JP3374979B2 - 温度センサー機能を有する熱線反射膜 - Google Patents

温度センサー機能を有する熱線反射膜

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JP3374979B2
JP3374979B2 JP17083792A JP17083792A JP3374979B2 JP 3374979 B2 JP3374979 B2 JP 3374979B2 JP 17083792 A JP17083792 A JP 17083792A JP 17083792 A JP17083792 A JP 17083792A JP 3374979 B2 JP3374979 B2 JP 3374979B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、回折格子からなる熱線
反射膜に関し、特に、温度変化に伴って反射効率が変化
する温度センサー機能を有する熱線反射膜に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来の赤外線を反射する熱線反射膜は、
フィルム上に酸化けい素、酸化チタンあるいは銀等を蒸
着して構成したものが中心であった。
【0003】このようなフィルムにおいては、反射効率
はフィルムの温度に係わらず常に一定であるため、一旦
窓等にフィルムを貼り付けてしまうと、冬期等の暖房効
果が必要な時においても、赤外線を反射してしまうとい
う問題点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような状
況に鑑みてなされたものであり、その目的は、夏期等の
赤外線のカットが必要な時期に十分な反射効率を有し、
冬期等の赤外線による暖房効果が必要な時期に反射率が
低下することができる温度センサー機能を有する熱線反
射膜を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の温度センサー機能を有する熱線反射膜は、屈折率の
異なる2種類以上のポリマー層を積層して構成した赤外
線を反射する回折格子において、温度変化によりそれら
の屈折率差が変化することにより、赤外線の反射効率
(回折効率)が変化することを利用して、高温において
は屈折率差が大きく熱線を効率良く反射し、低温におい
ては屈折率差が小さく熱線の反射効率が小さくなるよう
に、ポリマーのガラス転移温度を選択したもの、すなわ
ち、温度センサー機能を有することを特徴とするもので
ある。
【0006】一般に、回折格子の格子間ピッチdと回折
波長λは、入射角をθ、屈折率をnとすると、 2ndsinθ=mλ(m=1,2,3・・・) で与えられる。したがって、屈折率の高い層と低い層を
交互に積層して回折格子を構成し、その際、格子間ピッ
チdの異なる層を数種類作製することにより、種々の波
長の光を回折できるようにすることができ、1つの回折
格子の回折波長範囲を広げることができる。
【0007】具体的な例について説明すると、平均屈折
率が1.5の場合、図1に断面図を示すように、例え
ば、0.13μmの高屈折率ポリマー層1(nd =1.
59)に同じ厚みの低屈折率ポリマー層2(nd =1.
41)を5組積層後、0.14μmの高屈折率ポリマー
層3(nd =1.59)に同じ厚みの低屈折率ポリマー
層4(nd =1.41)を5組積層し、厚みを順次大き
くして同様に繰り返し積層し、0.67μmの高屈折率
ポリマー層5(nd =1.59)と同じ厚みの低屈折率
ポリマー層6(nd =1.41)を5組積層して回折格
子10を作製する。このフィルム10の膜厚は、次の計
算から70μmとなる。
【0008】 0.13×2×5+0.14×2×5+・・・・+0.67×2×5 =70μm この回折格子10により、図2に示すように、第1の厚
さの層の組1、2により、800nmの波長の光を回折
し、順次増加される厚さの層の組により、840nm、
・・・・・、2000nmの幅広い光を回折するように
なる。ここで、ポリマー層の膜厚、積層数、屈折率差を
変えることにより、回折波長範囲、回折効率を任意に設
定することができる。
【0009】ところで、ポリマー層の積層数、各々の屈
折率については、次のような関係がある。一般に、N層
の薄膜が重ねられている場合には、境界面はN+1個あ
り、第1面及び最終面における振幅ベクトルを、
【0010】
【数1】
【0011】とすれば、
【0012】
【数2】
【0013】ここで、[M1 ]、[M2 ]、[M3 ]、
[M4 ]…[Mn ]は、1、2、3、4…N層の薄膜の
特性マトリックスである。
【0014】このとき、N個の特性マトリックスの積は
1つのマトリックス[M]で表すことができ、
【0015】
【数3】
【0016】となる。垂直入射のときは、高屈折率ポリ
マー、低屈折率ポリマーの平均の屈折率をn、回折波長
をλとすると、そのときの膜厚をdとして、 nd=λ/4 において回折が最も効率が良くなる。この条件では、特
性マトリックス[M]は、
【0017】
【数4】
【0018】となる。
【0019】いま、屈折率n1 、n2 の2層膜をそれぞ
れnd=λ/4の条件で作ると、その特性マトリックス
は、
【0020】
【数5】
【0021】となる。したがって、N層積層すれば、
【0022】
【数6】
【0023】となる。入射媒質、出射媒質の屈折率をn
0 、nS 、p0 =(ε0 /μ0 1/20 、pS =(ε
0 /μ0 1/2 S とすると、回折効率DEは、
【0024】
【数7】
【0025】となる。
【0026】したがって、回折効率は、積層回数が多い
ほど高くなることになる。また、積層回数が同一の場合
は、屈折率差が大きいほど回折効率は高くなる。
【0027】ところで、一般に、ポリマーの屈折率をn
とすると、Lorenz−Lorenz式より、 (n2 −1)(n2 +2)=(R/M)ρ ここで、M:分子量 ρ:分子反射率 であることが知られている。
【0028】したがって、屈折率の温度(T)依存性
は、
【0029】
【数8】
【0030】となることが分かる。
【0031】q(n)は、0.46(n=1.4)、
0.59(n=1.5)、0.74(n=1.6)と、
屈折率によって変化する。
【0032】また、αは、一般に、ポリマーがガラス転
移温度(Tg )以下の固い状態においては、1.5〜
2.5×10-4、Tg 以上のアモルファスな状態におい
ては、5〜7×10-4と変化する。
【0033】したがって、屈折率の温度依存性は、 −dn/dT=1〜2×10-4(Tg 以下) −dn/dT=3〜5×10-4(Tg 以上) となる。すなわち、一般に、ポリマーのガラス転移温度
(Tg )以上と以下の領域では、屈折率の温度変化率
(負方向)が大きく異なり、Tg 以上では、Tg 以下の
場合に比較して、1.5〜5倍程度の大きさになる。
【0034】さて、上述の回折格子において、以下に示
すようなポリマーの組み合わせについての回折効率の温
度依存性を検討してみる。
【0035】高屈折率ポリマー層 n =1.60(3
0℃において) Tg =150(℃) α =1.5×10-4(℃-1)(Tg 以下) α =5.0×10-4(℃-1)(Tg 以上) 低屈折率ポリマー層 n =1.58(30℃におい
て) Tg =30(℃) α =1.6×10-4(℃-1)(Tg 以下) α =7.0×10-4(℃-1)(Tg 以上) この場合の屈折率の温度依存性は、 高屈折率ポリマー層 −dn/dT=1.11×10-4(150℃以下) −dn/dT=3.71×10-4(150℃以上) 低屈折率ポリマー層 −dn/dT=1.13×10-4(30℃以下) −dn/dT=4.97×10-4(30℃以上) となる。−10℃から130℃の間で、屈折率の変化及
び回折効率を計算すると、表−1のようになる。
【0036】 表−1をグラフ化すると、図3のようになる。
【0037】次に、30℃での両ポリマーの屈折率が同
一で、Tg が異なる次の例について見る。
【0038】高屈折率ポリマー層 n =1.55(3
0℃において) Tg =150(℃) α =2.0×10-4(℃-1)(Tg 以下) α =5.0×10-4(℃-1)(Tg 以上) 低屈折率ポリマー層 n =1.55(30℃におい
て) Tg =30(℃) α =2.0×10-4(℃-1)(Tg 以下) α =7.0×10-4(℃-1)(Tg 以上) この場合の屈折率の温度依存性は、 高屈折率ポリマー層 −dn/dT=1.32×10-4(150℃以下) −dn/dT=3.32×10-4(150℃以上) 低屈折率ポリマー層 −dn/dT=1.32×10-4(30℃以下) −dn/dT=4.64×10-4(30℃以上) となる。−10℃から130℃の間で、屈折率の変化及
び回折効率を計算すると、表−2のようになる。
【0039】 表−2をグラフ化すると、図4のようになる。
【0040】このように、ガラス転移温度が異なる2種
類のポリマー、特にガラス転移温度が低い方のポリマー
の屈折率が高温において相対的に低くなる場合には、回
折効率は高温で大きくなる。したがって、このような回
折格子を熱線反射膜として用いると、高温においては屈
折率差が大きく熱線を効率良く反射し、低温においては
屈折率差が小さく熱線の反射効率が小さくなり、温度セ
ンサー機能を有することになる。
【0041】次に、本発明において、代表的に使用し得
るポリマーとその屈折率、ガラス転移温度を以下に示
す。
【0042】 ポリマー n Tg (K°) ──────────────────────────────────── ポリビニリデンフルオライド 1.42 233 ポリジメチルシリレン(ポリジメチルシロキサン) 1.43 146 ポリオキシプロピレン 1.4495 198 ポリビニルイソブチルエーテル 1.4507 254 ポリビニルエチルエーテル 1.4540 230 ポリオキシエチレン 1.4563 232 ポリビニルブチルエーテル 1.4563 218 ポリビニルペンチルエーテル 1.4581 207 ポリビニルヘキシルエーテル 1.4591 199 ポリ(4−メチル−1−ペンテン) 1.459 -1.465 302 セルロースアセテートブチレート 1.46 -1.49 322-388 ポリビニルオクチルエーテル 1.4613 194 ポリ(ビニル2−エチルヘキシルエーテル) 1.4626 207 ポリビニルデシルエーテル 1.4628 211 ポリ(2−メトキシエチルアクリレート) 1.463 223 ポリブチルアクリレート 1.4631 251 ポリ(t−ブチルメタクリレート) 1.4638 333 ポリ(3−エトキシプロピルアクリレート) 1.465 218 ポリビニルプロピオネート 1.4665 283 ポリビニルアセテート 1.4665 305 ポリビニルメチルエーテル 1.467 242 ポリエチルアクリレート 1.4685 249 エチレン−ビニルアセテート共重合体 1.47 -1.50 (80%−20%ビニルアセテート) セルロースプロピオネート 1.47 -1.49 400 セルローストリアセテート 1.47 -1.48 322-751 ポリビニルメチルエーテル(アイソタクティック) 1.4700 242 ポリ(3−メトキシプロピルアクリレート) 1.471 198 ポリ(2−エトキシエチルアクリレート) 1.471 223 ポリメチルアクリレート 1.472 -1.480 283 ポリイソプロピルメタクリレート 1.4728 354 ポリ(1−デセン) 1.4730 232 ポリプロピレン(アタクティック,密度0.8575g/cm3 ) 1.4735 260 ポリ(ビニルsec−ブチルエーテル)(アイソタクティック) 1.4740 254 ポリドデシルメタクリレート 1.4740 208 ポリオキシエチレンオキシスクシノイル 1.4744 244 (ポリエチレンスクシネート) ポリテトラデシルメタクリレート 1.4746 201-264 エチレン−プロピレン共重合体(EPR−ゴム) 1.4748-1.48 140-260 ポリヘキサデシルメタクリレート 1.4750 288 ポリビニルフォルメート 1.4757 310 ポリイソブチルメタクリレート 1.477 333 エチルセルロース 1.479 316 ポリビニルアセタール 1.48 -1.50 305 セルロースアセテート 1.48 -1.50 322-751 セルローストリプロピオネート 1.48 -1.49 400 ポリオキシメチレン 1.48 232 ポリビニルブチラール 1.48 -1.49 322 ポリ(n−ヘキシルメタクリレート) 1.4813 268 ポリ(n−ブチルメタクリレート) 1.483 293 ポリ(n−プロピルメタクリレート) 1.484 308 ポリエチルメタクリレート 1.485 338 ポリ(1,1−ジエチルプロピルメタクリレート) 1.4889 268 ポリメチルメタクリレート 1.4893 378 ポリ(2−デシル−1,3−ブタジエン) 1.4899 220 ポリビニルアルコール 1.49 -1.53 358 ポリエチルグリコレートメタクリレート 1.4903 328 メチルセルロース(低粘度) 1.497 423 ポリウレタン 1.5 -1.6 200-400 ポリ(1,2−ブタジエン) 1.5000 269 ポリビニルフォルマール 1.50 セルロースニトレート 1.50 -1.514 326 ポリ(2−ヘプチル−1,3−ブタジエン) 1.5000 190 ポリ(2−イソプロピル−1,3ブタジエン) 1.5028 221 ポリプロピレン(密度0.9075g/cm3 ) 1.5030 260 ポリイソブテン 1.505 -1.51 200 ポリボルニルメタクリレート 1.5059 383 ポリ(2−t−ブチル−1,3−ブタジエン) 1.5060 293 ポリエチレングリコールジメタクリレート 1.5063 ポリシクロヘキシルメタクリレート 1.5066 356 グッタペルカ(β) 1.509 215 ポリオキシエチレン(高分子量) 1.51 -1.54 232 ポリエチレン(密度0.914 g/cm3 ) 1.51 148 ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート) 1.5119 328 ポリブテン(アイソタクティック) 1.5125 249 グッタペルカ(α) 1.514 215 ポリ(1,3−ブタジエン) 1.5154 269 ポリ(2−クロロエチルメタクリレート) 1.517 365 ポリ(2−ジエチルアミノエチルメタクリレート) 1.5174 289 天然ゴム 1.519 -1.52 200 ポリアクリロニトリル 1.52 ポリメタクリロニトリル 1.52 ポリイソプレン 1.521 200 ポリアクリックアシド 1.527 379 ポリ(1−ビニル−2−ピロリドン) 1.53 327 セルロース 1.54 243-443 ポリビニルクロライド 1.54 -1.55 354 ポリ(2−ブロモエチルメタクリレート) 1.5426 325 ポリ(N−アリルメタクリルアミド) 1.5476 433 ポリイソプロピルメタクリレート 1.552 354 ポリ(p−イソプロピルスチレン) 1.554 360 ポリクロロプレン 1.554 -1.558 253 ポリベンジルメタクリレート 1.5680 327 ポリフェニルメタクリレート 1.5706 383 ポリ(オキシ−2,6−ジメチルフェニレン) 1.575 482 ポリオキシエチレンオキシテレフタロイル(アモルファス) 1.5750 342 ポリビニルベンゾエート 1.5775 344 ポリ(4−メトキシ−2−メチルスチレン) 1.5868 358 ポリ(o−メチルスチレン) 1.5874 409 ポリスチレン 1.59 -1.592 373 ポリ(o−メトキシスチレン) 1.5932 348 ポリ(p−メトキシスチレン) 1.5967 362 ポリビニリデンクロライド 1.60 -1.63 255 ポリ(o−クロロスチレン) 1.6098 392 ポリ(2,6−ジクロロスチレン) 1.6248 440 ポリビニルナフタレン 1.6818 432 ポリビニルカルバゾール 1.683 423,481 ──────────────────────────────────── 上記ポリマー以外にも、電離放射線硬化型材料を用いる
ことができる。電離放射線硬化型材料としては、電子線
硬化型樹脂及び紫外線硬化型樹脂が有用であり、電子線
硬化性樹脂と紫外線硬化性樹脂とは、後者が光重合開始
剤と増感剤を含有することを除いて、成分的に同様なも
のであり、一般的には、皮膜形成成分としてその構造中
にラジカル重合性の活性基を有するポリマー、オリゴマ
ー、モノマーを主成分とするもので、粘度では、200
0cps以下であることが望ましい。このようなポリマ
ー、オリゴマーとして、ウレタンアクリレートやポリエ
ステルアクリレートのような市販品から容易に入手可能
なものが本発明に適用可能である。モノマーとしては、
市販のアクリル酸又はメタクリル酸誘導体等の電離放射
線硬化型モノマーが本発明に適用可能である。上記の硬
化樹脂を紫外線硬化性樹脂とするためには、この中に光
重合開始剤として、アセトフェノン類、ベンゾフェノ
ン、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミノキシ
ムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、
チオキサントン類や、光増感剤として、n−ブチルアミ
ン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等
を混合して用いることができる。
【0043】電離放射線照射方法としては、従来の技術
がそのまま適用でき、例えば電子線照射の場合は、コッ
クロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶
縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型
等の各種電子線加速機から放出される50〜1,000
KeV、好ましくは、100〜300KeVのエネルギ
ーを有する電子線を、0.1〜100Mrad.、好ま
しくは、1〜10Mrad.照射すことにより硬化させ
ることができ、また、紫外線照射の場合は、超高圧水銀
灯、高圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メ
タルハライドランプ等の光源から発せられる紫外線を、
0.1〜10,000mJ/cm2 、好ましくは、10
〜1,000mJ/cm2 照射することにより硬化させ
ることができる。
【0044】本発明により作製された熱線反射膜は、高
温において反射率が高く、低温においては低いため、夏
期等の赤外線のカットが必要な時期に十分な反射効率を
有し、冬期等の赤外線による暖房効果が必要な時期に反
射率が低下する。言い換えれば、温度センサー機能を有
する熱線反射膜である。
【0045】以上の説明から明らかなように、本発明の
熱線反射膜は、異なる2種類以上のポリマー層を少なく
とも所定の温度において屈折率が相対的に高・低と繰り
返すように交互に積層してなる回折格子において、異な
る2種類以上のポリマーとしてガラス転移温度が異なる
ものを用い、かつ、ポリマーの高温での屈折率が、ガラ
ス転移温度が低い方のポリマーが相対的により低くなる
ように選択され、温度による屈折率差の変化により、赤
外線の波長800nmから1600nmの反射効率が高
温で相対的に高く、低温において相対的に低く変化する
ようにしたことを特徴とするものである。
【0046】この場合、屈折率が相対的に高屈折率のポ
リマー層と低屈折率のポリマー層からなる組を複数積層
してなる多層膜が複数設けられ、それらの多層膜間で高
屈折率ポリマー層及び低屈折率ポリマー層の厚さが異な
るように構成されていることが望ましい。
【0047】
【作用】本発明においては、ガラス転移温度の異なる2
種類以上のポリマーからなる層を屈折率が相対的に高・
低と繰り返すように交互に積層させて構成しており、ま
た、その膜厚も異ならせて積層できるので、回折波長範
囲が広い回折格子を作製することができる。また、その
屈折率差も温度と共に変化し、高温になるほど屈折率差
が大きくなるようにすることで、低温では反射率が小さ
く、高温では反射率が大きい回折格子とすることができ
る。そのため、夏期等の赤外線のカットが必要な時期に
十分な反射効率を有し、冬期等の赤外線による暖房効果
が必要な時期に反射率が低下する、温度センサー機能を
有する熱線反射膜を得ることができる。
【0048】本発明の熱線反射膜は、回折光波長を任意
に決定できるため、赤外線領域の光を反射する熱線反射
フィルムの用途以外にも、可視領域の特定波長の光を反
射する液晶ディスプレー等に使用できるカラーフィルタ
ーや、紫外線カットフィルム等にも応用可能である。
【0049】
【実施例】以下、本発明の温度センサー機能を有する熱
線反射膜のいくつかの実施例について説明する。
【0050】実施例1 高屈折率ポリマー層、低屈折率ポリマー層を以下のよう
に選定した。 高屈折率ポリマー層:ポリアクリル酸 n =1.527(20℃) Tg =106℃ 低屈折率ポリマー層:ポリヒドロキシエチルメタクリレ
ート n =1.512(20℃) Tg =55℃ これを、0.15μm(900nm反射)、0.165
μm(1000nm反射)、0.182μm(1100
nm反射)、0.199μm(1200nm反射)、
0.215μm(1300nm反射)、0.232μm
(1400nm反射)、0.248μm(1500nm
反射)の各膜厚で、各々50層ずつ高屈折率ポリマー層
と低屈折率ポリマー層を交互に積層した。
【0051】得られた回折格子の回折効率を、分光光度
計(UV−365:島津製作所社製)で測定したとこ
ろ、800nm〜1600nmの範囲で、20℃の時に
は平均で17%、100℃では平均で57%の回折効率
を持つことが分かった。
【0052】実施例2 高屈折率ポリマー層、低屈折率ポリマー層を以下のよう
に選定した。 高屈折率ポリマー層:ポリ(o−メチルスチレン) n =1.587(20℃) Tg =136℃ 低屈折率ポリマー層:ポリ安息香酸ビニル n =1.578(20℃) Tg =71℃ これを、実施例1と同様に、反射波長の1/(4n)の
厚みで、反射波長900nmから100nmおきに15
00nmまで、100層ずつ積層した。
【0053】得られた回折格子の回折効率を、分光光度
計(UV−365:島津製作所社製)で測定したとこ
ろ、800nm〜1600nmの範囲で、20℃の時に
は平均で20%、100℃では平均で55%の回折効率
を持つことが分かった。
【0054】実施例3 高屈折率ポリマー層、低屈折率ポリマー層を以下のよう
に選定した。 高屈折率ポリマー層:ポリスチレン n =1.593(20℃) Tg =100℃ 低屈折率ポリマー層:ポリヒドロキシエチルメタクリレ
ート n =1.512(20℃) Tg =71℃ これを、実施例1と同様に、反射波長の1/(4n)の
厚みで、反射波長900nmから100nmおきに15
00nmまで、20層ずつ積層した。
【0055】得られた回折格子の回折効率を、分光光度
計(UV−365:島津製作所社製)で測定したとこ
ろ、800nm〜1600nmの範囲で、20℃の時に
は平均で38%、100℃では平均46%の回折効率を
持つことが分かった。
【0056】実施例4 高屈折率ポリマー層、低屈折率ポリマー層として、以下
に示す電離放射線硬化型組成物を使用した。 高屈折率ポリマー層 ウレタンアクリレート(紫光UV−4200B:日本合成化学社製) ・・・100重量部 2,4,5−トリブロモフェノールメタクリレート(和光純薬工業社製) ・・・ 50重量部 ジペンタエリスリトールペンタアクリレート ・・・ 5重量部 (サートマー399:サートマー社製) 粘度:10cps,屈折率:1.52(20℃),Tg :112℃ 低屈折率ポリマー層 ウレタンアクリレート(PR−202:三菱化成社製)・・・ 50重量部 2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート・・・150重量部 (ダイキン化成品販売社製) ジペンタエリスリトールペンタアクリレート ・・・ 5重量部 (サートマー399:サートマー社製) 粘度: 8cps,屈折率:1.47(20℃),Tg : 30℃ これを、実施例1と同様に、反射波長の1/(4n)の
厚みで、反射波長900nmから100nmおきに15
00nmまで、20層ずつ積層した。
【0057】得られた回折格子の回折効率を、分光光度
計(UV−365:島津製作所社製)で測定したとこ
ろ、800nm〜1600nmの範囲で、20℃の時に
は平均で24%、100℃では平均45%の回折効率を
持つことが分かった。
【0058】45%の回折効率を持つことが分かった。
【0059】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の温度センサー機能を有する熱線反射膜によると、ガラ
ス転移温度の異なる2種類以上のポリマーからなる層を
屈折率が相対的に高・低と繰り返すように交互に積層さ
せて構成しており、また、その膜厚も異ならせて積層で
きるので、回折波長範囲が広い回折格子を作製すること
ができる。また、その屈折率差も温度と共に変化し、高
温になるほど屈折率差が大きくなるようにすることで、
低温では反射率が小さく、高温では反射率が大きい回折
格子とすることができる。そのため、夏期等の赤外線の
カットが必要な時期に十分な反射効率を有し、冬期等の
赤外線による暖房効果が必要な時期に反射率が低下す
る、温度センサー機能を有する熱線反射膜を得ることが
できる。
【0060】なお、本発明による回折格子は、回折光波
長を任意に決定できるため、赤外線領域の光を反射する
熱線反射フィルムの用途以外にも、可視領域の特定波長
の光を反射する液晶ディスプレー等に使用できるカラー
フィルターや、紫外線カットフィルム等にも応用可能で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法により製作された回折格子の
1つの具体例の積層断面図である。
【図2】図1の回折格子の回折特性を示す図である。
【図3】本発明に基づく1つの数値例の回折効率の温度
依存性を示す図である。
【図4】他の数値例の回折効率の温度依存性を示す図で
ある。
【符号の説明】
1…膜厚0.13μmの高屈折率ポリマー層(nd
1.59) 2…膜厚0.13μmの低屈折率ポリマー層(nd
1.41) 3…膜厚0.14μmの高屈折率ポリマー層(nd
1.59) 4…膜厚0.14μmの低屈折率ポリマー層(nd
1.41) 5…膜厚0.67μmの高屈折率ポリマー層(nd
1.59) 6…膜厚0.67μmの低屈折率ポリマー層(nd
1.41) 10…回折格子(膜厚70μm)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−99307(JP,A) 特開 平4−95901(JP,A) 特開 平2−242202(JP,A) 特開 平3−245104(JP,A) 特表 平4−503578(JP,A) 欧州公開491551(EP,A1)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 異なる2種類以上のポリマー層を少なく
    とも所定の温度において屈折率が相対的に高・低と繰り
    返すように交互に積層してなる回折格子において、異な
    る2種類以上のポリマーとしてガラス転移温度が異なる
    ものを用い、かつ、ポリマーの高温での屈折率が、ガラ
    ス転移温度が低い方のポリマーが相対的により低くなる
    ように選択され、温度による屈折率差の変化により、赤
    外線の波長800nmから1600nmの反射効率が高
    温で相対的に高く、低温において相対的に低く変化する
    ようにしたことを特徴とする熱線反射膜。
  2. 【請求項2】 屈折率が相対的に高屈折率のポリマー層
    と低屈折率のポリマー層からなる組を複数積層してなる
    多層膜が複数設けられ、それらの多層膜間で高屈折率ポ
    リマー層及び低屈折率ポリマー層の厚さが異なるように
    構成されていることを特徴とする請求項1記載の熱線反
    射膜。
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