JP3387831B2 - 円筒部が一体形成されてなる金属製品の製造方法 - Google Patents

円筒部が一体形成されてなる金属製品の製造方法

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JP3387831B2
JP3387831B2 JP28374798A JP28374798A JP3387831B2 JP 3387831 B2 JP3387831 B2 JP 3387831B2 JP 28374798 A JP28374798 A JP 28374798A JP 28374798 A JP28374798 A JP 28374798A JP 3387831 B2 JP3387831 B2 JP 3387831B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、円筒部が一体形成されてなる金
属製品の製造方法に係り、特に、かかる金属製品が、円
筒部の高さに拘わらず、安定した品質をもって有利に製
造され得る方法に関するものである。
【0002】
【背景技術】従来から、自動車のビスカスカップリング
ハウジングやワンピースホイール、或いはボス付きプー
リ等のように、円筒部が基部上に一体的に形成されてな
る金属製品を製造する際には、各種の手法が採用されて
いる。そして、それら各種の製造方法のうち、工業的に
有利な手法の一つとして、例えば特開平5−18517
5号公報に示されるように、目的とする金属製品を与え
る金属素材に対して、裂開加工と転造加工とを組み合せ
た、所謂裂開転造加工を実施する方法が、知られてい
る。
【0003】かかる状況下、本願出願人は、特開平10
−29029号公報において、金属素材に対して従来と
は異なる裂開転造加工を実施することにより、円筒部が
基部上に一体形成されてなる金属製品がより有利に製造
され得る方法を提案した。
【0004】具体的には、かかる公報に開示される金属
製品の製造方法は、先ず、円形状の被加工部を備えた、
目的とする金属製品を与える金属素材を、該金属製品の
円筒部の内周面形状に対応した外周面を有する第一の型
と、該第一の型に対して同軸的に且つ接近離隔可能に配
置された第二の型との間に、被加工部においてそれら二
つの型と同心的に位置するように挟持させ、且つかかる
挟持状態下で、第一の型と第二の型の中心軸回りに一体
回転せしめる。次に、第二の型から第一の型に向かって
次第に小径となるテーパ面形状の外周面を有するテーパ
ローラを、そのテーパ面形状の外周面において、前記一
体回転せしめられる金属素材の被加工部の外周面に接触
させた状態で、該金属素材に押し付けることにより、被
加工部を、金属素材における、前記基部に相当する基部
相当部位から裂開せしめる。そして、その後、円筒部の
外周面形状に対応した円柱面形状の外周面を有するフラ
ットローラを、その円柱面形状の外周面において、先に
金属素材の基部相当部位から裂開された部位(裂開部
位)の外周面に接触させた状態で、かかる裂開部位に押
し付けて、該裂開部位を第一の型との間で挟圧すること
により、フラットローラの外周面の円柱面形状に対応し
た円筒形状に成形して、円筒部を形成するようにしたも
のである。
【0005】要するに、前記公報に開示される金属製品
の製造方法においては、金属素材が成形用金型と一体回
転せしめられた状態下で、テーパローラを該金属素材に
押し付けることによって、被加工部が金属素材の基部相
当部位から裂開されると共に、かかる裂開部位が、テー
パローラの外周面形状に対応したテーパ筒形状に成形さ
れ、そしてその後、フラットローラを該裂開部位に押し
付けることによって、テーパローラの外周面形状に対応
したテーパ筒形状を呈する裂開部位が、その基部側部分
において局部的に内側に折り曲げられ、以て、該裂開部
位全体が円筒形状に成形されるようになっているのであ
る。
【0006】このような製造方法によれば、被加工部
が、テーパローラの外周面における鋭角な角部により、
比較的小さな加工力(テーパローラの被加工部に対する
押圧力)で、金属素材の基部相当部位から容易に裂開せ
しめられ得るのであり、また、そのようにして裂開され
ると共に、テーパローラの外周面に対応したテーパ筒形
状に成形された裂開部位をフラットローラにて折り曲げ
て円筒形状に成形する際に、該裂開部位の被折曲部位た
る基部側部分において加工硬化が集中的に生ぜしめられ
て、裂開部位の全体に加工硬化が惹起されるようなこと
が有利に回避され得、その結果、かかる裂開部位から形
成される円筒部が脆くなって、該円筒部において割れ等
の欠陥が生ぜしめられるようなことも、効果的に防止さ
れ得ることとなるのである。
【0007】ところが、そのような優れた特徴を発揮す
る金属製品の製造方法を採用する場合においては、円筒
部の高さを高くしようとすると、それに応じて、裂開部
位の高さも高くする必要があるが、この裂開部位の高さ
を高くすればする程、該裂開部位(被加工部)をテーパ
ローラにて金属素材の基部相当部位から裂開する際に、
裂開部位とテーパローラとの間の接触面積も大きくなっ
て、それらの間で生ずる摩擦抵抗も必然的に大きくなっ
てしまうのである。そして、そうなった場合には、テー
パローラを金属素材に対してより大きな力で押圧しなけ
ればならなくなり、それによって、金属素材に対する裂
開加工に大きな加工力が要されることとなるばかりでな
く、金属素材の第一及び第二の型とに対する挟持面(ク
ランプ面)に滑りが生じ、金属素材がテーパローラと一
体回転せしめられて、成形不能となる恐れがあったので
あり、更には、テーパローラの金属素材に対する押圧力
に基づいて裂開部位の基部側部分に作用せしめられる引
張力も増大せしめられ、その結果として、裂開部位が、
その厚さによっては、基部側部分において、金属素材の
基部相当部位から破断してしまう恐れさえもあったので
ある。
【0008】すなわち、前記公報に開示の円筒部が一体
形成されてなる金属製品の製造方法にあっては、高さの
低い円筒部を有する金属製品が、何等の問題もなく有利
に製造され得るものの、高さの高い円筒部を有する金属
製品を製造する際には、比較的大きな加工力が必要とさ
れるばかりでなく、安定した品質を得ることが容易では
なかったのであり、それらの点において、未だ改良の余
地が存していたのである。
【0009】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、上述せる如き事
情を背景にして為されたものであって、その解決課題と
するところは、円筒部が一体形成されてなる金属製品
が、該円筒部の高さに拘わらず、可及的に小さな加工力
により、常に、安定した品質をもって有利に製造され得
る方法を提供することにある。
【0010】
【解決手段】そして、本発明にあっては、かかる課題の
解決のために、円筒部が基部上に一体的に形成されてな
る金属製品の製造方法において、前記円筒部の内周面形
状に対応した外周面を有する円筒部形成部材に対して、
該円筒部形成部材の外径よりも大径の円形状の被加工部
を備えた、前記金属製品を与える金属素材を同軸的に接
触させて配置する一方、前記円筒部の外周面形状に対応
した円柱面形状の外周面を有するフラットローラを用い
て、その円柱面形状の外周面の角部を前記金属素材の被
加工部の外周面に接触させた状態で、それらフラットロ
ーラと金属素材とを、それぞれの中心軸回りに相対回転
せしめつつ、若しくは周方向に相対移動させつつ、該フ
ラットローラを該金属素材の被加工部に押し付けること
により、該被加工部を、前記金属素材における、前記金
属製品の基部に相当する基部相当部位から裂開せしめ
て、円筒状予備成形部を形成する工程と、かかる円筒状
予備成形部の基部側から先端側に向かって次第に大径と
なるテーパ面形状の外周面を有するテーパローラ用い
て、そのテーパ面形状の外周面を該円筒状予備成形部の
外周面に接触させた状態で、それらテーパローラと金属
素材とを、それぞれの中心軸回りに相対回転せしめつ
つ、若しくは周方向に相対移動させつつ、該テーパロー
ラを該円筒状予備成形部に押し付けることにより、該円
筒状予備成形部の少なくとも一部を該テーパ面形状に対
応したテーパ筒形状に成形する工程とを含む予備成形工
程を少なくとも1回行ない、形成される円筒状予備成形
部の内径を前記円筒部形成部材の外径に漸次近づけ、最
終的に、前記フラットローラの円柱面形状の外周面と前
記円筒部形成部材との間で該円筒状予備成形部を挟圧す
ることにより、該円筒状予備成形部を該円柱面形状に対
応した円筒形状に成形して、前記円筒部を形成するよう
にした円筒部が一体形成されてなる金属製品の製造方法
を、その特徴とするものである。
