JP3389573B2 - ショーツ、水着等の衣料 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、ショーツ、ブリーフ、水着等の衣料に関す
る。 背景技術 人が直立姿勢から椅子に座る姿勢や腰を曲げたり、屈
む姿勢などに変えると、ヒップ下半の体形が大幅に変化
し、ヒップ下半部の皮膚がよく伸びる。実測例による
と、通常体形の人の直立姿勢時に臀溝部からヒップ頂部
付近までの皮膚の上下間距離が１５cm であったのに対
し、椅子に座る姿勢になると前記距離が２５cm も伸び
る。一般的なショーツや水着のヒップ裾ライン（足口内
周のほぼ後ろ半分）は、このようなヒップ下半部の皮膚
が最も伸び縮みする位置にあって不安定であるため、着
用していても、図７に示すごとくそのショーツ１０のヒ
ップ裾ライン１５ａがＣ位置からＤ位置の方向に少しず
つずり上がってきて不快感を与えている。したがって、
時折、ずり上がったヒップ裾ライン１５ａを手で引き下
ろしている。 従来、こうしたショーツのヒップ裾ラインのずり上が
りをパターン（カッティング方法）で防止する手段とし
て、例えば、図９にその前身頃１１、後身頃１２及びま
ち部１３を展開して示すように、後身頃１２の足口１５
内周のヒップ裾ライン１５ａを破線Ｆで示すごとく足口
中心方向に伸ばす形にカッティングしてヒップの包み込
みが深くなるようにダーツ縫いしたものがある。また、
図１０に示すように、後身頃３０と側部片３１がウエス
ト部３２からヒップ裾ライン３３に亘るヒップの頂部Ｔ
を通過するように縫合され、後身頃３０と側部片３１と
の間で長く大きなダーツを採ることによってヒップを包
み込むようにしたものがある（実用新案登録第３０２２
９４９号）。 しかるに、図９に示すごとく後身頃１２のヒップ裾ラ
イン１５ａを足口１５中心方向に伸ばす形にカッティン
グしてヒップの包み込みが深くなるようにしたもので
は、座り姿勢の時に伸ばした分だけ、直立姿勢時に弛み
じわとなり、見苦しくなりやすかった。 また、図１０に示すごとく後身頃３０の縫合線Ｌがウ
エスト部３２からヒップ裾ライン３３に至るヒップの頂
部Ｔを通過するカッティング方法によって長くて大きな
ダーツを得るようにしたものでは、突出したヒップ部全
体をすっぽりと包み込むことができる。しかしながら、
ヒップ回りの寸法が同じ人でもその形は十人十色で丁度
ヒップにフィットする人は数少ない。また、伸縮性のあ
る生地もヒップ頂部Ｔを通過する縫合線Ｌ部分では生地
それ自体がもつ伸縮性が低下半減し、このため、座った
り、立ったりする動作に伴って生じるヒップの頂部Ｔの
動きが前記縫合線Ｌ部分で抑えられることになる。その
ため、このヒップ頂部Ｔの動きに対応してヒップ裾ライ
ン３３のずり上がりを万人に対して満足に防止するには
後身頃３０と側部片３１との間で特に長く大きなダーツ
を採る必要があるが、これでは座り姿勢でヒップにフィ
ットしていたダーツ部分が直立姿勢になると弛みを起こ
し、ヒップ下部、臀溝部に弛みじわやだぶつきが多く発
生し、ヒップ裾ラインの美しさを損なうのであった。 言い換えれば、図１０に示すごとく後身頃３０の縫合
線Ｌがヒップ頂部Ｔを通過するカッティング方法では、
そうしたヒップ下部、臀溝部における弛みじわやだぶつ
きを少なくしようとすると、ヒップを広く深く包み込む
ことができず、ヒップ裾部のずり上がり防止効果は低下
