JP3390853B2 - 箕甲屋根板、箕甲つなぎ板およびそれを用いた箕甲葺屋根 - Google Patents

箕甲屋根板、箕甲つなぎ板およびそれを用いた箕甲葺屋根

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JP3390853B2 JP17036594A JP17036594A JP3390853B2 JP 3390853 B2 JP3390853 B2 JP 3390853B2 JP 17036594 A JP17036594 A JP 17036594A JP 17036594 A JP17036594 A JP 17036594A JP 3390853 B2 JP3390853 B2 JP 3390853B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は箕甲(みのこう)屋根と
呼ばれ、社寺仏閣などの妻側の端部の曲面形状をした屋
根に施工する箕甲葺用の屋根板および箕甲つなぎ板、お
よびそれを用いて葺成された箕甲葺屋根に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来より、社寺仏閣の建物は、古くから
の伝統的な形状に基づいて作製されており、屋根なども
複雑な曲面を組み合わせた形状となっているものが多
い。そしてこの様な形状の屋根面に銅板などの屋根板を
施工するのは、外観上の問題や施工の時の板取りや割付
などの作業が困難であり、熟練した作業者が慎重に行わ
なければ実施できない作業であった。図16はこの様な
屋根の側面図であって、施工の完成した状態のものを示
すが、屋根の中央部分はほぼ平坦であるため、通常の一
文字葺屋根が施工してあり、一文字葺屋根材Aを中央部
分より左右方向に振り分けて連続して順次施工して行く
ものである。
【0003】ところで屋根の側端部の妻側F付近では、
通常の一文字葺屋根板の終了端を基線Gとし、その屋根
の頂点部Hを中心に屋根勾配の流れ方向に向かって同心
円状の曲線を持つ屋根板にて葺上げられている。この部
分は通常箕甲(みのこう)と呼ばれ、このような場所に
通常の一文字葺屋根板Aを葺いて行くと、平面状の屋根
板を建物形状に合わせて曲面状に曲げながら葺上げるこ
とになり、葺く作業を続行していくと曲面の始まりから
妻側方向になるほど次第に軒先側である下方に下がって
しまうことになる。そこで、このような場所では屋根板
も曲面に沿って葺かなければならず、したがって、箕甲
部分の曲面形状に適合した形状であり、且つ中央部分の
一文字葺屋根材と曲面部分とが違和感なく自然に連続
し、且つ下方に下がったりしないような特殊な形状の屋
根材が必要である。すなわち、このような曲面が複雑に
組合わさった妻側の箕甲部分は、通常の一文字葺屋根板
ではなく、その曲面に適合した屋根板形状のものにする
必要があった。また、この中央部分の一文字葺屋根材と
箕甲部分との境界が不自然に連続したりすると、雨仕舞
等にも問題を生じ、施工後の外観も見苦しいものとなる
ので、この点の配慮も必要であった。
【0004】従来、この様な箕甲部分を施工する場合、
たとえば屋根の妻側の平面部と曲面部との境を基線Gと
した頂部Hを中心として定め、その点を中心に同心円状
の円弧を描いて割付けを行い、原寸大の形板を作るため
に割付線の曲率を求めたり、あるいはその曲面を測定
し、そして、形板に合わせて材料取りを行い、一枚一枚
異なった曲率と曲面を持つ形状の箕甲屋根板を製作する
ことが行われていた。このような屋根板の上辺と下辺の
曲率を合わせると共に、屋根の曲面に合わせた湾曲形状
に製作するのは熟練と手間を必要とするものであった。
また実際には雨仕舞を完全にして施工するのも困難であ
り、このような箕甲部分の屋根葺きは、施工に際しては
多大な労力と時間がかかるものであった。
【0005】その他にも上記したように一文字葺屋根板
との連続性を考えると、中央付近の一文字葺屋根板は上
下方向の縦ハゼが重ならないように水平方向の屋根板幅
の半分ずつをずらして施工するため、曲面に係る場所で