【0011】すなわち、本発明に従う円筒部が一体形成
されてなる金属製品の製造方法にあっては、金属素材の
被加工部が、円柱面形状の外周面を有するフラットロー
ラの略直角な角部により該金属素材の基部相当部位から
裂開せしめられて、円筒状予備成形部が形成されるよう
になっているところから、該金属素材の基部相当部位か
ら裂開せしめられる部位の基部側から先端に向かって次
第に小径となるテーパ面形状の外周面を有する裂開ロー
ラの鋭角な角部にて、該被加工部を該基部相当部位から
裂開せしめる場合とは異なり、被加工部を金属素材の基
部相当部位から裂開する際に、ローラの金属素材に対す
る押圧力に基づいて、該裂開により形成される円筒状予
備成形部の基部側部分に引張力が作用せしめられるよう
なことが有効に回避され得るのである。
【0012】しかも、かかる金属製品の製造方法におい
ては、上述の如きフラットローラを用いて、金属素材の
被加工部を基部相当部位から裂開することにより円筒状
予備成形部を形成する工程と、該円筒状予備成形部の基
部側から先端側に向かって次第に大径となるテーパ面形
状の外周面を有するテーパローラを用いて、該円筒状予
備成形部の少なくとも一部を、該テーパローラのテーパ
面形状の外周面に対応したテーパ筒形状、換言すれば、
基部側から先端側に向かって次第に小径となるテーパ筒
形状に成形する工程とを含む予備成形工程が、最終的
に、フラットローラの円柱面形状の外周面と円筒部形成
部材との間で、円筒状予備成形部を該円柱面形状に対応
した円筒形状に成形して、円筒部を形成するのに先立っ
て、少なくとも1回行なわれるようになっているところ
から、前記予備成形工程と円筒部を形成する最終工程と
において、複数回に分けて行なわれる裂開加工により、
被加工部が、基部相当部位から段階的に裂開されて、円
筒状予備成形部の高さが段階的に高められると共に、そ
のような裂開加工を1回行なう毎に、当該裂開加工によ
り形成された円筒状予備成形部の少なくとも一部が、そ
の基部側から先端側に向かって次第に小径となるような
テーパ筒形状に成形されて、その後に引き続いて行なわ
れる裂開加工時に、かかる円筒状予備成形部が、テーパ
筒形状に成形されていない部分のみにおいてフラットロ
ーラと接触せしめられることとなり、それによって、複
数回に分けて行なわれる裂開加工のそれぞれの進行時に
おける、フラットローラと円筒状予備成形部との接触面
積が有利に小さくされ得るのである。そして、その結
果、フラットローラを用いた裂開加工を単に1回行なう
だけで、最終的に形成される円筒部に対応した高さを有
する円筒状予備成形部を一挙に形成する場合に比して、
かかる裂開加工時において、それらフラットローラと円
筒状予備成形部との間に生ずる摩擦抵抗の大きさも効果
的に小さく為され得るのである。
【0013】それ故、本発明に係る金属製品の製造方法
においては、金属製品に形成される円筒部の高さが高い
ものであっても、該円筒部を与える円筒状予備成形部
が、その基部側部分に作用せしめられる引張力によって
破断せしめられるようなことが極めて効果的に回避され
得るのであり、また、金属素材の被加工部を基部相当部
位から裂開して、かかる円筒状予備成形部を形成する際
に要される加工力が可及的に低く押さえられ得ると共
に、金属素材のテーパローラやフラットローラとの一体
回転が惹起されて成形不能となる恐れも有利に解消され
得るのである。
【0014】従って、本発明に従う円筒部が一体形成さ
れてなる金属製品の製造方法によれば、円筒部の高さに
拘わらず、目的とする金属製品が、可及的に小さな加工
力により、常に安定した品質をもって、極めて有利に製
造され得ることとなるのである。
【0015】なお、本発明に従う金属製品の製造方法に
おいては、有利には、(a)前記フラットローラとし
て、前記円筒部よりも高さの低い円柱面形状の外周面を
有し、且つ前記金属素材の被加工部の外周面に接触せし
められる角部とは反対側の角部が湾曲面形状とされた低
高フラットローラを準備し、かかる低高フラットローラ
と前記テーパローラとを用いて、前記予備成形工程を繰
り返し行なった後、該低高フラットローラにて前記被加
工部を前記金属素材の基部相当部位から更に裂開すると
共に、かかる裂開部位を該低高フラットローラの円柱面
形状の外周面と前記円筒部形成部材との間で挟圧するこ
とにより、基部側部位が該円柱面形状に対応した円筒形
状とされる一方、該低高フラットローラの高さよりも高
い先端側部位が該基部側部位よりも大径となる大径部位
とされた前記円筒状予備成形部を形成する工程と、
(b)外周面に、周方向に連続して延びる溝が設けられ
た突条形成ローラを用いて、かかる突条形成ローラの外
周面を、前記円筒状予備成形部における大径部位の外周
面のみに接触させた状態で、該突条形成ローラと前記金
属素材とを、それぞれの中心軸回りに相対回転せしめつ
つ、若しくは周方向に相対移動させつつ、該突条形成ロ
ーラを該円筒状予備成形部に押し付けることにより、該
円筒状予備成形部の大径部位の外周面に、該突条形成ロ
ーラの前記溝に対応した突条を形成する工程と、(c)
円柱面形状を呈する外周面に、周方向に連続して延びる
溝状のフランジ形成部を有して構成されたフランジ形成
ローラを用いて、該フランジ形成ローラの円柱面形状の
外周面を、前記突状が形成された円筒状予備成形部の外
周面に接触させた状態で、該フランジ形成ローラと前記
金属素材とを、それぞれの中心軸回りに相対回転せしめ
つつ、若しくは周方向に相対移動させつつ、該フランジ
形成ローラを該円筒状予備成形部に押し付けて、該円筒
状予備成形部を前記円筒部形成部材との間で挟圧するこ
とにより、該円筒状予備成形部を該フランジ形成ローラ
の円柱面形状に対応した円筒形状に成形して、前記円筒
部を形成すると同時に、該円筒状予備成形部の前記大径
部位の外周面に設けられた前記突条を該フランジ形成ロ
ーラの前記フランジ形成部内に押し込んで、該円筒部の
外周面に、該フランジ形成部に対応した形状のフランジ
を形成する工程とを含んで構成される。
【0016】このような本発明手法においては、円筒状
予備成形部を形成する予備成形工程が繰り返し行なわれ
た後、形成された円筒状予備成形部の先端側の大径部位
のみにおいて、突条形成ローラに接触せしめられて、該
円筒状予備成形部に突条が形成され、更にその後、この
突条が形成された円筒状予備成形部が、フランジ形成ロ
ーラと円筒部形成部材との間で挟圧されることにより、
外周面にフランジが設けられてなる円筒部が形成される
ようになっているところから、円筒部を成形する最終工
程に先立って行なわれる、円筒状予備成形部を形成する
予備成形工程と、該円筒状予備成形部の外周面に突状を
形成する工程の進行時において、低高フラットローラと
円筒状予備成形部との接触面積及び突条形成ローラと円
筒状予備成形部との接触面積が、何れも有利に小さく為
され得るのであり、それによって、円筒状予備成形部と
低高フラットローラ及び突条形成ローラとの間に生ずる
摩擦抵抗の大きさも効果的に小さく為され得るのであ
る。
【0017】従って、かかる本発明手法によれば、外周
面にフランジを有する円筒部が一体形成されてなる金属
製品が、該円筒部の高さに左右されることのない安定し
た品質をもって、比較的小さな加工力により、有利に製
造され得るのである。
【0018】また、かかる本発明手法にあっては、金属
素材の被加工部を基部相当部位から裂開するフラットロ
ーラとして、該被加工部の外周面に接触せしめられる角
部とは反対側の角部が湾曲面形状とされた、目的とする
金属製品の円筒部よりも低い高さの低高フラットローラ
が特別に用いられているところから、予備成形工程中、
或いは予備成形工程の後、金属素材の基部相当部位から
裂開された部位の高さが該低高フラットローラよりも高
くされた状態下で、被加工部を更に裂開する際に、かか
る裂開部位が、低高フラットローラの前記反対側の角部
と接触する部位において破断してしまうようなことが効
果的に防止され得る。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明をより明らかにする
ために、本発明に係る、円筒部が一体形成されてなる金
属製品の製造方法の構成について、図面を参照しつつ、
詳細に説明することとする。
【0020】先ず、図1には、本発明手法に従って、金
属製品たる、自動車のフランジ部付円筒部品を製造する
際に用いられる製造装置の一例が、概略的に示されてい
る。かかる図からも明らかなように、この製造装置10
は、基台12上に配置された成形金型14を有して、構
成されている。
【0021】より具体的には、製造装置10を構成する
成形金型14は、互いに同軸的に対向配置された上型1