半減することになる。 また、後身頃３０の縫合線Ｌがヒップ頂部Ｔを通過す
るようにした図１０に示すショーツにおいては、とくに
座り姿勢時に、最も高く突出するヒップ頂部Ｔに後身頃
３０の縫合線Ｌ部分が強く密着するため、違和感を与
え、肌触り感が悪くなり、またタイトな薄い外衣を着用
したときにはその縫合線Ｌに沿ったラインが外衣に顕著
に出やすくて目に付きやすいという悪影響を及ぼすので
あった。 発明の開示 本発明は、上記従来の問題点を解決するためになされ
たもので、ヒップ裾ラインのずり上がり防止を確保し得
ながら、直立姿勢時にヒップ下部、臀溝部に弛みじわや
だぶつきが殆ど生じることがなくて美しいヒップ裾ライ
ンを出すことができ、着用感も良好にするショーツ、水
着等の衣料を提供することを目的とする。 本発明のショーツ、水着等の衣料は、図４及び図８に
例示するごとく、下方開放状の足口１５を左右対称に形
成した伸縮性を有する前身頃１１の左右端縁１６，１６
の各下端部を、左右の足口内周のヒップ裾ライン１５
ａ，１５ａの下端部と交差させ、かつ、前記左右端縁１
６，１６の各上下方向中間部から下端部までの間の部分
を外方へ凸形の曲縁１６ａでつなぐ形に裁断し、該曲線
１６ａの上下方向中間部より下方部１６ｂは直線または
曲線状に形成してあり、伸縮性を有する後身頃１２はこ
れの左右端縁１９，１９の各上下方向中間部から下端部
までの間の部分１９ａが下方拡がりの形に裁断してあ
り、しかも、後身頃１２の左右端縁１９，１９の下端部
間の幅（Ｐ）は上記前身頃１１の左右端縁１６，１６の
下端部間の幅（Ｈ）に対して０．６倍以上で６倍以下に
設定され、これら後身頃１２の左右端縁１９，１９と前
身頃１１の左右端縁１６，１６とは縫合され、この縫合
線Ｌが図５に例示するごとく後部ウエスト部２４，２５
からヒップの頂部Ｔより外側に迂回してヒップ裾ライン
１５ａに至るように形成していることに特徴を有するも
のである。 このように設定、裁断、及び縫合して得られた衣料に
よれば、未着用状態でヒップ部裾回りの体型に近い立体
的な適度の膨らみを得ることができるため、着用時には
ヒップ裾ラインが臀溝部に深くフイットしてヒップ下部
を深く包み込むことができることになり、激しく腰を曲
げるなどして動いてもヒップ裾ラインのずり上がりをよ
く防止できる。 とくに、前身頃と後身頃の縫合線がヒップ頂部を避け
て、その頂部の外側に迂回するというパターンになるた
め、ヒップ下部を深く包み込むようにヒップ裾線を下方
に延出させるパターンを採用しても、前身頃と後身頃の
縫合線がヒップ頂部を通るようにした前出の従来のもの
の場合のように直立姿勢時にヒップ下部、臀溝部に弛み
じわやだぶつきを殆ど出す事なく、ヒップを広く深く包
み込むこと可能となる。 また、前身頃と後身頃の縫合線がそのようにヒップ頂
部を避けて、その頂部の外側に迂回させていると、ヒッ
プ頂部を後身頃のヒップ頂部の生地自体がもつ伸縮性を
確保することもでき、この伸縮性によりヒップ頂部の動
きによく対応できるため、ずり上がり防止のためのダー
ツの長さや大きさは後身頃の縫合線をヒップ頂部に通過
させる場合に必要なダーツのそれよりも少なくて足り、
したがって、直立姿勢時にヒップ下部、臀溝部に弛みじ
わやだぶつきが発生することも殆ど無くなり、美しいヒ
ップ裾ラインを出すことができる。 さらに、そのように後身頃の縫合線を最も高く突出す
るヒップ頂部を避けてその外側の低い所に迂回させてあ
