JP3153334B2 - 紫外線照射装置の多層膜フィルタ - Google Patents
紫外線照射装置の多層膜フィルタInfo
- Publication number
- JP3153334B2 JP3153334B2 JP14443092A JP14443092A JP3153334B2 JP 3153334 B2 JP3153334 B2 JP 3153334B2 JP 14443092 A JP14443092 A JP 14443092A JP 14443092 A JP14443092 A JP 14443092A JP 3153334 B2 JP3153334 B2 JP 3153334B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- film
- refractive index
- multilayer
- index film
- light
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Optical Filters (AREA)
- Apparatus For Disinfection Or Sterilisation (AREA)
- Radiation-Therapy Devices (AREA)
- Physical Water Treatments (AREA)
Description
【0001】
【技術分野】本発明は、紫外線照射装置、例えば紫外線
硬化型接着剤を用いて被接着物を接着する際に用いる紫
外線照射装置において、照射光線波長を所定の紫外線領
域に制限する多層膜フィルタに関する。
硬化型接着剤を用いて被接着物を接着する際に用いる紫
外線照射装置において、照射光線波長を所定の紫外線領
域に制限する多層膜フィルタに関する。
【0002】
【従来技術およびその問題点】この種の多層膜フィルタ
(ダイクロイック膜)として、従来光透過性基板上に、
高屈折率膜と低屈折率膜とを交互に積層したフィルタが
知られている。高屈折率膜としてはTiO2膜が用いられ、
低屈折率膜としてはMgF2が用いられている。ところが、
TiO2膜は、長期間使用すると、紫外線によって屈折率の
経時変化を起こして紫外線の透過率が減少するという問
題点があった。また高屈折率膜と低屈折率膜との間に
は、多層膜が加熱されると膨張係数の差により積層状態
で応力が発生するが、MgF2膜は応力の緩和効果が十分で
なく、このため加熱下で長期使用するとクラックが発生
する場合があった。
(ダイクロイック膜)として、従来光透過性基板上に、
高屈折率膜と低屈折率膜とを交互に積層したフィルタが
知られている。高屈折率膜としてはTiO2膜が用いられ、
低屈折率膜としてはMgF2が用いられている。ところが、
TiO2膜は、長期間使用すると、紫外線によって屈折率の
経時変化を起こして紫外線の透過率が減少するという問
題点があった。また高屈折率膜と低屈折率膜との間に
は、多層膜が加熱されると膨張係数の差により積層状態
で応力が発生するが、MgF2膜は応力の緩和効果が十分で
なく、このため加熱下で長期使用するとクラックが発生
する場合があった。
【0003】また、紫外線硬化型樹脂によってフロント
レンズとバックレンズを接合する紫外線照射装置におい
ては、従来は、可視光を含んだ波長λ=200〜500nm の光
を照射していたため、フロントレンズとバックレンズの
温度が上昇して、該レンズに施してあるコート膜の不良
や、熱変形、あるいは接着不良が発生することがあっ
た。
レンズとバックレンズを接合する紫外線照射装置におい
ては、従来は、可視光を含んだ波長λ=200〜500nm の光
を照射していたため、フロントレンズとバックレンズの
温度が上昇して、該レンズに施してあるコート膜の不良
や、熱変形、あるいは接着不良が発生することがあっ
た。
【0004】
【発明の目的】本発明は、このような従来の紫外線透過
多層膜フィルタの問題点を解消し、経時変化による紫外
線の透過率の減少が少なく、かつクラック発生のおそれ
の少ない多層膜フィルタを得ることを目的とする。また
本発明は、紫外線以外の光を透過させず、したがって被
照射物の温度上昇が少ない紫外線透過多層膜フィルタを
得ることを目的とする。
多層膜フィルタの問題点を解消し、経時変化による紫外
線の透過率の減少が少なく、かつクラック発生のおそれ
の少ない多層膜フィルタを得ることを目的とする。また
本発明は、紫外線以外の光を透過させず、したがって被