6と下型18とを備えている。また、この成形金型14
の上型16は、全体として、下側部分が小径化された、
段付の円柱ブロック形状を呈している。そして、かかる
上型16の下側部分が、目的とするフランジ部付円筒部
品20の外面に一体形成される円筒部22の内周面形状
に対応した外周面と、該円筒部22よりも所定寸法高い
高さとをを有する円筒部形成部24とされている(図7
参照)。一方、下型18は、全体として、上側部分が小
径化された、段付の円柱ブロック形状を呈しており、そ
の上側部分が、前記フランジ部付円筒部品20を与える
金属素材26が載置される素材載置部28とされてい
る。なお、図1中、27は、芯出し用突起であり、29
は、それを挿通せしめる芯出し用突起挿通孔である。
【0022】そして、そのような構造とされた下型18
が、前記基台12上に配置された下型取付板30に対し
て、位置固定に取り付けられている。また、この下型1
8が取り付けられる下型取付板30は、基台12上にお
いて、回転可能に支持されていると共に、該基台12に
形成されたモータ収容孔32内のモータ34の回転軸3
6に対して同軸的に取り付けられており、以て下型18
が、モータ34の回転駆動に伴って、該モータ34の回
転軸36、換言すれば、前記成形金型14の中心軸38
回りに回転せしめられるようになっている。
【0023】一方、上型16は、基台12に対向配置さ
れた上型移動板40に対して回転可能に支持された上型
取付板42に対して、位置固定に取り付けられており、
また、かかる上型移動板40は、基台12に立設せしめ
られた複数のガイドポスト44に対して、上下方向に摺
動可能に支持されている。更に、それら複数のガイドポ
スト44の上端部には、固定板46が位置固定に取り付
けられており、また、該固定板46の中央部には、図示
しない油圧機構により、ピストンロッド48を基台12
側に突出作動せしめる上型移動板加圧シリンダ50が取
り付けられている。そして、この上型移動板加圧シリン
ダ50内のピストンロッド48の先端部が、前記上型移
動板40に固定されている。これによって、上型16
が、上型取付板42と共に、前記成形金型14の中心軸
38回りに一体回転し得るようになっているのであり、
また、上型移動板加圧シリンダ50内のピストンロッド
48の突出、引込作動に伴って、上型取付板42と上型
16とが、上下移動せしめられるようになっているので
ある。
【0024】かくして、かかる成形金型14にあって
は、上型16が、上型移動板加圧シリンダ50内のピス
トンロッド48の突出、引込作動に伴って、下型18に
対して接近、離隔移動せしめられ得るようになっている
のである。そして、上型16を下型18に対して接近移
動させることによって、それら上型16と下型18との
間で前記金属素材26を挟持し得るようになっているの
であり、また、そのような上型16の下型18に対する
接近状態下で前記モータ34を回転駆動させることによ
り、それら上型16と下型18とが、金属素材26を挟
持しつつ、それらの中心軸38回りに一体回転され得る
ように、構成されているのである。
【0025】さらに、そのような成形金型14が装備さ
れる製造装置10にあっては、基台12上の外周部にお
ける該成形金型14を間に挟んで対向する位置に、ロー
ラ加圧シリンダ52,52が、それぞれ配設されてい
る。このローラ加圧シリンダ52,52は、それぞれ、
先端部に断面略コ字状のクランプ54が固定されたピス
トンロッド56を、該成形金型14、より詳しくは、相
対的な接近状態下での前記成形金型14の上型16にお
ける前記円筒部形成部24に向かって、該成形金型14
の中心軸38に垂直な方向に突出、引込作動させ得るよ
うに構成されている。
【0026】そして、そのような各ピストンロッド56
のクランプ54に対して、フラットローラ58とテーパ
ローラ60の2種類の転造ローラが、それぞれ、成形金
型14の中心軸38に平行な回転軸回りに回転可能に取
り付けられている。この2種類の転造ローラのうち、フ
ラットローラ58は、目的とするフランジ部付円筒部品
20の円筒部22の外周面形状に対応した円柱面形状の
外周面を有して、成っている(図7参照)。一方、テー
パローラ60は、上方に向かうに従って次第に大径とな
るテーパ面形状の外周面を有して、構成されている。
【0027】かくして、製造装置10にあっては、上述
の如き形状の外周面を有するフラットローラ58とテー
パローラ60とが、成形金型14の中心軸38に平行な
回転軸回りに回転可能な状態で、それぞれの外周面を前
記上型16の円筒部形成部24の外周面に対向せしめつ
つ、ローラ加圧シリンダ52内のピストンロッド56の
突出、引込作動に伴って、前記上型16の円筒部形成部
24に対して接近、離隔移動させられるようになってい
るのである。
【0028】そして、このような構造とされた製造装置
10を用いて、目的とするフランジ部付円筒部品20を
製造する際には、例えば、以下に示す如き手順に従っ
て、その操作が進められることとなる。
【0029】すなわち、先ず、図2の左側半分に示され
る如く、上型16と下型18とが離隔位置せしめられ
て、型開き状態とされた成形金型14に、前記金属素材
26をセットする。より詳しくは、ここで用いられる金
属素材26は、全体として、厚肉の円板形状を呈してお
り、その厚さ方向の一方側部分が、所定厚さを有する被
加工部62とされる一方、その残りの他方側部分が、最
終的に得られるフランジ部付円筒部品20の基部に相当
する基部相当部64として構成されたものである。そし
て、そのような金属素材26が、その中心部に設けられ
た中心孔66内に、下型18の前記芯出し用突起27を
挿通せしめつつ、該下型18の前記素材載置部28上に
被せられるようにして、載置されるのである。これによ
って、金属素材26が、下型18に対して同心的にセッ
トされることとなる。
【0030】次いで、上型移動板加圧シリンダ50内の
ピストンロッド48を突出作動せしめることにより、上
型40を下方に移動せしめて、図2の右側半分に示され
るように、下型18の素材載置部28と上型16の円筒
部形成部24との間で、金属素材26を同心的に挟持さ
せる。
【0031】その後、基台12に取り付けられたモータ
34を回転駆動させることにより、下型18全体を回転
させて、金属素材26を挟持させつつ、下型18と上型
16とを、それらの中心軸38回りに一体回転せしめ
る。一方、ローラ加圧シリンダ52内のピストンロッド
56を突出作動せしめることにより、該ピストンロッド
56の先端にクランプ54を介して回転可能に取り付け
られたフラットローラ58を上型16の円筒部形成部2
4に向かって移動させて、図3の左側半分に示される如
く、フラットローラ58における円柱面形状の外周面の
直角な下側角部を、前記中心軸38回りに一体回転せし
められる金属素材26の前記被加工部62の外周面に接
触させる。なお、そのような金属素材26との接触によ
って、フラットローラ58は、成形金型14の中心軸3
8に平行な回転軸回りに、金属素材26の回転方向とは
逆の方向に回転せしめられることとなる。
【0032】そして、そのような接触状態下で、フラッ
トローラ58を円筒部形成部24に向かって更に接近移
動させることにより、金属素材26の被加工部62の外
周面をフラットローラ58の下側角部にて押圧して、図
3の右側半分に示される如く、被加工部62の外周部分
を金属素材26の基部相当部64から裂開する。それに
よって、金属素材26の基部相当部64から裂開された
被加工部62の外周部分にて構成され、且つ最終的に得
られる円筒部22の1/3程度の高さと、フラットロー
ラ58の外周面形状に対応した円筒形状とを有する一次
予備成形部68を形成する。
【0033】次に、前記フラットローラ58が取り付け
られるピストンロッド56を引込み作動せしめて、該フ
ラットローラ58を、金属素材26に形成された一次予
備成形部68から離隔させた後、前記テーパローラ60
がクランプ54を介して取り付けられるピストンロッド
56を突出作動させて、該テーパローラ60を、上型1
8の円筒部形成部24に向かって移動せしめる。そし
て、それにより、図4の左側半分に示される如く、テー
パローラ60を、その外周面において、金属素材26に
おける前記被加工部62の外周部分にて形成された、円
筒状の一次予備成形部68の先端側の外側角部に接触さ
せる。なお、そのような金属素材26との接触によっ
て、テーパローラ60も、前記フラットローラ58と同
様に、成形金型14の中心軸38に平行な回転軸回り
に、金属素材26の回転方向とは逆の方向に回転せしめ
られることとなる。
【0034】そして、そのような接触状態下で、テーパ