ると、座り姿勢でも縫合線による違和感がほとんど無く
なり、またタイトな薄い外衣を着用したときにもその縫
合線に沿ったラインがヒップの最も高い頂部を通過する
場合よりも外衣に目立ちにくくなる。 図面の簡単な説明 図１は本発明の実施例のショーツの正面図である。 図２は同ショーツの側面図である。 図３は図１におけるＡ−Ａ線断面図である。 図４Ａは同ショーツの前身頃、後身頃、及びまち部の
展開平面図である。 図４Ｂは他の例のショーツの前身頃、後身頃、及びま
ち部の展開平面図である。 図５は図４Ａのショーツを着用状態で示す背面図であ
る。 図６は直立姿勢時のショーツの着用状態を示す側面図
である。 図７は椅子に座る姿勢時のショーツの着用状態を示す
側面図である。 図８は本発明の他の実施例のショーツの前身頃、後身
頃、及びまち部の展開平面図である。 図９は従来例のショーツの前身頃、後身頃、及びまち
部の展開平面図である。 図１０は他の従来例のショーツの背面図である。 発明を実施するための最良の形態 図１は本発明の実施例によるショーツの正面図、図２
は同ショーツの側面図、図３は図１におけるＡ−Ａ線断
面図、図４Ａは同ショーツの前身頃、後身頃、及びまち
部の展開平面図、図５は図４Ａのショーツを着用状態で
示す背面図である。 ショーツ１０は、図４Ａに展開状態で示す前身頃１
１、後身頃１２、及びまち部１３を主要構成部材として
なり、各部材は伸縮性を有する生地からなる。 図４Ａにおいて、前身頃１１は脇線１４，１４間の幅
Ｗよりも広い幅寸法に裁断してあり、その下端に下方開
放状の足口１５，１５を左右対称に切り込み形成し、図
示例ではその切り込みを深く入れてハイレグ用の足口１
５を下方開放状に形成している。足口１５の内周上のほ
ぼ後ろ半分のヒップ裾ライン１５ａは前中心線Ｓとほぼ
平行に形成している。前身頃１１の左右端縁１６，１６
の各下端部は左右の足口１５，１５の各ヒップ裾ライン
１５ａ，１５ａの下端部と交差する形に形成している。 前身頃１１の左右端縁１６，１６の各上下方向中間部
から各下端部までの間を外方凸形の円弧状の曲縁１６ａ
に形成する。曲縁１６ａの曲線は、図６に示すごとく椅
子に座った時などに描くヒップ下部の曲線Ｒに可及的に
近づける形状にするためである。ただし、その曲縁１６
ａ全体のアールがきついと、直立姿勢時に当該箇所に弛
みじわが発生しやすい。これを解消するため、その曲縁
１６ａの上下方向中間部より下方部（臀溝部の直上部を
覆う部分）１６ｂは直線または緩やかな曲線状に形成す
ることが望ましい。普通サイズのショーツでヒップ裾ラ
イン１５ａと曲縁１６ａの下方部１６ｂとが成す角度α
は２５〜８０゜、より好ましくは４５〜６０゜としてお
く方がよい。 一方、後身頃１２はこれの左右端縁１９，１９がそれ
ぞれ下方に至るに従い漸次拡がる斜線状になる形に裁断
している。その際、左右端縁１９，１９は、必ずしも、
そのウエスト部２５から下端部までの上下方向全長にわ
たって真っ直ぐな斜線状に形成する必要はなく、少なく
ともその上下方向中間部から下端部までの間の部分１９
ａを、下方拡がりの形に裁断しておけばよい。例えば、
図４Ａの一点鎖線で示すＥとＥ’のような曲線にした
り、同図の二点鎖線で示すＦとＦ’のような曲線にした
りすることは任意である。 左右端縁１９，１９のウエスト部２５から上下方向中
間部までの間は斜線、曲線など任意に描くことができ、
例えば、図４Ａに二点鎖線Ｑ₁ に示すごとき円弧縁に形
成してもよく、この場合はそれに対応して前身頃１１の
左右端縁１６，１６のウエスト部２４から上下方向中間
部までの間は二点鎖線Ｑ₂ のように裁断する。 このように裁断された前身頃１１と後身頃１２とは左
右端縁１６，１６、１９，１９どうしを縫い合わせて筒
状に形成し、前身頃１１の下端中央に凹円弧状に形成し
た内股前部２０と、後身頃１２の下端中央に同じく凹円
弧状に形成した内股後部２１とはまち部１３でつなぐ。
前身頃１１の足口１５の下方開放部分は、後身頃１２の
下方部分１９ａの下端と内股後部２１とをつなぐ傾斜下
端縁２２と、まち部１３の端縁２３とでエンドレス状に
つながれる。 ここで注目すべきは、前身頃１１の左右端縁１６，１
６と後身頃１２の左右端縁１９，１９との各縫合線Ｌ
は、図５に示すように、着用時に後部ウエスト部２４，
２５の外側寄り箇所からヒップの頂部Ｔの外側に迂回さ
せてヒップ裾ライン１５ａに至るように形成してある点
である。そのためには、後身頃１２の左右端縁１９，１
９の下端部間の幅Ｐを前身頃１１の左右端縁１６，１６
の下端部間の幅Ｈに対して０．６倍以上で６倍以下に設
定する。図４Ａでは、ＰとＨの幅をほぼ同じ程度に設定
している。なお、Ｐの幅をＨの幅に対して６倍程度にし
た場合は、図４Ｂのようになる。 また、前身頃１１及び後身頃１２のウエスト部２４，
２５には図１に示すごとくストレッチレース２６を縫い
付け、足口１５回りには帯状のゴム２７を縫い付ける。 上記のように縫製されたショーツ１０には、図２及び
図３に示すように、そのヒップ部裾回りにヒップ下部及
び臀溝部の体形に近い立体的な適度の膨らみができる。
したがって、ヒップ裾ライン１５ａが図６に示すごとく
ヒップの臀溝部２８に深くフイットしてヒップの下部を
深く包み込むことができることになり、椅子に座った
り、激しく腰を曲げるなどして動いたりしてもヒップ裾
ライン１５ａが図７のＣ位置からＤ位置にずり上がるの
を防止できるに至った。 とくに、前身頃１１と後身頃１２との縫合線Ｌはヒッ
プの頂部Ｔを避けてその外側に迂回させてある。したが
って、ヒップ下部を深く包み込むことができるようにヒ
ップ裾線を下方に延出させるパターンを採用しても、図
１０に示すごとく前身頃１１と後身頃１２の縫合線Ｌが
ヒップ頂部Ｔを通るようにした従来のものの場合のよう
に直立姿勢時にヒップ下部、臀溝部に弛みじわやだぶつ
きが生じることが殆ど無くて、ヒップを広く深く包み込
むことができるものとなる。 また、前身頃１１と後身頃１２との縫合線Ｌはヒップ
の頂部Ｔを避けて外側に迂回させてことにより、後身頃
１２のヒップ頂部Ｔの生地自体がもつ伸縮性を確保する
ことができ、この伸縮性によりヒップ頂部Ｔの激しい動
きにもよく対応できるため、ずり上がり防止のためのダ
ーツの長さや大きさは、図１０に示すごとく後身頃３０
の縫合線Ｌをヒップ頂部Ｔに通過させる場合に必要なダ
ーツのそれよりも少なくて足り、その結果、直立姿勢時
にヒップ下部、臀溝部に弛みじわやだぶつきが発生する
ことが殆ど無くなり、美しいヒップ裾ライン１５ａを出
すことができるに至った。また座り姿勢でも方向線Ｌに
よる違和感がほとんど無くなり、またタイトな薄い外衣
を着用したときにもその縫合線Ｌに沿ったラインがヒッ
プの最も高い頂部Ｔを通過する場合よりも外衣に目立ち
にくくなった。 図８は本発明の他の実施例のショーツの前身頃、後身
