JP3381236B2 - 熱可塑性エラストマー組成物及び該熱可塑性エラストマー組成物を用いた配管用継ぎ手 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物及び該熱可塑性エラストマー組成物を用いた配管用継ぎ手

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は樹脂架橋剤でゴムを
動的架橋して熱可塑性ポリマーからなるマトリクスに分
散せしめた熱可塑性エラストマー組成物及び該熱可塑性
エラストマー組成物を用いた配管用継ぎ手に関し、特
に、架橋ゴムの熱可塑性ポリマー中での分散粒子径を小
さくして、良好な機械的特性が得られるようにするもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来から、電気部品、電線被覆、パッキ
ン、シール用ガスケット、防水シート、ホース、配管用
継ぎ手等の産業用及び生活用の各種ゴム製品では所望の
機械的物性が得られるように、ゴムを架橋したり、架橋
ゴムとゴム以外の各種熱可塑性ポリマーとをブレンドし
たりしている。また、上記産業用及び生活用の各種ゴム
製品は日光や高濃度のオゾンに晒されることがあるた
め、ゴムとしては耐オゾン性に優れたエチレン−プロピ
レン−ジエンゴム(EPDMゴム)のみを用いたり、E
PDMゴムを他のゴムとブレンドして用いる場合が多
い。
【0003】架橋ゴムとゴム以外の各種熱可塑性ポリマ
ーのブレンド品とする場合、比較的効率良く且つ比較的
均一にゴムが架橋し、かつ、架橋ゴムを熱可塑性ポリマ
ー中に比較的良好に分散できることから、架橋剤の存在
下にゴムと熱可塑性ポリマーに剪断力を与えながら加熱
してゴムを架橋する所謂動的架橋を行う場合が多い。
【0004】 また、ゴムを動的架橋する場合、架橋剤
の種類によらず、触媒が必要で、多くの場合、ハロゲン
を触媒として用いている。よって、架橋剤として樹脂架
橋剤を用いる場合には、ハロゲン化樹脂架橋剤を用いる
場合が多い。市販されている一般的なハロゲン化樹脂架
橋剤はブチルゴムの架橋反応の促進を前提にしているも
のでハロゲン含有量は3.0重量%以上である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記一
般的なハロゲン量が3.0重量%以上のハロゲン化樹脂
架橋剤をEPDMゴムを主成分とするゴムを動的架橋し
て熱可塑性ポリマー中に分散した場合、架橋反応速度が
速くなりすぎ、剪断力でゴムを熱可塑性ポリマー中に微
分散する前に架橋反応が終了し、組成物中の架橋ゴムの
粒子径が大きくなり、得られた熱可塑性エラストマー組
成物を押出、もしくは射出成形する際、流動抵抗が大き
く、ゴム粒子が成形物表面に出てきて、細かな凹凸が生
じ、成形品の見栄えが悪くなるという問題を生じた。
【0006】一方、地下に埋設する配管の連結に使用す
る配管用継ぎ手等のゴム製品では、それにかかる圧縮力
や引っ張り力も大きく、配管から取り外した時にクラッ
クやへたりを生じやすい。よって、破断時伸び、破断強
度のみならず、圧縮永久歪みのより低減した熱可塑性エ
ラストマー組成物が望まれている。
【0007】本発明は上記のような事情に鑑みてなされ
たものであり、熱可塑性ポリマー中に架橋したゴムを微
粒子状に分散した熱可塑性エラストマー組成物であっ
て、耐オゾン性に優れ、かつ、良好な成形性と機械的特
性が得られるようにすることを課題としている。
【0008】特に、成形して配管用継ぎ手とした場合
に、配管からの取り外した時にクラックやへたりが生じ
ないようにすることを課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、EPDMゴムを50重量%以上含むゴム
をハロゲン含有量が0.1〜1.5重量%の樹脂架橋剤
で動的架橋して熱可塑性ポリマーからなるマトリクスに
微粒子状に分散せしめた熱可塑性エラストマー組成物を
提供している。
【0010】すわなち、本発明は、EPDMゴムを主成
分とするゴムを樹脂架橋剤で動的架橋して熱可塑性ポリ
マー中に分散する場合、ハロゲン含有量が0.1〜1.