照射物の温度上昇が少ない紫外線透過多層膜フィルタを
得ることを目的とする。
【0005】
【発明の概要】本発明は、高屈折率膜、および低屈折率
膜の材料について研究の結果なされたもので、高屈折率
膜として、ZrO2膜を用いると、紫外線に対して安定し透
過率の経時変化による減少が少なく、また低屈折率膜と
して、MgF2膜だけでなく、SiO2膜を用いると、MgF2膜単
独の場合だけを用いる場合に比し、応力緩和効果が高い
ことを見出して完成されたものである。
膜の材料について研究の結果なされたもので、高屈折率
膜として、ZrO2膜を用いると、紫外線に対して安定し透
過率の経時変化による減少が少なく、また低屈折率膜と
して、MgF2膜だけでなく、SiO2膜を用いると、MgF2膜単
独の場合だけを用いる場合に比し、応力緩和効果が高い
ことを見出して完成されたものである。
【0006】すなわち本発明は、光透過性基板上に高屈
折率膜と低屈折率膜を積層して形成されている多層膜フ
ィルタにおいて、高屈折率膜として、ZrO2膜を用い、低
屈折率膜として、MgF2膜およびSiO2膜を用い、これら高
屈折率膜と低屈折率膜を光透光性基板上に交互に積層し
たことを特徴としている。
折率膜と低屈折率膜を積層して形成されている多層膜フ
ィルタにおいて、高屈折率膜として、ZrO2膜を用い、低
屈折率膜として、MgF2膜およびSiO2膜を用い、これら高
屈折率膜と低屈折率膜を光透光性基板上に交互に積層し
たことを特徴としている。
【0007】この高屈折率膜と低屈折率膜は、任意の組
み合わせとすることが可能であるが、特に光透過性基板
側から、MgF2、ZrO2、SiO2、ZrO2、SiO2、ZrO2の順序で
積層された6層の積層単位ユニットから構成するとよ
い。そして、多層膜中に、この積層単位ユニットを複数
設けると、さらによい結果が得られる。この多層膜は光
透過性基板の紫外線光源側に設けると、特に紫外線以外
の光を反射する性質があるため、紫外線のみを透過させ
るのに効果的である。
み合わせとすることが可能であるが、特に光透過性基板
側から、MgF2、ZrO2、SiO2、ZrO2、SiO2、ZrO2の順序で
積層された6層の積層単位ユニットから構成するとよ
い。そして、多層膜中に、この積層単位ユニットを複数
設けると、さらによい結果が得られる。この多層膜は光
透過性基板の紫外線光源側に設けると、特に紫外線以外
の光を反射する性質があるため、紫外線のみを透過させ
るのに効果的である。
【0008】基板の被照射物側には、高屈折率膜とし
て、Pr6O11およびNbを含有したTiO2膜を用い、低屈折率
膜として、MgF2膜、SiO2膜、およびAl2O3 膜の2種類以
上の膜を用い、これら高屈折率膜と低屈折率膜を光透光
性基板上に交互に積層した多層膜をさらに設けることが
好ましい。この多層膜は、紫外線の反射防止膜としての
作用を有し、従って、さらに紫外線の透過率を高めるこ
とができる。この基板の被照射物側の多層膜は、基板表
面から数えて奇数番層に高屈折率膜を設けると、より好
ましい結果が得られる。これらの高屈折率膜および低屈
折率膜の光学膜厚は、必要とされる透過波長帯域に応じ
て決定される。
て、Pr6O11およびNbを含有したTiO2膜を用い、低屈折率
膜として、MgF2膜、SiO2膜、およびAl2O3 膜の2種類以
上の膜を用い、これら高屈折率膜と低屈折率膜を光透光
性基板上に交互に積層した多層膜をさらに設けることが
好ましい。この多層膜は、紫外線の反射防止膜としての
作用を有し、従って、さらに紫外線の透過率を高めるこ
とができる。この基板の被照射物側の多層膜は、基板表
面から数えて奇数番層に高屈折率膜を設けると、より好
ましい結果が得られる。これらの高屈折率膜および低屈
折率膜の光学膜厚は、必要とされる透過波長帯域に応じ
て決定される。
【0009】
【発明の実施例】以下図示実施例に基づいて本発明を説
明する。図1は本発明による紫外線透過多層膜フィルタ
10の模式図である。光透過性基板1の表裏には、それ
ぞれ多層膜2と3が形成されている。多層膜2は、複数
の積層単位ユニット2Uを積層したもので、各積層単位
ユニット2Uは、光透過性基板1側から順に、MgF2膜か
らなる低屈折率膜2a、ZrO2膜からなる高屈折率膜2
b、SiO2膜からなる低屈折率膜2c、同高屈折率膜2
b、同低屈折率膜2c、および同高屈折率膜2bの6層
からなっている。最外側の積層単位ユニット2U’は、