ローラ60を円筒部形成部24に向かって更に接近移動
させることにより、一次予備成形部68の先端側の外側
角部とその外周面とをテーパローラ60の外周面にて押
圧して、図4の右側半分に示されるように、円筒状の一
次予備成形部68をテーパローラ60の外周面に対応し
たテーパ筒形状、即ち、上方に向かうに従って次第に小
径となるテーパ筒形状に成形する。
【0035】その後、テーパローラ60が取り付けられ
るピストンロッド56を引込み作動せしめて、該テーパ
ローラ60を、テーパ筒形状に成形された一次予備成形
部68から離隔させた後、前述した操作と同様な操作を
行なうことによって、再び、フラットローラ58を上型
18の円筒部形成部24に接近移動させる。そして、そ
れにより、図5の左側半分に示される如く、フラットロ
ーラ58における円柱面形状の外周面の直角な下側角部
を、前述した1回目のフラットローラ58による裂開加
工時に裂開されずに、金属素材26の前記基部相当部6
4と一体化されたまま残存する被加工部62の残存部位
の外周面に接触させる。なお、その際、金属素材26に
形成された一次予備成形部68は、上方に向かうに従っ
て次第に小径となるテーパ筒形状に成形されていること
から、フラットローラ58の外周面に接触せしめられる
ことはない。
【0036】次いで、かかる接触状態下から、フラット
ローラ58を円筒部形成部24に向かって更に接近移動
させることにより、前記被加工部62の前記残存部位の
外周面をフラットローラ58の下側角部にて押圧して、
図5の右側半分に示される如く、該被加工部62の外周
部分よりも内側の部分を金属素材26の基部相当部64
から裂開する。それによって、かかる被加工部62の外
周部分とそれよりも内側部分とから成ると共に、最終的
に得られる円筒部22の2/3程度の高さと、フラット
ローラ58の外周面形状に対応した円筒形状とを有し、
更に、その内径が、前記一次予備成形部68よりも前記
円筒部形成部24に近い寸法とされた二次予備成形部7
0を形成する。
【0037】そして、引き続き、前述と同様にして、フ
ラットローラ58を金属素材26の二次予備成形部70
から離隔させた後、再度、テーパローラ60を上型18
の円筒部形成部24に接近移動させる。それによって、
図6の左側半分に示される如く、テーパローラ60を、
その外周面において、金属素材26の、円筒形状を呈す
る二次予備成形部70の先端側の外側角部に接触させ
る。
【0038】その後、テーパローラ60を上型16の円
筒部形成部24に向かって更に接近移動させることによ
り、二次予備成形部70をテーパローラ60の外周面に
て押圧して、図6の右側半分に示されるように、円筒形
状を呈する二次予備成形部70を、上方に向かうに従っ
て次第に小径となるテーパ筒形状に成形する。
【0039】更にその後、図7の左側半分に示される如
く、テーパローラ60に代えて、フラットローラ58
を、前記円筒部形成部24に接近移動させることによ
り、フラットローラ58における円柱面形状の外周面の
直角な下側角部を、前述した2回目のフラットローラ5
8による裂開加工によってもなお裂開されずに、金属素
材26の基部相当部64と一体で残存する被加工部62
の残存部位の外周面に接触させる。なお、その際にあっ
ても、金属素材26に形成された二次予備成形部70
は、上方に向かうに従って次第に小径となるテーパ筒形
状に成形されていることから、フラットローラ58の外
周面に接触せしめられることはない。
【0040】そして、かかる接触状態下において、フラ
ットローラ58を円筒部形成部24に向かって更に接近
移動させることにより、前記被加工部62の残存部位の
外周面をフラットローラ58の下側角部にて押圧する。
それによって、図7の右側半分に示される如く、裂開さ
れた部位全体が前記円筒部22と略同じ高さとなるよう
に、該被加工部62の残存部位たる内周部分を、金属素
材26の基部相当部64から更に裂開すると共に、かか
る裂開部位全体をフラットローラ58の外周面と上型1
6の円筒部形成部24との間で挟圧して、該フラットロ
ーラ58の外周面と該円筒部形成部24の外周面とにそ
れぞれ対応した形状の外周面と内周面とを有する円筒形
状に成形し、以て円筒部22を形成する。かくして、金
属素材26の基部相当部64からなる基部(フランジ
部)72上に円筒部22が一体形成されて構成された、
目的とするフランジ部付円筒部品20を得るのである。
【0041】そして、図8に示される如く、フラットロ
ーラ58が取り付けられるピストンロッド56を引込み
作動せしめた状態下で、上型移動板加圧シリンダ50内
のピストンロッド48を引込み作動させることにより、
上型16を上方に移動させて、成形金型14の型開きを
行なうと共に、上述の如くして成形されたフランジ部付
円筒部品20を該成形金型14から離型するのである。
【0042】このように、本具体例手法においては、金
属素材26の被加工部62が、円柱面形状の外周面を有
するフラットローラ58の直角な角部により、該金属素
材26の基部相当部64から裂開せしめられて、一次予
備成形部68と二次予備成形部70とがそれぞれ形成さ
れ、最終的に円筒部22が形成されるようになっている
ところから、かかる被加工部62の裂開加工時には、フ
ラットローラ58の金属素材26に対する押圧力に基づ
いて、金属素材26の基部相当部64から裂開せしめら
れた裂開部位(一次予備成形部68,二次予備成形部7
0、及び円筒部22)に対して、かかるフラットローラ
58の押圧と同一方向に押圧力が作用せしめられるに過
ぎないのであり、それら各裂開部位の基部側部分に対し
て引張力が作用せしめられるようなことが皆無ならしめ
られ得るのである。
【0043】しかも、かかる本具体例手法にあっては、
上述の如きフラットローラ58を用いた、金属素材26
に対する裂開加工が3回に分けて行なわれ、それぞれの
裂開加工において、被加工部62が、円筒部22を形成
するのに必要な裂開量の1/3ずつだけ基部相当部64
から裂開されるようになっていると共に、1回目と2回
目及び2回目と3回目の各裂開加工を行なう間に、1回
目の裂開加工で形成される一次予備成形部68と2回目
の裂開加工で形成される二次予備成形部70とが、何れ
も、テーパローラ60によって、上方に向かって次第に
小径となるテーパ筒形状に成形されて、2回目の裂開加
工と3回目の裂開加工のそれぞれの開始時に、フラット
ローラ58が、当該回数の前の回の裂開加工時に裂開さ
れずに、金属素材26の基部相当部64と一体化された
まま残存する被加工部62の残存部位の外周面にのみ接
触させられるようになっているところから、1回の裂開
加工で、最終的に形成される円筒部22の高さに対応し
た分だけ、被加工部62を一挙に裂開する場合に比し
て、1回目、2回目、及び3回目の裂開加工時における
フラットローラ58とそれら各回毎に裂開される裂開部
位(一次予備成形部68,二次予備成形部70,及び円
筒部22)との接触面積が、それぞれ、有利に小さくさ
れ得るのであり、またそれによって、それらフラットロ
ーラ58と各裂開部位との間に生ずる摩擦抵抗の大きさ
も、効果的に小さく為され得るのである。
【0044】それ故、かかる本具体例手法においては、
最終的に形成される円筒部22の高さが高くなっても、
3回の裂開加工により金属素材26の基部相当部64か
ら裂開される各裂開部位(一次予備成形部68,二次予
備成形部70,及び円筒部22)が、その基部側部分に
作用せしめられる引張力によって破断せしめられるよう
なことが有利に阻止され得るのであり、また、3回の裂
開加工において、金属素材26の被加工部62を基部相
当部64から裂開する際にそれぞれ要される加工力も、
円筒部22の高さの増大に伴って、必要以上に増大せし
められるようなことも有効に防止され得、更には金属素
材26がフラットローラ58やテーパローラ60と一体
回転せしめられて、成形不能となる恐れも有利に解消さ
れ得るのである。
【0045】従って、このような本具体例手法によれ
ば、円筒部22の高さに拘わらず、目的とするフランジ
部付円筒部品20が、可及的に小さな加工力により、常
に安定した品質をもって、極めて有利に製造され得るの
である。
【0046】次に、図9乃至図17には、上述した具体
例手法により成形されたフランジ部付円筒部品20を金
属素材として用い、基部72の一方の面上に、外周面に
折曲げフランジ74を有する折曲げフランジ付円筒部7
6が一体形成される一方、その他方の面上に、円筒部2
2と、それを外側から取り囲む円筒状フランジ77が一
体的に形成された金属製品78を本発明手法に従って製
造する工程が、それぞれ概略的に例示されている。