5重量%の樹脂架橋剤を用いると、ゴムの架橋反応とゴ
ムの熱可塑性ポリマー中への分散がバランスよく進行し
て、架橋ゴムが熱可塑性ポリマー中に粒子径が10μm
以下、好ましくは5μm以下の微粒子状に分散し、良好
な成形性と機械的特性を有する熱可塑性エラストマー組
成物が得られることを見出だしたものである。
【0011】 ハロゲン含有量が0.1重量%の未満の
樹脂架橋剤を用いた場合、EPDMゴムを主成分とする
ゴムが完全に架橋されずエラストマー組成物の圧縮永久
歪みが大きくなってしまう。一方、ハロゲン含有量が
1.5重量%より大きい樹脂架橋剤を用いた場合は、E
PDMゴムを主成分とするゴムの架橋が速く進行し過ぎ
て、剪断力でゴムが熱可塑性ポリマー中に微分散される
前にゴムの架橋反応が終了してしまう。このため、架橋
ゴムの分散粒子径が10μmより大きくなり、生成され
るエラストマー組成物は押出、もしくは射出成型した場
合、ゴム粒子が成形物表面に出てきて、細かな凹凸を生
じてしまう。
【0012】前記したように市販のハロゲン化樹脂架橋
剤はハロゲンを概ね3.0重量%以上含んでいる。よっ
て、上記本発明のハロゲン含有量が0.1〜1.5重量
%の樹脂架橋剤は実際には以下(1)〜(3)のものを
使用している。 (1)ハロゲンを3.0重量%以上含むハロゲン化樹脂
架橋剤とハロゲンを含まない非ハロゲン化樹脂架橋剤を
混合して全樹脂架橋剤当たりのハロゲン量が0.1〜
1.5重量%となるようにしたもの。例えば、ハロゲン
量を0.75重量%とする場合、ハロゲンを3.0重量
%含むハロゲン化樹脂架橋剤と非ハロゲン化樹脂架橋剤
を1:3の重量比で混合する。 (2)ハロゲンを3.0重量%以上含むハロゲン化樹脂
架橋剤を熱処理してハロゲンを遊離させ、ハロゲン含有
量を0.1〜1.5重量%に調整したもの。 (3)非ハロゲン化樹脂架橋剤とハロゲン供与性物質を
混合し、ハロゲン供与性物質より供与されるハロゲン量
をハロゲン供与性物質と非ハロゲン化樹脂架橋剤のトー
タル重量当たり0.1〜1.5重量%にしたもの。
【0013】上記ハロゲン化樹脂架橋剤の具体例として
は、フェノール樹脂、メラミン・ホルムアルデヒド縮合
物、トリアジン・ホルムアルデヒド縮合物、硫化−p−
第三ブチルフェノール樹脂、アルキルフェノール・スル
フィド樹脂、ヘキサメトキシメチル・メラミン樹脂等の
付加縮合型樹脂の分子末端或いは分子中にハロゲン元素
を結合させたものが挙げられる。ハロゲン元素は塩素、
臭素等である。
【0014】また、上記ハロゲン供与性物質としては、
塩化スズ(塩化第2スズ)、塩化鉄(塩化第2鉄),塩
化銅(塩化第2銅)等のハロゲン化金属、或いは/及
び、塩素化ポリエチレン等のハロゲン化樹脂が用いられ
る。
【0015】本発明において上記ハロゲン含有量が0.
1〜1.5重量%の樹脂架橋剤はゴム(ポリマー分)1
00重量部当たり一般に3〜20重量部、好ましくは5
〜15重量部配合する。
【0016】また、架橋反応の活性及び均質化を図る目
的で、酸化亜鉛等の金属酸化物を添加することもでき
る。この場合、該金属酸化物はゴム100重量部当たり
0.1〜10重量部程度添加する。これは、添加量が1
0重量部よりも多い場合は、架橋が速く進行し過ぎて、
組成物中の架橋ゴムの粒子径が増大する傾向を示し、添
加量が0.1重量部より少ない場合は、添加の効果が得
られにくくなるためである。
【0017】ゴムは耐オゾン性の点からゴム全体をEP
DMゴムとするのが好ましいが、耐オゾン性を損なわな
い範囲で熱可塑性エラストマー組成物の機械的特性を良
化するために、EPDMゴム以外の他のゴムを用いるこ
とができる。EPDMゴム以外のゴムとしては、例え
ば、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、
イソプレンゴム(IR)、アクリロニトリル−ブタジエ
ンゴム(NBR)等のジエン系ゴムを用いるのが好まし
い。また、ジエン系ゴム以外のゴムを用いることがで
き、例えば、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、ア
クリルゴム、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルフ
ォン化ポリエチレンゴム等を挙げることができる。これ
らのゴムは1種または2種以上を用いることができる。
【0018】熱可塑性ポリマーとしては、例えば、ポリ
オレフィン系樹脂、スチレン系熱可塑性エラストマー、
水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー等を挙げるこ
とができる。これらのうち、ポリオレフィン系樹脂或い
は/及び水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーを用
いるのが好ましい。特に、水素添加スチレン系熱可塑性
エラストマーは水素添加によって二重結合を無くしたス
チレン系熱可塑性エラストマーであり、ゴムの動的架橋
時にゴムの架橋を阻害しないため、より好適である。な
お、ナイロン樹脂のような可塑化温度が200℃以上の
熱可塑性ポリマーは動的架橋温度を高く設定しなければ
ならず、動的架橋工程でゴムの劣化を生じる虞がある。
このため、このような可塑化温度の高い熱可塑性ポリマ
ーの使用はできるだけ避けるべきである。
【0019】上記ポリオレフィン系樹脂は、例えば、ポ
リエチレン、ポリプロピレン、エチレン−エチルアクリ
レート樹脂、エチレン−ビニルアセテート樹脂、エチレ
ン−メタクリル酸樹脂、アイオノマー樹脂、メタロセン
触媒重合ポリエチレン、及びメタロセン触媒重合ポリプ
ロピレンから選ばれる1種または2種以上を用いること
ができる。
【0020】上記スチレン系熱可塑性エラストマー(水
素添加スチレン系熱可塑性エラストマーにおけるスチレ
ン系熱可塑性エラストマー)としては、ポリスチレン相
(S)末端ブロックとゴム(エラストマー)中間ブロッ
クとからなるブロック共重合物であり、例えば、ゴム
(エラストマー)中間ブロックがポリエチレンからなる
SES系、ゴム(エラストマー)中間ブロックがエチレ
ン/プロピレン(E/P)からなるSEPS系、ゴム
(エラストマー)中間ブロックがエチレン/ブチレン
(E/B)からなるSEBS系等を用いることができ
る。
【0021】ゴムと熱可塑性ポリマーとの重量比(ゴ
ム:熱可塑性ポリマー)は20:80〜90:10の範
囲とするのが好ましい。ゴムと熱可塑性ポリマーの重量
比がこの範囲にあると、概ね組成物の可塑化に困難を伴
うことなく良好な機械的特性、特に、圧縮永久歪みの小
さいゴム製品を成形することができる。
【0022】更に、ゴムと熱可塑性ポリマーとの重量比
(ゴム:熱可塑性ポリマー)は40:60〜90:10
の範囲とするのがより好ましい。これは、配管用継ぎ手
のような長期に亘って強く圧縮した状態で使用されるゴ
ム製品を成形する場合、圧縮永久歪みが30を超える
と、ゴム製品が所望の機能を維持することが困難にな
る。よって、配下用継ぎ手を成形する場合、架橋したゴ
ムの熱可塑性ポリマー中での分散状態のみならず、ゴム
を熱可塑性ポリマーに対して比較的多めに配合して圧縮
永久歪みを30以下まで小さくする必要があるためであ
る。
【0023】本発明の熱可塑性エラストマー組成物に
は、組成物の硬度を低下させるために、オイルや可塑剤
の軟化剤を添加してもよい。オイルとしては、パラフィ
ン系、ナフテン系、芳香族系等の鉱物油や炭化水素系オ
リゴマーからなるそれ自体公知の合成油、またはプロセ
スオイルを用いることができる。合成油としては、例え
ば、α−オレフィンのオリゴマー、ブテンのオリゴマ
ー、エチレンとα−オレフィンのオリゴマー等を挙げる
ことができ、特にエチレンとα−オレフィンとの非晶質
オリゴマーが好ましい。可塑剤としては、例えば、ジオ
クチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(D
BP)、ジオクチルセパケート(DOS)、ジオクチル
アジペート(DOA)等を用いることができる
【0024】オイルを添加する場合、通常、ゴム100
重量部当たり1〜200重量部程度使用し、可塑剤を添
加する場合、通常ゴム100重量部当たり1〜20重量
部程度使用する。
【0025】なお、ゴムに油展ゴムを用いる場合、油展
ゴム中のオイルが軟化剤として作用する。よって、油展
ゴムを用いる場合は、ゴムとは別にオイルや可塑剤を添
加しなくても、組成物の硬度をある程度低下させること
ができる。もちろん、油展ゴムを用いると共に、別途オ
イルや可塑剤を添加してもよい。
【0026】本発明の熱可塑性エラストマー組成物の機
械的強度を向上させるために、必要に応じて、充填剤を
添加することもできる。充填剤としては、例えば、シリ
カ、カーボンブラック、クレー、タルク、炭酸カルシウ
ム、二塩基性亜リン酸塩(DLP)、塩基性炭酸マグネ
シウム、アルミナ等の粉体を挙げることができる。充填
剤を添加する場合、充填剤はゴム組成物全体当たり10
重量%以下とするのが好ましい。これは充填剤はゴムの
引っ張り強度及び引き裂き強度の改善には有効であるも
のの、余り多く配合するとゴム組成物の柔軟性を大きく
低下させてしまうためである。
【0027】また、本発明の熱可塑性エラストマー組成
物には、必要に応じて、老化防止剤、ワックス等を添加
することができる。老化防止剤としては、例えば、2−
メルカプトベンゾイミダゾールなどのイミダゾール類、
フェニル−α−ナフチルアミン、N,N−ジ−β−ナフ
チル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−
イソプロピル−p−フェニレンジアミンなどのアミン
類、ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、スチレン
化フェノールなどのフェノール類などが挙げられる。
【0028】本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、
通常、ゴム、熱可塑性ポリマー、ハロゲン含有量が0.
1〜1.5重量%の樹脂架橋剤、及び、これら以外の必
要に応じて添加される添加剤を、オープンロール、バン
バリミキサー、単軸押出機、二軸押出機等の公知のゴム
混練装置で加熱混練することで製造する。混練は通常1
50℃〜250℃の温度で行う。
【0029】ゴム製品は上記混練により得られた混練物
(熱可塑性エラストマー組成物)を押出成形、射出成
形、プレス成形等の所要の成形方法を用いて所望の形状
に成形して作製する。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例と比較例に
より更に詳しく説明する。
【0031】(実験1)下記の原料を用いて表1、表2
の処方で実施例及び比較例の熱可塑性エラストマー組成
物を作製し、更に、該作製した熱可塑性エラストマー組
成物を成形して成形性及び成型品の機械的物性について
評価した。
【0032】EPDMゴム:出光DSM製,ケルタン5
09×100(油展EPDMゴムでEPDMゴム50重
量%とパラフィンオイル50重量%からなる。) SBR:日本ゼオン製、NS210 酸化亜鉛:三井金属鉱業製酸化亜鉛 オイル:出光興産社製、ダイアナプロセスオイルPW−
380 樹脂架橋剤:田岡化学社製、タッキロール250−3
(ブロミネーティッドアルキルフェノール・ホルムアル
デヒド樹脂) ※ハロゲン化樹脂架橋剤で3重量%の臭素元素を含有。 樹脂架橋剤:田岡化学社製、タッキロール201(ア
ルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂) ※非ハロゲン化樹脂架橋剤 ポリプロピレン:日本ポリケム製ノバテックPP MG
05BS ポリエチレン:住友化学製、スミカセンα GZ802 SEPS系水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー:
クラレ社製、セプトン4055 SEPS系水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー組
成物:クラレ社製、セプトンCJ001
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】表1,2において、EPDMゴムの重量は
オイルを含む重量であり、実質的なゴム重量は記載の数
値の半分の量である。また、SEPS系水素添加スチレ
ン系熱可塑性エラストマー組成物はSEPS系水素添加
スチレン系熱可塑性エラストマーを主成分にオイル、ポ
リプロピレンが配合されているものである。
【0036】熱可塑性エラストマー組成物の作製は次の
ようにして行った。ゴムを二軸一軸押出機(モリヤマ製
2TR−75)を用いてφ4mm×4mmLの大きさに
ペレット化し、このペレットを表中のハロゲン化樹脂架
橋剤以外の他の添加剤と共にタンブラーで混合し、混合
物を二軸押出機(アイペック製HTM38)に投入する
一方、別の投入口よりハロゲン化樹脂架橋剤を投入し
て、混練を行い、リボン状(3mm厚×30mm幅)の
生成物を得、冷却後、2mmになるように両面をスライ
スして試験片を作製した。混練は180℃で200rp
mにて行った。
【0037】上記作製した試験片にて、JIS K63
01に基づく特性試験、接触金属のサビ発生試験、及び
耐オゾン性試験を行った。
【0038】[JIS K6301の基づく特性試験] 硬度(Hs)、引張破断時の伸び(Eb)、引張破断強
度(Tb)、圧縮永久歪み(CS)について行った。 Hs:スプリング式硬さ試験(A型)[deg] Eb:試験片ダンベルNO.3 [%] Tb:試験片ダンベルNO.3 [kg/cm2 ] CS:熱処理70℃×22hr×25%圧縮後、残留圧
縮歪を測定[%]
【0039】[押出表面肌]リボン形状で押し出された
スラブ状試験片の表面を目視で確認した。
【0040】[耐オゾン性試験]スラブ状ゴム部品を1
0%伸張させた後、温度40℃、オゾン濃度50pph
mの条件下に試験片ダンベルNO.1を300時間放置
して、クラックの発生の有無を目視で判断した。
【0041】以上の試験結果を表1、表2の下段に示し
た。
【0042】比較例1〜3、実施例1〜4は、ゴム、熱
可塑性エラストマー等の樹脂架橋剤以外の材料の処方は
同一にし、樹脂架橋剤としてハロゲン含有量が異なる樹
脂架橋剤を用いている。比較例1は樹脂架橋剤(ハロ
ゲン化樹脂架橋剤:3重量%の臭素元素を含有)のみを
用いている。比較例2、実施例1〜3は樹脂架橋剤
(ハロゲン化樹脂架橋剤:3重量%の臭素元素を含有)
と樹脂架橋剤(非ハロゲン化樹脂架橋剤)をブレンド
してハロゲン量を調整している。実施例4は樹脂架橋剤
(ハロゲン化樹脂架橋剤:3重量%の臭素元素を含
有)を40℃で1か月間熱処理してハロゲン量を1.0
重量%に調整している。
【0043】実施例1〜実施例4の混練生成物はいずれ
も架橋ゴムが粒子径が10μm以下の微粒子状に分散し
たものとなり、生成物の機械的特性及び成形性は良好で
あった。
【0044】一方、樹脂架橋剤のハロゲン含有量が1.