半ユニットである。すなわちMgF2膜からなる低屈折率膜
2a、ZrO2膜からなる高屈折率膜2b、SiO2膜からなる
低屈折率膜2cの3層からなっている。
明する。図1は本発明による紫外線透過多層膜フィルタ
10の模式図である。光透過性基板1の表裏には、それ
ぞれ多層膜2と3が形成されている。多層膜2は、複数
の積層単位ユニット2Uを積層したもので、各積層単位
ユニット2Uは、光透過性基板1側から順に、MgF2膜か
らなる低屈折率膜2a、ZrO2膜からなる高屈折率膜2
b、SiO2膜からなる低屈折率膜2c、同高屈折率膜2
b、同低屈折率膜2c、および同高屈折率膜2bの6層
からなっている。最外側の積層単位ユニット2U’は、
半ユニットである。すなわちMgF2膜からなる低屈折率膜
2a、ZrO2膜からなる高屈折率膜2b、SiO2膜からなる
低屈折率膜2cの3層からなっている。
【0010】多層膜3は、光透過性基板1に高屈折率膜
3aを接触させて、該高屈折率膜3aと低屈折膜3b、
3cを交互に積層してなっている。高屈折率膜3aは、
例えば、TiO2、Pr6O11、およびNbを含むものである。低
屈折率膜3b、3cは、それぞれ異なる材料からなるこ
とを示しており、例えば、MgF2、SiO2、Al2O3 から選択
使用される。
3aを接触させて、該高屈折率膜3aと低屈折膜3b、
3cを交互に積層してなっている。高屈折率膜3aは、
例えば、TiO2、Pr6O11、およびNbを含むものである。低
屈折率膜3b、3cは、それぞれ異なる材料からなるこ
とを示しており、例えば、MgF2、SiO2、Al2O3 から選択
使用される。
【0011】この多層膜フィルタ10は、紫外線光源と
被照射物との間に、その多層膜2が入射側に、多層膜3
が出射側に位置するように配設される。図2は、紫外線
照射装置として、眼鏡レンズを紫外線硬化樹脂で接着す
る装置を概念的に示すもので、装置本体5には、水銀メ
タルハライドランプのような紫外線ランプ6が収納保持
されており、この紫外線ランプ6の中心Oを通り被照射
体方向に向く光軸I−I線に関して対称に、反射面7を
内側に向けた一対の反射鏡8が設けられている。紫外線
ランプ6の上方には、光軸I−Iに直交させて本発明の
特徴とする多層膜フィルタ10が配設されている。その
多層膜2は、紫外線ランプ6側に位置し、多層膜3は被
照射体である貼合せレンズ9側に位置している。貼合せ
レンズ9は、フロントレンズ11とバックレンズ12
を、両者の間に介在させた紫外線硬化樹脂13で接合す
るものである。図示例の貼合せレンズ9は、フロントレ
ンズ11により累進度数を与え、バックレンズ12によ
って度数(および乱視矯正)を与える累進多焦点レンズ
である。
被照射物との間に、その多層膜2が入射側に、多層膜3
が出射側に位置するように配設される。図2は、紫外線
照射装置として、眼鏡レンズを紫外線硬化樹脂で接着す
る装置を概念的に示すもので、装置本体5には、水銀メ
タルハライドランプのような紫外線ランプ6が収納保持
されており、この紫外線ランプ6の中心Oを通り被照射
体方向に向く光軸I−I線に関して対称に、反射面7を
内側に向けた一対の反射鏡8が設けられている。紫外線
ランプ6の上方には、光軸I−Iに直交させて本発明の
特徴とする多層膜フィルタ10が配設されている。その
多層膜2は、紫外線ランプ6側に位置し、多層膜3は被
照射体である貼合せレンズ9側に位置している。貼合せ
レンズ9は、フロントレンズ11とバックレンズ12
を、両者の間に介在させた紫外線硬化樹脂13で接合す
るものである。図示例の貼合せレンズ9は、フロントレ
ンズ11により累進度数を与え、バックレンズ12によ
って度数(および乱視矯正)を与える累進多焦点レンズ
である。
【0012】この紫外線照射装置では、紫外線ランプ6
から発した光のうち一部は直接多層膜フィルタ10へ達
し、また一部は反射鏡8の反射面7で反射した後、多層
膜フィルタ10へ向かう。多層膜フィルタ10の紫外線
ランプ6に対向する側には、積層単位ユニット2Uから
なる多層膜2が形成されているために、光の干渉によっ
て、紫外線ランプ6からの光のうち、波長440 〜660nm
の可視光15は反射し、紫外線14は透過する。一方、
貼合せレンズ9側の多層膜3は、基板1に接する面には
高屈折率膜3aが位置し、高屈折率膜3aと低屈折率膜
3b、3cを交互に積層して反射防止膜を形成してい
る。従って、波長440 〜660nm の可視光15を除去した
