧は、インバータの出力信
号の振幅値と等しくなる。よって、この抵抗体の両端の
電圧を所望の電圧値と一致させる制御信号を4入力差動
増幅器から出力させれば、インバータの出力信号の振幅
値は常に所望の電圧値に一致する。
【0012】また、請求項2に係るインバータ回路によ
れば、第3のMOSトランジスタ及び抵抗性負荷間に接
続されるMOSトランジスタと同一種類の第4のMOS
トランジスタ及び抵抗体間の電圧値を、所望の電圧値と
一致させる制御信号を差動増幅器から出力させるように
すれば、インバータを構成するMOSトランジスタのう
ち、第4のMOSトランジスタに対応するMOSトラン
ジスタの影響によるインバータの出力信号の振幅変動が
防止される。
【0013】さらに、請求項3に係るインバータ回路に
よれば、前記インバータと電源との間に接続されるMO
Sトランジスタ及び前記調整用回路と電源との間に接続
されるMOSトランジスタのトランジスタサイズ比と、
前記インバータを構成するMOSトランジスタ及びこの
MOSトランジスタに対応する前記MOSトランジスタ
のトランジスタサイズ比とが、それぞれ1対Nであると
き、抵抗性負荷及び抵抗体の抵抗値比を1対(2×N)
となるように設定すれば、インバータの出力信号の振幅
変動が防止される。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を説
明する。図1は、本発明におけるインバータ回路の第1
の実施の形態を示したものである。第1の実施の形態に
おけるインバータ回路100は、CMOSインバータ1
0からなるクロック出力部1と、CMOSインバータの
出力振幅値を調整する振幅調整部2とから構成されてい
る。
【0015】前記クロック出力部1は、PチャネルMO
SトランジスタTr12 (第1のMOSトランジスタ)
びNチャネルMOSトランジスタTr13 (第2のMOS
トランジスタ)から構成されるCMOSインバータ10
と、トランジスタTr12のソースと接続され、ソース・
フォロワとして作動するNチャネルMOSトランジスタ
Tr11第3のMOSトランジスタ)とから構成され
る。そして、このCMOSインバータ10の出力端子T
10には、本インバータ回路100の出力信号を受ける、
近似的に容量Cと抵抗R1 (抵抗性負荷)との直列回路
で表される負荷が接続されている。そして、CMOSイ
ンバータ10の入力端子にクロック信号である入力信号
INが入力され、容量Cと抵抗R1 との間の電圧値が
ロック出力信号VOUT として取り出される。
【0016】ここで、VDCは、インバータ回路100の
クロック出力信号 OUT を受信する回路のDC動作点を
表している。また、容量Cは、動作点変換を行うための
直流成分除去用の容量であり、この容量Cの容量値は、
直流成分のみを除去し、信号成分は伝達することのでき
る十分な大きさを持つものとする。そして、トランジス
タTr11とCMOSインバータ10との直列回路が電源
ラインVDD,VSS間に接続される。
【0017】一方、前記振幅調整部2は、トランジスタ
Tr11とCMOSインバータ10との直列回路と並列
に、電源ラインVDD,VSS間に接続される、トランジス
タTr21,Tr22,抵抗R2 (抵抗体),トランジスタ
Tr23がこの順に接続された直列回路と、4入力動増
幅器20とから構成されている。前記トランジスタTr
21 (第6のMOSトランジスタ)は前記トランジスタT
11と同一種類のNチャネルMOSトランジスタであっ
て、同様に、トランジスタTr22 (第4のMOSトラン
ジスタ)はトランジスタTr12と同一種類のPチャネル
MOSトランジスタ,トランジスタTr23 (第5のMO
Sトランジスタ)はトランジスタTr13と同一種類のN
チャネルMOSトランジスタである。そして、トランジ
スタTr22と抵抗R2 とトランジスタTr23とで調整用
回路を構成している。
【0018】そして、トランジスタTr22のゲートは負
電源ライン(VSS)に、またトランジスタTr23のゲー
トは正電源ライン(VDD)にそれぞれ接続され、これら
トランジスタTr22及びTr23は導通状態に維持されて
いる。また、前記トランジスタTr11及びTr21のゲー
トは共に、4入力差動増幅器20の出力側と接続されて
いる。
【0019】この4入力差動増幅器20は、例えば、2
つのバッファアンプAMP1 及びAMP2 とから構成さ
れ、バッファアンプAMP1 の差動入力対には、出力す
るクロック出力信号VOUT の振幅値VSIG の電位差を有