5重量%より大きい比較例1、2では、混練生成物中に
分散する架橋ゴムの粒子径が20〜30μm以上になっ
て、生成物の成形時にゴム粒子が成形物の表面に出てき
て、成形品の表面が細かな凹凸を有し、見栄えが悪く、
押出表面肌となった。押出表面肌が生じると、該表面部
分の機械的物性が他の部分に比して低下した。
【0045】比較例3は非ハロゲン化樹脂架橋剤のみを
用いたもので、ゴムの架橋が不完全で混練生成物にはゴ
ムの未架橋成分が残留し、圧縮永久歪みが大きくなっ
た。よって、成形品であるた配管用継ぎ手は配管からの
取り外し後にへたりを生じた。
【0046】実施例5〜実施例9は上記比較例1〜3と
実施例1〜4の結果に基づいて樹脂架橋剤のハロゲン含
有量を0.75重量%に固定し、熱可塑性ポリマーの種
類を変更したものである。実施例5はポリプロピレン、
実施例6はポリエチレン、実施例7は水素添加SEPS
組成物、実施例8はポリプロピレンと水素添加SEPS
組成物、実施例9はポリプロピレンと水素添加SEPS
を用いた。これらは、いずれも架橋ゴムが粒子径が10
μm以下の微粒子に分散し、混練生成物の機械的特性及
び成形性は良好であった。
【0047】実施例10、比較例4はゴムをEPDMゴ
ムからEPDMゴムとSBRの混合物に変更した以外は
実施例5と同じに処方にしたもので、EPDMゴムとS
BRの重量比を50:50にした実施例10は耐オゾン
性について良好な結果を得ることができたが、EPDM
ゴムとSBRの重量比を25:75にした比較例4では
耐オゾン性が悪かった。
【0048】(実験2)本実験では長期に亘って強く圧
縮した状態で使用される配管用継ぎ手を実際に成形し
て、配管用継ぎ手に好適なゴムと熱可塑性ポリマーの配
合比を検討した。すなわち、表4に示すように、上記実
験1の結果に基づいて樹脂架橋剤のハロゲン含有量を
0.75重量%に固定し、ゴムと熱可塑性ポリマーの配
合比を種々変更した混練生成物(熱可塑性エラストマー
組成物)を生成し、該混練生成物をペレット化し、該ペ
レットを射出成形して配管用継ぎ手1〜3を作製した。
【0049】配管用継ぎ手1は熱可塑性エラストマー組
成物中のゴムと熱可塑性ポリマー(ポリプロピレンとS
EPS組成物)の重量比を40:60とし、配管用継ぎ
手2は熱可塑性エラストマー組成物中のゴムと熱可塑性
ポリマー(ポリプロピレンとSEPS組成物)の重量比
を35:65とし、配管用継ぎ手3は熱可塑性エラスト
マー組成物中のゴムと熱可塑性ポリマー(ポリプロピレ
ンとSEPS)の重量比を10:90とした。なお、配
管用継ぎ手3では熱可塑性エラストマー組成物の柔軟性
を高めるためパラフィンオイルを添加した。いずれの熱
可塑性エラストマー組成物も架橋したゴム微粒子が粒子
径が10μm以下の微粒子状に分散していた。
【0050】
【表3】
【0051】なお、表3に示す硬度(Hs)、引張破断
時の伸び(Eb)、引張強度(Tb)、圧縮永久歪み
(CS)は配管用継ぎ手とは別に上記実験1と同様に熱
可塑性エラストマー組成物を押出成形し、該押出成形物
をスライスして作製した試験片により行った。
【0052】上記配管用継ぎ手1〜3は、図1に示し形
状とした。即ち、枝配管1の端部1aが内挿される大径
の円筒部3Aと、塩ビ配管2の端部2aが内挿される小
径の円筒部3Bと、これら円筒部3Aと円筒部3Bとを
傾斜壁により連結している連結部3Cとを備えた継ぎ手
3とした。円筒部3A及び円筒部3Bの大きさは配管の
太さに応じて決定するが、ここでは、円筒部3Aの外径
を450mm、円筒部3Bの外径を320mmとした。
また、円筒部3A、円筒部3B、連結部3Cの筒壁の肉
厚は同一で8mmとした。また、連結部3Cの傾斜角度
(α)は65°とした。
【0053】円筒部3A及び円筒部3Bの外周面には、
それぞれ、外周面の円周方向に互いに平行に形成した2
つの凸部4a、4bにより区画されて形成された締結バ
ンドの装着部4を設けた。また、円筒部3A及び円筒部
3Bの内周面には、それぞれ、上記締結バンドの装着部
4と対向する位置に円周方向に互いに平行に形成した複
