JP3375982B2 - 電圧非直線抵抗体の製造に用いる匣鉢 - Google Patents

電圧非直線抵抗体の製造に用いる匣鉢

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JP3375982B2 JP06241292A JP6241292A JP3375982B2 JP 3375982 B2 JP3375982 B2 JP 3375982B2 JP 06241292 A JP06241292 A JP 06241292A JP 6241292 A JP6241292 A JP 6241292A JP 3375982 B2 JP3375982 B2 JP 3375982B2
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聡 山田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸化亜鉛を主成分とす
る電圧非直線抵抗体の製造工程のうち、酸化亜鉛素子成
形体の脱脂、焼成工程において使用する匣鉢の形状に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から酸化亜鉛を主成分とし、二酸化
ケイ素、酸化アンチモン、酸化ニッケル、酸化クロム、
酸化ビスマス、酸化マンガン等の小量の添加物を含有し
た抵抗体は、優れた電圧非直線性を示すことが広く知ら
れており、その性質を利用して避雷器等に使用されてい
る。
【0003】通常、これらの電圧非直線抵抗体は、酸化
亜鉛粉末と、二酸化ケイ素、酸化アンチモン、酸化ニッ
ケル、酸化クロム、酸化ビスマス、酸化マンガン等の小
量の添加物粉末とからなる酸化亜鉛原料粉末を準備し、
準備した原料粉末を造粒、成形して成形体を得る。次
に、得られた成形体を脱脂し、脱脂した脱脂体を必要に
応じて仮焼し、必要に応じて仮焼体の側面に高抵抗層形
成用のペーストを塗布した後、焼成して得ている。
【0004】従来、この脱脂工程においては、図4に示
す形状の例えばアルミナ製の匣鉢11の中に成形体を複
数個載置して、必要に応じて複数の匣鉢11を段積みし
て、脱脂炉内で成形体の脱脂を実施していた。次に、脱
脂が完了後、脱脂体を匣鉢11から取り出し、図5に示
す形状の例えばアルミナ製の匣鉢12の中に前記脱脂体
を必要に応じて複数個載置して、必要に応じて複数個の
匣鉢12を段積みして、図示しない上蓋下蓋をして、焼
成炉内にて焼成し、電圧非直線抵抗体を製造していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】脱脂工程に於いては、
段積みした場合匣鉢ごとで独立しているため、バインダ
ーの除去が均一にまたは完全にはできないという問題が
あった。また、焼成工程では、匣鉢内の焼成雰囲気が匣
鉢ごとで異なり、バリスタ特性のバラツキが大きくなる
問題もあった。さらに、従来の方法では、脱脂工程では
図4に示す如き匣鉢11を用い、焼成工程では脱脂体を
図5に示す如き匣鉢12に詰め換えて焼成していた。こ
のため、各工程で製品の匣鉢への詰みかえ作業が煩雑に
なるとの問題があった。また、焼成用匣鉢12は複数回
使用すると匣鉢の底部のそりが発生し、そのため匣鉢の
多段積の際、安定性に欠け、かつ匣鉢内の密閉性も得ら
れないとの問題もあった。従って、頻繁に匣鉢を取替え
なければならず、製造コストが高くなるとの問題もあっ
た。
【0006】本発明の目的は上述した課題を解消して、
脱脂工程、焼成工程の各工程を良好に実施でき、安定し
た特性を有する電圧非直線抵抗体の製造に用いる匣鉢を
提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の電圧非直線抵抗
体の製造に用いる匣鉢は、酸化亜鉛を主成分とする電圧
非直線抵抗体の製造工程のうち、酸化亜鉛素子成形体の
脱脂、焼成工程において使用する匣鉢であって、底部に
開口部を有する匣鉢本体と、この匣鉢本体の開口部上に
匣鉢本体とは別体に設けたハニカムセッターとからな
り、ハニカムセッター上に酸化亜鉛素子成形体を載置
し、脱脂、焼成を行うことを特徴とするものである。
【0008】
【作用】上述した構成において、匣鉢底部を別体のハニ
カムセッターとしたため、複数回使用しても底部の湾曲
がほとんどなくなるとともに、万一湾曲して交換する必
要がある場合でも、匣鉢全体の交換は必要なくハニカム