頃、及びまち部の展開平面図である。この実施例では、
前身頃１１の曲縁１６ａ全体が上記実施例の曲縁１６ａ
全体の曲線よりも比較的緩やかな曲線で形成されている
点、上記実施例の足口１５のヒップ裾ライン１５ａが前
中心線Ｓとほぼ平行に形成されているのに対し、この実
施例の前身頃１１の足口１５のヒップ裾ライン１５ａは
曲縁１６ａとほぼ対称に形成され、前中心線Ｓとヒップ
裾ライン１５ａの延長線とが成す角度βは４０゜以下、
好ましくは３５゜に設定してある。また、後身頃１２の
左右端縁１９，１９の下端部間の幅Ｐを前身頃１１の左
右端縁１６，１６の下端部間の幅Ｈに対して約０．６５
倍程度に設定してある。そのほか後身頃１２の形態や、
前後身頃１１，１２の縫合線Ｌを着用時に後部ウエスト
の外側寄り箇所からヒップの頂部Ｔを避けてその外側に
迂回させることなどについては上記実施例の場合と全く
同様である。 この実施例のショーツにおいても、ヒップ下部及び臀
溝部回りに立体感を出すことができ、ヒップ裾ライン１
５ａのずり上がりをよく防止できるとともに、直立姿勢
時にヒップ下部に弛みじわやだぶつきが発生することも
きわめて少なくなり、美しいヒップ裾ラインを出すこと
ができるという効果は上記実施例の場合と同様に得るこ
とができる。 上記実施例では、前後身頃１１，１２を縫合線Ｌの箇
所で縫合するようにしたが、前身頃１１は、左右端縁ま
で連続した一枚ものの生地でなくても、縫合させて上記
前身頃１１の形状に形成したものであってもよい。 また、本発明は、ショーツに限られず、水着にも同様
に適用でき、また男性用のブリーフにも同様に適用でき
る。 産業上の利用可能性 本発明によれば、着用後、激しい動きをしてもヒップ
裾ラインのずり上がりが無くて履き心地を快適にすると
ともに、直立姿勢時にもヒップ下部、臀溝部に弛みじわ
やだぶつきが殆ど発生することなく、美しいヒップ裾ラ
インを出すことができ、とくにショーツや水着に好適な
ものとなる。

Claims (1)

1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項１】 下方開放状の足口（１５）を左右対称に
   形成した伸縮性を有する前身頃（１１）の左右端縁（１
   ６，１６）の各下端部を、左右の足口内周のヒップ裾ラ
   イン（１５ａ，１５ａ）の下端部と交差させ、かつ、前
   記左右端縁（１６，１６）の各上下方向中間部から下端
   部までの間の部分を外方へ凸形の曲縁（１６ａ）でつな
   ぐ形に裁断し、該曲縁（１６ａ）の上下方向中間部より
   下方部（１６ｂ）は直線または曲線状に形成してあり、 伸縮性を有する後身頃（１２）はこれの左右端縁（１
   ９，１９）の各上下方向中間部から下端部までの間の部
   分（１９ａ）が下方拡がりの形に裁断してあり、 しかも、後身頃（１２）の左右端縁（１９，１９）の下
   端部間の幅（Ｐ）は上記前身頃（１１）の左右端縁（１
   ６，１６）の下端部間の幅（Ｈ）に対して０．６倍以上
   で６倍以下に設定され、 これら後身頃（１２）の左右端縁（１９，１９）と前身
   頃（１１）の左右端縁（１６，１６）とは縫合され、こ
   の縫合線（Ｌ）が後部ウエスト部（２４，２５）からヒ
   ップの頂部（Ｔ）より外側に迂回してヒップ裾ライン
   （１５ａ）に至るように形成していることを特徴とする
   ショーツ、水着等の衣料。