数の凸部5を形成した。該凸部5は、締結バンドで第1
筒部3A及び第2筒部3Bを締め付けた時、枝配管1の
端部1aの外周面及び塩ビ配管2の端部2aの外周面に
変形を起こしながら密着し、管内に機密性を付与するた
めのものである。凸部5の高さは2mmとした。
【0054】成形した配管用継ぎ手は、締結バンドで配
管に取り付け、(常温度下で内圧0.5kg/cm2
24時間保った。)、その後、締結バンドを外して配管
から配管用継手を取り外し、配管への取り付け施工性、
配管から取り外した後の配管用継手の性状を観察した。
【0055】いずれの配管用継ぎ手も、熱可塑性エラス
トマー組成物の成形性に問題はなく、組成物が接触する
金型表面に錆は発生しなかった。配管用継ぎ手1、3と
も配管への取付施工性は良好で、しかも、取り外し後に
へたり(弾性及び伸縮性が劣化した状態)やクラックは認
められなかった。しかし、配管用継ぎ手2は組成物(試
験片)の圧縮永久歪みが35で大きかったため、配管用
継ぎ手の配管への取り付け施工性は問題なかったが、配
管から取り外した後に配管にへたりが生じ、長期間及び
繰り返しの使用において、良好な機密性を維持するには
満足できる性能ではなかった。よって、配管用継ぎ手を
成形する場合には、熱可塑性エラストマー組成物中にお
いてゴムの配合量を熱可塑性ポリマーとの重量比(ゴ
ム:熱可塑性ポリマー)で40:60以上にしてゴムを
比較的多めに配合しなければならないことが分かった。
【0056】
【発明の効果】以上の説明により明らかなように、本発
明によれば、ハロゲン含有量が0.1〜1.5重量%の
樹脂架橋剤でEPDMゴムを主成分とするゴムを動的架
橋することで、熱可塑性ポリマー中に架橋したEPDM
ゴムを主成分とするゴムを粒子径が10μm以下、特
に、5μm以下の微粒子状に分散させることができる。
よって、生成される熱可塑性エラストマー組成物は成形
性及び機械的特性に優れたものとなり、例えば、成形し
て配管用継ぎ手とした時に、配管への取付施工姓がよ
く、配管から取り外した場合にへたりやクラックを発生
しない高性能の配管用継ぎ手を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の配管用継ぎ手の一具体例であり、
(A)は該継手により大径の配管と端部と小径の配管の
端部と連結している状態の断面図、(B)は図(A)の
継手の断面拡大図である。
【符号の説明】
1 円筒状枝配管 2 円筒状塩ビ配管 3 継手 3A 大径の円筒部 3B 小径の円筒部 3C 連結部 4 締結バンドの装着部 5 凸部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 1/00 - 101/16 C08J 3/24 F16L 47/00 - 47/06

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 EPDMゴムを50重量%以上含むゴム
    をハロゲン含有量が0.1〜1.5重量%の樹脂架橋剤
    で動的架橋して熱可塑性ポリマーからなるマトリクスに
    微粒子状に分散せしめた熱可塑性エラストマー組成物。
  2. 【請求項2】 上記熱可塑性ポリマーがポリオレフィン
    系樹脂或いは/及び水素添加スチレン系熱可塑性エラス
    トマーからなる請求項1に記載の熱可塑性エラストマー
    組成物。
  3. 【請求項3】 上記ゴムと熱可塑性ポリマーとの重量比
    (ゴム:熱可塑性ポリマー)が20:80〜90:10
    の範囲にある請求項1又は請求項2のいずれか1項に記
    載の熱可塑性エラストマー組成物。
  4. 【請求項4】 上記ゴムと熱可塑性ポリマーとの重量比
    (ゴム:熱可塑性ポリマー)が40:60〜90:10
    の範囲にある請求項1又は請求項2のいずれか1項に記
    載の熱可塑性エラストマー組成物を成形してなる、熱可
    塑性エラストマー組成物を用いた配管用継ぎ手。
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