【0047】すなわち、かかる金属製品78を得るに
は、先ず、図9の左側半分に示される如く、上型80と
下型82とが離隔位置せしめられて、型開状態とされた
成形金型84に対して、前記フランジ部付円筒部品20
を、円筒部22が下型82の収容孔86内に収容位置せ
しめられた状態で、該下型82に対して同心的にセット
する。
【0048】なお、ここで用いられる成形金型84の上
型80は、下側部分が小径化された段付の円柱ブロック
形状を呈しており、この下側部分が、目的とする金属製
品78の前記折曲げフランジ付円筒部76の内周面形状
に対応した外周面と、該折曲げフランジ付円筒部76よ
りも所定寸法高い高さとを有する円筒部形成部88とさ
れている(図16参照)。また、下型82は、上方に向
かう従って段階的に小径化する3段の段付円柱ブロック
形状を呈しており、その上端面に、前記収容孔86が形
成されて、成っている。そして、このような上型80と
下型82とからなる成形金型84にあっては、図示され
てはいないものの、図1に示される製造装置10と同様
な構造を有する製造装置の基台上に、その中心軸90回
りに一体回転可能で、且つ上型80の下型82に対する
接近離隔移動に伴って、型閉または型開され得るように
配設されている。
【0049】次に、図9の右側半分に示されるように、
フランジ部付円筒部品20を上述の如くしてセットし、
成形金型84を型閉して、該フランジ部付円筒部品20
を、上型80と下型82との間で同心的に挟持させる。
その際、ここでは、フランジ部付円筒部品20が、上型
80と下型82とによる挟圧力によって、それら上型8
0と下型82と一体回転可能に保持されることとなる
が、その他、例えば、下型82として、最も小径の上段
部の外径が、フランジ部付円筒部品20の円筒部22の
内径と略同一か若しくは僅かに小さな寸法となるように
構成されたものを用い、この下型82に対して、フラン
ジ部付円筒部品20を、円筒部22において外嵌するよ
うに配置する一方、かかる円筒部20を、適当なチャッ
ク機構等にて外側からチャック(クランプ)することに
よって、フランジ部付円筒部品20を、上型80と下型
82との間で、それらと一体回転可能に保持するように
しても良い。
【0050】その後、上型80と下型82とを、それら
の間に挟持されたフランジ部付円筒部品20と共に、成
形金型84の中心軸90回りに一体回転させた状態下
で、図10乃至図13に示される如く、低高フラットロ
ーラ92とテーパローラ94とを用いて、予備成形工程
を行なうのであるが、ここで用いられる低高フラットロ
ーラ92は、円柱面形状の外周面を有し、特に、該外周
面の下側角部96が直角な角形形状とされている一方、
上側角部98が湾曲面形状とされており、また、その高
さが、目的とする金属製品78の折曲げフランジ付円筒
部76の高さのおよそ1/3程度とされている。一方、
テーパローラ94は、上方向に向かうに従って次第に大
径となるテーパ筒形状を呈する外周面を有して、成って
いる。また、それら低高フラットローラ92とテーパロ
ーラ94は、フランジ部付円筒部品20を得る際に使用
される前記フラットローラ58及びテーパローラ60と
同様に、ピストンロッド56の先端に固定されたクラン
プ54に対して回転可能に保持され、該ピストンロッド
56の突出、引込作動に伴って、上型80の円筒部形成
部88に対して接近、離隔移動せしめられるように、図
示しない製造装置に取り付けられている。
【0051】そして、そのような低高フラットローラ9
2とテーパローラ94とを用いた予備成形工程は、フラ
ンジ部付円筒部品20の製造時に実施される予備成形工
程と略同様な操作に従って行なわれるのであり、先ず、
図10に示される如く、フランジ部付円筒部品20の基
部72の外周面に低高フラットローラ92を接触させ
て、該低高フラットローラ92を成形金型84の中心軸
90に平行な回転軸回りに、フランジ部付円筒部品20
の回転方向とは逆の方向に回転せしめ、その状態から、
かかる基部72の外周面を低高フラットローラ92の下
側角部96にて押圧して、該基部72の外周部分の表面
側部位(上側部位)100を、その裏面側部位(下側部
位)102から徐々に裂開する。なお、この裂開加工
は、裂開された部位が低高フラットローラ92と略同一
の高さとなるまで継続される。これによって、フランジ
部付円筒部品20の基部72の裏面側部位102から裂
開された表面側部位100にて構成され、且つ最終的に
得られる折曲げフランジ付円筒部76の1/3程度の高
さと、低高フラットローラ92の外周面形状に対応した
円筒形状とを有する一次予備成形部104を形成する。
このことから明らかなように、ここでは、金属素材とし
て用いられるフランジ部付円筒部品20の基部72の表
面側部位100にて被加工部が、またその裏面側部位1
02にて基部相当部位が、それぞれ構成されているので
ある。
【0052】次に、図11に示される如く、低高フラッ
トローラ92に代えて、テーパローラ94を、その外周
面において、前記一次予備成形部104の先端側の外側
角部に接触させて、成形金型84の中心軸90に平行な
回転軸回りに、フランジ部付円筒部品20の回転方向と
は逆の方向に回転せしめ、そして、その状態から、一次
予備成形部104の外側角部とその外周面とをテーパロ
ーラ94の外周面にて押圧して、円筒状の一次予備成形
部104をテーパローラ94の外周面に対応したテーパ
筒形状、即ち、上方に向かうに従って次第に小径となる
テーパ筒形状に成形する。
【0053】引き続き、図12に示されるように、テー
パローラ94に代えて、再び、低高フラットローラ92
の直角な下側角部96を、前述した1回目の裂開加工に
よる一次予備成形部104の形成工程において裂開され
なかった、基部72の表面側部位100の外周面に接触
させ、その状態から、かかる表面側部位100の外周面
を低高フラットローラ92の下側角部96にて押圧し
て、該表面側部位100を、基部72の裏面側部位10
2から更に裂開する。この2回目の裂開加工は、その裂
開量が、1回目の裂開加工時の裂開量と略同程度の量と
なるまで続けられる。これによって、最終的に得られる
折曲げフランジ付円筒部76の2/3程度の高さを有す
る二次予備成形部106を形成する。かくして形成され
た二次予備成形部106は、前記裏面側部位102から
新たに裂開せしめられた部位からなる基部側部分が、前
記一次予備成形部104よりも前記円筒部形成部24の
外径に近い内径と、低高フラットローラ92の外周面形
状に対応した外周面形状とを有する円筒形状とされ、ま
た、低高フラットローラ92よりも高い高さに位置す
る、前記一次予備成形部104からなる先端側部分が、
径方向外方に自由変形せしめられてなる、該基部側部分
よりも大径の略円筒形状とされることとなる。
【0054】なお、このような2回目の裂開加工による
二次予備成形部106の形成工程では、一次予備成形部
104が上方向に向かうに従って次第に小径となるテー
パ筒形状に成形された状態下において実施されることか
ら、かかる一次予備成形部104に対して、低高フラッ
トローラ92の外周面が接触せしめられることはなく、
それによって、低高フラットローラ92と裂開された部
位との接触面積が有利に小さくされている。また、低高
フラットローラ92の上側角部98が湾曲面形状を有し
て構成されているため、二次予備成形部106が、前記
フランジ部付円筒部品20の裏面側部位102から新た
に裂開せしめられた部位からなる基部側部分と、前記1
回目の裂開加工によって既に裂開せしめられた部位(一
次予備成形部104)からなる先端側部分との境界部に
おいて、破断してしまうようなこともない。
【0055】その後、図13に示される如く、低高フラ
ットローラ92に代えて、再度、テーパローラ94を、
その外周面において、前記二次予備成形部106の先端
側の外側角部に接触させて、成形金型84の中心軸90
に平行な回転軸回りに、フランジ部付円筒部品20の回
転方向とは逆の方向に回転せしめ、そして、その状態か
ら、二次予備成形部106の外側角部とその外周面とを
テーパローラ94の外周面にて押圧して、円筒状の二次
予備成形部106をテーパローラ94の外周面に対応し
たテーパ筒形状、即ち、上方に向かうに従って次第に小
径となるテーパ筒形状に成形する。
【0056】そして、かくの如くして予備成形工程を行
なった後、図14に示される如く、低高フラットローラ
92を、予備成形工程における2回の裂開加工によって
も未だ裂開されなかった、基部72の表面側部位100
の外周面に接触させ、その状態から、かかる表面側部位
100の外周面を低高フラットローラ92の下側角部9
6にて押圧して、該表面側部位100を、基部72の裏
