JP3379739B2 - 自動車の後部構造 - Google Patents

自動車の後部構造

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JP3379739B2 JP02462595A JP2462595A JP3379739B2 JP 3379739 B2 JP3379739 B2 JP 3379739B2 JP 02462595 A JP02462595 A JP 02462595A JP 2462595 A JP2462595 A JP 2462595A JP 3379739 B2 JP3379739 B2 JP 3379739B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えば車体重心が空
力中心点よりも後方に位置する自動車においてヨーイン
グモーメントを低減するような自動車の後部構造に関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、直進中の車両が横風を受ける
と、この車両は正面からの気流と側面からの気流とを合
成した気流(すなわち斜め前方からの気流)を受けて走
行することになり、斯る状態下にあっては車体両側面に
圧力差が生じて、車体に作用する空気力に横方向成分
(サイドフォースS)が生ずる。図9に示すように空気
力の車体に対する着力中心(空力中心)Aは、一般的に
車体重心Gの前方に位置するので、空気力の横方向成分
Sと、空力中心Aおよび車体重心G間の距離Lとの積
(S×L)で表されるヨーイングモーメントMが車体に
働き、ヨー角で示される角度だけ車両が風下側へ回頭す
るような挙動を示すことが知られている。
【0003】このような問題点を解決するため従来、例
えば実開平6−32277号公報に記載のような自動車
の車体構造がある。すなわち、車体重心が空力中心点よ
り後方に位置する自動車において、上述の車体重心より
も後方位置の車体両側に、車体から下方向に向かって延
び、かつ車両前後方向に延びるヨーイングコントロール
板が取付けられ、空気抗係数Cの悪化を招くことな
く、ヨーイングモーメント係数Cymを改善すべく構成
した自動車の車体構造である。
【0004】しかし、この従来構造においては、上述の
ヨーイングコントロール板が取付けられた領域は、リヤ
ホイールアーチ部より乱れた風が発生する部位であるた
め、空気抵抗係数Cの低減を図ることは困難であり、
しかも上述のヨーイングコントロール板は車両前後方向
に延びる構成である以上、横風の動圧を積極的に受ける
ことができず、ヨーイングモーメントの充分な低減が図
れない問題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この発明の請求項1記
載の発明は、正面からの気流と側面からの気流を合成し
走行風つまり横風の動圧を積極的に受ける走行風受け
面を、車体重心より後方位置に形成することで、ヨーイ
ングモーメントの大幅な減少を図ることができ、また、
車体重心および空力中心点間の距離に対して車体重心お
よび走行風受け面間の距離を大きく設定することで、モ
ーメント長を大と成して、より一層良好にヨーイングモ
ーメントの減少を図ることができ、しかも走行風の動圧
を積極的に受ける車幅方向および上下方向に延びた走行
風受け面を、車体両側の基準面に対して内方側に凹設す
ることで、空気抵抗係数の悪化を小とし、かつ安全性に
おいても有利となる自動車後部構造の提供を目的とす
る。
【0006】この発明の請求項記載の発明は、上記請
求項1記載の発明の目的と併せて、走行風受け面の形成
領域を特定することで、空気抵抗係数Cを大幅に悪化
させることなく、ヨーイングモーメントの大幅な低減が
できる自動車の後部構造の提供を目的とする。
【0007】この発明の請求項記載の発明は、上記請
求項記載の発明の目的と併せて、上述の走行風受け面
をリヤバンパの両側面部に形成することで、この走行風
受け面をリヤバンパに対して一体成形により容易に構成
することができる自動車の後部構造の提供を目的とす
【0008】の発明の請求項記載の発明は、上記請
求項1,2または3記載の発明の目的と併せて、上述の
基準面に凹設される走行風受け面を三角形状と成すこと
で、少ない凹設面積でありながら大きな受け面を形成す
ることができ、見栄え、意匠感の向上を図ることができ
る自動車の後部構造の提供を目的とする
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明の請求項1記載
の発明は、車体重心が空力中心点より後方に位置する自
動車において、上記車体重心より後方へ、上記車体重心
と上記空力中心点との車体前後方向の間隔よりも大きい
間隔が設定された位置の車体両側に、走行風の動圧を受
ける車幅方向および上下方向に延びた走行風受け面が
車体両側の基準面に対して内方側に凹設して構成された
自動車の後部構造であることを特徴とする
【0010】の発明の請求項記載の発明は、上記請
求項1記載の発明の構成と併せて、上記走行風受け面は
リヤホイールセンタを通る仮想垂直ラインよりも後方
で、かつリヤホイールアーチ上端を通る仮想水平ライン
よりも下方において車体両側に形成された自動車の後部
構造であることを特徴とする。
【0011】この発明の請求項記載の発明は、上記請
求項記載の発明の構成と併せて、上記走行風受け面は
リヤバンパの左右の両側面部にそれぞれ形成された自動
車の後部構造であることを特徴とする
【0012】の発明の請求項記載の発明は、上記請
求項1,2または3記載の発明の構成と併せて、上記走
行風受け面は車両側方から見てフロント側に頂点部が位
置し、リヤ側に底辺部が位置する三角形状に形成された
自動車の後部構造であることを特徴とする
【0013】
【発明の作用及び効果】この発明の請求項1記載の発明
によれば、上述の車体重心よりも後方位置の車体両側に
走行風すなわち横風を受ける車幅方向に延びた走行風受
け面を形成したので、この走行風受け面により横風の動
圧を積極的に受け、サイドフォースに対抗するのでヨー
イングモーメントの大幅な減少を図ることができる効果
がある。
【0014】また、車体重心よりも後方へ、上述の車体
重心と上記空力中心点との車体前後方向の間隔よりも大
きい間隔となるように走行風受け面の位置を設定したの
で、車体重心と走行風受け面との間のモーメント長が大
となり、この結果、より一層良好にヨーイングモーメン
トの減少を図ることができる効果がある。
【0015】しかも、走行風の動圧を受ける車幅方向お
よび上下方向に延びた走行風受け面が車体両側の基準面
に対して内方側に凹設されたものであるから、空気抵抗
係数 の悪化を可及的小としつつ、安全性において有利な
構成とすることができる効果がある。
【0016】この発明の請求項記載の発明によれば、
上記請求項1記載の発明の効果と併せて、走行風受け面
を形成する領域を上述の領域特定したので、本来、この
領域はリヤホイールアーチ部およびリヤタイヤにより空
気の乱れが生ずる領域で、この領域において空気抗係
数Cの改善を図ることは困難であるが、該領域に上述
の走行風受け面を形成することにより、空気抵抗係数C
を大幅に悪化させることなく、ヨーイングモーメント
の大幅な低減を図ることができる効果がある。
【0017】この発明の請求項記載の発明によれば、
上記請求項記載の発明の効果と併せて、上述の走行風
受け面をリヤバンパの左右の両側面部にそれぞれ形成し
たので、この走行風受け面をリヤバンパに対して一体成
形により容易に構成することができる効果がある
【0018】の発明の請求項記載の発明によれば、
上記請求項1,2または3記載の発明の効果と併せて、
上述の走行風受け面を側面視で三角形状に形成したの
で、凹部の開口面積に対して充分大きい受け面を形成す
ることができるうえ、見栄え及び意匠感の向上を図るこ
とができる効果がある
【0019】
【実施例】この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳
述する。図面は自動車の後部構造を示し、図1、図2に
おいて、1はリヤホイール、2はリヤホイールアーチ、
3はリヤバンパである。この車両は車体重心G(図5参
照)が空力中心点A(図5参照)よりも後方に位置し、
上述の車体重心Gよりも後方位置における車体両側に
は、走行風すなわち横風を受ける車幅方向および上下方
に延びた走行風受け面4を形成している。
【0020】この走行風受け面4が形成される領域を、
図1を参照して説明すると、この走行風受け面4はリヤ
ホイール1の中心つまりリヤホイールセンタ0を通る仮
想垂直ラインYよりも後方で、かつリヤホイールアーチ
2の上端Uを通る仮想水平ラインXよりも下方の領域B
(図1において図示の便宜上、ハッチングを施して示す
領域)において車体両側に形成されている。
【0021】この実施例においては上述の車体重心Gと
空力中心点Aとの車体前後方向の間隔に対して、車体重
心Gと走行風受け面4との車体前後方向の間隔が大きく
なるように、この走行風受け面4をリヤバンパ3の左右
の両側面部にそれぞれ形成している。
【0022】しかも、この走行風受け面4は図2に示す
ようにリヤバンパ3の両側の基準面3aに対して内方側
に凹状に形成している。この走行風受け面4は横風の動
圧を積極的に受ける主面4a、上面4b、下面4c、滑
らかに曲率した側面4を有する。
【0023】ここで、上述の走行風受け面4において、
車両の前後方向の長さをaとし、車両の上下方向の高さ
をlとし、主面4aの深さをhとする時、図3に示すよ
うに(h/l)および(a/l)の値が同図にハッチン
グを施して示す範囲α内となるように選定して、ヨーイ
ングモーメント低減量ΔCymが最大になるように設定
されている。
【0024】このように、車体重心Gが空力中心点Aよ
り後方に位置する自動車において、上記車体重心Gより
後方へ、上記車体重心Gと上記空力中心点Aとの車体前
後方向の間隔よりも大きい間隔が設定された位置の車体
両側に、走行風の動圧を積極的に受ける車幅方向および
上下方向に延びた走行風受け面4が、車体両側の基準面
3aに対して内方側に凹設して構成されたものであるか
、この走行風受け面4により横風の動圧を積極的に受
けて、サイドフォース(図9参照)に対抗する逆向きの
ヨーイングモーメントを発生するのでヨーイングモーメ
ントの大幅な減少を図ることができる効果がある。
【0025】また、車体重心Gより後方へ、上述の車体
重心Gと空力中心点Aとの車体前後方向の間隔よりも大
きい間隔となるように走行風受け面の位置を設定したの
で、車体重心Gと走行風受け面4との間のモーメント長
が大となり、この結果、より一層良好にヨーイングモー
メントの減少を図ることができる効果がある。
【0026】しかも、走行風の動圧を受ける車幅方向お
よび上下方向に延びた走行風受け面4が車体両側の基準
面3aに対して内方側に凹設された、換言すれば、基準
面が基準面3aから内方側に引込んだ位置に形成したも
のであるから、空気抵抗係数の悪化を可及的小としつ
つ、安全性において有利な構成とすることができる。
【0027】さらに、走行風受け面4を形成する領域B
(図1参照)を上述の領域に特定したので、本来、この
領域Bはリヤホイールアーチ2およびリヤホイール1に
より空気の乱れが生ずる領域で、この領域において空気
抗係数Cの改善を図ることは困難であるが、該領域
Bに上述の走行風受け面4を形成することにより、空気
抵抗係数Cを大幅に悪化させることなく、ヨーイング
モーメントの大幅な低減を図ることができる効果があ
る。
【0028】しかも、上述の走行風受け面4をリヤバン
パ3の左右の両側面部にそれぞれ形成したので、この走
行風受け面4を例えばプラスチックバンパ等により構成
されるリヤバンパ3に対して一体成形により容易に構成
することができる効果がある
【0029】4は走行風受け面の他の実施例を示し、
図2の実施例においては走行風受け面4を側面から見て
方形状に形成したが、この図4に示す実施例においては
車両側方から見てフロント側に頂点部が位置し、リヤ側
に底辺部が位置する三角形状の走行風受け面4をリヤバ
ンパ3両側面部に形成している。
【0030】このように、上述の走行風受け面4を側面
視で三角形状に形成すると、凹部の開口面積に対して充
分大きい受け面4を形成することができるうえ、見栄え
及び意匠感の向上を図ることができる効果がある。な
お、この図4に示す実施例においても、その他の点につ
いては先の実施例とほぼ同様の作用、効果を奏するの
で、図4において前図と同一の部分には同一符号を付し
て、その詳しい説明を省略する。
【0031】図5は自動車の後部構造の他の例を示し
においてはリヤバンパ3の両側面部に対して、例え
ばゴムや軟質樹脂などから成る受け面形成部材5を接着
手段にて一体的に突設し、この受け面形成部材5の主面
5aにて横風の動圧を積極的に受けるように構成してい
る。ここで、上述の左右の受け面形成部材5,5の最外
端部は車両の全幅以内とすることが推奨される。
【0032】このように、上述のリヤバンパ3の左右の
両側面部に受け面形成部材5,5を一体的に突設して走
行風受け面を構成すると、リヤバンパ3の両側面部に例