セッターのみの交換で済むため、交換作業を容易にする
ことができる。また、底部がハニカムセッターのみで構
成されているため、脱脂工程において段積みした場合で
も各段の匣鉢内の雰囲気と外部雰囲気とを均一にでき、
脱脂工程ではバインダーが抜けるためバインダー除去を
完全にできる。さらに、焼成工程のときは、上蓋および
底部の底蓋を、段積みの場合は最下部の匣鉢に底蓋を、
最上部の匣鉢に上蓋をすることにより、匣鉢内をほぼ密
閉状態にでき、更に各匣鉢雰囲気は連通しているため、
均一な特性の電圧非直線抵抗体を得ることができる。ま
た、脱脂工程と連続して焼成を実施できるため、成形体
等の詰め替えも必要なく工程を簡単にすることができる
とともに、温度分布、蓄熱効果の点で有利となる。
【0009】
【実施例】まず、本発明の匣鉢を使用する電圧非直線抵
抗体の製造方法の一例について説明する。酸化亜鉛を主
成分とする電圧非直線抵抗体を得るには、所定の粒度に
調製した酸化亜鉛原料と所定の粒度に調製した酸化ビス
マス、酸化コバルト、酸化マンガン、酸化アンチモン、
酸化クロム、二酸化ケイ素(好ましくは非晶質)、酸化
ニッケル、酸化ホウ素、酸化銀よりなる添加物の所定量
を混合する。次に、好ましくは減圧脱気を行い、得られ
た混合スラリーを噴霧乾燥装置により造粒粉を造粒す
る。次に、得られた造粒粉を、成形工程において所定の
形状に成形する。
【0010】次に、その成形体を昇降温速度10〜10
0℃/hr、温度400〜700℃で有機成分を飛散除去
し脱脂体を得る。次に、必要に応じ脱脂体を昇降温速度
50〜70℃/hrで800〜1000℃、保持時間1〜
5時間で焼成し、仮焼体を得る。次に、仮焼体の側面に
高抵抗層を形成する。次に、これを昇降温速度20〜1
00℃/hr、最高保持温度1000〜1300℃好まし
くは1050〜1250℃、3〜7時間という条件で焼
成して、抵抗体を得る。その後、必要に応じて側面にガ
ラス層を形成して、両端面に電極を設けて電圧非直線抵
抗体を得ている。
【0011】上述した電圧非直線抵抗体の製造方法のう
ち、成形体の脱脂工程、焼成工程時に本発明の焼成用匣
鉢を使用している。図1は本発明の匣鉢の一例の構成を
示す図であり、図1(a)はその斜視図を、図1(b)
はそのA−A線に沿った断面図を示している。図1にお
いて、1は例えばアルミナよりなる匣鉢本体、2は匣鉢
本体1の底部に設けた開口部、3はハニカムセッターで
ある。匣鉢本体1の底部では、開口部2以外の部分がフ
ランジ部4となり、このフランジ部4上にハニカムセッ
ター3を載置して本発明の匣鉢を得ている。実際の脱
脂、焼成時には、ハニカムセッター3上の円板形状の酸
化亜鉛素子5を複数個載置して、各工程を実施してい
る。
【0012】なお、図2にその斜視図を示すように、図
1と同様の構成の匣鉢を脱脂および/または仮焼工程の
みに使用する場合、匣鉢内の雰囲気を外部と連通させる
ための切り欠き部6を設けると、脱脂工程、仮焼工程で
は各段の匣鉢内の雰囲気が外部と連通するため好まし
い。また、焼成工程で焼成炉内で雰囲気を作製し、匣鉢
内のみで雰囲気を作らない場合に好適に実施できる。さ
らに、図3に匣鉢を段積みした状態で本焼成するときの
状態を示すように、焼成工程にあたっては、最下部の匣
鉢に底蓋7を、最上部の匣鉢に上蓋8をすることによ
り、匣鉢内をほぼ密閉状態にするとともに、底蓋7上に
抵抗体と同材質の敷粉を配置している。
【0013】以下、実際の例について説明する。 実施例 図1に示す形状で、縦・横とも270mm、高さ80m
m、厚さ10mmでフランジ部の突出部分が10mmの
アルミナ磁器製の匣鉢本体1と、縦・横とも250m
m、高さ7mm、壁厚1mmのアルミナ磁器製のハニカ
ムセッター3とから匣鉢を構成した。この匣鉢を利用し
て、上述した電圧非直線抵抗体の製造方法に従って得た
酸化亜鉛を主成分とする、直径47mm、高さ22.5
mmで円板形状の成形体を4個4列の合計で16個、素
子同士が接触しないようにハニカムセッター3上に載置
した。上記成形体を載置した匣鉢を10段積層し、その
載最上段の匣鉢では上蓋をはずして開放状態とするとと
もに、最下段の匣鉢の下にはアルミナ製の板を敷いた。
その後、10段積みの匣鉢を台車に載せ、脱脂炉におい
て脱脂工程を実施した。脱脂のスケジュールは、大気雰
囲気中で100℃以下から昇温速度18℃/hrで500
℃まで昇温し、500℃で5時間保持し、降温速度60
℃/hrで冷却した。