面側部位102から更に裂開すると共に、かかる裂開部
位を低高フラットローラ92の外周面と前記上型80の
円筒部形成部88との間で挟圧する。これによって、低
高フラットローラ92の外周面形状に対応した形状と、
最終的に得られる折曲げフランジ付円筒部76と同一内
径とを有する基部側部位108と、径方向外方に自由変
形せしめられて、該基部側部位108よりも大径化され
た先端側部位からなる大径部位110とにて構成された
三次予備成形部112を形成する。
【0057】なお、この三次予備成形部112の形成工
程においても、既に形成されている二次予備成形部10
6が上方に向かうに従って次第に小径となるテーパ筒形
状に成形された状態下において実施されることから、か
かる二次予備成形部106に対して、低高フラットロー
ラ92の外周面が接触せしめられることはなく、それに
よって、低高フラットローラ92と裂開された部位との
接触面積が有利に小さくされている。また、低高フラッ
トローラ92の上側角部98が湾曲面形状を有して構成
されていることから、三次予備成形部112が、新たに
裂開せしめられた部分と過去2回の裂開加工により既に
裂開せしめられた部分(二次予備成形部106)からな
る部分との境界部において、破断してしまうようなこと
もない。
【0058】次いで、図15に示されるように、突条形
成ローラ114を用いた工程を引き続き実施するのであ
るが、この突条形成ローラ114は、外周面の上部側
に、底面が湾曲面形状とされた浅底の溝116が、周方
向に連続して設けられ、また、外周面の下部側が、上方
に向かうに従って次第に大径となる湾曲面形状とされて
おり、前記低高フラットローラ92やテーパローラ94
と同様な構造によって、成形金型84の中心軸90に平
行な回転軸回りに回転可能に、且つ該成形金型84に対
して接近、離隔移動可能に構成されている。
【0059】そして、このような突条形成ローラ114
の外周面を、その上部側において、フランジ部付円筒部
品20に形成された前記三次予備成形部112の大径部
位110に接触させると共に、その下部側において、フ
ランジ部付円筒部品20の基部72における三次予備成
形部112の形成下での残存部位である裏面側部位10
2に接触せしめ、更にその状態から、該突条形成ローラ
114を、前記回転軸回りに回転させつつ、その外周面
にて、それら大径部位110と裏面側部位102とに対
して押し付ける。これによって、三次予備成形部112
の大径部位110の外周面に、突条形成ローラ114の
前記溝116に対応した突条118を形成すると共に、
前記裏面側部位102を、外周面が突条形成ローラ11
4の下部側外周面に対応した湾曲面形状とされた筒形状
に成形する。
【0060】なお、かかる工程では、三次予備成形部1
12の基部側部位108が、その先端側部位たる大径部
位110よりも小径とされていることから、突条形成ロ
ーラ114の上部側外周面が三次予備成形部112の大
径部位110に接触せしめられた状態下で、該突条形成
ローラ114の中間部外周面と三次予備成形部112の
基部側部位108との間に所定の隙間120が形成され
るようになっており、それによって、それら突条形成ロ
ーラ114の外周面と三次予備成形部112との接触面
積が有利に小さく為され得るようになっている。
【0061】引き続き、上述の如くして、三次予備成形
部112に突条118を形成し、前記基部72の裏面側
部位102を筒形状に成形した後、図16に示されるよ
うに、フランジ形成ローラ122を用いた工程を行なう
のであるが、このフランジ形成ローラ122は、大径の
上側外周面124と小径の下側外周面126とからなる
段付円柱面形状の外周面を有し、この大径の上部側外周
面124に、断面矩形形状を呈する溝状のフランジ形成
部128が、前記突条形成ローラ114の溝116より
も深い深さをもって、周方向に連続して形成されてお
り、また、該突条形成ローラ114と同様な構造にて、
成形金型84の中心軸90に平行な回転軸回りに回転可
能に、且つ該成形金型84に対して接近、離隔移動せし
められ得るようになっている。
【0062】而して、このようなフランジ形成ローラ1
22を、前記フランジ形成部128が、前記三次予備成
形部112の外周面に形成された突条118に対応する
ように位置せしめた状態下で、上側外周面124におい
て、前記三次予備成形部112の外周面の全体に接触さ
せると共に、下側外周面126において、前記筒形状に
成形された裏面側部位102の外周面に接触させ、更に
その状態から、該フランジ形成ローラ122を、その回
転軸回りに回転させつつ、外周面の全体にて、それら三
次予備成形部112と裏面側部位102とに対して押し
付ける。そして、三次予備成形部112の前記突条11
8をフランジ形成部128内に折り曲げつつ押し込むよ
うにして、該三次予備成形部112を前記円筒部形成部
88との間で挟圧する一方、裏面側部位102を前記下
型82の上部外周面との間で挟圧する。
【0063】これによって、三次予備成形部112全体
をフランジ形成ローラ122の上側外周面124と円筒
部形成部88の外周面とにそれぞれ対応した形状の外周
面と内周面とを有する円筒形状に成形して、折曲げフラ
ンジ付円筒部76を形成すると共に、その外周面に、フ
ランジ形成部128に対応した形状の折曲げフランジ7
4を形成し、更に、基部72の裏面側部位102をフラ
ンジ形成ローラ122の下側外周面126と下型82の
上部外周面とにそれぞれ対応した形状の外周面と内周面
とを有する円筒形状に成形して、円筒状フランジ77を
形成する。かくして、基部72の一方の面上に、外周面
に折曲げフランジ74を有する折曲げフランジ付円筒部
76が一体形成される一方、その他方の面上に、円筒部
22と、それを外側から取り囲む円筒状フランジ77と
が一体的に形成されて構成された、目的とする金属製品
78を得るのである。
【0064】そして、最後に、図17に示される如く、
上型80を下型82から離隔移動させて、成形金型84
の型開を行ない、上述の如くして成形された金属製品7
8を該成形金型84から離型するのである。
【0065】このように、本具体例手法にあっては、予
備成形工程における、2回目の裂開加工による二次予備
成形部106の形成工程と、予備成形工程後の3回目の
裂開加工による三次予備成形部112の形成工程、更に
は突条形成ローラ114を用いた突条118の形成工程
において、低高フラットローラ92とそれによって裂開
された部位(一次予備成形部104及び二次予備成形部
106)との接触面積や、突条形成ローラ114と三次
予備成形部112との接触面積が有利に小さく為される
ようになっているところから、かかる裂開部位や三次予
備成形部112と低高フラットローラ92及び突条形成
ローラ114との間に生ずる摩擦抵抗の大きさも効果的
に小さく為され得るのである。
【0066】従って、かかる本具体例手法においても、
前記具体例手法と同様に、折曲げフランジ付円筒部76
の高さに拘わらず、目的とする金属製品78が、可及的
に小さな加工力により、常に安定した品質をもって、極
めて有利に製造され得ることとなるのである。
【0067】また、かかる本具体例手法にあっては、低
高フラットローラ92の上側角部98が湾曲面形状とさ
れていることにより、フランジ部付円筒部品20の基部
72に対する2回目と3回目の裂開加工時に、二次予備
成形部106と三次予備成形部112とが、それぞれ高
さ方向中間部において破断しないようになっているとこ
ろから、目的とする金属製品78が、より安定した品質
をもって、更に一層確実に製造され得る。
【0068】さらに、かかる本具体例手法においては、
予備成形工程の後、低高フラットローラ92を用いたフ
ランジ部付円筒部品20の基部72に対する裂開加工に
より、最終的に形成される折曲げフランジ付円筒部76
の基部側部分に対応した基部側部位108を有する三次
予備成形部112が形成されるようになっていることか
ら、折曲げフランジ付円筒部76の全体を成形するのに
先立って、予め、その基部側部分が形成されることとな
り、それによって、例えば、折曲げフランジ付円筒部7
6を成形する最終工程において、フランジ部付円筒部品
20の基部72に対する裂開加工等を施して、折曲げフ
ランジ付円筒部76の全体を一挙に成形する場合や、予
め折曲げフランジ付円筒部76の先端側部分を形成した
後、その基部側部分を裂開加工等により形成する場合等
とは異なり、かかる折曲げフランジ付円筒部76の基部
側部分に破断等が生ずる恐れが効果的に解消され得る。
【0069】以上、本発明の具体的な構成について詳述
してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないのであっ
て、本発明は、上記の記載によって、何等の制約をも受
けるものではない。
【0070】例えば、前記具体例では、フラットローラ
58(92)とテーパローラ60(94)とが、成形金
型14(84)と一体回転せしめられる金属素材26
(フランジ部付円筒部品20)に接触せしめられて、押
し付けられた際に、該金属素材26(フランジ部付円筒
部品20)とは逆方向に回転せしめられるようになって
いたが、それらフラットローラ58(92)とテーパロ
ーラ60(94)は、金属素材26(フランジ部付円筒
部品20)との接触状態下で、必ずしも回転させられる
ようになっている必要はない。
【0071】また、それらフラットローラ58(92)
とテーパローラ60(94)を金属素材26(フランジ
部付円筒部品20)に押し付けて、該金属素材26(フ
ランジ部付円筒部品20)に対する裂開加工や転造加工
を行なう方法も、前記具体例に示されるものに、何等限
定されるものではなく、例えば、フラットローラ58
(92)及びテーパローラ60(94)と金属素材26
(フランジ部付円筒部品20)とをそれぞれの中心軸回
りに回転させつつ、或いはそれぞれの中心軸回りに回転
させることなく、フラットローラ58(92)とテーパ
ローラ60(94)とを、金属素材26(フランジ部付
円筒部品20)に対して、その周方向に移動させなが
ら、またその逆に、金属素材26(フランジ部付円筒部
品20)を、フラットローラ58(92)とテーパロー
ラ60(94)に対して、それぞれの周方向に移動させ
ながら、フラットローラ58(92)とテーパローラ6
0(94)とをそれぞれ金属素材26(フランジ部付円
筒部品20)に押し付けて、該金属素材26(フランジ
部付円筒部品20)に対する裂開加工や転造加工を行な
うようにすることも、可能である。
【0072】さらに、前記具体例では、フラットローラ
58(92)とテーパローラ60(94)とを用いた予
備成形工程が2回繰り返して行なわれるようになってい
たが、かかる予備成形工程の実施回数は、何等これに限
定されるものではなく、最終的に形成される円筒部22
(折曲げフランジ付円筒部76)の高さや、フラットロ
ーラ58(92)による1回の裂開加工により金属素材
26(フランジ部付円筒部品20)の基部相当部64
(基部72)から裂開される裂開部位の大きさ(形成さ
れる予備成形部の高さ)等に応じて、適宜に決定され得
るものである。そして、特に、フランジ部付円筒部品2
0を製造する際には、フラットローラ58とテーパロー
ラ60とを用いた予備成形工程が少なくとも1回行なわ
れ、またかかるフランジ部付円筒部品20を金属素材と
して用いて、折曲げフランジ付円筒部76を備えた金属
製品78を製造する際には、低高フラットローラ92と
テーパローラ94とを使用した予備成形工程が複数回繰
り返して行なわれることとなる。
【0073】また、前記具体例では、1回目の裂開加工
において形成される一次予備成形部68(104)と2
回目の裂開加工で形成される二次予備成形部70(10
6)のそれぞれ全体が、テーパローラ60(94)によ
って、該テーパローラ60(94)の外周面形状に対応
したテーパ筒形状に成形されるようになっていたが、2
回目の裂開加工時と3回目の裂開加工時とにおける、そ
れら一次予備成形部68(104)と二次予備成形部7
0(106)のフラットローラ58(92)に対する接
触面積が十分に小さく為し得るのであれば、一次予備成
形部68(104)と二次予備成形部70(106)の
それぞれの一部のみをテーパローラ60(94)によっ
て、前記テーパ筒形状に成形するようにしても良い。
【0074】さらに、前記具体例では、フラットローラ
58(92)とテーパローラ60(94)の外周面形状
がそれぞれ異なる二つの裂開転造ローラが用いられてい
たが、上部外周面がフラットローラ58(92)の外周
面と同様な形状とされると共に、下部外周面がテーパロ
ーラ60(94)の外周面と同様な形状とされた一つ裂
開転造ローラ、或いはそれら上部と下部の各外周面形状
が逆転した状態で構成された裂開転造ローラを用いて
も、何等差し支えない。
【0075】また、そのようなフラットローラ58(9
2)は、少なくとも外周面の一部が最終的に得られる円
筒部22(折曲げフランジ付円筒部76)の外周面形状
に対応した円柱面形状を呈するものであれば、その形状
や大きさは、前記具体例に示されるものに、何等限定さ
れるものではない。
【0076】さらに、テーパローラ60(94)にあっ
ても、少なくとも外周面の一部が、金属素材26(フラ
ンジ部付円筒部品20)の被加工部62(基部72の表
面側部位100)を基部相当部64(基部72の裏面側
部位102)から裂開して形成される予備成形部68,
70(104,106)の基部側から先端側に向かって
次第に大径となるテーパ面形状を呈するものであれば、
その形状や大きさは、前記具体例に示されるものに、決
して限定されるものではなく、また、そのようなテーパ
面形状の外周面のテーパ角度も、かかる予備成形部6
8,70(104,106)の少なくとも一部が、その
後の裂開加工時に、該被加工部62(基部72の表面側
部位100)の外周面に接触せしめられるフラットロー
ラ58(94)の外周面から十分に離間され得るように
為され得るものであれば、特に限定されるものではな
い。
【0077】加えて、前記具体例では、自動車のフラン
ジ部付円筒部品及びそれを用いて得られる折曲げフラン
ジ付円筒部を備えた金属製品の製造方法に対して、本発
明を適用したものの具体例を示したが、本発明は、その
他、円筒部が基部上に一体形成された各種の金属製品の
製造方法の何れに対しても、有利に適用され得るもので
ことは、勿論である。
【0078】その他、一々列挙はしないが、本発明は、
当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を
加えた態様において実施され得るものであり、また、そ
のような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限りに
おいて、何れも、本発明の範囲内に含まれるものである
ことが、理解されるべきである。
【0079】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明に従う円筒部が一体形成されてなる金属製品の製造方
法によれば、円筒部の高さに拘わらず、目的とする金属
製品が、可及的に小さな加工力により、常に安定した品
質をもって、極めて有利に製造され得ることとなるので
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従うフランジ部付円筒部品の製造方法
において用いられる製造装置の一例を示す縦断面説明図
である。
【図2】本発明に従うフランジ部付円筒部品の製造方法
における一工程例を示す説明図であって、左側半分は、
図1に示された製造装置に装備される成形金型の型開き
状態下で、かかる成形金型の下型に金属素材を載置した
状態を示しており、また右側半分は、該成形金型の上型
と下型との間で金属素材を挟持せしめた状態を示してい
る。
【図3】本発明に従うフランジ部付円筒部品の製造方法
における別の工程例を示す説明図であって、左側半分
は、金属素材の被加工部の外周面にフラットローラを接
触させた状態を示しており、また右側半分は、かかるフ
ラットローラにて1回目の裂開加工を行なって、円筒状
の一次予備成形部を形成した状態を示している。
【図4】本発明に従うフランジ部付円筒部品の製造方法
における更に別の工程例を示す説明図であって、左側半
分は、金属素材に形成された円筒状の一次予備成形部に
テーパローラを接触せしめた状態を示しており、また、
右側半分は、かかるテーパローラにて円筒状の一次予備
成形部をテーパ筒形状に成形した状態を示している。
【図5】本発明に従うフランジ部付円筒部品の製造方法
における他の工程例を示す説明図であって、左側半分
は、1回目の裂開加工によって裂開せしめられずに、金
属素材の基部相当部位と一体化したまま残存している被
加工部の残存部位の外周面にフラットローラを接触せし
めた状態を示しており、また、右側半分は、かかるフラ
ットローラにて2回目の裂開加工を行なって、円筒状の
二次予備成形部を形成した状態を示している。
【図6】本発明に従うフランジ部付円筒部品の製造方法
における更に他の工程例を示す説明図であって、左側半
分は、金属素材に形成された円筒状の二次予備成形部に
テーパローラを接触せしめた状態を示しており、また、
右側半分は、かかるテーパローラにて円筒状の二次予備
成形部をテーパ筒形状に成形した状態を示している。