えばゴムや軟質樹脂などから成る受け面形成部材5,5
を接着手段その他にて突設することで、簡単な構造によ
りヨーイングモーメントの低減を図ることができる効果
がある。なお、図5において前図と同一の部分には同一
符号を付して、その詳しい説明を省略している
【0033】図6乃至図8は自動車の後部構造のさらに
の例を示し、上述のリヤバンパ3の左右の両側面部に
開口部3b,3bを形成し、これら開口部3b,3bに
対して突没可能な受け面形成部材6,6を設けたもので
ある。
【0034】また上述の開口部3bには該開口部3bを
閉塞するラバー7,8を設ける一方、上述の受け面形成
部材6,6は例えばインストルメントパネル部に配設し
た手動押しボタンスイッチまたはヨーレートセンサの出
力によりCPUおよびアクチュエータを介して突没駆動
される。
【0035】つまり、車両に対して横風が作用しない通
常走行時にあっては上述の各受け面形成部材6,6を図
7に示す如くリヤバンパ3内に格納することで、空気
抗係数Cの悪化を防止し、車両に対して横風が作用す
る場合は、図6、図8に示す如く上述の開口部3bから
左右の各受け面形成部材6,6を突出させて、ヨーイン
グモーメントを低減させるように構成している。
【0036】このように構成すると、必要時にのみ上述
の受け面形成部材6,6を突出させてヨーイングモーメ
ントの低減を図ることができる効果がある。なお、上述
の受け面形成部材6,6の最大突出量は車両の全幅以内
とすることが推奨される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の自動車の後部構造における走行風受
け面の形成領域を示す説明図。
【図2】 本発明の自動車の後部構造を示す部分斜視
図。
【図3】 走行風受け面の各部の寸法に対するヨーイン
グモーメント低減量を示す特性図。
【図4】 走行風受け面の他の実施例を示す部分斜視
図。
【図5】 自動車の後部構造の他の例を示す平面図。
【図6】 自動車の後部構造のさらに他の例を示す平面
図。
【図7】 図6に示す受け面形成部材の格納状態を示す
断面図。
【図8】 図6に示す受け面形成部材の突出状態を示す
断面図。
【図9】 ヨーイングモーメント発生を説明するための
平面図。
【符号の説明】
3…リヤバンパ 3a…基準面 3b…開口部 4…走行風受け …空力中心点 G…車体重心 O…リヤホイールセンタ U…リヤホイールアーチ上端 X…仮想水平ライン Y…仮想垂直ライン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山崎 博和 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツ ダ株式会社内 (56)参考文献 実開 昭64−19585(JP,U) 実開 昭64−10483(JP,U) 実開 昭60−188684(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B62D 37/02 B62D 35/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車体重心が空力中心点より後方に位置する
    自動車において、 上記車体重心より後方へ、上記車体重心と上記空力中心
    点との車体前後方向の間隔よりも大きい間隔が設定され
    位置の車体両側に、走行風の動圧を受ける車幅方向
    よび上下方向に延びた走行風受け面が、車体両側の基準
    面に対して内方側に凹設して構成された自動車の後部構
    造。
  2. 【請求項2】上記走行風受け面はリヤホイールセンタを
    通る仮想垂直ラインよりも後方で、かつリヤホイールア
    ーチ上端を通る仮想水平ラインよりも下方において車体
    両側に形成された請求項1記載の自動車の後部構造。
  3. 【請求項3】上記走行風受け面はリヤバンパの左右の両
    側面部にそれぞれ形成された請求項2記載の自動車の後
    部構造。
  4. 【請求項4】上記走行風受け面は車両側方から見てフロ
    ント側に頂点部が位置し、リヤ側に底辺部が位置する三
    角形状に形成された請求項1,2または3記載の自動車
    の後部構造。
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