【0014】次に、得られた脱脂体を10段積みの匣鉢
のままで脱脂炉から取り出し、10段積み匣鉢を素子と
同材質の敷き粉を敷いた同一形状の匣鉢上に載せた。な
お、最上段の匣鉢にはアルミナ製の上蓋をした。この1
0段積みの匣鉢を台車に載せ焼成炉に挿入し、焼成工程
を実施した。焼成の焼成スケジュールは、大気雰囲気中
で100℃以下から昇温速度44℃/hrで1160℃ま
で昇温し、1160℃で5時間保持後、60℃/hrの降
温速度で冷却した。冷却後、焼成炉から電圧非直線抵抗
体を取り出し、取り出した電圧非直線抵抗体のV1mA
(V/mm)を測定した。比較のため、図4,図5に示
す構造の従来の匣鉢を使用して、同様の脱脂工程、焼成
工程を各別に匣鉢を変えて実施した比較例の電圧非直線
抵抗体を準備し、同じくV1mA (V/mm)を測定し
た。結果を表1に示す。
【0015】
【表1】
【0016】表1の結果から、本発明の匣鉢を使用した
本発明例は、従来の匣鉢を使用した比較例に比べて、バ
リスタ電圧V1mA の各段の間のバラツキが少なく、多段
積みにした場合でも、良好な電気的特性を示す電圧非直
線抵抗体を得ることができることがわかる。
【0017】
【発明の効果】以上の説明から明かなように、本発明に
よれば、匣鉢底部を別体のハニカムセッターとしたた
め、複数回使用時の匣鉢の底部の湾曲をなくすことがで
きるとともに、湾曲がひどい場合の交換作業を容易にす
ることができる。また、脱脂工程では最上段から最下段
まで開放状態になるため、完全に均一なバインダー除去
ができる。さらに、焼成工程では上蓋・底蓋を使用する
ことにより同様に均一な焼成をできる。さらにまた、脱
脂工程、焼成工程の各工程を良好に連続して実施するこ
ともでき、電気的特性のバラツキの少ない電圧非直線抵
抗体を得ることができる。
【0018】また、ハニカムセッターは、各匣鉢の雰囲
気が特に連通し易く、均一な雰囲気が得られるととも
に、そりが少ない。さらに、匣鉢の側壁部に切り欠き部
を設けたときは、焼成炉内を雰囲気にする場合に使用で
き、その場合は同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の電圧非直線抵抗体の製造に用いる匣
鉢の一例を示す図である。
【図2】 本発明の匣鉢の他の例を示す図である。
【図3】 本発明の匣鉢を本焼成に使用した状態を示す
図である。
【図4】 従来の匣鉢の一例を示す図である。
【図5】 従来の匣鉢の他の例を示す図である。
【符号の説明】
1 匣鉢本体 2 開口部 3 ハニカムセッター 4 フランジ部 5 酸化亜鉛素子 6 切り欠き部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−263608(JP,A) 特開 昭58−79701(JP,A) 特開 平3−165004(JP,A) 実開 平2−28099(JP,U)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸化亜鉛を主成分とする電圧非直線抵抗体
    の製造工程のうち、酸化亜鉛素子成形体の脱脂、焼成工
    程において使用する匣鉢であって、底部に開口部を有す
    る匣鉢本体と、この匣鉢本体の開口部上に匣鉢本体とは
    別体に設けたハニカムセッターとからなり、ハニカムセ
    ッター上に酸化亜鉛素子成形体を載置し、脱脂、焼成を
    行うことを特徴とする電圧非直線抵抗体の製造に用いる
    匣鉢。
  2. 【請求項2】前記匣鉢の側壁部に、匣鉢内の雰囲気を外
    部と連通させるための切り欠き部を設けた請求項1記載
    の電圧非直線抵抗体の製造に用いる匣鉢。
JP06241292A 1992-03-18 1992-03-18 電圧非直線抵抗体の製造に用いる匣鉢 Expired - Lifetime JP3375982B2 (ja)

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JP2005321161A (ja) * 2004-05-11 2005-11-17 Mitsui Mining & Smelting Co Ltd 焼成用窯道具
JP4760746B2 (ja) * 2007-03-26 2011-08-31 Tdk株式会社 焼成用容器及び磁石の製造方法

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