紫外線硬化に有効な紫外線14を紫外線硬化樹脂13に
照射することができる。その結果、紫外線硬化樹脂が重
合硬化して、フロントレンズ11とバックレンズ12が
接合され累進多焦点レンズが得られる。
から発した光のうち一部は直接多層膜フィルタ10へ達
し、また一部は反射鏡8の反射面7で反射した後、多層
膜フィルタ10へ向かう。多層膜フィルタ10の紫外線
ランプ6に対向する側には、積層単位ユニット2Uから
なる多層膜2が形成されているために、光の干渉によっ
て、紫外線ランプ6からの光のうち、波長440 〜660nm
の可視光15は反射し、紫外線14は透過する。一方、
貼合せレンズ9側の多層膜3は、基板1に接する面には
高屈折率膜3aが位置し、高屈折率膜3aと低屈折率膜
3b、3cを交互に積層して反射防止膜を形成してい
る。従って、波長440 〜660nm の可視光15を除去した
紫外線硬化に有効な紫外線14を紫外線硬化樹脂13に
照射することができる。その結果、紫外線硬化樹脂が重
合硬化して、フロントレンズ11とバックレンズ12が
接合され累進多焦点レンズが得られる。
【0013】次により具体的な実施例に基づいて本願発
明を説明する。 [実施例]表1は、基板1の多層膜2の単位積層ユニッ
ト数を6.5層とした場合の具体的な高屈折率膜2bと
低屈折率膜2a、2cの構成例である。表2は、基板1
の多層膜3の層数を6とした場合の具体的な高屈折率膜
3aと低屈折率膜3b、3cの構成例である。高屈折率
膜3aのTiO2:Pr6O11:Nb比は、例えば、2〜5:1:
2〜10とすることができ、実施例では3:1:5であ
る。これら高屈折率膜と低屈折率膜は、例えば真空蒸着
によって、基板1上に、生成順序に従って順次形成され
る。
明を説明する。 [実施例]表1は、基板1の多層膜2の単位積層ユニッ
ト数を6.5層とした場合の具体的な高屈折率膜2bと
低屈折率膜2a、2cの構成例である。表2は、基板1
の多層膜3の層数を6とした場合の具体的な高屈折率膜
3aと低屈折率膜3b、3cの構成例である。高屈折率
膜3aのTiO2:Pr6O11:Nb比は、例えば、2〜5:1:
2〜10とすることができ、実施例では3:1:5であ
る。これら高屈折率膜と低屈折率膜は、例えば真空蒸着
によって、基板1上に、生成順序に従って順次形成され
る。
【0014】 表1(多層膜2) 生成順序 物質 屈折率n 光学膜厚(n×d) 1(2a) MgF2 1.38 480.4nm 2(2b) ZrO2 2.02 643.3 3(2c) SiO2 1.48 109.7 4(2b) ZrO2 2.02 572.6 5(2c) SiO2 1.48 496.7 6(2b) ZrO2 2.02 480.9 7(2a) MgF2 1.38 502.3 8(2b) ZrO2 2.02 485.4 9(2c) SiO2 1.48 453.5 10(2b) ZrO2 2.02 448.6 11(2c) SiO2 1.48 429.9 12(2b) ZrO2 2.02 480.4 13(2a) MgF2 1.38 519.1 14(2b) ZrO2 2.02 497.2 15(2c) SiO2 1.48 540.6 16(2b) ZrO2 2.02 562.6 17(2c) SiO2 1.48 629.5 18(2b) ZrO2 2.02 599.0 19(2a) MgF2 1.38 598.5 20(2b) ZrO2 2.02 575.7 21(2c) SiO2 1.48 582.3 22(2b) ZrO2 2.02 549.2 23(2c) SiO2 1.48 599.1 24(2b) ZrO2 2.02 631.1 25(2a) MgF2 1.38 632.9 26(2b) ZrO2 2.02 527.7 27(2c) SiO2 1.48 262.1
【0015】 表2(多層膜3) 生成順序 物質 屈折率n 光学膜厚(n×d) 1(3a) TiO2+Pr6O11+Nb 2.08 100.4nm 2(3b) MgF2 1.38 169.9 3(3a) TiO2+Pr6O11+Nb 2.08 219.0 4(3c) Al2O3 1.64 260.4 5(3a) TiO2+Pr6O11+Nb 2.08 164.4 6(3b) MgF2 1.38 452.8
【0016】図3は、光透過性基板1を石英ガラスから
構成して、この基板1上にこの多層膜2、3を形成した
場合の透過波長帯域特性を示すスペクトル図である。こ
のスペクトル図から明らかなように、紫外線硬化に不要