する正電源電圧VPREF及び負電源電圧VNREFがそれぞれ
非反転入力端子及び反転入力端子に入力されるようにな
っている。
【0020】また、バッファアンプAMP2 の差動入力
対には、抵抗R2 の両端の電圧VN1及びVN2が反転入力
端子,非反転入力端子にそれぞれ入力されるようになっ
ている。ここで、電圧VN1はトランジスタTr22と抵抗
2 との間の電圧値、電圧V N2は抵抗R2 とトランジス
タTr23との間の電圧値である。そして、バッファアン
プAMP1 及びAMP2 の出力値が加算器21で加算さ
れてその加算結果が、4入力差動増幅器20の出力信号
ref (制御信号)として出力されるようになってい
る。そして、この出力信号Vref がトランジスタTr11
及びTr21のゲートに供給されるようになっている。
【0021】図2は、4入力差動増幅器20の回路図を
示したものである。この4入力差動増幅器20は、Pチ
ャネルMOSトランジスタTr41,NチャネルMOSト
ランジスタからなるバイアス用のトランジスタTr42
びTr43からなる直列回路が電源ラインVDD,VSS間に
接続され、同様に、PチャネルMOSトランジスタTr
44,NチャネルMOSトランジスタからなるバイアス用
のトランジスタTr45及びTr46からなる直列回路が電
源ラインVDD,VSS間に接続されている。そして、前記
トランジスタTr41とTr44とでカレントミラー回路を
構成しており、これらトランジスタTr41及びTr44
ゲートには、トランジスタTr44のドレイン側の電圧が
供給されるようになっている。また、トランジスタTr
42及びTr45のゲートには所定のバイアス電圧VBIAS2
が供給され、トランジスタTr43及びTr46のゲートに
は所定のバイアス電圧VBIAS1 が供給されるようになっ
ている。
【0022】そして、トランジスタTr41及びTr42
ドレイン電圧が4入力差動増幅器20の出力信号VOUT
として出力されるようになっている。そして、Pチャネ
ルMOSトランジスタからなるトランジスタTr47及び
Tr 48のソースが共通に定電流源IA を介して正電源ラ
インVDDに接続され、トランジスタTr47のドレインが
バイアス用トランジスタTr42とTr43との間に接続さ
れ、トランジスタTr48のドレインがバイアス用トラン
ジスタTr45とTr46との間に接続されている。同様
に、PチャネルMOSトランジスタからなるトランジス
タTr49及びTr50のソースが共通に定電流源IB を介
して正電源ラインVDDに接続され、トランジスタTr49
のドレインがバイアス用トランジスタTr 42とTr43
の間に接続され、トランジスタTr50のドレインがバイ
アス用トランジスタTr45とTr46との間に接続されて
いる。
【0023】そして、トランジスタTr47のゲートに一
方の差動入力信号の非反転信号(V PIN1)が入力され、
トランジスタTr48のゲートに反転信号(VNIN1)が入
力され、同様に、トランジスタTr49のゲートに他方の
差動入力信号の非反転信号(VPIN2)が入力され、トラ
ンジスタTr50のゲートに反転信号(VNIN2)が入力さ
れるようになっている。
【0024】このとき、この4入力差動増幅器20の入
出力の伝達特性は次式(1)で表される。なお、Aは増
幅器の利得であり十分大きいものとする。また、VOUT
(20)は、4入力差動増幅器20の出力信号であるこ
とを表す。 VOUT (20) =A・{(VPIN1−VNIN1)+(VPIN2−VNIN2)} ……(1) 次に、第1の実施の形態の動作について説明する。
【0025】ここで、説明の簡略化のために以下のよう
に仮定する。図1において、トランジスタTr11とTr
21,トランジスタTr12とTr22,トランジスタTr13
とTr23の、各組み合わせのトランジスタのトランジス
タサイズW/Lは同一であり、各トランジスタサイズを
それぞれ、W1 /L1 ,W2/L2 ,W3 /L3 とす
る。なお、Wはゲートの幅,Lはゲートの長さである。
【0026】また、抵抗R1 の抵抗値をr1 ,抵抗R2
の抵抗値をr2 としたとき、これらの間には次式(2)
が成立するものとする。 r2 =2・r1 =2・r ……(2) 今、インバータ回路100のクロック出力信号 OUT
振幅の所望値をVSIGとし、この電位差を有する電圧信
号VPREF及びVNREFを、4入力差動増幅器20のバッフ
ァアンプAMP1 に入力したものとする。