【図7】本発明に従うフランジ部付円筒部品の製造方法
における他の工程例を示す説明図であって、左側半分
は、2回目の裂開加工によって裂開せしめられずに、金
属素材の基部相当部位と一体化したまま、なお残存して
いる被加工部の残存部位の外周面にフラットローラを接
触せしめた状態を示しており、また、右側半分は、かか
るフラットローラにて3回目の裂開加工を行なって、円
筒部を成形した状態を示している。
【図8】本発明に従うフランジ部付円筒部品の製造方法
における別の工程例を示す説明図であって、製造された
金属製品を離型せしめた状態を示している。
【図9】本発明に従う、折曲げフランジ付円筒部を備え
た金属製品の製造方法における一工程例を示す図2に対
応する図である。
【図10】本発明に従う、折曲げフランジ付円筒部を備
えた金属製品の製造方法における別の工程例を示す図3
に対応する図である。
【図11】本発明に従う、折曲げフランジ付円筒部を備
えた金属製品の製造方法における更に別の工程例を示す
図4に対応する図である。
【図12】本発明に従う、折曲げフランジ付円筒部を備
えた金属製品の製造方法における他の工程例を示す図5
に対応する図である。
【図13】本発明に従う、折曲げフランジ付円筒部を備
えた金属製品の製造方法における更に他の工程例を示す
図6に対応する図である。
【図14】本発明に従う、折曲げフランジ付円筒部を備
えた金属製品の製造方法における別の工程例を示す説明
図であって、左側半分は、予備成形工程によって裂開さ
れなかった基部の表面側部位の外周面に低高フラットロ
ーラを接触せしめた状態を示しており、また、右側半分
は、かかる低高フラットローラにて3回目の裂開加工を
行なって、三次予備成形部を形成した状態を示してい
る。
【図15】本発明に従う、折曲げフランジ付円筒部を備
えた金属製品の製造方法における更に別の工程例を示す
説明図であって、三次予備成形部の外周面に突条を形成
した状態を示している。
【図16】本発明に従う、折曲げフランジ付円筒部を備
えた金属製品の製造方法における他の工程例を示す説明
図であって、目的とする金属製品を製造した状態を示し
ている。
【図17】本発明に従う、折曲げフランジ付円筒部を備
えた金属製品の製造方法における更に他の工程例を示す
説明図であって、製造された金属製品を離型せしめた状
態を示している。
【符号の説明】
10 製造装置 14,84
成形金型 20 フランジ部付円筒部品 22 円筒部 24,88 円筒部形成部 26 金属素
材 58 フラットローラ 60,94
テーパローラ 62 被加工部 64 基部相
当部 68,104 一次予備成形部 70,106
二次予備成形部 72 基部 74 折曲げ
フランジ 76 折曲げフランジ付円筒部 78 金属製
品 92 低高フラットローラ 96 下側角
部 98 上側角部 112 三次
予備成形部 114 突条形成ローラ 116 溝 118 突条 122 フラ
ンジ形成ローラ 128 フランジ形成部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−76982(JP,A) 特開 平9−122816(JP,A) 特開 平9−300036(JP,A) 特開 昭62−282734(JP,A) 特開 平3−20154(JP,A) 特開 平5−185175(JP,A) 特開 平10−29029(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21H 1/04 B21D 53/30

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円筒部が基部上に一体的に形成されてな
    る金属製品の製造方法であって、 前記円筒部の内周面形状に対応した外周面を有する円筒
    部形成部材に対して、該円筒部形成部材の外径よりも大
    径の円形状の被加工部を備えた、前記金属製品を与える
    金属素材を同軸的に接触させて配置する一方、前記円筒
    部の外周面形状に対応した円柱面形状の外周面を有する
    フラットローラを用いて、その円柱面形状の外周面の角
    部を前記金属素材の被加工部の外周面に接触させた状態
    で、それらフラットローラと金属素材とを、それぞれの
    中心軸回りに相対回転せしめつつ、若しくは周方向に相
    対移動させつつ、該フラットローラを該金属素材の被加
    工部に押し付けることにより、該被加工部を、前記金属
    素材における、前記金属製品の基部に相当する基部相当
    部位から裂開せしめて、円筒状予備成形部を形成する工
    程と、かかる円筒状予備成形部の基部側から先端側に向
    かって次第に大径となるテーパ面形状の外周面を有する
    テーパローラ用いて、そのテーパ面形状の外周面を該円
    筒状予備成形部の外周面に接触させた状態で、それらテ
    ーパローラと金属素材とを、それぞれの中心軸回りに相
    対回転せしめつつ、若しくは周方向に相対移動させつ
    つ、該テーパローラを該円筒状予備成形部に押し付ける
    ことにより、該円筒状予備成形部の少なくとも一部を該
    テーパ面形状に対応したテーパ筒形状に成形する工程と
    を含む予備成形工程を少なくとも1回行ない、形成され
    る円筒状予備成形部の内径を前記円筒部形成部材の外径
    に漸次近づけ、最終的に、フラットローラの円柱面形状
    の外周面と該円筒部形成部材との間で該円筒状予備成形
    部を挟圧することにより、該円筒状予備成形部を該円柱
    面形状に対応した円筒形状に成形して、前記円筒部を形
    成するようにしたことを特徴とする円筒部が一体形成さ
    れてなる金属製品の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記フラットローラとして、前記円筒部
    よりも高さの低い円柱面形状の外周面を有し、且つ前記
    金属素材の被加工部の外周面に接触せしめられる角部と
    は反対側の角部が湾曲面形状とされた低高フラットロー
    ラを準備し、かかる低高フラットローラと前記テーパロ
    ーラとを用いて、前記予備成形工程を繰り返し行なった
    後、該低高フラットローラにて前記被加工部を前記金属
    素材の基部相当部位から更に裂開すると共に、かかる裂
    開部位を該低高フラットローラの円柱面形状の外周面と
    前記円筒部形成部材との間で挟圧することにより、基部
    側部位が該円柱面形状に対応した円筒形状とされる一
    方、該低高フラットローラの高さよりも高い先端側部位
    が該基部側部位よりも大径となる大径部位とされた前記
    円筒状予備成形部を形成する工程と、 外周面に、周方向に連続して延びる溝が設けられた突条
    形成ローラを用いて、かかる突条形成ローラの外周面
    を、前記円筒状予備成形部における大径部位の外周面の
    みに接触させた状態で、該突条形成ローラと前記金属素
    材とを、それぞれの中心軸回りに相対回転せしめつつ、
    若しくは周方向に相対移動させつつ、該突条形成ローラ
    を該円筒状予備成形部に押し付けることにより、該円筒
    状予備成形部の大径部位の外周面に、該突条形成ローラ
    の前記溝に対応した突条を形成する工程と、 円柱面形状を呈する外周面に、周方向に連続して延びる
    溝状のフランジ形成部を有して構成されたフランジ形成
    ローラを用いて、該フランジ形成ローラの円柱面形状の
    外周面を、前記突状が形成された円筒状予備成形部の外
    周面に接触させた状態で、該フランジ形成ローラと前記
    金属素材とを、それぞれの中心軸回りに相対回転せしめ
    つつ、若しくは周方向に相対移動させつつ、該フランジ
    形成ローラを該円筒状予備成形部に押し付けて、該円筒
    状予備成形部を前記円筒部形成部材との間で挟圧するこ
    とにより、該円筒状予備成形部を該フランジ形成ローラ
    の円柱面形状に対応した円筒形状に成形して、前記円筒
    部を形成すると同時に、該円筒状予備成形部の前記大径
    部位の外周面に設けられた前記突条を該フランジ形成ロ
    ーラの前記フランジ形成部内に押し込んで、該円筒部の
    外周面に、該フランジ形成部に対応した形状のフランジ
    を形成する工程と、を含むことを特徴とする請求項1に
    記載の、円筒部が一体形成されてなる金属製品の製造方
    法。
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