な波長280nm 以下および440〜660nm の帯域においては
透過率を僅かに抑え、紫外線硬化に有効な特に300 〜42
0nm の帯域において、優れた透過特性を示す多層フィル
タが得られた。
構成して、この基板1上にこの多層膜2、3を形成した
場合の透過波長帯域特性を示すスペクトル図である。こ
のスペクトル図から明らかなように、紫外線硬化に不要
な波長280nm 以下および440〜660nm の帯域においては
透過率を僅かに抑え、紫外線硬化に有効な特に300 〜42
0nm の帯域において、優れた透過特性を示す多層フィル
タが得られた。
【0017】表1の高屈折率膜2b、低屈折率膜2a、
2cの光学膜厚は、各層の干渉によって急激な吸収を生
じることなく平坦な特性が得られるように、各層の光学
膜厚を少しづつずらしてある。光の透過波長帯域特性
は、高屈折率膜および低屈折率膜の膜厚を変更すること
によって、所望の特性を得ることができる。
2cの光学膜厚は、各層の干渉によって急激な吸収を生
じることなく平坦な特性が得られるように、各層の光学
膜厚を少しづつずらしてある。光の透過波長帯域特性
は、高屈折率膜および低屈折率膜の膜厚を変更すること
によって、所望の特性を得ることができる。
【0018】この実施例によると、多層膜2の高反射率
膜2bとしてZrO2を用い、低屈折率膜としてMgF2および
SiO2を用いたので、ZrO2とMgF2によって生じる内部応力
(引張応力)をSiO2によって生じる内部応力(圧縮応
力)によって相殺し、全体として応力緩和を図ることが
でき、紫外線ランプ6の熱によってクラックが生じるこ
とを防止できた。
膜2bとしてZrO2を用い、低屈折率膜としてMgF2および
SiO2を用いたので、ZrO2とMgF2によって生じる内部応力
(引張応力)をSiO2によって生じる内部応力(圧縮応
力)によって相殺し、全体として応力緩和を図ることが
でき、紫外線ランプ6の熱によってクラックが生じるこ
とを防止できた。
【0019】また積層単位ユニット2Uを複数層重ねた
多層膜2、特に6.5層重ねた多層膜2は、可視光の反
射特性、および紫外線の透過特性に優れているので、被
照射体、つまりフロントレンズ11とバックレンズ12
が過熱することがない。よって、レンズのコート膜の破
損、レンズ自体の変形、接着不良等が生じるおそれがな
い。
多層膜2、特に6.5層重ねた多層膜2は、可視光の反
射特性、および紫外線の透過特性に優れているので、被
照射体、つまりフロントレンズ11とバックレンズ12
が過熱することがない。よって、レンズのコート膜の破
損、レンズ自体の変形、接着不良等が生じるおそれがな
い。
【0020】また多層膜3は、紫外線の反射防止膜とし
ての作用を持つので、より効果的に紫外線を被照射物に
照射するために効果がある。また低屈折率層としてAl2O
3 層を用いると、このAl2O3 膜の圧縮応力によって膜間
に作用する応力を緩和してクラックの発生を防止するこ
とができる。
ての作用を持つので、より効果的に紫外線を被照射物に
照射するために効果がある。また低屈折率層としてAl2O
3 層を用いると、このAl2O3 膜の圧縮応力によって膜間
に作用する応力を緩和してクラックの発生を防止するこ
とができる。
【0021】
【発明の効果】以上のように本発明は、高屈折率膜と低
屈折率膜を交互に積層して構成する紫外線照射装置の多
層膜フィルタにおいて、高屈折率膜として、ZrO2膜を用
い、低屈折率膜として、MgF2膜およびSiO2膜を用いたか
ら、紫外線に対して安定で、かつ熱によるクラック発生
のおそれの少ない多層膜フィルタを得ることができる。
屈折率膜を交互に積層して構成する紫外線照射装置の多
層膜フィルタにおいて、高屈折率膜として、ZrO2膜を用
い、低屈折率膜として、MgF2膜およびSiO2膜を用いたか
ら、紫外線に対して安定で、かつ熱によるクラック発生
のおそれの少ない多層膜フィルタを得ることができる。
【図1】 本発明による多層膜フィルタの実施例を示す
模式断面図である。
模式断面図である。
【図2】 図1の多層膜フィルタを有する紫外線照射装
置の例を示す断面図である。
置の例を示す断面図である。
【図3】 本発明の多層膜フィルタによって得られる透
過波長帯域特性の例を示すグラフである。
過波長帯域特性の例を示すグラフである。