【0027】このとき、4入力差動増幅器20,トラン
ジスタTr21,Tr22,抵抗R2 ,トランジスタTr23
で構成される回路は、負帰還の閉ループを形成するの
で、次式(3)が成立する。 VN1−VN2=VPREF−VNREF=VSIG ……(3) すなわち、4入力差動増幅器20は、抵抗R2 の両端の
電位差、つまり、VN1とVN2との電位差がバッファアン
プAMP1 に入力される差動信号、つまり、クロック出
力信号の所望の振幅値VSIG と一致するようなトランジ
スタTr21のゲート電圧Vref を出力することになる。
【0028】このとき、トランジスタTr21を流れる電
流I1 は、次式(4)で表すことができるので、トラン
ジスタTr21のゲート電圧Vref は、前記(2)及び
(4)式から次式(5)で表すことができる。 I1 =VSIG /r2 ……(4) Vref =VGS21+VDS22+VSIG +VDS23 =VGS21+VDS22+2・r・I1 +VDS23 ……(5) ここで、VGSNはトランジスタTrN のゲート・ソース
間電圧、VDSNはトランジスタTrN のドレイン・ソー
ス間電圧を表すものとする。
【0029】次に、CMOSインバータ10の入力端子
に入力されるクロック信号等の入力信号VINの電圧値
を、“H”(High)のときVDD,“L”(Low)
のときVSSとする。入力信号VINが入力されると、容量
Cと抵抗R1 間の電圧値VOUT2は、容量Cにより直流成
分が除去されるため、その信号成分の振幅をVSIG ′と
すると、次式(6)で表すことができる。また、入力信
号VINが“H”及び“L”のときに抵抗R1 にそれぞれ
流れる電流値I(R1 )は等しく、次式(7)で表すこ
とができる。
【0030】 VOUT2=VDC±(1/2)・VSIG ′ ……(6) I(R1 )={(1/2)・VSIG ′}/r ……(7) さらに、CMOSインバータ10の出力電圧VOUT1の振
幅は、容量Cの容量値が十分大きければ、VSIG ′とな
り、このとき、容量Cの両端の電圧VCAP は一定であ
る。よって、VOUT1の振幅中心値をVOUT1(DC)とす
ると、容量Cの両端の電圧VCAP は次式(8)と表すこ
とができる。
【0031】 VCAP =VOUT1−VOUT2=VOUT1(DC)−VDC ……(8) そして、CMOSインバータ10に入力される入力信号
INが“L”すなわち、VSSであるときには、トランジ
スタTr12はオン、Tr13はオフ状態となるので、電流
は正電源側(VDD)からDC動作点VDC側に流れ、次式
(9)が成り立つ。
【0032】 Vref −VDC =VGS11+VDS12+VCAP +(1/2)・VSIG ′ ……(9) 同様に、CMOSインバータ10への入力信号VIN
“H”すなわち、VDDであるときには、トランジスタT
12はオフ,Tr13はオン状態となるので、電流はDC
動作点VDC側から負電源ライン側(VSS)に流れ、次式
(10)が成り立つ。また、抵抗R1 を流れる電流値I
(R1 )は次式(11)で表すことができる。
【0033】 VDC=(1/2)・VSIG ′−VCAP +VDS13 ……(10) I(R1 )=(1/2)・VSIG ′/r ……(11) よって、前記(9)〜(11)式から、Vref 電圧は次
式(12)のように示すことができる。 Vref =(Vref −VDC)+VDC =VGS11+VDS12+VSIG ′+VDS13 =VGS11+VDS12+2・I(R1 )・r+VDS13 ……(12) したがって、各対応するトランジスタのトランジスタサ
イズは等しいことから、前記(5)及び(12)式よ
り、次式(13)が成り立つことがわかる。
【0034】 I1 =I(R1 ) ……(13) これは、MOSトランジスタのVGS及びVDSは、IDS
大きくなれば電圧降下により大きくなり、IDSが小さく
なれば電圧降下による小さくなることから、もし、仮
に、I(R1 )>I1 であれば、(12)式中のVref
値は(5)式中のVref より大きくなり、I(R1 )<
1 であれば、(12)式中のVref 値は(5)式中の
ref 値よりも小さくなる。そのため、(5)及び(1
2)式中のVref 値が一致するためには、上記(13)
式が成り立つ必要がある。
【0035】よって、前記(5)及び(12)式及び前
記(13)式から、次式(14)が成り立つ。 VSIG ′=VSIG ……(14) したがって、抵抗R1 の抵抗値が既知であれば、抵抗R