は水平部分と曲面部分との両方に跨る屋根板が、屋根の
流れ方向に一段間隔で必要となるという問題もある。こ
の様な場所に使用する屋根板は、箕甲つなぎ板が必要な
部材となるが、この箕甲つなぎ板も箕甲屋根板と同様
に、製作施工の作業は熟練を要するものであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、従来
の箕甲葺屋根の施工は、屋根の曲面形状に適合した箕甲
屋根板を一枚ずつ寸法取りをして曲面形状に合った湾曲
形状のものを製作しなければならず、このような作業は
長年の熟練と手間がかかり、施工に際しても一枚ずつ全
部が形状の異なる屋根板を定まった位置に正確に施工し
なければならず、これは多大な労力と時間がかかるとい
う問題があった。また寸法取りのような作業は、特に勾
配の急な社寺の屋根の高所で行うことになり、安全性の
面でも問題があり、そのため正確な寸法取りが難しくな
るとともに、寸法取りの正確さに欠けると雨仕舞や施工
上がりの外観にも影響を与えるという問題があった。
【0007】本発明は、従来の技術における上記のよう
な問題を解決することを目的としてなされたものであ
る。したがって、本発明の目的は、複雑な曲面を有する
箕甲屋根に対して、迅速かつ簡単に施工作業を行うこと
が可能な箕甲屋根板を提供することにある。本発明の他
の目的は、上記箕甲屋根板を施工するために用いる箕甲
つなぎ板を提供することにある。本発明のさらに他の目
的は、上記箕甲屋根板を用いて施工した箕甲葺屋根を提
供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記のよ
うな課題を解決するために鋭意検討した結果、予め一定
の曲率と湾曲形状を有する箕甲屋根板および箕甲つなぎ
板を作製し、それらを用いて箕甲屋根を施工すると、従
来の技術における上記のような問題を解決することがで
きることを見出だし、本発明を完成するに至った。
【0009】本発明の箕甲屋根板について、その一実施
例である図1およびその展開図である図2により説明す
ると、本発明の箕甲屋根板は、扇形状の金属薄板1の四
隅を三角形状に切欠き、両側端縁の右係合片11および
左係合片12をそれぞれ上面側あるいは下面側に隙間を
設けて折曲して右および左係合部を形成し、上端縁の上
係合片13を隙間を設けて上面側に折曲して上係合部を
形成し、下端縁の下係合片14を隙間を設けて下面側に
折曲して下係合部を形成し、且つ該金属薄板の中央部か
ら両側端に向かって湾曲面を形成してなることを特徴と
する。また、本発明の箕甲つなぎ板は、中央部より一側
端方向が四角形状であり、他側端方向が扇形状の金属薄
板の四隅を三角形状に切欠き、両側端縁の係合片をそれ
ぞれ上面側あるいは下面側に隙間を設けて折曲して右お
よび左係合部を形成し、上端縁の上係合片を隙間を設け
て上面側に折曲して上係合部を形成し、下端縁の下係合
片を隙間を設けて下面側に折曲して下係合部を形成し、
且つ該金属薄板の扇形状部分に湾曲面を形成してなるこ
とを特徴とする。本発明の箕甲葺屋根は、上記の箕甲屋
根板の曲率の異なる複数種を用い、曲率の小さな箕甲屋
根板を上方に、曲率の大きな箕甲屋根板を下方に配置し
て葺成してなることを特徴とする。その場合、上記箕甲
つなぎ板の曲率の異なる複数種を用い、該箕甲つなぎ板
を屋根勾配の流れ方向に対して一段おきに配置し、箕甲
屋根板と組み合わせて順次係合して施工すればよい。
【0010】本発明において、箕甲屋根板および箕甲つ
なぎ板に用いる金属薄板としては銅板が好ましく使用さ
れる。またその形状は扇形であるが、両側端縁の右およ
び左係合片は、上下両端では密着して折り曲げられてお
り、かつ、中央部分に隙間を設けた係合部が形成されて
いる。
【0011】
【作用】本発明の箕甲屋根板および箕甲つなぎ板は、上
記の構造を有するから、隣接する箕甲屋根板または箕甲
つなぎ板との間で、側部の係合片の上部と下部の係合深
さを変えることが可能であり、したがって、箕甲部分の
曲率がある程度変化して箕甲屋根板の湾曲面に対応しな
くなっても、係合の角度および深さを調節することによ
って対応することが可能になる。すなわち、箕甲屋根板
の側端に形成した右および左係合部の係合範囲を、適宜
ずらして調整すれば、様々な形状に曲成した屋根に広く
応用でき、雨仕舞模も完全なものであり施工後の外観も
極めて良好なものとなる。したがって、あらかじめ一定
の曲率と湾曲形状を有する複数種、例えば2種または3
種の箕甲屋根板および箕甲つなぎ板を形成しておき、必
要に応じて適した曲率形状を持つものを選択して施工す
ればよく、それによって、屋根の大小を問わず殆どの曲
成された箕甲部分に適応できるようになる。
【0012】例えば、R1300mm、R3000m
m、R4000mmなどの曲率を持つ2種類ないし3種
類の箕甲屋根板を用意しておき、この曲率の異なる箕甲
屋根板および箕甲つなぎ板を組み合わせて用いることに
よって、広範囲の長さや曲率をもった曲面の屋根に適合
して容易に施工ができるようになる。また一文字葺屋根
板と連続させて曲面に施工するときは、前記したように
基線Gを境として一方が平坦な箕甲つなぎ板を使用する
ことにより、より完全に施工できるものとなる。また扇
形状を有する箕甲屋根板は、四隅部が三角形状に切り欠
いて折曲されて係合片が形成されているために、係合片
の両先端が切り欠かれた状態になっており、その結果、
係合作業がスムースに行えるとともに、先端で他の屋根
板を傷つけたりすることもなく安全に作業が行えるよう
になる。
【0013】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳記
する。図2は図1の本発明の箕甲屋根板を展開した平面
図である。図中、扇形状の金属薄板1の四つの周縁に沿
った破線は折り線を表しており、四隅は三角形状の切欠
き部15を有し、この切欠き部15は折り線の交点より
外方を斜めに切断して形成される。扇形状の金属薄板と
しては、例えば、厚さ0.4mm程度の銅板を使用する
のが好ましい。三角形状の切欠き部は、この折り線を二
本横切るような位置で切断して形成するのが望ましい。
この切欠き部15によって、下記に示す折曲した係合片
の端部が切り込まれた形状となり、係合作業が容易にな
ると共に、後述するように係合部分の自由度ができるた
め、係合した後の微調整が可能になるのである。次に、
右側端縁の右係合片11を折れ線によって本体の下面側
に隙間を設けて折曲して右係合部を形成し、また、左側
端縁の左係合片12を折れ線によって本体の上面側に隙
間を設けて折曲して左係合部を形成する。図3はその状
態を示す平面図である。各係合部の隙間は、金属薄板の
厚さより大きくする必要があるが、厚さ0.4mmの銅
板を用いる場合には、1.5mmないし2mm程度が作
業上も良好である。
【0014】次に、上端縁の上係合片13を隙間を設け
て上面側に折曲して立上げ、一方、下端縁の下係合片1
4を隙間を設けて下面側に折曲して垂下させ、この立上
げ及び垂下させた各係合片13及び14に、波状のロー
レット加工をほぼ全長にわたって施すのが好ましい。図
4はその状態を示す斜視図であり、図5はその部分拡大
図である。このローレット加工は、係合片を曲線状の折
り曲げ線にそって折曲するため、上係合片については、
上辺で材料が余り、また、下係合片については、下辺で
引伸ばされた状態になるので、それらの調整を図るため
に行われる。また、ローレット加工をすることにより、
屋根板の曲面部の曲率を変化調整させることが可能にな
り、建物の屋根下地の曲面部になじませて施工すること
も容易になる。ローレット加工の長さや深さは、適宜決
めればよく、この実施例の場合には、長さ12mm深さ
は1mm程度を採用した。
【0015】上記のようにローレット加工を施した上下
各係合片を更に折曲して上下各係合部を形成するが、上
係合片の場合は、上端縁の左側はやや大きな曲率をもっ
て折曲し、右側はやや小さな曲率を持って上面側に折曲
するのが好ましく、一方、下係合片14の場合は、下端
縁は右側をやや大きな曲率をもって折曲し、左側はやや
小さな曲率をもって下面側に折曲するのが好ましい。そ
の理由は、上記のように上下各係合片の左右の曲率を変
えて折曲すると、屋根板同士を嵌入させて係合する時に
係合を円滑に行えるようになることによる。この際、右
側部および左側部の各係合部においては、右および左係
合片の上端部および下端部は潰されて、隙間の存在しな
い密着状態になり、それぞれ上係合部13a及び下係合
部14aが形成される。図6はその状態を説明する図で
あって、図1のB1−B1線断面図である。上記のよう
にして形成された各係合部を有する金属薄板は、図1に
示すように、その中央部から両側端に向かって湾曲面を
形成するように湾曲させて本発明の箕甲屋根板が形成さ
れる。図7は、そのその状態を説明する図であって、図
1のB2−B2線断面図である。図7に示すように、本
発明の箕甲屋根板は、その水平方向の断面が弓状に湾曲
している。
【0016】本発明の箕甲屋根板においては、金属薄板
周囲の上係合片13と下係合片14の隅部E(図1参
照)が三角状に切欠き部15によって先端がカットされ
た形状になっており、このため係合作業が引っかかった
りせずに円滑に行えると共に、作業の安全も図れるもの
である。また、後述するように係合部分の自由度ができ
るため、係合した後の微調整が可能となるものである。
【0017】図8及び図9は、本発明の箕甲屋根板の他
の実施例を示すものであり、図8は展開図、図9は斜視
図である。この実施例は、両側端縁の右および左係合片
が上下両端より中央に向かって漸次幅広になっている例
を示す。図において、扇形状の金属薄板1の側部係合片
11および12の幅を弓弧状に中央部分を幅広くし、係
合する際の調整をより効果的に行える形状にしている。
この箕甲屋根板の場合、係合した場合に、中央部分の幅
広の部分を頂点に傾斜して係合可能なものとなるため、
係合した際の状態を変化させることが容易になる。
【0018】次に、本発明の箕甲つなぎ板について説明
する。図10は、箕甲つなぎ板の展開図である。箕甲つ
なぎ板は、上記箕甲屋根材と一文字葺屋根板とを接続す
るために使用されるものであって、中央部より一側端方
向が四角形状であり、他側端方向が扇形状の金属薄板2
が使用される。この金属薄板の四隅を三角形状に切欠
き、切欠き部25を形成する。両側端縁の右および左係
合片21及び22をそれぞれ上面側あるいは下面側に隙
間を設けて折曲し、右および左係合部を形成する。(図
11参照)次いで、上端縁の上係合片23を隙間を設け
て上面側に折曲して立上げ、一方、下端縁の下係合片2
4を隙間を設けて下面側に折曲して垂下させる。この立
上げ及び垂下させた各係合片の曲率をもった部分に、波
状のローレット加工をほぼ全長にわたって施すのが好ま
しい(図12参照)。次いで、上下係合片を更に折曲し
て上下係合部を形成する。この際、右側部および左側部
の各係合部においては、右および左係合片の上端部およ
び下端部は潰されて、隙間の存在しない密着状態にな
り、それぞれ上係合部23a及び下係合部24aが形成
される(図14参照)。また、上係合部の隙間は、この
例では右方向の端部は幅広く(たとえば4mm程度)な
っており、左方向の端部の隙間は幅狭く(たとえば2m
m程度)となっている。これは屋根板同士の嵌合を容易
にするためのものである。また、下係合部の隙間は、反
対に右端部より左端部の方の幅が広くなっている。
【0019】上記のようにして形成された各係合部を有
する金属薄板は、その扇形状部分に湾曲面が形成される
ように湾曲させる。図13は上記のようにして作製され
た本発明の箕甲つなぎ板の斜視図であり、左側半分は一
文字葺屋根板と連続させるために平坦な角形となり、右
側は曲率を有して曲成され、また下方に湾曲している。
その水平方向の断面は、中央部から一方に向かって弓状
に湾曲している。図15はその状態を示すものであっ
て、図13のD2−D2線断面図である。なお、箕甲つ
なぎ板は、上記と逆の関係に形成してもよい。すなわ
ち、右側半分を一文字葺屋根板と連続させるために平坦
な角形とし、左側に曲率をもたせて下方に湾曲させる。
【0020】次に、本発明の上記箕甲屋根板および箕甲
つなぎ板を用いて箕甲部分に施工して、箕甲葺屋根を葺
成する場合について説明する。図17は上記の箕甲屋根
板を使用して葺成された本発明の箕甲葺屋根の側面図を
示す。屋根の中央付近は通常の一文字葺屋根材Aが施工
されているが、妻部F付近の屋根形状は建物の内方につ
ぼまるような曲面形状となっており、この部分が通常箕
甲と呼ばれている部分である。本発明の箕甲屋根板およ
び箕甲つなぎ板は、この箕甲屋根に施工される。すなわ
ち、箕甲部分に本発明の箕甲屋根板Bを施工するが、箕
甲屋根板Bの大きさは、一文字葺屋根材Aとほぼ同様の
ものが使用され、特に屋根の流れ方向の長さは同一であ
るものが好ましい。この箕甲屋根板Bは、水平方向に連
続して施工される。箕甲屋根板Bの上下の端縁は屋根と
ほぼ適合して形成されているので、側部は曲率の中心方
向に向かってハ字状をなし全体は略扇状となっている。
【0021】本発明の箕甲屋根板Bを配置する場合、箕
甲部分では、箕甲屋根板B同士を係合して施工するが、
その場合、箕甲屋根の比較的上部には、比較的小さな曲
率を有する箕甲屋根板(図18(a))が使用され、数
段分施工する。例えば、上縁の曲率が約R1300mm
に成形された箕甲屋根板を、屋根の上端から1300m
m程度の距離に施工する。その際、この前後の距離では
曲率が適合しないことになるが、その時は後述するよう
に側部の係合片の係合状態を調整して適合させればよ
い。次にその下部に上記のものよりも曲率の大きい箕甲
屋根材(図18(b))を配置するように数段分施工す
る。例えば、曲率をR3000mmに成形したものを、
同様の使用方法で施工する。屋根がさらに大きな場合に
は、必要に応じ、さらに曲率の大きな箕甲屋根板(例え
ば、R4000mm)を用いて施工すればよい。上記の
ように、本発明の箕甲屋根材は、側部の係合片によって
形成される係合部が調整可能な構造を有しているので、
曲率の異なる2種類ないし3種類の箕甲屋根板を用意し
ておけば任意の屋根に適応して施工できるのである。
【0022】屋根の箕甲部分と平らな部分との境界領域
では、本発明の箕甲屋根板を一文字葺屋根板Aと直接
に、或いは「かすがい」と呼ばれる屋根板Dまたは本発
明の箕甲つなぎ板Cと接続して施工される。
【0023】図19ないし図21は、かすがいDの構造
を説明する図であって、図19はかすがいの斜視図、図
20は展開図、図21は平面図である。四隅に細長三角
状の切欠き部35を設けた略四辺形状の金属薄板3の周
縁の係合片31〜34を折曲して係合部を設けるが、金
属薄板3の右側端は下面側に隙間を設けて曲成して右係
合部となし、左側端は隙間を設けて下面側に曲成して左
係合部を形成する。次に、側部の係合片の隙間を維持し
つつ、上縁の係合片33を隙間を設けて上面側に曲成し
て上係合部を形成し、下縁の係合片34を隙間を設けて
下面側に曲成して下係合部を形成する。このそれぞれの
係合片の幅は約15mm程度が望ましいが、20mm程
度でも十分な効果が得られるので適宜な幅に設計すれば
よい。この際、上係合片33の隙間は図示例では右方向
から左方向に従って広くなっており、これはこの隙間で
他の屋根板の側部を嵌入して係合させるためであり、下
係合片34は反対に左方向から右方向にしたがって広く
なっており、これは係合させるための当然の形状であ
る。
【0024】以上のように、箕甲屋根板Bを、かすがい
Dや箕甲つなぎ板Cと組み合わせて施工して行くが、隙
間を設けて下面側に折曲した右係合部の隙間に、つぎに
施工する箕甲屋根板Bの左係合片を差込んで水平方向に
施工して行く。箕甲つなぎ板を使用する場合、屋根勾配
の流れ方向に対して一段おきに配置し、箕甲屋根板と組
み合わせて順次係合して施工すればよい。また、かすが
いDも一段おきに配置して施工すればよい。
【0025】施工に際して、曲率の調整が必要なときに
は係合部分の深さを変えることになる。図22および図
23はその場合を説明する図である。本発明の箕甲屋根
板は、上記の構造を有する係合部を有しているから、左
側の箕甲屋根板の右係合部11aに挿入される右側の箕
甲屋根板の左係合片12の上部と下部の深さを、ある程
度の範囲で自由に変更し、調整することが可能になる。
したがって、図22および図23において、上部の係合
部分の幅が幅広のW1の時に下部の係合部分の幅は狭い
W3となり、また反対に上部が狭いW2の時には下部が
幅広のW4となって屋根に適合した曲率に変化させて施
工できるものである。
【0026】なお、これまで屋根の水平方向の係合につ
いて記載したが、屋根の流れ方向である上下方向には、
下部に位置する屋根板の上係合片13と上部に位置する
屋根板の下係合片14とを係合して施工していけばよ
い。施工して行く際には図示していないが、屋根の野地
板などに吊子で適宜固定していくのは通常の一文字葺と
同様である。また、本実施例では、右葺きの屋根材を図
示したが、左葺きの場合はその形状を対称とすればよ
い。
【0027】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の箕甲屋根
板は、その側端に形成した右および左係合部の係合範囲
を、適宜にずらして調整すれば、様々な形状に曲成した
屋根に広く応用でき、雨仕舞も完全なものであり施工後
の外観も極めて良好なものとなる。また、本発明の箕甲
屋根板は、曲率の異なる複数種、例えば2種類あるいは
3種類のものを用意することによって、複雑な曲面を有
する殆どの屋根に対して施工できるものとなる。すなわ
ち、本発明の箕甲屋根板の上下の端縁は緩やかな曲線と
なっているが、この曲率を屋根の上部を葺くものについ
ては、例えばR1300mmとし、また屋根の下部を葺
くものについてはR3000mmとし、場合によっては
さらにR4000mm等の曲率を有するものとするもの
を作製しておけば、2種類ないし3種類のものを用意し
ておくだけで、殆どの屋根形状の曲面に対応できるよう
になる。したがって、本発明によれば、従来のように複
雑で難しい寸法取りや板裁ちなどの作業を必要とせず、
作業も安全にして迅速に行うことが可能になる。また、
本発明の箕甲屋根板および箕甲つなぎ板は、その隅部が
三角形状に切り欠いてあることにより、折曲したときに
係合片の先端部分が鈍角状に切断した形状となり、係合
作業の際に引っかかったりせずに施工でき、また、先端
で他の屋根板を傷つけたりすることもなく、作業の安全
も図れるという効果もある。そして、本発明の箕甲つな
ぎ板を用いて葺成された箕甲葺屋根は、屋根の水平方向
の線がなだらかに連続しているため施工後の外観が極め
て良好なるものであり、雨仕舞にも優れ施工の容易さな
ど、従来よりの手作りした箕甲つなぎ板では期待し得な
いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例の箕甲屋根板の斜視図。
【図2】 本発明の実施例の箕甲屋根板を展開したとき
の平面図。
【図3】 図2の箕甲屋根板の側端縁の係合片を折曲し
たときの平面図。
【図4】 図2の箕甲屋根板の側端縁の係合片を折曲
し、上下の端縁の係合片を折曲する途中の斜視図。
【図5】 図4に於ける箕甲屋根板のロ−レット部(B
3)の拡大図。
【図6】 図1に於けるB1−B1断面図。
【図7】 図1に於けるB2−B2断面図。
【図8】 本発明の他の実施例の箕甲屋根板を展開した
ときの平面図。
【図9】 本発明の他の実施例の箕甲屋根板の斜視図。
【図10】 本発明の実施例の箕甲つなぎ板を展開した
ときの平面図。
【図11】 図10に於ける箕甲つなぎ板の左右の係合
片を折曲した時の斜視図。
【図12】 図10に於ける箕甲つなぎ板の上下端縁の
係合片を立上げた時の斜視図。
【図13】 本発明の実施例の箕甲つなぎ板の斜視図。
【図14】 図13に於けるD1−D1断面図。
【図15】 図13に於けるD2−D2断面図。
【図16】 箕甲部分を有する屋根の側面図。
【図17】 本発明の箕甲葺屋根の側面図。
【図18】 本発明の箕甲屋根板の平面図で、(a)曲
率の小さいもの、(b)は曲率の大きいものを示す。
【図19】 かすがいの斜視図。
【図20】 かすがいを展開したときの平面図。
【図21】 完成したかすがいの平面図。
【図22】 本発明の箕甲屋根板を係合して係合状態を
調整する場合を説明する説明図。
【図23】 本発明の箕甲屋根板を係合して係合状態を
調整する場合を説明する説明図。
【符号の説明】
A…一文字葺屋根材、B…箕甲屋根板、C…箕甲つなぎ
板、D…かすがい、E…隅部、F…妻部、G…基線、H
…頂点部、1…金属薄板、11…右係合片、11a…右
係合部、12…左係合片、13…上係合片、13a…上
係合部、14…下係合片、14a…下係合部、15…切
欠き部、2…金属薄板、21…右係合片、22…左係合
片、23…上係合片、24…下係合片、25…切欠き
部、3…金属薄板、31…右係合片、32…左係合片、
33…上係合片、34…下係合片、35…切欠き部。

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 扇形状の金属薄板の四隅を三角形状に切
    欠き、両側端縁の係合片をそれぞれ上面側あるいは下面
    側に隙間を設けて折曲して右および左係合部を形成し、
    上端縁の上係合片を隙間を設けて上面側に折曲して上係
    合部を形成し、下端縁の下係合片を隙間を設けて下面側
    に折曲して下係合部を形成し、且つ該金属薄板の中央部
    から両側端に向かって湾曲面を形成してなることを特徴
    とする箕甲屋根板。
  2. 【請求項2】 両側端縁の右および左係合片が上下両端
    より中央に向かって漸次幅広になっている請求項1に記
    載の箕甲屋根板。
  3. 【請求項3】 扇形状の金属薄板における上端縁の上面
    側に折り返した上係合片、及び下端縁の下面側に折り返
    した下係合片に連続した波形のロ−レット加工を施して
    なる請求項1または請求項2に記載の箕甲屋根板。
  4. 【請求項4】 金属薄板が銅板であることを特徴とする
    請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の箕甲屋根
    板。
  5. 【請求項5】 中央部より一側端方向が四角形状であ
    り、他側端方向が扇形状の金属薄板の四隅を三角形状に
    切欠き、両側端縁の係合片をそれぞれ上面側あるいは下
    面側に隙間を設けて折曲して右および左係合部を形成
    し、上端縁の上係合片を隙間を設けて上面側に折曲して
    上係合部を形成し、下端縁の下係合片を隙間を設けて下
    面側に折曲して下係合部を形成し、且つ該金属薄板の扇
    形状部分に湾曲面を形成してなることを特徴とする箕甲
    つなぎ板。
  6. 【請求項6】 扇形状の金属薄板の四隅を三角形状に切
    欠き、両側端縁の係合片をそれぞれ上面側あるいは下面
    側に隙間を設けて折曲して右および左係合部を形成し、
    上端縁の上係合片を隙間を設けて上面側に折曲して上係
    合部を形成し、下端縁の下係合片を隙間を設けて下面側
    に折曲して下係合部を形成し、且つ該金属薄板の中央部
    から両側端に向かって湾曲面を形成してなる箕甲屋根板
    の曲率の異なる複数種を用い、曲率の小さな箕甲屋根板
    を上方に、曲率の大きな箕甲屋根板を下方に配置して葺
    成してなる箕甲葺屋根。
  7. 【請求項7】 中央部より一側端方向が四角形状であ
    り、他側端方向が扇形状の金属薄板の四隅を三角形状に
    切欠き、両側端縁の係合片をそれぞれ上面側あるいは下
    面側に隙間を設けて折曲して右および左係合部を形成
    し、上端縁の上係合片を隙間を設けて上面側に折曲して
    上係合部を形成し、下端縁の下係合片を隙間を設けて下
    面側に折曲して下係合部を形成し、且つ該金属薄板の扇
    形状部分に湾曲面を形成してなる箕甲つなぎ板の曲率の
    異なる複数種を用い、該箕甲つなぎ板を屋根勾配の流れ
    方向に対して一段おきに配置し、箕甲屋根板と組み合わ
    せて順次係合して施工してなる請求項6に記載の箕甲葺
    屋根。
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