1 光透過性基板 2 3 多層膜 2b 3a 高屈折率膜 2a 2c 3b 3c 低屈折率膜 10 多層膜フィルタ 6 紫外線ランプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−178207(JP,A) 特開 昭57−212403(JP,A) 特開 昭55−45061(JP,A) 実開 昭59−144603(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 5/28
Claims (6)
- 【請求項1】 紫外線光源と被照射物との間に配設され
る多層膜フィルタであって、この多層膜フィルタは、光
透過性基板上に高屈折率膜と低屈折率膜を積層して形成
されている多層膜フィルタにおいて、 上記高屈折率膜として、ZrO2膜を用い、 上記低屈折率膜として、MgF2膜およびSiO2膜を用い、こ
れら高屈折率膜と低屈折率膜を光透光性基板上に交互に
積層したことを特徴とする紫外線照射装置の多層膜フィ
ルタ。 - 【請求項2】 請求項1において、上記多層膜は、光透
過性基板側から、MgF2、ZrO2、SiO2、ZrO2、SiO2、ZrO2
の順序で積層された6層の積層単位ユニットを有する紫
外線照射装置の多層膜フィルタ。 - 【請求項3】 請求項2において、上記多層膜は、複数
の上記積層単位ユニットを含んでいる紫外線照射装置の
多層膜フィルタ。 - 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか1項におい
て、上記多層膜は、光透過性基板の紫外線光源側に設け
られている紫外線照射装置の多層膜フィルタ。 - 【請求項5】 請求項4において、基板の被照射物側に
は、高屈折率膜として、Pr6O11およびNbを含有したTiO2
膜を用い、低屈折率膜として、MgF2膜、SiO2膜、および
Al2O3 膜の2種類以上の膜を用い、これら高屈折率膜と
低屈折率膜を光透光性基板上に交互に積層した多層膜が
さらに設けられている紫外線照射装置の多層膜フィル
タ。 - 【請求項6】 請求項5において、基板の被照射物側の
多層膜は、基板表面から数えて奇数番層に高屈折率膜が
設けられている紫外線照射装置の多層膜フィルタ
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14443092A JP3153334B2 (ja) | 1992-06-04 | 1992-06-04 | 紫外線照射装置の多層膜フィルタ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14443092A JP3153334B2 (ja) | 1992-06-04 | 1992-06-04 | 紫外線照射装置の多層膜フィルタ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05341122A JPH05341122A (ja) | 1993-12-24 |
JP3153334B2 true JP3153334B2 (ja) | 2001-04-09 |
Family
ID=15362017
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP14443092A Expired - Fee Related JP3153334B2 (ja) | 1992-06-04 | 1992-06-04 | 紫外線照射装置の多層膜フィルタ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3153334B2 (ja) |
Families Citing this family (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE4432770C2 (de) * | 1994-09-14 | 1998-11-19 | Brueck Alexandra | UV-Röhre und ihre Verwendung |
US5552671A (en) * | 1995-02-14 | 1996-09-03 | General Electric Company | UV Radiation-absorbing coatings and their use in lamps |
JP2001154016A (ja) * | 1999-11-29 | 2001-06-08 | Marktec Corp | 紫外線透過フィルター及び該紫外線透過フィルターを用いた紫外線探傷灯 |