2 の抵抗値をその2倍とすることによって所望の振幅値
SIG を有する定振幅クロック信号を発生させることが
できる。
【0036】よって、各トランジスタのゲート・ソース
間電圧,ドレイン・ソース間電圧の温度変化、プロセス
変動,電源電圧変動等によるCMOSインバータ10の
出力信号の依存性は、この依存性に伴う変動分をキャン
セルする電流値を供給するようなゲート電圧Vref がト
ランジスタTr11に供給されるから、CMOSインバー
タ10の出力信号がこれら依存性の影響を受けることは
なく、確実に所望の振幅値を有する定振幅クロック信号
を得ることができる。
【0037】また、このとき、4入力差動増幅器は直流
電圧を発生するだけであり、高速性及び電流供給能力を
必要としないから、容易に且つ安価に定振幅クロック
号を発生するインバータ回路を実現することができる。
なお、上記第1の実施の形態においては、トランジスタ
Tr11〜Tr13及びTr21〜Tr23のそれぞれ対応する
トランジスタのトランジスタサイズ比は等しく、また、
抵抗R1 及びR2 の抵抗値の比を、2・r1 =r2 とし
た場合、すなわち、これらトランジスタ比1対N,抵抗
値比1対(2×N)においてN=1の場合について説明
したが、次式(15)〜(18)の条件下、すなわち、
N=αの場合でも上記と同様の効果を得ることができ
る。なお、トランジスタTrN のトランジスタサイズW
/LをWN /LN と表すものとする。
【0038】 W11/L11=α・W21/L21 ……(15) W12/L12=α・W22/L22 ……(16) W13/L13=α・W23/L23 ……(17) r1 =r2 /(2・α) ……(18) この場合、前記(4)式から、 VSIG =I1 ・r2 が成り立つことから、VOUT2、すなわち、クロック信号
出力VOUT の振幅は、 VOUT =α・I1 ・r1 +α・I1 ・r1 =2・α・I1 ・r1 =2・α・(r1 /r2 )・VSIG と表すことができる。α=1、すなわち、トランジスタ
サイズが等しい場合には、r1 /r2 =1/2と設定す
れば、VOUT =VSIG となる。
【0039】同様に、α=nである場合には、r1 /r
2 =1/(2・n)と設定すれば、VOUT =VSIG とな
り、上記(15)〜(18)式の条件下でも上記第1の
実施の形態が成立することがわかる。次に、本発明の第
2の実施の形態について説明する。図3は、第2の実施
の形態におけるインバータ回路100を示したものであ
る。第2の実施の形態におけるインバータ回路100
は、図1に示す第1の実施の形態におけるインバータ
路100において、振幅調整部2の構成が異なること以
外は同一構成であり、同一部には同一符号を付与してい
る。
【0040】第2の実施の形態における振幅調整部2
は、電源ラインVDD,VSS間にトランジスタTr21 (第
5のMOSトランジスタ),Tr22 (第4のMOSトラ
ンジスタ),抵抗R2 (抵抗体)の直列回路が接続され
ている。そして、トランジスタTr21及びTr11のゲー
トには、4入力差動増幅器20に替えて差動増幅器AM
11の出力信号Vref (制御信号)が供給されるように
なっている。また、トランジスタTr22のゲートには負
電源電圧が印加されて、導通状態に維持されている。
【0041】前記差動増幅器AMP11の反転入力端子に
は、トランジスタTr22と抵抗R2との間の電圧VN1
入力され、非反転入力端子には、クロック出力信号の振
幅値として所望とする電圧値VSIG が入力されるように
なっている。そして、上記第1の実施の形態と同様に、
トランジスタTr11及びTr21はそのトランジスタサイ
ズが同一であり、また、Tr12及びTr22も同一のトラ
ンジスタサイズを有している。また、抵抗R1 とR2
の抵抗値は、r2 =2・r1=2・rを満足するものと
する。
【0042】また、トランジスタTr13は、オン状態で
あるとき、そのドレイン・ソース間電圧は十分低い(V
DS13≒0)ものとする。これは、図1に示す第1の実
施の形態におけるインバータ回路100において、回路
図中のVN2の電圧が略零であることと等価であるから、
この第2の実施の形態においては、トランジスタTr23
を設けていない。
【0043】そして、第2の実施の形態の場合、差動増
幅器AMP11の出力信号Vref は、トランジスタTr22
と抵抗R2 との間の電圧VN1を、クロック出力信号の振
幅値として所望とする電圧VSIG に一致させるように作
動する。よって、上記第1の実施の形態と同様にして、 Vref =VGS21+VDS22+VSIG =VGS21+VDS22+2・r・I1 ……(5′) Vref =(Vref −VDC)+VDC =VGS11+VDS12+VSIG ′ =VGS11+VDS12+2・I(R1 )・r ……(12′) と表すことができるから、 I1 =I(R1 ) ……(13′) VSIG ′=VSIG ……(14′) が成り立つ。
【0044】したがって、上記第1の実施の形態と同様
に、抵抗R1 の抵抗値が既知であれば、抵抗R2 の抵抗
値をその2倍とすることによって所望の振幅値VSIG
有する定振幅クロック信号を発生させることができる。
この場合、トランジスタTr13のドレイン・ソース間電
圧を十分低いものとしてトランジスタTr13の電圧降下
分を考慮していない。しかしながら、上記第1の実施の
形態によれば、電圧変動,温度変動,プロセス変動等に
よるクロック信号の振幅を低下させる誤差要因は全て
されるが、4入力差動増幅器を必要とし、また、抵抗
1 及びR2 の抵抗値の比を精度良く設定するために
は、抵抗R2 を集積回路の外部に設置する必要があり、
集積回路の端子としては2ピンを必要とすることにな
る。これに対し、上記第2の実施の形態では、集積回路
の端子としては1ピンのみでよく、また、通常の簡単な
差動増幅器のみを必要としており、容易に定振幅クロッ
を発生するインバータ回路を実現することができる。
【0045】なお、この第2の実施の形態においても、
上記第1の実施の形態と同様に、トランジスタTr11
びTr12,Tr21及びTr22のそれぞれ対応するトラン
ジスタのトランジスタサイズ比及び抵抗R1 及びR2
抵抗値の比が前記(15)〜(16),(18)式の条
件下でも上記と同様の効果を得ることができる。なお、
上記第1及び第2の実施の形態では、インバータとして
CMOSインバータを適用した場合について説明した
が、これに限らず、例えば、E/E形MOSインバータ
回路等を適用することも可能である。また、上記実施の
形態では、2つのMOSトランジスタで構成されるCM
OSインバータを適用した場合について説明したが、こ
れに限らず、例えば、並列に接続されたPチャネルMO
Sトランジスタ及びNチャネルMOSトランジスタから
なる並列回路にNチャネルMOSトランジスタを直列に
接続して形成されるインバータ等、3つのMOSトラン
ジスタから形成されるインバータを適用することも可能
であり、また、それ以上のMOSトランジスタから形成
されるインバータを適用することも可能である。そし
て、この場合にも、上記と同様に効果を得ることができ
る。
【0046】また、第1及び第2のMOSトランジスタ
としてのトランジスタTr11及びTr12を、Nチャネル
MOSトランジスタで構成した場合について説明した
が、トランジスタTr11及びTr12を、PチャネルMO
Sトランジスタで構成し、これらトランジスタTr11
びTr12を負電源ラインVSS側に設けることも可能であ
り、この場合にも上記と同様の効果を得ることができ
る。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るイン
バータ回路によれば、インバータを構成するMOSトラ
ンジスタの温度変化,プロセス変動,電源電圧変動等に
依存する誤差要因の影響を考慮した電源電圧がインバー
タに供給されるから、インバータの出力信号にこれら誤
差要因の影響に伴う振幅変動が含まれることを防止する
ことができ、所定の振幅値のクロック信号を出力するこ
とができる。また、インバータを構成するMOSトラン
ジスタのうち、ソース・フォロワとして作動するMOS
トランジスタ及び抵抗性負荷間に接続されるMOSトラ
ンジスタによる誤差要因のみを考慮するようにすれば、
集積回路を形成した場合により少ないピン数で定振幅
クロック信号を発生するインバータ回路を実現すること
ができ、また、より簡単な差動増幅器を用いることによ
り容易に出力信号の振幅変動を抑えることができる。さ
らに、調整用回路のMOSトランジスタは、インバータ
を構成するMOSトランジスタと同一種類であれば、こ
れら対応するトランジスタのトランジスタ比に応じて抵
抗性負荷及び抵抗体の抵抗値比を調整すれば、同一規格
のトランジスタを用いなくても同様の効果を得ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるインバータ
回路の構成図である。
【図2】4入力差動増幅の回路図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態におけるインバータ
回路の構成図である。
【図4】従来のインバータ回路の構成図である。
【符号の説明】
1 クロック出力部 2 振幅調整部 10 CMOSインバータ 20 4入力差動増幅器 100 インバータ回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H03K 3/02 H03K 5/08 H03K 3/353 H03K 19/0948 H03F 3/45

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも第1及び第2のMOSトラン
    ジスタが直列に接続され且つ抵抗性負荷を駆動するイン
    バータを有し、前記インバータに入力されるクロック信
    号の反転信号であり且つ所定の振幅値を有するクロック
    信号を、前記第1及び第2のMOSトランジスタが接続
    される接続点から出力するインバータ回路において、前
    記インバータと直列に電源間に接続されソース・フォロ
    ワとして作動する第3のMOSトランジスタと、前記イ
    ンバータを構成する第1及び第2のMOSトランジスタ
    と同一種類であり且つ同一の接続関係で接続され導通状
    態に維持された第4及び第5のMOSトランジスタ及び
    前記第4及び第5のMOSトランジスタ間に介挿された
    抵抗体からなる調整用回路と、当該調整用回路と直列に
    前記電源間に接続されソース・フォロワとして作動する
    第6のMOSトランジスタと、4入力差動増幅器と、を
    備え、当該4入力差動増幅器は、所望のクロック信号の
    振幅値に応じた電圧差を有する正電源電圧及び負電源電
    圧が非反転入力端子及び反転入力端子に入力される差動
    対と、前記抵抗体の両端の電圧がそれぞれ反転入力端子
    及び非反転入力端子に入力される差動対と、前記各差動
    対の出力を加算する加算手段とを有し、当該加算手段の
    出力を前記第3及び第6のMOSトランジスタにゲート
    電圧として供給することを特徴とするインバータ回路。
  2. 【請求項2】 少なくとも第1及び第2のMOSトラン
    ジスタが直列に接続され且つ抵抗性負荷を駆動するイン
    バータを有し、前記インバータに入力されるクロック信
    号の反転信号であり且つ所定の振幅値を有するクロック
    信号を、前記第1及び第2のMOSトランジスタが接続
    される接続点から出力するインバータ回路において、前
    記インバータと第1の電源との間に直列に接続されソー
    ス・フォロワとして作動する第3のMOSトランジスタ
    と、前記インバータを構成する第1及び第2のMOSト
    ランジスタのうち前記第3のMOSトランジスタ及び前
    記抵抗性負荷間に接続されるMOSトランジスタと同一
    種類であり、且つ導通状態に維持された第4のMOSト
    ランジスタ及び当該第4のMOSトランジスタと第2の
    電源との間に直列に接続される抵抗体からなる調整用回
    路と、前記第4のMOSトランジスタと前記第1の電源
    との間に接続されソース・フォロワとして作動する第5
    のMOSトランジスタと、所望のクロック信号の振幅値
    に応じた電圧 が非反転入力端子に入力され、前記抵抗体
    と前記第4のMOSトランジスタとの間の電圧が反転入
    力端子に入力される差動増幅器とを備え、当該差動増幅
    器の出力は、前記第3及び第5のMOSトランジスタの
    ゲート電圧として供給されることを特徴とするインバー
    タ回路。
  3. 【請求項3】 前記インバータと電源との間に接続され
    るMOSトランジスタ及び前記調整用回路と電源との間
    に接続されるMOSトランジスタのトランジスタサイズ
    比と、前記第4のMOSトランジスタに対応する前記イ
    ンバータを構成するMOSトランジスタ及び前記第4の
    MOSトランジスタのトランジスタサイズ比とを1対N
    としたとき、前記抵抗性負荷及び前記抵抗体の抵抗値比
    を1対(2×N)とすることを特徴とする請求項1又は
    2記載のインバータ回路。
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