US6720081B2 (en) | 1999-12-22 | 2004-04-13 | Schott Spezialglas Gmbh | UV-reflective interference layer system |
US7465681B2 (en) * | 2006-08-25 | 2008-12-16 | Corning Incorporated | Method for producing smooth, dense optical films |
JPWO2012137539A1 (ja) * | 2011-04-06 | 2014-07-28 | アルプス電気株式会社 | 紫外線センサ |
JP5933393B2 (ja) * | 2012-08-20 | 2016-06-08 | オリンパス株式会社 | 光学ユニット及び内視鏡 |
JP6432270B2 (ja) * | 2014-10-14 | 2018-12-05 | 岩崎電気株式会社 | 波長選択フィルター及び光照射装置 |
JP6642575B2 (ja) * | 2015-07-31 | 2020-02-05 | Agc株式会社 | 光学フィルタおよび近赤外線カットフィルタ |
CN109891277B (zh) * | 2016-12-26 | 2021-03-23 | Agc株式会社 | 紫外线透射滤波器 |
JP6976067B2 (ja) | 2017-03-24 | 2021-12-01 | エイブリック株式会社 | 紫外線受光素子を有する半導体装置およびその製造方法 |
JP7388921B2 (ja) * | 2019-12-27 | 2023-11-29 | マークテック株式会社 | 紫外線led用蒸着フィルタ |
-
1992
- 1992-06-04 JP JP14443092A patent/JP3153334B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05341122A (ja) | 1993-12-24 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US5850309A (en) | Mirror for high-intensity ultraviolet light beam | |
JP3153334B2 (ja) | 紫外線照射装置の多層膜フィルタ | |
JP2021140177A (ja) | 光学フィルタおよび撮像装置 | |
JP2000314807A (ja) | 可視光線遮断赤外線透過フィルター | |
JP2003139945A5 (ja) | ||
JP3153333B2 (ja) | 紫外線照射装置の多層膜フィルタ | |
JP4171362B2 (ja) | 反射防止膜付き透明基板 | |
JPH0593811A (ja) | 光吸収膜 | |
JP3799696B2 (ja) | エキシマレーザー用ミラー | |
JP3222546B2 (ja) | 紫外線照射装置の多層膜反射鏡および紫外線照射装置 | |
JP2008102183A (ja) | ハイブリッド偏光子 | |
JPH07209516A (ja) | 光学多層膜フィルタ | |
JP3584257B2 (ja) | 偏光ビームスプリッタ | |
JP2005031297A (ja) | 液晶表示装置の反射防止膜付き透明基板 | |
JPH05241017A (ja) | 黄色フィルター機能を有する光干渉多層膜 | |
JP3060720B2 (ja) | 偏光装置および該偏光装置を用いた投写型表示装置 | |
JPH02113202A (ja) | 中性濃度フィルター | |
JPH0694916A (ja) | 一体型光学装置 | |
JP2001013304A (ja) | 光学部品 | |
JPH10153705A (ja) | ダイクロイックミラー | |
CN215116869U (zh) | 一种偏光镜 | |
JPS6028603A (ja) | プリズム式ビ−ムスプリツタ | |
CN220752336U (zh) | 一种滤光膜、放大反射元件、抬头显示器及交通工具 | |
JPS59107304A (ja) | 半透過鏡 | |
JP2003344654A (ja) | 光学素子および偏光変換素子 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |